JP6249940B2 - 3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法に関する。
通常、下注造塊装置においては、取鍋からの溶鋼を注入する注入管を基準にすると、当該注入管に対して、左右対称に鋳型を配列して鋳造を行うことが多いが、取鍋の溶鋼重量と、鋳造する1つの鋼塊重量との兼ね合いによっては、左側に2基の鋳型、右側に1基の鋳型というように、非対称に鋳型を配置しなければならない場合がある。このように、非対称に鋳型を配置した場合、各鋳型内で湯上がり速度が異なるため、右側の鋳型の湯面が左側の鋳型の湯面よりも高くなり、鋳型間での湯面の高さが異なってしまう。
このようなことから、例えば、湯面が同じ高さとなるまで溶鋼の注入を中断したり、取鍋のノズルを絞って溶鋼の注入速度を極端に少なくすることで湯面の高い鋳型内の溶鋼を湯道に逆流させることにより、鋳型間での湯面の高さを均一化をしている。
しかしながら、このような方法では、注湯速度の制御が非常に大変であると共に、注湯時間が長くなり、作業効率が低下してしまう。また、溶鋼を湯道に逆流させる方法を行った場合は、湯道内に残留していた溶損した耐火物などがゆっくりとした流れで他の鋳型内に持ち込まれると共に、持ち込まれた耐火物は鋳型内で浮上することが難しいため、鋼塊のボトム部に容易に捕捉されて、介在物による欠陥が発生してしまう虞がある。
さて、上述した方法以外で鋳型間での湯面の高さを均一化する技術として、特許文献1〜4に示すものがある。
特許文献1は、1ランナー2モールドと1ランナー3モールド、特許文献2は1ランナー1モールドと1ランナー2モールドについてモールド間の溶鋼面差をなくすることを目的としている。特許文献1では、鋳型配置数の多い定盤湯道径より、鋳型配置数の少ない側の湯道径を小径にしている。また、特許文献2では、1つの注入管から定盤に形成された複数本のランナーを通して溶鋼を前記複数本のランナー上に夫々設けたモールド内に注入してなる下注ぎ造塊設備において、1ランナー2モールド側のランナーの断面積(d1)と1ランナー1モールドの側のランナーの断面積(d2)との比をd1:d2=1:0.40〜0.60としている。
特許文献3は、注入初期における注入管寄りのモールドに生じていた激しい湯暴れを防止し、且つ注入中期乃至末期におけるモールド内溶鋼の湯面差を減少することにより、鋼塊の表面疵および内部欠陥の発生とモールドの溶損を防止することを目的としている。この特許文献3では、少なくとも1本の1ランナー・多モールドの注入管よりの湯上り口断面積を1ランナー・1モールドの湯上り口断面積の1.3〜2.5倍の大きさにしている。
特許文献4は、下注ぎ造塊作業の注入中期から後期におけるモールド間の溶鋼の湯上りを均一化するとともに、注入初期におけるモールド内での溶鋼の湯暴れを減少することにより、鋼塊底部欠陥や表面疵の防止、モールドの溶損を防止することを目的としている。この特許文献4では、1ランナー2モールド側の注入管よりのモールドの湯道管の湯上がり口を少なくとも1層の溶損性の内側耐火物と、耐溶損性の外側耐火物層とから構成している。これにより、モールド内の溶鋼の湯面があがるにつれて溶損が進み、その断面積が拡大され、この結果、注入中期、乃至後期におけるモールド内に進入する溶鋼の流れはスムーズとなり溶鋼の流入量は他のモールドより増加するため各モールド間の湯面差を減少している。
また、上述した特許文献1〜4の他に、特許文献5に示す技術がある。この特許文献5は、溶融金属注入流に巻き込まれたガス体が湯道管を通じて鋳型内へ流れ込むことを防止することを目的としている。特許文献5では、下注ぎ管と鋳型との間に設けた湯道管の一部内径を他の湯道内径より小径にして、湯道全体の溶鋼流に抵抗を与え、ガスの巻き込み
を防止している。
特開昭50−114341公報 特開昭53−65817号公報 特公昭60−43826号公報 特開昭54−62121号公報 実開昭50−89913号公報
特許文献1及び2では、1ランナー1モールド側の湯道全長を細くしているため、湯道内での溶鋼凝固やアルミナの付着によって詰まりが発生することがある。
特許文献3では、例えば、30トンを超える大型の鋳型に適用した場合、鋳造終了後に鋳型を取り外した後、インゴットを湯道から切り離す作業(根切りと呼ばれる)を行う際に、湯道を繋ぐ湯口が大きいために強度が大きく、切り離し作業が困難となる。
特許文献4では、耐火物の溶損を利用しているため、溶損した耐火物が鋳型内に進入し、介在物欠陥を生じたり、溶損速度が鋳造条件で異なり不安定になることがある。特許文献5は、湯道径を細くすることが開示されているものの、湯道径を短くする基準が示されていないと共に、細くした湯道部の長さや鋳型の非対象についても示されておらず、湯面高さを一定にすることは困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法であって、各鋳型間の湯面高さの差を少なくしつつ、高品質の鋼塊を製造することができる下注造塊方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法は、注入管から分かれた湯道に、鋳型数が2基である右側鋳型と鋳型数が3基である左側鋳型とが設けられた下注造塊装置において下注ぎ鋳造を行うに際して、前記注入管に注入する注湯流量は4.6〜6.7t/minとし、前記右側鋳型側の湯道長さと左側鋳型側の湯道長さとの比を1:1.5〜1:1.6の範囲に設定されており、前記右側鋳型の湯道に関して、前記注入管から1番目の鋳型に至る第1湯道における細径部の内径を湯道内径D1(mm)とし、前記1番目の鋳型と2番目の鋳型とに至る第2湯道における細径部の内径を湯道内径D1’(mm)とし、前記左側鋳型の湯道に関して、前記注入管から2番目の鋳型に至る第3湯道の内径を湯道内径D2(mm)とし、前記2番目の鋳型から3番目の鋳型に至る第4湯道の内径、或いは、第4湯道に細径部を設けた場合の内径を湯道内径D2’(mm)とし、水モデルにおける注湯流量を実機に換算した場合の注湯流量をW としたとき、前記湯道内径D1、湯道内径D1’、湯道内径D2、湯道内径D2’は、式(1)〜(4)を満たし、前記第1湯道の細径部の長さL1、前記第2湯道の細径部の長さL2、前記第4湯道に細径部が設けられている場合の当該細径部の長さL3、750mm以上であると共に前記第4湯道の細径部の終端位置から最も遠い鋳型の注入口までの距離L4(mm)が式(5)を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における
下注造塊方法において、各鋳型間の湯面高さの差を少なくしつつ、高品質の鋼塊を製造することができる。
下注ぎ造塊を行う下注造塊装置の概略図である。 下注造塊装置の概略平面図である。 湯道内径と、注入流量における最大注入流量差との関係を示す図である。 湯道内径と、最大注入流量差をパーセントで表した場合の最大注入流量差との関係を示す図である。 水モデルの模型を示す図である。 D2=16mmφでの右湯道内径D1と、鋳型への注入流量との関係を示す図である。 注湯流量を変化させた場合の左湯道内径D2=16mmφでの右湯道内径D1と、最大注入流量差との関係を示す図である。 注湯流量を変化させた場合の最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径の関係を示す図である。 注湯流量Qと、最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径D1の最小径と最大径を示す図である。 第1右湯道の長さL1と、最大注入流量差との関係を示す図である。 第2右湯道の長さL2と、最大注入流量差との関係を示す図である。 左側の湯道にも細径部を設けた場合の下注造塊装置の概略図である。 スプラッシュの状態を示す図である。 D2=16mmφ、D2’=13mmφ、L3=228mmでの注湯流量Qと、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係図である。 D2=18mmφ、D2’=13mmφ、L3=228mmでの注湯流量Qと、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係図である。 D2=18mmφ、D2’=15mmφ、L3=228mmでの注湯流量Qと、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係図である。 注湯流量Qと、スプラッシュ発生の有無の離間距離L4の境界との関係を示す図である。 注湯流量Q=16.0L/min、D1=D2=D1’=D2’=16mmφとした場合の注入開始からの時間と湯面高さとの関係を示す図である。 注湯流量Q=16.0L/min、D1=D1’=11mmφ、D2=D2’=16mmφとした場合の注入開始からの時間と湯面高さとの関係を示す図である。 注湯流量Q=16.0L/min、D1=13mmφ、D2=16mmφ、D1'=D2'=11mmφとした場合の注入開始からの時間と湯面高さとの関係を示す図である。 図18〜図20に示したケースA、B、Cと最大注入流量差(%)との関係を示す図である。
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
造塊法として、下注ぎ造塊法と上注ぎ造塊法の2種類がある。上注ぎ造塊法では鋳型の上部の開口部に取鍋から直接、溶鋼を注ぎ込んで鋳造するのに対し、下注ぎ造塊法では、注入管と呼ばれるロート状の注ぎ口が設けられた垂直の管に溶鋼を注ぎ込んで、湯道を介して鋳型に注湯することにより鋳造を行う。本発明では、造塊法のうち、下注ぎ造塊法を対象としている。
下注ぎ造塊法において、2基以上の鋳型に同時に注湯する場合は、注入管の下部から左右若しくは多方向に分岐された湯道を経由して、各鋳型の底の注入口から当該鋳型内に溶鋼が注湯される。ここで、鉄鋼メーカでは多くの場合、大量のインゴットを効率良く鋳造し、注入場から搬出するため、鋳造したインゴットを鋳型と注入管、湯道ともども、運搬用列車の台車に積載して移動させる。このようなことから、湯道は、台車の長手方向、即ち、左右方向に沿った配列になる。つまり、湯道は、注入管から左右に分かれて設置され
る。
さて、上述したように、下注ぎ造塊法では、通常、注入管を基準として、左右対称に鋳型を配置する。ここで、取鍋の溶鋼重量と、鋳造する1つの鋼塊重量との兼ね合いによっては、鋳型数(鋳型の個数)が奇数にならざるを得ない場合が生じる。例えば、取鍋の溶鋼量が250トンで、鋳型内の鋼塊重量が50トンの場合、注入管を基準として、一方側に設置された3基の鋳型と、他方側に設置された2基の鋳型とで同時に鋳造することになる。
このように、本発明の下注造塊方法では、溶鋼を注入する注入管の下端側から湯道を分岐させたうえで、注入管を基準として、鋳型が非対称に設置して鋳造を行うことを前提としている。また、本発明の下注造塊方法では、1ヒート分の溶解量が90〜300tで、鋳造時間が45分〜1.5時間、注湯流量は5〜10t/min、1基の鋳型当たりの注湯量が15〜30tの範囲である。
通常、大型の高品質インゴットの下注造塊方法下では、鋳片品質を保つためにスループットを10tを超えて大きくすることは、注入口から鋳型内に噴出する溶鋼流速が過大になり鋳型内に投入される型内剤や保温剤を巻き込むため行われていない。また、注湯流量が2t/min以下の場合、溶鋼の温度低下、湯道内での溶鋼の凝固による詰まりを引き起こす虞があるため、2t/min以下での鋳造は行われない。なお、後述する水モデル等によって確認した注湯流量は、実機換算で4.6〜6.7t/minの範囲である。
まず、下注造塊方法を行う下注造塊装置の構造について説明する。
図1は、下注造塊装置の全体を示している。
図1に示すように、下注造塊装置1は、下注ぎ造塊法により溶鋼2を鋳造するものであって、取鍋3内の溶鋼2を注入する注入管4と、注入管4の下端から左右に分岐した湯道5、9と、この湯道5、9に連通する鋳型6とを備えている。
詳しくは、定盤7には1本の注入管4が立設され、注入管4の下端であって定盤7の内部には当該注入管4から枝分かれした湯道5、9が形成されている。また、注入管4を基準として、左側に3基の鋳型6a、6b、6cが設けられ、右側に2基の鋳型6d、6eが設けられている。注入管4、湯道5、9、注入口8の内面は耐火物で構成され、鋳型6、は鋳鉄で構成されている。また、鋳型6上部の押湯部の内面には耐火物が貼られている。
以降、説明の便宜上、左側に設けた3基の鋳型6a、6b、6cのことを「左側鋳型」、右側に設けた2基の鋳型6d、6eのことを「右側鋳型」という。また、左側鋳型に関し、注入管4を基準として、1番目に左側に位置する鋳型6cのことを「鋳型C」、2番目に左側に位置する鋳型6bのことを「鋳型B」、注入管4から3番目(最も左側に位置する)鋳型6aのことを「鋳型A」という。右側鋳型に関し、注入管4を基準として、当該注入管4から1番目に位置する鋳型6dのことを「鋳型D」、2番目(最も右側に位置する)鋳型6eのことを「鋳型E」という。
注入管4から右側鋳型(鋳型D、鋳型E)に向かう湯道5は、鋳型Dの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されると共に、鋳型Eの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されている。
また、注入管4から左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)に向かう湯道9は、鋳型Cの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されると共に、鋳型Bの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続され、さらに、鋳型Aの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されている。
以降、説明の便宜上、右側鋳型の湯道5に関して、注入管4から1番目の鋳型(鋳型D)に至る湯道のことを「第1湯道5a」、1番目の鋳型(鋳型D)から2番目の鋳型(鋳型E)に至る湯道のことを「第2湯道5b」という。また、左側鋳型の湯道9に関して、注入管4から2番目の鋳型(鋳型B)に至る湯道のことを「第3湯道9a」、2番目の鋳型(鋳型B)から3番目の鋳型(鋳型A)に至る湯道のことを「第4湯道9b」という。
図1に示すように、湯道5において、第1湯道5a及び第2湯道5bには、左側鋳型に接続する湯道9よりも内径が小さい細径部5a−1及び細径部5b−1が設けられている
。細径部5a−1の内径(湯道内径D1)と、細径部5b−1の内径(湯道内径D1’)とは、同じである。また、湯道9において、第3湯道9aの内径(湯道内径D2)と第4湯道9b(湯道内径D2’)との内径は同じである。つまり、図1の下注造塊装置1は、湯道の内径に関して、「D1’=D1」、「D2’=D2」、「D1’(D1)<D2’(D2)」を満たす。
さて、右側鋳型側の湯道5の長さA1と、左側鋳型側の湯道9の長さA2との比は、1:1.5〜1:1.6の範囲に設定されている。図2は、鋳型間の間隔および、鋳型、注入管の間隔を0として示した場合の下注造塊装置1の平面図を示したものである。図2を用いて、A2/A1について説明する。
図2に示すように、湯道5の全長A1は、注入管4の外寸法dの半分[1/2d]と、2基の右側鋳型(鋳型D、鋳型E)の外寸法D[3/2D]との合計である[1/2d+3/2D]になる。一方、湯道9の全長A2は、注入管4の外寸法dの半分[1/2d]と、3基の左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)の外寸法D[5/2D]との合計である[1/2d+5/2D]になる。
ここで、右側鋳型側の湯道5の全長A1と、左側鋳型側の湯道9の全長A2との比(A2/A1)を、注入管4の外寸法d及び鋳型の外寸法Dとで表すと、A2/A1=(1/2d+5/2D)/(1/2d+3/2D)={(1/2d+3/2D)+D}/(1/2d+3/2D)=1+2D/(d+3D)となる。ここで、通常、d=0.2D〜0.5Dであるため、A2/A1≒1.5〜1.6となる。実際の鋳型6、注入管4の配列では、鋳型間や注入管と鋳型間はスペースが設けられるが、このスペースの大きさは、鋳型6や注入管4の大きさに比べると小さいので、このA2/A1の値に影響は与えない。
以上、まとめると、下注造塊装置1は、鋳型数が2基である右側鋳型(鋳型D、鋳型E)と、鋳型数が3基である左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)とを有する装置であって、右側鋳型側の湯道長さA1と左側鋳型側の湯道長さA2との比が1:1.5〜1:1.6の範囲に設定された装置である。
次に、下注造塊方法について詳しく説明する。
例えば、左側に2基の鋳型を設置し、右側に2基の鋳型を設置した左右対称の鋳造において、鋳型間の注入速度は略一定と考えられるが、水モデル実験結果により、当該左右対称の鋳造でも、鋳型毎の注入流量のバラツキが生じている。しかしながら、左右対称の鋳造において、注湯流量を変化させて鋳造し、鋳型毎の注入流量のバラツキがあったとしても、品質上の問題は発生していない。そこで、左右非対称の鋳造においても、最大注入流量差(注入流量の差が最も大きい場合での流量差)が従来のような左右対称の鋳造と同等以下であれば問題がないとした。
図3及び図4は、左側に2基、右側に2基の左右対称の鋳型における水モデルの結果をまとめたものである。水モデルでは、鋳型は、透明ポリ塩化ビニル製であって、上部が底部よりも広がった上広鋳型とした。詳しくは、底面は、440×220mm、上面は、480×260mm、高さは、560mm、注入管の内径は、26mmφとした。注入管の左右の湯道長さは、985mmである。
水モデルでは、注湯流量を10L/min、20L/min、30L/minの3つのパターンとし、各パターンにおいて、左右の湯道の内径を同じとした。湯道の内径は、14mmφ、16mmφ、18mmφとした。また、水モデルでは、注湯流量を各パターンに応じて変化させ、各鋳型への湯上り速度を測定し、各鋳型への注入流量を求めた。左右に配置した鋳型の合計は4基であるため、各鋳型への注入流量は、注湯流量を鋳型基数の4で割った値(2.5L/min、5.0L/min、7.5L/min)である。
このような水モデルでは、湯道内径(湯道内径)と、各注入流量における最大注入流量差との関係は、図3に示す結果となった。また、最大注入流量差を各鋳型への注入流量で割り、最大注入流量差をパーセントで示すと図4の結果となった。
図4に示すように、湯道の内径が変化したとしても、注入流量において最大注入流量差が7.1%以下であれば、品質上の問題は生じないと考えられる。
次に、左右非対称の鋳造において、鋳型間の注入速度を一定にするための湯道内径(湯道内径)の検証を行った。
まず、図1に示した下注造塊装置1の1/5に相当する非対称の水モデルの模型を作成する。具体的には、図5に示すように、水モデルでは、2基の右側鋳型6d、6eに相当する鋳型(便宜上、鋳型D、鋳型Eという)を右側に配置し、3基の左側鋳型6a、6b、6cに相当する鋳型(便宜上、鋳型A、鋳型B、鋳型Cという)を左側に配置した模型を配置する。また、右側鋳型の湯道5に相当する湯道10を鋳型D及び鋳型Eに接続する。左側鋳型の湯道9に相当する湯道11を鋳型A、鋳型B及び鋳型Cに接続する。
説明の便宜上、右側鋳型の湯道5に相当する湯道10を「右湯道」といい、右湯道の内径を「右湯道内径」いう。左側鋳型の湯道9に相当する湯道11を「左湯道」といい、左湯道の内径を「左湯道内径」という。
水モデルを用いて、右湯道内径と、左湯道内径と、注湯流量とを、それぞれ変化させた場合の各鋳型への注入流量を求めた。なお、左湯道内径は、14mmφ、16mmφ、18mmφとした。
図6は、左湯道内径D2を16mmφとした場合において、右湯道内径と、鋳型への注入流量との関係をまとめたものである。水モデルの実験結果から各鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C、鋳型D、鋳型E)への注入流量と、注湯流量Qと、右湯道内径D1との関係を整理すると、各鋳型への注入流量は、式(I)〜式(V)に示す結果となった。
次に、左右非対称の鋳型の注入流量においても、左右対称の鋳型における最大注入流量差が範囲以下(7.1%以下)となるための湯道内径、即ち、最適な湯面上昇速度を求める。詳しくは、式(I)〜式(V)に示された右湯道内径D1(湯道5の内径)と、最大注入流量差との関係を整理した。図7は、注湯流量Qを変化させた場合であって左湯道内径D2が16mmφである場合における右湯道内径D1と、鋳型への最大注入流量差との関係をまとめたものである。図7に示すように、注湯流量Qの増加とともに最大注入流量差は増加するが各注湯流量において、極小点が存在する。
そして、図7に示した最大注入流量差を図4と同じようにパーセントに置き換えると図8に示す図となる。そのうえで、最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径の最小径と最大径を求める。図9は、図8に基づいて、注湯流量Qと、最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径D1の最小径と最大径をまとめたものである。図9に示すように、所定の注湯流量Qにおいて、右湯道内径D1が最小径と最大径との範囲内にあるときは、最大注入流量差が7.1%以下となる。つまり、左湯道内径D2を16mmφに固定した場合において、注湯流量Qに応じて右湯道内径D1を16mmφ以下である細径にすることによって、最大注入流量差を7.1%以下にすることができる。
図9に示す結果、即ち左湯道内径D2を16mmφに固定した場合において、最大注入流量差が7.1%以下となるための注湯流量Qと右湯道内径D1,D1’の最大値D1maxと最小値D1minとの関係をまとめると式(a)、式(b)となった。
上述した実施形態では、左湯道内径D2が16mmφであるときの右湯道内径の最小径
と最大径とを求めているが、左湯道内径D2が14mmφ、18mmφであるときの右湯道内径D1の最小径と最大径とについても同様の方法で最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径D1,D1’の最大値D1maxと最小値D1minとの関係との関係を求めると、式(a’)、式(b’)となった。
ここで、右湯道10に着目すると、注入管から1番目の鋳型(鋳型D)に至る第1右湯道10a(第1湯道5aに相当)と、1番目の鋳型(鋳型D)から2番目の鋳型(鋳型E)に至る第2右湯道10b(第2湯道5bに相当)とに分けて考えることができる。それゆえ、第1右湯道10aにおいて内径を小さくした細径部10a−1の内径の上下限値(D1min,D1max)と、第2右湯道10bにおいて内径を小さくした細径部10b−1の内径の上下限値(D1’min,D1’max)との両方が式(1a)〜式(4a)を満たすように細くすることによって、最大注入流量差を7.1%以下にすることができる。なお、式(a’)のD1max、式(b’)のD1minに対し、効果をより確実にするために式(1a)ではD1を式(a’)のD1max未満とし、式(b’)のD1minを超えるとした。したがって、式(1a)〜式(4a)では最大注入流量差が7.1%未満となる場合を示す。また、実機において、細径部が55mmφ以上(水モデルでは11mmφ以上)であると、湯道での溶鋼の詰まりが発生しないことから、右湯道内径の上下限値を考慮して、右湯道内径D1,D1’と左湯道内径D2と注湯流量Qとの関係をまとめると、式(1a)〜式(4a)になった。
なお、水モデルにおける細径部10a−1及び細径部10b−1は、それぞれ実機における細径部5a−1及び細径部5b−1に相当する。そのため、式(1a)〜式(4a)の水モデルにおいて実機に対応付けて考えると、当該式の湯道内径D1max、D1minは、細径部5a−1及び細径部5b−1の内径の上下限値である。また、水モデルにおける左側鋳型の湯道11は、実機における左側鋳型の湯道9に相当する。そのため、式(1a)〜式(4a)の水モデルにおいて実機に対応付けて考えると、湯道内径D2は、左側鋳型の湯道9の内径である。
さて、上述した結果は水モデルによる結果であるため、式(A)を用いて、水モデルにおける注湯流量Qを実機のスループットW(t/min)に換算する。そうすると、スループット(実機の注湯流量)Wと、湯道内径D1と、湯道内径D2とは、式(1)〜式(4)となる。なお、湯道内径D1=湯道内径D1’であるため、湯道内径D1’についても式(1)〜式(4)で求めることができる。
式(1)〜式(4)に示すように、湯道内径D1(D1’)を、湯道内径D2に基づいて設定することにより、右側鋳型の湯上がり速度と、左側鋳型の湯上がり速度とを一定にすることができると考えられる。
発明者は、右側鋳型(鋳型D、鋳型E)の湯道5と、左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)の湯道9との関係について、さらに検証したところ、右側鋳型の湯道内径D1を左側鋳型の湯道内径D2に基づいて設定したとしても、右側鋳型の湯道5の長さが短すぎると効果が無いことが分かった。
そこで、湯道5の細径部の長さを求めるために、まず、水モデルにおいて、最大注入流量差が7.1%未満となる右湯道(湯道10)の細径部の長さについて検証を行うこととした。
この水モデルでは、右湯道の細径部の長さの検証を行うに際しては、第1右湯道10aの細径部(実機において第1湯道5aの細径部5a−1に相当)の長さL1と、第2右湯道10bの細径部(実機において第2湯道5bの細径部5b−1に相当)の長さL2との検証を行った。
左湯道内径を16mmφとし、第1右湯道細径部10a−1、第2右湯道細径部10b−1の内径を13mmφとし、第2右湯道細径部10b−1の長さL2を171mmとした場合における最大注入流量差と、第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1との関係は、図10に示す結果となった。図10に示す矢印は、最大注入流量差が7.1%となったときの第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1を示している。図10に示すように、第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1を150mm以上とすることによって、最大注入流量差が7.1%未満を安定して得ることができる。
同様に左湯道内径を16mmφとし、第1右湯道細径部10a−1、第2右湯道細径部10b−1の内径を13mmφとし、第1右湯道細径部10a−1の長さL1を171mmとした場合における最大注入流量差と、第2右湯道10bの長さ(細径部10b−1の長さ)L2との関係は、図11に示す結果となった。図11に示す矢印は、最大注入流量差が7.1%となったときの第2右湯道10bの長さ(細径部10b−1の長さ)L2を示している。図11に示すように、第2右湯道10bの長さ(細径部10b−1の長さ)を150mm以上とすることによって、最大注入流量差を7.1%未満を安定して得ることができる。
以上のように、左湯道内径を16mmφし、右湯道内径を13mmφとした場合においては、右湯道(第1右湯道10a、第2右湯道10b)における細径部の長さを少なくとも150mm以上にすることによって最大注入流量差7.1%未満を安定して得ることができる。なお、上述した実施形態では、左湯道内径を16mmφにした場合の結果について説明しているが、左湯道内径を14mmφ、18mmφにした場合でも同様の結果が得られた。
ここで、水モデルの細径部10a−1の長さL1と、細径部10b−1の長さL2を実機に置き換える。実機の細径部5a−1の長さL1は、式(5)に示すように750mm以上とすることにより、最大注入流量差7.1%未満を安定して得ることができる。また。実機の細径部5b−1の長さL2、後述する細径部9b−1の長さL3も、を式(5)
に示すように750mm以上とすることにより、最大注入流量差を7.1%未満を安定して得ることができる。
つまり、水モデルを実機に換算した場合は、左側鋳型の湯道内径D2(水モデルの左湯道内径に相当)に対して、右側鋳型の湯道であって狭くなる細径部(第1湯道5aの細径部5a−1及び第2湯道5bの細径部5b−1)の内径、即ち、湯道内径D1、D1’(水モデルの右湯道内径に相当)が式(1)〜式(4)を満たし、さらに、細径部5a−1及び細径部5b−1の長さL1,L2が750mm以上とすることにより、右側鋳型及び左側鋳型の湯上がり速度を一定にすることができる。
上述した実施形態では、図1及び図5に示すように、右側鋳型における第1湯道5aと第2湯道5bの内径は一定としていた(D1’=D1)。ここで、第1湯道5aの内径(湯道内径D1)よりも第2湯道5bの内径(第2湯道内径D1’)を小さく(D1’<D1)することによって、さらに、最大注入流量差をより小さくすることが期待できる。
また、左側鋳型の鋳型Aは、最も注入管4から離れている。それゆえ、鋳型Aにおいても上述した右側鋳型の鋳型D、Eと同じように内径を小さくすれば、さらに、最大注入流量差をより小さくすることが期待できる。
つまり、図12に示す如く、左側鋳型における第3湯道9aと第4湯道9bとの内径を一定(D2’=D2)ではなく、第4湯道9bの内径を第3湯道9aの内径よりも小さく(D2’<D2)することによって、最大注入流量差をより小さくすることが期待できる。この場合、第4湯道9bにも第2湯道5bの細径部5b−1と同じような細径部9b−1を設けることが望ましい。第4湯道9bは第2湯道5bと同様の形状にすることが望ましい。
ここで、第4湯道9bに細径部9b−1を設けた場合、当該細径部9b−1の以外の内径は、第3湯道9aの内径(D2)と同じと考えてよい。この場合、第4湯道9bの細径部9b−1を除く部分は実質的に第3湯道9aと同じであるから、細径部9b−1の内径は、第4湯道9bの内径である「湯道内径D2’」に置き換えて考えることができる。
したがって、細径部9b−1を設けた場合において、細径部9b−1の内径(湯道内径D2’)と、他の湯道内径、注湯流量との関係は、上述した式(1)〜式(4)を変形した次式を満たすようにすればよい。
以上、図1及び図12に示した下注造塊装置によって下注造塊方法を行うには、湯道内径D1、湯道内径D1’、湯道内径D2、湯道内径D2’は、式(1)〜(4)を満たし、第1湯道の細径部の長さL1、第2湯道の細径部の長さL2、第4湯道に細径部が設けられている場合の当該細径部の長さL3は、750mm以上にする必要がある。なお、細径部L1、L2、L3の長さを長くすると湯道内での溶鋼の詰まりが発生する虞があるので湯道内径にも依存するが、最大で1200〜1600mmとするのが望ましい。
さて、左側鋳型において、第4湯道9bの細径部9b−1の終端位置から最も遠い鋳型(鋳型A)の注入口8までの距離L4が短いと、図13に示すようなスプラッシュが発生する虞がある。スプラッシュは出来る限り発生しないことが好ましい。
そこで、水モデルにおいて、図12に示すように、実機の第4湯道9bに相当する第1左湯道20bを設け、当該第1左湯道20bには実機の細径部9b−1に相当する細径部20b−1を設けた。この細径部の終端部21(実機の細径部9b−1の終端位置に相当)から鋳型Aの注入口13までの部分には、第1左湯道20bの細径部20b−1よりも大きな内径を有する大径部22を設けてスプラッシュの実験を行うこととした。
左側鋳型において、第1左湯道20bの細径部以外の部分の内径(細径部外内径という)は、鋳型Bから注入管までの湯道11の内径と同じに設定した。即ち、大径部22の内径は、細径部外内径と同じである。このような場合、上述したように、実機において細径部9b−1の内径は湯道内径D2’に置き換えて考えることができるため、水モデルにおいても、細径部9b−1に相当する第1左湯道の細径部20b−1の内径(細部内径という)や長さを変化させた実験を行った。この水モデルでは、上述した式(1a)〜式(4a)を満たすことを前提とした。
この水モデルでは、第1左湯道20b−1の細径部の終端部21から注入口13までの距離L4(離間距離L4という)を変化させ、スプラッシュの有無について調査を行った。スプラッシュの状況は、鋳造開始時の注入流の噴出状況をビデオ撮影によって撮像して確認した。
細径部外内径が16mmφ、細径部内径が13mm、細径部長さが228mmであるときの注湯流量と、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係は図14に示す結果となった。図14に示すように、注湯流量の増加に応じて離間距離L4を大きくすれば、スプラッシュは発生しなくなる。
また、細径部外内径が18mmφ、細部内径が13mm、細径部長さが228mmであるときの注湯流量と、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係は図15に示す結果となった。細径部外内径が18mmφ、細部内径が15mm、細径部長さが228mmであるときの注湯流量と、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係は図16に示す結果となった。
なお、上述した水モデルでは、鋳型Aと鋳型Bとの間に設けた細径部20b−1の終端位置から注入口8までの離間距離L4について述べたが、実機における鋳型Dと鋳型Eとの間に設けた細径部5b−1の終端位置から注入口8までの距離にも適用可能である。つまり、左側鋳型の細径部9b−1と注入口8との関係を、右側鋳型の細径部5b−1と注入口8との関係に適用可能である。
図14〜16に基づいて、スプラッシュ発生の有無の離間距離L4の境界と、細径部外内径D2と、細径部内径Dと、注湯流量Qとの関係を整理すると図17に示す結果となった。式で示すと式(5a)で表すことができる。
なお、式(5a)では、細径部外内径=湯道内径D2として表した。水モデルでは、左側鋳型の細径部9b−1について検討を行ったが、右側鋳型の細径部5b−1についても同様に考えられるため、細径部(細径部5b−1、細径部9b−1)の内径を細径部内径Dとした。
次に、式(A)を用いて、水モデルにおける注湯流量を実機のスループットWに換算すると、スループット(実機の注湯流量)Wと、細径部外内径等との関係は、式(5)となった。
なお、水モデル流量を実機のスループットに換算するに際しては、フルード数を適用した。即ち、流体の流速を「V」、代表寸法を「L」、動粘性係数を「ν」、フルード数を「Fr」、レイノルズ数を「Re」、重力の加速度を「g」とすると、これらの関係は、式(B)、(C)となる。
運動方程式を無次元化すると、(慣性項)+(粘性項)/Re+(外力項)=0でFrは外力項に(1/Fr)で入る。Reが大きくなれば、(粘性項)/Reが小さくなるため、Reは運動方程式より消去されることになる。Re>4000以上で通常乱流領域とされており、Fr数近似を用いることができる。本発明の範囲ではRe>38、000となるので、乱流域となることからFr数近似を適用した。
インゴットの下注ぎ鋳造における実機と模型実験のフルード数の一致させ、実機の代表寸法と水モデル模型の代表寸法比を5:1、すなわち1/5の縮尺モデルとした場合、フルード数一致の観点から、V/L0.5を同じにする必要がある。縮尺を1/λ(=1/5)とすると、V/L 0.5=V/L 0.5(ここでRは実機、Mはモデルを示す。)となる。
/V=L 0.5/L 0.5=1/λ0.5=1/50.5≒0.447となる。つまり、V≒0.447Vとなる。したがって、縮尺1/5の模型実験では、0.447倍の流速でFr数の一致が得られることになる。ここで、流量をQ、時間をTとすると、
=L/V
=L/V
=T・L/L・V/V=Tλ0.5
/Q=(L /T)/(L /T)=λ−3・λ0.5=λ−2.5
となり、この結果、水モデルの流量は、実機の流量の1/52.5=0.0179倍となる。また、水モデルの流量Q(L/min)を実機スループットW(t/min)に換算する場合、溶鋼の比重を7t/mとすると、上述した式(A)となる。
なお、水モデルでは、細径部の段差部は直角としたが、実機で湯道を耐火煉瓦で作る場合、木型や金型内で造型した後に煉瓦原料を型から抜き出すのを容易にするため、最大で20mmRのコーナーRもしくは20mmCのチャンファーを設ける場合がある。細径部において、R部やチャンファー部を除く各長さが上述した長さを満たしておればよい。
表1〜31は、本発明の下注造塊方法に基づいて実験を行った例と、本発明の下注造塊方法とは異なる方法によって実験を行った例とをまとめたものである。
20t鋼塊用鋳型の実機の1/5のスケールの模型を用いて実験を行った。水モデルでは、鋳型は、透明ポリ塩化ビニル製であって、上部が底部よりも広がった上広鋳型とした。詳しくは、底面は、240×220mm、上面は、280×240mm、高さは、500mm、注入管の内径は、26mmφとした。水モデルにおいて、第1湯道に相当する長さは250mm、第2湯道に相当する長さは390mm、第3湯道に相当する長さは64
0mm(250mm+390mm)、第4湯道に相当する長さは、390mmとした。鋳型1基の注湯量が15〜30tの鋳型の場合、第1湯道は実寸で1000〜1800mm、第2湯道は、1500〜2500mm、第3湯道は、2500〜4000mm、第4湯道は、1500〜2500mmである。
左側鋳型において、細径部以外の湯道内径は、14mmφ、16mmφ、18mmφとした。左側鋳型において、細径部を設けた場合の細径部の内径は、11mmφ、12mmφ、13mmφ、15mmφとした。右側鋳型の細径部の内径に関して、湯道内径D1よりも湯道内径D1’と小さくした場合は、湯道内径D1’は、11mmφ、12mmφとした。右側の鋳型において細径部以外の湯道内径は左側鋳型の細径部以外の湯道内径、14mmφ、16mmφ、18mmφと同じとした。実機では、湯道内で溶鋼が固まって湯道詰まりを防ぐため通常、内径55mmφ以上の煉瓦が使用される。そのため、水モデルでは、最も細い部分の内径を11mmφ(実機55mmφ相当)とした。
注入管から鋳型Dまでの湯道に設けた細径部の長さは、57mm、114mm、171mm、228mmとした。鋳型Dから鋳型Eまでの湯道に設けた細径部の長さ、或いは、鋳型Aから鋳型Bまでの湯道に設けた細径部の長さは、57mm、114mm、171mm、228mm、285mm、314mmとした。細径部から注入口までの距離(離間距離)は、5mm〜30mmの間で5mm刻みとした。
注湯流量Qは、12.0L/min(実機で4.68t/min相当)、14.0L/min(実機で5.46t/min相当)、16.0Lmin(実機で6.24t/min相当)、17.0Lmin(実機で6.63t/min相当)とした。なお、水モデルにおける注湯流量は、注入管に水を注入する前の配管に取り付けた流量計で注湯流量を計測した値である。
水モデルでは、透明な鋳型内に赤色インクで着色した水の湯面上昇速度をデジタルムービーカメラで撮影し、撮影した画像を再生し、一定時間ごとの湯面位置から上昇速度を求め、注入流量に換算した。注入流量は、例えば、2.4L/min(実機で0.936t/min相当)、2.8L/min(実機で1.092t/min相当)、3.2L/min(実機で1.248t/min相当)、3.4L/min(実機で1.326t/min相当)となった。
表1〜26では、D1=D1’でD1、D1’が式(1a)〜式(4a)を満たし、最大注入流量差が7.1%未満の場合を良好「○」、さらにL1、L2が150mm以上の場合を「○」とし、両方を満足する場合を総合で「○」と評価し、どちらかを満足しない場合を総合で「×」と評価した。また、表27では、L1、L2、L3が全て150mm以上の場合においてD1’<D1、D2’<D2でD1’ 、D2’、D1が式(1a)〜式(4a)を満たし、最大注入流量差が7.1%未満の場合を良好「○」とし、総合で「○」と評価した。表28〜31では、L1、L2、L3が全て150mm以上の場合において、D1’ 、D2’、D1が式(1a)〜式(4a)を満たし、最大注入流量差が7.1%未満でスプラッシュが発生していない場合を良好「○」、最大注入流量差が7.1%以上、或いは、スプラッシュが発生している場合を不良「×」とし、どちらも満足する場合を総合で「○」、どちらかを満足しない場合を総合で「×」と評価した。
表1〜26は、図1及び5に相当する下注造塊装置(水モデル)で下注造塊を行った結果である。表27〜31は、図12に相当する下注造塊装置(水モデル)で下注造塊を行った結果である。
表1〜26に示すように、注入管に注入する注湯流量(実機換算値)が4.6〜6.7t/minであって、左湯道内径(D2)に対して、右湯道の細径部の内径(湯道内径D1、D1’)が式(1a)〜式(4a)を満たし、細径部の湯道長さ(細径部10a−1及び細径部10b−1の長さ)L1、L2が150mm(実機換算750mm)以上である場合、最大注入流量差を7.1%未満にすることができた。
一方、細径部の湯道長さ(細径部10a−1及び細径部10b−1の長さ)が150mm以上でも湯道内径D1、D1’が式(1a)〜式(4a)を満たさなかった場合、最大注入流量差を7.1%未満にすることができなかった。
例えば、実験1〜14では、湯道内径D1、D1’が式(1a)〜式(4a)を満たすが、細径部の湯道長さが150mm以下のものが含まれているため、最大注入流量差が7.1%以上となる虞がある(総合評価「×」)。実験49〜72では、右側鋳型における湯道内径D1、D1’が左側鋳型の湯道内径よりも大きく、式(1a)〜式(4a)を満たしていないため、最大注入流量差を7.1%未満にすることができなかった。
表27〜31では、左湯道の細径部の内径(湯道内径D2’)及び右湯道の細径部の内径(湯道内径D1、D1’)が式(1a)〜式(4a)を満たし、細径部の湯道長さL1、L2、L3は150mm以上である場合、最大注入流量差が7.1%未満を確保できる。また、表28〜31において、離間距離L4が式(5a)を満たしている場合は、スプラッシュを抑制することができた。なお、式(1a)〜式(4a)には、湯道内径D2’が示されていないが、便宜上、当該式に示された湯道内径D1’を湯道内径D2’に読み替えて行った。
図18〜図21は、左側に3基の鋳型、右側に2基の鋳型を設置した下注造塊装置において下注造塊を行った実験結果をまとめた図である。図18は、湯道内径D1、D1’と湯道内径D2とを同じにした結果(ケースA:注湯流量16.0L/min、D1=D2=16mmφ)である。図19は、湯道内径D1、D1’を湯道内径D2よりも小さくして細径部を設けた結果(ケースB:注湯流量16.0L/min、D1=D1’=11mmφ、D2=16mmφ)である。図20は、細径部を設けた上で、湯道管内径D1’、D2’を湯道内径D1よりもさらに細くした結果(ケースC:注湯流量16.0L/min、D1=13mmφ、D2=16mmφ、D1’=D2’=11mmφ)である。なお、ケースBとケースCにおいてL1=171mm、L2=L3=228mm、L4=25mmである。
図18では、鋳型A〜鋳型Eにおける湯面高さのバラツキが発生している。図19では、図18に比べて、鋳型A〜鋳型Eにおける湯面高さのバラツキは抑えられている。図20では、図19に比べて、さらに、鋳型A〜鋳型Eにおける湯面高さのバラツキは抑えられている。
図21は、図18(ケースA)、図19(ケースB)、図20(ケースC)における最大注入流量差をまとめた図である。図21に示すように、湯道管内径を「B」のようにすることにより最大注入流量差を11.3%から4.2%に減少できる。さらに、湯道管内径D1’、D2’を湯道内径D1より細くした「C」ではさらに最大注入流量差が減少し、1.7%にすることができる。
以上、本発明によれば、各鋳型間の湯面高さの差を少なくしつつ、高品質の鋼塊を製造することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 下注造塊装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 注入管
5 湯道
5a 第1湯道
5b 第2湯道
5a−1 細径部
5b−1 細径部
6 鋳型
9 湯道
9a 第3湯道
9b 第4湯道
9b−1 細径部

Claims (1)

  1. 注入管から分かれた湯道に、鋳型数が2基である右側鋳型と鋳型数が3基である左側鋳型とが設けられた下注造塊装置において下注ぎ鋳造を行うに際して、
    前記注入管に注入する注湯流量は4.6〜6.7t/minとし、前記右側鋳型側の湯道長さと左側鋳型側の湯道長さとの比を1:1.5〜1:1.6の範囲に設定されており、
    前記右側鋳型の湯道に関して、前記注入管から1番目の鋳型に至る第1湯道における細径部の内径を湯道内径D1(mm)とし、前記1番目の鋳型と2番目の鋳型とに至る第2湯道における細径部の内径を湯道内径D1’(mm)とし、
    前記左側鋳型の湯道に関して、前記注入管から2番目の鋳型に至る第3湯道の内径を湯道内径D2(mm)とし、前記2番目の鋳型から3番目の鋳型に至る第4湯道の内径、或いは、第4湯道に細径部を設けた場合の内径を湯道内径D2’(mm)とし、水モデルにおける注湯流量を実機に換算した場合の注湯流量をWとしたとき、
    前記湯道内径D1、湯道内径D1’、湯道内径D2、湯道内径D2’は、式(1)〜(4)を満たし、
    前記第1湯道の細径部の長さL1、前記第2湯道の細径部の長さL2、前記第4湯道に細径部が設けられている場合の当該細径部の長さL3が、750mm以上であると共に前記第4湯道の細径部の終端位置から最も遠い鋳型の注入口までの距離L4(mm)が式(5)を満たすことを特徴とする3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法。
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