JP6247859B2 - 感圧センサ - Google Patents
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Description
クッション部材から力を受けた絶縁シートは、スペーサの開口の中央部が突出するように湾曲するため、電極が湾曲し、湾曲した電極が対向する電極と接触することになる。この結果、感圧センサの出力にばらつきが生じやすくなる等の問題が生じる。
このような感圧センサによれば、第1電極の湾曲を抑制できる。
<感圧センサ1の構成>
図1Aは、第1実施形態の感圧センサ1の断面図である。図1Bは、感圧センサ1を設置面51に設置した状態の断面図である。図2は、第1実施形態の感圧センサ1に用いられるクッション部材40の下面の斜視図である。以下の説明では、感圧センサ1の一対の電極の対向する方向を上下方向とし、電極から見てクッション部材40の側を「上」とし、逆側を「下」とすることがある。
第1絶縁シート11は、可撓性を有する絶縁性の樹脂フィルムから構成される。ここでは、第1絶縁シート11は、厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)製のフィルムである。但し、第1絶縁シート11を構成する樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)等を採用しても良い。また、第1絶縁シート11の厚さは、感圧センサ1に要求される仕様に応じて設計変更可能である。
第1電極12は、第1絶縁シート11の下面に形成された電極である。第1実施形態の第1電極12は、銀電極やカーボン電極等の導電性の金属膜によって形成された電極である。電極は、銀ペーストやカーボンペーストなどの導電性ペーストから構成してもよいし、めっきにより形成される金属箔などから構成しても良い。めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、あるいは、これらの積層体等が挙げられる。電極の一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。
スペーサ30には、開口31が形成されている。開口31は、周縁が略円形の形状である。開口31の直径Dは、第1電極12及び第2電極22の直径よりも僅かに大きい。そして、開口31の上側に第1電極12が配置され、開口31の下側に第2電極22が配置され、開口31の内部において第1電極12と第2電極22とが、所定の間隔を空けて対向配置されている。なお、スペーサ30の厚さや開口31の直径Dは、感圧センサ1に要求される仕様に応じて設計変更可能である。
クッション部材40は、第1電極シート10の上側に配置されている。すなわち、クッション部材40は、第1電極シート10の表面のうち、スペーサ30の側とは反対側の表面に配置されている。クッション部材40によって荷重が分散されるため、高荷重がクッション部材40の上面に作用しても、電極の破損を抑制できる。つまり、クッション部材40によって、感圧センサ1に高荷重を作用させることが可能になる。
まず、比較例の感圧センサ1の動作について説明する。
図3A〜図3Cは、比較例の感圧センサ1の動作の説明図である。比較例の感圧センサ1では、クッション部材40の下面には環状溝43Aが無く、押し子部41が形成されていない。
比較例の場合、開口31上のクッション部材40の下面は、その外側(外周)の下面に拘束されている。このため、クッション部材40の上面に荷重がかかると、開口31上のクッション部材40の中央部が下に突出しながら、開口31上の第1電極シート10を下側へ押し込むことになる。この結果、第1電極12が第2電極22に向かって変位するときに、第1電極12の中央部が下に突出するように湾曲する。つまり、比較例では、第1電極12が湾曲しやすく、湾曲した第1電極12が第2電極22に接触することになる。
第1実施形態の場合、押し子部41の下面の外縁は、環状溝43Aによって、その外側の荷重受け部42の下面とは分離している。クッション部材40の上面に荷重がかかると、押し子部41の下面の外縁は荷重受け部42の下面から拘束されないため、押し子部41の下面は、殆ど湾曲しないまま、第1電極シート10を下側へ押し込むことになる。この結果、第1電極12が第2電極22に向かって変位するときに、第1電極12は湾曲しにくい。つまり、第1実施形態では、比較例(図3A〜図3C)と比べて第1電極12が湾曲せずに、第2電極22と接触することになる。
比較例では、図7Bに示すように環状溝43Aの外側の周面の直径D2がスペーサ30の開口31の直径Dよりも小さいため(D2<D)、第1電極シート10は、スペーサ30上だけでなくスペーサ30の開口31内の領域においても荷重受け部42から圧力を受けている。この結果、開口31の内側で第1電極シート10がクッション部材40から下側に押し込まれたときに、スペーサ30の開口31の縁(角部)で第1電極シート10の応力が高くなりやすく、第1電極シート10が、スペーサ30の開口31の縁(角部)で塑性変形しやすくなる(図7Bの点線参照)。第1電極シート10が塑性変形してしまうと、その後の感圧センサ1の特性(荷重に対する電極同士の接触面積や抵抗値)が変化してしまう。
これに対し、第1実施形態では、図7Aに示すように環状溝43Aの外側の周面の直径D2がスペーサ30の開口31の直径D以上であるため(D2≧D)、第1電極シート10は、スペーサ30上において荷重受け部42から圧力を受けており、開口31の内側の領域では荷重受け部42から圧力を受けていない。このため、第1電極シート10がクッション部材40から下側に押し込まれたときに、比較例と比べると、スペーサ30の開口31の縁(角部)での第1電極シート10の応力が抑制される。つまり、D2≧Dにすることによって、第1電極シート10がスペーサ30の開口31の縁(角部)で塑性変形しにくくなるという効果が得られる。また、第1電極シート10が塑性変形しにくくなることに伴って、感圧センサ1の特性が変化しにくくなるという効果も得られる。
そして、第1実施形態では、クッション部材40は荷重受け部42(分離部よりも外側の領域)で第1電極シート10に接着されており、押し子部41の下面(分離部よりも内側の領域)は第1電極シート10に接着されていない。このため、押し子部41と第1電極シート10との間には接着層が無いので、感圧センサ1の特性が温度の影響を受けにくくなる。
第1実施形態では、押し子部41の下面と荷重受け部42の下面は、同じ高さであり、面一であった。但し、クッション部材40の下面は、このような形状に限られるものではない。
第1実施形態及び第2実施形態では、クッション部材40の下面に環状溝43Aが形成されており、クッション部材40の上面側では押し子部41と荷重受け部42とが連結されていた。但し、押し子部41と荷重受け部42とを連結する部位(連結部)は、クッション部材40の上面側に限られるものではない。
上記の実施形態では、環状溝43Aの上側の全ての領域において、押し子部41と荷重受け部42とが連結されていた。つまり、押し子部41と荷重受け部42とを連結する連結部44が環状に形成されていた。しかし、連結部44の形状は、環状に限られるものではない。
第1〜第3実施形態では、クッション部材40の押し子部41と荷重受け部42とが連結されていた。但し、クッション部材40の押し子部41と荷重受け部42とを別体で構成することも可能である。
第1〜第4実施形態では、クッション部材40の下面に環状の分離部(環状溝43A又は隙間43B)が形成されており、押し子部41の下面の全周の縁が外側の荷重受け部42から拘束を受けずに済んでいた。但し、分離部は環状に形成されていなくても良い。
第1〜第5実施形態では、分離部の深さが、スペーサ30の厚さ(若しくは第1電極12と第2電極22との間隔)よりも大きかった。但し、分離部の深さは、スペーサ30の厚さよりも小さくすることが可能である。
第6実施形態では、第1電極シート10の上側にクッション部材40(第1クッション部材40)が配置されているだけでなく、第2電極シート20の下側にもクッション部材(第2クッション部材40’)が配置されている。第2クッション部材40’の上面にも環状溝43A’が形成されており、この環状溝43A’によって第2クッション部材40’の上面に押し子部41’と荷重受け部42’が形成されている。
第6実施形態では、第2クッション部材40’の押し子部41’が第2電極シート20を上側に押し込むことになり、第1電極12と第2電極22とが互いに接近する。このため、環状溝43Aの深さd’がスペーサ30の厚さtよりも小さくても、第1電極12(及び第2電極22)の湾曲を抑制しながら、第1電極12と第2電極22とを接触させることができる。
図14A〜図14Cは、第6実施形態の変形例の感圧センサ1の動作の説明図である。この変形例では、上記の第6実施形態と同様に、クッション部材40の環状溝43Aの深さd’がスペーサ30の厚さtよりも小さい。変形例では、上記の第6実施形態とは異なり、第2電極シート20の側にクッション部材(第2クッション部材40’)は設けられていない。
第1〜第6実施形態では、第1電極シート10及び第2電極シート20に平行な面に投影すると、押し子部41の全体がスペーサ30の開口31の内側に位置していた。但し、押し子部41の一部が開口31の外側に位置していても良い。
第7実施形態のクッション部材40の下面には、一対のスリット43Dが形成されている。一対のスリット43Dによって囲まれた内側の矩形状の領域は、第1電極シート10を下側に押し込む押し子部41となる。このように、第7実施形態においても、スリット43D(分離部)の内側には、スリット43Dによって、第1電極12と第2電極22とを接近させる方向に第1電極シート10を押し込む押し子部41が形成されている。なお、一対のスリット43Dよりも外側の領域は、荷重を受ける荷重受け部42となる。
図に示すように、第7実施形態では、分離部となるスリット43Dが、スペーサ30の開口31の外側に位置している。この結果、第7実施形態では、押し子部41の一部がスペーサ30の開口31の外側に位置している(押し子部41が開口31内に収まっていない)。このため、第7実施形態では、第1実施形態と比べると、第1電極12が湾曲しやすくなってしまう。
図16A及び図16Bは、感圧センサ1の固定方法の説明図である。図16A及び図16Bでは、どちらも第1実施形態の感圧センサ1が用いられているが、その固定方法が異なっている。
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
前述の実施形態では、第1電極12及び第2電極22は、図17Aに示すような円形状の電極であった。但し、第1電極12及び第2電極22は、このような形状に限られるものではない。例えば、図17Bに示すように、第2電極22(又は第1電極12)を2つに分割して構成しても良い。このように電極を構成すれば、一方の電極シート(この場合、第2電極シート20)に感圧センサの端子を形成するだけで済む。また、図17Cに示すように、電極を円形状ではなく、櫛歯状にしても良い。
例えば、第1電極シート10及び第2電極シート20に平行な面に投影したときに、押し子部41と第1電極とが横にずれて位置した状態で、押し子部41と第1電極12(又は第2電極22)とが一部重なっていても良い。要するに、第1電極シート10及び第2電極シート20に平行な面に投影したときに、押し子部41の少なくとも一部と第1電極12及び第2電極22の少なくとも一部が重なっていれば良い。これにより、その重複領域における電極の湾曲を抑制できる。
前述の感圧センサは、対向する電極の接触/非接触に応じたON/OFFの2値を出力する感圧スイッチであった。但し、感圧センサは、感圧スイッチに限られるものではない。例えば、感圧センサは、圧力に応じて接触面積が徐々に変化するように電極を構成することにより、電極間の抵抗値の変化に基づいて圧力値を検知するセンサであっても良い。
前述の分離部は、押し子部41の下面が円形状になるように形成されていた。但し、円形状ではなく、他の形状に沿うように分離部を形成しても良い。
また、前述の分離部(環状溝43A、隙間43B又は円弧状溝43C)は、所定の幅を空けて押し子部41と荷重受け部42と分離していた。但し、分離部をスリット状に形成することによって、幅を空けずに押し子部41と荷重受け部42と分離しても良い。
10 第1電極シート、11 第1絶縁シート、12 第1電極、
20 第2電極シート、21 第2絶縁シート、22 第2電極、
30 スペーサ、31 開口、
40 クッション部材(第1クッション部材)、40’ 第2クッション部材、
41 押し子部、42 荷重受け部、
43A 環状溝(分離部)、43B 隙間、43C 円弧状溝、43D スリット、
44 連結部、46 位置決めピン、
50 設置部材、51 設置面、52 位置決め穴
Claims (7)
- 第1電極を有する第1電極シートと、
第2電極を有する第2電極シートと、
前記第1電極シートと前記第2電極シートに挟まれて配置され、開口を有し、前記開口において前記第1電極と前記第2電極とが対向するスペーサと、
前記第1電極シートの前記スペーサ側とは反対側に配置されたシート状のクッション部材と
を備え、
前記シート状の前記クッション部材の前記第1電極シート側の面に分離部が形成されており、
前記分離部の内側には、前記シート状の前記クッション部材の前記第1電極シート側とは反対側の面に荷重が作用したときに前記第1電極と前記第2電極とを接近させる方向に前記第1電極シートを押し込む押し子部が形成されており、
前記第1電極シート及び前記第2電極シートに平行な面に投影すると、前記押し子部の少なくとも一部と前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一部とは重なっており、
前記第1電極シート及び前記第2電極シートに平行な面に投影すると、前記押し子部は、前記開口の内側に位置する
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項1に記載の感圧センサであって、
前記分離部の深さは、前記スペーサの厚さよりも大きい
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項1又は2に記載の感圧センサであって、
前記押し子部の剛性は、前記第1電極シートの剛性よりも高い
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の感圧センサであって、
前記分離部は、環状溝である
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項4に記載の感圧センサであって、
前記環状溝の外側の周面の直径は、前記スペーサの前記開口の直径よりも大きい
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の感圧センサであって、
前記クッション部材は、前記分離部よりも外側の領域で前記第1電極シートに接着されており、
前記分離部よりも内側の領域は、前記第1電極シートに接着されていない
ことを特徴とする感圧センサ。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の感圧センサであって、
前記クッション部材の前記分離部の内側の前記押し子部は、前記クッション部材の前記分離部の外側の領域と一体化して構成されている
ことを特徴とする感圧センサ。
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