JP6249940B2 - 3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような方法では、注湯速度の制御が非常に大変であると共に、注湯時間が長くなり、作業効率が低下してしまう。また、溶鋼を湯道に逆流させる方法を行った場合は、湯道内に残留していた溶損した耐火物などがゆっくりとした流れで他の鋳型内に持ち込まれると共に、持ち込まれた耐火物は鋳型内で浮上することが難しいため、鋼塊のボトム部に容易に捕捉されて、介在物による欠陥が発生してしまう虞がある。
特許文献1は、1ランナー2モールドと1ランナー3モールド、特許文献2は1ランナー1モールドと1ランナー2モールドについてモールド間の溶鋼面差をなくすることを目的としている。特許文献1では、鋳型配置数の多い定盤湯道径より、鋳型配置数の少ない側の湯道径を小径にしている。また、特許文献2では、1つの注入管から定盤に形成された複数本のランナーを通して溶鋼を前記複数本のランナー上に夫々設けたモールド内に注入してなる下注ぎ造塊設備において、1ランナー2モールド側のランナーの断面積(d1)と1ランナー1モールドの側のランナーの断面積(d2)との比をd1:d2=1:0.40〜0.60としている。
を防止している。
特許文献3では、例えば、30トンを超える大型の鋳型に適用した場合、鋳造終了後に鋳型を取り外した後、インゴットを湯道から切り離す作業(根切りと呼ばれる)を行う際に、湯道を繋ぐ湯口が大きいために強度が大きく、切り離し作業が困難となる。
即ち、本発明に係る3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法は、注入管から分かれた湯道に、鋳型数が2基である右側鋳型と鋳型数が3基である左側鋳型とが設けられた下注造塊装置において下注ぎ鋳造を行うに際して、前記注入管に注入する注湯流量は4.6〜6.7t/minとし、前記右側鋳型側の湯道長さと左側鋳型側の湯道長さとの比を1:1.5〜1:1.6の範囲に設定されており、前記右側鋳型の湯道に関して、前記注入管から1番目の鋳型に至る第1湯道における細径部の内径を湯道内径D1(mm)とし、前記1番目の鋳型と2番目の鋳型とに至る第2湯道における細径部の内径を湯道内径D1’(mm)とし、前記左側鋳型の湯道に関して、前記注入管から2番目の鋳型に至る第3湯道の内径を湯道内径D2(mm)とし、前記2番目の鋳型から3番目の鋳型に至る第4湯道の内径、或いは、第4湯道に細径部を設けた場合の内径を湯道内径D2’(mm)とし、水モデルにおける注湯流量を実機に換算した場合の注湯流量をW R としたとき、前記湯道内径D1、湯道内径D1’、湯道内径D2、湯道内径D2’は、式(1)〜(4)を満たし、前記第1湯道の細径部の長さL1、前記第2湯道の細径部の長さL2、前記第4湯道に細径部が設けられている場合の当該細径部の長さL3が、750mm以上であると共に前記第4湯道の細径部の終端位置から最も遠い鋳型の注入口までの距離L4(mm)が式(5)を満たすことを特徴とする。
下注造塊方法において、各鋳型間の湯面高さの差を少なくしつつ、高品質の鋼塊を製造することができる。
造塊法として、下注ぎ造塊法と上注ぎ造塊法の2種類がある。上注ぎ造塊法では鋳型の上部の開口部に取鍋から直接、溶鋼を注ぎ込んで鋳造するのに対し、下注ぎ造塊法では、注入管と呼ばれるロート状の注ぎ口が設けられた垂直の管に溶鋼を注ぎ込んで、湯道を介して鋳型に注湯することにより鋳造を行う。本発明では、造塊法のうち、下注ぎ造塊法を対象としている。
る。
図1は、下注造塊装置の全体を示している。
図1に示すように、下注造塊装置1は、下注ぎ造塊法により溶鋼2を鋳造するものであって、取鍋3内の溶鋼2を注入する注入管4と、注入管4の下端から左右に分岐した湯道5、9と、この湯道5、9に連通する鋳型6とを備えている。
また、注入管4から左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)に向かう湯道9は、鋳型Cの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されると共に、鋳型Bの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続され、さらに、鋳型Aの下部において幅方向中央部に形成された注入口8に接続されている。
。細径部5a−1の内径(湯道内径D1)と、細径部5b−1の内径(湯道内径D1’)とは、同じである。また、湯道9において、第3湯道9aの内径(湯道内径D2)と第4湯道9b(湯道内径D2’)との内径は同じである。つまり、図1の下注造塊装置1は、湯道の内径に関して、「D1’=D1」、「D2’=D2」、「D1’(D1)<D2’(D2)」を満たす。
図2に示すように、湯道5の全長A1は、注入管4の外寸法dの半分[1/2d]と、2基の右側鋳型(鋳型D、鋳型E)の外寸法D[3/2D]との合計である[1/2d+3/2D]になる。一方、湯道9の全長A2は、注入管4の外寸法dの半分[1/2d]と、3基の左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)の外寸法D[5/2D]との合計である[1/2d+5/2D]になる。
次に、下注造塊方法について詳しく説明する。
図4に示すように、湯道の内径が変化したとしても、注入流量において最大注入流量差が7.1%以下であれば、品質上の問題は生じないと考えられる。
まず、図1に示した下注造塊装置1の1/5に相当する非対称の水モデルの模型を作成する。具体的には、図5に示すように、水モデルでは、2基の右側鋳型6d、6eに相当する鋳型(便宜上、鋳型D、鋳型Eという)を右側に配置し、3基の左側鋳型6a、6b、6cに相当する鋳型(便宜上、鋳型A、鋳型B、鋳型Cという)を左側に配置した模型を配置する。また、右側鋳型の湯道5に相当する湯道10を鋳型D及び鋳型Eに接続する。左側鋳型の湯道9に相当する湯道11を鋳型A、鋳型B及び鋳型Cに接続する。
水モデルを用いて、右湯道内径と、左湯道内径と、注湯流量とを、それぞれ変化させた場合の各鋳型への注入流量を求めた。なお、左湯道内径は、14mmφ、16mmφ、18mmφとした。
と最大径とを求めているが、左湯道内径D2が14mmφ、18mmφであるときの右湯道内径D1の最小径と最大径とについても同様の方法で最大注入流量差が7.1%以下となる右湯道内径D1,D1’の最大値D1maxと最小値D1minとの関係との関係を求めると、式(a’)、式(b’)となった。
発明者は、右側鋳型(鋳型D、鋳型E)の湯道5と、左側鋳型(鋳型A、鋳型B、鋳型C)の湯道9との関係について、さらに検証したところ、右側鋳型の湯道内径D1を左側鋳型の湯道内径D2に基づいて設定したとしても、右側鋳型の湯道5の長さが短すぎると効果が無いことが分かった。
そこで、湯道5の細径部の長さを求めるために、まず、水モデルにおいて、最大注入流量差が7.1%未満となる右湯道(湯道10)の細径部の長さについて検証を行うこととした。
左湯道内径を16mmφとし、第1右湯道細径部10a−1、第2右湯道細径部10b−1の内径を13mmφとし、第2右湯道細径部10b−1の長さL2を171mmとした場合における最大注入流量差と、第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1との関係は、図10に示す結果となった。図10に示す矢印は、最大注入流量差が7.1%となったときの第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1を示している。図10に示すように、第1右湯道10aの長さ(細径部10a−1の長さ)L1を150mm以上とすることによって、最大注入流量差が7.1%未満を安定して得ることができる。
に示すように750mm以上とすることにより、最大注入流量差を7.1%未満を安定して得ることができる。
また、左側鋳型の鋳型Aは、最も注入管4から離れている。それゆえ、鋳型Aにおいても上述した右側鋳型の鋳型D、Eと同じように内径を小さくすれば、さらに、最大注入流量差をより小さくすることが期待できる。
したがって、細径部9b−1を設けた場合において、細径部9b−1の内径(湯道内径D2’)と、他の湯道内径、注湯流量との関係は、上述した式(1)〜式(4)を変形した次式を満たすようにすればよい。
そこで、水モデルにおいて、図12に示すように、実機の第4湯道9bに相当する第1左湯道20bを設け、当該第1左湯道20bには実機の細径部9b−1に相当する細径部20b−1を設けた。この細径部の終端部21(実機の細径部9b−1の終端位置に相当)から鋳型Aの注入口13までの部分には、第1左湯道20bの細径部20b−1よりも大きな内径を有する大径部22を設けてスプラッシュの実験を行うこととした。
細径部外内径が16mmφ、細径部内径が13mm、細径部長さが228mmであるときの注湯流量と、離間距離L4と、スプラッシュの有無の関係は図14に示す結果となった。図14に示すように、注湯流量の増加に応じて離間距離L4を大きくすれば、スプラッシュは発生しなくなる。
次に、式(A)を用いて、水モデルにおける注湯流量を実機のスループットWRに換算すると、スループット(実機の注湯流量)WRと、細径部外内径等との関係は、式(5)となった。
TR=LR/VR
TM=LM/VM
TR=TM・LR/LM・VM/VR=TMλ0.5
QM/QR=(LM 3/TM)/(LR 3/TR)=λ−3・λ0.5=λ−2.5
となり、この結果、水モデルの流量は、実機の流量の1/52.5=0.0179倍となる。また、水モデルの流量QM(L/min)を実機スループットWR(t/min)に換算する場合、溶鋼の比重を7t/m3とすると、上述した式(A)となる。
0mm(250mm+390mm)、第4湯道に相当する長さは、390mmとした。鋳型1基の注湯量が15〜30tの鋳型の場合、第1湯道は実寸で1000〜1800mm、第2湯道は、1500〜2500mm、第3湯道は、2500〜4000mm、第4湯道は、1500〜2500mmである。
表1〜26に示すように、注入管に注入する注湯流量(実機換算値)が4.6〜6.7t/minであって、左湯道内径(D2)に対して、右湯道の細径部の内径(湯道内径D1、D1’)が式(1a)〜式(4a)を満たし、細径部の湯道長さ(細径部10a−1及び細径部10b−1の長さ)L1、L2が150mm(実機換算750mm)以上である場合、最大注入流量差を7.1%未満にすることができた。
例えば、実験1〜14では、湯道内径D1、D1’が式(1a)〜式(4a)を満たすが、細径部の湯道長さが150mm以下のものが含まれているため、最大注入流量差が7.1%以上となる虞がある(総合評価「×」)。実験49〜72では、右側鋳型における湯道内径D1、D1’が左側鋳型の湯道内径よりも大きく、式(1a)〜式(4a)を満たしていないため、最大注入流量差を7.1%未満にすることができなかった。
表27〜31では、左湯道の細径部の内径(湯道内径D2’)及び右湯道の細径部の内径(湯道内径D1、D1’)が式(1a)〜式(4a)を満たし、細径部の湯道長さL1、L2、L3は150mm以上である場合、最大注入流量差が7.1%未満を確保できる。また、表28〜31において、離間距離L4が式(5a)を満たしている場合は、スプラッシュを抑制することができた。なお、式(1a)〜式(4a)には、湯道内径D2’が示されていないが、便宜上、当該式に示された湯道内径D1’を湯道内径D2’に読み替えて行った。
図21は、図18(ケースA)、図19(ケースB)、図20(ケースC)における最大注入流量差をまとめた図である。図21に示すように、湯道管内径を「B」のようにすることにより最大注入流量差を11.3%から4.2%に減少できる。さらに、湯道管内径D1’、D2’を湯道内径D1より細くした「C」ではさらに最大注入流量差が減少し、1.7%にすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 溶鋼
3 取鍋
4 注入管
5 湯道
5a 第1湯道
5b 第2湯道
5a−1 細径部
5b−1 細径部
6 鋳型
9 湯道
9a 第3湯道
9b 第4湯道
9b−1 細径部
Claims (1)
- 注入管から分かれた湯道に、鋳型数が2基である右側鋳型と鋳型数が3基である左側鋳型とが設けられた下注造塊装置において下注ぎ鋳造を行うに際して、
前記注入管に注入する注湯流量は4.6〜6.7t/minとし、前記右側鋳型側の湯道長さと左側鋳型側の湯道長さとの比を1:1.5〜1:1.6の範囲に設定されており、
前記右側鋳型の湯道に関して、前記注入管から1番目の鋳型に至る第1湯道における細径部の内径を湯道内径D1(mm)とし、前記1番目の鋳型と2番目の鋳型とに至る第2湯道における細径部の内径を湯道内径D1’(mm)とし、
前記左側鋳型の湯道に関して、前記注入管から2番目の鋳型に至る第3湯道の内径を湯道内径D2(mm)とし、前記2番目の鋳型から3番目の鋳型に至る第4湯道の内径、或いは、第4湯道に細径部を設けた場合の内径を湯道内径D2’(mm)とし、水モデルにおける注湯流量を実機に換算した場合の注湯流量をWRとしたとき、
前記湯道内径D1、湯道内径D1’、湯道内径D2、湯道内径D2’は、式(1)〜(4)を満たし、
前記第1湯道の細径部の長さL1、前記第2湯道の細径部の長さL2、前記第4湯道に細径部が設けられている場合の当該細径部の長さL3が、750mm以上であると共に前記第4湯道の細径部の終端位置から最も遠い鋳型の注入口までの距離L4(mm)が式(5)を満たすことを特徴とする3基の鋳型と2基の鋳型とを非対称に配置した下注造塊装置における下注造塊方法。
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