JP6246761B2 - 機械構造用鋼部材の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)遅れ破壊を抑制するためには、鋼材の表面粗さを低くすることが重要である。
(2)ショットピーニング処理では、鋼材の表面に圧縮残留応力が導入されるため、疲労強度は向上するものの、同時に、転位などの欠陥が増加し、表面粗さも高くなるため、耐遅れ破壊特性を十分に高めることはできない。
(3)特定の条件で、気中キャビテーション・ショットレス・ピーニングを行うことによって、表面の粗さを低く保ちつつ、圧縮残留応力を導入できる。
(4)鋼材が焼戻しマルテンサイト組織を有する場合、上記キャビテーション・ショットレス・ピーニングによって導入される塑性変形が、その後の工程において開放されにくいため、ピーニング処理の効果を十分に発揮させることができる。
(1)鋼部材に対して、
850℃以上の温度での焼入れ処理と、
400℃以下の温度での焼戻し処理と、
ピーニング処理とを施す機械構造用鋼部材の製造方法であって、
前記鋼部材が、
質量%で、
C :0.25%以上、0.70%以下、
Si:0.05%以上、2.00%以下、
Mn:0.10%以上、1.00%以下、
P :0.030%以下、
S :0.030%以下、
Cr:2.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Al:0.005%以上、0.050%以下、および
N :0.001%以上、0.050%以下、を含有し
残部Feおよび不可避不純物からなり、
前記焼戻し処理後の鋼部材が、焼戻しマルテンサイト組織を有し、かつ、引張強さ1200MPa以上であり、
前記ピーニングが、外ノズルおよび内ノズルを備える2重ノズルを用いて、下記の条件で、大気中において前記鋼部材の表面へ水を噴射することによって行われる気中キャビテーション・ショットレス・ピーニングであり、
該気中キャビテーション・ショットレス・ピーニングを施した鋼部材表面の表面粗さRtが5.00μm以下であることを特徴とする、機械構造用鋼部材の製造方法。
記
前記内ノズルの内径r1:0.5〜2mm
前記内ノズルから噴射される水の圧力p1:8〜40MPa
前記外ノズルの内径r2:10〜30mm
前記外ノズルから噴射される水の圧力p2:0.03〜0.5MPa
前記2重ノズルの先端と前記鋼部材表面の間の距離d:10〜60mm
Nb:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、
V :0.5%以下、
Zr:0.5%以下、および
W :0.5%以下のうちから選択される一種または二種以上を含有することを特徴とする前記(1)記載の機械構造用鋼部材の製造方法。
Ni:2.0%以下を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の機械構造用鋼部材の製造方法。
B :0.0030%以下を含有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の機械構造用鋼部材の製造方法.
Ca:0.010%以下を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の機械構造用鋼部材の製造方法。
Pb:0.1%以下および
Bi:0.1%以下のうちから選択される一種または二種を含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の機械構造用鋼部材の製造方法。
まず、本発明において、鋼の成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
Cは、機械部品として必要な強度を確保する上で重要な元素である。また、Cは焼入れ性を向上させる元素であり、焼戻マルテンサイト相を主相とする組織の形成に寄与する。このような効果を得るためには、鋼が0.25%以上のCを含有する必要がある。C含有量が0.25%未満では、部品として十分な強度を得ることが難しい。一方、Cが多すぎると、鋼材が過度に硬くなり、鍛造性や被削性が低下するので、C含有量は0.70%以下とする必要がある。このため、C含有量は0.25%以上、0.70%以下とする。なお、C含有量を0.25%以上、0.65%以下とすることが好ましい。
Siは、強度向上に有用なだけでなく、焼き戻し軟化抵抗を向上させ、硬度を維持するために有効な元素である。このような効果を得るためには、鋼が0.05%以上のSiを含有する必要がある。一方、Si含有量が2.00%を超えると、鋼材の変形抵抗が増して鍛造性が劣化することに加え、浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。したがって、Si含有量は0.05%以上、2.00%以下とする。なお、Si含有量を0.10%以上、1.80%以下とすることが好ましく、0.15%以上、1.00%以下とすることがより好ましい。
Mnは、焼入れ性を向上させ、その結果として鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、鋼が0.10%以上のMnを含有する必要がある。一方、Mn含有量が1.00%を超えると、偏析が顕著となり、材質が不均一となって冷間加工性が低下する。また、過剰のMnは、浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。したがって、Mn含有量は0.10%以上、1.00%以下とする。なお、Mn含有量を0.30%以上、0.90%以下とすることが好ましく、0.50%以上、0.85%以下とすることがより好ましい。
Pは、鋼中に不可避的に混入し、結晶粒界に偏析して靭性を低下させる。したがって、その含有量は極力低くすることが好ましいが、0.030%以下であれば許容される。そのため、本発明ではP含有量を0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下、より好ましくは0.015%以下である。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低P化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.001%以上とすることが好ましい。
Sは、本発明のような機械構造用鋼では、Mnと硫化物を形成し、部品の疲労強度、靭性を低下させる作用がある。したがって、その含有量は極力低くすることが好ましいが、0.030%以下であれば許容される。そのため、本発明ではS含有量を0.030%以下とする。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低S化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0003%以上とすることが好ましい。また、Mnの硫化物は、被削性を向上させる作用も有するので、S含有量は前記許容範囲内で適宜調整することが可能である。以上の観点から、S含有量を0.0005%以上、0.025%とすることがより好ましく、0.001%以上、0.020%以下とすることがさらに好ましい。
Crは、鋼の強度および靭性の向上に有効な元素である。また、焼入れ性を向上させる効果も有する。このような効果を得るためには、鋼が0.60%以上のCrを含有することが好ましい。しかし、Cr含有量があまりに多くなると、鋼が硬くなりすぎて被削性および加工性が劣化する。そのため、Cr含有量は2.00%以下とする必要がある。なお、Cr含有量を0.80%以上、1.80%以下とすることがより好ましい。
Moは、焼入れ性を向上させる効果を有することに加え、靭性の向上に有効な元素である。さらに、SiやAl、Cr、Mnといった元素の粒界酸化に伴う浸炭異常層の生成を抑制する上でも有効である。しかし、Mo含有量が1.00%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、素材硬さが増して被削性や冷間鍛造性、靭性が低下する。また、Moは高価な元素であるため、過度の添加は製造コストの上昇を招く。そのため、Mo含有量は1.00%以下とする。好ましいMo含有量は0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限については限定されないが、上記のような効果を得るためには、0.10%以上であることが好ましく、0.13%以上であることがより好ましい。
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であり、鋼材の品質を向上させる効果がある。このような効果を得るためには、鋼が0.005%以上のAlを含有する必要がある。一方、Al含有量があまりに多くなると、粗大なAl2O3非金属介在物がクラスター状に生成することに加え、浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。そのため、Al含有量は0.050%以下とする。なお、Al含有量は0.007〜0.040%であることが好ましく、0.010〜0.035%であることがより好ましい。
Nは、Alと窒化物を形成し、浸炭時の旧γ粒の粗大化を抑制する効果がある。この効果を得るためには、0.001%以上のNが必要となる。一方、N含有量が0.050%を超えると、粗大な窒化物が生成して被削性や面疲労強度が低下するとともに、素材の硬さ、変形抵抗が増大して、冷間加工性が低下する。このため、N含有量は0.001%以上、0.050%以下とする。なお、N含有量は0.002%以上、0.030%以下とすることが好ましい。
Nb、Ti、V、Zr、およびWはいずれも、炭素および窒素に対する高い親和性を有する元素であり、微細な析出物を生成することで、γ粒の粗大化を抑制する効果がある。この効果を得るために、上記元素のうちから選択される一種または二種以上を、それぞれ0.5%以下の濃度で鋼材に含有させることができる。これらの各元素の含有量は0.3%以下であることがより好ましく、0.2%以下であることがさらに好ましい。下限については特に限定されないが、0.01%以上とすることが好ましい。
Niは、鋼材の耐食性を向上させるのに有効な元素である。また、Niは、靭性の向上にも有効に作用する。従って、Ni含有量は0.1%以上とすることが好ましく、0.3%以上とすることがより好ましい。しかし、Ni含有量が2.0%を超えると、効果が飽和し、コストがかさむ。そのため、Ni含有量は2.0%以下とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましい。
Bは、鋼材の焼入れ性を高める作用があり、しかも結晶粒界に偏析することで粒界を強化し、靭性を大幅に高める作用がある。これらの作用は0.0010%超添加することで発現する。しかし、Bの添加効果は、含有量が0.0030%を超えると飽和するばかりでなく、B含有量があまりに多くなるとB窒化物が生成し易くなり、冷間加工性および熱間加工性が低下する。好ましいB含有量は0.0020%以下の範囲である。
Caは、硫化物の展伸を抑制して耐衝撃特性を向上させる効果がある。この効果を得るためには、Ca含有量を0.0005%以上とすることが好ましく、0.0008%以上とすることがより好ましい。一方、Ca含有量が0.010%を超えると、粗大な酸化物が生成し強度が低下する。そのため、Ca含有量は0.010%以下とすることが好ましい。なお、Ca含有量は0.0030%以下とすることがより好ましく、0.0020%以下とすることがさらに好ましい。
PbおよびBiはいずれも、鋼材の被削性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させることができる。しかし、含有量があまりに多くなると強度が低下するので、いずれも0.1%以下とすることが好ましい。なお、Pb、Biの各含有量は0.02%以上とすることがより好ましく、0.03%以上とすることがさらに好ましい。また、各含有量は0.07%以下とすることがより好ましく、0.06%以下とすることがさらに好ましい。
本発明においては、鋼部材を850℃以上の温度での焼入れし、400℃以下の温度での焼戻しすることが重要である。焼入れ温度が850℃に満たない場合、加熱された際のγ粒径が十分に大きくならないため、焼入れ不十分となり、十分な硬さが得られない。また、焼戻し温度が400℃を超えると鋼部材が軟質化し、十分な強度が得られない。
本発明では、上記成分組成を有する鋼部材に対して、850℃以上の温度での焼入れ処理と、400℃以下の温度での焼戻し処理とを行って、焼戻しマルテンサイト組織を有し、かつ、引張強さ1200MPa以上である鋼部材を得る。引張強さ1200MPa未満の鋼部材の場合、強度が低く、そもそも遅れ破壊が問題となる場合が少ない。そのため、本発明では鋼部材の引張強さを1200MPa以上とする。鋼部材の引張強さは、1250MPa以上であることが好ましく、1300MPa以上であることがより好ましい。
次に、本発明で使用するキャビテーション・ショットレス・ピーニング(以下、「CSP」と記す)について説明する。
金属材料の表面に圧縮残留応力を付与する方法としては、特許文献3に記載されているようなショットピーニングが広く用いられてきた。ショットピーニングは、ショットと呼ばれる金属球などを金属材料の表面に投射して、その衝突のエネルギーを利用して金属材料を塑性変形させ、圧縮残留応力を付与するという方法である。
記
前記内ノズルの内径r1:0.5〜2mm
前記内ノズルから噴射される水の圧力p1:8〜40MPa
前記外ノズルの内径r2:10〜30mm
前記外ノズルから噴射される水の圧力p2:0.03〜0.5MPa
前記2重ノズルの先端と前記鋼部材表面の間の距離d:10〜60mm
・ 内ノズルの内径r1:0.5〜2mm
内ノズル、すなわち高圧水用ノズルの内径r1が大きすぎると、被処理材表面でのキャビテーション気泡の崩壊が十分でないため、必要なピーニング効果を得ることができない。そのため、本発明では内ノズルの内径r1を2mm以下とする。より好ましくは、1.5mm以下である。
外ノズル、すなわち低圧水用ノズルの直径r2が大きすぎる場合、必然的に低圧水の噴射量が多くなり、高圧水によって生じるキャビテーション崩壊による衝撃と干渉してしまい、結果的に被処理材表面の欠陥を減少させることができない。そのため、本発明では外ノズルの内径r2を30mm以下とした。より好ましくは、23mm以下である。
内ノズルから噴射される高圧水の圧力p1が8MPaに満たない場合、部材の表面でのキャビテーションの崩壊が生じにくくなり、十分なピーニング効果を得ることができない。一方、p1が大きすぎると、キャビテーションの崩壊による衝撃によって部材の表面が粗くなり、欠陥が多くなることで、かえって遅れ破壊が生じやすくなる。そのため、本発明ではp1を8〜40MPaとすることが重要である。なお、p1を10〜35MPaとすることがより好ましい。
外ノズルから噴射される低圧水の圧力p2が0.03MPaに満たない場合、内ノズルから噴射される高圧水を十分に包囲できないため、キャビテーションを十分に発生させることができない。一方、p2が0.5MPaを超えると、低圧水による噴流が、高圧水によるキャビテーション噴流と干渉してしまい、被処理材表面でのキャビテーション崩壊を阻害する。そのため、本発明ではp2を0.03〜0.5MPaとすることが重要である。なお、p2を0.05〜0.4MPaとすることがより好ましい。
2重ノズルと、被処理材である鋼部材表面との間の距離(以下、「スタンドオフ距離」と呼ぶ)の適正値は、噴射される高圧水および低圧水の圧力によって変化する。上記高圧水および低圧水の圧力条件においては、10〜60mmがスタンドオフ距離の適正値である。スタンドオフ距離を前記範囲とすることにより、被処理部材表面においてキャビテーションを効果的に崩壊させることができ、圧縮残留応力を付与するとともに表面を平滑化することができる。なお、スタンドオフ距離を25〜35mmとすることがより好ましい。
鋼部材表面に対して気中CSPを施すことにより、表面の粗さを低く保ちつつ、圧縮残留応力を導入でき、鋼部材の耐遅れ破壊特性を向上させることができる。ここで、気中CSP処理が施された鋼部材表面の表面粗さRtは5.00μmを超えると、耐遅れ破壊特性が向上しない。よって、気中CSP処理が施された鋼部材表面の表面粗さRtは5.00μm以下とする。
・ 試験片の作成
表1に示す化学組成を有するSCM435H鋼を真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(150kg)を得た。次に、得られた鋼塊に対して1200℃で60分間の均熱処理を施した後、150mm角に鍛伸した。さらに、得られた鍛片をダミービレットに溶接し、1100℃の加熱均熱後、圧延して直径75mmの棒鋼を製造した。得られた圧延棒鋼を、860℃で1hr保持し、60℃の油に焼入れした後、350℃で2hr保持し、引張強さ1600MPaの焼入れ−焼戻し材とした。
上述のようにして得た棒鋼から冷間鍛造用試験片を採取して、冷間鍛造性試験を行った。試験片は、直径8mm、高さ12mmの円柱状で、棒鋼の1/4D(Dは棒鋼の直径)となる位置から、圧延方向に平行に採取した。
次に、上記圧延棒鋼を860℃で1hr保持し、60℃の油に焼入れした後、350℃で2hr保持し、焼入れ−焼戻し材とした。前記焼入れ−焼戻し材の、1/4Dとなる位置から、圧延方向に平行に、試験片を採取した。試験片の形状と寸法は、図3に示した通りである。試験片の平行部表面は研削仕上げとした。
上記試験片に対して、図1、2の装置を用いて、表3−1および表3−2に示す条件で、気中CSPを行った。ノズルは同心円状の2重ノズルとした。気中CSPを施すにあたっての試験片への水噴流の噴射位置、2重ノズルの走査方法は、上述のSCM435Hを用いた実験の場合と同様である。また、一部の試料については、比較のために、図6、7の装置を用いた水中CSP処理を施した。水中CSPを施すにあたっての試験片への水噴流の噴射位置、ノズルの走査方法は、上述のSCM435Hを用いた実験の場合と同様である。
・ 引張強さσB
引張強さσBは、インストロン社製5985を使用して測定した。引張速度は、5mm/minとした。
表面粗さ(粗さ曲線の最大断面高さ)Rtは、ACCRETECH社製SRRFCOM2000SD3を使用して、JIS B 0601に準拠して、試験片の幅方向に、基準長さ1mmとして測定した。
耐遅れ破壊特性の指標として、定荷重遅れ破壊試験において100時間経過しても破断しない最大の応力(下限界応力)を測定した。試験は、塩酸と酢酸ナトリウムの水溶液であるpH1の緩衝溶液を試験液として用い、溶液温度25℃、試験時間100hrの条件で実施した。
2 :水槽
3 :2重ノズル
3a:外ノズル
3b:内ノズル
4 :貯水槽
5 :ポンプ
6 :ポンプ
7 :圧力計
8 :圧力計
1′:被処理材
2′:水槽
3′:ノズル
4′:貯水槽
5′:ポンプ
6′:ポンプ
7′:圧力計
Claims (6)
- 鋼部材に対して、
850℃以上の温度での焼入れ処理と、
400℃以下の温度での焼戻し処理と、
ピーニング処理とを施す機械構造用鋼部材の製造方法であって、
前記鋼部材が、
質量%で、
C :0.25%以上、0.70%以下、
Si:0.05%以上、2.00%以下、
Mn:0.10%以上、1.00%以下、
P :0.030%以下、
S :0.030%以下、
Cr:2.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Al:0.005%以上、0.050%以下、および
N :0.001%以上、0.050%以下、を含有し
残部Feおよび不可避不純物からなり、
前記焼戻し処理後の鋼部材が、焼戻しマルテンサイト組織を有し、かつ、引張強さ1200MPa以上であり、
前記ピーニングが、外ノズルおよび内ノズルを備える2重ノズルを用いて、下記の条件で、大気中において前記鋼部材の表面へ水を噴射することによって行われる気中キャビテーション・ショットレス・ピーニングであり、
該気中キャビテーション・ショットレス・ピーニングを施した鋼部材表面の表面粗さRtが5.00μm以下であることを特徴とする、機械構造用鋼部材の製造方法。
記
前記内ノズルの内径r1:0.5〜2mm
前記内ノズルから噴射される水の圧力p1:8〜40MPa
前記外ノズルの内径r2:10〜30mm
前記外ノズルから噴射される水の圧力p2:0.03〜0.5MPa
前記2重ノズルの先端と前記鋼部材表面の間の距離d:10〜60mm - 前記鋼部材が、更に、質量%で、
Nb:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、
V :0.5%以下、
Zr:0.5%以下、および
W :0.5%以下のうちから選択される一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の機械構造用鋼部材の製造方法。 - 前記鋼部材が、更に、質量%で、
Ni:2.0%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械構造用鋼部材の製造方法。 - 前記鋼部材が、更に、質量%で、
B :0.0030%以下を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機械構造用鋼部材の製造方法. - 前記鋼部材が、更に、質量%で、
Ca:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機械構造用鋼部材の製造方法。 - 前記鋼部材が、更に、質量%で、
Pb:0.1%以下および
Bi:0.1%以下のうちから選択される一種または二種を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の機械構造用鋼部材の製造方法。
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