JP6251696B2 - 光触媒反応装置 - Google Patents
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そこで、近年、紫外線に代わって可視光線で活性化する可視光応答型光触媒の開発が進められ、Sドープ酸化チタンやNドープ酸化チタン等が登場し、自然光に近い条件での活性が得られるものとして活用が期待されている。
その応用例として特許文献1が挙げられ、可視光応答型光触媒を施したフィルターに加湿タンク及び送風機等を配し、そこに照明機構を具備させた空気清浄機が提案されている。
しかし、これら可視光応答型光触媒にあっては、家庭用の冷蔵庫、車、下駄箱等への消臭、殺菌等を図ろうとしたとき、その光触媒効果が未だ不十分であることが否めない。
請求項2記載の光触媒反応装置は、光応答型光触媒をSドープ二酸化チタンとしたことを特徴とする。
又、有隙性素材により気体の内部への流入が促されると共に、通気孔によって速められた気流は、同時に反応層内に乱流を惹起し、その乱流が反応層内部に撹拌効果をもたらし、反応層の内部の光触媒と気流との接触チャンスが増加し、気流に対する触媒の反応性が増大する。
このとき、反応管の内部側面及び反射板の表面が鏡面に形成されているので、反応層内部に入射した光は有隙性素材で散乱されるも鏡面によって反射され、散乱と反射が繰り返されることで、光照射効果が倍増する。
総じて、反応層の表面付近では、ゆっくりした気流とランプからの比較的強い可視光照射で高い反応性が得られ、反応層内部では、反射板の通気孔による乱流効果で接触チャンスが増加すると共に、反応管内面及び反射板表面に施された鏡面でその入射光の効果が倍増し、反応層の表面及び内部の双方で高い反応性が得られる。
その大きさは、対象となる気体の存在形態に合わせて異なるものとし、家庭用冷蔵庫、車、下駄箱等それに合わせた大きさとなる。
又、筒型となる反応管1は、円形管を主とするが、六角形、四角形等の角型であっても良い。
又、ファン4は、送気又は吸気(反応層に対して)のいずれか一方を選択することになるが、図1では送気型を示した。
反射板5及び通気孔6は、導入口2から流入する気体を後述する反応層7の表面側で比較的ゆっくりと、通気孔6付近で速く流れるようにすると共に、該反応層7の内部で乱流が惹起されるよう図るものである。
通気孔6に穿設する数及びその口径は、必要とされる流れの速度及び乱流の状態によって異なるが、例えば、反射板5の直径が48mmの場合、通気孔6の直径を2.0mmとし、その数を25個とする(図3参照)。
該反応層7は、後述の有隙性素材8で形成されるが、その表面には可視光応答形光触媒が施される。
可視光応答型光触媒とは、紫外線によらず可視光によって励起され得る光触媒をいい、例えばSドープ二酸化チタン、Nドープ二酸化チタン等が挙げられる。酸化チタンにイオウ、チッソ等をドーピングさせることで、光触媒の分子構造が変化し、新たなバンドキャップが生まれ、長波長の可視光を吸収可能とすることができるものである。
Sドープ二酸化チタンでは、可視光照射によって、価電子帯側と伝導帯との間にあるドープ順位での電子の抜けた正孔と水のOH基との反応からOHラジカルを、伝導帯側で空気中の酸素と電子との反応でスーパーオキサイドアニオン(O2-)を得る。そこで、本発明装置では、該OHラジカル及びスーパーオキサイドアニオン(O2-)が後述する本発明装置の目的とする気体改質、消臭や殺菌等により有効であることから、還元反応の速いSドープ二酸化チタンがより好ましいものとなる。
例えば、上記Sドープ二酸化チタンの溶液に不織布等の繊維を浸漬させて、それを引きあげて乾燥させることで、繊維の表面及び内部にSドープ二酸化チタンの施された層を形成したものを用いることができる。
可視光ランプ8,8から発せられた光を、一つ目には反応層5に至る側面で、二つ目には反応層5の内部側面で、三つ目には反応層の最奥部となる反射板5で、それぞれ反射し得るものとする。
その鏡面の形成には、ガラス質面を施しても良いが、反応管1及び反射板5にステンレス鋼を用いた場合には、その表面を研磨して鏡面に仕上げることで優れた鏡面とすることができる。
本発明装置で処理対象となるものは、空気中に含まれる水分又は酸素が可視光応答型光触媒の励起によって活性化された場合に、その酸素ラジカル又は活性酸素によって促される気体改質、消臭、殺菌等の処理の可能なものである。具体的には、野菜の老化成分としてのエチレンガス、悪臭成分としての硫化水素、雑菌、ウイルス等を指す。
即ち、従来の酸化チタンは紫外線のみの吸収であったものが、可視光応答型光触媒により、価電子帯より高い位置及び伝導帯より低い位置(バンドキャップ内のエネルギー順位)に電子が存在できる順位が生まれ、可視光が吸収可能となり、光触媒の励起が促されるものとなる。
この光触媒の励起で、価電子帯側では、電子の抜けた正孔と水のOH基が反応して、OHラジカルを発生し、伝導帯側では、空気中の酸素と電子が反応して、スーパーオキサイドアニオン(O2-)の発生が促される。
これにより、後述するエチレンの改質、消臭や殺菌等が可能となる。
このとき、本発明装置では、図2に示す如く、反応管1の中央部に反射板5が設けられ、そこには通気孔6が穿設されているので、この通気孔6によって経路の狭められた気流は、通気孔6付近で流速が速くなる。
例えば、反射板の孔の総面積:S0 、孔を通過する気体の速度:V0 、反応層表面部の面積:S、表面部を流れる気体の速度:V、とすると、
S0V0=SV ・・・(1)より、
V=S0/S×V0 ・・・(2)
が導かれる。
例えば、S0=N0πr0 2 孔の数N0=25、孔の半径r0=1mm,
S=Nπr2、N=1,r=22mm とすると、
(2)式より、V=(25π×12/1π×222)×V0=25/484V0=1/19
が得られる。
即ち、反応層7の入口部付近及び出口部付近の速度に比べて通気孔6付近の気流の速度は約19倍の速さとなる。この通気孔6付近の速い気流に促されて、周囲の相対的に遅い気流との間で回転を伴う乱流が惹起されるものとなる。
この結果、反応層7内では、有隙性素材で形成された光触媒と気流との接触のチャンスが増加し、例えば、不織布内に含浸されたSドープ二酸化チタン光触媒の周りを気流が周回し、気流に含まれるエチレンガス、悪臭成分等との反応の頻度が増大する。
一方、反応層7内にあっては、本来、可視光ランプ8からの照射が減衰し、反応層7内で促されるはずの光触媒反応が低下してしまうことが避けられないものであったが、本発明装置では、当該反応層7内での通気孔6等による乱流作用で接触のチャンスが増大すると共に、そこに有隙性素材で散乱された可視光が鏡面によって反射され、両者が相俟って、反応層7内の反応性の低下を充分に補うものとなる。
従って、本発明装置では、反応層の表面部付近と反応層の内部との双方で、光触媒による励起作用が確保され、総じて極めて高い反応効率が得られるものとなる。
反応管は直径5cm、長さ6cmの円筒型として中央部に反射板を設け、そこに直径2.0mmの通気孔25個を穿設した。可視光ランプには、ブルーLEDランプ(電圧3.4V、電流20mA)6個と、グリーンLEDランプ(3.4V、20mA)4個を並列で使用し、消費電力を0.68Wとした。有隙性素材にはSドープ二酸化チタン積層メッシュの不織布((株)ピアレックス・テクノロジーズ製・商標名ピュアコートV)を、厚さ1cmで面積15.2cm2 で2枚使用した。
その結果が図4に示す如くで、エチレン濃度の初期値(t=0)は125ppmで、容器中で自然減衰し、40分後ではほぼ飽和状態となった。
40分後にLEDランプを照射すると、照射後エチレンの減衰量が増加することが確認された。
2 導入口
3 排出口
4 ファン
5 反射板
6 通気孔
7 反応層
8 可視光ランプ
9 ファン用電源
10 ランプ用電源
Claims (2)
- 導入口と排出口を配した筒型の反応管の一方に送気又は吸引のファンを備えてなり、
a)該反応管の中央部に反射板を設けると共に、該反射板に乱流を惹起する通気孔を穿設し、
b)該反射板の通気孔を挟んで導入口側及び排出口側の双方に、可視光応答型光触媒を施した不織布の繊維層から成る有隙性素材で形成する反応層を配設し、
c)該反応層に向けて可視光を照射する可視光ランプを配設し、
d)前記反応管の内面及び反射板の表面を鏡面に形成した、
ことを特徴とする光触媒反応装置。 - 請求項1記載の可視光応答型光触媒を、Sドープ二酸化チタンとしたことを特徴とする光触媒反応装置。
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