JP6241368B2 - 車両用補機の駆動装置 - Google Patents
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Description
この車両用補機の駆動装置において、ローラと、アイドラローラと、ローラ対選択機構と、モータ駆動機構と、モータ制御手段と、を有する。
前記ローラは、中心軸線の位置に配置した中心回転軸の円周上の位置に周方向隙間を形成して複数配置し、前記第1駆動源に有する回転軸と、前記モータに有する回転軸と、前記補機に有する回転軸と、のそれぞれに連結する。
前記アイドラローラは、前記周方向隙間に径方向移動可能に配置した。
前記ローラ対選択機構は、前記中心回転軸による回転運動を前記アイドラローラの径方向移動に変換するカム機構により、前記複数のローラの中から前記アイドラローラを介在させて動力を伝達するローラ対を選択する。
前記モータ駆動機構は、前記モータの回転軸から前記中心回転軸へ前記モータの回転駆動を伝達すると共に、該モータの回転軸と該モータの回転軸に連結される第1伝達部材との間に介装されるワンウェイクラッチを有する。
前記モータ制御手段は、前記モータから前記補機へ回転駆動を伝達するとき、前記ワンウェイクラッチが空転する空転方向へ前記モータを回転させ、前記モータから前記中心回転軸へ回転駆動を伝達するとき、前記ワンウェイクラッチが係合する係合方向へ前記モータを回転させる。
すなわち、ワンウェイクラッチが空転することで、モータと補機の間で駆動伝達パターンを形成すると、モータの回転駆動により補機が駆動される。
一方、ワンウェイクラッチが係合することで、モータの回転駆動が、モータ駆動機構を介してモータの回転軸から中心回転軸へ伝達されて、中心回転軸が回転する。このとき、カム機構によって、アイドラローラを径方向に移動させることで、複数のローラの中からアイドラローラを介在させて動力を伝達するローラ対が選択される。つまり、モータの回転駆動を用いたカム機構によって、複数の駆動伝達パターンの切り替え選択が行われる。このため、ワンウェイクラッチを有するモータ駆動機構により、中心回転軸を回転させるためのアクチュエータが不要となる。
この結果、アクチュエータを不要としながら、複数の駆動伝達パターンの切り替え選択を行うことができる。
実施例1における車両用補機の駆動装置の構成を、[全体システム構成]、[モータ駆動機構とローラ対選択構成]に分けて説明する。
図1は、実施例1の車両用補機の駆動装置を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
これらのローラ4,5,6は、図1に示すように、直径を同一径とし、円環状のキャリアケース14に対し回転可能に両端支持されている。そして、ローラ対選択機構10に設けられたセレクター軸15(中心回転軸)を中心軸線Oとする円周上に、等間隔(120°間隔)で配置されている。各ローラ4,5,6のうち、隣接する2つのローラ間に形成される周方向隙間は、アイドラローラ7,8,9の直径よりも少し小さい寸法としている。
これらのアイドラローラ7,8,9は、図1に示すように、直径を同一径とし、周方向隙間のそれぞれにおいて、キャリアケース14に開口した第1長穴14a,第2長穴14b,第3長穴14cに沿って径方向移動可能に配置されている。
図2は、実施例1の車両用補機の駆動装置においてローラ対選択機構の凸カムによるローラ対の選択切り替えを示し、図3は、凹カムによるローラ対の選択切り替えを示す。なお、図2では、モータ駆動機構16を説明するために、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5とを離して配置していると共に、コンプレッサローラ6の図示を省略している。図3では、同様に、モータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6とを離して配置している。以下、図1〜図3に基づき、モータ駆動機構16とローラ対選択構成を説明する。
ここで、モータ/ジェネレータ2の回転方向や回転数の制御は、図2と図3に示すように、モータコントローラ100(モータ制御手段)により行われる。
(a) 第1駆動伝達モード(図4と図5)
エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に対して第1アイドラローラ7を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
(b) 第2駆動伝達モード(図6)
エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に対して第1アイドラローラ7を接触させると共に、エンジンローラ4とコンプレッサローラ6に対して第2アイドラローラ8を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
(c) 第3駆動伝達モード(図7)
エンジンローラ4とコンプレッサローラ6に対して第2アイドラローラ8を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
(d) 第4駆動伝達モード(図8)
モータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6に対して第3アイドラローラ9を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
実施例1の車両用補機の駆動装置における作用を、[モータ/ジェネレータの回転駆動作用]、[第1駆動伝達モード作用]、[第2駆動伝達モード作用]、[第3駆動伝達モード作用]、[第4駆動伝達モード作用]に分けて説明する。
モータ/ジェネレータ2を右方向(空転方向)に回転させると、ワンウェイクラッチ16dは空転(解放)する。このとき、モータ/ジェネレータ2の回転駆動が、モータ/ジェネレータローラ5へ伝達される(図8)。なお、ワンウェイクラッチ16dが空転しているので、モータ/ジェネレータ2の回転駆動は、セレクター軸15へ伝達されない(図2、図3)。
すなわち、ワンウェイクラッチ16dが空転することで、モータ/ジェネレータ2とコンプレッサ3の間で駆動伝達パターンを形成すると、モータ/ジェネレータ2の回転駆動によりコンプレッサ3が駆動される(図8)。
一方、ワンウェイクラッチ16dが係合することで、モータ/ジェネレータ2の回転駆動が、モータ駆動機構16を介してモータ軸12からセレクター軸15へ伝達されて、セレクター軸15が回転する。このとき、セレクター軸15による回転運動をアイドラローラ(第1アイドラローラ7,第2アイドラローラ8,第3アイドラローラ9)の径方向移動に変換するカム機構(凸カム17,凹カム18)によって、アイドラローラ7,8,9を径方向に移動させることで、複数のローラ(エンジンローラ4、モータ/ジェネレータローラ5、コンプレッサローラ6)の中からアイドラローラ7,8,9を介在させて動力を伝達するローラ対が選択される。つまり、モータ/ジェネレータ2の回転駆動を用いたカム機構17,18によって、複数の駆動伝達パターンの切り替え選択が行われる(図4〜図8)。このため、ワンウェイクラッチ16dを有するモータ駆動機構16により、セレクター軸15を回転させるためのアクチュエータが不要となる。
この結果、アクチュエータを不要としながら、複数の駆動伝達パターンの切り替え選択を行うことができる。
ここで、コンプレッサ3の駆動方向は一方向であるため、上記のようなモータ/ジェネレータ2の回転方向の違いによる上記動作が成立する。
加えて、アクチュエータが不要となるため、コストを低減することができる。
さらに、中心軸線Oとする円形領域内に各ローラ4,5,6及びアイドラローラ7,8,9がコンパクトに配置される。
ハイブリッド車の場合、エンジン1とモータ/ジェネレータ2を共に駆動するHEV走行モード、モータ/ジェネレータ2のみを駆動するEV走行モードがある。そして、EV走行モードからHEV走行モードへモード遷移する場合、モータ/ジェネレータ2をスタータモータとしてエンジン1を始動することがあるし、また、HEV走行モードでは、エンジン1の駆動力の一部を用いてモータ/ジェネレータ2により発電することがある。さらに、選択されている走行モードに応じ、コンプレッサ3の駆動源を選択する必要がある。
これに対し、実施例1では、動力を伝達するローラ対の選択機能を、補機の駆動源選択機能としてだけでなく、2つの駆動源間の動力伝達を断接するクラッチ機能として用いることで、ハイブリッド車において要求される様々な駆動伝達パターンの形成機能に応えられる。
この構成により、セレクター軸15による回転角位置を制御し、凸カム17及び凹カム18により各アイドラローラ7,8,9の径方向規定位置を変更するだけで、4つの駆動伝達モードに切り替えられる。
エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に対して第1アイドラローラ7を接触させた駆動伝達パターンによる第1駆動伝達モードでは、図4に示すエンジン始動パターンと、図5に示すエンジン発電パターンと、が実現される。以下、2つのパターンについて説明する。
エンジン始動パターンでは、
駆動源:モータ/ジェネレータ2
被駆動:エンジン1
となる。
このエンジン始動パターンは、モータ/ジェネレータ2の回転駆動によりセレクター軸15を、図4に示すように、第1アイドラローラ7が、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に接触する位置に回転させる。このとき、第2アイドラローラ8及び第3アイドラローラ9は、ローラ非接触位置にある。
このため、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5と第1アイドラローラ7が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ4,5,7間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、モータ/ジェネレータ2→モータ軸12→モータ/ジェネレータローラ5→第1アイドラローラ7→エンジンローラ4→クランク軸11→エンジン1へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、モータ/ジェネレータ2を駆動源として、クランク軸11を回転させることで、エンジン1の始動を行うことができる。
エンジン発電パターンでは、
駆動源:エンジン1
被駆動:モータ/ジェネレータ2
となる。
エンジン発電パターンは、エンジン始動パターンと同様に、モータ/ジェネレータ2の回転駆動によりセレクター軸15を、図5に示すように、第1アイドラローラ7が、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に接触する位置に回転させる。このとき、第2アイドラローラ8及び第3アイドラローラ9は、ローラ非接触位置にある。
このため、エンジン始動パターンと同様に、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5と第1アイドラローラ7が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ4,5,7間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、エンジン1→クランク軸11→エンジンローラ4→第1アイドラローラ7→モータ/ジェネレータローラ5→モータ軸12→モータ/ジェネレータ2へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、エンジン1を駆動源として、モータ軸12を回転させることで、モータ/ジェネレータ2により発電を行うことができる。
エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5に対して第1アイドラローラ7を接触させると共に、エンジンローラ4とコンプレッサローラ6に対して第2アイドラローラ8を接触させた駆動伝達パターンによる第2駆動伝達モードでは、図6に示すエンジン1による発電&エアコン駆動パターンが実現される。
エンジン1による発電&エアコン駆動パターンでは、
駆動源:エンジン1
被駆動:モータ/ジェネレータ2及びコンプレッサ3
である。
このため、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6と第1アイドラローラ7と第2アイドラローラ8が、駆動伝達に関与するローラになり、5つのローラ4,5,6,7,8間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、エンジン1→クランク軸11→エンジンローラ4→第1アイドラローラ7→モータ/ジェネレータローラ5→モータ軸12→モータ/ジェネレータ2へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。加えて、エンジン1→クランク軸11→エンジンローラ4→第2アイドラローラ8→コンプレッサローラ6→コンプレッサ軸13→コンプレッサ3へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、エンジン1を駆動源として、モータ軸12を回転させることで、モータ/ジェネレータ2により発電を行うことができると共に、コンプレッサ軸13を回転させることで、エアコンのコンプレッサ駆動ができる。
エンジンローラ4とコンプレッサローラ6に対して第2アイドラローラ8を接触させた駆動伝達パターンによる第3駆動伝達モードでは、図7に示すエンジンエアコン駆動パターンが実現される。
このエンジンエアコン駆動パターンでは、
駆動源:エンジン1
被駆動:コンプレッサ3
である。
このため、エンジンローラ4とコンプレッサローラ6と第2アイドラローラ8が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ4,6,8間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、エンジン1→クランク軸11→エンジンローラ4→第2アイドラローラ8→コンプレッサローラ6→コンプレッサ軸13→コンプレッサ3へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、エンジン1を駆動源として、コンプレッサ軸13を回転させることで、エアコンのコンプレッサ駆動ができる。
モータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6に対して第3アイドラローラ9を接触させた駆動伝達パターンによる第4駆動伝達モードでは、図8に示すモータエアコン駆動パターンが実現される。
このモータエアコン駆動パターンでは、
駆動源:モータ/ジェネレータ2
被駆動:コンプレッサ3
である。
このため、モータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6と第3アイドラローラ9が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ5,6,9間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、モータ/ジェネレータ2→モータ軸12→モータ/ジェネレータローラ5→第3アイドラローラ9→コンプレッサローラ6→コンプレッサ軸13→コンプレッサ3へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、モータ/ジェネレータ2を駆動源として、コンプレッサ軸13を回転させることで、エアコンのコンプレッサ駆動ができる。
実施例1の車両用補機の駆動装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
中心軸線Oの位置に配置した中心回転軸(セレクター軸15)の円周上の位置に周方向隙間を形成して複数配置し、第1駆動源(エンジン1)に有する回転軸(クランク軸11)と、モータ(モータ/ジェネレータ2)に有する回転軸(モータ軸12)と、補機(コンプレッサ3)に有する回転軸(コンプレッサ軸13)と、のそれぞれに連結するローラ(エンジンローラ4,モータ/ジェネレータローラ5,コンプレッサローラ6)と、
周方向隙間に径方向移動可能に配置したアイドラローラ(第1アイドラローラ7,第2アイドラローラ8,第3アイドラローラ9)と、
中心回転軸(セレクター軸15)による回転運動をアイドラローラ(第1アイドラローラ7,第2アイドラローラ8,第3アイドラローラ9)の径方向移動に変換するカム機構(凸カム17,凹カム18)により、複数のローラ(エンジンローラ4,モータ/ジェネレータローラ5,コンプレッサローラ6)の中からアイドラローラ(第1アイドラローラ7,第2アイドラローラ8,第3アイドラローラ9)を介在させて動力を伝達するローラ対を選択するローラ対選択機構10と、
モータ(モータ/ジェネレータ2)の回転軸(モータ軸12)から中心回転軸(セレクター軸15)へモータ(モータ/ジェネレータ2)の回転駆動を伝達すると共に、モータ(モータ/ジェネレータ2)の回転軸(モータ軸12)とモータ(モータ/ジェネレータ2)の回転軸(モータ軸12)に連結される第1伝達部材(第1スプロケット部材16a)との間に介装されるワンウェイクラッチ16dを有するモータ駆動機構16と、
モータ(モータ/ジェネレータ2)から補機(コンプレッサ3)へ回転駆動を伝達するとき、ワンウェイクラッチ16dが空転する空転方向へモータ(モータ/ジェネレータ2)を回転させ、モータ(モータ/ジェネレータ2)から中心回転軸(セレクター軸15)へ回転駆動を伝達するとき、ワンウェイクラッチ16dが係合する係合方向へモータ(モータ/ジェネレータ2)を回転させるモータ制御手段(モータコントローラ100)と、
を有する(図1〜図3)。
このためアクチュエータを不要としながら、複数の駆動伝達パターンの切り替え選択を行うことができる。
第2駆動源は、モータ/ジェネレータ2であり、
補機は、エンジン1又はモータ/ジェネレータ2により駆動されるハイブリッド車のコンプレッサ3である(図1)。
このため、(1)の効果に加え、動力を伝達するローラ対の選択機能を、コンプレッサ3の駆動源選択機能としてだけでなく、エンジン1とモータ/ジェネレータ2間の動力伝達を断接するクラッチ機能として用いることで、ハイブリッド車において要求される様々な駆動伝達パターンの形成機能に応えることができる。
アイドラローラは、エンジンローラ4とモータ/ジェネレータローラ5の間に配置された第1アイドラローラ7と、エンジンローラ4とコンプレッサローラ6の間に配置された第2アイドラローラ8と、モータ/ジェネレータローラ5とコンプレッサローラ6の間に配置された第3アイドラローラ9であり、
ローラ対選択機構10は、中心回転軸(セレクター軸15)による回転運動を第1アイドラローラ7及び第2アイドラローラ8の径方向移動に変換する凸カム17と、中心回転軸(セレクター軸15)による回転運動を第3アイドラローラ9の径方向移動に変換する凹カム18と、を有する(図1〜図3)。
このため、(2)の効果に加え、セレクター軸15による回転角位置を制御し、凸カム17及び凹カム18により各アイドラローラ7,8,9の径方向規定位置を変更するだけで、4つの駆動伝達モードに切り替えることができる。
このため、(3)の効果に加え、第1駆動伝達モードを選択することで、モータ/ジェネレータ2によるエンジン始動を行うことができると共に、エンジン1による発電を行うことができる。
このため、(3)又は(4)の効果に加え、第2駆動伝達モードを選択することで、エンジン1により発電とエアコン駆動を同時に行うことができる。
このため、(3)〜(5)の効果に加え、第3駆動伝達モードを選択することで、エンジン1によるエアコン駆動を行うことができる。
このため、(3)〜(6)の効果に加え、第4駆動伝達モードを選択することで、モータ/ジェネレータ2によるエアコン駆動を行うことができる。
実施例2における車両用補機の駆動装置の構成を、[全体システム構成]、[モータ駆動機構]に分けて説明する。
実施例2の車両用補機の駆動装置は、電気自動車に適用され、図9に示すように、メインモータ21(第1駆動源)と、サブモータ22(第2駆動源)と、コンプレッサ23(補機)と、が搭載されている。そして、駆動伝達要素であるローラとして、メインモータローラ24と、サブモータローラ25と、コンプレッサローラ26と、を備える。駆動伝達パターンを選択するアイドラローラとして、第1アイドラローラ28と、第2アイドラローラ29と、を備える。さらに、駆動伝達パターンを選択するとき、アイドラローラ28,29を径方向に移動させるローラ対選択機構210と、を備えている。
これらのローラ24,25,26は、図9に示すように、直径を同一径とし、円環状のキャリアケース214に対し回転可能に両端支持されている。そして、ローラ対選択機構210に設けられたセレクター軸215(中心回転軸)を中心軸線Oとする円周上に、等間隔(120°間隔)で配置されている。各ローラ24,25,26のうち、隣接する2つのローラ間に形成される周方向隙間は、アイドラローラ28,29の直径よりも少し小さい寸法としている。
これらのアイドラローラ28,29は、図9に示すように、直径を同一径とし、周方向隙間のそれぞれにおいて、キャリアケース214に開口した第1長穴214b,第2長穴214bに沿って径方向移動可能に配置されている。
(a) 第1駆動伝達モード(図9)
メインモータローラ24とコンプレッサローラ26に対して第1アイドラローラ28を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
(b) 第2駆動伝達モード(図11)
サブモータローラ25とコンプレッサローラ26に対して第2アイドラローラ29を接触させた駆動伝達パターンによるモードをいう。
実施例2において、モータ駆動機構216は、サブモータ22のモータ軸212(回転軸)からセレクター軸215へサブモータ22の回転駆動を伝達する機構である。このモータ駆動機構216は、第1スプロケット216a(第1伝達部材)と、第2スプロケット216b(第2伝達部材)と、チェーンベルト216c(回転駆動伝達部材)と、ワンウェイクラッチ216dと、を備えている。
ここで、サブモータ22の回転方向や回転数の制御は、図10に示すように、サブモータコントローラ200(モータ制御手段)により行われる。
実施例2の車両用補機の駆動装置における作用を、[第1駆動伝達モード作用]、[第2駆動伝達モード作用]に分けて説明する。
メインモータローラ24とコンプレッサローラ26に対して第1アイドラローラ28を接触させた駆動伝達パターンによる第1駆動伝達モードでは、図9に示すメインモータエアコン駆動パターンが実現される。
このメインモータエアコン駆動パターンでは、
駆動源:メインモータ21
被駆動:コンプレッサ23
である。
このため、メインモータローラ24とコンプレッサローラ26と第1アイドラローラ28が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ24,26,28間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、メインモータ21→モータ軸211→メインモータローラ24→第1アイドラローラ28→コンプレッサローラ26→コンプレッサ軸213→コンプレッサ23へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、メインモータ21を駆動源として、コンプレッサ軸213を回転させることで、エアコンのコンプレッサ駆動ができる。
サブモータローラ25とコンプレッサローラ26に対して第2アイドラローラ29を接触させた駆動伝達パターンによる第2駆動伝達モードでは、図11に示すサブモータエアコン駆動パターンが実現される。
このサブモータエアコン駆動パターンでは、
駆動源:サブモータ22
被駆動:コンプレッサ23
である。
このため、サブモータローラ25とコンプレッサローラ26と第2アイドラローラ29が、駆動伝達に関与するローラになり、3つのローラ25,26,29間での駆動伝達パターンが得られる。
したがって、サブモータ22→モータ軸212→サブモータローラ25→第2アイドラローラ29→コンプレッサローラ26→コンプレッサ軸213→コンプレッサ23へと流れるトルクフローによる駆動伝達パターンが形成される。この結果、サブモータ22を駆動源として、コンプレッサ軸213を回転させることで、エアコンのコンプレッサ駆動ができる。
実施例2の車両用補機の駆動装置にあっては、下記の効果を得ることができる。
第2駆動源は、サブモータ22であり、
補機は、メインモータ21又はサブモータ22により駆動される電気自動車のコンプレッサ23である(図9及び図11)。
このため、実施例1の(1)の効果に加え、動力を伝達するローラ対の選択機能を、コンプレッサ23の駆動源選択機能として用いることで、電気自動車においてバッテリ状態や走行状況等に応じ、より効率の良い駆動源(メインモータ21又はサブモータ22)を選択することで、電力消費を抑制し、走行距離の延長を図ることができる。
要するに、ワンウェイクラッチ16d,216dが係合するとき、第1伝達部材と第2伝達部材と回転駆動伝達部材により、第2駆動源としてのモータ/ジェネレータ2又はサブモータ22の回転駆動をセレクター軸15,215へ伝達することができれば良い。
2 モータ/ジェネレータ(第2駆動源、モータ)
3 コンプレッサ(補機)
4 エンジンローラ(ローラ)
5 モータ/ジェネレータローラ(ローラ)
6 コンプレッサローラ(ローラ)
7 第1アイドラローラ(アイドラローラ)
8 第2アイドラローラ(アイドラローラ)
9 第3アイドラローラ(アイドラローラ)
10 ローラ対選択機構
11 クランク軸(回転軸)
12 モータ軸(回転軸)
13 コンプレッサ軸(回転軸)
14 ステータケース
15 セレクター軸(中心回転軸)
16 モータ駆動機構
16a 第1スプロケット(第1伝達部材)
16d ワンウェイクラッチ
17 凸カム(カム機構)
18 凹カム(カム機構)
21 メインモータ(第1駆動源)
22 サブモータ(第2駆動源、モータ)
23 コンプレッサ(補機)
100 モータコントローラ(モータ制御手段)
Claims (8)
- 第1駆動源と前記第1駆動源とは別の第2駆動源としてのモータのうち、どちらかの駆動源により駆動される少なくとも一つの補機を備えた車両用補機の駆動装置において、
中心軸線の位置に配置した中心回転軸の円周上の位置に周方向隙間を形成して複数配置し、前記第1駆動源に有する回転軸と、前記モータに有する回転軸と、前記補機に有する回転軸と、のそれぞれに連結するローラと、
前記周方向隙間に径方向移動可能に配置したアイドラローラと、
前記中心回転軸による回転運動を前記アイドラローラの径方向移動に変換するカム機構により、前記複数のローラの中から前記アイドラローラを介在させて動力を伝達するローラ対を選択するローラ対選択機構と、
前記モータの回転軸から前記中心回転軸へ前記モータの回転駆動を伝達すると共に、該モータの回転軸と該モータの回転軸に連結される第1伝達部材との間に介装されるワンウェイクラッチを有するモータ駆動機構と、
前記モータから前記補機へ回転駆動を伝達するとき、前記ワンウェイクラッチが空転する空転方向へ前記モータを回転させ、前記モータから前記中心回転軸へ回転駆動を伝達するとき、前記ワンウェイクラッチが係合する係合方向へ前記モータを回転させるモータ制御手段と、
を有することを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項1に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記第1駆動源は、エンジンであり、
前記第2駆動源は、モータ/ジェネレータであり、
前記補機は、前記エンジン又は前記モータ/ジェネレータにより駆動されるハイブリッド車のコンプレッサである
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項2に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記ローラは、前記エンジンの回転軸に連結されたエンジンローラと、前記モータ/ジェネレータの回転軸に連結されたモータ/ジェネレータローラと、前記コンプレッサの回転軸に連結されたコンプレッサローラであり、
前記アイドラローラは、前記エンジンローラと前記モータ/ジェネレータローラの間に配置された第1アイドラローラと、前記エンジンローラと前記コンプレッサローラの間に配置された第2アイドラローラと、前記モータ/ジェネレータローラと前記コンプレッサローラの間に配置された第3アイドラローラであり、
前記ローラ対選択機構は、前記中心回転軸による回転運動を前記第1アイドラローラ及び前記第2アイドラローラの径方向移動に変換する凸カムと、前記中心回転軸による回転運動を前記第3アイドラローラの径方向移動に変換する凹カムと、を有する
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項3に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記ローラ対選択機構は、前記エンジンローラと前記モータ/ジェネレータローラに対して前記第1アイドラローラを接触させた駆動伝達パターンによる第1駆動伝達モードを有する
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項3又は請求項4に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記ローラ対選択機構は、前記エンジンローラと前記モータ/ジェネレータローラに対して前記第1アイドラローラを接触させると共に、前記エンジンローラと前記コンプレッサローラに対して前記第2アイドラローラを接触させた駆動伝達パターンによる第2駆動伝達モードを有する
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項3から請求項5までの何れか1項に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記ローラ対選択機構は、前記エンジンローラと前記コンプレッサローラに対して前記第2アイドラローラを接触させた駆動伝達パターンによる第3駆動伝達モードを有する
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項3から請求項6までの何れか1項に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記ローラ対選択機構は、前記モータ/ジェネレータローラと前記コンプレッサローラに対して前記第3アイドラローラを接触させた駆動伝達パターンによる第4駆動伝達モードを有する
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。 - 請求項1に記載された車両用補機の駆動装置において、
前記第1駆動源は、メインモータであり、
前記第2駆動源は、サブモータであり、
前記補機は、前記メインモータ又は前記サブモータにより駆動される電気自動車のコンプレッサである
ことを特徴とする車両用補機の駆動装置。
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