JP6250306B2 - リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法 - Google Patents

リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、血液凝固能測定試薬、とりわけリポ化トロンボプラスチンを利用する血液凝固能測定試薬に関する。
臨床検査の中で、血液凝固因子の活性に起因する病態を検査する血液凝固能の検査は一般に行われている検査である。それらの中で、組織因子を用いるいくつかの検査方法が利用されている。プロトロンビン時間(PT)測定、それを用いた凝固因子定量検査、複合因子測定、凝固阻害剤の定量検査などがあげられる。
組織因子は血管が損傷されたときに強く発現して止血機構のトリガーとなるタンパク質である。組織因子は、リン脂質とタンパク質との複合体として組織中に存在している。従って、組織から抽出したものはリポタンパク質として抽出され、それを一般に組織トロンボプラスチンと呼ばれている。一方、組織因子を遺伝子組換え等の手段で調製した後、リポタンパク質として調製したものは、組換えトロンボプラスチンと呼ばれている。
PT測定試薬は、Quickらによって1935年にウサギ脳から抽出した組織トロンボプラスチンを用いる方法が報告されて以来、ウサギ脳、ウシ脳又はヒト胎盤等から抽出された天然型の組織トロンボプラスチンに凝固因子の一つであるカルシウムイオンを加えた試薬が用いられてきた。1987年以降にヒト組織因子のcDNAがクローニングされたことから、遺伝子組換え手法によって調製された組換え組織因子を用いたPT測定試薬が利用されるようになった(特許文献1、2)。特許文献2には、組換え組織因子にキャリヤータンパク質(γ−グロブリン)を添加して共溶解すること、また、長期貯蔵のために凍結乾燥する場合には、トレハロース、マルトース、ラクトース、グルコース、マニトール等の低温保存剤を添加することが好ましいことが記載されている。なお、特許文献2の実施例では、リン脂質の酸化防止を目的として、抗酸化剤(ブチルヒドロキシトルエン:BHT)を用いることが記載されている。
通常、現在利用できるPT測定試薬の大部分は、例えば、特許文献2のように、凍結乾燥型として供給され、使用前に再構成媒質(一般には、蒸留水または食塩溶液)を用いて再構成される。これは天然型、組換え型のいずれにおいても、溶液での安定性が低いことによる。使用者の利便性のために、液状の試薬が望まれる。特許文献3には天然型の組織トロンボプラスチン(抽出物)を用いるPT測定試薬において、ポリエチレングリコール(PEG−1450)、血清アルブミン、抗菌剤等を加えて試薬を液状で安定化させる方法が開示されている。特許文献4には組換体を用いて調製したPT測定試薬にアスコルビン酸等の水溶性の抗酸化剤と血清アルブミンを加えてPT測定試薬を液状で安定化する方法、さらに特許文献5にはそれらに加えてカテコール等のポリフェノールを加えて液状で安定化させる方法が開示されている。しかし、未だ、臨床の現場で汎用するには安定性が十分ではなく、更なる向上が求められていた。
特表平6−505562号公報 特表平6−502649号公報(国際公開WO92/08479号パンフレット) 特開平6−201702号公報 特開平11−316228号公報 特開2009−148261号公報 特表2003−516525号公報 特開昭63−301797号公報
Biochemistry 31、(1992)、10000-10008 インビトロジェン社のマニュアル「 Guide to Baculovirus Expression Vector Systems (BEVS) and Insect Cell Culture Techniques」
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、リポ化トロンボプラスチンを含有する長期に安定な血液凝固能測定試薬及び測定方法を提供するものである。
本発明者らは、上記のような課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンと血清アルブミンとポリエチレングリコールを含有することによって、リポ化トロンボプラスチンを含有する液状のプロトロンビン時間(PT)測定試薬を長期間安定化することを可能とし、安定して保存可能で、高精度に測定可能な血液凝固能測定試薬及び測定方法を見出した。
血液凝固反応は複数の凝固因子のカスケードによって達成されるが、その反応の大部分はリン脂質の膜表面上で進行する。天然型の組織トロンボプラスチンは組織因子とリン脂質の複合体として組織から抽出される。一方、組換え組織因子の場合には発現精製した組織因子をリン脂質リポソームと複合体を形成させた組換えトロンボプラスチンとして用いられる。リン脂質の組成が組換えトロンボプラスチンの活性に大きく影響することが知られている。リン脂質の親水基部分は凝固因子と結合する上でホスファチジルセリン(PS)又はホスファチジルグリセロース(PG)のような陰性荷電が重要である。一方、リン脂質の脂肪酸側鎖に起因するリン脂質膜の流動性も凝固反応に大きく影響することが知られている。流動性を大きくする不飽和脂肪酸を含むリポソームの方が、活性が高いことが知られている(非特許文献1、特許文献6)。
本発明者らは、組換え組織因子を用いたPT測定試薬において、組織因子とリン脂質から調製されるリポ化トロンボプラスチンの安定性を向上させるには、既に知られている天然型の組織トロンボプラスチンや組換えトロンボプラスチンを分散させる溶媒の外的環境によるだけでなく、リポソーム膜自体の安定性を向上させることにより、リポ化トロンボプラスチンの安定化向上が図れると考えた。これまで、液状のPT測定試薬においてリポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する公知の添加剤として、ポリエチレングリコールや血清アルブミン(特許文献3)、水溶性の抗酸化剤(アスコルビン酸等)と血清アルブミンとの組合せ(特許文献4)、カテコール等のポリフェノール(特許文献5)等が知られているが、リン脂質の酸化を防止することによって、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の長期の安定化(特に液状)が達成できるとは考えられていなかった。なお、特許文献2の実施例には、リン脂質の酸化防止を目的として、脂溶性抗酸化剤(ブチルヒドロキシトルエン:BHT)を用いることが記載されているが、特許文献2は、長期貯蔵のために凍結乾燥する場合には低温保存剤を添加することが好ましいとの記載から明らかなとおり、凍結乾燥による保存を前提としたものであり、BHTの使用により液状で長期保存できるとの認識は全くなかったものと推測される。
本発明はこの知見に基づいて成し遂げられたものである。
本発明は、以下の発明に関する:
[1]脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンと、リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤とを含有する、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定用試薬。
[2]前記脂溶性抗酸化剤が、ブチルヒドロキシトルエン及び/又はα−トコフェロールである、[1]の試薬。
[3]前記添加剤が、ポリエチレングリコール及び/又は血清アルブミンである、[1]又は[2]の試薬。
[4]前記試薬が、プロトロンビン時間測定試薬、複合因子測定試薬、特定因子活性測定試薬、又は血液凝固因子阻害剤測定試薬である、[1]〜[3]のいずれかの試薬。
[5]前記試薬がプロトンビン時間測定試薬である、[4]に記載の試薬。
[6]前記試薬が、凝固第II因子、凝固VII因子、または凝固X因子を測定する複合因子測定試薬である、[4]の試薬。
[7]前記試薬が特定因子活性測定試薬である、[4]の試薬。
[8]前記試薬が凝固因子阻害剤測定試薬である、[4]の試薬。
[9]前記試薬が液状である、[1]〜[8]のいずれかの試薬。
[10]脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンとリポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤を含有する、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の製造方法。
[11]被検試料、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチン、カルシウムイオン、リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤を溶液中で接触させ、その接触開始から凝固までの時間を測定する工程を含む、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定方法。
[12]脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンとリポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤を含有することを特徴とする、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の安定化方法。
(用語の定義)
本発明で使用する用語「組織因子」とは、凝固第III因子とも呼ばれるタンパク質であり、脂質部分を含まないアポタンパク質である。
本発明で使用する用語「天然型組織因子」とは、ヒト、動物等の天然組織由来の組織因子である。
本発明で使用する用語「組換え組織因子」とは、遺伝子組換え手法によって作製された組織因子である。
本発明で使用する用語「トロンボプラスチン」とは、組織因子とリン脂質の複合体のリポタンパク質である。
本発明で使用する用語「組織トロンボプラスチン」とは、ヒト、動物等の天然組織由来のトロンボプラスチンであり、リン脂質によるリン脂質化手段を要しないものである。
本発明で使用する用語「リポ化トロンボプラスチン」とは、組織因子の由来に拘わらず、組織因子アポタンパク質をリン脂質でリン脂質化したものである。
本発明で使用する用語「組換えトロンボプラスチン」とは、組換え組織因子から調製されるリポ化トロンボプラスチンである。
本発明で使用する用語「プロトロンビン時間測定用試薬」とは、プロトロンビン時間測定に使用可能な各種トロンボプラスチンに凝固第IV因子であるカルシウムイオンを含有させた試薬である。
本発明により、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の保存安定性を改善する顕著な効果をもたらす。従って、長期に安定な液状のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬を提供できる。また、凍結乾燥したリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬においても、再溶解後に顕著な安定性を有するリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬を提供できる。
(組織因子)
本発明で使用可能な組織因子は、当業者であれば公知の組織因子から適宜選択して使用することができる。天然型組織因子或いは組換え組織因子のいずれも適用されるが、組換え組織因子が好適である。組換え組織因子としては、ヒト又は動物の組織因子の遺伝子配列を組み込んだウイルスを感染させた昆虫細胞、遺伝子組換え大腸菌又は酵母等の宿主により産生させたものを用いることができる。組換え組織因子は公知の方法に従って作製することができるが、例えば、宿主内に発現した組織因子は膜貫通型タンパク質で単純な水溶媒には不溶であるため、界面活性剤を含んだ緩衝液で発現細胞を破壊抽出することによって分離し、更に、分離した組織因子は、クロマトグラフィー等の操作によって精製することができる。
(リン脂質混合物)
本発明で使用可能なリン脂質混合物は、リン脂質を混合して作製することができ、好ましくは、リン脂質を混合してから脂溶性抗酸化剤を添加するか、あるいは、脂溶性抗酸化剤存在下で、リン脂質を混合して作製することができる(脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物)。当業者であれば公知のリン脂質から適宜選択して使用することができるが、植物または動物由来のリン脂質の他、合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルグリセロール等の中から適宜選択組み合わせたものも用いることができる。また、これらリン脂質の脂肪酸側鎖は不飽和脂肪酸を含むものが好適である。該リン脂質混合物は公知の方法に従って作製することができるが、例えば、リン脂質をクロロホルム等の有機溶媒に溶解したものに、ブチルヒドロキシトルエン、α−トコフェロール等の脂溶性抗酸化剤を0.01〜5.0%加えたものを調製したのち、有機溶媒を除去してリン脂質混合物とすることが挙げられる。
(リポ化トロンボプラスチン)
本発明で使用可能なリポ化トロンボプラスチンは、例えば、組織因子溶液と脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物で構成される(脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチン)。該リポ化トロンボプラスチンは、当業者であれば公知のリポ化トロンボプラスチンの作製法から適宜選択して使用することができるが、例えば、組織因子溶液と脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物をモル比で約1:1000〜1:500000の割合で混合し、均一な溶液とすることが挙げられる。該組織因子溶液は、組織因子と脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物を溶解させるに足る界面活性剤を含む緩衝液であり、その中に保護タンパク質として、血清アルブミン、グロブリン等を含ませることもできる。組織因子溶液と脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物を十分混和溶解後、界面活性剤を除去することによってリン脂質によるリポソームが形成される同時に、組織因子の膜貫通部分がリン脂質膜に取り込まれる結果、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンが調製される。界面活性剤の除去方法は、公知の透析法や吸着樹脂を用いる方法が適用できる。
(リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法)
本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法は、少なくとも、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンと、リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤とを含む。
リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤としては、公知のリポ化トロンボプラスチンを安定化する添加剤が使用できる。例えば、血清アルブミン、ポリエチレングリコール、ポリペプチド、水溶性高分子等が挙げられる。当業者であれば、適宜、選択して使用することができる。また、該安定化添加剤は、単独で使用しても、あるいは、複数を組み合わせて使用しても良いが、複数を組み合わせた方が好ましい。例えば、血清アルブミン及び/又はポリエチレングリコールが共存していることにより、特に長期間の高い安定性が得られるので好ましい。
例えば、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンを、0.01〜10W/V%血清アルブミン、0.01〜10W/V%のポリエチレングリコールを含む緩衝液(例えば、HEPES、MOPS、pH5〜10)に1〜100nmol/Lとなるよう分散させる。その中に10〜50mmol/Lのカルシウム化合物を添加してリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬とすることが挙げられる。リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬は、特に断りが無い限り、既知のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬と同様に調製することができる。例えば、防腐剤、賦形剤等を加えることもできる。カルシウム化合物は、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等から適宜選択され得る。
前記安定化添加剤は、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬、好ましくはPT測定試薬に添加されていれば良い。また、前記添加剤は、測定時に添加されても良いし、試薬製造時に添加されても良いが、試薬製造時に添加された方が好ましい。リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬が安定化されるため、試薬製造後から使用時(測定時)の長期間の保存安定性を望むことができる。
本発明において使用可能なポリエチレングリコールは、天然物からの精製品や合成品などがあるが、当業者であれば、適宜選択して使用することができる。具体的には、分子量1000〜50万が好ましく、1000〜5万が更に好ましい。ポリエチレングリコールの存在により、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の安定性を向上することができるため好ましい。
本発明において使用可能な血清アルブミンは、ヒト又は動物の血清アルブミンが用いられ、天然のものあるいは遺伝子組み換えによって調製されたものも用いることが可能である。血清アルブミンの存在により、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬の安定性を向上することができるため好ましい。
添加される前記添加剤の濃度は、液状のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬中、好ましくはPT測定試薬中の濃度として、0.01〜10W/V%、0.1〜5(W/V)%が好適であり、より好適には、0.5〜2(W/V)%である。
また、本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の実施形態としては、液状品でも、凍結品であっても良いが、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンと前記添加剤を含むことにより、液状品のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬であっても、長期間安定化できるため、特に液状品に適用することが好ましい。
また、本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の実施形態としては、1試薬系、あるいは2試薬系などの複数の試薬からなる製剤でも良い。具体的には、PT測定試薬を液状試薬として提供する場合には、試薬の反応主成分である脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチン(凝固第III因子)及び凝固第IV因子であるカルシウムイオンを混合した1試薬系の製剤で提供できるのみならず、より長期の保存安定性を有する製剤として、リポ化トロンボプラスチンとカルシウム化合物の水溶液を分離させた2試薬系の製剤や、凍結乾燥品製剤としても提供することもできる。なお、2試薬系の場合には、リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤は、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンを含有する試薬に添加する。
本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の第一の実施形態としては、PT測定試薬として構成し、検体と反応させて、血液凝固因子のうち、第II因子、第V因子、第VII因子、及び第X因子の総合的な活性を検査する試薬として用いることが挙げられる。具体的には、前記PT測定試薬は、脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチンに、血液凝固活性を発現しうる濃度のカルシウムイオンを添加することによって提供される。その試薬には防腐剤、pH緩衝剤、PT測定に影響を及ぼす抗凝固作用物質の影響を回避するための添加剤等を加えることができる。
本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の第二の実施形態としては、前記PT測定試薬と同様に構成し、前記凝固因子の内、第V因子を除いた血漿(欠乏血漿:すなわち、凝固因子としては、第II因子、第VII因子、及び第X因子を含有)と混合して、第II因子、第VII因子、及び第X因子の活性を検査する複合因子測定試薬としても用いることが挙げられる。
第二のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬は、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を別々に用意した2試薬系として構成することもできるし、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を混合して用意した1試薬系として構成することもできる。2試薬系の例としては、第一試薬をPT測定試薬、第二試薬を欠乏血漿とし、検体を第一試薬と反応させ、次に欠乏血漿と反応させて測定することが挙げられる。1試薬系の例としては、PT測定試薬と欠乏血漿を混合した試薬を構成し、検体を反応させ測定することが挙げられる。当業者であれば、いずれの試薬構成をとるか、適宜選択して実施することができる。
本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の第三の実施形態としては、前記PT測定試薬と同様に構成し、前記凝固因子の内、いずれか一つの因子を欠乏させた因子欠乏血漿と組み合わせて、特定の因子活性を検査する特定因子活性測定試薬としても用いることが挙げられる。例えば、第VII因子の欠乏血漿(すなわち、凝固因子としては、第II因子、第V因子、及び第X因子を含有)とPT測定試薬を組み合わせて、被験検体の第VII因子の活性を測定することができる。また、第II因子の欠乏血漿(すなわち、凝固因子としては、第V因子、第VII因子、及び第X因子を含有)とPT測定試薬を組み合わせて、被験検体の第VII因子の活性を測定することができる。また、第X因子の欠乏血漿(すなわち、凝固因子としては、第II因子、第V因子、及び第VII因子を含有)とPT測定試薬を組み合わせて、被験検体の第VII因子の活性を測定することができる。
第三のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬は、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を別々に用意した2試薬系として構成することもできるし、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を混合して用意した1試薬系として構成することもできる。2試薬系の例としては、第一試薬を欠乏血漿、第二試薬をPT測定試薬とし、検体を第一試薬と反応させ、次に欠乏血漿と反応させて測定することが挙げられる。1試薬系の例としては、PT測定試薬と欠乏血漿を混合した試薬を構成し、検体を反応させ測定することが挙げられる。当業者であれば、いずれの試薬構成をとるか、適宜選択して実施することができる。
本発明のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬及び測定方法の第四の実施形態としては、対象となる検体が異なる以外は第二の実施形態と同様に実施することができる。前記PT測定試薬と同様に構成し、血漿中の血液凝固因子阻害剤の存在を検査する血液凝固因子阻害剤測定試薬としても用いることが挙げられる。
第四のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定試薬は、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を別々に用意した2試薬系として構成することもできるし、前記PT測定試薬と前記欠乏血漿を混合して用意した1試薬系として構成することもできる。2試薬系の例としては、第一試薬をPT測定試薬、第二試薬を欠乏血漿とし、検体を第一試薬と反応させ、次に欠乏血漿と反応させて測定することが挙げられる。1試薬系の例としては、PT測定試薬と欠乏血漿を混合した試薬を構成し、検体を反応させ測定することが挙げられる。当業者であれば、いずれの試薬構成をとるか、適宜選択して実施することができる。
前記の各因子の活性は、フィブリン形成(凝固)が観察されるまでの時間(凝固時間)を評価したり、標準血漿に対する時間(%)を評価したりすることで検査できる。当業者であれば、目的に応じて適宜評価方法を選択して実施することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:PT測定試薬の調製》
ジオレイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン及びジオレイルホスファチジルセリンをモル比6:2:2となるように混合し、クロロホルムに溶解しリン脂質溶液とした。そして、脂溶性抗酸化剤ブチルヒドロキシトルエン(BHT:WAKOより購入)をリン脂質に対して重量比で0.05%となるように加え、その溶液をエバポレーターで溶媒を除去し乾固して、脂溶性抗酸化剤添加リン脂質混合物とした。比較として、BHTを加えないものを脂溶性抗酸化剤無添加リン脂質混合物として用意した。
特許文献7に開示されているcDNAと非特許文献2に示される方法に従って発現させたヒト組換え組織因子を1%Triton X−100(SIGMAより購入)を含む緩衝液に溶かしたものを、上記で作製した各々のリン脂質混合物に加え、これらを溶解した。なお、ヒト組換え組織因子とリン脂質混合物のモル比を1:20000となるように調製した。
調製した溶液1mL当たり80mgのBio−Beads SM−2(BIORAD社より購入)を加えて室温で90分間ゆっくりと攪拌しながらTritonX−100を除去した。さらに、1mL当たり240mgのBio−Beads SM−2で90分間吸着させてTritonX−100を除去した。これを組換えトロンボプラスチン原液として、以下の検討に使用した。
組換えトロンボプラスチン原液を緩衝液で組織因子濃度が10nmol/Lとなるように調製し、以下のPT測定試薬を調製した。
試薬1:BHT無添加組換えトロンボプラスチン+20mmol/L塩化カルシウム含有20mmol/LHEPES緩衝液(pH7.4)
試薬2:試薬1に最終濃度1%ウシ血清アルブミン(BSA)及び1%ポリエチレングリコール(PEG、分子量:6000)を添加したもの
試薬3:BHT添加組換えトロンボプラスチン+20mmol/L塩化カルシウム含有20mmol/LHEPES緩衝液(pH7.4)
試薬4: 試薬3に1%ウシ血清アルブミン及び1%ポリエチレングリコール(分子量:6000)を添加したもの
《実施例2:PT測定試薬の保存安定性の検討》
実施例1で調製した各PT測定試薬を37℃で4週間保存した前後の試薬を用いて、正常域コントロール血漿(Normal Control:IL社)と異常域コントロール血漿(High Abnormal Control:IL社)のPT測定を行い、凝固時間の変動を調べた。測定には全臨床検査システムSTACIA(三菱化学メディエンス)を用いた。測定パラメーターは、検体:50μL、PT測定試薬:100μLである。
その結果を表1に示す。また、試薬1〜4における脂溶性抗酸化剤(BHT)と安定化添加剤(BSA及びPEG)の含有の有無を表2に示す。脂溶性抗酸化剤BHTを添加したリポソームで構成されるPT測定試薬(試薬3、試薬4)は、リポ化トロンボプラスチンの安定化に寄与する添加剤である血清アルブミンとポリエチレングリコールの非存在下(試薬3)では、BHT不含試薬(試薬1)と比較して凝固時間の変化に差はないが、添加剤存在下(試薬4)ではBHTを含有することで、37℃で4週間保存後も凝固時間の変化が少なく安定であることが分かった。
PT測定試薬において、正常域の凝固時間変化は、できるだけ少なく抑えることが望まれており、好ましくは、1.0秒以内が求められている。脂溶性抗酸化剤BHTを添加したリポソームで構成される組換えトロンボプラスチン(脂溶性抗酸化剤添加リポ化トロンボプラスチン)を前記添加剤(血清アルブミンとポリエチレングリコール)含有の分散溶媒で分散させたPT測定試薬は、この条件を満たすことから、有用性が高いと言える。また、異常域の凝固時間の変化幅についても、他に比べて小さいことから、液状安定性が高いと考えられる。
Figure 0006250306
Figure 0006250306
本発明は、臨床検査の分野、とりわけ血液凝固能検査に使われる。リポ化トロンボプラスチンを用いるプロトロンビン時間測定用の試薬(PT測定試薬)、複合因子測定用試薬、凝固因子測定用試薬、凝固阻害剤測定用試薬等に利用できる。

Claims (9)

  1. ブチルヒドロキシトルエン添加リポ化トロンボプラスチンと、ポリエチレングリコール及び血清アルブミンとを含有し、液状で長期保存できる、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定用液状試薬。
  2. 前記試薬が、プロトロンビン時間測定試薬、複合因子測定試薬、特定因子活性測定試薬、又は血液凝固因子阻害剤測定試薬である、請求項1に記載の液状試薬。
  3. 前記試薬がプロトロンビン時間測定試薬である、請求項に記載の液状試薬。
  4. 前記試薬が、凝固第II因子、凝固VII因子、または凝固X因子を測定する複合因子測定試薬である、請求項に記載の液状試薬。
  5. 前記試薬が特定因子活性測定試薬である、請求項に記載の液状試薬。
  6. 前記試薬が凝固因子阻害剤測定試薬である、請求項に記載の液状試薬。
  7. ブチルヒドロキシトルエン添加リポ化トロンボプラスチンと、ポリエチレングリコール及び血清アルブミンとを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定用液状試薬の製造方法。
  8. 被検試料請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状試薬とを溶液中で接触させ、その接触開始から凝固までの時間を測定する工程を含む、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定方法。
  9. ブチルヒドロキシトルエン添加リポ化トロンボプラスチンと、ポリエチレングリコール及び血清アルブミンとを含有し、液状で長期保存できることを特徴とする、リポ化トロンボプラスチン含有血液凝固能測定用液状試薬の安定化方法。
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