a.第1実施形態
[第1実施形態に係る鍵盤装置Aの構成]
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る鍵盤装置Aを示しており、この鍵盤装置Aは、本発明に係る操作子装置を構成するものである。以下の説明においては、図1に示したX方向を鍵盤装置Aの前後方向とし、図1の紙面表裏方向を鍵盤装置Aの左右方向とし、図1に示したY方向を鍵盤装置Aの上下方向とする。鍵盤装置Aは、棚板10の上面における中央側から前部側(鍵11の先端側)の部分の上方に、左右方向に配列された複数の鍵11からなる鍵盤を形成して構成されており、複数の鍵11は、棚板10の上面に設けられた鍵支持部材12によって上下方向(押鍵方向)に回動自在に支持される。なお、複数の鍵11は、それぞれ複数の白鍵11Wと黒鍵11Bとからなっており、白鍵11Wと黒鍵11Bとは、長さや形状に差異はあるが基本的な構造は同じである。
鍵盤装置Aは、鍵ガイド部材13、後部支持部材15、質量体17および反力付与部20などを備える。白鍵11Wは、鍵本体11aWと、鍵本体11aWの上面前部と前面とに貼り付けられたカバー部11bWとで構成され、鍵本体11aWには上下に貫通する支点穴11cWが形成される。この支点穴11cWは、下方が小さく上方に行くほど前後方向に大きく開口している。鍵本体11aWの下面における前部には、ガイド穴11dWが形成される。鍵本体11aWの上面における後端側にフェルトからなる衝撃緩衝部材11eが取り付けられ、鍵本体11aWの上面における後端に板状の被駆動部材11fが取り付けられる。
鍵支持部材12は、左右に長く延びる棒状に形成され、すべての鍵11を支持するように鍵11の下面の前後方向の略中央に対向し、棚板10の上面に固定される。この鍵支持部材12の上面からは各白鍵11Wに対応して、複数の白鍵用支点ピン12aWと、複数の黒鍵用支点ピン12bBを備える。図1に示した白鍵11Wは、支点穴11cWに白鍵用支点ピン12aWを挿通させることにより白鍵用支点ピン12aWを中心に回動自在に支持される。また、黒鍵11Bは、支点穴11dBに挿通させることにより、黒鍵用支点ピン12bBを中心に回動自在に支持される。
鍵ガイド部材13は、棚板10の上面前部に配置されており、取付部13aと、各鍵11に対応するように配置されたそれぞれ複数の白鍵用キーガイド13bWおよび黒鍵用キーガイド13cBと、各鍵11に対応するように配置された白鍵用下限ストッパ14aWおよび黒鍵用下限ストッパ14bBとで構成される。取付部13aは、矩形になって左右に長く延びる板状に形成され、すべての鍵11の下面前部に対向するように棚板10の上面前部に固定される。また、白鍵用キーガイド13bBは、取付部13aの上面前部における白鍵11Wの前部に対応する部分から上方に延びており、黒鍵用キーガイド13cBは、取付部13aの上面後部における黒鍵11Bの前部に対応する部分から上方に延びている。この白鍵用キーガイド13bWと黒鍵用キーガイド13cBは、ガイド穴11dWおよび11dB内に位置して各鍵11の前側が鍵並び方向に揺動することを防止する。
白鍵用下限ストッパ14aWと黒鍵用下限ストッパ14bBとは、白鍵用キーガイド13bWと黒鍵用キーガイド13cBとの間で前後に配置される。この白鍵用下限ストッパ14aWと黒鍵用下限ストッパ14bは、フェルトからなる衝撃吸収材で構成される。そして、白鍵用下限ストッパ14aWは白鍵11Wの下面前部に対向して取付部13aの上面前部側に固定されて白鍵11Wの前部の下降位置(押鍵深さ)を規制し、黒鍵用下限ストッパ14bBは、黒鍵11Bの下面前部に対向して取付部13aの上面後部側に固定されて黒鍵11Bの前部の下降限度位置を規制する。
後部支持部材15は、棚板10の上面における鍵11の後端部近傍に取り付けられた左右に長いフレーム部材である。この後部支持部材15は、前段部15aと、中央段部15bと、後段部15cとを備え、中央段部15bと後段部15cとの間には凹部15dが形成される。
前段部15aの上面には非押鍵時用ストッパ16aが設けられ、中央段部15bの上面前部には、上方に延びる複数の質量体支持部15eが各鍵11に対応して形成され、後段部15cの上面には質量体用ストッパ16bが設けられる。非押鍵時用ストッパ16aは、すべての鍵11の下面後部に対向して前段部15aの上面に固定されて、離鍵時に各鍵11の後端が当接する。質量体用ストッパ16bは、後述するすべての質量体17の後部下面に対向して後段部15cの上面に固定されて押鍵時に質量体17が当接する。
質量体17は、質量体支持部15eに回動自在に取り付けられ、前後に長い略板状に形成された質量体本体17aと、フロントウェイト17bと、バックウェイト17cと、鍵ストローク調整ネジ17dとで構成される。質量体本体17aは、軸穴を備えた軸受け部(図示せず)が形成される。また、質量体支持部15eには、左右に延びる回動軸部15fが設けられており、質量体本体17aは、軸受け部に回動軸部15fを挿通させることにより回動軸部15fを中心に揺動可能に支持される。
質量体本体17aは、軸受け部から前方に延びる前延部と、軸受け部から後方に延びる後延部とを備えており、質量体本体17aの前延部は、後延部よりも前後の長さが短く上下の幅が大きい。質量体本体17aの前延部側に金属製のフロントウェイト17bが取り付けられ、質量体本体17aの後延部に、フロントウェイト17bよりも小さな金属製のバックウェイト17cが取り付けられる。質量体17は後延部よりも前延部のモーメントが大きくなっているため、鍵11の離鍵時には、質量体17の前延部の自重により、鍵11の後部は下方に付勢されて鍵11の後端部が非押鍵時用ストッパ16aに当接した状態になる。
質量体本体17aの前端下部には、鍵本体11aの上面後部に設けられた衝撃緩衝部材11eに対向して当接部17eが形成され、質量体本体17aの後端下部には、質量体用ストッパ16bに対向して当接部17fが形成される。当接部17eは、質量体17の前延部が下降するときに、衝撃緩衝部材11eに当接して、鍵11と質量体17との衝撃を減少させる。当接部17fは、質量体用ストッパ16bに当接することにより質量体17の後延部の下降位置を規制する。
鍵ストローク調整ネジ17dは、質量体本体17aにおける軸受け部の前方部分に螺合しており、軸周り方向に回転することにより、質量体本体17aの下部からの頭部の突出量を変更できる。この鍵ストローク調整ネジ17dの頭部は、鍵11の被駆動部材11fに対向しており、押鍵により鍵11の後部が上方に移動したときに、被駆動部材11fから力を受けた質量体17は、図1の時計周り方向に回転する。このとき、質量体17は、当接部17fが、質量体用ストッパ16bに当接するまで回転でき、その当接位置は鍵ストローク調整ネジ17dの突出量を変更することで調節できる。
質量体本体17aの後延部の下部には、アクチュエータ17gが設けられ、後部支持部材15におけるアクチュエータ17gに対向する部分には鍵スイッチ18が設置される。後部支持部材15における質量体支持部15eに、スイッチ基板18aがネジ18bによって固定されており、鍵スイッチ18は、スイッチ基板18aの上面前部に設置される。鍵スイッチ18からの信号は、図示しない楽音信号発生回路に送られる。楽音信号発生回路は、押鍵時に鍵スイッチ18とスイッチ基板18aとの間に設けられた2組の電気接点のオンオフ状態や各電気接点の状態が変化する間の時間に応じた楽音信号を発生し、離鍵時に止音を制御する。
反力付与部20は、棚板10の上面における鍵支持部材12と鍵ガイド部材13との間に、各鍵11に対して、取付台21,23と、取付台21,23の上面に設置された反力発生部材25,26とが設けられる。取付台21,23は、全ての錘に共通して設けられ、左右に長い板状部材からなる取付板21a,23aと、取付板21a,23aを支持する左右に長いフレーム部材からなる台部22,24とで構成される。取付板21a,23aには、互いに間隔を保って配置された複数のねじ穴(図示せず)と、互いに間隔を保った複数組の一対の取付孔(図示せず)とが形成される。
台部22,24は、天井部22a,24aと、その前後の端部からそれぞれ下方に延びる壁部22b,22cおよび24b,24cと、壁部22b,22cおよび24b,24cの下端部から前後の外側にそれぞれ延びる一対の平面部22d,24dとからなる。天井部22a,24aの中央部分には前後の部分よりも低くなった凹状段部22e,24eが形成される。台部22,24の上面に、複数のねじ21b,23bを介して取付板21a,23aが固定される。
ねじ21bは、台部22,24の天井部22a,24aの前部と後部とに螺合することによって、取付板21a,23aを台部22,24に固定する。これによって、取付板21a,23aの前後の傾きの大きさ、及び、鍵下面との間隔が調整できる。取付台23は、取付台21の前方に設置され、取付板21aおよび取付板23aは、前後方向の中心部が略同じ高さになるように板面が互いに平行した状態で、それぞれ前方から後方に向かって下り傾斜して取り付けられる。
反力発生部材25,26は、取付台21,23の上面に取り付けられ、弾性を有するゴムからなり、図2(a),(b)に示したように、ドーム状の本体25a,26aと、本体25a,26aの上部に形成されたトップ部25b,26bと、本体25a,26aの下端外周に形成されたフランジ状の基部25c,26cと、基部25c,26cの下面に形成された一対の脚部25d,26dとで構成される。
本体25a,26aは、トップ部25b,26bの近傍部分が他の部分よりも薄肉に形成され、上方からの押圧により圧縮されて、図2(b)に示したように屈曲(座屈)する。また、トップ部25b,26bの上面中央には上方が開放された開口部25e,26eが形成され、トップ部25b,26bの上面における周方向の一部に、開口部25e,26eと外部とを連通させる空気逃がし用の切込部25f,26fが設けられる。このように構成された反力発生部材25,26は、脚部25d,26dを上方から取付板21a,23aの取付孔に差し込むことによって取付台21,23に取り付ける。
反力発生部材26は、大きさは反力発生部材25よりも少し大きく、材料と形状は、反力発生部材25と同じ材料を用いて同じ形状に形成される。本体25aと本体26aとの下端における前後方向の中心部は同じ高さに位置している。
1つの鍵の反力発生部材25,26は、鍵11に対して、それぞれのクリックばねが発生する反力のピークとなるタイミングが一致するように配置される。図3に、反力発生部材25,26と、鍵11との位置関係を模式的に示す。なお、図3は、位置関係を説明するための図であり、詳細な形状や配置については、図1とは多少異なっている。図3は、鍵11が離鍵時の位置から支点O(白鍵用支点ピン12aまたは黒鍵用支点ピン12bの下端部の中心)を中心として押鍵方向である反時計回り方向に回転して、反力発生部材25,26を押圧し反力発生部材25,26が発生する反力がピークに達するときの鍵11の位置を示す。
図3において、実線で示した鍵11は離鍵状態の位置を表わし、二点鎖線で示した鍵11は、鍵11の押圧によって下がり、反力発生部材25,26が発生する反力がピークに達したときの位置を表す(この鍵11の状態は図4,5,8も同様)。反力発生部材25,26が発生する反力がピークに達したタイミングにおいては、反力発生部材25,26は圧縮されて上端部が二点鎖線で示した鍵11の位置になる。すなわち、反力発生部材25,26の反力のピークが同時に発生するようにして設置される。また、反力発生部材25,26は、前述の取付台21の傾きによってそれぞれ反力がピークに達するときの反力発生部材25,26の中心軸に対して鍵11の下面が直交するように傾斜することで、クリックばねの発生する反力のピークができるだけ急峻に出るようにしている(反力発生部材25,26の傾斜と、鍵11の下面の関係は、図4,5,8も同様)。
図3に示した距離L1は、反力発生部材25の反力がピークになったときに鍵11の下面KLと反力発生部材25の中心軸とが交差する点P1と、鍵11の支点Oとの間の距離であり、距離L2は、反力発生部材26の反力がピークになったときに鍵11の下面KLと反力発生部材26の中心軸とが交差する点P2と、鍵11の支点Oとの間の距離である。また、高さH1は、鍵11の支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材25の中心軸とが交差する点P1’と点P1との間の長さであり、高さH2は、鍵11の支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材26の中心軸とが交差する点P2’と点P2との間の長さである。
これらの値の関係は、次の式1のように、
L1/L2=H1/H2 …式1
の関係になっている。すなわち、反力発生部材25,26の弾性変形する部分の大きさ(正確には、反力発生部材25の高さH1の間に位置する部分の大きさと、反力発生部材26の高さH2の間に位置する部分の大きさ)は、反力発生部材25,26のそれぞれの設置位置と支点Oとの間の距離に比例し、設置位置が鍵11の支点Oから遠くなるに従って、反力発生部材25,26は大きなものを用いる。
この場合、鍵11の支点Oに近い反力発生部材25の弾性変形部分は、鍵11の支点Oから遠い反力発生部材26の弾性変形部分よりも小さく形成される。これによって、反力発生部材25,26の大きさが大きくなるのに比例して、変形していない状態から反力がピークとなる時点までに必要とする変形量が大きくなる。この変形量の違いを鍵11の支点から反力発生部材25,26の設置位置までの距離に応じた鍵11のストローク量と合わせることで、反力発生部材25,26の反力のピークは同時に発生する。
[第1実施形態に係る鍵盤装置Aの動作]
離鍵状態では、質量体17は、フロントウェイト17bの重さにより前部を下降させて鍵ストローク調整ネジ17dが鍵11を押し下げる。鍵11は後部が下方に押圧されて非押鍵時用ストッパ16aに当接し、前部が上昇した状態となる。この状態で、押鍵操作すると、鍵11は質量体17のフロントウェイト17bの重さに抗して、支点Oを中心に図1で反時計周り方向に回転し始め、質量体17は回動軸部15fを中心に時計周り方向に回転し始める。そして、鍵11が所定の深さまで押鍵されると、鍵11の前部下面が反力発生部材25,26の上端に当接して、反力発生部材25,26を圧縮し始める。これによって、反力発生部材25,26は、それぞれのドーム部の変形によって反力を発生して鍵11に対して付与する。
押鍵が進むと、反力発生部材25,26が発生する反力は徐々に大きくなっていき、その反力は同時にピークに達する。その後、反力発生部材の本体25a,26aの薄肉部分が屈曲して下方に凹み反力は減少していく。さらに押鍵が進むと、鍵11の前部下面が白鍵用下限ストッパ14aまたは黒鍵用下限ストッパ14bに当接して鍵11はそれ以上回転できなくなり、反力発生部材25,26もそれ以上圧縮されなくなり、押鍵状態となる。押鍵動作中、質量体17は、前延部が鍵11の被駆動部材11fに押し上げられて、後延部が下降していく。この質量体17の回転に伴い、アクチュエータ17gが鍵スイッチ18を押圧し、鍵スイッチ18の電気接点をオンにする。また、押鍵の強さに応じて、質量体17の当接部17fが質量体用ストッパ16bに当接して質量体17の後部の下方への変位が規制される。
押鍵状態から離鍵すると、質量体17は回動軸部15fを中心に図1の状態で反時計周り方向に回転し、これによって、鍵11は時計周り方向に回転して離鍵状態(非操作状態)の原点位置に復帰する。このような操作が各鍵11に対して連続して行われ、この鍵11の押離鍵操作に応じて、楽音信号発生回路は楽音信号を発生する。その間、演奏者には、アコースティックピアノを弾いたときのような質量感や、ハンマーからジャックが抜けるときのようなクリック感が得られる。
本実施形態に係る鍵盤装置Aは、押鍵操作により揺動する複数の鍵11と、揺動する各鍵11に対して反力を付与する複数の反力発生部材25,26とを備える。そして、それぞれの反力発生部材の本体25a,26aには、薄肉部が形成されて、反力発生部材25,26は上方からの押圧により屈曲して、クリックばねとして機能する。これによって、反力発生部材25,26の鍵11に対する反力は、徐々に大きくなったのちにピークに達し、その後小さくなっていく。また、反力発生部材25,26は、鍵11のストローク位置が所定の位置になったときに、それぞれ発生する反力が同時にピークに達するように設置される。
複数の反力発生部材25,26を設けることで、反力の大きさを十分に大きくすることができるとともに耐久性を向上させることができる。また、2個の反力発生部材25,26が発生する反力が同時にピークに達することで、良好なクリック感を得ることができる。さらに、反力発生部材25,26の弾性変形する部分は、鍵11の支点Oからの距離の比に応じた大きさの相似形状に形成されるため、鍵11の下面が平面状のもので使用することができ、一般の木製鍵でもそのまま使用でき、さらに鍵11の構造が単純になるとともにその製造が容易になる。また、鍵11は細長く幅が短いものであるが、反力発生部材25,26を鍵11の長手方向に沿って配置するため、余裕を持って配置することができる。また、反力発生部材25,26に加えて、さらに別の反力発生部材を並べて設置することもできる。
a1.第1実施形態の第1変形例
第1実施形態における図1の鍵盤装置Aで、反力付与部20の構造のみを変更した変形例を説明する。以下、反力付与部以外は、第1実施形態の構成を引用して説明する。図4は、前述した第1実施形態の第1変形例に係る鍵盤装置が備える反力付与部30と鍵11との位置関係を模式的に示す。反力付与部30は、前述した反力発生部材25と同じ構成からなる反力発生部材35,36を備える。
この反力発生部材35,36は、同一の部材で構成され、鍵11の支点Oから反力発生部材35,36が取り付けられている位置までの距離がそれぞれ異なる位置に設置されているが、互いの取付け高さを変えることで発生する反力のピークが同時に達するようにしている。すなわち、鍵11の支点Oから距離は反力発生部材35よりも反力発生部材36の方が長く、取付け高さは反力発生部材36よりも反力発生部材35の方が低くなっている。これは、反力発生部材36が取り付けられる取付台33aの高さよりも反力発生部材35が取り付けられる取付台31aの高さを低くすることにより調整される。
図4に示した距離L3は、反力発生部材35の反力がピークになったときに鍵11の下面KLと反力発生部材35の中心軸とが交差する点P3と、鍵11の支点Oとの間の距離であり、距離L4は、反力発生部材36の反力がピークになったときに鍵11の下面KLと反力発生部材36の中心軸とが交差する点P4と、鍵11の支点Oとの間の距離である。また、高さH3は、支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材35の中心軸とが交差する点P3’と点P3との間の長さであり、高さH4は、支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材36の中心軸とが交差する点P4’と点P4との間の長さである。
これらの関係は、次の式2のように、
L3/L4=H3/H4 …式2
の関係になる。また、反力発生部材35における反力発生部材36の点P4’に対応する位置にある点P3”と、点P3’との間の長さであるオフセットDは、次の式3のように、
D=H4−H3 …式3
の関係になる。すなわち、オフセットDは、反力発生部材35の取付台31aの上面高さを反力発生部材36の取付台33aの上面高さよりも低くするための反力発生部材35の中心軸に沿った長さであり、反力発生部材35は、鍵11の支点Oとの距離が短くなるほどオフセットDが大きくなるように設置する。これによって、反力発生部材35,36の反力のピークが同時に発生することができる。
この第1変形例に係る鍵盤装置によると、反力発生部材35,36を鍵11の支点Oからの距離が異なる場所に設置しながら同じもので構成できるため、反力発生部材35,36の製造が容易になる。この第1変形例に係る鍵盤装置のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置Aと同様である。なお、第1変形例に係る鍵盤装置の変形例として、反力発生部材を異なる大きさにしながら、その取付位置に応じて取付け高さを変えることもできる。これによると、反力発生部材の大きさや取付位置を任意に設定できる。
a2.第1実施形態の第2変形例
第1実施形態における図1の鍵盤装置Aで、反力付与部20の構造のみを変更した変形例を説明する。以下、反力付与部以外は、第1実施形態の構成を引用して説明する。図5は、前述した第1実施形態の第2変形例に係る鍵盤装置が備える反力付与部40と鍵11との位置関係を模式的に示す。反力付与部40は、前述した反力発生部材26と同じ構成からなる反力発生部材45,46を備える。また、鍵11の下面における反力発生部材26と当接する位置には、反力発生部材45と当接する位置の下面より下方に突出する突部11aが形成され、突部11aの下面は平面状に形成される。
反力発生部材45,46は、同一の部材で構成され、鍵11の支点Oからの距離がそれぞれ異なる位置に設置されるが、押圧される鍵11の下面の高さを変えることで発生する反力が同時にピークに達する。
図5に示した距離L5は、反力発生部材45の反力がピークになったときに鍵11の下面KLの中央側部分と反力発生部材45の中心軸とが交差する点P5と、鍵11の支点Oとの間の距離であり、距離L6は、反力発生部材45の反力がピークになったときの鍵11の下面KLの中央側部分をそのまま前方に延長した面と反力発生部材46の中心軸の延長線とが交差する点P6と、鍵11の支点Oとの間の距離である。また、高さH5は、鍵11の支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材45の中心軸とが交差する点P5’と点P5との間の長さであり、高さH6は、鍵11の支点Oが位置する水平面HRと反力発生部材46の中心軸とが交差する点P6’と点P6との間の長さである。
これらの関係は、次の式4のように、
L5/L6=H5/H6 …式4
の関係になる。また、反力発生部材46の反力がピークになるときの鍵11の突部11aの下面と反力発生部材46の中心軸とが交差する点P6”と点P6との間の長さであるオフセットEは、次の式5のように、
E=H6−H5 …式5
の関係になる。すなわち、オフセットEは、反力発生部材46を押圧する突部11aの高さを反力発生部材45を押圧する鍵11の下面中央側部分よりも低くするための反力発生部材46の中心軸に沿った長さであり、反力発生部材46と、鍵11の支点Oとの距離が長くなるほど大きくなるように設定する。これによって、反力発生部材45,46の反力のピークが同時に発生することができる。
この第2変形例に係る鍵盤装置によると、反力発生部材45,46を鍵11の支点Oからの距離が異なる場所に設置しながら同じもので構成できるため、反力発生部材45,46の製造が容易になる。この第2変形例に係る鍵盤装置のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置Aと同様である。なお、第2変形例に係る鍵盤装置の変形例として、反力発生部材を異なる大きさにしながら、その取付位置に応じて鍵の下面の高さを変えることもできる。これによると、反力発生部材の大きさや取付位置を任意に設定することができる。
a3.第1実施形態の第3変形例
図6は、前述した第1実施形態の第3変形例に係る鍵盤装置A1を示す。この鍵盤装置A1では、第1実施形態の鍵盤装置Aと比べて、反力付与部の構成が異なるが、他の構造は同じため、鍵盤装置Aと同一部品には同一符号を記して説明は省略する。反力付与部は、後部支持部材52に設置された反力付与部50aと、鍵51の下方に設置された反力付与部50bとで構成される。反力付与部50aは、反力発生部材54,55からなり、反力発生部材54,55はともに反力発生部材と鍵スイッチとの双方の機能を備える。
反力発生部材54,55は、図7(a),(b)に示したように、前述した反力発生部材25,26と同様、弾性を有するゴム構成からなるドーム状の本体54a,55aと、本体54a,55aの上部に形成されたトップ部54b,55bと、本体54a,55aの下端外周に形成されたフランジ状の基部54c,55cと、基部54c,55cの下面に形成された一対の脚部54dとを備え、トップ部54b,55bの上部には開口部54e,55eと切込部54f,55fとが形成される。
本体54a,55a内の上面には下方に突出する可動部54g,55gが形成され、可動部54g,55gの下端面には可動接点54h,55hが固定される。また、反力発生部材54,55が設置されるスイッチ基板58の上面における可動接点54h,55hに対向する部分には、可動接点54h,55hとで電気接点を構成する固定接点58a,58bが設けられる。スイッチ基板58には、前後方向に間隔を保って4つの取付孔が形成され、反力発生部材54,55は、脚部54d,55dを後部側の2つの取付孔に差し込むことによってスイッチ基板58に取り付けられる。なお、4つの取付孔は各鍵11にそれぞれ対応するもので、複数組の4つの取付孔が左右方向に沿って設けられる。
反力発生部材55は、大きさは反力発生部材54よりも少し大きく、材料と形状は反力発生部材54と同じ材料を用いて同じ形状に形成される。そして、可動接点54h,55hと固定接点58a,58bとからなる電気接点のオンオフによって楽音信号の音量や音色が制御される。なお、この2つの電気接点も接点時間に差が設けられる。また、質量体57のアクチュエータ57gは、反力発生部材54,55の双方を押圧できるように前後に真っ直ぐに延びており、反力発生部材54,55は、反力がピークに達するときの反力発生部材54,55の中心軸に対して質量体57のアクチュエータ57gの下面が直交するように傾斜している。
反力発生部材54,55は、質量体57の回動中心からそれぞれ設置位置までの距離に比例した大きさに形成されることで、反力のピークが同時に発生する。反力付与部50bは、前述した反力付与部20の取付台23と反力発生部材26とを組み付けたものと同じ構成をしており、取付台53と反力発生部材56とからなる。また、反力付与部50bの反力発生部材56も、以下、図8を用いて説明するように、反力付与部50aの反力発生部材54,55と反力のピークが同時に発生するように設置される。
図8は、支点O1を中心に回動する主回動体1と、主回動体1に連動して支点O1’を中心に回動する従回動体2とで、それぞれ反力発生部材3,4を押圧したときに、反力発生部材3,4が発生する反力が同時にピークになる場合の各部材の位置関係を示す。この主回動体1と従回動体2とは、それぞれ揺動側端部が向き合って互いに滑ることなく円弧状に接するように配置されていると仮定したものであり、主回動体1の支点O1、従回動体2の支点O1’および主回動体1と従回動体2との接点とが位置する面HR(ここでは水平面とする)に設置されているものとする。図8において、二点鎖線で示した主回動体1は、反力発生部材3が発生する反力がピークになったときの位置であり、二点鎖線で示した主回動体2は、反力発生部材4が発生する反力がピークになったときの位置である。
この場合、主回動体1の支点O1から揺動側端部までの長さをL7、従回動体2の支点O1’から揺動側端部までの長さをL8とし、主回動体1と従回動体2とが同期して回転するときの、主回動体1の回転角をθ1、従回動体2の回転角をθ2とすると、これらの値の関係は、次の式6のように、
θ2/θ1=L7/L8 …式6
の関係になる。このため、従回動体2の回転角θ2は、次の式7のように、
θ2=L7/L8×θ1 …式7
となり、従回動体2の回転角θ2の角運動拡大率は、L7/L8となる。
主回動体1が回転して反力発生部材3を押圧し、反力発生部材3が発生する反力がピークに達するまでの回転角をθp1とし、従回動体2が、主回動体1に同期して回転して反力発生部材4を押圧し、反力発生部材4が発生する反力がピークに達するまでの回転角をθp2とする。そして、反力発生部材3,4の発生する反力が同時にピークに達するとすると、これらの値の関係は、次の式8のように、
θp2=(L7/L8)×θp1 …式8
の関係になる。
主回動体1の支点O1と、主回動体1の支点O1が位置する水平面HRと反力発生部材3の中心軸とが交差する点との間の長さをL9とし、従回動体2の支点O1’と、従回動体2の支点O1’が位置する水平面と反力発生部材4の中心軸とが交差する点との間の長さをL10とする。そして、主回動体1の支点O1が位置する水平面HRと反力発生部材3の中心軸とが交差する点から反力発生部材3が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材3の上端までの高さをH7とし、従回動体2の支点O1’が位置する水平面HRと反力発生部材4の中心軸とが交差する点から反力発生部材4が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材4の上端までの高さをH8とする。
これによると、L7、L8、L9、L10、H7、H8の関係は、次の式9のように、
H8=(L7/L8)×(L10/L9)×H7 …式9
の関係になる。すなわち、反力発生部材3,4、主回動体1および従回動体2の位置関係が式9に該当するように所定の長さや高さ設定することにより、主回動体1によって押圧される反力発生部材3と、従回動体2によって押圧される反力発生部材4とが発生する反力が同時にピークに達するようにすることができる。
この関係を、鍵盤装置A1の反力発生部材54,56に当てはめると、L7は、鍵11の支点Oと、被駆動部材11fと鍵ストローク調整ネジ17dとの接触部との間の長さになり、L8は、質量体支持部15eの回動軸部15fと、被駆動部材11fと鍵ストローク調整ネジ17dとの接触部との間の長さになる。また、L9は、鍵11の支点Oと、鍵11の支点Oが位置する水平面と反力発生部材56の中心軸とが交差する点との間の長さになり、L10は、質量体支持部15eの回動軸部15fと、回動軸部15fが位置する水平面と反力発生部材54の中心軸とが交差する点との間の長さになる。
H7は、鍵11の支点Oが位置する水平面と反力発生部材56の中心軸とが交差する点から反力発生部材56が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材56の上端までの高さになり、H8は、回動軸部15fが位置する水平面と反力発生部材54の中心軸とが交差する点から反力発生部材54が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材54の上端までの高さになる。したがって、これらの数値が式9の関係を満たすことにより、鍵盤装置A1において、反力付与部50aと反力付与部50bとが発生する反力が同時にピークに達する。
この鍵盤装置A1によると、反力付与部を、質量体57の下方に設置された反力付与部50aと、鍵11の下方に設置された反力付与部50bとで構成しているため、一か所に大きな設置場所がない場合であっても、複数の反力発生部材を設置できる。これによって、反力の大きさを十分に大きくでき、また、良好なクリック感を得られる。この鍵盤装置A1のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置Aと同様である。反力発生部材55,56の一方を省略する場合には、設置する他方を2つの電気接点を備えたもので構成するか、別途他の鍵スイッチを設けるようにする。さらに、鍵11の後部の上方に反力発生部材を設けることもでき、この場合、反力発生部材56を省略してもよい。
a4.第1実施形態の第4変形例
図9は、前述した第1実施形態の第4変形例に係る鍵盤装置A2を示す。この鍵盤装置A2では、静止構造体60の上面に設けられた鍵支持部材62に回動中心61aを中心として鍵61が回動可能に支持され、静止構造体60の上面における鍵支持部材62の前方には、鍵61の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材65,66およびばね61bとが後方から前方に向かって順に配置される。反力発生部材65,66は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵61に対する位置関係も、反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同様になっている。
静止構造体60の上面における鍵支持部材62の後方には、鍵61の後部の下降位置を規制する非押鍵時ストッパ63が設けられ、非押鍵時ストッパ63の後方には後部支持部材64を介して質量体67が回動自在に取り付けられる。この質量体67は、押鍵により鍵61の後部が上方に移動したときに、鍵61の後端部に押し上げられて図10の時計周り方向に回転し、離鍵時には、自重によって反時計周り方向に回転して鍵61を時計周り方向に回転させる。また、静止構造体60における質量体67の先端部に対向する部分には、押鍵時の質量体67の回転を規制する押鍵時ストッパ63aが設けられ、静止構造体60における質量体67の中央部分に対向する部分には、押鍵によって回転する質量体67に押圧されてオンに作動する鍵スイッチ68が設けられる。
この鍵盤装置A2においては、鍵61の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材として、反力発生部材65,66に加えてばね61bを設けているため、より大きな反力を発生する。この第4変形例に係る鍵盤装置A2のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置Aと同様である。なお、鍵盤装置A2においては、反力発生部材65,66と鍵61との位置関係を、第1実施形態に係る鍵盤装置Aの反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同じにすることに限らず、前述した第1変形例や第2変形例と同様になるように変更してもよい。また、反力発生部材65,66の一方を鍵支持部材62と非押鍵時ストッパ63との間に設置してもよい。さらに、反力発生部材65,66の一方を、静止構造体60における押鍵時ストッパ63aや鍵スイッチ68の近傍に設置して、質量体67を介して鍵61に反力を付与するようにしてもよい。
a5.第1実施形態の第5変形例
図10は、前述した第1実施形態の第5変形例に係る鍵盤装置A3を示す。この鍵盤装置A3では、棚板70の上面に鍵盤を支持する鍵盤フレーム72が設けられ、鍵盤フレーム72の後端上部に鍵並び方向に延びる支持部72aが設けられる。支持部72aには、下面に凹部が形成された鍵71が、後端側の回動中心71aを中心として回動可能に支持されるとともに質量体77が支点77dを中心に回動自在に支持される。鍵71からは、垂下片71bが下方に向かって突出し、垂下片71bの下方には、質量体77の前端部が位置して、鍵71の回動に応じて質量体77が駆動される。
棚板70の上面における質量体77の後端部に対向する部分に、質量体77の後端部の下降位置を規制する非押鍵時ストッパ77aが設けられる。さらに、鍵盤フレーム72における質量体77の後端部上面に対向する部分に、質量体77の後端部の上昇位置を規制する押鍵時ストッパ77bが設けられる。また、鍵盤フレーム72の上面部72bにおける各鍵71に対応する部分の中央に、ばね通し孔72cが形成され、このばね通し孔72cに質量体77の後部を下方に押し下げるS字状ばね73が通っている。
上面部72bに、鍵71の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材75,76が後方から前方に順に設置される。この反力発生部材75,76は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵71に対する位置関係は、反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同様になっている。鍵盤フレーム72における質量体77の前部に対向する部分には、スイッチ基板78aが取り付けられ、スイッチ基板78aの上面には鍵スイッチ78が固定される。質量体77の前部における鍵スイッチ78に対向する部分には、下方に突出するスイッチ駆動部77cが形成され、押鍵により、このスイッチ駆動部77cが鍵スイッチ78を押してオン状態にする。
鍵盤フレーム72における鍵スイッチ78の前方近傍には、反力発生部材74が設置されている。この反力発生部材74は、鍵71の押鍵により、質量体77の前端部が垂下片71bに押されて下降するときに、質量体77の前端部に押圧されるようにして設置され、質量体77に対して反力を発生する。なお、反力発生部材74は、反力発生部材75,76と大きさ及び形状は同じでも異なっていてもよいが、反力発生部材74,75,76はすべて、鍵71の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
この第5変形例に係る鍵盤装置A3のそれ以外の作用効果は、前述した変形例3の鍵盤装置A1と同様である。
なお、鍵盤装置A3においても、反力発生部材75,76と鍵71との位置関係を、第1実施形態に係る鍵盤装置Aの反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同じにすることに限らず、前述した第1変形例や第2変形例と同様にしてもよい。また、反力発生部材74,75,76のいずれか一つを省略してもよいし、反力発生部材75,76の一方を反力発生部材74に並べて配置してもよい。さらに、質量体77の後部が上方に移動したときに質量体77の後部に当接できる位置に反力発生部材を設けてもよい。
a6.第1実施形態の第6変形例
図11は、前述した第1実施形態の第6変形例に係る鍵盤装置A4を示す。この鍵盤装置A4では、棚板80の上面に鍵盤を支持する鍵盤フレーム82が設けられ、鍵盤フレーム82の後部に支持ピン82aが設けられる。そして、支持ピン82aに、鍵81の後端部が回動可能に支持され、鍵81の後部下面には、鍵81及び質量体87を上方に付勢する板ばね83が設けられる。この鍵81の前部下面からは、ストッパ片81aと、ストッパ片81aの後方から略L形のストッパ片81bとが設けられる。
鍵フレーム82には、押鍵時ストッパ84aと非押鍵時ストッパ84bが設けられ、押鍵時ストッパ84aは押鍵時にストッパ片81aに当接して鍵81の前端部の下降位置を規制し、非押鍵時ストッパ84bは、非押鍵時にストッパ片81bに当接して鍵81の前端部の上昇位置を規制する。また、鍵盤フレーム82の前部には上方に延びる鍵ガイド84が設けられ、鍵盤フレーム82の上面部82bの後部寄りの部分に支持ピン82cが設けられ、この支持ピン82cに質量体87の後部が回動可能に支持される。
質量体87は、押鍵により鍵81が図11の反時計周り方向に回転すると、鍵81に押圧されて鍵81とともに図11の反時計周り方向に回転する。鍵盤フレーム82の中央下部における質量体87の中央下部の下面に対向する部分に、質量体87の衝撃を緩和するとともに質量体87の下降位置を規制するクッション部材87aが設けられ、鍵盤フレーム82における質量体87の前部の上面に対向する部分に、質量体87の上昇位置を規制する非押鍵時ストッパ87bが設けられる。
鍵盤フレーム82の上面部82bには、質量体87を回動可能にするための質量体通し孔82dが形成され、上面部82bにおけるこの質量体通し孔82dの前方に、鍵81の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材85,86が後方から前方に順に設置される。この反力発生部材85,86は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵81に対する位置関係が、反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同様になっている。また、上面部82bの上面における支持ピン82cの前方には、鍵スイッチ88が固定される。この鍵スイッチ88は、押鍵により質量体87が回動したときに、質量体87に押されてオン状態になる。
この第6変形例に係る鍵盤装置A4によっても、前述した鍵盤装置Aと同様の作用効果を得ることができる。また、第6変形例に係る鍵盤装置A4においても、反力発生部材85,86と鍵81との位置関係を、第1実施形態に係る鍵盤装置Aの反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同じにすることに限らず、前述した第1変形例や第2変形例と同様にしてもよい。さらに、棚板80の上面または鍵盤フレーム82におけるストッパ片81bの下端部に対向する部分にも、反力発生部材を設けることができる。この場合もすべての反力発生部材85,86等は、鍵81の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置する。また、ストッパ片81b下方に、反力発生部材を設けることによって、反力発生部材85,86のいずれか一方を省略することもできる。
a7.第1実施形態の第7変形例
図12は、前述した第1実施形態の第7変形例に係る鍵盤装置A5を示す。この鍵盤装置A5では、底面板140の上面に鍵盤を支持する台状の鍵盤フレーム142が設けられ、鍵盤フレーム142の後端側(図12では左端側)の上部に鍵並び方向に延びる鍵支持部142aが設けられる。鍵支持部142aに、下面に凹部が形成された鍵141が、後端側の回動軸部141aを中心として回動可能に支持される。鍵141の内部中央にはアクチュエータ141cが形成される。鍵141には、垂下片141dが突出し、垂下片141dの下部には、前後に貫通する筒状の保持部141eが形成される。
鍵盤フレーム142は、後部台142bと、後部台142bよりも低い前部台142cと、質量体支持部142dが形成される。この質量体支持部142dに、質量体147が回動軸部142eを中心として回動可能に取り付けられ、質量体147の前端部147aは、垂下片141dの保持部141e内に摺動可能に係合し、押鍵により鍵141が下降すると、質量体147は、図12の状態で時計周り方向に回転する。
質量体147は、前後に延びる長い棒状部材で構成され、後端側に重り147bが取り付けられる。底面板140の上面における質量体147の後端部147cの下面に対向する部分には、質量体147の後端部147cの下降位置を規制する非押鍵時ストッパ147dが設けられ、鍵盤フレーム142における質量体147の後端部147cの上面に対向する部分には、質量体147の後端部147cの上昇位置を規制する押鍵時ストッパ147eが設けられる。また、鍵盤フレーム142の後部台142bには、質量体通し孔142fが形成され、質量体147の後部は、質量体通し孔142fを通って、質量体支持部142dの上方から、底面板140と後部台142bとの間の後部側に延びている。
前部台142cの上面前部には、垂下片141dの下端部に対向して反力発生部材145が設置され、この反力発生部材145は、鍵141の押鍵に対して反力を発生する。また、後部台142bの下面に、質量体147に対向して反力発生部材146が設置される。この反力発生部材146は、トップ部146aを下方に向けて設置され、鍵141の押鍵により上昇する質量体147の略中央部分に当接し、質量体147を介して鍵141に対して反力を発生する。この反力発生部材145,146は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵141の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
後部台142bの前部側の低い部分の上面には、スイッチ基板148が取り付けられ、スイッチ基板148の上面には、鍵141のアクチュエータ141cに対向して一対の反力発生部材148a,148bが固定される。反力発生部材148a,148bは、前述した反力発生部材54,55と同様の構成をしており、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能とを備える。このため、押鍵により、鍵141が下降すると、アクチュエータ141cが、反力発生部材148a,148bを押してオン状態にする。
この鍵盤装置A5においては、鍵141の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材として、鍵141に対して直接反力を発生する反力発生部材145と、質量体147を介して鍵141に対して反力を発生する反力発生部材146とが備わっている。さらに、鍵141に対して直接反力を発生し、鍵スイッチとしても機能する反力発生部材148a,148bも備わっている。このため、より大きな反力を発生することができる。また、反力発生部材145,146,148a,148bを分散して種々の場所に配置することにより多くの反力発生部材を設置することができる。この第7変形例に係る鍵盤装置A5のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A3と同様である。
a8.第1実施形態の第8変形例
図13は、前述した第1実施形態の第8変形例に係る鍵盤装置A6を示す。この鍵盤装置A6では、鍵盤を支持する鍵盤フレーム152に、後面壁152cが備わり、後面壁152cの上端に、下面に凹部が形成された鍵151の後端部151dが取り付けられる。鍵151の後端近傍には薄肉部151aが形成され、鍵151は薄肉部151aを中心として上下に回動可能になる。この鍵151の内部にはアクチュエータ151cが形成される。鍵151から垂下片151dが下方に向かって突出し、垂下片151dには、前後に貫通する筒状の保持部151eが形成される。
鍵盤フレーム152には、台部152dが設けられ、その上面前部には、質量体支持部152eが形成される。質量体支持部152eに、質量体157が回動軸部152fを中心として回動可能に取り付けられる。質量体157の前端部157aは、保持部151e内に摺動可能に係合し、押鍵により鍵151が下降すると、質量体157は、図13の状態で反時計周り方向に回転する。
鍵盤フレーム152において、質量体157の後端部157bの下面に対向する部分には、質量体157の後端部157bの下降位置を規制する非押鍵時ストッパ157cが設けられ、質量体157の後端部157bの上面に対向する部分には、質量体157の後端部157bの上昇位置を規制する押鍵時ストッパ157dが設けられる。
台部152dには、質量体157における前端部157aと回動軸部152fとの間の部分に対向して反力発生部材155が設置され、質量体157の中央部分に対向して、トップ部156aを下方に向けて反力発生部材156が設置される。反力発生部材155は、鍵151の押鍵により下降する質量体157の前部に当接し、質量体157を介して鍵151に対して反力を発生し、反力発生部材156は、鍵151の押鍵により上昇する質量体157の中央部に当接し、質量体157を介して鍵151に対して反力を発生する。反力発生部材155,156は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵151の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
台部152dの上面中央には、スイッチ基板158が取り付けられ、スイッチ基板158の上面には、鍵151のアクチュエータ151cに対向して一対の反力発生部材158a,158bが固定される。反力発生部材158a,158bは、前述した反力発生部材54,55と同様の構成をしており、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能を備える。このため、押鍵により、鍵151が下降すると、アクチュエータ151cが、反力発生部材158a,158bを押してオン状態にする。
この鍵盤装置A6においては、鍵151の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材として、質量体157を介して鍵151に対して反力を発生する反力発生部材155,156に加えて、鍵151に対して直接反力を発生し、鍵スイッチとしても機能する反力発生部材158a,158bも備わっている。このため、より大きな反力を発生することができる。また、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能とを備える反力発生部材158a,158bを鍵151の下方に設置し、反力発生部材としての機能だけを備える反力発生部材155,156を質量体157に対向させて設置するため、複数の場所に分散させて機能に応じた反力発生部材を設置することができる。この第8変形例に係る鍵盤装置A6のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A5と同様である。
a9.第1実施形態の第9変形例
図14は、前述した第1実施形態の第9変形例に係る鍵盤装置A7を示す。この鍵盤装置A7では、鍵盤を支持する鍵盤フレーム162に、設置部材163が設けられる。設置部材163の後端上部には、鍵支持部163aが設けられ、この鍵支持部163aに、鍵161の後端部が回動軸部161aを中心として回動可能に支持される。また、設置部材163の前部側には、上下に貫通する質量体通し孔163bが形成され、質量体167は、設置部材163の左右両壁に掛け渡された回動軸部163cを中心として回動可能に取り付けられる。
鍵161は、後部下面にアクチュエータ161cが形成され、アクチュエータ161cよりも前部側から、垂下片161dが下方に向かって突出し、垂下片161dの下端部には、後方に突出するフック部161eが形成される。さらに、鍵161の下面には、下方に突出する押圧部161fが形成される。
質量体167は、設置部材163の上方から、質量体通し孔163bを通って下方に延びたのちに前方に延びる屈曲した棒状の重りで構成され、後端には押圧片167aが形成される。質量体167の後部上端には、鍵161の下面に設けられた押圧部161fが摺動可能に係合する凹部が形成され、押鍵により鍵161が下降すると、質量体167は、図14の状態で反時計周り方向に回転する。
鍵盤フレーム162において、質量体167の前端部167bの下面に対向する部分には、質量体167の前端部167bの下降位置を規制する非押鍵時ストッパ164が設けられ、質量体167の前端部167bの上面に対向して、質量体167の前端部167bの上昇位置を規制する押鍵時ストッパ164aが設けられる。設置部材163の下面前端近傍には、質量体167の中央部分の上面に対向して、質量体167の上昇位置を規制する押鍵時ストッパ164bが設けられる。
鍵161の下面に対向して、前面壁162bの水平部の上面には、鍵161の下降位置を規制する押鍵時ストッパ164cが設けられ、設置部材163の上面前端には、鍵161の下降位置を規制する押鍵時ストッパ164dが設けられる。設置部材163の下面前端には、フック部161eの上面に対向して、鍵161の上昇位置を規制する非押鍵時ストッパ164eが設けられる。このため、鍵161は、フック部161eが非押鍵時ストッパ164eに当接する非押鍵時位置と、鍵161の下面が押鍵時ストッパ164c,164dに当接する押鍵時位置との間で上下方向に回動できる。また、質量体167は、非押鍵時ストッパ164に当接する非押鍵時位置と、押鍵時ストッパ164a,164bに当接する押鍵時位置との間で回動できる。
設置部材163の上面前部における押鍵時ストッパ164dの後方に、鍵161に対向して反力発生部材165が設置され、台部162cの上面前部に質量体167の押圧片167aに対向して反力発生部材166が設置される。この反力発生部材166と押圧片167aとは、質量体通し孔163b内に位置している。反力発生部材165は、押鍵により下降する鍵161の下面に当接し、鍵161に対して反力を発生し、反力発生部材166は、鍵161の押鍵により下降する質量体167の押圧片167aに当接し、質量体167を介して鍵161に対して反力を発生する。この反力発生部材165,166は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵161の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
設置部材163の上面後部の凹部163dに、スイッチ基板168が取り付けられ、スイッチ基板168の上面に、鍵161のアクチュエータ161cに対向して一対の反力発生部材168a,168bが固定される。反力発生部材168a,168bは、前述した反力発生部材54,55と同様の構成をしており、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能とを備える。このため、押鍵により、鍵161が下降すると、アクチュエータ161cが、反力発生部材168a,168bを押してオン状態にする。
この鍵盤装置A7においては、鍵161の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材として、鍵161に対して直接反力を発生する反力発生部材165と、質量体167を介して鍵161に対して反力を発生する反力発生部材166とが備わっている。それに加えて、鍵161に対して直接反力を発生し、鍵スイッチとしても機能する反力発生部材168a,168bも備わっている。このため、より大きな反力を発生することができる。また、反力発生部材166および反力発生部材166を押圧する押圧片167aを、設置部材163の質量体通し孔163b内に位置させているため、質量体通し孔163bの空間を有効に利用することができる。この第9変形例に係る鍵盤装置A7のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A6と同様である。
a10.第1実施形態の第10変形例
図15は、前述した第1実施形態の第10変形例に係る鍵盤装置A8を示す。この鍵盤装置A8では、鍵盤を支持する鍵盤フレーム172に、上方に突出した台部172が備わっており、後部には上方に延びる鍵支持部172cが設けられる。そして、鍵支持部172cの上端に、鍵171の後端部が、回動軸部171aを中心として回動可能に支持される。この鍵171の下面にはアクチュエータ171dが形成される。
鍵盤フレーム172には、設置部材173が設けられる。この設置部材173の中央部分と、台部172bの上部における後部側部分とには、上下に貫通する大きな質量体通し孔(図示せず)が形成され、質量体177は、質量体通し孔の左右両壁の上部に掛け渡された回動軸部173aを中心として回動可能に取り付けられる。質量体177は、回動軸部173aの後方に延びる後部177aと、回動軸部173aの前方に延びる前部177bとからなる重りで構成される。押鍵により鍵171が下降すると、アクチュエータ177dは前部177bを下方に押圧する。このため、鍵171を押鍵すると、質量体177は、図15の状態で時計周り方向に回転する。
設置部材173には、鍵171に対向して反力発生部材175が設置され、質量体通し孔内に質量体177の後部177aに対向して反力発生部材176が設置される。質量体通し孔内の後部上端には天井面部(図示せず)が形成され、反力発生部材176は、トップ部176aを下方に向けて天井面部に固定される。反力発生部材175は、押鍵により下降する鍵171の下面に当接し、鍵171に対して反力を発生し、反力発生部材176は、鍵171の押鍵により上昇する質量体177の後部177aに当接し、質量体177を介して鍵171に対して反力を発生する。この反力発生部材175,176は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵171の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
台部172bの下方には、スイッチ基板178が支持片173c,173dに挟持されて取り付けられる。スイッチ基板178の上面に、質量体177の前部177b下面に設けたアクチュエータ177dに対向して一対の反力発生部材178a,178bが固定される。反力発生部材178a,178bは、前述した反力発生部材54,55と同様の構成をしており、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能とを備える。このため、押鍵により、鍵171が下降すると、質量体177は、時計周り方向に回転し、アクチュエータ177dが、反力発生部材178a,178bを押してオン状態にする。
この鍵盤装置A8においては、鍵171の押鍵に対して反力を発生する反力発生部材として、鍵171に対して直接反力を発生する反力発生部材175と、質量体177を介して鍵171に対して反力を発生する反力発生部材176に加えて、質量体177を介して鍵171に対して反力を発生し、鍵スイッチとしても機能する反力発生部材178a,178bも備える。このため、より大きな反力を発生することができる。また、反力発生部材176を、設置部材173の質量体通し孔内に位置させているため、質量体通し孔の空間を有効に利用することができる。この第10変形例に係る鍵盤装置A8のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A7と同様である。
a11.第1実施形態の第11変形例
図16は、前述した第1実施形態の第11変形例に係る鍵盤装置A9を示す。この鍵盤装置A9では、静止構造体180の上面中央に設けられた鍵支持部材182の上面から上方に延びる支点ピン182aを中心として鍵181の中央部分が回動可能に支持される。静止構造体180の後端には上方に延びる質量体支持部180aが設けられ、質量体支持部180aの上端には、質量体支持部180aの上端からさらに上方斜め前方に延びる設置部材180bが設けられる。質量体支持部180aの上端前部には、回動軸部187aを中心として回動自在に質量体187が取り付けられる。
この質量体187は、押鍵により鍵181の後部が上方に移動したときに、鍵181の後端部にピン187dが押し上げられて図16の状態で時計周り方向に回転し、離鍵時には、その自重によって反時計周り方向に回転してピン187dが鍵181を時計周り方向に回転させる。また、静止構造体180の上面の後端近傍に、鍵181の後部の下降位置を規制する非押鍵時ストッパ181aが設けられ、静止構造体180の上面の前端に、鍵181の前部の下降位置を規制する押鍵時ストッパ181bが設けられる。
静止構造体180の上面における鍵支持部材182の前方には、鍵181の押鍵に対して反力を発生する3つの反力発生部材184,185,186が後方から前方に向かって順に配置される。反力発生部材184,185,186は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、その大きさは後方に位置する反力発生部材184から前方に位置する反力186の順に鍵181の回動支点からのそれぞれの距離と比例して大きくなる。そして、鍵181に対する反力発生部材184,185の位置関係および鍵181に対する反力発生部材185,186の位置関係は、それぞれ前述した第1実施形態における反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同様になっている。
設置部材180bの下面における質量体187の先端側部分に対向する部分には、押鍵時の質量体187の回転を規制する押鍵時ストッパ187cが設けられる。また、設置部材180bの下面における後部にスイッチ基板188が固定され、スイッチ基板188の下面に、アクチュエータ187bに対向してスイッチ188aが設けられる。スイッチ188aは、押鍵によって回転する質量体187のアクチュエータ187bに押圧されてオンに作動する。
設置部材180bの下面に、反力発生部材183が固定される。この反力発生部材183は、質量体187の上面に押圧されるもので、反力発生部材184等と同様の構成をしている。反力発生部材184,185,186は、鍵181の押鍵に対して直接鍵181に反力を発生し、反力発生部材183は、質量体187を介して鍵181に反力を発生する。また、反力発生部材183,184,185,186は、鍵181の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
この鍵盤装置A9においては、4つの反力発生部材183,184,185,186を設けているため、より大きな反力を発生することができる。この第11変形例に係る鍵盤装置A9のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A2と同様である。なお、鍵盤装置A9においては、反力発生部材184,185と鍵181との位置関係および反力発生部材185,186と鍵181との位置関係を、第1実施形態に係る鍵盤装置Aの反力発生部材25,26と鍵11との位置関係と同じにすることに限らず、前述した第1変形例や第2変形例と同様になるように変更してもよい。
a12.第1実施形態の第12変形例
図17は、前述した第1実施形態の第12変形例に係る鍵盤装置A10を示す。この鍵盤装置A10では、鍵盤を支持する鍵盤フレーム192に、フレーム後部192aと、質量体支持部192bと、フレーム前部192cと、フレーム後部192aが設けられる。そして、フレーム後部192aの上端に、鍵191の後端部が、回動軸部191aを中心として回動可能に支持される。この鍵191には、下方に向かって突出した垂下片191bが形成され、垂下片191bの下端部には、前方に突出するフック部191cが形成される。また、鍵191には、下方に突出する押圧部191dが形成される。
質量体支持部192bの上部には、質量体197が回動軸部197aを中心として回動可能に取り付けられる。質量体197は、回動軸部197aから、後方に延びる後部197bと、回動軸部197aから、前方に延びる前部197cとで構成される。また、質量体197の前部197cには、鍵191の押圧部191dが摺動可能に当接する凹部197eが形成され、押鍵により鍵191が下降すると、押圧部191dは質量体197の前部197cを下方に押圧する。このため、鍵191を押鍵すると、質量体197は、図17の状態で時計周り方向に回転する。
フレーム前部192cの上部には、鍵191の前部に対向して配置され、鍵191の下降位置を規制する押鍵時ストッパ194と、垂下片191bのフック部191cの上面に対向して配置され、鍵191の上昇位置を規制する非押鍵時ストッパ194aとが設けられる。このため、鍵191は、フック部191cが非押鍵時ストッパ194aに当接する非押鍵時位置と、鍵191の下面が押鍵時ストッパ194に当接する押鍵時位置との間で上下方向に回動できる。
フレーム後部192aには、質量体197の後部197bに対向して配置され、質量体197の後部197bの下降位置を規制する非押鍵時ストッパ194bが設けられるとともに、質量体197の後部197bの後端上面に対向して配置され、質量体197の後部197bの上昇位置を規制する押鍵時ストッパ194cが設けられる。このため、質量体197の後部197bは、後部197bが非押鍵時ストッパ194bに当接する非押鍵時位置と、後部197bが押鍵時ストッパ194cに当接する押鍵時位置との間で上下方向に回動できる。
フレーム後部192aの上端前部からは前方に突出する前部取付板192dが形成され、前部取付板192dの上面に、鍵191に対向して反力発生部材195が設置され、前部取付板192dの下面に、質量体197の後部197bに対向して反力発生部材196が設置される。この反力発生部材196は、トップ部196aを下方に向けて前部取付板193bに固定される。反力発生部材195は、押鍵により下降する鍵191の下面に当接して鍵191に対して反力を発生し、反力発生部材196は、鍵191の押鍵により上昇する質量体197の後部197bに当接して、質量体197を介して鍵191に対して反力を発生する。この反力発生部材195,196は、前述した反力発生部材25,26と同様の構成をしており、鍵191の押鍵により発生する反力が同時にピークに達するように配置される。
質量体支持部192bの上部前端には、スイッチ基板198が取り付けられ、スイッチ基板198の上面に、質量体の前部197cの下面に形成されたアクチュエータ197fに対向して一対の反力発生部材198a,198bが固定されている。反力発生部材198a,198bは、前述した反力発生部材54,55と同様の構成をしており、鍵スイッチとしての機能と反力発生部材としての機能とを備える。このため、押鍵により、鍵191が下降すると、質量体197が時計周り方向に回転して前部197cが下降し、アクチュエータ197fが、反力発生部材198a,198bを押してオン状態にする。
この鍵盤装置A10においては、鍵支持部193の前部上端に、前方に突出する前部取付板193bを設けて、前部取付板193bの上面に反力発生部材195を設置し、前部取付板193bの下面に反力発生部材196を設置している。このため、反力発生部材を取り付けるためのスペースを広くできる。鍵盤装置A10においては、2つの反力発生部材195,196の他に、さらに他の反力発生部材を設置できる。この第12変形例に係る鍵盤装置A10のそれ以外の作用効果は、前述した鍵盤装置A7と同様である。
b.第2実施形態
図18は、本発明の第2実施形態に係るペダル装置Bを示す。このペダル装置Bは、本発明に係る操作子装置を構成する。このペダル装置Bは、電子ピアノ(図示せず)に組み込まれて、足で踏み込み操作される3本のペダル(ダンパーペダル、ソステヌートペダル、ソフトペダル)のうちのダンパーペダルに相当する。ペダル装置Bは、電子ピアノの本体の中央下部に固定されたフレーム90と、フレーム90に対して回動可能に組み付けられたペダル92と、フレーム90の下面から前面(図18の左側が前方で右側が後方)にかけての部分に組み付けられてペダル92に反力を付与する反力付与部96とを備える。
フレーム90は、底部90aと、前壁90bと、後壁90cを有し、前壁90bの上端から上壁90dが延び、前壁90bの開口の下縁部から突出片90eが僅かに傾斜して延びている。そして、突出片90eの上面に、衝撃緩衝材からなる下限ストッパ91が設置される。ペダル92は、断面形状がコ字状に形成された前後に長い部材からなり、その上面部の後端近傍には上方に突出した突出片92dが形成され、ペダル92の上面部の中央よりも少し後部側の部分には、上方に突出する上限ストッパ92eが形成される。
ペダル92は、後部をフレーム90の前方から前壁90bの開口と、後壁90cの開口とに通し、突出片92dを後壁90cの内面に当接させてフレーム90に組み付けられる。ペダル92は、突出片92dと後壁90cとの接触部を支点として上下に揺動可能であり、上限ストッパ92eが上壁90dに当接する位置と、ペダル92の下部が下限ストッパ91に当接しさらに圧縮する位置との間で上下に移動できる。
フレーム90内の前部における底部90aの低い部分とペダル92との間には、コイルバネ93が設置される。このコイルバネ93は、軸方向に圧縮されることで弾発力を発生するもので、ペダル92を上方に付勢する。また、フレーム90内の後部における底部90aの高い部分の上面には、上面にセンサ94が取り付けられた基板94aが取り付けられる。このセンサ94は、ペダル92の踏み込み量(ストローク)を検出し、その検出値は、電子ピアノが発音する楽音にダンパーペダル効果を付与するために用いられる。そして、底部90aの前側部分には、アジャスタ95が取り付けられ、ペダル92の高さを調節可能にしてフレーム90に取り付けられる。
反力付与部96は、フレーム90に取り付けられた支持部97と、支持部97に支持された反力発生部材98,99とで構成される。支持部97は、フレーム90の底部90aの前部側部分に固定された平面板状の取付部97aと、取付部97aの前端から上面を高くして前方に延びる支持台97bと、支持台97bの上面に設けられた平板状の載置部97cとを備える。取付部97aは、ネジ96bを取付部97aのネジ挿通穴と、スペーサ96aに通し、底部90aのネジ穴に螺合させることにより、底部90aに固定される。
支持台97bは、前壁90bの前面下部における左右方向の中央部分から前方に延びる台状に形成され、その上面は、後部よりも前部が低くなるように傾斜している。この載置部97cは、下限ストッパ91と略同じ高さに位置し、載置部97cと下限ストッパ91とは略平行となる。
反力発生部材98,99は、前述した反力発生部材25,26よりも大きさは大きいが、形状は反力発生部材25,26と同じに形成される。この反力発生部材98,99と、突出片92dと後壁90cとの接触部を支点として揺動するペダル92との位置関係は、鍵11と反力発生部材25,26との位置関係と同様になる。この場合、反力発生部材98は、反力発生部材99よりも少し大きい。このため、ペダル92から押圧されたときに、ペダル92に対して発生する反力発生部材98,99の反力は、同時にピークに達する。
[第2実施形態に係るペダル装置Bの動作]
ペダル92を踏み込み操作しない状態では、コイルバネ93によってペダル92は上方に付勢されて、図18の状態となる。この状態で、ペダル92の上面部の前部に足を載せて踏み込むと、ペダル92はコイルバネ93の弾性力に抗して、突出片92dと後壁90cとの接触部を支点として、図18の状態で反時計周り方向に回転する。そして、ペダル92が所定の深さまで踏み込まれると、ペダル92の内部下面が反力発生部材98,99の上端に当接して、反力発生部材98,99を圧縮し始める。これによって、反力発生部材98,99は、ペダル92に対して反力を発生する。
踏込量が増加すると、反力発生部材98,99が発生する反力は徐々に大きくなっていき、その反力は同時にピークに達する。その後、反力発生部材98,99が座屈するようにして屈曲し反力は減少していく。さらに踏込量が増加すると、ペダル92の下部が下限ストッパ91に当接してペダル92はそれ以上回転できなくなり、反力発生部材98,99もそれ以上圧縮されなくなる。その間、ペダル92の踏込量は、センサ94によって検出される。
ペダル92から足を離すと、ペダル92は、コイルバネ93と反力発生部材98,99との復元力によって上方に付勢され、図18に示した元の状態に戻る。このような操作は、電子ピアノが演奏される間繰り返し行われる。ここでは、ペダル装置Bをダンパーペダルとしているが、ソステヌートペダルやソフトペダルもペダル装置Bと同様の構成をしており、ソステヌートペダルやソフトペダルの操作も同様に行われる。そして、演奏の間、演奏者には、アコースティックピアノのダンパーペダル等を操作したときのような質量感が得られる。
このように、本実施形態に係るペダル装置Bでは、2個の反力発生部材98,99を設けることで、反力の大きさを十分に大きくすることができ、また、2個の反力発生部材98,99が発生する反力が同時にピークに達することで、良好な反力の変化を得ることができる。なお、本実施形態に係るペダル装置Bでは、反力発生部材98,99を少し小形にして前後でなく左右に設置してもよい。この場合、支持部97も前後でなく左右に長いもので構成する。
c.第3実施形態
図19は、本発明の第3実施形態に係る操作子装置Cの要部を示す。この操作子装置Cは、電子楽器(図示せず)の鍵盤の近傍に組み込まれて、手で操作されることにより電子楽器が発生する楽音を制御するものである。操作子装置Cは、電子楽器の本体上部に固定されたフレーム100と、フレーム100の上面に組み付けられた操作子101と、復帰バネ103と、プリント基板104と、一対のセンサ104a,104bと、本発明に係る反力発生部材を構成する一対のクリックラバー105,106とを備える。
フレーム100は、上面部100aの上面における後端近傍に、操作子101を支持するための支持部107が設けられ、支持部107の上端部に設けられた軸部107aに操作子101の後端部は回動可能に支持され、操作子101は、軸部107aを中心として上下に回動できる。
操作子101は、前後に長い四角棒状に形成された操作子本体101aと、紡錘形の操作部101bと、操作子本体101aの前端部から下方に延びたのちに屈曲して後方に突出する垂下片101cとで構成される。また、操作子本体101aの下面における前部側には、一対の凹部102a,102bが前後に並んで形成され、その後方にバネ位置決め凹部102cが形成される。凹部102a,102bはともに四角形の穴で構成されており、前後方向の開口が奥側よりも僅かに狭い。凹部102a,102bは同じ形状に形成されるが、後方に位置する凹部102aよりも前方に位置する凹部102bの方が僅かに小さく形成される。
操作子101が回動する際に、垂下片101cの下部は、フレーム100の前壁100bに形成された開口内で移動する。上面部100aの上面と、バネ位置決め凹部102cの天井面との間には、コイルバネ103が設置され、このコイルバネ103によって操作子101は、上方に付勢される。上面部100aの下面における垂下片101cの下端部の上面に対向する部分には、衝撃緩衝材からなる上限ストッパ103aが設置され、この上限ストッパ103aによって操作子101の上昇位置が規制される。
プリント基板104は、上面部100aの前部側に形成された開口の下方に位置して、上面部100aにねじ104cで固定される。プリント基板104の上面における凹部102a,102bに対向する部分には、センサ104a,104bが並んで配置され、センサ104aの上面にクリックラバー105が形成され、センサ104bの上面にクリックラバー106が形成される。クリックラバー105は、凹部102aに対向し、クリックラバー106は、凹部102bに対向し、クリックラバー105,106は同じ形状に形成される。クリックラバー105,106の大きさの比率は、凹部102a,102bの大きさの比率と同じになっている。
クリックラバー105,106は、操作子スイッチ104a,104bのそれぞれの上面から上方に延びる垂直片105a,106aと、垂直片105a,106aの上端で前後に延びる水平片105b,106bとからなるT字形に形成される。水平片105b,106bの上面の面積は、凹部102a,102bの開口部の面積よりも大きく凹部102a,102bの奥側の空間部の断面積よりも僅かに小さく、押し込まれると、縁部102c,102dが撓んで凹部102a,102b内に入ることができる。
操作子101が押圧操作されたときに、水平片105b,106bはそれぞれ対応する凹部102a,102bの開口縁部102c,102dに押し付けられて、撓みながら操作子101に対して反力を発生する。その水平片105b,106bが発生する反力は撓み量に応じて徐々に大きくなったのちにピークに達し、その後、水平片105b,106bがそれぞれ対応する凹部102a,102bの開口縁部102a,102bを越えると、反力は減少していき、そののちに無くなる。また、水平片105b,106bが発生する反力は同時にピークに達するように、水平片105b,106bの大きさ、および操作子101との位置関係が設定される。
操作子101の押圧操作を停止すると、コイルバネ103によって操作子101は、上方に付勢される。このとき、操作子101の上昇に対して、開口縁部102c,102dと水平片105b,106bが反力を発生するが、この反力はコイルバネ103の復帰力が大きいため、操作子101は無理なく上昇できる。なお、操作子装置Cにおいては、水平片105b,106bで本発明に係る押圧により弾性変形する部分が構成される。
[第3実施形態に係る操作子装置Cの動作]
操作子101を押圧操作しない状態では、コイルバネ103によって操作子101は上方に付勢されて、図19の状態となる。このとき、垂下片101cの下端部の上面は、上限ストッパ103aに当接する。この状態で、操作部101bを手で押さえて操作子101を下方に押圧すると、操作子101はコイルバネ103の弾性力に抗して、支持部100dの軸部100eを支点として、図19の状態で反時計周り方向に回転する。
操作子101の回転角が所定の角度になると、操作子101の凹部の開口縁部102c,102dが、それぞれ対向するクリックラバー105,106の水平片105b,106bに当接して、水平片105b,106bを押圧し始める。これによって、水平片105b,106bの両側部分は、下方に撓みながら操作子101に対して反力を発生する。さらに、操作子101の回転角が増加すると、水平片105b,106bが発生する反力は徐々に大きくなり、その反力は同時にピークに達する。そして、撓んだ水平片105b,106bが凹部の開口縁部102c,102dを通過して凹部102a,102bの内部に到達すると反力は減少しながらなくなる。
その間、クリックラバー105,106の垂直片105a,106aが、それぞれ対応するセンサ104a,104bを押圧する。センサ104a,104bは、操作子101のストロークを検出し、この検出値は、例えば、トレモロやビブラート等の制御に用いられ、これによって楽音が制御される。そして、操作子101の押圧を停止すると、操作子101は、コイルバネ103の復元力によって上方に付勢され、図19に示した元の状態に戻る。このような操作は、電子楽器が演奏される間繰り返し行われ、演奏者には適度な質量感やクリック感が得られる。
このように、本実施形態に係る操作子装置Cでは、操作子101に形成した凹部102a,102bと、クリックラバー105,106とで反力付与部を構成しているが、これによっても、反力の大きさを十分に大きくすることができ、また、2個のクリックラバー105,106が発生する反力が同時にピークに達することで、良好なクリック感を得ることができる。なお、本実施形態に係る操作子装置Cにおいては、クリックラバー105,106の一方に代えて、前述した反力発生部材25,26等を用いてもよい。
c1.第3実施形態の変形例
図20は、前述した第3実施形態の変形例に係る操作子装置C1の要部を示す。この操作子装置C1では、操作子111の操作子本体111aの下面に、一対の凹部は形成されてなく、操作子本体111aの下面における操作部111bの下方位置に対応する部分から下方に向かって垂下片111cを有する。この垂下片111cは、フレーム110の上面部110aに形成された開口(図示せず)を通って下方に延びて、その下部は左右に二又に分岐されその間に軸部111dが掛け渡される。
上面部110aの下面に、下方に向かって延びる支持部112が取り付けられ、その下端に軸方向を左右に向けた支軸112aが形成される。支軸112aには前後方向に延びる棒状の連動部材113が回動自在に組み付けられる。この連動部材113は、支軸112aに回動自在に組み付けられた回動中心部113aと、回動中心部113aから前方に延びる係合部113bと、回動中心部113aから後方に延びる質量部113cと、質量部113cの自由端側に設けたおもり113dで構成される、係合部113bの前部は、上下に二又に分岐されその間に軸部111dが移動可能に係合する。このため、垂下片111cが上下移動するとその移動に連動して、連動部材113は支軸112aを中心に回転する。このとき、質量部113cに設けたおもり113dの重さで反力を得る。
質量部113cには、ねじを備えたアジャスタ114が取り付けられ、アジャスタ114の上端に押圧部114aが取り付けられる。この押圧部114aは、アジャスタ114を回転操作することにより、上下方向の位置を変更することができる。上面部110aの上面における支持部112の上方に位置する部分に反力発生部材115が設置され、上面部110aの下面における押圧部114aに対向する部分に反力発生部材116が設置される。この反力発生部材115,116は、前述した反力発生部材25,26等と大きさは多少異なるが、形状は反力発生部材25,26等と同じである。この操作子装置C1のそれ以外の部分の構成は、前述した操作子装置Cと同じである。したがって、同一部分に同一符号を記している。
操作子111と反力発生部材115との位置関係および連動部材113と反力発生部材116との位置関係は、前述した式9を満たすように設定される。すなわち、式9におけるL7は、軸部107aと軸部111dとの位置によって定まり、L8は、支軸部111dと軸112aとの位置によって定まる。また、L9は、軸部107aと反力発生部材115との位置によって定まり、L10は、軸112aと反力発生部材116との位置によって定まる。
H7は、被押圧操作時の操作子111の下面と、反力発生部材115が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材115の上端との間の長さで定まり、H8は、被押圧操作時の押圧部114aと、反力発生部材116が発生する反力がピークに達したときの反力発生部材116の下端との間の長さで定まる。また、操作子装置C1では、H8に相当する値をアジャスタ114で調整することができる。このため、操作子111が押圧されたときに、操作子111に対して発生する反力発生部材115の反力と、連動部材113に対して発生する反力発生部材116の反力とが、同時にピークに達するように設定することができる。
[操作子装置C1の動作]
操作子111を押圧操作しない状態では、復帰バネ103によって操作子111は上方に付勢されて図20の状態となる。この状態で、操作部111bを手で押さえて操作子111を下方に押圧すると、操作子111はコイルバネ103の弾性力に抗して、支持部107の軸部107aを支点として、図20の状態から反時計周り方向に回転する。この操作子111の回転に連動して、連動部材113は軸112aを支点として反時計回り方向に回転する。
操作子111の回転角が所定の角度になると、操作子111の下面が反力発生部材115の上端に当接して、反力発生部材115を押圧し始めると同時に、押圧部114aが反力発生部材116の下端に当接して、反力発生部材116を押圧し始める。これによって、反力発生部材115は、操作子111に対して反力を発生し、反力発生部材116は、連動部材113を介して操作子111に対して反力を発生する。操作子111の回転角が増加すると、反力発生部材115,116が発生する反力は徐々に大きくなり、その反力は同時にピークに達する。その後、反力発生部材115,116は同時に座屈して反力は減少していく。
操作子111への押圧を解除すると、操作子111は、コイルバネ103の復元力によって上方に付勢され、図20に示した元の状態に戻る。このような操作は、電子楽器が演奏される間繰り返し行われ、演奏者は、適度な質量感やクリック感が得られる。このように、操作子装置C1には、アジャスタ114が備わるため、反力発生部材115,116が発生する反力が同時にピークに達するように調整が容易にできる。この操作子装置C1のそれ以外の作用効果は、前述した操作子装置Cの作用効果と同様である。
本発明に係る操作子装置は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した各実施形態では、使用する複数の反力発生部材25,26等を同じ形状のもので構成しているが、それぞれ、大きさだけでなく形状の異なるものを組み合わせることもできる。また、反力発生部材25,26等を構成する材料もゴムに限らず、軟質の樹脂材料等、弾性を備えたものであれば使用が可能である。さらに、反力発生部材25,26等と、バネとを組み合わせて反力付与部を構成してもよい。