<電子機器の外観>
図1〜3は、それぞれ、実施の形態に係る電子機器1の外観を示す斜視図、前面図及び裏面図である。本実施の形態に係る電子機器1は、例えば携帯電話機である。図1〜3に示されるように、電子機器1は、カバーパネル2とケース部分3を備えており、カバーパネル2とケース部分3とが組み合わされることによって、平面視で略長方形の板状を成す機器ケース4が構成されている。
カバーパネル2は、平面視において略長方形を成しており、電子機器1の前面部分における、周縁部分以外の部分を構成している。カバーパネル2は、例えば、透明のガラスあるいは透明のアクリル樹脂で形成されている。ケース部分3は、電子機器1の前面部分の周縁部分、側面部分及び裏面部分を構成している。ケース部分3は、例えばポリカーボネート樹脂で形成されている。
カバーパネル2には、文字、記号、図形等の各種情報が表示される表示部分2aが設けられている。表示部分2aは例えば平面視で長方形を成している。カバーパネル2における、表示部分2aを取り囲む周縁部分2bは、例えばフィルム等が貼られることによって黒色となっており、情報が表示されない非表示部分となっている。カバーパネル2の内側主面には後述するタッチパネル130が貼り付けられており、使用者は、カバーパネル2の表示部分2aを指等で操作することによって、電子機器1に対して各種指示を与えることができる。
機器ケース4の内部には、複数の操作ボタン141を備える操作部140が設けられている。各操作ボタン141は、いわゆる「ハードキー」であって、その表面が、カバーパネル2の外側主面20の下側端部から露出している。また、カバーパネル2の下側端部にはマイク穴30があけられている。カバーパネル2の外側主面20の上側端部からは、後述する前面側撮像部150が有する撮像レンズ150aが視認できるようになっている。なお、本実施の形態に係る電子機器1では、「ハードキー」である三つの操作ボタン141が設けられているが、操作ボタン141の個数を適宜変更しても良いし、操作ボタン141を設けなくても良い。
図2に示されるように、機器ケース4の内部には、後述する圧電振動素子191が設けられている。また、図3に示されるように、電子機器1の裏面10、言い換えれば機器ケース4の裏面には、スピーカ穴40があけられている。電子機器1の裏面10からは、後述する裏面側撮像部160が有する撮像レンズ160aが視認できるようになっている。
<電子機器の電気的構成>
図4は電子機器1の電気的構成を主に示すブロック図である。図4に示されるように、電子機器1には、制御部100、無線通信部110、表示パネル120、タッチパネル130、操作部140、前面側撮像部150及び裏面側撮像部160が設けられている。さらに電子機器1には、圧電振動素子191及びカバーパネル2で構成されたレシーバ190、マイク180、外部スピーカ200及び電池170が設けられている。電子機器1に設けられた、カバーパネル2以外のこれらの構成要素は、機器ケース4内に収められている。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、DSP(Digital Signal Processor)102及び記憶部103等を備えており、電子機器1の他の構成要素を制
御することによって、電子機器1の動作を統括的に管理する。記憶部103は、ROM(
Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。記憶部103には、電子機器1の動作、具体的には電子機器1が備える無線通信部110、表示パネル120等の各構成要素を制御するための制御プログラムであるメインプログラム及び複数のアプリケーションプログラム等が記憶されている。制御部100の各種機能は、CPU101及びDSP102が記憶部103内の各種プログラムを実行することによって実現される。
無線通信部110は、電子機器1とは別の携帯電話機あるいはインターネットに接続されたウェブサーバ等の通信装置からの信号を基地局を介してアンテナ111で受信する。無線通信部110は、受信信号に対して増幅処理及びダウンコンバートを行って制御部100に出力する。制御部100は、入力される受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる、音声や音楽などを示す音信号などを取得する。また無線通信部110は、制御部100で生成された、音信号等を含む送信信号に対してアップコンバート及び増幅処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ111から無線送信する。アンテナ111からの送信信号は、基地局を通じて、電子機器1とは別の携帯電話機あるいはインターネットに接続された通信装置で受信される。
表示パネル120は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機ELパネルであって、制御部100によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示する。表示パネル120に表示される情報は、カバーパネル2の表示部分2aに表示されることによって、当該情報は電子機器1の使用者に視認可能となる。
タッチパネル130は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルであって、カバーパネル2の表示部分2aに対する物体の接触を検出する。タッチパネル130は、カバーパネル2の内側主面に貼り付けられており、互いに対向配置されたシート状の二つの電極センサを備えている。二つの電極センサは透明粘着性シートによって貼り合わされている。
一方の電極センサには、それぞれがX軸方向(例えば電子機器1の左右方向)に沿って延在し、かつ互いに平行に配置された複数の細長いX電極が形成されている。他方の電極センサには、それぞれがY軸方向(例えば電子機器1の上下方向)に沿って延在し、かつ互いに平行に配置された複数の細長いY電極が形成されている。カバーパネル2の表示部分2aに対して使用者の指等が接触すると、その接触箇所の下にあるX電極及びY電極の間の静電容量が変化することによって、タッチパネル130においてカバーパネル2の表示部分2aに対する操作(接触)が検出される。タッチパネル130において生じる、X電極及びY電極の間の静電容量変化は制御部100に伝達され、制御部100は当該静電容量変化に基づいてカバーパネル2の表示部分2aに対して行われた操作の内容を特定し、それに応じた動作を行う。
操作部140は、複数の操作ボタン141のそれぞれについて、当該操作ボタン141が使用者によって押下されると、当該操作ボタン141が押下されたことを示す操作信号を制御部100に出力する。制御部100は、入力される操作信号に基づいて、複数の操作ボタン141のうちのどの操作ボタン141が操作されたかを特定し、操作された操作ボタン141に応じた動作を行う。
前面側撮像部150は、撮像レンズ150a及び撮像素子などで構成されており、制御部100による制御に基づいて、静止画像及び動画像を撮像する。図1,2に示されるように、撮像レンズ150aは、電子機器1の前面に設けられていることから、電子機器1の前面側(カバーパネル2側)に存在する物体を撮像することが可能である。
裏面側撮像部160は、撮像レンズ160a及び撮像素子などで構成されており、制御部100による制御に基づいて、静止画像及び動画像を撮像する。図3に示されるように、撮像レンズ160aは、電子機器1の裏面10に設けられていることから、電子機器1の裏面10側に存在する物体を撮像することが可能である。
マイク180は、電子機器1の外部から入力される音を電気的な音信号に変換して制御部100に出力する。電子機器1の外部からの音は、カバーパネル2の前面に設けられたマイク穴30から電子機器1の内部に取り込まれてマイク180に入力される。なお、マイク穴30は、電子機器1の側面に設けても良いし、裏面10に設けても良い。
外部スピーカ200は、例えばダイナミックスピーカ(電磁式スピーカ)であって、制御部100からの電気的な音信号を音に変換して出力する。外部スピーカ200から出力される音は、電子機器1の裏面10に設けられたスピーカ穴40から外部に出力される。スピーカ穴40から出力される音は、電子機器1から離れた場所でも聞こえるようになっている。
レシーバ190は、受話音を使用者に伝えるものであって、圧電振動素子191とカバーパネル2で構成されている。レシーバ190は、外部スピーカ200よりも小さい音量で音を出力する。具体的には、レシーバ190は、使用者がカバーパネル2に耳を近づけたり接触したりしたときに聞こえる程度の音を出力する。圧電振動素子191は、カバーパネル2の内側主面上に設けられており、制御部100から与えられる駆動電圧によって振動させられる。制御部100は、音信号に基づいて駆動電圧を生成し、当該駆動電圧を圧電振動素子191に与える。圧電振動素子191が、制御部100によって音信号に基づいて振動させられることによって、カバーパネル2が音信号に基づいて振動し、その結果、使用者に受話音が伝達される。
電池170は、電子機器1の電源を出力する。電池170から出力された電源は、電子機器1が備える制御部100及び無線通信部110などに含まれる各電子部品に対して供給される。
<圧電振動素子の詳細>
図5,6は、それぞれ、圧電振動素子191の構造を示す上面図及び側面図である。
図5,6に示されるように、圧電振動素子191は一方向に長い形状を成している。具体的には、圧電振動素子191は、平面視で長方形の細長い板状を成している。圧電振動素子191は、例えばバイモルフ構造を有しており、シム材191cを介して互いに貼り合わされた第1圧電セラミック板191a及び第2圧電セラミック板191bを備えている。
圧電振動素子191では、第1圧電セラミック板191aに対して正の電圧を印加し、第2圧電セラミック板191bに対して負の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板1
91aは長手方向に沿って伸び、第2圧電セラミック板191bは長手方向に沿って縮
むようになる。これにより、図7に示されるように、圧電振動素子191は、第1圧電セラミック板191aを外側にして山状に撓むようになる。
一方で、圧電振動素子191では、第1圧電セラミック板191aに対して負の電圧を印加し、第2圧電セラミック板191bに対して正の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板191aは長手方向に沿って縮み、第2圧電セラミック板191bは長手方向に沿って伸びるようになる。これにより、図8に示されるように、圧電振動素子191は、第2圧電セラミック板191bを外側にして山状に撓むようになる。
圧電振動素子191は、図7の状態と図8の状態とを交互にとることによって、撓み振動を行う。制御部100は、第1圧電セラミック板191aと第2圧電セラミック板191bとの間に、正の電圧と負の電圧とが交互に現れる交流電圧を印加することによって、圧電振動素子191を撓み振動させる。
なお、図5〜8に示される圧電振動素子191では、シム材191cを間に挟んで貼り合わされた第1圧電セラミック板191a及び第2圧電セラミック板191bから成る構造が一つだけ設けられていたが、複数の当該構造を積層させても良い。
<圧電振動素子の配置位置>
図9は電子機器1の上下方向(長手方向)における断面構造を示す図である。また図10は、カバーパネル2をその内側主面21側から見た際の平面図である。
図9,10に示されるように、カバーパネル2の内側主面21には、当該カバーパネル2の表示部分2aと対向するようにタッチパネル130が貼り付けられている。そして、表示部である表示パネル120は、カバーパネル2及びタッチパネル130に対向するように配置されている。したがって、カバーパネル2と表示パネル120との間にはタッチパネル130が存在している。カバーパネル2では、表示パネル120と対向している部分が表示部分2aとなる。
また、機器ケース4の内部には、CPU101及びDSP102などの各種部品が搭載されるプリント基板250が設けられている。プリント基板250は、表示パネル120よりも電子機器1の裏面10側において当該表示パネル120と対向するように配置されている。また、図10に示されるように、カバーパネル2の下側端部には、複数の操作ボタン141をそれぞれ露出させる複数の穴22があけられている。
圧電振動素子191は、両面テープ等の接着剤260によって、カバーパネル2の内側主面21に貼り付けられている。圧電振動素子191は、カバーパネル2の内側主面21上において、当該カバーパネル2を当該内側主面21側から見た平面視で表示パネル120及びタッチパネル130とは重ならない位置に配置されている。言い換えれば、圧電振動素子191は、カバーパネル2をその厚み方向において内側主面21側から見た際に、当該内側主面21上において、表示パネル120及びタッチパネル130とは重ならない位置に配置されている。したがって、カバーパネル2と圧電振動素子191との間には、タッチパネル130及び表示パネル120は存在していない。
また、圧電振動素子191は、カバーパネル2の内側主面21の上側端部21a上に設けられている。具体的には、圧電振動素子191は、図10に示されるように、カバーパネル2の内側主面21の上側端部21aにおける左右方向(長手方向に垂直な短手方向)の中央部21aa上に設けられている。
また、圧電振動素子191は、その長手方向がカバーパネル2の左右方向に一致するように配置されている。そして、圧電振動素子191は、その長手方向の中心が、カバーパネル2の内側主面21の上側端部21aにおける左右方向の中心と一致するように、当該上側端部21aの中央部21aaに配置されている。
ここで、上述の図7,8に示されるように、撓み振動を行う圧電振動素子191では、その長手方向の中心が最も変位量が大きくなる。したがって、圧電振動素子191を、その長手方向の中心が、カバーパネル2の内側主面21の上側端部21aにおける左右方向の中心と一致するように、当該上側端部21aに配置することによって、圧電振動素子191における、撓み振動での変位量が最大となる箇所が、カバーパネル2の内側主面21
の上側端部21aにおける左右方向の中心に一致するようになる。
なお、タッチパネル130がカバーパネル2の内側主面21の全面にわたって存在する場合には、カバーパネル2の内側主面21上にタッチパネル130を介して圧電振動素子191を配置しても良い。
また、上記の例では、図9に示されるように、タッチパネル130と表示パネル120との間に隙間を設けているが、タッチパネル130と表示パネル120とを接触させても良い。本実施の形態のように、タッチパネル130と表示パネル120との間に隙間を設ける場合には、カバーパネル2が使用者によって指等で押されて、当該カバーパネル2が表示パネル120側に撓み、当該カバーパネル2が表示パネル120に当たって(より正確にはタッチパネル130が表示パネル120に当たって)当該表示パネル120の表示が乱れることを抑制することができる。
<レシーバによる受話音の発生について>
本実施の形態に係るレシーバ190では、圧電振動素子191がカバーパネル2を振動させることによって、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達されるようになっている。言い換えれば、圧電振動素子191自身の振動がカバーパネル2に伝わることにより、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達されるようになっている。
ここで、気導音とは、外耳道孔(いわゆる「耳の穴」)に入った音波(空気振動)が鼓膜を振動させることによって、人の脳で認識される音である。一方で、伝導音とは、耳介が振動させられることによって、人の脳で認識される音である。以下に、気導音及び伝導音について詳細に説明する。
図11は気導音及び伝導音を説明するための図である。図11には、電子機器1の使用者の耳の構造が示されている。図11においては、波線400は気道音が脳で認識される際の音信号(音情報)の伝導経路を示しており、実線410が伝導音が脳で認識される際の音信号の伝導経路を示している。
カバーパネル2に取り付けられた圧電振動素子191が、受話音を示す電気的な音信号に基づいて振動させられると、カバーパネル2が振動して、当該カバーパネル2から音波が出力される。使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に近づけると、あるいは当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に押し当てると(接触させると)、当該カバーパネル2から出力される音波が外耳道孔310に入る。カバーパネル2からの音波は、外耳道孔310内を進み、鼓膜320を振動させる。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わって、蝸牛340において電気信号に変換される。この電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して気導音が伝達される。
また、使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に押し当てると、耳介300が、圧電振動素子191によって振動させられているカバーパネル2によって振動させられる。実線410で示されるように、耳介300の振動は鼓膜320に伝わり、鼓膜320が振動する。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わり、蝸牛340において電気信号に変換される。また、耳介300の振動は、実線410で示される伝導経路とは異なり、鼓膜320に伝わることなく蝸牛340に直接伝わ
ることもあるようであり、当該振動は蝸牛340において電気信号に変換される。蝸牛340で得られた電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して伝導音が伝達される。図11では、耳介300内部の耳介軟骨300aも示されている。
なお、ここでの伝導音は、骨導音(「骨伝導音」とも呼ばれる)とは異なるものである。骨導音は、頭蓋骨を振動させて、頭蓋骨の振動が直接蝸牛などの内耳を刺激することによって、人の脳で認識される音である。図11においては、例えば下顎骨500を振動させた場合において、骨伝導音が脳で認識される際の音信号の伝達経路を複数の円弧420で示している。
このように、本実施の形態に係る電子機器1では、圧電振動素子191が前面のカバーパネル2を適切に振動させることによって、カバーパネル2から電子機器1の使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができる。本実施の形態に係る圧電振動素子191では、使用者に対して適切に気導音及び伝導音を伝達できるように、その構造が工夫されている。使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができるように電子機器1を構成することによって様々メリットが発生する。
例えば、使用者は、カバーパネル2を耳に当てれば音が聞こえることから、電子機器1において耳を当てる位置をそれほど気にすることなく通話を行うことができる。
また、使用者は、周囲の騒音が大きい場合には、耳をカバーパネル2に強く押し当てることによって、伝導音の音量を大きくしつつ、周囲の騒音を聞こえにくくすることができる。よって、使用者は、周囲の騒音が大きい場合であっても、適切に通話を行うことができる。
また、使用者は、耳栓やイヤホンを耳に取り付けた状態であっても、カバーパネル2を耳(より詳細には耳介)に当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。また、使用者は、耳にヘッドホンを取り付けた状態であっても、当該ヘッドホンにカバーパネル2を当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。
以上のように、本実施の形態に係るレシーバ190では、音信号に基づいて振動される圧電振動素子191がカバーパネル2を振動させることによって音が使用者に伝達されることから、レシーバ190にダイナミックスピーカを用いる場合とは異なり、レシーバ用の穴(受話口の穴)をカバーパネル2に設ける必要はない。
<受話音の音質制御について>
上述のように、レシーバ190では、圧電振動素子191がカバーパネル2を振動させることによって当該カバーパネル2から使用者に音を伝達している。そのため、レシーバ190から使用者に伝達される音については、外部スピーカ200で使用されているダイナミックスピーカ等が出力する音と比較して、最低共振周波数f0が高域側に位置する傾向にあり、低周波数成分のレベル(音圧)が小さくなる傾向にある。この傾向は、圧電スピーカでも同様である。
一方で、レシーバ190のカバーパネル2から使用者に伝達される伝導音については、当該カバーパネル2から使用者に伝達される気導音と比較して、高周波数成分よりも低周波数成分の方が使用者に伝達され易い傾向にある。そして、使用者がカバーパネル2に耳を強く押し当てると、伝導音の音量が大きくなるとともに、カバーパネル2から使用者に伝達される音についての最低共振周波数f0が低域側に移動して低周波数成分のレベルが
大きくなる傾向にある。よって、カバーパネル2から使用者に伝達される音については、使用者がカバーパネル2に耳を弱く押し当てている場合よりも、使用者がカバーパネル2に耳を強く押し当てている場合の方が、低周波数成分が使用者に伝わり易くなる傾向にある。
このように、レシーバ190から使用者に伝達される音については、ダイナミックスピーカと比較して低周波数成分のレベルが小さくなる傾向にある一方で、使用者がカバーパネル2に耳を強く押し当てると低周波数成分が使用者に伝わり易くなる傾向にある。
そこで、本実施の形態に係る電子機器1では、カバーパネル2に対する使用者の耳の押し当て強度(使用者がカバーパネル2に耳を押し当てる強度)に基づいて、レシーバ190から使用者に伝達される音の音質を制御することによって、レシーバ190から使用者に伝達される音の音質を改善するようになっている。以下に、電子機器1でのこの音質制御について詳細に説明する。以下の説明において、単に「押し当て強度」と言えば、カバーパネル2に対する使用者の耳の押し当て強度を意味する。
図12は、電子機器1での音質制御に関する構成を主に示すブロック図である。図12に示されるように、電子機器1は、押し当て強度取得部800と、音質制御部810と、音量制御部820と、レシーバ190の圧電振動素子191を振動させる駆動部830とを備えている。
押し当て強度取得部800は、上述のタッチパネル130と、接触面積算出部801とで構成されており、押し当て強度を示す押し当て強度情報を取得する。接触面積算出部801は制御部100に形成される機能ブロックである。接触面積算出部801は、タッチパネル130からの出力信号に基づいて、カバーパネル2に対する使用者の耳の接触面積を算出する。押し当て強度が大きくなると、使用者の耳のカバーパネル2に対する接触面積は大きくなることから、当該接触面積は、押し当て強度を示していると言える。接触面積算出部801は、求めた接触面積を押し当て強度情報として音質制御部810に出力する。以後、単に「接触面積」と言えば、カバーパネル2に対する使用者の耳の接触面積を意味するものとする。
音質制御部810は、イコライザ811及び使用パラメータ決定部812を備えており、押し当て強度取得部800で取得された押し当て強度情報に基づいて、駆動部830での圧電振動素子191の振動制御で使用される音信号SSの音質を制御する。
イコライザ811は、記憶部103に記憶されている制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性(各周波数での信号レベルを表したもの)を制御することによって、当該音信号SSの音質を制御する。使用パラメータ決定部812は、イコライザ811が使用する制御パラメータ840を決定する。イコライザ811は制御部100に設けられており、使用パラメータ決定部812は制御部100に形成される機能ブロックである。
記憶部103には、複数種類の制御パラメータ840が記憶されている。複数種類の制御パラメータ840においては、イコライザ811が音信号SSの周波数特性を制御パラメータ840に基づいて制御した際の制御後の当該周波数特性が互いに異なるようになっている。つまり、複数種類の制御パラメータ840においては、イコライザ811が音信号SSの音質を制御パラメータ840に基づいて制御した際の制御後の当該音質が互いに異なるようになっている。したがって、音質制御部810は、使用する制御パラメータ840によって、音信号SSの周波数特性を複数種類の周波数特性に変更することが可能である。使用パラメータ決定部812は、押し当て強度取得部800で取得された押し当て
強度情報に基づいて、記憶部103に記憶されている複数種類の制御パラメータ840から、イコライザ811が使用する制御パラメータ840を決定する。イコライザ811は、使用パラメータ決定部812において押し当て強度情報に基づいて使用が決定された制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性を制御する。つまり、イコライザ811は、使用パラメータ決定部812において押し当て強度情報に基づいて使用が決定された制御パラメータ840に基づいて音信号SSの音質を制御する。音質制御部810において周波数特性が制御された音信号SSは音量制御部820に入力される。
音量制御部820は、制御部100に形成される機能ブロックであって、使用者からの音量設定指示に基づいて、音質が制御された音信号SSの音量を制御する。例えば、使用者が表示部分2aを操作して電子機器1に対して、レシーバ190からの現在の音の音量を大きくすることを指示すると、音量制御部820は、全周波数帯域にわたって、音質制御後の音信号SSの信号レベルを大きくして、当該音信号SSの音量を大きくする。音質及び音量が制御された音信号SSは駆動部830に入力される。
駆動部830は、音質及び音量が制御された音信号SSに基づいて、レシーバ190の圧電振動素子191を振動させる。これにより、カバーパネル2が、音質及び音量が制御された音信号SSに基づいて振動し、所望の周波数特性を有する音がカバーパネル2から使用者に伝達される。
本実施の形態に係る電子機器1では、音質制御部810は、押し当て強度情報が示す押し当て強度が小さいほど、音信号SSに含まれる低周波数成分の信号レベルを大きくするようになっている。
例えば、本実施の形態では、使用者がカバーパネル2に対して耳を強く押し当てて、押し当て強度取得部800で取得された、押し当て強度を示す接触面積がしきい値(>0)よりも大きい場合には、音信号SSに含まれる信号成分の全周波数帯域において信号レベルが平坦な第1周波数特性となるように、音信号SSの周波数特性が制御される。
また、使用者がカバーパネル2に対して耳を弱く押し当てて、押し当て強度取得部800で取得された、押し当て強度を示す接触面積が零よりも大きくしきい値以下の場合には、低周波数成分の信号レベルが第1周波数特性よりも大きい第2周波数特性となるように、音信号SSの周波数特性が制御される。
そして、使用者がカバーパネル2に対して耳を接触させずに当該カバーパネル2からの音を聞く場合などのように、押し当て強度取得部800で取得された、押し当て強度を示す接触面積が零の場合には、低周波数成分の信号レベルが第2周波数特性よりも大きい第3周波数特性となるように、音信号SSの周波数特性が制御される。
図13は第1周波数特性FR1、第2周波数特性FR2及び第3周波数特性FR3の一
例を示す図である。本実施の形態では、音信号SSには、可聴周波数帯域(20Hz〜
20kHz)の信号成分が含まれている。
図13に示される第1周波数特性FR1では、音信号SSに含まれる信号成分の全周波数帯域(20Hz〜20kHz)において信号レベルが平坦(同じ)となっている。また図13に示される第2周波数特性FR2では、音信号SSに含まれる信号成分の全周波数帯域において第1周波数特性FR1よりも信号レベルが大きくなっている。そして、第2周波数特性FR2では、周波数が低いほど信号レベルが大きくなっている。また、図13に示される第3周波数特性FR3では、音信号SSに含まれる信号成分の全周波数帯域において第2周波数特性FR2よりも信号レベルが大きくなっている。そして、第3周波数
特性FR3では、周波数が低いほど信号レベルが大きくなっている。
なお、図13の例では、第2周波数特性FR2では、音信号SSに含まれる信号成分の全周波数帯域において信号レベルが第1周波数特性FR1よりも大きくなっているが、低周波数成分の信号レベルだけが第1周波数特性FR1よりも大きくても良い。例えば、第2周波数特性FR2において、20Hzから20kHzまでの範囲のうち、20Hzから当該範囲の1/3までの範囲(20Hzから6.68kHzまでの範囲)の信号レベルだけが第1周波数特性FR1よりも大きくても良い。同様に、第3周波数特性FR3において、低周波数成分の信号レベルだけが第2周波数特性FR2よりも大きくても良い。
記憶部103には、第1周波数特性FR1に対応した制御パラメータ840(以後、「第1制御パラメータ840」と呼ぶ)と、第2周波数特性FR2に対応した制御パラメータ840(以後、「第2制御パラメータ840」と呼ぶ)と、第3周波数特性FR3に対応した制御パラメータ840(以後、「第3制御パラメータ840」と呼ぶ)とが記憶されている。音質制御部810では、使用パラメータ決定部812が、押し当て強度取得部800で取得された押し当て強度情報、つまり接触面積がしきい値よりも大きい場合には、記憶部103から第1制御パラメータ840を読み出してイコライザ811に入力する。イコライザ811は、入力された第1制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性(音質)を制御する。これにより、音信号SSについての制御後の周波数特性は、第1周波数特性FR1となる。
また、使用パラメータ決定部812は、押し当て強度取得部800で取得された押し当て強度情報、つまり接触面積が零よりも大きくしきい値以下の場合には、記憶部103から第2制御パラメータ840を読み出してイコライザ811に入力する。イコライザ811は、入力された第2制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性(音質)を制御する。これにより、音信号SSについての制御後の周波数特性は、第2周波数特性FR2となる。
また、使用パラメータ決定部812は、押し当て強度取得部800で取得された押し当て強度情報、つまり接触面積が零の場合には、記憶部103から第3制御パラメータ840を読み出してイコライザ811に入力する。イコライザ811は、入力された第3制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性(音質)を制御する。これにより、音信号SSについての制御後の周波数特性は、第3周波数特性FR3となる。
このように、本実施の形態では、接触面積が小さいほど、つまり押し当て強度情報が示す押し当て強度が小さいほど、音信号SSに含まれる低周波数成分の信号レベルが大きくなるようになっている。上述のように、レシーバ190のカバーパネル2から使用者に伝達される音については、ダイナミックスピーカと比較して低周波数成分のレベルが小さくなる傾向にある一方で、使用者がカバーパネル2に耳を強く押し当てると低周波数成分が使用者に伝わり易くなる傾向にある。したがって、押し当て強度情報が示す押し当て強度が小さいほど、カバーパネル2の振動制御に使用される音信号SSに含まれる低周波数成分の信号レベルを大きくすることによって、使用者がカバーパネル2に対して耳を強く押し当てなくても、所望の音質の音をカバーパネル2から使用者に伝達することができる。言い換えれば、押し当て強度情報が示す押し当て強度が大きいほど、カバーパネル2の振動制御に使用される音信号SSに含まれる低周波数成分の信号レベルを小さくすることによって、使用者がカバーパネル2に耳を押し当てる強さにかかわらず、所望の音質の音をカバーパネル2から使用者に伝達することができる。本例では、使用者に伝達される音についての所望の周波数特性を、全周波数帯域においてレベルが平坦な周波数特性としていることから、押し当て強度情報に基づいて音信号SSの音質を制御することによって、使用者がカバーパネル2に耳を押し当てる強さにかかわらず、全周波数帯域においてレベル
が平坦な周波数特性を有する音をカバーパネル2から使用者に伝達することができる。
次に、押し当て強度情報に基づいて音信号SSの音質が制御され、その後、音質が制御された音信号SSに基づいて圧電振動素子191が振動させられてカバーパネル2からの音が使用者に伝達されるまでの電子機器1の一連の動作について説明する。図14は当該動作を示すフローチャートである。図14には、電子機器1が通信相手装置と音声通話を行う際の当該電子機器1の動作が示されている。
図14に示されるように、ステップs1において、カバーパネル2の表示部分2aに表示されている通話ボタンが使用者によって操作されると、電子機器1は通信相手装置との音声通話を開始する。電子機器1が音声通話を開始すると、使用者は、カバーパネル2に耳を近接あるいは押し当てて当該カバーパネル2からの音を聞こうとする。
電子機器1が通話を開始すると、ステップs2において、押し当て強度取得部800では、接触面積算出部801が、タッチパネル130からの出力信号に基づいて、カバーパネル2に対する使用者の耳の接触面積を求めて、これを押し当て強度情報として出力する。なお、使用者がカバーパネル2に耳を近接させるだけでカバーパネル2に耳を接触させていない場合には、接触面積は零、つまり押し当て強度は零となる。
次にステップs3において、音質制御部810では、使用パラメータ決定部812が、上述のようにして、ステップs2で取得された押し当て強度情報(接触面積)に基づいて、イコライザ811が使用する制御パラメータ840を決定する。
次にステップs4において、イコライザ811は、使用パラメータ決定部812で使用が決定された制御パラメータ840に基づいて音信号SSの周波数特性を制御して、音信号SSの音質を制御する。
次にステップs5において、音量制御部820は、現在の音量設定値に基づいて、音質が制御された音信号SSの音量を制御する。その後、ステップs6において、駆動部830が、音質及び音量が制御された音信号SSに基づいて圧電振動素子191を振動させる。これにより、所望の周波数特性、本例では全周波数帯域においてレベルが平坦な周波数特性を有する音がカバーパネル2から使用者に伝達される。
電子機器1が音声通話を行っている間は、上述のステップs2〜s6の処理が、定期的あるいは不定期的に繰り返して実行される。これにより、電子機器1が音声通話を行っている間に押し当て強度が変化したとしても、音信号SSの音質を適切に制御することができる。
なお、上記の例では、カバーパネル2から使用者に伝達される音の周波数特性が、全周波数帯域においてレベルが平坦な周波数特性となるように、カバーパネル2の振動制御で使用される音信号SSの音質を制御しているが、他の周波数特性となるように音信号SSの音質を制御しても良い。
以上のように、本実施の形態では、押し当て強度を示す押し当て強度情報に基づいて、カバーパネル2の振動制御で使用される音信号SSの音質を制御していることから、押し当て強度にかかわらず、カバーパネル2から使用者に対して所望の音質の音を伝達することができる。よって、電子機器1から使用者に伝達される音の音質が改善される。
<各種変形例>
上記の例では、記憶部103に対して、第1制御パラメータ840〜第3制御パラメー
タ840を記憶させていたが、それらのうちの第3制御パラメータ840だけを記憶させても良い。この場合には、使用パラメータ決定部812は、接触面積が零よりも大きくしきい値以下の場合には、第3制御パラメータ840を変更して、第2制御パラメータ840に相当する制御パラメータ840を生成し、これを使用する制御パラメータ840としてイコライザ811に入力する。そして、使用パラメータ決定部812は、接触面積が零の場合には、第3制御パラメータ840を変更して、第1制御パラメータ840に相当する制御パラメータ840を生成し、これを使用する制御パラメータ840としてイコライザ811に入力する。
また、記憶部103に対して、第1制御パラメータ840〜第3制御パラメータ840のうちの第1制御パラメータ840だけを記憶させても良い。この場合には、使用パラメータ決定部812は、接触面積が零よりも大きくしきい値以下の場合には、第1制御パラメータ840を変更して、第2制御パラメータ840に相当する制御パラメータ840を生成し、これを使用する制御パラメータ840としてイコライザ811に入力する。そして、使用パラメータ決定部812は、接触面積がしきい値よりも大きい場合には、第1制御パラメータ840を変更して、第3制御パラメータ840に相当する制御パラメータ840を生成し、これを使用する制御パラメータ840としてイコライザ811に入力する。また上記の例では、音信号SSの音質を、押し当て強度に応じて3段階変更できるようにしているが、音信号SSの音質を、押し当て強度に応じて2段階変更できるようにしても良いし、音信号SSの音質を、押し当て強度に応じて4段階以上変更できるようにしても良い。
また上記の例では、押し当て強度取得部800をタッチパネル130と接触面積算出部801で構成していたが、押し当て強度取得部800の構成を他の構成としても良い。例えば、押し当て強度取得部800を、カバーパネル2に加わる圧力を検出する、圧電素子等で構成された圧力センサで構成しても良い。この場合には、圧力センサからの出力信号(出力電圧)が、押し当て強度を示す押し当て強度情報となる。
また、音量制御部820は、押し当て強度情報が示す押し当て強度が小さいほど、音信号SSの音量を大きくしても良い。上述のように、使用者がカバーパネル2に耳を強く押し当てるほど、カバーパネル2からの伝導音の音量は大きくなることから、使用者がカバーパネル2に耳を押し当てる強度が小さいほど、カバーパネル2から使用者に伝達される音の音量は小さくなる。よって、本例のように、押し当て強度情報が示す押し当て強度が小さいほど、音信号SSの音量を大きくすることによって、押し当て強度にかかわらず、カバーパネル2から使用者に対して適切な音量の音を伝達することができる。
このように、押し当て強度情報に基づいて音信号SSの音量を制御する場合には、例えば、接触面積がしきい値よりも大きい場合に設定される音信号SSの音量よりも、接触面
積が零よりも大きくしきい値以下である場合に設定される音信号SSの音量を大きくす
る。そして、接触面積が零よりも大きくしきい値以下である場合に設定される音信号SSの音量よりも、接触面積が零である場合に設定される音信号SSの音量を大きくする。
また、レシーバ190の構成を他の構成としても良い。例えば、レシーバ190を、外部スピーカ200と同様にダイナミックレシーバで構成しても良いし、圧電スピーカで構成しても良い。
上記の例では、本願発明を携帯電話機に適用する場合を例にあげて説明したが、本願発明は、携帯電話機以外の電子機器にも適用することができる。