JP6249012B2 - 濾過膜の洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、海水を濾過対象とする濾過膜の洗浄方法に関する。
近年、船舶に積載するバラスト水の処理が問題となっている。バラスト水は空荷状態でも安全に航行するために船舶に積載される海水であり、バラスト水を浄化処理して微生物を除去あるいは死滅、不活性化する方法が種々検討されている。比較的大きな微生物の除去の目的で濾過を用いる方法も検討されており、たとえば特許文献1には本願出願人による濾過膜を用いたバラスト水の処理装置が記載されている。
上記構成のバラスト水処理装置に用いられる濾過膜には円筒形状のプリーツフィルターが用いられている。同出願人はプリーツフィルターの洗浄方法について、逆洗浄を可能とする構成を特許文献2に開示している。
また別な技術として、特許文献3にはバラスト水処理用濾過膜の洗浄方法として、薬剤による洗浄方法が開示されている。ここでは、濾過後の海水に過酸化水素又は次亜塩素酸ナトリウムを供給した洗浄水により濾過膜を洗浄している。
特開2011−194396号公報(特許第4835785号) 国際公開第WO/2014/103854号 特開2014−18782号公報
特許文献1に開示されている装置は、円筒状のプリーツフィルターを筒状容器に内蔵し、フィルターの外側から内部に流入する液体を濾液として回収する濾過装置である。濾過対象液を筒状容器の側面に設けたノズルからフィルター濾過面の一部に噴出することでフィルター表面に堆積した濾過物を洗浄して透過流束を回復させると共に、洗い流した濾過物を濾過前室から排液することで、安定した濾過状態を連続して継続させている。このようなシステムが安定に連続濾過を維持するのに重要なのは、フィルター濾過面への濾過対象液の噴出による洗浄効果である。経時的にフィルターの洗浄部位を変えてフィルター全体を洗浄していくことを効率的かつ効果的に行うために、円筒状のプリーツフィルターを濾過中にモーター駆動等で回転させている。
特許文献2は特許文献1の装置構造において、さらにフィルターの洗浄効果を高めるために、濾過水流路を経て洗浄水をプリーツフィルターの円筒内部へ供給する逆洗浄機構を備えることを開示している。逆洗浄を可能とすることによって、より長期間の濾過運転が可能となり、フィルターの交換周期をより長くすることができるとされている。
以上のような洗浄方法によって効果的な洗浄が可能ではあるが、フィルターの目詰まりは一定時間以上の運転によっては回復できない状態になることがある。さらなる効果的な洗浄方法が求められている。
一方、特許文献3に記載のような薬剤による洗浄方法には別な問題がある。洗浄後の洗浄水は、薬剤自体や洗浄により生じた物質を含む。よって、洗浄後に洗浄液を海洋に排水するには、海洋生物に毒性のない状態で排水することが求められる。
本願発明者は、このような装置においてフィルターの目詰まりを効果的に洗浄することで長時間使用可能であり、かつ適正な排水が可能となるバラスト水処理装置を得ることを目的として、さらに効果的な濾過膜の洗浄方法についての発明に至った。
すなわち本願に開示される濾過膜の洗浄方法は、 海水の濾過に用いる濾過膜の洗浄方法であって、前記濾過膜を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が100ppm以上500ppm以下、塩分濃度が0.5%以上である洗浄液に浸漬する工程と、前記浸漬する工程の後にチオ硫酸ナトリウムを加えて脱塩素する工程とを含む濾過膜の洗浄方法である。
上記によれば、フィルターの目詰まりを効果的に洗浄し、かつ適正な排水が可能となる洗浄方法が提供され、長時間使用可能な濾過装置、バラスト水処理装置を提供することが可能となる。
本願の洗浄方法を備えた濾過装置の代表的な構成例を説明するブロック図である。 本発明の実施態様としての船舶用のバラスト水処理装置を例示する装置縦断面模式図である。 図2の装置のA−A断面を模式的に示す図である。 バラスト水処理装置を用いて洗浄運転を行った実験結果を示すグラフである。(a)は次亜塩素酸ナトリウム洗浄無し、(b)は次亜塩素酸ナトリウム100ppmでの定期洗浄、(c)は次亜塩素酸ナトリウム400ppmでの定期洗浄を行った結果である。
[本願発明の実施形態の説明]
以下、本願発明の実施形態としての濾過膜の洗浄方法について説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願に開示される濾過膜の洗浄方法の一つの態様は、海水の濾過に用いる濾過膜の洗浄方法であって、前記濾過膜を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が100ppm以上500ppm以下、塩分濃度が0.5%以上である洗浄液に浸漬する工程と、前記浸漬する工程の後にチオ硫酸ナトリウムを加えて脱塩素する工程とを含む濾過膜の洗浄方法である。
海水の濾過により濾過膜にはプランクトン等の水生生物を含む濾過物が膜に付着し、次第に目詰まりする。目詰まりした濾過膜から付着物を除去する手段の一つとして、薬液に浸漬して付着物を分解し、膜から剥がす方法がある。本願が提供する方法はそのような薬液洗浄の一つの方法である。薬液として次亜塩素酸ナトリウムの利用が知られている。次亜塩素酸ナトリウムにより膜を洗浄すると塩素が発生するため、脱塩素のためにチオ硫酸ナトリウムを使用することが考えられる。しかし、当該方法によって脱塩素は可能としても、発明者らの知見によると脱塩素後の処理液が、海洋生物に毒性を呈するために、そのまま排水することができない場合があることが判った。そこで発明者らは、種々実験検討の結果、洗浄液における次亜塩素酸ナトリウムの濃度と塩分濃度との関係を見いだした。上記の濃度で次亜塩素酸ナトリウムと塩分を含む洗浄液あれば、脱塩素後の処理水を海洋に排水しても中性に保つことができ生物への毒性がないことを確認した。ここで、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、100ppm未満では洗浄の効果が不十分であり、500ppmを超えると処理液の毒性を十分に弱めることができない。好ましくは400ppm以下である。効果が得られる範囲であれば濃度を低くする方がコストメリットがある。塩分濃度は0.5%未満の場合は処理液の毒性を十分に弱めることができない。
前記塩分濃度は1%以上2.5%以下であることが好ましい。本願発明者らは本来洗浄液として塩分を含まない清水を用いることを検討した。プランクトン等やその他の濁質分を含まず、装置の洗浄液として最も適しているからである。従って、加える塩分濃度は極力少なくしたいと考える。海水をそのまま洗浄液として用いる場合には塩分濃度はおよそ3.4%程度が通常であるから、それ以下で出来るだけ少ない濃度が好ましいことになる。一方塩分をある程度含まないと排出液の毒性を無くす効果が得られにくい。これらの両要請を満たす好ましい範囲が塩分濃度1%以上2.5%以下である。
以上の洗浄方法においては、浸漬は1時間以上行われることが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムが膜を目詰まりさせている分解対象物全体に供給されるために一定の時間が必要である。また、分解対象物の大きさや付着の程度によって分解に要する時間が左右される。そのため一定時間以上の浸漬が必要とされる。バラスト水処理装置のような大型の濾過装置においては、少なくとも1時間以上、好ましくは2時間以上の浸漬が好ましい。特に、濾過膜がプリーツフィルターの場合には、プリーツ間に薬液が十分に行き渡るように浸漬時間を十分にとることが好ましい。浸漬の上限は洗浄効果ではなく主に装置の運用形態から決められるが、運転の効率を考えると24時間以内、好ましくは15時間以内が良い。
また、さらなる実施態様として、濾過膜は円筒軸を中心に回転可能に保持された円筒状のプリーツフィルターであり、浸漬をする時間の少なくとも一部の時間において、回転させる工程を含む、濾過膜の洗浄方法、が挙げられる。
一部のバラスト水処理装置のように、濾過膜が回転可能に設けられた濾過装置においては、次亜塩素酸ナトリウムの浸漬時間中に濾過膜を回転させることによって、薬液の拡散、分解対象物への供給が促進され、さらに回転数が大きい場合には濾過対象物に遠心力が加わることによる剥離効果も期待できる。
[装置の構成と基本動作の説明]
以下、実施の形態を実験例と共に詳細に説明する。
図1は本願の洗浄方法を備えたバラスト水処理装置の代表的な構成例を説明する図である。バラスト水処理装置は大きく分けて、濾過装置1と殺滅装置3により構成されており、濾過装置1は濾過膜2を備える。海水は濾過装置1において濾過膜2により濾過され、殺滅装置3により殺菌された後、バラスト水として船舶内のバラスト水タンク4に貯留される。本図の構成例では、濾過装置は円筒状のプリーツフィルターである濾過膜2を内部に備える円筒形の容器を想定している。円筒状のプリーツフィルターは、モーター6により円筒の軸を中心に回転しつつ濾過が行えるように構成されている。なお、図1にはポンプおよび制御装置等の付帯設備は図示されないが、必要な設備は設けられており、特に説明を要しないものとする。
濾過運転時の動作を説明する。濾過運転時にはバルブ51、バルブ52、バルブ53がオープンで、バルブ54はクローズである。海から汲み上げられた海水はバルブ51を通過して濾過装置1に送られる。濾過装置1では、濾過膜2により濾過が行われ、濾過された濾過水が円筒状のフィルター内部から濾過装置外部に導出される。一方、濾過されなかった排水は、バルブ52を通って、元の海に排出される。濾過水はバルブ53を通って殺滅装置3に送られる。殺滅装置3は例えば紫外線照射装置である。濾過水は、殺滅装置3によって濾過膜2を通過した細菌等が殺滅された後、バラスト水タンク4に送られる。
以上の濾過運転により、濾過膜2の表面には海水中の濁質分等が付着してゆく。種々の方法により濁質分の付着を抑制したり、水流により洗浄したりすることが行われるが、完全では無く、しだいに付着が増して行く場合がある。以下に説明する洗浄方法は、このように濾過膜に付着した付着物を分解対象物として薬液により分解洗浄する方法である。
洗浄時の動作を、再び図1を参照して説明する。濾過運転後の洗浄運転は、バルブ51、バルブ52、バルブ53をクローズとした状態から開始する。モーター6は停止する。この状態で濾過装置内には海水が残留している。ここで、バルブ52を開け海水を排水すると共に、バルブ54を開けて清水を濾過装置内に導入する。ここで清水とは、塩分を含まない水、代表的にはいわゆる水道水を指す。
本願洗浄方法の特徴は、ここで、濾過装置内の状態を所定の塩分の範囲とすることである。塩分は、濾過装置内の水を清水に置換した後に、塩化ナトリウムを投入することで行われる。図1では、投入口71から塩化ナトリウムを投入する形態を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば清水の配管の途中で塩化ナトリウムを混入させても良い。場合によっては、海水を混入することによって塩分を調節することでも良い。塩分濃度の調整方法は、濾過装置の容量、排水後に残留する海水の量、投入する清水の量などから計算により求めることが可能であり、所望の濃度になるように必要な塩分を投入すれば良い。あるいは、濃度を測定しつつ、所望の塩分濃度になるようにしても良い。
塩分濃度が所望の範囲となった状態で、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を所定量導入する。ここでは次亜塩素酸ナトリウムを投入口72から溶液の状態で投入する形態を例示するが、これに限定されるものではない。溶液として配管から導入するためにバルブを設けるなどの付帯的設備は必要に応じて設けられる。投入する溶液の濃度と濾過装置の容量から、投入直後の次亜塩素酸ナトリウムの濃度が計算上求まる。実際には投入直後から付着物や濾過装置内の残留物の分解に次亜塩素酸ナトリウムが消費されるため、ここでの濃度は計算上の投入濃度である。
次に、十分に薬液が濾過膜2の全体に行き渡るように、一定時間保持することが好ましい。濾過装置の大きさや濾過膜の形状等にもよるが、1時間以上は浸漬することが好ましい。長時間放置しても良いが、作業の効率性などを考え、例えば一晩浸漬するなどを考慮すると、浸漬時間は15時間以内が好ましい。さらに、図1のような装置においては、モーター6を回転させることで、薬液の拡散、分解対象物への供給が促進される。
次亜塩素酸ナトリウムにより濾過膜2への付着物の分解が進んだ洗浄液は分解により発生した塩素を含む。塩素を取り除くためにチオ硫酸ナトリウム(Na)を用いる。図1において、チオ硫酸ナトリウムは投入口73から必要量を投入する。洗浄時と同様に、一定時間の保持や回転による拡散の促進がなされてもよい。投入量は脱塩素が完全に行われるように予め実験や計算により求めておくことができるが、付着物の量によっては不足する場合が生じる。付着物が少ない場合は次亜塩素酸ナトリウムが消費されずに多く残留するからである。好ましくは、投入後に塩素濃度を測定し、塩素が残留している場合はチオ硫酸ナトリウムを追加投入すると良い。
本願洗浄方法によれば、洗浄液の次亜塩素酸ナトリウム濃度と塩分濃度を適切な範囲としたために、チオ硫酸ナトリウムによる脱塩素後の洗浄水の水素イオン濃度(pH)を、4以上9以下とすることができる。脱塩素後の洗浄水のpHがこの範囲であれば、当該洗浄水を海洋に排出した場合に、海洋生物への毒性が確実に無いと考えられるからである。すなわち、海洋への排出により、排出された洗浄水は希釈される。一般に生物への毒性を考える場合は、10倍希釈液が毒性を持たなければ排出しても問題が無いとされている。すなわち、洗浄水のpHが上記範囲であれば希釈後のpHが6〜9のほぼ中性となる。このように処理された洗浄水は、図1においてバルブ52を開けて海に排出される。
[実験例]
(サンプル実験)
洗浄液として容量2リットルのポリエチレン製容器に塩分濃度の異なる水を準備した。当該容器に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液を所定濃度となるように加え、その後、チオ硫酸ナトリウムにより脱塩素を行った。次亜塩素酸ナトリウムは、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ADEKAクリーンエイド株式会社製テルロンブリーチコンク)を用いた。当該水溶液を洗浄液を入れた上記容器に10ml加えると600ppm、5ml加えると300ppm、2.5ml加えると150ppmとなる。チオ硫酸ナトリウム(林純薬工業製チオ硫酸ナトリウム5水和物)を加えつつ、残留塩素を測定して、残留塩素が測定下限以下となることを確認した。測定は共立理化学研究所製パックテスト(高濃度用)により行った。次亜塩素酸ナトリウム添加後の洗浄液の水素イオン濃度(pH)と、チオ硫酸ナトリウムによる脱塩素完了後の水素イオン濃度を測定した。pHの測定は、横河電気製パーソナルpH計、塩分濃度は堀場製作所製電気伝導率計を使用した。結果を表1に示す。
Figure 0006249012
実験番号A1からA3は次亜塩素酸ナトリウムの濃度が600ppm、A4とA5は300ppm、A6とA7は150ppmである。同じ次亜塩素酸ナトリウム量において、塩分濃度の異なる条件を準備している。A1とA2は次亜塩素酸ナトリウム濃度と塩分濃度がほぼ同じであるが、A1は塩分として海水を用いて調整したもの、A2は食塩を用いて調整したものであり、違いが無いことを確認するために準備した。A1とA2の比較から、塩分調整は海水であっても食塩であっても良い事が確認できた。
塩分濃度が1.5%程度であり、次亜塩素酸ナトリウム濃度が異なるA1,A4,A6の比較により、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高くなるほど脱塩素後の水素イオン濃度が酸性側になることが確認できた。A1あるいはA2のデータでは脱塩素後に強酸性を呈することが解る。また、次亜塩素酸ナトリウム濃度が同じで塩分濃度が異なる組合せとして、A2とA3、A4とA5、A6とA7を準備した。塩分濃度が非常に低い場合には、脱塩素後の洗浄水は強アルカリとなることが解る。
(洗浄実験)
次に、実際の濾過装置を用いて、濾過運転後の濾過膜の洗浄実験を行った。
用いた濾過装置は、実質容量320リットルの回転フィルター式濾過装置である。円筒形容器の中に、不織布製フィルターを備える。フィルターは円筒形状をしており、その側面をプリーツ形状としたフィルターである。フィルターは、モーターにより円筒軸を中心に回転可能である。容器内に濾過対象である被処理水を供給し、円筒フィルターの内部から濾過水を取り出す構成である。
実際の海水の濾過運転を行った後に、容器の内部を清水で置換した。その後、容器内を満たす洗浄水の塩分濃度を約2%に調整した。実験は投入する次亜塩素酸ナトリウムの濃度を変えて3回行った。次亜塩素酸ナトリウムの投入後、モーターを50rpmで15分回転させて攪拌を行い、その後14時間保持した。保持後に再び15分間の回転攪拌を行い、チオ硫酸ナトリウムの投入を行い、さらに15分間の回転攪拌を行った。チオ硫酸ナトリウムにより脱塩素が完了していることを確認後、水素イオン濃度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006249012
データB1は投入した次亜塩素酸ナトリウム濃度が200ppm、B2は400ppm、B3は600ppmである。次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、容器内の洗浄水の量と投入する次亜塩素酸ナトリウムの量から算出される濃度である。表2の結果から、脱塩素後の水素イオン濃度は次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高い程強酸性に近づくことが、実際の濾過装置においても確認できた。
(希釈試験)
次に、脱塩素後の洗浄水を海洋に排水することを想定して、希釈後のpH濃度を測定した。希釈前の洗浄水として、脱塩素後のpHが4程度のものを準備し、それを海水と混合して希釈した場合のpHを測定した。
結果を表3に示す。準備した洗浄水C1は、塩分濃度1.99%、pH4.43である。C1と海水を50:50で混合した希釈水C2は、塩分濃度が2.68%、pH6.40となり、C1と海水を10:90で混合した希釈水は、塩分濃度3.18%、pH7.98となった。当然であるが、海水の比率を上げるほど、海水に近づいていることが判る。上述のように、10%希釈でpHが中性になっていれば、実際の海洋に排出しても問題ないと考えられる。本実験結果から希釈前の洗浄水においてpH4であれば排出に問題無いことが確認できた。なお、本実験では、溶存酸素量についても測定しており、いずれのサンプルにおいても溶存酸素量は8mg/Lと問題ないことが確認できた。
Figure 0006249012
(急性毒性試験)
海水系生物3種を用いて行った96時間LC50急性毒性試験の結果を表4に示す。LC50は半数致死濃度を意味しており、当該水溶液中での生物の半数が試験時間内に死亡する濃度を求めるものである。表4において、D1は400ppmの次亜塩素酸ナトリウムで処理した洗浄水の排出水であり、塩分濃度2.02%、pH4.59、溶存酸素量は8.4mg/Lである。D2はD1を海水で10%に希釈したものである。D1ではフサゲモクズと珪藻で不適となったが10%希釈のD2では合格、無影響濃度の推定値はそれぞれ31.6%、28.2%であった。以上より、次亜塩素酸ナトリウム400ppm、塩分濃度約2%の洗浄水にて洗浄後の脱塩素排水は洗浄水として問題無いことが確認できた。
Figure 0006249012
(バラスト水処理装置の運転実験)
実際の濾過装置において上述の洗浄方法を適用する事によって、フィルターの目詰まりを効果的に洗浄し、かつ適正な排水が可能となる洗浄方法が提供され、長時間使用可能となることを確認すべく実験を行った。用いた濾過装置は、船舶に搭載されてバラスト水を製造するためのバラスト水処理装置として用いることが好適である。
実験に用いたバラスト水処理装置としての濾過装置の構成を図2および図3に示す。図2および図3は本発明の実施態様としての船舶用のバラスト水処理装置の例示である。図2は軸線を含む垂直断面の構成、図3は図2における水平A−A断面の構成をそれぞれ模式的に示す図である。円筒形状のプリーツフィルター101は回転中心となる軸線を囲むように配置されており、中心に配置された中心配管140(配管は回転しない)の周囲を回転自在に取り付けられている。プリーツフィルター101の円筒上下面は水密に塞がれている。回転自在な取り付け構造は、同じく水密構造とする必要があるが、特に限定されることなく既知の構造が用いられる。フィルター全体を覆うようにケース103が設けられる。ケース103は外筒部131、蓋部132、底部133で構成され、底部133には排出流路105が設けられる。ケース103内に被処理水としての海水を導入するため被処理水流路106と被処理水ノズル102が設けられる。被処理水ノズル102は、そのノズル口121をケース103の外筒部131内に備えるように被処理水流路106から延設され、被処理水がプリーツフィルター101の外周面に向かって流出するように構成されている。また、プリーツフィルター101の回転のためにモーター60がプリーツフィルター101の中心軸に備えられている。モーター60は駆動制御部(図示せず)からの電力により駆動される。
本例の場合、被処理水ノズル102から噴出した被処理水はプリーツフィルター101のプリーツ外周面に当たり、その圧力によってプリーツフィルターの洗浄効果が得られる。濾過されない被処理水および、ケース103内に沈殿した濁質分は、ケース103の底部133の排出流路105から順次排出される。プリーツフィルター101により濾過された濾過水はフィルター内部にて中心配管140に設けられた取水穴141を通して濾過水流路104に導かれ、ケース103の外部に流出される。
実験に用いたバラスト水処理装置は、プリーツフィルター101の外径は700mm、軸方向長さ250mm、プリーツ深さ70mm、プリーツ数420折、のカートリッジが3段積み重なった濾過装置である。円筒形状に構成したプリーツフィルター101は、帯状のフィルター基材に繰り返し折り目を付けた後、それを折り目の稜線方向を軸方向とするように円環状につなぎ合わせることで、全体として中心軸Cを軸とした円筒形状をなしている。フィルターの基材には多孔質樹脂シートが用いられる。材質として例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる延伸多孔質体、相分離多孔体、不織布等の多孔質構造物が利用される。今回用いたものは、ポリエチレンテレフタレートからなる不織布である。
図4は、上述のバラスト水処理装置により濾過運転を継続した際の、差圧とプランクトン数の時間変化を測定した結果である。横軸に運転時間(時間)、縦軸に差圧(kPa)とプランクトン数(個/m)をとったグラフで表している。差圧は太線で、プランクトンスは三角印で表し、NaClO洗浄を行ったタイミングを矢印で示している。差圧(kPa)とは、濾過膜であるプリーツフィルターの濾過前後の圧力差を測定したものである。濾過膜が目詰まりを起こすと、差圧が上昇することから、目詰まりの指標として用いる。プランクトン数は濾過水に含まれるプランクトン数を、濾過水1立方メートルあたりの数として計数したものである。濾過が適正に行われており、濾過膜に穴や裂け目などの破断が生じていないことを示す指標として用いる。
図4(a)は、定期洗浄無しでのデータである。定期洗浄とは、濾過運転を停止して、本願にて説明する次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄をおよそ一定の時間間隔で行うことを意味している。この装置では、フィルターを回転させつつ、被処理水としての海水をノズルから噴出することで、常に濾過と洗浄を同時に行っている。そのため、長時間の運転が可能となるが、それでも濾過運転を継続していると、しだいに目詰まりは進行して行く。図4(a)のデータにおいては、約60時間の運転の後に急激に差圧が上昇していることから目詰まりが大きくなったことを意味している。
図4(b)および図4(c)は、それぞれ定期洗浄を行った場合のデータである。図4(b)は次亜塩素酸ナトリウムの濃度を100ppmとして洗浄した場合、図4(c)は同じく400ppmとした場合である。定期的な洗浄は約10時間程度の間隔を目安に行った。いずれの場合も、120時間の濾過運転を経ても大きな差圧上昇は見られず、プランクトン数の増加も無いことが確認できた。
1 濾過装置
2 濾過膜
3 殺滅装置
4 バラスト水タンク
6、60 モーター
51、52,53,54 バルブ
71,72,73 投入口
101 プリーツフィルター
102 被処理水ノズル
103 ケース
104 濾過水流路
105 排出流路
106 被処理水流路
121 ノズル口
131 外筒部
132 蓋部
133 底部
140 中心配管
141 取水穴
C 中心軸

Claims (5)

  1. 海水の濾過に用いる濾過膜の洗浄方法であって、
    前記濾過膜を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が100ppm以上500ppm以下、塩分濃度が0.5%以上である洗浄液に浸漬する工程と、前記浸漬する工程の後にチオ硫酸ナトリウムを加えて脱塩素する工程とを含む濾過膜の洗浄方法。
  2. 前記塩分濃度が1%以上2.5%以下である、請求項1に記載の濾過膜の洗浄方法。
  3. 前記次亜塩素酸ナトリウムの濃度が400ppm以下である、請求項1または請求項2に記載の濾過膜の洗浄方法。
  4. 前記浸漬は1時間以上行われる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の濾過膜の洗浄方法。
  5. 前記濾過膜は円筒軸を中心に回転可能に保持された円筒状のプリーツフィルターであり、
    前記浸漬する工程の少なくとも一部の時間において、前記濾過膜を回転させる工程を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の濾過膜の洗浄方法。
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