JP6252751B2 - 検査用流体デバイス、転写材、および検査用流体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、図1乃至図3を用いて実施形態の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの上面図である。図3(A)は、図2の流体デバイスのA−A断面図である。図3(B)は、図2の流体デバイスのB−B断面図である。
基材11としては、特に制限はなく、目的に応じて有機、無機又は金属製のあらゆる基材を用いることができる。また、基材11は、特に限定されないが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。流体デバイス10をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ、安価である合成樹脂を基材11として用いることが好ましい。また、本実施形態によると、プラスチックシートなど耐久性が高い基材11を選択できるので、結果として流体デバイス10の耐久性も向上する。なお、表面の平滑度が高い基材11を用いた場合には、後述のように、熱転写方式によって流路部材12を形成するときに、転写材における流路部材形成層の転写率が上がり、流路をより精密に作成できる。
流体デバイス10の流路部材12は、検査液の流路となる空隙(12a,12b)を有している。なお、図3において、空隙12aは、図2におけるA−A断面またはB−B断面に形成された空隙である。空隙12bは、断面の奥側の空隙である。流路部材12としては、特に限定されないが、多孔質の材料(多孔性材料)が好適に用いられる。多孔性材料の一例としては、内部に気泡が存在し、気泡同士が繋がっている連続気泡となっているものが挙げられる。なお、連続気泡とは、気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。この連続気泡においては、気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。流路部材12は、毛細管現象を利用して液体を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
(計算式1)
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m2)/厚み(μm)/組成分比重〕×100}
(1)粒子に対し極めて少量の樹脂をバインダーとして添加することで粒子同士が連結して粒子と粒子に隙間が生じ、その隙間が連続して形成されることで粒子と樹脂からなる流路部材12に空隙(12a,12b)を形成する方法。
なお、連続気泡は走査型電子顕微鏡観察により立体パターンの切断面を観察することで確認できる。
金属のケイ酸アルミン酸塩としては、例えば、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
多孔質ガラスとしては例えば、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス(例、カルシウム・リン酸ガラス等)等が挙げられる。
これらの粒子は、それぞれ単独に用いてもよく、また、2種以上を適宜混合して用いることができるが、特に親水性シリカゲルが好ましい。
親水性粒子を用いる場合、バインダーとして樹脂や無機系の材料を用いることができる。バインダーとしては、親水性であっても疎水性であってもよい。バインダーとしての親水性樹脂としては、上述した親水性樹脂などが挙げられる。バインダーとしての疎水性樹脂としては例えばワックスや樹脂が挙げられる。なお、表面が親水性の粒子、および、バインダーとしての親水性樹脂を用いた場合には、粒子が親水性樹脂によって接合し、表面が親水性の粒子、および、親水性樹脂によって空隙(12a,12b)が形成されることになる。
これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜混合して用いても良い。
無機系材料としては、ケイ酸塩系、無機コロイド系、金属アルコキシド系、リン酸塩系、セメント系などが挙げられる。
本実施形態において、カバー13は、基材11の疎水性の表面11aおよび流路部材12と接しており、流路部材12の少なくとも一部を覆うものであり、カバー13における流路部材12側の界面は、疎水性である。また、カバー13は、ガスバリア性を有することがより好ましい。ガスバリア性を有するとは、少なくとも紙よりもガス透過率が小さいことを意味する。カバー13の構成材料としては、例えば、ISO15106−1に基づいて測定した水のガス透過率(水蒸気の透過率)が100g/(m2・day)以下、好ましくは50g/(m2・day)以下、より好ましくは10g/(m2・day)以下のフィルム、ラミネート等の材料が好ましい。界面が疎水性であり、水のガス透過率が、5g/(m2・day)以下の材料としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、シリコーン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。カバー13の、流路部材12との接触面に対して垂直方向の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上70μm以下であることがより好ましい。厚みが5μmより小さいと、十分なガス遮断性が得られず、経時で乾燥が進んでしまう場合があり、厚みが100μmより大きいと流路部材との接着性に劣る場合がある。本実施形態において、カバー13の滴下位置12c上部には、検査液を供給するための開口13aが設けられている。また、カバー13には、流路部材に検査液を供給したときに、空隙(12a,12b)(流路)内の圧力を外気の大気圧に開放するための開口13bが設けられている。これによって、検査液は毛細管現象により流路内に浸透する。開口13bは、ここに直接手が触れても汚染されないように、直径2mm程度の複数の穴からなることが望ましい。
流路部材12は、任意の方法によって、基材11の疎水性の表面11aに接するように設けられる。流路部材12を設ける方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェットプリンタ、ワックスプリンタなどの印刷方法、グラビアコーティング、ロールコーティングなどのコーティング手法によって、所望の流路の形状の流路部材12を基材11の疎水性の表面11a上に形成する方法が挙げられる。また、所定の流路の形状に切り抜かれたろ紙などからなる流路部材12を基材11の疎水性の表面11a上に接着してもよい。
まず、図4を用いて熱転写により、流路部材12のパターンを形成する方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る転写材の断面図である。図4の立体パターン形成用転写材20は、流体デバイス10の製造に用いられるものであり、支持体22と、支持体22に接する離型層23と、離型層に接する多孔質の立体パターン形成層24(流路部材形成層の一例)と、を有し、立体パターン形成層24は熱可塑性材料を含有し、多孔質の立体パターン形成層24における空隙を形成する表面は、検査液に対して親液性を有している。熱転写方式のプリンタは、乾電池程度の電源で駆動し、片手で持ち運びができるほど小型でモバイル性が高く、電源の確保が困難又は不可能な地域でのオンデマンドな流路部材12のパターン形成が可能となる点からもメリットが大きい。本実施形態の立体パターン形成用転写材20は、支持体22と、支持体22上に、離型層23及び立体パターン形成層24を有してなり、更に必要に応じて、バック層21等のその他の層を有している。立体パターン形成用転写材20は、基材11の疎水性の表面11aに流路部材12の立体パターンを形成するために用いられる。
支持体22としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。大きさとしては、流体デバイス10の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
離型層23は、転写の際に、支持体22と立体パターン形成層24との剥離性を向上させる機能を有する。また、離型層23は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、立体パターン形成層24の切断を容易にする機能を有する。
離型層23は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、離型性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型層23の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上、2.0μm以下が好ましい。離型層23の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m2以上8g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上5g/m2以下であることがより好ましい。
立体パターン形成層24は、熱可塑性材料を含有し、かつ、水の流路となる空隙を有しており、立体パターン形成層24の空隙を構成する表面は、親水性を有している。熱可塑性材料の融点は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。融点が、50℃未満であると、高温環境下での保存性が悪くなることがあり、150℃を超えると、熱転写時の転写特性が低下することがある。この融点は、例えば、示差走査熱量計「DSC7020」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、示差走査熱量計による昇温測定時に発現する結晶融解吸熱ピークの終点温度より測定することができる。
また、上記熱可塑性樹脂に、例えば親水性粒子を分散して立体パターン形成層24を形成することもできる。
立体パターン形成用転写材20における、その他の層及び部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バック層21、アンダー層、保護フィルム、などが挙げられる。
立体パターン形成用転写材20は、支持体22の離型層23が形成されている面とは反対側の面に、バック層21を有することが好ましい。この反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で立体パターンに合わせて熱が直接印加される。このため、バック層21は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。
バック層21は、バインダー樹脂を含有しており、更に必要に応じてその他の成分を含有している。
支持体22と立体パターン形成層24との間、又は支持体22上に設けられた離型層23と立体パターン形成層24との間には、アンダー層を設けることができる。アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体パターン形成層24及び離型層23で用いた各種樹脂が挙げられる。
立体パターン形成層24上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムの材料としては、立体パターン形成層24から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート、などが挙げられる。
流路部材12を基材11上に設ける場合、上記の立体パターン形成用転写材20の立体パターン形成層24と、基材11の疎水性の表面11aを重ね合わせ、立体パターン形成用転写材20の立体パターン形成層24の反対側の面から、流路(立体パターン)の形状の熱と圧力を加えることにより、流路の形状の立体パターン形成層24を、基材11の疎液性の表面11aに転写する(転写工程)。この場合、転写装置として、特に限定されないが、公知のサーマルヘッドを有する熱転写用のプリンタを用いることができる。転写時のエネルギーは、立体パターン形成層24の転写が可能なエネルギーであれば特に限定されないが、例えば、0.1mJ/dotmJ/mm2以上、1.00mJ/mm2以下とすることができる。
本実施形態において、カバー13は、基材11の疎液性の表面11aおよび流路部材12の表面に接し、流路部材12の少なくとも一部を覆うように形成可能な方法であれば特に限定されず、任意の方法により設けることができる。
支持体101としては、立体パターン形成用転写材20の支持体22と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。離型層102としては、立体パターン形成用転写材20の離型層23と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。バック層103等のその他の層及び部材としては、立体パターン形成用転写材20におけるバック層21等のその他の層及び部材と同様のものが用いられる。このため、詳細な説明を省略する。
カバー形成層112yに好適な材料としては、特に限定されないが、キャンデリラワックス等のワックス類、ナイロン等のポリアミド類、エチレン/ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの樹脂類が挙げられる。これらの材料は熱可塑性を有しており、熱転写性あるいは成膜性等の点で好ましい。これらの中でも、熱転写時の離型性の点でキャンデリラワックス等のワックス類が好ましい。なお、ガスバリア性が要求される場合には、樹脂類が好適に用いられる。
カバー12yを形成する場合、流路部材と、カバー形成用転写材100のカバー形成層112yとを対向させて重ね合わせ、熱転写する。カバー形成層112yの熱転写方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等の熱圧着によってカバー形成層112yを溶融させて、転写する方法、などが挙げられる。熱圧着における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mJ/dot〜1.00mJ/dotが好ましい。印加エネルギーが、0.1mJ/dot未満であると、カバー形成層112yの溶融が不十分となることがあり、1.00mJ/dotを超えると、カバー形成層112y以外のカバー形成用転写材100を溶かしてしまい、サーマルヘッドが汚れてしまうことがある。
流体デバイス10の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途などにおける小型の分析機器(化学センサ)、各種マイクロ流体デバイス、などが挙げられる。
図4及び図5に示した転写材を用い、図1乃至図3に示した構成の流体デバイス10を作製する。
(カバー形成用転写材の作製)
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、離型層塗布液を得た。
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、カバー形成層塗布液を得た。
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、上記のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。次に、ポリエステルフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、離型層塗布液を塗布し、40℃で10秒間乾燥して、平均厚み1.5μmの離型層を形成した。
次に、離型層上に、カバー形成用塗布液を塗布し、40℃で10秒間乾燥して、平均厚み100μmのカバー形成層を形成し、カバー形成用の転写材を作製した。
(立体パターン形成用転写材の作製)
親水性樹脂としてポリビニルブチラール(PVB)(積水化学工業社製、エスレックB BL−10)2.5質量部、親水性材料として多孔性の親水性シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア370)25質量部、溶媒として精製水35質量部、メタノール15質量部を均一に混合、分散し、立体パターン形成用塗布液とした。
支持体としての平均厚み25μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF65)片面に、バック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
立体パターン形成用転写材20と、疎水性の表面11aを有する基材11として、PET基材(東洋紡社製,A4100,膜厚:125μm)とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、以下に示すパターン形成条件で熱転写し、図1及び図2に示す立体パターンの流路部材12を形成した。
以上により、実施例1の流体デバイスを作製した。
形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水性シリカを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。また、基材11は疎水性の表面11aを有しているので、基材11における流路部材12との界面は疎水性となる。
実施例1において、基材11をPET基材から表面をフッ素樹脂塗料(三菱レイヨン社製フロロナールFL6002)による皮膜で疎水化処理したナイロンフィルム(東レ社製 レイファン)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、基材11をPET基材からフッ素フィルム(テフロンPFAフィルム 100P)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、基材11をPET基材から表面をフッ素樹脂塗料(三菱レイヨン社製フロロナールFL6002)による皮膜で疎水化処理したケント紙(オリオン社製、BBケント紙)(疎水性の表面11aを有する基材)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、親水性シリカを、表面が親水化処理されたポリスチレン粒子(micromod社製micromer)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水化処理されたポリスチレン粒子を含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。
実施例1において、ポリビニルブチラールをポリビニルアルコール(PVA)(和光純薬工業社、製一級ポリビニルアルコール)、親水性シリカをセルロースパウダー(日本製紙ケミカル社製、NPファイバーW−06MG)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。流路部材12の構成材料として、セルロースパウダーを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから50μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例7の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから150μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例8の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、立体パターン形成要転写材の立体パターン形成層の平均厚みを100μmから200μmに変えた以外は実施例1と同様にして実施例9の流体デバイス10を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図3に示すような連続気泡が確認された。
実施例1において、図6に示したようにカバー13が流路部材12上のみに被さるようにカバー13を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例1の流体デバイス30を作製した。形成した流路部材12は多孔質であり、その切断面には図6に示すような連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、親水性シリカを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を形成する表面は親水性となる。また、基材11は疎水性の表面11aを有しているので、基材11における流路部材12との界面は疎水性となる。
また、図6に示すように基材とカバーは接していない。
特許文献1に従って作製した紫外線硬化インクを用いて、定性ろ紙41(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1)上に上述の先行文献1に記載のインクジェット方式によって、疎水性バリア42で縁取られた図7に示すパターンを形成し、比較例2の流体デバイス40を作製した。図7を流体デバイスの上面図である。形成したパターンの切断面は図8に示すような連続気泡が確認された。図8は、図7の流体デバイスのB−B断面図である。
実施例1における流路部材の立体パターンの平均厚みを100μmから5μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、図9に示す比較例3の流体デバイス50を作製した。図9は、流体デバイスの断面図である。平均厚みを5μmとした立体パターンの切断面は図9に示すように連続気泡が確認されなかった。すなわち、立体パターンには流路が形成されていないので、立体パターンは流路部材を構成しない。
実施例1において、親水性シリカを疎水性シリカ(サイロホービック704富士シリシア化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の流体デバイスを作製した。形成した流路部材の切断面は連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、疎水性シリカを含むため、流路部材12における空隙を構成する表面は疎水性となる。
実施例1において、PBVをカルナバワックス(東洋アドレ株式会社製、カルナバワックス2号)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の流体デバイスを作製した。形成した流路部材の切断面は連続気泡が確認された。なお、流路部材12の構成材料として、カルナバワックスを含むため、流路部材12における空隙(12a,12b)を構成する表面は疎水性となる。
実施例1において、基材をナイロンフィルム(東レ社製レイファン)に変えた以外は、実施例1と同様にして、図10に示す比較例7の流体デバイス60を作製した。図10は、流体デバイス60の断面図である。形成した流路部材12の切断面は図10に示すような連続気泡が確認された。なお、図10の流体デバイス10の基材11の表面は親水性を有しているので、基材11における流路部材12との界面は親水性となる。
<流路の液漏れ性評価>
実施例1〜9及び比較例1〜6において、各流体デバイスの検査液滴下位置に、マイクロピペットで検査液(食用色素(食用赤色2号、アマランス)で赤色に着色した蒸留水)40μLを滴下し、滴下してから10分間放置後に、検査液の流路からの液漏れの有無を目視観察し、n(評価数)=10としたときの、「液漏れあり」の流体デバイスの個数を数え、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:「液漏れなし」の数が、10個中10個である。
×:「液漏れなし」の数が、10個中0〜9個である。
<センシング材の発色評価>
実施例1〜9及び比較例1〜6において、各流体デバイスの反応場12dにセンシング材としてpH指示薬(東京化成工業株式会社 BTB0.04%水溶液)を塗布し乾燥させ、センシング用流体デバイスとした。
〔評価基準〕
○:「センシングエリア発色有り」の流体デバイスの数が、10個中10個である
×:「センシングエリア発色有り」の流体デバイスの数が、10個中0個〜9個である
11 基材
12 流路部材
13 カバー
20 転写材
21 バック層
22 支持体
23 離型層
24 立体パターン形成層
100 カバー形成用転写材
101 支持体
102 離型層
103 バック層
112y カバー形成層
Claims (10)
- 基材と、
前記基材上に設けられた多孔質の流路部材と、
前記基材に接しており、前記流路部材を覆うカバーと、を備え、
前記多孔質の流路部材における空隙は、検査液を流すための流路を形成しており、
前記カバーには、前記流路部材に前記検査液を供給するための開口と、前記流路部材における前記流路内の圧力を開放するための開口と、が形成されており、
前記基材における前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、
前記カバーにおける前記流路部材側の界面は、前記検査液に対して疎液性であり、
前記流路部材における前記空隙を形成する表面は、前記検査液に対して親液性であることを特徴とする検査用流体デバイス。 - 前記検査液は水を含み、
前記流路部材は、親水性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の検査用流体デバイス。 - 前記流路部材は、表面が親水性の粒子を含有することを特徴とする請求項2に記載の検査用流体デバイス。
- 前記親水性の粒子が前記親水性樹脂によって接合することにより、前記流路部材における前記空隙が形成されることを特徴とする請求項3に記載の検査用流体デバイス。
- 前記検査液は水を含み、
前記基材は、疎水性樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査用流体デバイス。 - 前記検査液に含まれる検体を検出するための検出剤が、前記流路部材の空隙に充填されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査用流体デバイス。
- 化学センサおよび生化学センサの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の検査用流体デバイス。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検査用流体デバイスの製造に用いられ、
支持体と、
前記支持体に接する離型層と、
前記離型層に接する多孔質の流路部材形成層と、を有し、
前記流路部材形成層は熱可塑性材料を含有し、前記多孔質の流路部材形成層における空隙を形成する表面は、前記検査液に対して親液性を有していることを特徴とする転写材。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の流体デバイスの製造方法であって、
前記基材上に、前記流路部材を設ける工程と、
前記基材に接し、前記流路部材の覆うように前記カバーを設ける工程と、を有することを特徴とする検査用流体デバイスの製造方法。 - 前記流路部材を設ける工程において、熱可塑性材料を含有し、空隙を形成する表面が、前記検査液に対して親液性を有している多孔質の流路部材形成層を、前記基材に転写させることを特徴とする請求項9に記載の検査用流体デバイスの製造方法。
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