JP6252751B2 - 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法 - Google Patents

検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6252751B2
JP6252751B2 JP2013261259A JP2013261259A JP6252751B2 JP 6252751 B2 JP6252751 B2 JP 6252751B2 JP 2013261259 A JP2013261259 A JP 2013261259A JP 2013261259 A JP2013261259 A JP 2013261259A JP 6252751 B2 JP6252751 B2 JP 6252751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow path
path member
fluid device
cover
test solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013261259A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015117997A (ja
Inventor
理恵 小林
理恵 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2013261259A priority Critical patent/JP6252751B2/ja
Publication of JP2015117997A publication Critical patent/JP2015117997A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6252751B2 publication Critical patent/JP6252751B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)

Description

本発明は、多孔質の流路部材を備えた検査用流体デバイスに関する。
従来、液体の分離、混合、分析等の各種操作を行うために、基板内に液体の流路が設けられた流体デバイスが用いられている。流体デバイスの流路には、検体と反応する検出剤を予め含ませておくことが可能であり、これにより、流体デバイスを、例えば、血液検査あるいはDNA検査用の生化学センサや、食品あるいは飲料の品質管理用の化学センサなどの検査用流体デバイスとして用いることができる。近年、可搬性が求められるフィールドワークでの簡易分析を可能とする目的で、基板が小型化されたマイクロ流体デバイスと呼ばれる流体デバイスが開発されている。
マイクロ流体デバイスを製造する場合、従来は、半導体製造技術で培われた微細加工技術が用いられていた。例えば、基板として、シリコン、プラスチック、ガラス等を用い、フォトリソグラフィー法によって流路を形成する方法が知られている。ところが、基板としてシリコン、プラスチック、ガラス等を用いた場合、フォトレジストの浸漬、加熱処理、UV照射、フォトレジストの除去等の多くの工程が必要となる。また、フォトレジスト、フォトレジスト除去用の洗浄液、クリーンルーム、マスク、あるいはUV光源等に、多くの溶剤あるいは検出剤を使用する必要がある。さらには、大掛かりな装置が必要であり、高度な専門技術が必要である。その結果、マイクロ流体デバイスの作製にかかる人件費、材料費等がマイクロ流体デバイスの価格を引き上げてしまい、商業的に実用化できるレベルには至っていない。
安価に流体デバイスを製造する方法として、インク等を用いて紙の一部に隔壁を設け、隔壁に囲まれた部分を流路とする方法が知られている。例えば、インクジェットプリンタにより、紫外線硬化インクを用いて流路の外縁を紙上に印刷し、紫外線を照射する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、重合フォトレジストを用いて、紙の一部に流体バリアを形成し、流体バリアに囲まれた紙の残りの部分を流路とする方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、検査用流体デバイスにおいて、インク等を用いて紙等の内部に隔壁を設けて流路を形成した場合には、流路に検査液を供給したときに、インク等の隔壁構成部材が膨潤剥離して検査液が流路から漏れ出したり、あるいは、流路から検査液が溢れ出したりすることにより、検査液の液漏れが発生しやすくなるという課題が生じる。
請求項1に係る発明は、基材と、前記基材上に設けられた多孔質の流路部材と、前記基材に接しており、前記流路部材を覆うカバーと、を備え、前記多孔質の流路部材における空隙は、検査液を流すための流路を形成しており、前記カバーには、前記流路部材に前記検査液を供給するための開口と、前記流路部材における前記流路内の圧力を開放するための開口と、が形成されており、前記基材における前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、前記カバーにおける前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、前記流路部材における前記空隙を形成する表面は、前記検査液に対して親液性であることを特徴とする検査用流体デバイスである。
以上説明したように、本発明の流体デバイスは、基材と、基材上に設けられている多孔質の流路部材と、基材に接しており、流路部材を覆うカバーと、を備えている。この流体デバイスによると、基材及びカバーの流路部材側の界面が検査液に対して疎液性であるので、基材及びカバーへの検査液の接触や侵入が低減され、検査液の液漏れが発生しにくくなるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る流体デバイスの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る流体デバイスの上面図である。 本発明の一実施形態に係る流体デバイスの断面図である。 本発明の一実施形態に係る転写材の断面図である。 本発明の一実施形態に係る転写材の断面図である。 流体デバイスの断面図である。 流体デバイスの上面図である。 流体デバイスの断面図である。 流体デバイスの断面図である。 流体デバイスの断面図である。 検査液を滴下した流体デバイスの上面図である。 検査液を滴下した流体デバイスの上面図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
<<実施形態の全体構成>>
まず、図1乃至図3を用いて実施形態の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの上面図である。図3(A)は、図2の流体デバイスのA−A断面図である。図3(B)は、図2の流体デバイスのB−B断面図である。
流体デバイス10(検査用流体デバイスの一例)は、基材11と、基材11上に設けられた多孔質の流路部材12と、基材11に接しており、流路部材12を覆うカバー13と、を備えている。なお、基材11上に流路部材12を設けるとは、基材11と接するように流路部材12を設けることを言う。多孔質の流路部材12における空隙(12a,12b)は、検査液を流すための流路を形成する。カバー13には、流路部材12に検査液を供給するための開口13aと、流路内の圧力を開放するための開口13bと、が形成されている。なお、流路部材12の空隙(12a,12b)は、開口13a側から開口13b側まで連通しており、これにより、空隙(12a,12b)は検査液の流路を形成する。また、基材11における流路部材12側の界面及びカバー13における流路部材12側の界面は、検査液に対して疎液性である。一方、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は、検査液に対して親液性である。これにより、基材11及びカバー13への検査液の接触や侵入が低減され、検査液の液漏れが発生しにくくなる。
以下、本発明の一実施形態として、検査液は水を含む水溶液あるいは水分散液であり、基材11の表面11a及びカバー13における流路部材12側の界面が検査液に対して疎液性(疎水性)であり、流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面が、検査液に対して親液性(親水性)である場合について説明する。ただし、本発明はこの一実施形態に限定されず、例えば、検査液は有機溶媒であり、基材11の表面11a及びカバー13における流路部材12側の界面がこの有機溶媒に対して疎液性であり、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面がこの有機溶媒に対して親液性であっても良い。この場合、基材11及びカバー13における流路部材12としては界面が疎液性の公知の材料が用いられ、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は、公知の親液性の材料によって形成される。なお、有機溶媒としては、特に限定されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)などのケトン類が挙げられる。
上記の親液性あるいは疎液性の尺度としては、基材と検査液との接触角を用いることができ、接触角が大きい物質は疎液性が高いとみなすることができる。この場合、例えば、接触角算出公式として多くの分野で国際的に最も用いられている接触角測定モデルであるyoung公式に基づくATAN1/2θ法および近接法により液滴画像の座標から接触角を測定したときに、室温下で検査液に対する接触角が45度以下である物質を親液性、同じく60度以上である物質を疎液性として扱うことができる。なお、検体を溶媒に溶解または分散させて検査液とする場合には、上記の方法で溶媒の接触角を測定して、上記の基準に基づいて判定することにより、検査液が親液性であるか、あるいは、疎液性であるかを判定しても良い。また、流路部材12の空隙(12a,12b)が、親水性の材料によって形成されている場合に、流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面は、親水性を有しているということができる。なお、検査液を流路部材12の開口13a側に供給したときに、検査液が空隙(12a,12b)を流れて開口13a側まで至る場合には、流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面は、親水性を有しているということができる。
接触角の評価方法としては、大気下の室温(25℃)条件下で基材11あるいはカバー13における流路部材12側の界面、もしくは、基材11、カバー13、あるいは流路部材12の構成材料(親水性樹脂、疎水性樹脂等)を熱等により平滑化した薄膜の表面の接触角を測定する方法などが挙げられる。接触角の測定には、全自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を用いる。イオン交換水を用いた液滴法により、測定サンプル(基材もしくは前記親水性樹脂の薄膜)の接触角を計測する。なお、イオン交換水は、例えば、純水製造装置(ADVANTEC社製、GSH−500)を用いて作製する。イオン交換水の温度25℃における抵抗率は17MΩ/cm以上にする。
<基材>
基材11としては、特に制限はなく、目的に応じて有機、無機又は金属製のあらゆる基材を用いることができる。また、基材11は、特に限定されないが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。流体デバイス10をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ、安価である合成樹脂を基材11として用いることが好ましい。また、本実施形態によると、プラスチックシートなど耐久性が高い基材11を選択できるので、結果として流体デバイス10の耐久性も向上する。なお、表面の平滑度が高い基材11を用いた場合には、後述のように、熱転写方式によって流路部材12を形成するときに、転写材における流路部材形成層の転写率が上がり、流路をより精密に作成できる。
疎水性の表面11aを有する基材11としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂等でできた基材などが挙げられる。これらはいずれも水に対する接触角が70度以上であり、疎水性である。この中でも、低価格で汎用性が高いことから、ポリエチレンテレフタレート製の基材11を用いることが特に好ましい。
また、表面が疎水化処理されていれば、基材11自体は疎水性である必要はない。この場合、基材11としては、例えば、コート紙(塗工紙)等の紙基材、セラミックス、ガラス等の無機材料や、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース、ポリアミド、ポリイミド等できたフィルムなどを用いることもできる。
基材11表面に疎水性を付与する手法としては、例えば、基材11の表面に親水性の高い置換基で化学修飾する方法、基材11の表面に界面活性剤を塗布もしくは混合する方法、フッ素系樹脂などの水との接触角が大きい樹脂を含む皮膜を設ける手法などがある。
基材11の形状としては、特に制限はないが、シート状が好ましい。基材11の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において、特に制限はないが、測定対象物の厚みを長手方向に5箇所、各長手方向の測定箇所に対して幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーターで測定したときの平均値を平均厚みとすることができる。また、本実施形態において、厚みとは、基材11と流路部材12との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。平均厚みが、0.01mm未満であると、基材11としての強度を保てなくなることがあり、0.5mmを超えると、材質によってはフレキシブル性に欠け、センサとして取り扱いにくくなることがある。
<流路部材>
流体デバイス10の流路部材12は、検査液の流路となる空隙(12a,12b)を有している。なお、図3において、空隙12aは、図2におけるA−A断面またはB−B断面に形成された空隙である。空隙12bは、断面の奥側の空隙である。流路部材12としては、特に限定されないが、多孔質の材料(多孔性材料)が好適に用いられる。多孔性材料の一例としては、内部に気泡が存在し、気泡同士が繋がっている連続気泡となっているものが挙げられる。なお、連続気泡とは、気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。この連続気泡においては、気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。流路部材12は、毛細管現象を利用して液体を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
流路部材12の空隙(12a,12b)の密度を示す尺度としては、空隙率が用いられる。空隙率とは、流路部材12の見かけ体積に対する流路部材12の空隙の体積の割合であり、50%以上98%以下が好ましく、70%以上95%以下がより好ましい。空隙率が50%より少ないと、空隙の量が少なくなり、多孔質体としての性能が十分でなくなる場合がある。また、空隙率が98%より多いと、流路部材12の成形性の面で、十分な強度が得られない場合がある。なお、空隙率は、流路部材12の坪量(g/m)、厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
(計算式1)
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/厚み(μm)/組成分比重〕×100}
流路部材12の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直線、曲線、複数に分岐した接合点、の1種類、又はこれらの組み合わせ、などが挙げられる。また、流路部材12の一部に、水溶液または水分散液としての検査液を滴下する滴下位置12cと、検査液の混合あるいは検査液と検出剤との反応のため、空隙(12a,12b)に検出剤が充填されており、検査液が留まるような領域(反応場12d)を、設けてもよい。
検出剤としては、検査液に含まれる所定の検体を検出可能なものであれば特に限定されないが、例えば、各種抗原抗体反応により変色する試薬、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノファオ、各種農薬と反応して変色する試薬が挙げられる。反応場12dに検出剤を配置する方法は、特に限定されないが、例えば、基材11の疎水性の表面11aに流路部材12を設けた後、カバー13を形成する前に、流路部材12の反応場12dに検出剤を吸収させる方法が挙げられる。
流路部材12の幅としては、特に制限はなく、流体デバイス10のサイズに応じて任意の幅でパターニングすることができるが、流路として機能させるため、1mm以上であることが好ましい。流路部材12の幅が1mm未満であると、簡易な装置で流路形成することができず、製造コストが上がる。上限は限定されるものではなく、測定や反応の目的に応じた任意の幅とすることができる。なお、流路部材12の幅とは、流路方向(流路部材12において、滴下位置12cから反応場12dへ向かう方向)と垂直な方向であって、基材11との接触面に対して平行な方向である。
流路部材12の厚みとしては、特に制限はなく、流体デバイス10のサイズに応じて任意の厚みでパターニングすることができるが、30μm以上、250μm以下であることが好ましい。この厚みが、30μm未満であると、検査液が色材であるセンシング材と反応したときに、センシング材の濃度が低く、センシングできるだけの発色を示さない。また、流路内の水がパターン内を浸透する途中で全て蒸発してしまい、センシングするに至らないことがある。また、250μmを超えると、検査液の必要量が多くなる場合がある。なお、流路部材12の厚みとは、基材11との接触面に対して垂直方向の厚みの最大値を意味する。
従来の流体デバイスの製造方法のように、インクあるいは重合フォトレジストを紙に浸透させて疎水性バリアを設けた場合には、インク等の浸透性等の理由により、流路を厚くすることができなかった。このため、従来の流体デバイスを、センサとして用いた場合には、発色性が十分でないことや、検査液が検出剤に到達する前に蒸発してしまうことがあった。本実施形態によると、インクあるいは重合フォトレジストを用いずに流路を形成するため、流路部材12が厚い場合でも、流路領域と非流路領域とが確実に画定された流体デバイスを提供することができる。これにより、検査液は十分に厚みのあるパターン内部を浸透するので流路途中で蒸発しにくくなる。また、パターンに厚みがあるので、比色分析の場合、センシング材としての色材の濃度が上がり、発色を鮮明にできる。
また重合フォトレジストを紙に浸透させて流体バリアを設けた場合には、硬化後の重合フォトレジストがアルカリに弱いために、流体バリアが基材から容易に膨潤剥離を起こしてしまい、このために液漏れが生じやすい。一方、本実施形態によると、流体バリアは疎水性であり、もともと流体バリア壁面に対して検査液の接触や侵入が少なく、さらに使用している熱可塑性材料が検査液(アルカリ性を含む)に対し非常に安定であるため、検査液の液漏れが発生しない。
本実施形態において、流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面は、親水性を有している。流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面が、親水性を有しているとは、流路部材12が親水性の材料を含有しており、空隙(12a,12b)が親水性の材料によって形成されていることを意味する。なお、流体デバイス10の用途によっては、流路部材12を形成する材料全てが親水性である必要はなく、表面に面する部分の全部あるいは一部が親水性であっても良い。なお、流路部材12の空隙(12a,12b)が水の流路となる場合には、流路部材12の空隙(12a,12b)を形成する表面は、親水性を有しているということができる。
空隙(12a,12b)の形成方法としては、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子に対し極めて少量の樹脂をバインダーとして添加することで粒子同士が連結して粒子と粒子に隙間が生じ、その隙間が連続して形成されることで粒子と樹脂からなる流路部材12に空隙(12a,12b)を形成する方法。
(2)樹脂を原料とする発泡体を粉砕加工することにより得られる粉体とバインダー樹脂を混合した材料にてパターンを形成する方法、もしくは多孔性の粒子をバインダー樹脂により結合することで多孔性粒子とバインダー樹脂からなる流路部材12内に連続気泡を形成する方法。
(3)発泡性粒子を含む親水性樹脂にてパターンを形成する。なお、発泡性粒子は、親水性樹脂よりも低融点のものを選択する。樹脂の融点以下であり、かつ発泡性粒子の融点以上の温度で加熱し、粒子のみを破裂させることで粒子のあった部分が空隙となり、これらを連結することで、親水性樹脂からなる流路部材12内に連続気泡を生成する方法。
(4)炭酸水素ナトリウムなどの粉末を親水性樹脂に練り込んだ材料にてパターンを形成したのち、パターンにクエン酸水溶液などの酸性の液体を加え、粉末を発泡させることで連続気泡を生成する方法、または塩などの粉末を同様に練り込み形成したパターンを、水に浸漬させ塩を水の中に溶出(抽出)により取り除くことで連続気泡を形成する方法。
なお、連続気泡は走査型電子顕微鏡観察により立体パターンの切断面を観察することで確認できる。
流路部材12を構成する親水性の材料としては、例えば、親水性樹脂や親水性粒子などが挙げられる。流路部材12として、樹脂を用いた場合には、紙を用いた場合と比較して、耐久性が向上するとともに、高湿度下では流路の伸び縮みを低減することができる。
親水性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチル、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミドスルホン酸、ブチラール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独に用いてもよく、また、2種以上を適宜混合して用いることができる。これらの中でも成膜性の良さからブチラール樹脂、ポリビニルピロリドンが好ましい。
親水性粒子としては、表面が親水性の粒子であれば特に限定されないが、例えば、親水性樹脂を粒子化したものや、表面が親水性樹脂で覆われた疎水性樹脂(以上、有機系の親水性粒子)、無機系粒子などが挙げられる。なお、親水性粒子の親水性の表面の少なくとも一部は、空隙(12a,12b)に面している。
有機系の親水性粒子としては、例えばポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートなど親水性樹脂を微粒子化したものや、デキストランゲル、デンプン、セルロースなどが挙げられる。セルロースは、セルロースパウダー、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースイオン交換体、また、疎水性粒子の表面を親水性樹脂などでコーティングした粒子も親水性粒子として扱う。疎水性粒子としては上述した疎水性樹脂が挙げられる。
無機系の親水性粒子としては、例えば多孔性の、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、金属リン酸塩、金属のケイ酸塩、金属のケイ酸アルミン酸塩、多孔質ガラス、ギプスなどが挙げられる。シリカとしては例えば、シリカゲル、親水性の化学修飾を施したシリカゲル、シリカ・アルミナゲル、ケイソウ土等が挙げられる。ゼオライトとしては例えば、A型、Y型、X型、モルデナイト型、MFI型等が挙げられる。金属酸化物としては水酸化物を含み、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム(例、活性アルミナ、アルミナゲル、活性ボーキサイト等)、酸化鉄等が挙げられる。
金属リン酸塩としては例えば、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズ、リン酸カルシウム(例、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム等)等が挙げられる。
金属のケイ酸塩としては例えば、ケイ酸マグネシウム(例、フロリジル等)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、粘土鉱物(例、活性白土、酸性白土、セピオライト等)等が挙げられる。
金属のケイ酸アルミン酸塩としては、例えば、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
多孔質ガラスとしては例えば、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス(例、カルシウム・リン酸ガラス等)等が挙げられる。
これらの粒子は、それぞれ単独に用いてもよく、また、2種以上を適宜混合して用いることができるが、特に親水性シリカゲルが好ましい。
粒子の平均粒径としては、1μm以上、40μm以下が挙げられ、さらに好ましくは、5μm以上、150μm以下である。これらの粒子は、純品でもよいし、一部他の元素を構造内に10%以下、好ましくは5%以下含んでいても良い。
親水性粒子を用いる場合、バインダーとして樹脂や無機系の材料を用いることができる。バインダーとしては、親水性であっても疎水性であってもよい。バインダーとしての親水性樹脂としては、上述した親水性樹脂などが挙げられる。バインダーとしての疎水性樹脂としては例えばワックスや樹脂が挙げられる。なお、表面が親水性の粒子、および、バインダーとしての親水性樹脂を用いた場合には、粒子が親水性樹脂によって接合し、表面が親水性の粒子、および、親水性樹脂によって空隙(12a,12b)が形成されることになる。
ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化パラフィンワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスターワックス、牛脂硬化油、ラノリン、木ロウ、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ステアリルアルコール、ポリアミドワックス、オレイルアミド、ステアリルアミド、ヒドロキシステアリン酸、合成エステルワックス、合成合金ワックス、ヒマワリワックスなどの油脂、などが挙げられる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、石油樹脂、ロジン樹脂、ナイロン、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜混合して用いても良い。
無機系材料としては、ケイ酸塩系、無機コロイド系、金属アルコキシド系、リン酸塩系、セメント系などが挙げられる。
流路部材12中の粒子の割合は、流路部材12全体の体積に対して70体積%以上、99.5体積%以下であることが好ましい。これより粒子の割合が少ないと空隙を生成することができず、これより割合が多いと成膜性に劣る。
<<カバー>>
本実施形態において、カバー13は、基材11の疎水性の表面11aおよび流路部材12と接しており、流路部材12の少なくとも一部を覆うものであり、カバー13における流路部材12側の界面は、疎水性である。また、カバー13は、ガスバリア性を有することがより好ましい。ガスバリア性を有するとは、少なくとも紙よりもガス透過率が小さいことを意味する。カバー13の構成材料としては、例えば、ISO15106−1に基づいて測定した水のガス透過率(水蒸気の透過率)が100g/(m・day)以下、好ましくは50g/(m・day)以下、より好ましくは10g/(m・day)以下のフィルム、ラミネート等の材料が好ましい。界面が疎水性であり、水のガス透過率が、5g/(m・day)以下の材料としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、シリコーン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。カバー13の、流路部材12との接触面に対して垂直方向の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上70μm以下であることがより好ましい。厚みが5μmより小さいと、十分なガス遮断性が得られず、経時で乾燥が進んでしまう場合があり、厚みが100μmより大きいと流路部材との接着性に劣る場合がある。本実施形態において、カバー13の滴下位置12c上部には、検査液を供給するための開口13aが設けられている。また、カバー13には、流路部材に検査液を供給したときに、空隙(12a,12b)(流路)内の圧力を外気の大気圧に開放するための開口13bが設けられている。これによって、検査液は毛細管現象により流路内に浸透する。開口13bは、ここに直接手が触れても汚染されないように、直径2mm程度の複数の穴からなることが望ましい。
流体デバイス10の保管時に流路が吸湿することを防ぐために、開口13aあるいは開口13bを公知のシール部材によってシールしても良い。このようなシール部材としては、水溶性アクリル樹脂を接着層に持つPVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、例えばフィルムルックス株式会社製フィルムルックス609(厚み70μm)などが挙げられる。が挙げられる。なお、例えば、流体デバイス10の全体をラミネートなどによって密封して保管するような場合には、シール部材を設けなくても良い場合もある。
<<<流路部材の形成(流路部材を設ける工程)>>>
流路部材12は、任意の方法によって、基材11の疎水性の表面11aに接するように設けられる。流路部材12を設ける方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェットプリンタ、ワックスプリンタなどの印刷方法、グラビアコーティング、ロールコーティングなどのコーティング手法によって、所望の流路の形状の流路部材12を基材11の疎水性の表面11a上に形成する方法が挙げられる。また、所定の流路の形状に切り抜かれたろ紙などからなる流路部材12を基材11の疎水性の表面11a上に接着してもよい。
簡便で、耐久性が高く、化学センサ及び生化学センサとしてセンシング性能の優れたパターンを形成する方法としては、流路部材12の構成材料を含む転写材を用いて熱転写する方法が挙げられる。
<<転写材>>
まず、図4を用いて熱転写により、流路部材12のパターンを形成する方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る転写材の断面図である。図4の立体パターン形成用転写材20は、流体デバイス10の製造に用いられるものであり、支持体22と、支持体22に接する離型層23と、離型層に接する多孔質の立体パターン形成層24(流路部材形成層の一例)と、を有し、立体パターン形成層24は熱可塑性材料を含有し、多孔質の立体パターン形成層24における空隙を形成する表面は、検査液に対して親液性を有している。熱転写方式のプリンタは、乾電池程度の電源で駆動し、片手で持ち運びができるほど小型でモバイル性が高く、電源の確保が困難又は不可能な地域でのオンデマンドな流路部材12のパターン形成が可能となる点からもメリットが大きい。本実施形態の立体パターン形成用転写材20は、支持体22と、支持体22上に、離型層23及び立体パターン形成層24を有してなり、更に必要に応じて、バック層21等のその他の層を有している。立体パターン形成用転写材20は、基材11の疎水性の表面11aに流路部材12の立体パターンを形成するために用いられる。
<支持体>
支持体22としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。大きさとしては、流体デバイス10の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
支持体22の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
支持体22の表面には、支持体22の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、などが挙げられる。
支持体22は、立体パターン形成用転写材20の立体パターン形成層24を基材11の疎水性の表面に転写後、離型層23に接した状態で、そのまま残しておいてもよく、また、立体パターン形成層24を転写後、離型層23から支持体22を剥離し除去してもよい。
支持体22は、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。支持体22の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上、50μm以下であることが好ましい。
<離型層>
離型層23は、転写の際に、支持体22と立体パターン形成層24との剥離性を向上させる機能を有する。また、離型層23は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、立体パターン形成層24の切断を容易にする機能を有する。
離型層23は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
−ワックス−
ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、離型性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
−バインダー樹脂−
バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型層23の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、ワックス及びバインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法、などが挙げられる。
離型層23の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上、2.0μm以下が好ましい。離型層23の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上8g/m以下であることが好ましく、1g/m以上5g/m以下であることがより好ましい。
<立体パターン形成層>
立体パターン形成層24は、熱可塑性材料を含有し、かつ、水の流路となる空隙を有しており、立体パターン形成層24の空隙を構成する表面は、親水性を有している。熱可塑性材料の融点は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。融点が、50℃未満であると、高温環境下での保存性が悪くなることがあり、150℃を超えると、熱転写時の転写特性が低下することがある。この融点は、例えば、示差走査熱量計「DSC7020」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、示差走査熱量計による昇温測定時に発現する結晶融解吸熱ピークの終点温度より測定することができる。
また、上記熱可塑性樹脂に、例えば親水性粒子を分散して立体パターン形成層24を形成することもできる。
立体パターン形成層24の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した熱可塑性材料を他の必要成分と共に溶融混練して溶融液を作成し、これをホットメルトコート或はホットラッカーコートする方法や、上述した熱可塑性材料を他の必要成分と共にアルコール等を含でもよい水性媒体中に乳化又は分散させたエマルジョン状の塗布液をグラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの一般的な塗布法により塗工及び乾燥して形成する方法などが挙げられる。立体パターン形成層24の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上、200μm以下が好ましい。平均厚みは立体パターンの厚みにあわせて任意に形成できる。
立体パターン形成層24の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30g/m以上200g/m以下であることが好ましい。
<その他の層及び部材>
立体パターン形成用転写材20における、その他の層及び部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バック層21、アンダー層、保護フィルム、などが挙げられる。
−バック層−
立体パターン形成用転写材20は、支持体22の離型層23が形成されている面とは反対側の面に、バック層21を有することが好ましい。この反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で立体パターンに合わせて熱が直接印加される。このため、バック層21は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。
バック層21は、バインダー樹脂を含有しており、更に必要に応じてその他の成分を含有している。
バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロース、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤、などが挙げられる。
バック層21の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した材料を溶融混練して溶融液を作成し、これをホットメルトコート或はホットラッカーコートする方法や、上述した材料と共にアルコール等を含でもよい水性媒体中に乳化又は分散させたエマルジョン状の塗布液をグラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの一般的な塗布法により塗工及び乾燥して形成する方法などが挙げられる。バック層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。
−アンダー層−
支持体22と立体パターン形成層24との間、又は支持体22上に設けられた離型層23と立体パターン形成層24との間には、アンダー層を設けることができる。アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体パターン形成層24及び離型層23で用いた各種樹脂が挙げられる。
−保護フィルム−
立体パターン形成層24上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムの材料としては、立体パターン形成層24から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート、などが挙げられる。
保護フィルムの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上、100μm以下であることが好ましく、10μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
<流路部材の転写>
流路部材12を基材11上に設ける場合、上記の立体パターン形成用転写材20の立体パターン形成層24と、基材11の疎水性の表面11aを重ね合わせ、立体パターン形成用転写材20の立体パターン形成層24の反対側の面から、流路(立体パターン)の形状の熱と圧力を加えることにより、流路の形状の立体パターン形成層24を、基材11の疎液性の表面11aに転写する(転写工程)。この場合、転写装置として、特に限定されないが、公知のサーマルヘッドを有する熱転写用のプリンタを用いることができる。転写時のエネルギーは、立体パターン形成層24の転写が可能なエネルギーであれば特に限定されないが、例えば、0.1mJ/dotmJ/mm以上、1.00mJ/mm以下とすることができる。
<<カバーの形成(カバーを設ける工程)>>
本実施形態において、カバー13は、基材11の疎液性の表面11aおよび流路部材12の表面に接し、流路部材12の少なくとも一部を覆うように形成可能な方法であれば特に限定されず、任意の方法により設けることができる。
カバーを設ける工程の一例として、流路部材12にカバーを構成する材料を転写することによってカバー13を形成する方法について説明する。まず、図5を用いて、カバー形成用転写材について説明する。図5は、カバー形成用転写材の断面図である。カバー形成用転写材100は、支持体101上に、離型層102及びカバー形成層112yをこの順に積層してなり、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
<支持体・離型層・その他の層および部材>
支持体101としては、立体パターン形成用転写材20の支持体22と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。離型層102としては、立体パターン形成用転写材20の離型層23と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。バック層103等のその他の層及び部材としては、立体パターン形成用転写材20におけるバック層21等のその他の層及び部材と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。
<カバー形成層>
カバー形成層112yに好適な材料としては、特に限定されないが、キャンデリラワックス等のワックス類、ナイロン等のポリアミド類、エチレン/ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの樹脂類が挙げられる。これらの材料は熱可塑性を有しており、熱転写性あるいは成膜性等の点で好ましい。これらの中でも、熱転写時の離型性の点でキャンデリラワックス等のワックス類が好ましい。なお、ガスバリア性が要求される場合には、樹脂類が好適に用いられる。
カバー形成層112yの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法や、熱可塑性材料を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法として、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの一般的な塗布法により、カバー形成層塗布液を支持体101上又は離型層102上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
カバー形成層112yの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましい。平均厚みが、5μm未満であると、カバー形成層112yの量が不足することがあり、100μmを超えると、サーマルヘッドの熱がカバー形成層112yに伝わりづらくなり、転写性が劣ることがある。
カバー形成層112yの付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5g/m以上250.0g/m以下が好ましく、30g/m以上150.0g/m以下がより好ましい。
<カバー形成層の転写>
カバー12yを形成する場合、流路部材と、カバー形成用転写材100のカバー形成層112yとを対向させて重ね合わせ、熱転写する。カバー形成層112yの熱転写方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等の熱圧着によってカバー形成層112yを溶融させて、転写する方法、などが挙げられる。熱圧着における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mJ/dot〜1.00mJ/dotが好ましい。印加エネルギーが、0.1mJ/dot未満であると、カバー形成層112yの溶融が不十分となることがあり、1.00mJ/dotを超えると、カバー形成層112y以外のカバー形成用転写材100を溶かしてしまい、サーマルヘッドが汚れてしまうことがある。
<<<流体デバイスの用途>>>
流体デバイス10の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途などにおける小型の分析機器(化学センサ)、各種マイクロ流体デバイス、などが挙げられる。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、あるいは糞尿等の排泄物、などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での分裂卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施されていてもよい。
また本実施形態の流体デバイスは、流路部材12が固定相として働くため、検査液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する流路部材12が固定相(担体)となる。検査液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、すなわち親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは親水性の高い成分ほど、固定相である流路部材12(流路)に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅い。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検査液中の移動速度の差を利用することで、検査液の対象成分選択的に抽出、反応させることで、流体デバイス10を高機能な化学あるいは生化学用途のセンサとして用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
図4及び図5に示した転写材を用い、図1乃至図3に示した構成の流体デバイス10を作製する。
(カバー形成用転写材の作製)
<離型層塗布液の調製>
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、離型層塗布液を得た。
<バック層塗布液の調製>
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
<カバー形成層塗布液の調製>
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、カバー形成層塗布液を得た。
<カバー形成用転写材の作製>
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、上記のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。次に、ポリエステルフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、離型層塗布液を塗布し、40℃で10秒間乾燥して、平均厚み1.5μmの離型層を形成した。
次に、離型層上に、カバー形成用塗布液を塗布し、40℃で10秒間乾燥して、平均厚み100μmのカバー形成層を形成し、カバー形成用の転写材を作製した。
(立体パターン形成用転写材の作製)
<立体パターン形成用塗布液の調製>
親水性樹脂としてポリビニルブチラール(PVB)(積水化学工業社製、エスレックB BL−10)2.5質量部、親水性材料として多孔性の親水性シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア370)25質量部、溶媒として精製水35質量部、メタノール15質量部を均一に混合、分散し、立体パターン形成用塗布液とした。
<立体パターン形成用転写材の作製>
支持体としての平均厚み25μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF65)片面に、バック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
次に、ポリエステルフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、離型層塗布液を塗布し、40℃で10秒間乾燥して、平均厚み1.5μmの離型層を形成した。次に、離型層上に、立体パターン形成用塗布液を塗布し、70℃で10秒間乾燥して、平均厚み100μmの立体パターン形成層を形成し、立体パターン形成用転写材20とした。
(流体デバイスの作製)
立体パターン形成用転写材20と、疎水性の表面11aを有する基材11として、PET基材(東洋紡社製,A4100,膜厚:125μm)とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、以下に示すパターン形成条件で熱転写し、図1及び図2に示す立体パターンの流路部材12を形成した。
流路部材12の形成には、ヘッド密度8dot/インチ(TDK社製)のサーマルヘッドを用い、印字速度8インチ/sec、印字速度16.9mm/sec、印字エネルギー0.28mJ/dotの評価系システムを構築し、印字した。
更に、カバー形成用の転写材と、カバー形成前の流体デバイス10における流路部材12側とを対向させて重ね合わせた後、先ほどと同じ熱転写プリンタを用いて、図1及び図2に示したように、開口(13a,13b)を有するパターン形成条件で熱転写し、疎水性のカバー13を形成した。カバー13の形成には、ヘッド密度300dpi(TDK株式会社製)のサーマルヘッドを用い、印字速度16.9mm/sec、印字エネルギー0.28mJ/dotの評価系システムを構築し、印字した。なお、カバー13の構成材料として、疎水性のポリエチレンワックスを含むため、カバー13における流路部材12との界面は疎水性となる。
以上により、実施例1の流体デバイスを作製した。
なお印字したパターンは、1辺が9mmの正方形2個を長さ40mm、幅5mmの流路でつないだ形状を用いた。なお正方形の一方がセンシング材との反応場、もう一方が検査液の滴下スポットである。
形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水性シリカを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。また、基材11は疎水性の表面11aを有しているので、基材11における流路部材12との界面は疎水性となる。
<実施例2>
実施例1において、基材11をPET基材から表面をフッ素樹脂塗料(三菱レイヨン社製フロロナールFL6002)による皮膜で疎水化処理したナイロンフィルム(東レ社製 レイファン)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<実施例3>
実施例1において、基材11をPET基材からフッ素フィルム(テフロンPFAフィルム 100P)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<実施例4>
実施例1において、基材11をPET基材から表面をフッ素樹脂塗料(三菱レイヨン社製フロロナールFL6002)による皮膜で疎水化処理したケント紙(オリオン社製、BBケント紙)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<実施例5>
実施例1において、親水性シリカを、表面が親水化処理されたポリスチレン粒子(micromod社製micromer)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水化処理されたポリスチレン粒子を含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。
<実施例6>
実施例1において、ポリビニルブチラールをポリビニルアルコール(PVA)(和光純薬工業社、製一級ポリビニルアルコール)、親水性シリカをセルロースパウダー(日本製紙ケミカル社製、NPファイバーW−06MG)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。流路部材12の構成材料として、セルロースパウダーを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。
<実施例7>
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから50μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例7の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<実施例8>
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから150μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例8の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<実施例9>
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから200μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例9の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
<比較例1>
実施例1において、図6に示したようにカバー13が流路部材12上のみに被さるようにカバー13を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例1の流体デバイス30を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図6に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水性シリカを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。また、基材11は疎水性の表面11aを有しているので、基材11における流路部材12との界面は疎水性となる。
また、図6に示すように基材とカバーは接していない。
<比較例2>
特許文献1に従って作製した紫外線硬化インクを用いて、定性ろ紙41(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1)上に上述の先行文献1に記載のインクジェット方式によって、疎水性バリア42で縁取られた図7に示すパターンを形成し、比較例2の流体デバイス40を作製した。図7を流体デバイスの上面図である。形成したパターンの切断面は図8に示すような連続気泡が確認された。図8は、図7の流体デバイスのB−B断面図である。
なお、疎水性バリア42で縁取られたパターンは、一辺が9mmの正方形2個を長さ40mm、幅5mmの流路でつないだ形状である。また疎水性バリアの幅は1mmであった。なお、正方形の一方がセンシング材との反応場42d、もう一方が検査液の滴下スポット42cである。
<比較例3>
実施例1における流路部材の立体パターンの平均厚みを100μmから5μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、図9に示す比較例3の流体デバイス50を作製した。図9は、流体デバイスの断面図である。平均厚みを5μmとした立体パターンの切断面は図9に示すように連続気泡が確認されなかった。すなわち、立体パターンには流路が形成されていないので、立体パターンは流路部材を構成しない。
<比較例4>
実施例1において、親水性シリカを疎水性シリカ(サイロホービック704富士シリシア化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の流体デバイスを作製した。形成した流路部材の切断面は連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、疎水性シリカを含むため、流路部材12における空隙を構成する表面は疎水性となる。
<比較例5>
実施例1において、PBVをカルナバワックス(東洋アドレ株式会社製、カルナバワックス2号)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の流体デバイスを作製した。形成した流路部材の切断面は連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、カルナバワックスを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を構成する表面は疎水性となる。
<比較例6>
実施例1において、基材をナイロンフィルム(東レ社製レイファン)に変えた以外は、実施例1と同様にして、図10に示す比較例7の流体デバイス60を作製した。図10は、流体デバイス60の断面図である。形成した流路部材12の切断面は図10に示すような連続気泡が確認された。なお、図10の流体デバイス10の基材11の表面は親水性を有しているので、基材11における流路部材12との界面は親水性となる。
<<評価実験1>>
<流路の液漏れ性評価>
実施例1〜9及び比較例1〜6において、各流体デバイスの検査液滴下位置に、マイクロピペットで検査液(食用色素(食用赤色2号、アマランス)で赤色に着色した蒸留水)40μLを滴下し、滴下してから10分間放置後に、検査液の流路からの液漏れの有無を目視観察し、n(評価数)=10としたときの、「液漏れあり」の流体デバイスの個数を数え、以下の基準で評価した。
なお、流体デバイスの液漏れの有無の判定については、図11に示したように、検査液が流路内を漏れずに流れ、かつ反応場まで到達した状態を「液漏れなし」とし、図12に示したように、流路から外部に検査液が漏れ出ている状態を「液漏れあり」とした。なお、図11及び図12は、検査液を滴下した流体デバイスの上面図である。結果を表1に示す。なお、比較例4,5においては、検査液が流路内を浸透せず流体デバイスとして機能しなかったため、結果を「評価不能」とした。
〔評価基準〕
○:「液漏れなし」の数が、10個中10個である。
×:「液漏れなし」の数が、10個中0〜9個である。
<<評価実験2>>
<センシング材の発色評価>
実施例1〜9及び比較例1〜6において、各流体デバイスの反応場12dにセンシング材としてpH指示薬(東京化成工業株式会社 BTB0.04%水溶液)を塗布し乾燥させ、センシング用流体デバイスとした。
各センシング用流体デバイスの検査液滴下位置に、マイクロピペットで検査液(NaOH1%水溶液)40μLをそれぞれ滴下し、10分間放置した後の検査液による発色の有無を目視観察し、センシング用流体デバイスn(評価数)=10個中の「発色あり」の個数を数え、以下の基準で評価した。
なお、流体デバイスの発色の有無の判定については、反応後のセンシングエリアの発色がa値が10以上を「センシングエリア発色有り」とし、a値が10未満を「センシングエリア発色無し」とした。なお、比較例4,5においては、検査液が流路内を浸透せず流体デバイスとして機能しなかったため、結果を「評価不能」とした。
〔評価基準〕
○:「センシングエリア発色有り」の流体デバイスの数が、10個中10個である
×:「センシングエリア発色有り」の流体デバイスの数が、10個中0個〜9個である
表1の結果から、実施例1〜9の流体デバイスは、比較例1〜6の流体デバイスに比べて、検査液が流路から漏れず、センシングエリアの発色が鮮明であることがわかった。
Figure 0006252751
10 流体デバイス
11 基材
12 流路部材
13 カバー
20 転写材
21 バック層
22 支持体
23 離型層
24 立体パターン形成層
100 カバー形成用転写材
101 支持体
102 離型層
103 バック層
112y カバー形成層
WO2012/160857号公報 特表2010−515877号公報

Claims (10)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた多孔質の流路部材と、
    前記基材に接しており、前記流路部材を覆うカバーと、を備え、
    前記多孔質の流路部材における空隙は、検査液を流すための流路を形成しており、
    前記カバーには、前記流路部材に前記検査液を供給するための開口と、前記流路部材における前記流路内の圧力を開放するための開口と、が形成されており、
    前記基材における前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、
    前記カバーにおける前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、
    前記流路部材における前記空隙を形成する表面は、前記検査液に対して親液性であることを特徴とする検査用流体デバイス。
  2. 前記検査液は水を含み、
    前記流路部材は、親水性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の検査用流体デバイス。
  3. 前記流路部材は、表面が親水性の粒子を含有することを特徴とする請求項2に記載の検査用流体デバイス。
  4. 前記親水性の粒子が前記親水性樹脂によって接合することにより、前記流路部材における前記空隙が形成されることを特徴とする請求項3に記載の検査用流体デバイス。
  5. 前記検査液は水を含み、
    前記基材は、疎水性樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査用流体デバイス。
  6. 前記検査液に含まれる検体を検出するための検出剤が、前記流路部材の空隙に充填されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査用流体デバイス。
  7. 化学センサおよび生化学センサの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の検査用流体デバイス。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検査用流体デバイスの製造に用いられ、
    支持体と、
    前記支持体に接する離型層と、
    前記離型層に接する多孔質の流路部材形成層と、を有し、
    前記流路部材形成層は熱可塑性材料を含有し、前記多孔質の流路部材形成層における空隙を形成する表面は、前記検査液に対して親液性を有していることを特徴とする転写材。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の流体デバイスの製造方法であって、
    前記基材上に、前記流路部材を設ける工程と、
    前記基材に接し、前記流路部材の覆うように前記カバーを設ける工程と、を有することを特徴とする検査用流体デバイスの製造方法。
  10. 前記流路部材を設ける工程において、熱可塑性材料を含有し、空隙を形成する表面が、前記検査液に対して親液性を有している多孔質の流路部材形成層を、前記基材に転写させることを特徴とする請求項9に記載の検査用流体デバイスの製造方法。
JP2013261259A 2013-12-18 2013-12-18 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法 Expired - Fee Related JP6252751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013261259A JP6252751B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013261259A JP6252751B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015117997A JP2015117997A (ja) 2015-06-25
JP6252751B2 true JP6252751B2 (ja) 2017-12-27

Family

ID=53530849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013261259A Expired - Fee Related JP6252751B2 (ja) 2013-12-18 2013-12-18 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6252751B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6661074B2 (ja) * 2015-09-29 2020-03-11 国立大学法人愛媛大学 機能性材料、機能性材料の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7364647B2 (en) * 2002-07-17 2008-04-29 Eksigent Technologies Llc Laminated flow device
JP4231869B2 (ja) * 2005-12-09 2009-03-04 シャープ株式会社 バイオケミカルセンサ及び測定装置
WO2008049083A2 (en) * 2006-10-18 2008-04-24 President And Fellows Of Harvard College Lateral flow and flow-through bioassay based on patterned porous media, methods of making same, and methods of using same
JP2011184241A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Jsr Corp 微細構造体及び微細構造体の製造方法
WO2012160857A1 (ja) * 2011-05-20 2012-11-29 学校法人慶應義塾 紙ベース反応用チップ及びその製造方法
JP6454956B2 (ja) * 2013-02-28 2019-01-23 株式会社リコー 流体デバイス及びその製造方法、並びに流体デバイス製造用転写材料
JP6657556B2 (ja) * 2013-09-19 2020-03-04 株式会社リコー 流体デバイス、検査装置、および流体デバイスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015117997A (ja) 2015-06-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6657556B2 (ja) 流体デバイス、検査装置、および流体デバイスの製造方法
JP6439307B2 (ja) 流体デバイス、転写材、および流体デバイスの製造方法
US10302635B2 (en) Testing device, transfer member, method for fabricating testing device, and testing method
JP6825212B2 (ja) 検査装置、転写材、検査装置の製造方法、及び検査キット
JP6454956B2 (ja) 流体デバイス及びその製造方法、並びに流体デバイス製造用転写材料
JP2015131257A (ja) 流体デバイス及びその製造方法、並びに流体デバイス製造用熱転写媒体
WO2015129924A1 (en) Testing device, testing kit, transfer member, testing device fabrication method, and testing method
AU2014221626B2 (en) Fluidic device and fabrication method thereof, and thermal transfer medium for fluidic device fabrication
CN106461650B (zh) 测试装置、测试盒、转印部件、测试装置制作方法和测试方法
JP6252751B2 (ja) 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法
US10539562B2 (en) Testing device and method for producing same, and testing kit, transfer medium for testing device, and testing method
KR20220140530A (ko) 플로우스루 챔버 내부에 인터페이스 고정 반응 용기를 구비한 미세유체 장치, 이를 형성하는 키트 및 그 용도
EP1882185B1 (en) A method of extracting a sample from a surface
JP2018048850A (ja) 検査装置及びその製造方法、並びに検査キット、及び検査装置製造用転写媒体
JP2018100888A (ja) 検査装置用転写媒体、検査装置及びその製造方法、並びに検査キット
JP2017116410A (ja) 検査装置及びその製造方法、並びに検査キット、及び転写媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171114

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6252751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees