以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るカテーテル組立体は、輸液ラインの導入部を構築する際に使用される。図1に示すように、カテーテル組立体10は、患者の体内に穿刺される穿刺部として、管状のカテーテル12と、カテーテル12内に挿入される内針14とを有する。
また、カテーテル組立体10は、穿刺部を穿刺する際の操作部として、カテーテル12を保持するカテーテルハブ20と、このカテーテルハブ20を保持する内針収容部30とを備える。内針収容部30は、図2に示すように、ハウジング40、血液飛散防止カバー50(以下、単にカバー50という)、カム60(拘束部)、内針ハブ70及びバネ部材32(針駆動部)によって構成されている。内針収容部30は、各部材を適宜組み付けることで、カテーテル12及びカテーテルハブ20の前進に伴い内針14を収容する機能を有している。
まず、本発明の理解の容易化のため、カテーテル組立体10の使用方法について簡単に説明する。カテーテル組立体10は、ユーザ(医師や看護師等)により内針収容部30が把持操作され、穿刺部が穿刺される。穿刺部は、図1に示す穿刺前の初期状態において、カテーテル12と内針14が重ねられ内針14の針先14aがカテーテル12の先端から突出した2重管構造をとなっている。以下では、カテーテル組立体10の初期状態のことを「穿刺可能状態」ということもある。また、カテーテル組立体10の初期状態では、図3に示すように、カテーテルハブ20の基端部が内針収容部30に保持されることで穿刺部の2重管構造が維持されている。具体的には、カテーテルハブ20は、内針収容部30のカバー50に接続固定され、このカバー50は、被把持部であるハウジング40内の内針ハブ70に保持されている。
穿刺可能状態の穿刺部(カテーテル12及び内針14)は、患者の血管内に挿入された後、ユーザによりカテーテルハブ20が前進操作されることで、カテーテル12のみが血管内をさらに進入していく(図4A参照)。また、前進操作に伴い内針収容部30のカバー50も、カテーテルハブ20に追従して前進する。そして、図4Bに示すように、カバー50が所定量前進した段階で、バネ部材32により内針ハブ70が後退する。これにより、内針ハブ70に固定されている内針14が一体的に後退し、カテーテルハブ20内から内針14が離脱する。
その結果、図4Cに示すように、カテーテル12及びカテーテルハブ20が内針14及び内針収容部30から離されて患者側に留置される。その後、ユーザは、留置されたカテーテルハブ20の基端側に図示しない輸液チューブのコネクタを接続することで輸液ラインを構築し、患者への輸液を行う。一方、内針14及び内針ハブ70は、後退に伴いハウジング40内に収容されることで外部への露出が防止される。
以下、このカテーテル組立体10の各構成について具体的に説明する。図3に示すように、カテーテル組立体10のカテーテル12は、可撓性を有する細径の管状部材であり、患者の体内に導入及び留置可能な長さに形成されている。カテーテル12の内部には、カテーテル12の軸線方向に沿って内腔12aが貫通形成されている。内腔12aは、内針14を挿通可能な内径を有する。
カテーテル12の構成材料としては、樹脂材料、特に軟質樹脂材料が好適である。この場合、例えば、ポリテトラフルオロエテレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエテレン共重合体(ETFE)、ベルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、前記オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。カテーテル12は、全部又は一部の内部を視認できるように、透明性を有する樹脂で構成されてもよい。
カテーテル12の基端には、カテーテルハブ20が接続固定される。カテーテルハブ20は、先細りとなる筒状に形成され、この筒状の外形に応じた内部空間21を有する。カテーテルハブ20の内部空間21の先端側には、カテーテル12の基端部を液密に接続する図示しない接続機構(例えば、かしめピン等)が設けられる。
また、内部空間21には、血液の逆流を防止する止血弁22と、止血弁22を固定するシール部材23と、輸液チューブのコネクタの挿入に伴い止血弁22を貫通し輸液チューブとカテーテル12の内部を導通させるプラグ24とが収容される。カテーテル組立体10の穿刺可能状態(図3参照)では、止血弁22、シール部材23及びプラグ24の軸心を貫通するように内針14が配置される。さらに、内部空間21を構成するカテーテルハブ20の内壁20aには、周方向に沿って係止溝25が形成されている。係止溝25は、プラグ24の基端寄りに形成され、穿刺可能状態においてカバー50が係止される。
カテーテルハブ20の外周面には、カテーテルハブ20を前進操作するためのタブ26が設けられている。タブ26は、カテーテルハブ20の上方向に突出形成され、ユーザの指がかかりやすい程度の突出高さと横幅を有する。また、カテーテルハブ20の基端外周面には、輸液チューブのコネクタを接続保持するためのフランジ27が形成されるとよい。
カテーテルハブ20は、留置状態で、血管に挿入されたカテーテル12に繋がったまま患者の体表に露出され、テープ等により皮膚に貼り付けられて留置される。カテーテルハブ20は、カテーテル12を強固に保持するため、硬質の材料により構成されることが好ましい。カテーテルハブ20の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
一方、カテーテル12と共に穿刺部を構成する内針14は、鋭利な針先14aを先端に備え、患者の皮膚を穿刺可能な剛性を有する管状部材である。内針14は、穿刺可能状態でカテーテル12の内腔12a及びカテーテルハブ20の内部を貫通して、先端側の針先14aがカテーテル12から突出し且つ基端側が内針ハブ70に保持される長さに形成されている。内針14の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料が挙げられる。
一方、内針収容部30のハウジング40は、図2に示すように、ユーザが把持操作し易い太さ、及び内針14及び内針ハブ70に対応する軸方向長さを有する筒状部材に形成されている。ハウジング40の内部には、穿刺可能状態で、カバー50、内針ハブ70等を収容する収容空間41が設けられている。
具体的に、ハウジング40は、図5Aに示すように、軸方向長さの大部分を構成する筒状本体部42と、筒状本体部42の先端方向に突出する筒状先端部43とを有する。筒状本体部42は、断面視(図5C参照)で、左右方向に長軸a1を有し、上下方向に短軸a2を有する楕円状に形成されている。これにより、筒状本体部42の内壁により構成される収容空間41も楕円状を呈している。筒状本体部42の先端部には、楕円状の収容空間41の周縁を径方向内側に閉じる肩部44が形成されている。そして、筒状本体部42の基端部には、カバー50や内針ハブ70の組み付け後に収容空間41を閉塞する蓋45(図2参照)が取り付けられる。
また、筒状本体部42の先端寄りの所定位置には、収容空間41と外部を連通する引掛孔46(係止部)と、一対のスリット47とが形成されている。引掛孔46は、筒状本体部42の上側(短軸a2の一方の頂部側)に設けられている。この引掛孔46は、平面視で比較的小さな平面面積を有する矩形状に形成され、その基端側辺部によりカム60を引っ掛けることが可能となっている。なお、カテーテル組立体10は、1つのカム60に対応して1つの引掛孔46を備えた構成であるが、これに限定されず、引掛孔46やカム60を2以上(例えば、ハウジング40の上下に一対で)設けてもよい。
一対のスリット47は、引掛孔46の先端側の近傍位置、且つ引掛孔46に対し90°位相がずれる位置(長軸a1の両方の頂部側)に設けられている。スリット47は、筒状本体部42の周方向に沿って所定長さを有する長孔に形成されており、スリット47周辺部の筒状本体部42を微量に弾性変形可能とする。
一方、筒状先端部43は、図5Bに示すように、筒状本体部42の肩部44から先端方向に短く突出し、且つ筒状本体部42よりも小径な外周面を有する円筒状に形成されている。また、筒状先端部43の内側の収容空間41は、カバー50を摺動可能な内径に形成されている。この筒状先端部43は、穿刺可能状態で、その先端部がカテーテルハブ20の基端面に接触してカテーテルハブ20のぶれ等を抑えるように構成してもよい。
ハウジング40の収容空間41に収容されるカバー50は、図3に示す穿刺可能状態でカテーテルハブ20に追従するように接続し、内針収容部30によるカテーテルハブ20の保持を実現する。この際、カバー50の軸心部には内針14が配置される。さらに、カバー50は、内針14を引き抜く際に内針14を連続的に覆い続けることで、内針14に付着する血液が周囲に飛散することを防止する役割を果たしている。このカバー50は、図6Aに示すように、先端側から順にハブ係止部51、連結筒部52及びガイド筒部53を有する。
カバー50のハブ係止部51は、連結筒部52から先端方向に突出する一対のアーム51aと、各アーム51aの先端部にそれぞれ連なる一対の係止爪51bとを含む。一対のアーム51aは、板状に形成され、平板面同士が対向しつつ相互に所定間隔(内針14の外径よりも多少大きな幅)離間している。アーム51aは、連結筒部52から比較的短い距離で板厚が厚く突出形成されることで、先端部の係止爪51bを強い弾性力で支持する。
一対の係止爪51bは、略半円板状に形成され、アーム51aの先端部から径方向外側(相互に離間する方向)に突出している。一対の係止爪51bの外縁部は、各々円弧状に形成され、カテーテルハブ20の内側に形成された係止溝25に嵌め込まれる。また、一対の係止爪51bの内縁部は、直線状に形成されてアーム51aの対向面から若干内側に突出している。
係止爪51bは、図6Bに示すように外縁部が係止溝25に係合した状態で、カテーテルハブ20により径方向外側への弾性変形が規制され、内縁部が内針14のぶれを抑止する。なお、一対の係止爪51bの内縁部には、内針14を摺動可能に把持する溝部が形成されていてもよい。また、アーム51aや係止爪51bの形態は、特に限定されるものではなく、例えば、1つだけ設けられ内針14の一側部に接触する構成でもよく、内針14を囲うように3つ以上設けられていてもよい。
カバー50の連結筒部52は、カテーテルハブ20の基端側の内部空間21に挿入可能な円筒状に形成されている。連結筒部52は、軸方向に所定長さを有し、図3に示す穿刺可能状態では、ハウジング40の筒状先端部43内(収容空間41)に摺動可能に配置される。この連結筒部52の内部とガイド筒部53の内部には、内針ハブ70の内側筒部71(図8A参照)の一部を配置可能な中空部52aが形成されている。
また、連結筒部52は、中空部52aを閉じる先端閉部52bを有し、先端閉部52bの中心には内針14を通す挿通孔52cが形成されている。また、先端閉部52bの先端面には、挿通孔52cを間に挟んでハブ係止部51の一対のアーム51aが連結されている。
カバー50のガイド筒部53は、連結筒部52よりも若干小径の筒状に形成され、連結筒部52の基端から基端方向に所定長さ(内針ハブ70に対応する長さ)を有する。ガイド筒部53の上下には、一対の第1平坦部54と、各第1平坦部54の基端側に連なる一対の第2平坦部55とが形成されている。第1平坦部54には、穿刺可能状態でカム60が配置される。第2平坦部55は、第1平坦部54よりも低い位置に(第1平坦部54に対し段差を有するように)形成されている。
また、ガイド筒部53の基端側には、第1及び第2平坦部54、55を挟むように一対の突条部56が軸方向に沿って突出形成されている。第1及び第2平坦部54、55は、ガイド筒部53の上下に形成されているので、突条部56はガイド筒部53の外周面に合計4本設けられる。一対の突条部56は、第1及び第2平坦部54、55と協働することで、カバー50の前進時にカム60が移動する案内溝57を構成する。
一対の突条部56の基端側には、相互に近接するように若干突出し、案内溝57の側部の上側を覆う一対の庇部56aが形成されている。また、一対の突条部56の先端には、先端方向に向かって傾斜する傾斜部56bが形成されている。
カム60は、カバー50や内針ハブ70等と別体に成形された部材であり、側面断面視で略直角三角状に、正面視で逆T字状に形成されている。具体的には、図7A及び図7Bに示すように、第1及び第2平坦部54、55に載置される支持台61と、支持台61から上方向に突出する突部62とにより構成される。
カム60の支持台61は、第1及び第2平坦部54、55上を安定的に摺動可能な平板状に形成された部位である。この支持台61は、カバー50の第1及び第2平坦部54、55よりも多少狭い横幅、且つ突部62の前後の倒れを防止し得る縦幅を有し、且つ突条部56よりも低くなる板厚に形成されている。なお、図7Aに1点鎖線で示すように、支持台61は、先端面から突出する突出部分61aを有することで、カバー50の周面に対しより安定的に載置される。
カム60の突部62は、内針ハブ70とハウジング40を引っ掛けて、ハウジング40に対する内針ハブ70の相対移動を阻止する機能を有する。この突部62は、支持台61よりも若干幅狭で、支持台61の上面から上方向に所定高さ(内針ハブ70の内側筒部71の外周面からハウジング40の内壁に近接する高さ)で突出している。
カム60は、先端面及び基端面にて支持台61と突部62が平坦状に連なっている。具体的に、カム60の先端面は、支持台61の下面に対し直交して突部62の頂部まで至る直交面63に形成されており、カム60の基端面は、支持台61の下面に対し所定角度傾斜して突部62の頂部まで至るテーパ面64に形成されている。直交面63とテーパ面64は、カム60の軸方向上の応力を受ける面を構成する。
一方、内針ハブ70は、図3、図8A及び図8Bに示すように、内針14を保持して内針14と一体的に移動する部材であり、ハウジング40の収容空間41に収容される。内針ハブ70は、内針14を保持する内側筒部71、内側筒部71の基端側の周囲を囲いバネ部材32の付勢力を受ける外側筒部72、及び内側筒部71と外側筒部72を基端側で連結する基端連結部73が一体形成されることで構成される。
内側筒部71は、軸方向に所定長さを有する円筒状に形成されている。内側筒部71の先端部分は中実状を呈し、その中心部には軸方向に沿って内針保持孔71aが形成されている。内針保持孔71aは、内針14を保持するため内針14の外径よりも若干小径の内径を有する。また、内側筒部71の中間部分及び基端部分は空洞部74を有する中空状となっている。
外側筒部72は、基端連結部73を介して内側筒部71に連なることで、内側筒部71との間に隙間75を挟んで該内側筒部71を囲っている。この隙間75は、カバー50の基端部を収容することができる。また、外側筒部72は、基端連結部73から先端方向に所定長さ(内側筒部71の軸方向長さの約1/2程度)にわたって形成されている。
図8Cに示すように、外側筒部72は、左右方向に一対の弧状の側壁76と、一対の側壁76の両端部に連なり上下方向に突出する一対の突出部77とにより構成される。弧状の側壁76は、内側筒部71の軸心と同軸となる曲率で隙間75を囲っている。
一対の突出部77は、内側筒部71に対し側壁76よりも離間する底壁77aと、底壁77aの両側を支持する一対の支持壁77bとにより構成され、その内側部分の隙間75を大きくしている。突出部77の底壁77aは、カバー50の一対の突条部56を挟み込み可能な幅に形成されている。また、上側の突出部77の先端寄りには、内針ハブ70の外側と隙間75を連通する連通口部78、及び底壁77aと一対の支持壁77bの連結部(角部)を切り欠いた一対の切込部79が設けられている。
連通口部78は、平面視で方形状に形成され、上述したカム60を上下動可能としつつ軸方向の移動を規制する機能を有する。より具体的には、カム60の突出部77を内針ハブ70の外側に突出させる一方で、カム60の支持台61を非通過とする開口状態(形状や面積)に設定されている。
一対の切込部79は、上側の突出部77に設けられ、その先端面から基端方向に向かい連通口部78を越える長さで切り込まれることで、突出部77の底壁77aの先端側を上下に弾性変形可能としている。
図2に戻り、内針収容部30のバネ部材32は、上述した内針ハブ70を基端方向に後退させる機能を有する。なお、図2中では軸方向長さが短い状態でバネ部材32を図示しているが、実際には、バネ部材32は収容空間41に対応する軸方向長さを有する。このバネ部材32は、穿刺可能状態(図3参照)で、先端部がハウジング40の肩部44に接触し、基端部が内針ハブ70の突出部77の先端面に接触することで、収縮状態で収容空間41に収容される。これにより、バネ部材32は基端方向への付勢力を内針ハブ70に定常的に付与する。
次に、上述した構成からなるカテーテル組立体10の組立方法について説明する。カテーテル組立体10の組立においては、まず図9Aに示すように、内針14の基端部を内針ハブ70の先端部から挿入し内針14と内針ハブ70を連結する。すなわち、内針14は、内側筒部71の内針保持孔71aの先端側から所定長さ挿入されて空洞部74に突き出されることで、内針保持孔71aに嵌め合わされて内針ハブ70に強固に保持される。
内針14と内針ハブ70の連結後、図9Bに示すように、内針14を中空部52aに挿入してカバー50を内針ハブ70と相対的に基端方向に移動していく。これにより内針14は、カバー50の中空部52aを介して挿通孔52cを突き抜けカバー50(連結筒部52)の外側に露出し、一対のアーム51a部の間を通るように案内される。カバー50は、基端方向の移動が継続されると、ガイド筒部53の基端側が内針ハブ70の隙間75に挿入される。この際、ガイド筒部53の一対の突条部56は、外側筒部72の突出部77が構成する隙間75に入り込むことで、カバー50と内針ハブ70の周回りの相対移動を規制する。そして、カバー50の基端部が内針ハブ70の基端連結部73に接触することで、カバー50の組付が終了する。
カバー50の組付後は、図10Aに示すように、カバー50の上側の第1平坦部54と、内針ハブ70(外側筒部72)上側の底壁77aとの間にカム60を挿入する。ここで、上側の突出部77の底壁77aは、一対の切込部79により上方向に微量に弾性変形するように構成されている。このため、カム60を第1平坦部54に載置した状態で、テーパ面64を底壁77aに押し当てるようにカム60を基端方向に押すと、底壁77aを押し上げてカム60が連通口部78に挿入される。つまりカム60を簡単に組み付けることができる。以上の手順により、図10Bに示すように、内針14、内針ハブ70、カバー50、カム60を一体的に組み付けた内部構造体34が形成される。
内部構造体34の構築後は、図11Aに示すように内部構造体34をハウジング40の収容空間41に挿入していく。なお、図示は省略するが、ハウジング40への収容時には、内針ハブ70の外側筒部72の先端側でカバー50の周囲を囲うようにバネ部材32を配置し、内部構造体34をハウジング40の先端方向に押し込んでいく。
ここで、ハウジング40の筒状本体部42は、上述したように断面楕円状に形成されている(図11B参照)。そのため、ハウジング40の収容空間41に内部構造体34を挿入する際には、内部構造体34の上下に長くなっている箇所(一対の突出部77)を横向きにしてハウジング40の長軸a1に合わせる。すなわち、組付時には、内部構造体34を90°回転して横向きにした状態で、ハウジング40の収容空間41に挿入していく。これにより、内部構造体34を収容空間41の先端側にスムーズに案内していくことができ、カバー50の先端部(ハブ係止部51及び連結筒部52の先端部)がハウジング40の外部に容易に露出される。
そして、図12A及び図12Bに示すように、内部構造体34がハウジング40の先端側の所定位置まで到達すると、ハウジング40と相対的に内部構造体34を90°周方向に回転させる。これにより、一対の突出部77がハウジング40の短軸a2に合う位置に移動し、カム60がハウジング40の引掛孔46に挿入される。
内部構造体34の回転時には、ハウジング40の一対のスリット47により、ハウジング40の引掛孔46付近の周壁が適度に弾性変形する。つまり、一対のスリット47は、長軸a1側の周壁を内側に弾性変形させることで、短軸a2側の周壁を外側に拡げることができ、横向きだった内部構造体34を容易に回転させる。これにより内部構造体34とハウジング40が容易に組み付けられる。
以上の手順により、内針収容部30の組立が終了し、内針14が先端方向に露出した状態となる。その後は、内針14の先端側からカテーテル12及びカテーテルハブ20を装着する。そして、カテーテルハブ20の内部空間21にカバー50のハブ係止部51が挿入されて、係止爪51bが係止溝25に引っ掛かるまでカテーテルハブ20を基端方向に押し込むと、カテーテル組立体10の組立が終了する。これにより図1に示すように、内針14とカテーテル12が重なりカテーテルハブ20が内針収容部30に保持された穿刺可能状態が形成される。
本実施形態に係るカテーテル組立体10は、基本的には以上のように形成されるものであり、以下、カテーテル組立体10の作用効果について説明する。
カテーテル組立体10は、上述したように、輸液ラインの導入部を構築するために使用され、穿刺可能状態でユーザにより内針14及びカテーテル12が患者の血管内に穿刺される。穿刺後は、図3、図4A〜図4Cに示すように、カテーテル12をさらに血管内に挿入するために、ユーザがカテーテルハブ20のタブ26等を前進操作することで、内針14と相対的にカテーテル12を前進させる。カテーテル組立体10は、このカテーテルハブ20の前進時に内針収容部30による内針14の収容を実施する。
以下、この前進操作時における内針収容部30の動作について具体的に説明していく。内針収容部30の内部では、穿刺可能状態で、図13Aに示すようにカバー50と内針ハブ70が重なり合い、ガイド筒部53の基端側が隙間75に入り込んだ状態となっている。また、内針ハブ70は、ハウジング40の肩部44と突出部77の先端面との間で収縮されたバネ部材32により基端方向に付勢されている。しかしながら、カム60の支持台61がカバー50の第1平坦部54上にあり、且つカム60の突部62が内針ハブ70の連通口部78を介してハウジング40の引掛孔46に挿入されていることで、内針ハブ70の後退がカム60により規制されている。
また、内針収容部30のカバー50は、図6Bに示すように、カテーテルハブ20の係止溝25にハブ係止部51の一対の係止爪51bを引っ掛けることで、カテーテルハブ20を保持している。この際、内針14は、一対の係止爪51bの間に存在することで、一対の係止爪51bの内側への変位を規制し、係止爪51bと係止溝25の引っ掛かりを維持させる。
よって、ユーザがカテーテルハブ20を前進させると、カバー50も追従して前進する(図13A及び図13B参照)。一方、内針ハブ70は、ハウジング40の引掛孔46に係止されているカム60により移動が規制されるため、内針収容部30内ではカバー50のみが前進することになる。なお、カバー50の突条部56先端に形成された傾斜部56bは、カバー50の前進時にバネ部材32に対する引っ掛かりを抑止する。
カバー50が前進する際に、カム60の支持台61は、第1平坦部54上を摺動して一対の突条部56間(案内溝57)に入り込む。さらに、図13Bに示すように、ガイド筒部53の先端がハウジング40の外側に露出される程度までカバー50が前進すると、カム60は第1平坦部54から第2平坦部55に移行する。この際、カム60のテーパ面64がカバー50(突条部56)の庇部56aに接触することで、カム60の支持台61は第2平坦部55にスムーズに落下する。カム60が第2平坦部55に移行しても、カム60の頂部は引掛孔46に入り込んだままであり、カム60による内針ハブ70の規制は継続される。
カテーテルハブ20をさらに前進させると、カム60の支持台61は第2平坦部55上且つ庇部56aの下側を摺動するように案内される。そして、図13Cに示すように、カム60はカバー50の基端よりも基端側に移動して下側(内針ハブ70の内側筒部71側)に落下可能な状態となる。ここで、バネ部材32により基端方向に付勢されている内針ハブ70は、カム60を定常的に基端方向に押している。このため、落下可能状態となったカム60は、内針ハブ70の基端方向の押圧力を受けると、テーパ面64が引掛孔46の縁部に案内されて下側に落下する。
その結果、内針ハブ70は、ハウジング40との係合状態が解除され、バネ部材32の付勢力(弾性復元力:伸張力)によりハウジング40の基端方向に押し出される。内針14及び内針ハブ70は、図14に示すように、ハウジング40の基端方向まで勢いよく後退し、内針14が患者から正確且つ迅速に抜け出る。ここで、内針14の先端付近には、穿刺により血液が付着しており、内針14の後退時には血液が周囲に飛散する可能性がある。しかしながら、本実施形態に係るカテーテル組立体10は、内針14の後退時にカバー50とハウジング40により内針14を露出しないように囲っているため、血液の飛散をカバー50内(又はハウジング40内)で確実に遮断することができる。
図15Aに示すように、内針収容部30の機能により内針ハブ70と内針14が基端方向に後退移動すると、カバー50の先端側では、一対の係止爪51bの間から内針14が抜け、係止爪51bが内側に変位可能となる。よって、ユーザがカテーテルハブ20に対して内針収容部30を後退させると、一対の係止爪51bが互いに近接し、係止爪51bと係止溝25の引っ掛かりが解除される。その結果、図15Bに示すように、カテーテルハブ20が、カバー50(内針収容部30)から離脱する。離脱時には、突条部56がハウジング40の肩部44に引っ掛かるので、カバー50がハウジング40から抜けることがなく、内針収容部30の一体性は継続される。
以上の動作により、カテーテル12及びカテーテルハブ20が患者側に留置され、輸液チューブのコネクタの接続がなされる。一方、内針収容部30は、ハウジング40の収容空間41に内針14を収容した状態で廃棄される。カテーテルハブ20の離脱後は、収容空間41において内針ハブ70よりも先端側にバネ部材32が存在するため、内針14や内針ハブ70の先端方向の移動が阻止される。従って、使用された内針14の露出が確実に防止され、ユーザや廃棄業者等は廃棄される内針収容部30を安全に取り扱うことができる。
以上のように、本実施形態に係るカテーテル組立体10によれば、カテーテルハブ20の前進に基づき内針14を収容する内針収容部30を備えることで、ユーザの操作が簡単化し、一層使い易くなる。すなわち、カテーテル組立体10は、内針14及びカテーテル12の穿刺後に通常行われるカテーテルハブ20の前進操作において内針収容部30に内針14を収容するので、内針14を収容するための操作を他に要求することがない。よって、ユーザは、一般的な操作でカテーテルハブ20から内針14をスムーズに離脱して、輸液ラインの導入部を構築することができる。また、内針収容部30は、内針14の露出を防止して使用後の内針14の誤刺を防ぐので、安全性を高めることができる。
この場合、カバー50は、カテーテルハブ20に追従して前進し、内針14の後退が終了するまで内針収容部30とカテーテルハブ20を接続するので、内針14の露出を確実に防ぐことができる。また、ハウジング40とカバー50とで内針14の露出をなくすことで、内針14の後退時に、内針14に付着している血液の飛散を遮断し、カテーテル組立体10の使用性をより向上することができる。
また、カテーテル組立体10は、内針ハブ70により内針14の移動を容易に制御することができる。例えば、カテーテル12の前進時(カテーテルハブ20の前進操作時)には、内針14及び内針ハブ70の姿勢を固定することで、カテーテル12を内針14に沿って押し込むことができる。そして、カテーテル12が血管内にある程度挿入された段階で、内針ハブ70を後退させることで、血管から内針14を良好に引き抜くことができる。
さらに、カテーテル組立体10は、カム60により内針ハブ70をハウジング40に拘束した状態でバネ部材32により内針ハブ70を付勢しておくことができる。よって、カバー50の移動にともないカム60を動作させて所定位置で拘束を解除することで、内針ハブ70をバネ部材32の付勢力により内針ハブ70を簡単に後退させることができる。
上記構成に加えて、カム60がハウジング40の引掛孔46に係止されることで、内針ハブ70とハウジング40の相対移動をカム60により確実に規制することができる。そして、カム60は、カバー50の前進時にカバー50の周面に沿って移動し、カバー50の周面から外れることで、引掛孔46との係止を簡単に解除することができる。
また、カテーテル組立体10は、カバー50が突条部56を有し、内針ハブ70が突出部77を有することで、カバー50と内針ハブ70の周方向の相対回転を規制することができ、カバー50をスムーズに前進させることができる。さらに、ハウジング40の筒状本体部42が断面楕円状となっているため、ハウジング40に内針ハブ70を組み付ける際には、内針ハブ70の突出部77を長軸a1に合わせることでハウジング40の先端側に内針ハブ70を容易に移動させることができる。そして、ハウジング40の引掛孔46がある位置で内針ハブ70を90°回転させることで、カム60と引掛孔46を係止することができる。
またさらに、カバー50がハウジング40の内側に設けられていることで、ユーザは、カテーテル12及び内針14を穿刺する際に、カバー50に触れることなくカテーテルハブ20に近いハウジング40の先端寄りを把持操作することができる。よって、穿刺操作を容易且つ精度良く行うことができる。さらにまた、カテーテル組立体10は、係止溝25及び係止爪51bを有することで、カテーテルハブ20とカバー50を接続することができる。また、内針14が一対の係止爪51bの間に配置されている状態では、係止爪51bの内側への変位が規制されるので、係止溝25に対し係止爪51bを強固に係止することができる。
本発明に係るカテーテル組立体10は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例を採用し得る。例えば、ハウジング40に形成される引掛孔46(係止部)は、シール等により閉塞されていてもよい。また、係止部は、ハウジング40の外周面に開口していなくてもよく、例えば、ハウジング40を構成する内周面に凹部として設けてもよい。
さらに、本実施形態に係るカテーテル組立体10では、カム60(拘束部)を1つの部材として形成しているが、例えば、ヒンジ部を介してカム60が内針ハブ70に連なる構成としてもよい。これにより、内針ハブ70とカム60を一体成形することができ、また組付が簡単化し、製造コストを低減することができる。カム60の設置位置も、例えば外側筒部72の先端部等、自由に設計することができる。要するに、拘束部の形状や位置は特に限定されるものではない。
図16Aに示す第1変形例に係るカテーテル組立体10Aは、カバー50をハウジング40の外側に設けた構成としている。このように構成しても、カテーテルハブ20にカバー50を接続して前進させることができ、この前進に基づきハウジング40内の内針ハブ70を後退させることができる。
図16Bに示す第2変形例に係るカテーテル組立体10Bは、内針収容部30のカバーを軸方向に伸縮自在な蛇腹チューブ80とした点で、カテーテル組立体10と異なる。この蛇腹チューブ80は、穿刺可能状態で収縮状態となっており、カテーテルハブ20の前進操作に伴い伸張して内針14の露出を防止する。このように蛇腹チューブ80を用いることで、蛇腹チューブ80がハウジング40の外側に設けられても、ユーザは穿刺部の穿刺操作時にハウジング40の先端側を把持操作することができる。よって、穿刺部を正確且つ容易に穿刺することができる。
勿論、図16Cに示す第3変形例に係るカテーテル組立体10Cのように、蛇腹チューブ80をハウジング40の内側に設けてもよい。或いは、図16Dに示す第4変形例に係るカテーテル組立体10Dのように、カテーテルハブ20とハウジング40の間に蛇腹チューブ80を設けてもよい。
図17Aに示す第5変形例に係るカテーテル組立体10Eは、内針ハブ70の基端側で該内針ハブ70を引っ張る弾性部材82(針駆動部)をハウジング40内に設けた構成となっている。弾性部材82としては、バネやゴム等が挙げられる。このように弾性部材82で内針ハブ70を引っ張っても内針14及び内針ハブ70を良好に後退させることができる。
図17Bに示す第6変形例に係るカテーテル組立体10Fは、内針ハブ70に作用力を付与する針駆動部として、ハウジング40の内側先端部位と内針ハブ70の先端部に磁石84を各々設けた構成となっている。つまり、磁石84同士の反発力によりハウジング40内で内針ハブ70を後退させる。なお、磁石84は、内針ハブ70の基端部と、ハウジング40の内側基端部とにそれぞれ配置され、磁石84同士の引力により内針ハブ70を後退させてもよい。
図17Cに示す第7変形例に係るカテーテル組立体10Gは、内針ハブ70の基端側に糸部材86を接続し、糸部材86をハウジング40基端の滑車88で折返してカバー50に接続した構成となっている。要するに、カテーテル組立体10、10A〜10Gは、内針14を後退させる作用力を付与する機構も種々の構成を採用し得る。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。