JP6247695B2 - 媒体分離を備える乳房シールド - Google Patents

Description

本発明は、請求項１のプリアンブルに記載の乳房シールドユニット、請求項１４のプリアンブルに記載の媒体分離装置、及び請求項１５のプリアンブルに記載の乳房シールドに関する。

ヒトの母乳を搾り出すための装置はよく知られている。原理的には、２つのタイプがあり、一つ目は、手動で操作するもの、つまり、搾乳に必要な負圧を真空ポンプの手動の作動により生み出す。二つ目のタイプの装置では、真空ポンプを電気モータで操作し、真空ポンプを電力供給網につなぐ、及び／又は、バッテリーもしくは他のエネルギー蓄積機を介して操作することが可能である。

これらの手動又はモータ作動式の真空ポンプは、乳房シールドに直接又は真空ラインを介して接続される。乳房シールドは通常、乳首を受け入れるための乳房シールド本体を有する。乳房シールド本体は通常、漏斗部で補完され、この漏斗部が母親の乳房に密着しているため、漏斗部及び乳房シールド本体部分において乳首の周りに漏れない空間が生まれ、この空間の中に真空ポンプにより生み出される負圧が周期的にかけられる。搾られた乳は、乳房シールドの開口部を通り抜けて、乳収集容器へと流れ込む。これもやはり、直接又はラインを介して行うことができる。乳房シールド内の空の容積が大きければ大きいほど、乳房シールドにおいて所望する負圧を得るためには、乳房ポンプにより大きな力を費やさなければならない。この空の容積は通常、死容積と呼ばれる。この死容積を最小にする乳房シールドは、特許文献１から公知である。同様に、特許文献２に記載の乳房シールドは、小さい死容積を有する。

母乳を搾る際には、乳が、真空ライン内又は真空ポンプの領域にさえ入り込んで、これらを汚染する危険性が常に存在する。従って、先行技術では、乳が流れる領域を、真空にされる領域から分離する媒体分離装置が知られている。

それ故、特許文献３は、中に円筒膜を配置した乳房シールドを開示し、この膜は、一方で与えられる真空を乳首に伝え、他方で真空路から乳首を分離する。

特許文献４は、柔軟な媒体分離挿入部を備える乳房シールドを記載する。この挿入部は漏斗形の部分を有し、これに円筒形の延長片が一体的に形成される。負圧が外部からこの延長片にかけられて、延長片は半径方向外側へと広がり、その内側へと負圧を伝える。延長片の自由端にはダックビル弁が設けられ、これが乳収集容器内へと突き出す。

特許文献５は、柔軟な乳房シールド挿入部を備えた手動操作式搾乳機を開示しており、この挿入部は一方で母親の快適さを高めることを目的とし、他方で、同じく媒体分離に役立つ。この挿入部もまた、漏斗状の前方部と、ほぼ円筒形の延長片を有し、この延長片は、この場合曲がって前方部に隣接しており、ダックビル弁で終わる。円筒状の延長片は機械的に外側から押し込まれ、その結果、負圧が挿入部の内部に直接生み出される。

公知の媒体分離装置は、乳が真空領域を汚染することに対する良好な防御にはなるが、これらはそれぞれ、真空を伝えるために広がらなければならないため、ポンプ出力を減らしてしまう。媒体分離装置はまた、引き伸ばしのために材料が疲労したり緩んでくるため、比較的頻繁に代えられなければならない。

ＷＯ ２０１１／０３５４４８ ＵＳ ２０１２／０１０１４３２ ＵＳ ５ ９４１ ８４７ ＷＯ ９９／４４６５０ ＵＳ ２０１０／０２９２６３６

従って、本発明の目的は、改良された媒体分離を提供することである。

この目的は、請求項１の特徴を有する乳房シールドユニット、請求項１４の特徴を有する媒体分離装置、及び請求項１５の特徴を有する乳房シールドによって達成される。

負圧によってヒトの母乳を搾るための機器に用いるための、本発明による乳房シールドユニットは、母親の乳房の乳首を受け入れるための第１の開口部と、搾った母乳のためのドレーン管である第２の開口部とを備える乳房シールド本体を有する。乳房シールドユニットはまた、負圧源から搾った乳を分離する媒体分離装置を有する。これは、乳房シールド本体に配置される。媒体分離装置は、乳房シールド本体の第１の開口部を乳房シールド本体の第２の開口部につなぐ貫通路を有し、この貫通路は、外部からの負圧を受けるとき拡大可能である貫通開口部を有する。貫通開口部は、外部からの負圧を受けるとき、貫通開口部を拡大するために、ほぼ伸張無しに互いから離れて動くことのできる壁によって形成される。乳房シールドユニット、特に媒体分離装置は、好ましくは、媒体分離装置が、目的とする使用時、つまり母乳を搾る際、母親の乳房を取り囲むような寸法である（ｂｅｍｅｓｓｅｎ）。好ましくは、前記壁は乳首を取り囲む。停止状態において、貫通開口部は、好ましくは、乳首の平均直径よりかなり小さく、死容積が最小化される。貫通開口部は、好ましくは、媒体分離装置の貫通路の最も小さな開口部である。

媒体分離装置は、ポンプ膜として働き、通常周期的にかけられる負圧を乳首に伝える。媒体分離装置の材料は、真空を伝えるために、もっぱら広がる必要がないため、媒体分離装置の内部に真空を伝えるには、比較的小さい力、よって比較的低いポンプ出力で十分である。媒体分離装置の材料はほとんどストレスがかからない。この材料は、比較的薄く作ることができ、これにより製造コストと必要なポンプ出力を最小限にする。

好ましくは、媒体分離膜の材料は、わずかな引き伸ばしが可能である。しかしながら、貫通開口部の拡大は、主に、壁又は貫通開口部を取り囲む面の位置の純粋な幾何学的シフトにより得られる。壁は、好ましくは、０．５〜２．０ｍｍの厚みを有する。

媒体分離装置は、乳首も受け入れられる乳房シールドの領域に配置される。従って、媒体分離装置は、いわゆる乳首フィットとしても働き、すなわち、乳首は媒体分離装置により実質的に包囲され、乳房シールドのこの領域における空洞が最小となる。これにより、死容積が最小化される。従って、比較的小さな容積を排気するだけでよい。

さらなる利点は、媒体分離装置の壁の周期的な動きが、赤ん坊の口蓋や舌と同じように、乳首をマッサージすることである。これは、乳の量にプラスの効果を与える。

媒体分離装置は、母親の乳房の解剖学的状況に適応するため、同じ乳房シールドユニットを異なる乳房サイズに用いることができる。本発明による乳房シールドユニットを全ての可能な乳房サイズに対して確実に使えるようにするためには、比較的少ないパターンのサイズの異なる乳房シールドユニットを提供すれば十分である。

好ましい実施形態では、貫通開口部、及び好ましくは貫通路も、最大に広げた状態で、すなわち、通常、外部から負圧をかけた状態で、非円対称の内側断面を有する。しかしながら、断面は、好ましくは回転対称である。これにより、可動壁の造形が容易になる。ある物体を軸の周りに任意の所望する角度だけ回転させたとき、その物体がそれ自身の上にあれば、その物体は円対称である。ある物体を軸の周りに決まった角度だけ回転させたとき、その物体がそれ自身の上にあれば、その物体は回転対称である。

好ましい実施形態では、貫通路は貫通路の長さに沿って変わる内側断面を有する。これもまた、貫通開口部の周りの領域の造形を容易にする。

好ましくは、媒体分離装置は２つの個々の壁を備えた二重壁を有し、この２つの個々の壁は、外部から負圧がかけられると互いから離れるように動くことができ、従って貫通開口部を広げる。１つの実施形態では、このような二重壁がちょうど１つ存在する。好ましくは、このような二重壁がいくつか存在し、好ましくはそれらが、媒体分離装置の外周に分配される。これらは、好ましくは均一に分配される。各二重壁は、外側に向いたウェブを形成し、このウェブは好ましくは、貫通路に平行な方向に延びる。ウェブは、２つの個々の壁の第１の縁を形成する。個々の壁それぞれの残りの縁は、自由縁により形成され、パラボラに似た形をしている。この縁は、好ましくは、ウェブの第１の端部からウェブの第２の端部へと延びる。これは内側に向いている。停止状態、すなわち外部からの負圧がない状態では、二重壁の個々の壁の縁は、好ましくは互いの上に一致してのっている。媒体分離装置の停止状態には、これらの縁が貫通路を画定する。負圧が外部からかけられると、個々の壁は、互いの上にのる縁にて互いから離れるように動き、貫通開口部の断面と、貫通路の残りの断面を拡大する。

媒体分離装置は好ましくは本体を有し、この本体は、内側に、互いに向かって傾斜する狭い端部を備えた二つの漏斗部を形成するように折り曲げられる。第１の漏斗部の広い端部は、好ましくは、乳房の方に向く貫通路の入口開口部を形成し、第２の漏斗部の広い端部は、好ましくは、乳の出口の方に向く貫通路の出口開口部を形成する。このような本体は容易に一体的に製造することができ、互いから離れるように動くことのできる壁を備えた所望の複雑な構造を形成する。

好ましくは、媒体分離装置は、プリテンションして（ｕｎｔｅｒ Ｖｏｒｓｐａｎｎｕｎｇ）乳房シールドに配置される。これは、例えば、ねじった構成で装置をクランプすることによって達成することができる。それ故、開口壁はらせん状に延びる。従って、開口壁は、ポンプ出力が低くポンプ周波数が比較的高いときでさえ、確実に開閉する。このプリテンションは、とりわけ、媒体分離膜がその元の形状を取戻し、膨れ出ないことを保証する。

媒体分離装置は好ましくは、貫通開口部の領域において、クロスの又は花形の断面を有する。媒体分離装置は、好ましくは、その貫通路の長さに沿ってほぼ一定の壁厚を有する。

媒体分離装置は、乳房シールド本体又は乳房シールド漏斗部と一体的に形成することができる。装置はまた、破壊することなくしては取り外せないように、これらの中に、例えば、射出成形して、接合して、又は溶接して、固定することができる。しかしながら、媒体分離装置は、好ましくは挿入要素であり、乳房シールド本体に解除可能、取り外し可能に配置される。これによって、乳房シールドは、媒体分離装置より長い間使用でき、又は、両方を互いから別々にして洗浄できる。

媒体分離装置は、好ましくは、可撓性材料、特にシリコーンから作られる。

一実施形態において、媒体分離装置は、負圧をかけることによってのみ作動できる。その都度、復帰運動は自動的に起こる。しかしながら、他の実施形態では、正圧、すなわち大気圧より大きい圧力を、媒体分離装置の内側及び／又は外側にかけることもできる。正圧は、例えば、真空ポンプの排気から得ることができる。このために、切り替え弁が存在すると好ましい。

一実施形態において、上述の乳房シールドユニットで用いるための、本発明による媒体分離装置は、乳房シールドユニットの乳房シールド本体に配置するための挿入要素であり、この挿入要素は、乳房シールド本体の第１の開口部を乳房シールド本体の第２の開口部につなぐ貫通路を有する。この貫通路は、外部からの負圧を受けると拡大可能な貫通開口部を有する。この貫通開口部は壁によって形成され、この壁は、貫通開口部を拡大するために、外部からの負圧を受けると、ほぼ伸張無しに互いから離れるように動くことができる。媒体分離装置は、好ましくは、装置が目的通りに使用される場合、これらの壁が乳首を取り囲むような寸法となっている。

好ましい実施形態では、上述の乳房シールドユニットの発明の乳房シールドは、対象とする方法で用いられる場合、プリテンションした、ねじれた挿入要素の形の媒体分離装置を受け入れ保持するように形成される。

好ましくは、乳房シールドは非常に小さく形成され、ブラジャーの下にいわゆるハンズフリーで配置して身に着けることもでき、それ故、手で保持する必要がない。

さらなる実施形態は、従属請求項に明記する。

図１は、第１の実施形態での本発明による乳房シールドユニットの斜視図である。 図２は、図１の乳房シールドユニットの長手方向断面図である。 図３は、図１の乳房シールドユニットを備える搾乳器システムの長手方向断面図である。 図４は、図１の乳房シールドユニットの別の斜視図である。 図５は、一方向弁を備えた図４の乳房シールドユニットの一部分解図である。 図６は、本発明の搾乳器ユニットのさらなる実施形態の斜視図であり、一方向弁を備えており、部分的に分解した図である。 図７は、まだ組み立てていない状態での、本発明による媒体分離装置の斜視図である。 図８は、まだ組み立てていない状態での、図７の媒体分離装置の側面図である。 図９は、まだ組み立てていない状態での、図７の媒体分離装置の正面図である。 図１０は、図７の媒体分離装置の貫通開口部の概略図であり、外部負圧がかかっている。 図１１は、取り付けた状態での、図７の媒体分離装置の側面図である。 図１２は、取り付けた状態での、図７の媒体分離装置の正面図である。 図１３は、取り付けた状態での、図７の媒体分離装置の斜視図である。 図１４は、取り付けた状態での、媒体分離装置の第２の実施形態の側面図である。 図１５は、取り付けた状態での、図１４の媒体分離装置の正面図である。 図１６は、取り付けた状態での、図１４の媒体分離装置の斜視図である。 図１７は、取り付けた状態での、媒体分離装置の第３の実施形態の側面図である。 図１８は、取り付けた状態での、図１７の媒体分離装置の正面図である。 図１９は、取り付けた状態での、図１７の媒体分離装置の斜視図である。 図２０は、図１の乳房シールドユニットの長手方向断面図である。

本発明の好ましい実施形態を、図を参照し以下に説明するが、これらは、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。

図３は、本発明による乳房シールドユニットを備えた搾乳器システムを示す。乳房シールド本体１には、乳房シールド漏斗部２が設けられる。母親の乳房Ｂはこの乳房シールド漏斗部２に受け入れられ、母親の乳房Ｂの乳首が乳房シールド本体１内に突出する。媒体分離装置、ここでは媒体分離膜３は、乳房シールド本体１に配置される。この膜は少なくとも乳首、好ましくは母親の乳房Ｂの一部をも取り巻く。乳房シールド本体１上にアダプタ７が固定され、移行部は一方向弁４によって閉じられている。乳収集容器８がアダプタ７に取り外し可能に固定される。乳房シールド本体１から真空ポンプ６へと真空ライン５がつながる。

図１，２，４及び５は、乳房シールド本体１、乳房シールド漏斗部２、一方向弁４及び媒体分離装置３を備える乳房シールドユニットを示す。乳房シールド本体１は、実質的には、中空体として形成される。好ましくは、乳房シールド本体は、両端部に周辺フランジ１５，１６を有する。また、真空ライン５への接続のための、少なくとも1つの吸引コネクタ１０を有する。図２から分かるように、乳房シールド本体は、好ましくは、１又はそれより多い円周溝１７を、吸引コネクタ１０の領域に有し、溝１７は、乳房シールド本体１と媒体分離装置３の間の空間において、かけられた負圧を均一に分配する。

図２と５から明確に分かるように、乳房シールド本体１はまた、乳出口開口部１１を備える別個の後方壁１３を有する。後方壁１３は、乳房シールド本体１の残りの部分に、留め具１４で取り外し可能に固定される。乳出口開口部１１は、アダプタ７を介して乳収集容器８へとつながる。乳出口開口部１１は一方向弁４によって閉じられる。この弁はここではフラップ弁４であり、弁フラップ４１と固定つまみ４０を有する。固定つまみ４０は、乳房シールド本体１の固定開口部１２に保持される。

図６は別の実施形態を示す。この場合、乳出口開口部１１がいくつか存在する。一方向弁４はそれに応じて形成される。

一方向弁４は、違う形状であってもよい。例えば、ダックビル弁であってよい。

図示した実施例では、乳房シールド漏斗部２は乳房シールド本体１に留め具２０で固定される。乳房シールド漏斗部２は比較的短い。好ましくは、漏斗部２は乳首に近い母親の乳房Ｂの小さな領域だけを取り囲む。好ましくは、比較的大きな開口角度、好ましくは９０〜１２０°の角度を有する。

乳房シールド漏斗部２と乳房シールド本体１は好ましくは、かたい材料、特にプラスチックから製造される。

媒体分離装置３は乳房シールド本体１に配置される。この媒体分離装置３は２つの向かい合う端部を備えた本体３０を有する。これらの端部は第１の固定フランジ３１と第２の固定フランジ３２により形成される。第１の固定フランジ３１は、乳房シールド漏斗部の接触面２１と乳房シールド本体１の第１のフランジ１５の間に密着して（ｄｉｃｈｔｅｎｄ）挟まれる。媒体分離装置３の第２の固定フランジ３２は、乳房シールド本体１の第２のフランジ１６と別個の後方壁１３の間に密着して挟まれる。媒体分離装置３は、好ましくは、乳房シールド本体１に取り外し可能に保持され、交換又は洗浄の目的のために、容易に取り外したり、再度取り付けたりできる。

媒体分離装置３は、少なくとも部分的に、柔軟な、好ましくは弾性材料から製造される。好ましくはシリコーンから成る。媒体分離装置３は膜を形成する。媒体分離装置３は、好ましくは一体的に作られる。図２から分かるように、装置３は、乳房シールド漏斗部２の開口部を乳出口開口部１１に接続する貫通路を有する。膜３は、乳房シールド漏斗部２の開口部を吸引コネクタ１０から分離する。

図２から、貫通路が貫通開口部３５を有しており、この開口部は、不使用時負圧をかけなければ、実際には閉じており、又は少なくとも非常に小さいことが分かる。図３から、使用の状態では、乳首が媒体分離装置の中へほとんどこの貫通開口部３５まで突き出し、その際、乳首はこの媒体分離膜３によって取り囲まれることが分かる。図３では、吸引コネクタ１０に負圧がかけられ、その結果媒体分離装置が、乳房シールド本体１の壁の方へと外側に引っ張られ、貫通開口部３５が開かれる又は拡大される。図２及び３の比較から、貫通開口部３５の直径は、負圧がかけられていない場合、好ましくは、負荷のかかっていない状態での通常の乳首の直径より何倍も小さいことが明らかであろう。

図７〜９は、図１〜６の乳房シールドユニットで用いられるような、本発明による媒体分離装置３の好ましい実施形態を示す。

図７からはっきりと分かるように、媒体分離装置３は、２つの周辺固定フランジ３１，３２を備える本体３０を有する。本体３０は、これらフランジ３１，３２の間で延びるが、円周方向に閉じられたジャケットによって形成され、このジャケットは貫通開口部３５を備える貫通路を有する。このジャケットは、幾何学的には、外部からかけられた負圧の影響をうけてその形状を変えることができ、貫通路又は貫通開口部３５の直径を増加させることができ、このためにその材料を引き伸ばすことがないように構成される。このジャケットは、外圧を大気圧まで再び上げる、又は元の圧力まで戻すと、元の形状に戻るように形成される。このジャケットは好ましくは弾力性がある。

本体３０は、基本的には中空体であり、そのジャケット壁は、製造時、特別な方法で既に内側に成形されている。それ故、中空体は２つの漏斗部３３，３４として成形され、それらの狭い端部は互いの方に傾斜している。これは図８にはっきりと分かる。これらの狭い端部は、好ましくは、２つのフランジ３１，３２の間のほぼ中央で合う。しかしながら、漏斗部３３，３４は異なる長さで形成されてもよい。２つの狭い端部が合う場所は貫通開口部３５を形成する。漏斗部３３，３４の間のジャケットの残りの材料は、いくつかの二重壁３６を成形する。それぞれの二重壁３６は、２つ個々の壁３６０を有し、これらの壁は、媒体分離装置の停止状態において互いの上にのる。それぞれの二重壁３６は外側に向いたウェブ３７を形成し、このウェブが、好ましくは、貫通路に平行な方向に延びる。外側ウェブ３７は、２つの個々の壁３６０の共通の第１の縁を形成する。それぞれの個々の壁３６０の残りの縁は、放物線状の自由縁３８によって形成される。この縁３８は、好ましくは、ウェブ３７の第１の端部から、ウェブ３７の第２の端部へと延びる。これは内側に向いている。二重壁３６の個々の壁３６０の縁３８は、好ましくは、図９にはっきりと分かるように、停止状態、即ち外部からの負圧がない場合、互いの上に一致してのる。図７ではっきり分かるように、媒体分離装置３の停止状態では、これらの縁３８が貫通路を画定し、スリットを形成する。

従って、ジャケットは、外側ウェブ３７と内側スリット又は縁３８を有する。この場合、このような二重壁３６が４つ存在し、４つの外側ウェブ３７と４つの内側スリット３８が３次元クロス構造で存在する。このクロス構造の中央は、貫通開口部３５によって形成される。従って、断面は、回転対称であるが円対称ではない。

負圧が外部からかけられると、二重壁３６は外側に引っ張られ、これにより互いの上にのっている壁が、少なくとも縁３８の領域において互いから離れ、スリットがさらに開く。貫通路、特に貫通開口部３５が拡大される。これは、図１０に概略的に示される。内側ラインは貫通開口部３５に近い領域を示し、外側ラインは２つのフランジ３１，３２の１つに近い領域を示す。

媒体分離装置３は、図７〜９に示されるような位置にて乳房シールド本体１に固定することができる。しかしながら、この膜３は、好ましくは、ねじった形状で取り付けられる。ねじり角度は好ましくは、３０°と９０°の間である。この目的のために、フランジ３１，３２は、互いに対し回転させた構造で、乳房シールド１，２に挟んで保持される。この回転させた位置を図１１及び１３に示す。これによって、外側ウェブ３７と内側縁３８は、図１２で分かるように、らせん形に延びる。三次元クロス構造は曲がった肢部を有する。

４つの外側ウェブ３７と４つの内側スリット３８の代わりに、そして、４パーツクロス構造又は花形構造の代わりに、ジャケットの漏斗部の他の分割を用いることができる。図１４〜１６は５つの二重壁３６、よって５つのウェブ３７と５つのスリット３８を備えた変形を示す。これらは既にプリテンション位置、特にねじった位置にて示される。

図１７〜１９は、３つのウェブ３７と３つのスリット３８を備えた３つの二重壁３６を示し、同様にプリテンションされたねじれ位置にある。

ここで、本発明による乳房シールドユニットの作動モードを図３と図２０を比較して説明する。図３では、負圧がかけられ、膜３の二重壁３６が引っ張り離され、貫通開口部３５が広がる。母親の乳房は乳房シールド内に密着しており、媒体分離装置３の内部を環境から密封して閉鎖するため、媒体分離装置３の容積の拡大の結果、媒体分離装置３の内部にも負圧が広がる。従って、この負圧は、母親の乳房Ｂの乳首にもかけられ、乳を吸い込みチャンバ３９へと吸引することができる。吸い込みチャンバ３９は、媒体分離装置３の内部によって形成される。この吸い込みチャンバ内に広がる負圧のために、弁４、従って乳出口開口部１１が閉じられる。

搾乳器は、吸引周期に応じて操作される。圧力は、図２０では、例えば、より高い基底の負圧まで、又は大気圧までも増加される。媒体分離装置は元の形状に戻り、即ち、二重壁３６が再び元の形に戻って、貫通開口部３５を縮小する又は閉じさえする。これによって、媒体分離装置３の内部の吸い込みチャンバ３９内の圧力が上昇する。これが、弁４と乳出口開口部１１とを開ける。乳は、吸い込みチャンバ３９から出て、乳収集容器８へと流れ込む。

本発明の意味する範囲内において、この例示の実施形態の多くの変形が存在する。従って、乳房シールドは異なる形状を有することができる。特に、乳房シールド本体と乳房シールド漏斗部は一体的に一緒に成形することができる。媒体分離装置は、何らかの他の方法で乳房シールド内に取り外し可能に配置できる。媒体分離装置は、ばらばらに洗浄することができないように、乳房シールドに固定して接続することもできる。さらに、真空ポンプを、吸引チューブなしに乳房シールドに接続することができる。真空ポンプは、手動又はモータで操作することができる。さらに、図のように、乳容器を乳房シールドに直接又はアダプタを介して接続することができる。しかしながら、乳容器をチューブを介して搾乳器に接続することもできる。

本発明による乳房シールドユニットは、死容積を最小にし、母親の快適さを最適にした媒体分離を可能にする。

１ 乳房シールド本体
１０ 吸引コネクタ
１１ 乳出口開口部
１２ 固定開口部
１３ 後方壁
１４ 留め具
１５ 第１のフランジ
１６ 第２のフランジ
１７ 溝

２ 乳房シールド漏斗部
２０ 留め具
２１ 接触面

３ 媒体分離膜
３０ 本体
３１ 第１の固定フランジ
３２ 第２の固定フランジ
３３ 第１の漏斗部
３４ 第２の漏斗部
３５ 貫通開口部
３６ 二重壁
３６０ 個々の壁
３７ 外側ウェブ
３８ 縁
３９ 吸い込みチャンバ

４ 一方向弁
４０ 固定つまみ
４１ 弁フラップ

５ 真空ライン

６ 真空ポンプ

７ アダプタ

８ 乳収集容器

Ｂ 母親の乳房

Claims (15)

1. 負圧を用いてヒトの母乳を搾るための装置で用いるための乳房シールドユニットであって、
   前記乳房シールドユニットは、母親の乳房の乳首を受け入れるための第１の開口部と、搾った母乳用のドレーンである第２の開口部とを備える乳房シールド本体（１）を備え、
   前記乳房シールドユニットは、搾った乳を負圧源から分離する、前記乳房シールド本体（１）に配置される媒体分離装置（３）をさらに備え、
   前記媒体分離装置（３）は、前記乳房シールド本体（１）の前記第１の開口部を、前記乳房シールド本体（１）の前記第２の開口部につなぐ貫通路を備え、
   前記貫通路は、外部からの負圧を受けると拡大可能な貫通開口部（３５）を備え、
   前記貫通開口部（３５）が壁（３６）によって形成され、これら壁（３６）は、外部からの負圧を受けると、前記貫通開口部（３５）を拡大するために、当該壁の位置が幾何学的にシフトすることにより、互いから離れるように動くことが可能であり、
   前記媒体分離装置（３）は、前記乳房シールド本体（１）にねじられて配置される、
   ことを特徴とする乳房シールドユニット。
2. 前記貫通開口部（３５）は、最大に開いた状態で、円周方向に非対称の内側断面を有する、請求項１に記載の乳房シールドユニット。
3. 前記貫通路は、該貫通路の長さに沿って変わる内側断面を備える、請求項１又は２に記載の乳房シールドユニット。
4. 前記媒体分離装置（３）は、２つの個々の壁（３６０）を有する少なくとも１つの二重壁（３６）を備え、前記個々の壁（３６０）は、互いから離れるように動くことのできる壁（３６）である、請求項１〜３のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
5. いくつかの二重壁（３６）が存在し、これらが、前記媒体分離装置（３）の外周に分配される、請求項４に記載の乳房シールドユニット。
6. 二重壁（３６）の前記個々の壁（３６０）は、共通の外側ウェブ（３７）と、さらに、それぞれの自由縁（３８）とによって画定され、該自由縁（３８）は放物線の形状を有する、請求項４又は５に記載の乳房シールドユニット。
7. 前記媒体分離装置（３）は、本体（３０）を備え、これは、内側に、互いに向かって傾斜する狭い端部を有する２つの漏斗部（３３，３４）を形成するように成形される、請求項１〜６のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
8. 前記媒体分離装置（３）は、前記貫通開口部（３５）の領域に、クロス形又は花形の断面を有する、請求項１〜７のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
9. 前記貫通路は、停止状態で、すなわち外部からの負圧を受けない場合に、ダブルの漏斗部の形に形成され、第１の幅広の端部が入口開口部を形成し、第２の幅広の端部が出口開口部を形成し、これら２つの端部の間で前記ダブルの漏斗部が前記貫通開口部（３５）に向かって先細る、請求項１〜８のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
10. 前記媒体分離装置（３）は前記乳房シールド本体（１）にプリテンションして配置される、請求項１〜９のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
11. 前記媒体分離装置（３）は挿入要素であって、この要素は、前記乳房シールド本体（１）に着脱可能及び取り外し可能に配置される、請求項１〜１０のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
12. 前記媒体分離装置（３）は可撓性材料から作られる請求項１〜１１のいずれかに記載の乳房シールドユニット。
13. 前記媒体分離装置（３）が、前記乳房シールドユニットの乳房シールド本体（１）に配置されるための挿入要素であり、該挿入要素は、前記乳房シールド本体の第１の開口部を前記乳房シールド本体の第２の開口部につなげる貫通路を備え、前記貫通路は、外部からの負圧を受けると拡大可能な貫通開口部（３５）を備え、
    前記貫通開口部（３５）が壁（３６）によって形成され、これら壁（３６）は、外部からの負圧を受けると、前記貫通開口部（３５）を拡大するために、当該壁の位置が幾何学的にシフトすることにより、互いから離れるように動くことが可能であり、
    前記媒体分離装置（３）は、前記乳房シールド本体（１）にねじられて配置される、
    ことを特徴とする、請求項１〜１２のいずれかに記載の乳房シールドユニットの媒体分離装置。
14. 前記乳房シールド本体（１）が、前記媒体分離装置（３）を、受け入れ、保持するように形成され、前記媒体分離装置（３）が、ねじられた挿入要素の形でプリテンションして配置されることを特徴とする、請求項１〜１２のいずれかに記載の乳房シールドユニットの乳房シールド。
15. 前記乳房シールド本体（１）が、前記媒体分離装置（３）を、受け入れ、保持するように形成され、前記媒体分離装置（３）が、ねじられた挿入要素の形でプリテンションして配置されることを特徴とする、請求項１３に記載の媒体分離装置の乳房シールド。
    

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