JP2009247546A - 空気浄化フィルターおよび空気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力損失を生じさせることなく、光をフィルターの奥まで到達させることができる空気浄化フィルター及び前記フィルターを備えた空気浄化装置を提供すること。
【解決手段】光触媒により汚染空気中の被除去成分を除去するフィルターであって、該フィルターを構成する基材92の表面は、前記光触媒によって構成される光触媒領域90と、光反射部材によって構成される光反射領域91とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、光触媒を用いて空気中の汚染物質を除去する空気浄化フィルターと空気浄化装置に関する。
従来より、空気浄化装置は、空気中のタバコの臭い、食品の臭い、体臭、ペット臭、建築物の臭い、揮発性有機化合物(略称VOC)等に起因する塗装や塗料の臭い、又は、自動車の排気ガスの臭い(NOx等)などの臭気成分や有害成分を除去する目的で、家庭、店舗、工場、又は、医療機関などで使用されている。
従来の空気浄化装置においては、活性炭やゼオライトなどの吸着剤から成る吸着部材を使用し、空気中の臭気成分や有害成分を吸着除去するものがあるが、これらの装置においては吸着部材が上記の臭気成分や有害成分をほぼ飽和状態になるまで吸着すると空気浄化性能が大幅に低下するため、吸着部材を定期的に交換する必要がある。
そこで、光触媒の持つ強力な酸化力で、空気中の臭気や有害な成分を除去する方法が注目されている。光触媒は、通常所定形状の基板表面あるいは気孔の内部に固定され、空気浄化装置の酸化触媒フィルターとしての役割を果たす。この空気浄化装置においては触媒を担持した充填物から成るフィルターやハニカム型流路構造のフィルターが広く採用されているが、前者は反応効率を高くできるが圧力損失が大きいという課題が、後者は圧力損失小さいが反応効率が低いという課題を有する。
最近、空気浄化装置のフィルターとして3次元網目構造のフィルターが注目されており、材質がプラスチック繊維(例えばポリウレタン、ポリエチレンなどの樹脂)のものからセラミックから成る網目状構造体のものまである(特許文献1又は2参照)。
このような3次元網目構造からなるフィルターでは、光触媒フィルター内部に入った光が内部全体に満遍なく当たるようにするために、フィルター基材に担持されている光触媒以外に反射部材も担持することで内部で光を繰り返し反射・伝播させるといった工夫を凝らしたものが見られる(特許文献3又は4参照)。
さらに、乱反射層を設けて、光触媒層自体の活性化を図ったものが提案されている(特許文献5参照)。
特開2004−351381号公報 特開2003−240294号公報 特開2001−70415号公報 特開2004−16832号公報 特開平11−285643号公報

従来の光触媒フィルターを使用した空気浄化装置においては下記のような問題点が内在していた。
前記特許文献1又は2記載の3次元網目構造のフィルターに、特許文献3又は4の技術を適用した場合、光触媒だけでなく微小な反射部材もいっしょに担持することになり、フィルターのコストが新たにかかるといった課題や、微小な反射部材では光が流路の奥に行くうちに繰り返し反射することで大きく減衰してしまい結局フィルター奥側では光触媒活性が得られるはずの想定照度に達しないといった本質的な問題が残っている。
また、光触媒フィルター内部に多数の反射部材を(光触媒が担持されたフィルター基材以外の空き領域に)設けると新たな圧力損失が生じること、反射部材が反って光触媒への光の入射を遮ること、などの問題が新たに生じる。
また、特許文献5に記載の乱反射層の技術では、その反射光はその層内の内部に止まり外部に出るものではなく、その光触媒層自体の活性化を図るものであり、フィルターの奥まで光を万遍なく届けるものではなかった。
そこで、本発明は、圧力損失を生じさせることなく、光をフィルターの奥まで到達させることができる空気浄化フィルター及び前記フィルターを備えた空気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するため次の手段を講じた。すなわち、本発明の特徴とするところは、光触媒により汚染空気中の被除去成分を除去するフィルターであって、該フィルターを構成する基材の表面は、前記光触媒によって構成される光触媒領域と、光反射部材によって構成される光反射領域とを有する点にある。
前記光触媒領域と光反射領域が、断面構造において一層構造とされていることができる。また、前記光触媒領域と光反射領域が、断面構造において二層構造とされていることもできる。
前記二層構造では、前記基材表面に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層の上に前記光触媒と透光部材との混合からなる光触媒層が形成されていることができる。
また、前記基材表面に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層の上に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層は前記光触媒が散在してなることもできる。
前記基材表面に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層の上に前記光反射部材と透光部材との混合からなる光反射層が形成されていることもできる。
前記基材表面に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層の上に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層は前記光反射部材が縞状にパターン形成されてなることもできる。
前記光反射層と光触媒層の間に透光性の絶縁層が介在されているのが好ましい。
前記絶縁層は、シリカもしくはジルコニアであることが好ましい。
光触媒層の上に光反射層が形成されている場合の両者間の絶縁層は、セラミックスとすることができる。
前記光反射領域の反射率が80%以上であることが好ましい。この場合、前記光反射領域は、金属もしくは金属の化合物からなるのが好ましい。前記金属もしくは金属の化合物は、アルミニウムもしくはアルミニウムの化合物であるのが好ましい。
前記基材が3次元網目構造体からなることができる。
前記基材がハニカムフィルターからなることもできる。
また、本発明の汚染空気を浄化する空気浄化装置の特徴とするところは、前記空気浄化フィルターと光源とを有する点にある。
本発明によれば、圧力損失を生じさせることなく、光をフィルターの奥まで到達させることができ、光触媒の大半に効率的に光を照射して触媒活性を持たせ、浄化作用をもたらしめることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すものは、本発明に係る空気浄化装置の構成図である。
本発明の汚染空気を浄化する装置は、空気浄化フィルター2と光源4とを有する。
前記空気浄化フィルター2は、光触媒により汚染空気を浄化するフィルターであって、その詳細については後述する。
尚、この実施の形態においては、空気浄化フィルター2は、その内部に光触媒機能を有した酸化チタンの層がコーティングされている。本発明の実施例においてはフィルター基材に紫外光で光触媒活性を示すアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタン層をコーティングしている。
なお、実施の形態における空気浄化装置は、主としてアセトアルデヒドを除去するものであるが、本発明はこれに限定されず、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類やアンモニア、トリメチルアミン等の窒化物、硫化水素やメチルメルカプタン等の硫化物、トルエン、キシレン等のVOC(揮発性有機物質)等の汚染物質を除去するものである。
前記空気浄化フィルター2は、空気が流れる流路内に配置されている。この流路はケース10内に形成されている。このケース10には、空気の入口1と出口7を有し、この入口1と出口7間に流路が形成されている。さらに、前記流路に空気を送るための送風機5が設けられている。前記送風機5は、空気浄化装置の制御装置6によってON/OFF制御されている。
前記光源4は前記空気浄化フィルター2の近傍に配置された照明部3に設けられている。この照明部3に、複数のLEDから成る光源4が設けられている。
この実施の形態では、光源4としてLED(発光ダイオード)を使用したがこれに限定されるものではない。ここで照明部3は本来蛍光灯やブラックライトなどのランプであろうがLEDであろうが光源の代わりになるのであれば何でも構わない。LEDはエピテックス社の紫外線LED(型番L385−05)を使用した。使用した紫外線LEDの仕様は波長385nmで、放射角(出力が半分になる広がり角度のこと)が±3度、照度は25mcdである。LED照明部3は通気性のある平面基板上全面にこれらの紫外線LEDを等間隔に実装したものである。LED照明部の基板3にはLEDを駆動する回路が設けられており、送風機と同様に制御装置6で発光のON/OFF制御がなされる。
空気浄化装置10をON動作させた場合、送風機5が回転して汚染空気をケースの入口1に吸い込み、次いで汚染空気が空気浄化フィルター2内部の流路に入った後、光源からの発光で照らされた空気浄化フィルター2内部の光触媒表面上で酸化・分解処理される。こうして浄化され空気浄化フィルター2から出てきた空気は通気性のある照明部3を通り抜けるか迂回するかして、送風機5を通って排出口7から排出される。
尚、本発明の空気浄化装置の浄化用空間を構成するケース10の寸法は縦22cm、横22cm、奥行き30cmである。この中に空気浄化フィルター2、LED照明部3、送風機5が収まっている。空気浄化フィルター2はケースとの隙間を埋めるために1cm幅の樹脂製の外枠がつけられており気流漏れを防いでいる。
本発明に係る空気浄化フィルターの寸法は縦20cm、横20cm、奥行き5cmである。フィルターの基材は、通常セラミックス(例えばコージェライト;Al2O3−MgO−SiO2を含有)を使用する。
なお、金属(特にアルミニウム)をフィルター基材として用いることもできる。
以下、前記本発明に係る空気浄化装置に用いられる、空気浄化フィルター2につき説明する。なお、具体的な実施の形態を説明する前に、模式図を用いて、本発明の概念を説明する。
図2に示すように、本発明の空気浄化フィルターは、該フィルターを構成する基材の表面において、光触媒によって構成される光触媒領域90と、反射部材によって構成される光反射領域91とを有するものである。
図3に示すものは、前記基材92の断面模式図であり、前記光触媒領域90と光反射領域91が、断面構造において一層構造とされている。
前記光触媒領域90は、所定粒径の前記光触媒によって構成され、前記光反射領域91は、前記光触媒の粒径とほぼ同程度の粒径の光反射部材によって構成されている。前記光触媒の粒径は、1nm〜10μmであるのが好ましい。この実施の形態では、光触媒と光反射部材の粒径は、2μmとされている。
層厚は0.1〜100μmが好ましい。また、前記光反射部材は、金属微粒子であることが好ましい。
光触媒として酸化チタンを用い、光反射部材としてアルミニウムを用いた場合、前記光触媒領域90と反射領域91の比率は、1:0.5〜6が有効であった(1が光触媒領域)。
図4に示すものは、前記光触媒領域90と光反射領域91が、断面構造において二層構造とされているものである。前記基材92の表面に前記光反射部材からなる光反射層91が形成されて光反射領域91が構成され(なお光反射領域と光反射層は同じ符号を付している)。該光反射層91の上に前記光触媒90と透光部材93との混合からなる光触媒層94が形成されている(なお光触媒領域と光触媒とは同じ符号を付している)。
前記透光部材93としては、シリカ(微粒二酸化ケイ素)が例示される。光触媒90と透光部材93の混合比率は、TiO2:SiO2=1:2が好ましい。
図5に示すものは、前記基材92の表面に前記光反射部材からなる光反射層91が形成され、該光反射層91の上に前記光触媒からなる光触媒層90が散点状に形成されているものである。
なお、前記図4及び図5においては、基材92の表面に反射層91を形成したが、基材92そのものがアルミニウムなどの反射部材で構成されている場合、前記光反射層は不要であり、基材92の表面に直接光触媒層90を形成すれば足りる。
図6に示すものは、前記基材92の表面に前記光触媒からなる光触媒層90が形成され、該光触媒層90の上に前記光反射部材91と透光部材93との混合からなる光反射層95が形成されているものである。光反射部材91としてのアルミニウム微粒子の粒径は0.1〜100μmであり、透光部材93としてのシリカ微粒子の粒径は5〜100nmで、その光反射層95の層の厚みは、1〜100μmが好ましい。
図7に示すものは、前記基材92の表面に前記光触媒からなる光触媒層90が形成され、該光触媒層90の上に前記光反射部材からなる光反射層91が散点状に形成されているものである。
以下、更に詳しく本発明の実施の形態を説明する。
本発明の空気浄化フィルター内部形状は、図8に示すような3次元の網目構造、あるいは、図14に示すようなハニカム型流路構造である。
[第1の実施形態]
図8に示すように、空気浄化フィルター20の一部である網目21の断面を見ると、同図(a)に示すように、フィルター基材22の表面に光反射層23が形成され、該光反射層23の表面に光触媒層24が形成されている(前記図4,5に対応するもの)。
前記フィルター基材22は通常セラミックスから構成される。セラミックの主な成分はコージェライト(Al2O3−MgO−SiO2を含有)、アルミナ、シリカ、ムライトなどである。この実施の形態では、セラミックスはコージェライト、アルミナ、炭化珪素等から選ばれるが、コージェライトが一般に多く使用される。
前記光反射層23は、紫外光あるいは可視光を効率的に反射することができる膜状のものである。この実施の形態では、光反射層23は金属からなるものである。金属はアルミニウム、もしくはその合金、あるいは銀、もしくはその合金などであり、アルミニウムと銀の合金も該当する。その中でアルミニウムが最も適している。アルミニウムの可視光および紫外光に対する反射特性は他の金属に比べて広帯域にわたって非常に高い。よって、本発明の実施例においては光反射層23としてアルミニウムの膜を使用した。
この実施の形態では、前記光触媒層24は透光性を有して前記光反射層23の上に形成されている。そして、前記光反射層23は、波長320nm〜500nmの光を80%以上反射するものとされている。
フィルター基材22へのアルミニウムの成膜方法は以下の方法がある。
即ち、液浸法(電解めっき法)、蒸着法、スパッタ法などである。但し、電界めっきで気密性の高いフィルター基材(セラミックス)上に均一にアルミめっきするのは難しい。そこで本発明においては電子線ビーム蒸着法を採用し、蒸着によってフィルター基材表面にアルミニウムの膜を形成した。電子線ビーム蒸着装置の内部で3次元網目構造のフィルターを蒸着源(アルミニウムの塊)に対して垂直な2軸で回転させながら蒸着させることでフィルター内部に満遍なく均一な膜厚のアルミニウム膜が得られた。
こうして得られたアルミニウムの光反射層23は波長385nmの紫外光に対して90%程度の反射率を示した(島津製作所の分光光度計UV−2450を使用して反射率を測定した。)。また、可視光領域(波長400〜700nm)のほぼ全域に渡って90%以上の反射率を有している。
尚、成膜したアルミニウム膜は外気に接触し続けることで常温でも次第に酸化され最表面はアルミナ(Al2O3)に変化してしまう。この場合でも80%以上の反射率を有しており本発明としての効果は十分満たしている。よって、本発明の光反射層は波長320nm〜500nmの光を80%以上反射するものとする。なお、アルミニウム以外の他の金属(銀など)であっても、紫外光の高反射特性を有する金属についても同じである。
また、アルミ上に薄いアルミナの膜ができても、80%以上の反射率を持っている場合があるので、本発明においては、金属のみならずその化合物も本発明の範囲に含まれるものである。
光触媒は波長400nm以下の紫外光あるいは波長400nm以上の可視光を照射することによって励起され、触媒表面で生成したOHラジカルや活性酸素などによって汚染物質は酸化・分解し除去される。通常、光触媒は酸化チタンや酸化亜鉛、あるいはこれらの混合物などで構成される。酸化チタンは紫外光で光触媒活性を持つことが広く知られているが、酸化チタンに窒素ドープしたもの、硫黄ドープしたもの、炭素ドープしたもの、遷移金属をドープしたものなどが波長400nm以上の可視光でも光触媒活性を持つことが知られている。特に酸化チタンに窒素ドープしたものは安定な特性を有する。
光触媒として、例えば酸化チタンや窒素ドープした酸化チタンを活性化させるには通常波長320nm〜500nmの光を照射する必要があるが、前記金属からなる光反射層23は、この波長域を効率的に反射する。
このことからも可視光で活性化する光触媒(窒素ドープ酸化チタン、遷移金属ドープ酸化チタンなど)にも使えることが容易にわかる。
即ち、前記光触媒層が、窒素、硫黄、炭素又は遷移金属の何れかからなる不純物をドープした酸化チタンを含有することができる。
この実施の形態では、前記光反射層23の上に形成される光触媒層24は、遷移金属酸化物からなる。そして、その遷移金属酸化物は、酸化チタンとされている。
さて、ここで実際にフィルター表面に光を照射したとき、光触媒層24がほぼ完全に酸化チタンで構成されており、光がほとんど吸収されるほど厚い層である場合、光は光触媒層にすべて吸収され下地の光反射層は全く意味をなさなくなる。
そこで光触媒層24には、透光性を有することが必要になる。透光性を有するためには、以下の2つの条件のうちいずれかが必要となる。
即ち、光触媒層24が光を透過するほど薄い層であること。この場合、厚さが1μm以下であれば該光触媒層24を多少とも透過し下地の光反射層23で反射することができる。
もう一つの条件は光触媒層24が酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の混合層から構成されていることで、酸化珪素(SiO2)を混ぜることで光透過性が増す(前記図4に対応する構成)。
2つの条件の後者に関しては下地の光反射層23の性能を発揮するのに最も重要な要素となる。よって、該光触媒層24は酸化珪素(SiO2)のような透明(透光性)絶縁体を含有する光触媒層であることを特徴としている。透明絶縁体は透光性セラミックが適しており、酸化珪素(シリカ)以外に酸化ジルコニウム(ジルコニア)や酸化トリウム(トリア)などが知られている。
光触媒である酸化チタン微粒子との接着性に関しては酸化珪素(シリカ)が最も好ましくセラミックな膜を形成しやすい。そこでこの実施の形態においては透光性を有する絶縁体として酸化珪素(シリカ)を使用した。
光触媒層24の成膜方法としては、ゾル-ゲル法、浸漬法(ディップコート法)、スピンコート法、吹き付け法(スプレー法)、スパッタ法、イオンクラスタービーム法、化学気相成長法(CVD法)、溶射法(高温スプレー法)などが知られている。本発明に関連して代表的な成膜方法はゾル-ゲル法であり、酸化チタン微粒子を分散させた有機系溶液(ゾル)を基材上に塗布してゲル化させ、100℃以上の焼成処理により均一で緻密な酸化チタンの膜(コート層)を形成する。この場合の塗布方法は浸漬法(ディップコート法)、スピンコート法、吹き付け法(スプレー法)のいずれでもよい。
この実施の形態においては、浸漬法(ディップコート法)でフィルター基材に酸化チタン分散溶液を塗布した。塗布した後、乾燥・焼成処理を行なうことでセラミックフィルター基材表面に均一な膜厚の酸化チタンコート層が得られる。
尚、本発明の実施の形態において使用される光触媒コート層の形成方法につき説明する。
≪ケイ酸ナトリウム溶液の調整≫
まず、ビーカに脱イオン化した蒸留水を入れ、これにケイ酸ナトリウム溶液を溶解させ、濃度が0.8〜1.5mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液を作製する。この時のケイ酸ナトリウム水溶液の温度は20〜30℃であることが好ましい。
≪強酸性イオン交換樹脂の添加≫
次に、ケイ酸ナトリウム水溶液に、pH1が2.68〜3.60になるまで、H+型強酸性イオン交換樹脂を加える。ここで、pH1とは、強酸性イオン交換樹脂によるイオン交換終了時の水溶液のpHのことをいい、該pHによってナトリウムイオンと交換されたH+とOH-との中和反応の進行度、つまりナトリウムイオンの交換度合いを認識することができる。このH+型強酸性イオン交換樹脂としては、蒸留水に24時間以上浸したH+型強酸性イオン交換樹脂を使用することが好ましく、蒸留水に浸したH+型強酸性イオン交換樹脂を60メッシュ以下のふるいにかけて分別し、ふるいを通ったものを使用することがより好ましい。
≪強酸性イオン交換樹脂の除去≫
次に、pH1が2.68〜3.60にした時点で、H+型強酸性イオン交換樹脂を加えるのを止め、ふるいでビーカ中の強酸性イオン交換樹脂を取り除いてケイ酸ナトリウム水溶液を調整する。
≪重合≫
次に、強酸性イオン交換樹脂を取り除くと、重合(ゲル化)が進行し、これに伴いpH1は少しずつ増加する。
≪二酸化チタン粉体の添加≫
次に、該ケイ酸ナトリウム水溶液に二酸化チタン粉体を適量加え、超音波などを用いて二酸化チタン粉体を拡散させる。
≪シリカゾル溶液への浸漬≫
次に、調整した該シリカゾル溶液に、金属製、またはセラミック製のハニカム基体を、5〜25℃の条件で5〜10秒間浸漬し、この後該ハニカム基体の水分を乾燥除去する。この浸漬・乾燥サイクルを5〜10回繰り返す。なおこのとき、ハニカム基体のチャネル径は0.5〜1.5mmであることが好ましい。
≪吸湿性コート層の作製≫
この後、20℃〜30℃、湿度30〜60%の雰囲気中に0.1〜1時間放置する。放置後、100〜130℃の恒温槽の中に1〜2時間放置してエージングして、金属ハニカム11の上に多孔質シリカと二酸化チタンとを含む吸湿性コート層を形成する。
上記構成の空気浄化フィルターにおいて、光反射層をアルミニウムとし、光触媒層を酸化チタン:酸化珪素=1:2の混合層としたものとして、前記図1に示す空気浄化装置に用いれば、LED光源4からの照射された光により該フィルター2の光入射面からフィルター2内部の更に奥まった場所まで照らせるようにすることができ、フィルター内部全体に満遍なく光を当てることができた(「表1」の「例1−A」に対応)。
図8(b)に示すものは別の実施形態である。尚、前記(a)に示す実施の形態と同じ部材でも符号は異なるものとしている。符号の付し方については以下同じ。
フィルター基材25表面は多孔質になっており、孔内部の表面も含めて光反射層26が形成されている。更にその表面に光触媒層27が形成されている。これにより光触媒の担持面積が増えるだけでなく反射面積も増え、光の伝播効率は向上し、光の届いていないフィルター内部の領域に光を当てることが可能になる。
光反射層26及び光触媒層27は、前記と同じ方法で前記と同じ材質・構造の膜である。
なお、光反射層26をアルミニウムとし、光触媒層27を酸化チタン:酸化珪素=1:2の混合層とした場合が、「表1」の「例1−B」に対応するものである。
図8(c)に示すものは、更に別の実施形態であり、前記光触媒層と光反射層とは混合された層として形成され、該混合層29は、光触媒と光反射部材をモル混合比で1:0.5〜4で混合されたものである(前記図3に相当する構成)。
すなわち、フィルター基材28表面に光反射領域と光触媒領域を一層構造として形成している。フィルター基材28表面のコート層29は光触媒(例えば酸化チタン)と反射部材(例えばアルミニウム)の混合層から形成されており、その表面は光触媒活性と光反射特性を共に有している。
当該混合層29は酸化チタンとアルミニウムの微粒子をモル混合比1:0.5〜4で混合した分散エタノール溶液にフィルター基材を浸漬し乾燥・焼成させることで作製した。
前記混合における、混合層内部では各々の同種微粒子同士が凝集し混合膜構造となる。すなわち、前記「特許文献4」記載のように反射部材が点状に散在しているのではなく、同種の微粒子は、数珠繋ぎに凝集し網目状のパターン(縞状パターン)になる。また更に凝集が進むと多孔質な膜になる。
混合層内部で凝集したアルミニウムが酸化されないよう100〜200℃程度で焼成した。なお、本発明でいう「層」は、このような混合層も含むものである。
その結果、光触媒領域よりも倍の広さを持った反射領域が形成された層となり、反射効率が良好となっている(「表1」の「例1−C−1から1−C−4」に対応)。
[第2の実施形態]
図9に示すものは、他の実施の形態であり、前記光反射層と光触媒層との間に、透光性の絶縁層が設けられている。
前記絶縁層はセラミックスから構成されている。また、前記絶縁層は、酸化珪素、酸化ジルコニウムのいずれかからなるものである。
即ち、図9(a)に示すようにフィルター基材31表面に光反射層32を形成し、更に光触媒層33を形成すると、2層のコート層を有する光触媒フィルターが出来上がる。しかしながら、光触媒層33の主要な光触媒を成す酸化チタン微粒子は半導体であり、光を照射した際に微粒子表面近傍に電子と正孔のペア(対)を形成する。これにより水や酸素などが光触媒に触れると活性酸素(ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドアニオン等)を生成する。この活性酸素が臭気成分や有害成分を分解する。ところが金属が酸化チタン微粒子に接していると半導体微粒子である酸化チタンで形成された電子と正孔がすぐに再結合し活性酸素の速やかな生成を阻害することになる。(あるいは酸化チタン微粒子表面に形成された電子が下地の金属に逃げてしまうのが活性酸素の速やかな生成を阻害することになる。)そこで光触媒と金属である反射層を直接接触しないようにすることが重要になる。
そこで、この実施の形態では、図9(b)に示すように、フィルター基材31に光反射層32を形成した後、金属である反射コート層が光触媒層33に直接触れないよう層間絶縁層34を形成した。
このとき、絶縁層34が不透明だと光を反射させることができないため、透光性を有する材料を選ぶ必要がある。透光性材料としては透明なものがある。そこで、絶縁層34は透明なセラミック(酸化珪素、ジルコニア、トリアなど)により形成した。特に光触媒である酸化チタン微粒子と接着しやすい酸化珪素(シリカ)微粒子が最も好ましい。
即ち、前記光触媒層33が触媒活性の無いセラミックスと混合されてなる。そして、前記触媒活性の無いセラミックスは酸化珪素から成る。
図9(b)に示すように光反射層(アルミニウム)32上に透明絶縁層(シリカ)34を形成した後、光触媒層(酸化チタン:シリカ=1:2)33を形成して活性酸素の生成阻害を防いだ光触媒フィルターが出来上がる。
透明な層間絶縁層34の作製方法は酸化チタンコート層の作製方法と同様にゾルゲル法を用いた。フィルターを浸漬・乾燥・焼成することでアルミニウム膜上にシリカ膜が形成される。焼成温度はアルミニウムが酸化されないよう100〜200℃程度が好ましい(「表1」の「例2」に該当)。
[第3の実施形態]
図10に示す他の実施の形態は、前記光触媒層の上に光反射体を担持して前記光反射層が形成されているものである。この光反射体は、アルミニウムもしくはアルミナの微粒子からなる。
即ち、図10(a)に示すようにフィルター基材42上に光触媒層43を形成し、この光触媒層43上に光を反射・散乱することを特徴とする微粒子44を分散・担持している。即ち、光触媒層43の上に光反射層44が散点状に形成されている。これによりフィルター基材41に届いた光の一部は微粒子44によって反射され別のフィルター部分へと散乱されることになる(前記図7に相当)。
即ち、光を反射・散乱させる微粒子をフィルター表面に担持することで上記各実施の形態と同様の効果を得ることが可能になる。
前記微粒子44は通常金属から成っており、反射特性としてはアルミニウムが好ましい。しかしながら、アルミニウム微粒子はセラミック上では形成しにくくコート層上に接着しにくい。そこでアルミニウム微粒子の代わりにアルミナ(Al2O3)微粒子あるいは銀(Ag)微粒子などを用いるのが良い。また、これらの微粒子は量子サイズ効果などにより優れた触媒能力を有しており、有機物が接触すると常温以上で酸化分解させることができる。
上記のようにアルミナ(Al2O3)微粒子あるいは銀(Ag)微粒子などを用いることで光の反射・散乱により光触媒の反応効率の向上を図ると共に微粒子自体の触媒効果を生かすことが可能になる。
この実施の形態では、アルミナ(Al2O3)微粒子を担持した(「表1」の「例3−A」が対応)。
上記の構成から明らかのように、本発明でいうところの「層」とは、一定の厚みが連続したものに限らず、微粒子等による不連続状のものであってもよい。
図10(b)に示すものは、別の実施の形態であり、前記光反射層は前記光触媒層の上に形成され、該光反射層は光反射体及び透明絶縁体の混合層からなるものである(前記図6に対応)。この混合層は多孔性であることが好ましい。また前記混合層はアルミニウムとシリカからなるのが好ましい。
即ち、光触媒層43上に微粒子だけを担持する代わりに反射部材(金属等)と透明絶縁体を混合した層45を形成した。これにより光触媒の表面が別の層で完全に覆われてしまい外気との接触が絶たれてしまうように見えるが、前記混合層45は多孔性で下地の光触媒コート層まで通じているよう形成されているのも特徴となっている。これにより上記のように微粒子を担持した場合に匹敵する反射性能と浄化性能を得ることができる。
反射部材(金属等)と透明絶縁体の混合層45の作成方法および多孔質形成方法を以下に述べる。
本実施の形態においては、アルミニウム微粒子とシリカ微粒子をモル混合比1:2で分散させたエタノール溶液にフィルターを浸漬し乾燥・焼成させることで作製した。このとき、アルミニウム微粒子と同程度の量のポリマービーズ(10〜100μm径)もあらかじめ分散エタノール溶液に混入させておき、混合層内部で凝集したアルミニウムが酸化されないよう200℃程度で焼成した。アルミニウム微粒子とシリカ微粒子の混合層内部では各々が同種微粒子同士で数珠繋ぎ状に凝集し混合膜構造(縞状パターン)となるが、焼成中にポリマービーズは溶融・蒸発して除去され、除去された領域はそのまま多数の孔となって残る。このようにして多孔質な反射体(金属等)と透明絶縁体の混合層が形成される(「表1」の「例3−B」が対応)。
なお、光触媒層の上に光反射層が形成されるものにおいて、両者間に形成される絶縁層は、必ずしも透光性を有する必要はない。透光性を有しない絶縁層としてはセラミックを用いることができる。
[第4の実施形態]
図11に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、前記光反射層は、フィルター基材の3次元網目構造体の表面自体により構成され、前記光触媒層は、前記3次元網目構造体の表面に直接形成されているものである。前記フィルター基材はアルミニウムからなるのが好ましい。前記光触媒層は酸化チタン微粒子からなるのが好ましい。
図11(a)に示すように、フィルター基材52自体を金属にすること、特に光反射特性の良いアルミニウムを用いることで光反射効率(光触媒の反応効率)の向上を図ることができる。
但し、通常のアルミニウムのフィルター基材52は作製時の加熱処理や常温でも外気に触れると次第に酸化されることで表面がアルミナに変わり反射特性が劣化している。そこで本発明に使用したアルミニウムのフィルター基材は作製した後、酸やアルカリ溶液などで表面処理(エッチング処理)を行い、次の成膜工程前まで表面が酸化されないよう速やかに保護膜(酸化防止膜)をつけるのが良い。保護膜は酸素の含有量が少ないこと、通気性がほとんどないこと、低温でも除去処理可能であること、アルミニウムと常温で反応する成分を含んでいないことなどを満たすならば、アルミニウム以外の金属(例えばニッケル)でもポリマーでも膜質は問わない。ニッケルを成膜する場合、電解めっき処理を使用することができる。フィルター基材表面に成膜した保護膜は次の光触媒担持工程前に除去される。(ニッケルの場合は硝酸などで除去する)。
図11(a)に示すように、フィルター基材52上には光触媒担持体53が一定の厚みを持って連続して形成されているのではなく、孤立して形成されており、該担持体を構成する光触媒微粒子と外気との接触面積が増えるよう工夫している(前記図5における反射層が基材自体とされたものに相当)。光触媒層を形成したときに用いた浸漬法(ディッピング)ではなくスプレー法を用いた。酸化チタンの微粒子をエタノールに分散させた溶液を空気中に飛散させることでフィルターに光触媒担持体53を形成した。
こうして図11(a)に示すように、金属(特にアルミニウム)から成るフィルター基材52上に酸化チタン微粒子から成る光触媒担持体53を形成することで光触媒効率の向上を図ることができる(「表1」の「例4−A」に相当)。
次に、フィルター基材が金属であることから接触する光触媒担持体に形成された電子・正孔対が再結合することで活性酸素の生成が抑えられることが懸念される。
本発明の別の実施形態としてフィルター基材52表面に薄い透明絶縁層を形成しその後光触媒担持体53を形成することで金属であるフィルター基材と光触媒担持体との接触を防ぎ、光触媒担持体に形成された電子・正孔対の再結合を防ぐことができる(「表1」の「例4−B」に相当)。
図11(b)に示すように、本発明の別の実施形態として、微粒子の集まりである光触媒担持体53の代わりに光触媒の微粒子54自体を孤立状態(散点状)でフィルター基材52に多数担持させることで触媒性能を更に向上させることができる。光触媒の微粒子自体の担持は有機溶媒中で分散されたミセル状の光触媒をフィルター内部に付着させ乾燥・焼成することで可能となる(「表1」の「例4−C」に相当)。
また、図11(c)に示すように、本発明の別の実施形態としてフィルター基材52表面に透明絶縁体を含有した光触媒層55を形成することで反射部分が直接外気に触れなくても光触媒層55の透明領域を通して光が入射し金属の基材表面で反射できるよう工夫することができる。
該光触媒層55は例えば酸化チタンと酸化珪素の混合層(モル混合比1:2)である。この場合はスプレー法を使わずに浸漬法で形成するためコート層の膜厚の制御がしやすく、また光触媒領域と透明領域(反射領域)の面積比も制御できる(酸化チタンと酸化珪素のモル混合比から推定可能)という利点がある(「表1」の「例4−D」参照)。
[第5の実施形態]
図12に示すものは、本発明の一つの実施形態であり、フィルター基材61上に光反射層(アルミニウム)63を形成した後、各々孤立した光触媒担持体62により光触媒層を形成する(前記図5に相当するもの)。
前記図12に示す実施形態においてはフィルター基材が金属であったが、3次元の網目状フィルターは通常金属よりもセラミックスであるため、図12に示すようにフィルター基材61上に光反射層(アルミニウム)63を形成した後、光触媒担持体62を形成する(光触媒層を散点状に形成する)のが好ましい。光触媒担持体62は光触媒の微粒子自体にも置き換えても効果的である。
微粒子の集まりである光触媒担持体62の形成は通常スプレー法を用いる。光触媒の微粒子自体の担持は有機溶媒中で分散されたミセル状の光触媒をフィルター内部に付着させ乾燥・焼成することで可能となる(「表1」の「例5」参照)。
[第6の実施形態]
図13に示すものは、本発明の一つの実施形態としてフィルター基材71上に光反射層(アルミニウム)74を形成した後、透明絶縁層(シリカ)73を形成、更に各々孤立した光触媒担持体72により光触媒層を形成する。
上記図12の実施形態においては金属である光反射層が光触媒担持体中の酸化チタン微粒子に接しているため(半導体微粒子である)酸化チタンで形成された電子と正孔がすぐに再結合し活性酸素の速やかな生成を阻害することになる。(あるいは酸化チタン微粒子表面に形成された電子が下地の金属に逃げてしまうのが活性酸素の速やかな生成を阻害することになる)。
そこで光触媒と金属である反射層を直接接触しないようにすることが重要になる。よって反射コート層と光触媒担持体の間に透明絶縁層を設けた(「表1」の「例6」参照)。
[第7の実施形態]
前記第1〜第6の実施形態は主として3次元の網目状フィルターに関するものであった。
ここでは主にハニカム型流路構造のフィルターに光触媒を担持したものに限定して本発明の実施形態を説明する。
本発明の一つの実施形態としてハニカム流路構造の光触媒フィルターの流路内部に反射コート層および光触媒コート層を設ける。
例えば図14に示すように該フィルター80の一部である流路81の断面を見ると、流路81は(ハニカム状の)流路壁82と流路開孔部84から成っており、流路の壁を為すフィルター基材82表面には反射コート層85が形成されており、更にその表面に光触媒コート層83が形成されている。
該フィルター基材82は通常金属もしくはセラミックスから構成される。基材が金属の場合はSUSなどの鉄製であることが多く、次いでアルミニウムなどが採用されている。基材がセラミックスの場合はコージェライト、アルミナ、炭化珪素等から選ばれるが、コージェライトが一般に多く使用される。その他、該フィルター基材82が活性炭やゼオライトから成るものが知られている。反射コート層85は紫外光あるいは可視光を効率的に反射することができる膜状のもので、金属膜から成る。本発明で使用される光触媒、例えば酸化チタンや窒素ドープした酸化チタンを活性化させるには通常波長320nm〜500nmの光を照射する必要がある。この波長域を効率的に反射する金属はアルミニウム、もしくはその合金、あるいは銀、もしくはその合金などであり、アルミニウムと銀の合金も該当する。その中でアルミニウムが最も適している。よって、本発明の実施例においては反射コート層85としてアルミニウムの膜を使用した。
さて、ここで実際にフィルター表面に光を照射したとき、光触媒コート層24がほぼ完全に酸化チタンで構成されている場合、光は光触媒コート層にほとんど吸収され下地の反射コート層は全く意味をなさなくなる。そこで光触媒コート層が酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の混合層から構成されており、酸化珪素(SiO2)を混ぜることで光透過性が増すことで下地の反射コート層で入射光を反射できるようにした。このような構成をとったことでLED光源からの照射された光により該フィルター流路の光入射面から流路の更に奥まった場所まで照らせるようにすることができ、流路壁全体に満遍なく光が当たる。
図14において該光触媒コート層83は酸化珪素(SiO2)のような透明絶縁体を含有する光触媒コート層であることを特徴としている。透明絶縁体は透明なセラミックが適しており、酸化珪素(シリカ)以外にジルコニアやトリアなどが知られている。光触媒である酸化チタン微粒子との接着性に関しては酸化珪素(シリカ)が好ましい(「表1」の「例7」参照)。
なお、図15に示すものは、図3や図8(c)に示す一層構造における光触媒と光反射部材の混合比変えたときのアセトアルデヒド除去率の実験データを示すグラフである。
(実施例)
上記発明の構成を有する空気浄化フィルターおよび該フィルターを搭載した空気浄化装置を用いて、実際に汚染空気中の臭気が光触媒効果によって酸化・分解し浄化されているかどうか確認した。検体はタバコの煙に含まれる有害成分であるアセトアルデヒドを使用し、高純度の空気(濃度比率;窒素:酸素=1:1)に混入させて濃度5ppmの汚染空気を作製した。次いで作製した汚染空気を容積が1m3のチャンバーに導入し、本発明の空気浄化フィルターを搭載した空気浄化装置も該チャンバー内に放り込んでおいた。
こうしてチャンバー内のアセトアルデヒドの濃度が5ppmであることを確認した後、空気浄化装置を起動して各フィルターによる浄化試験を行なった。
使用した流量は毎分1mで、通気時間は30分である。浄化試験に使用した本発明の空気浄化フィルターの体積はいづれも2000cmである(空気浄化フィルターの寸法は縦20cm、横20cm、奥行き5cmである。)。
尚、従来のフィルターおよび装置構成ではアセトアルデヒドは30%程度しか除去できなかった(「表1」の従来例参照)。
Figure 2009247546
表1の例1−A,B,C及び2の「光触媒フィルター構成条件」を参照しながら実施結果を示す。
第1の実施形態、第2の実施形態で示した空気浄化フィルターを用いた場合、チャンバー内の汚染空気は各浄化フィルターを搭載した空気浄化装置を通して排出され、30分後にチャンバー内空気中の検体(アセトアルデヒド)の濃度を検知管で測定したところ、0.5ppm以下となっていた。このことから各浄化フィルターが90%以上の除去率を示していることがわかった。更に浄化試験後のチャンバー内の空気をDNPH管に通気させてアセトアルデヒドを捕集(DNPHと反応し定着)し、液体クロマトグラフィーで精密に濃度を特定したところ、例1−Bおよび例2に関しては0.05ppm以下であることがわかり当該実施形態ともに除去率が99%程度あることがわかった。
なお、検体の濃度を測定した検知管は、ガステック社のアセトアルデヒド検知管を使用した。また、液体マトグラフィーは島津製作所製LC−10ADを使用した。
表1の例3−A及びBの「光触媒フィルター構成条件」を参照しながら実施結果を示す。
第3の実施形態で示した空気浄化フィルターを用いた場合、チャンバー内の汚染空気は各浄化フィルターを搭載した空気浄化装置を通して排出され、30分後にチャンバー内空気中の検体(アセトアルデヒド)の濃度を検知管で測定したところ、1ppm程度となっていた。このことから各浄化フィルターが80%程度の除去率を示していることがわかった。このように上記第1および第2の実施形態に比べると第3の実施形態での浄化性能はそれに準ずることがわかる。
表1の例4−A,B,C,D、5及び6の「光触媒フィルター構成条件」を参照しながら実施結果を示す。
第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態で示した空気浄化フィルターを用いた場合、チャンバー内の汚染空気は各浄化フィルターを搭載した空気浄化装置を通して排出され、30分後にチャンバー内空気中の検体(アセトアルデヒド)の濃度を検知管で測定したところ、0.5ppm以下となっていた。このことから各浄化フィルターが90%以上の除去率を示していることがわかった。更に浄化試験後のチャンバー内の空気をDNPH管に通気させてアセトアルデヒドを捕集(DNPHと反応し定着)し、液体クロマトグラフィーで精密に濃度を特定したところ、例4−A,B,Cおよび例5、例6に関しては0.05ppm以下であることがわかり当該実施形態いずれも除去率が99%程度あることがわかった。
表1の例7の「光触媒フィルター構成条件」を参照しながら実施結果を示す。
第7の実施形態で示した空気浄化フィルターを用いた場合、該浄化フィルターを搭載した浄化装置を通して浄化された空気中の検体の濃度を検知管により測定したところ0.5ppm以下を示していた。このことから該浄化フィルターが90%以上の除去性能を示していることがわかった。更に捕集したアセトアルデヒドに関して液体クロマトグラフィーで精密に濃度を特定したところ、0.5ppm程度であることがわかり、該浄化フィルター除去性能は90%程度であることがわかった。よって、ハニカム型流路構造の光触媒フィルターの浄化性能は前術の3次元網目構造の光触媒フィルターの浄化性能に準じる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、空気浄化装置産業に利用可能である。
本発明の空気浄化装置を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの基材表面形状を示す模式図である。 図2の断面図の一実施形態を示す模式図である。 図2の断面図の一実施形態を示す模式図である。 図2の断面図の一実施形態を示す模式図である。 図2の断面図の一実施形態を示す模式図である。 図2の断面図の一実施形態を示す模式図である。 本発明の空気浄化フィルターの第1の実施形態を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの第2の実施形態の特徴を示す説明図である。 本発明の空気浄化フィルターの第3の実施形態を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの第4の実施形態を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの第5の実施形態を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの第6の実施形態を示す概略図である。 本発明の空気浄化フィルターの第7の実施形態を示す概略図である。 光触媒と光反射部材の混合比と除去率の関係を示すグラフである。
符号の説明
2,20,40,50,80 空気浄化フィルター、4 光源、10 空気浄化装置、22,25,28,31,41,51,61,71,82 フィルター基材、23,26,32,63,74,85 光反射層、24,27,33,43,83 光触媒層、29 光触媒および反射体の混合層、34,73 透明絶縁層、44 反射体微粒子、45 反射体および透明絶縁体の混合層(多孔性)、52 フィルター基材(反射体)、53 光触媒担持体、54 光触媒微粒子、90 光触媒領域(光触媒層)、91 光反射領域(光反射層)、92 基材。

Claims (17)

  1. 光触媒により汚染空気中の被除去成分を除去するフィルターであって、該フィルターを構成する基材の表面は、前記光触媒によって構成される光触媒領域と、光反射部材によって構成される光反射領域とを有することを特徴とする空気浄化フィルター。
  2. 前記光触媒領域と光反射領域が、断面構造において一層構造とされていることを特徴とする請求項1記載の空気浄化フィルター。
  3. 前記光触媒領域と光反射領域が、断面構造において二層構造とされていることを特徴とする請求項1記載の空気浄化フィルター。
  4. 前記基材表面に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層の上に前記光触媒と透光部材との混合からなる光触媒層が形成されていることを特徴とする請求項3記載の空気浄化フィルター。
  5. 前記基材表面に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層の上に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層は前記光触媒が散在してなることを特徴とする請求項3記載の空気浄化フィルター。
  6. 前記基材表面に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層の上に前記光反射部材と透光部材との混合からなる光反射層が形成されていることを特徴とする請求項3記載の空気浄化フィルター。
  7. 前記基材表面に前記光触媒からなる光触媒層が形成され、該光触媒層の上に前記光反射部材からなる光反射層が形成され、該光反射層は前記光反射部材が縞状にパターン形成されてなることを特徴とする請求項3記載の空気浄化フィルター。
  8. 前記光反射層と光触媒層の間に透光性の絶縁層が介在されていることを特徴とする請求項4または5記載の空気浄化フィルター。
  9. 前記絶縁層は、シリカもしくはジルコニアであることを特徴とする請求項8記載の空気浄化フィルター。
  10. 前記光反射層と光触媒層の間に絶縁層が介在されていることを特徴とする請求項6または7記載の空気浄化フィルター。
  11. 前記絶縁層は、セラミックスであることを特徴とする請求項10記載の空気浄化フィルター。
  12. 前記光反射領域の反射率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の空気浄化フィルター。
  13. 前記光反射領域は、金属もしくは金属の化合物からなることを特徴とする請求項12記載の空気浄化フィルター。
  14. 前記金属もしくは金属の化合物は、アルミニウムもしくはアルミニウムの化合物であることを特徴とする請求項13記載の空気浄化フィルター。
  15. 前記基材が3次元網目構造体からなることを特徴とする請求項1〜14の何れか一つに記載の空気浄化フィルター。
  16. 前記基材がハニカムフィルターからなることを特徴とする請求項1〜14の何れか一つに記載の空気浄化フィルター。
  17. 汚染空気を浄化する装置であって、前記請求項1〜16の何れか一つに記載の空気浄化フィルターと光源とを有することを特徴とする空気浄化装置。
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