JP6237350B2 - 光触媒ガラス、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光触媒ガラス、及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、可視光で十分な光触媒活性を示すに関するものである。
1972年にアナターゼ型の二酸化チタン電極が紫外光で、水を水素と酸素に分解する活性が発見され(非特許文献1)、二酸化チタンの半導体が有する光触媒活性を用い効率的に光エネルギーを化学エネルギーに変換させることを最終目的する研究が幅広くなされている。
しかしながら、アナターゼ型二酸化チタンの半導体の光触媒は、3.2eVという比較的大きなバンドギャップがあり、それは388nm以下の波長に相当するものである。端的にいえば、二酸化チタンを用いた光触媒の場合、その光触媒活性には紫外光が必要であり、地表に到達する全太陽光エネルギー中の3〜4%である紫外光しか利用することができない。
このため、この数十年の間に、太陽光エネルギーの利用効率を高くするため、可視光で触媒活性を有する光触媒の開発が行われ、アナターゼ型二酸化チタンを主成分とする光触媒が多数開発されている(例えば、非特許文献2〜7)。また、少数ではあるが、アナターゼ型二酸化チタンを含まない触媒も開発されている。
たとえば、特許文献1には、光触媒反応ユニットに使用されるシリカガラスであって、光触媒の反応効率を向上させるために、250nm程度以下の光を約250nm〜450nm程度の長波長側へ効率よく波長変換することができ、それとともに、長時間紫外線を照射しても性能が低下しにくい、耐紫外線性等に優れた特性を兼ね備えた光触媒用シリカガラスとして、シリカガラスにおいて、少なくとも、前記シリカガラスは、OH基含有量が10wt.ppm以下であり、厚さ10mmの波長245nmでの直線透過率が90.0%〜30.0%の範囲であり、塩素及びフッ素の合計含有量が100wt.ppm以下であることを特徴とする光触媒用シリカガラスが提案されている。
本願発明者らは、近年、地方自治体のゴミ焼却施設から排出されるリサイクル焼却灰から調製した鉄含有ソーダ石灰シリカガラスが、模擬排水の化学的要求酸素量(COD)を減少させ、そしてその水浄化活性とメスバウアースペクトル分析により示される局所構造とには相関があることを報告している。(非特許文献8、9)この結果は、鉄含有ソーダ石灰シリカガラスが、水質汚染浄化に有用な光触媒として作用することを示唆するものである。
また、本願発明者らは、可視光で光触媒活性を示すガラスとして、鉄含有シリカガラスを提案している(非特許文献10)。
特開2009−154090号公報
Fujishima A, and Honda K, (1972). Electrochemical photolysis of water at a semiconductor electrode. Nature 238, 37-38. H. Ozaki, et al, (2007) Marked Promotive Effect of Ion on Visible-Light-Induced Photocatalytic Activities of Nitrogen-and Silicon-Codoped Titanias, J. Phys. Chem. C, 11117061. Wang Z, et al., (2005), Visible-light-activated nanoparticle photocatalyst of iodine-doped titanium dioxide, Chem Mater l7(6), 1548-1552 Khan S U M, et al, (2002), Efficient Photochemical Water Splitting by a Chemically Modified n-TiO2, Science, 297, (5590), 2243-2245 Yanfang S, et al, (2009), Phosphorous, nitrogen and molybdenum ternary co-doped TiO2: preparation and photocatalytic activities under visible light, Journal of Sol-Gel Science and Technology, 50(1), 98-102 Zhang D, et al., (2011), Graphite-like carbon deposited anatase TiO2 single crystals as efficient visible-light photocatalysts., Journal of Sol-Gel Science and Technology., 58(3), 594-601 Smirnova N, et al., (2001), Synthesis and Characterization of Photocatalytic Porous Fe3+/TiO2 Layers on Glass., Journal of Sol-Gel Science and Technology., 21, 109-113 Kubuki S, et al, (2012), 57Fe Mossbauer study of iron-containing soda-lime silicate glass with COD reducing ability., American Institute of Physics Conference Proceeding Series., 1489, 41-46 Kubuki S, et al, (2012), Water Cleaning Ability and Local Structure of Iron Containing Soda-lime Silicate glass, Hyperfine Interact, 218, 41-45 Takahashi Y, et al., (2013), Visible Light Activated Photo-Catalytic Effect and Local Structure of Iron Silicate Glass Prepared by Sol-Gel Method, Hyperfine Interact, DOI: 10.1007/s10751-013-0928-0.
しかしながら、上述の特許文献1及び非特許文献8〜10の提案に係る光触媒は、未だ、可視光領域における光触媒活性が不十分であるという問題がある。
また、アナターゼ型二酸化チタンを含む光触媒(非特許文献2〜7)は、可視光領域における光触媒活性が不十分である問題に加え、レアメタルであるチタンを用いているため、コストが高いという問題がある。
要するに、従来提案されている光触媒ガラスは、高価なレアメタルを用いなくては十分な光触媒活性が得られていないのが現状であり、レアメタル等の高価な材料を用いずに十分な光触媒活性の得られる光触媒ガラスの開発が要望されている。
このため、レアメタルを使用せず、可視光で十分な光触媒活性を示す光触媒ガラスの開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、レアメタルを使用せず、可視光で十分な光触媒活性を示す光触媒ガラスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、特定の化学状態の鉄イオンを含有するガラスが可視光で高い光触媒活性を示すことを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.鉄供給源とガラス形成材料とを用いて形成された、常磁性の鉄イオンを含有する鉄含有ガラスからなることを特徴とする光触媒ガラス。
2.上記鉄イオンが3価の鉄イオンであることを特徴とする1記載の光触媒ガラス。
3.上記鉄含有ガラスに含まれる鉄成分をFe成分として含有量を換算した場合に、その含有量がガラス全体中35〜70重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒ガラス。
4.上記鉄含有ガラスが常磁性の鉄イオンを含む化合物としてヘマタイトまたはマグネタイトを含有することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の光触媒ガラス
5.1記載の光触媒ガラスの製造方法であって、
上記鉄供給源を用いてゾルゲル法によりガラス化するガラス化工程を行うことを特徴とする光触媒ガラスの製造方法。
本発明の光触媒ガラスは、レアメタルを使用せず、可視光で十分な光触媒活性を示す光触媒であり、低コストで製造できるものである。
また、本発明の製造方法は、ゾルゲル法で行うため、高温で加熱する工程がなく、簡便で容易に光触媒活性にすぐれる本発明の光触媒ガラスの製造を可能にするものである。また、溶融法において溶融温度を低下させるために添加する必要があり、光触媒作用を低下させる恐れがある炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムを加えなくても製造ができるため、より光触媒活性が高い本発明の光触媒ガラスを製造することを可能にするものである。
図1は、実験例1の熱重量測定・示差熱分析(TG−DTA)の結果を示すチャートである。 図2は、実験例2の(A)は、FT−IR分析の結果を示すチャートであり、(A)はアニーリング処理前ガラス、(B)は、アニーリング処理後のガラスの結果である。 図3は、実験例3のメスバウアースペクトルの結果を示すチャートである。 図4は、実験例4のX線回折(XRD)パターンを示すチャートである。 図5は、実験例5の走査電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。 図6は、実験例6の浸漬処理120分におけるメチレンブルー溶液の吸光スペクトルの結果を示すチャートである。 図7は、実験例6のメチレンブルー溶液濃度の経時変化を示すグラフである。 図8は、実験例7のメスバウアースペクトルの結果を示すチャートである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<全体構成>
本発明の光触媒ガラスは、鉄供給源と、ガラス形成材料とを用いて形成された、常磁性の鉄イオンを含有する鉄含有ガラスからなる。
なお、本明細書において、光触媒ガラスとは、可視光により触媒活性を示すガラスをいう。また、ガラスには、アモルファス構造のガラスの他、結晶を含む結晶化ガラスも含まれる。
(鉄供給源)
上記鉄供給源は、鉄を含有していれば、特に限定されず、例えば、鉄、鉄イオン、鉄を含有する酸化物、鉄を含有する塩、鉄を含有する水酸化物、鉱物、岩石、結晶、鉄を含有する有機化合物などが挙げられ、これらは一種でも複数種組み合わせて用いてもよい。
上記鉄供給源の例としては、Fe、FeO(酸化鉄(II)、鉱物においてはウスタイト)、Fe(酸化鉄(III)、鉱物においては、ヘマタイト、マグヘマイト)、Fe(Fe2+Fe3+ 、酸化鉄(II、III)、鉱物においてはマグネタイト)、硝酸鉄9水和物等の鉄を含有する硝酸塩、塩化鉄などが挙げられ、中でも、硝酸鉄、Fe、Fe等が好ましく用いられる。
(ガラス形成材料)
本明細書において、上記ガラス形成材料は、鉄含有ガラスを形成するために用いられる材料であり、上記鉄供給源以外のガラス形成成分を総称するものである。
上記ガラス形成材料は、通常ガラスの形成材料として用いられるものであれば特に制限されず、代表的なものとしては、ガラスのマトリックスを形成するガラス形成成分、ガラス安定化成分、ガラス修飾成分などが挙げられる。
具体的には、ガラス形成成分としては、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、五酸化リン、酸化ゲルマニウムなどの酸化物; ケイ素やホウ素、リン、ゲルマニウムなどガラス骨格を形成する元素のアルコキシド、アセチルアセトナート、酢酸塩などの有機化合物; 鉱物; リサイクルガラス、フライアッシュ、溶融スラグなどの人工材料などが挙げられ、これらは一種でも複数種組み合わせて用いてもよい。
ガラス安定化成分としては、通常のガラスに安定化剤として添加されるものを特に制限なく用いることができ、ガラス修飾成分としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、などが挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
また、鉄含有ガラスを形成する際に使用する、上記ガラス形成材料の種類や量は、後述する鉄含有ガラスの成分や製法などにより適宜決定される。
上記ガラス形成材料において上記ガラス形成成分は主成分となる成分であり、ガラス形成材料をガラス形成成分のみで構成してもよく、ガラス安定化成分及びガラス修飾成分の配合割合も、通常これらの成分をガラス形成材料として用いる場合の配合割合を特に制限なく採用することができる。
(配合比)
本発明において光触媒ガラスを構成する鉄含有ガラスを形成する際の上記鉄供給源と上記ガラス形成材料との配合割合(ガラスを構成する各成分の使用量割合)は、両者の合計量100重量部に対して上記鉄供給源が35〜70重量部であるのが光触媒活性の点から好ましく、40〜60重量部であるのがさらに好ましい。
(鉄含有ガラス)
本発明の光触媒ガラスを構成する上記鉄含有ガラスは、上記鉄供給源と上記ガラス形成成分とを用いて形成されてなり、常磁性の鉄イオンを含有するものである。
本明細書において、「常磁性」とは、外部磁場が無いときには磁化を持たず、磁場を印加するとその方向に磁化する磁性を意味し、本明細書においては、見かけ上外部磁場が無いときには磁化を持たないように見える超常磁性を含む。
上記常磁性の鉄イオンは、常磁性(超常磁性をふくむ)のものであれば特に限定されないが、3価の鉄イオン、2価の鉄イオンなどが挙げられ、中でも、触媒活性の点で3価の鉄イオンが好ましい。これらの常磁性の鉄イオンは、ガラス中において各種鉄化合物として存在することがあり、具体的にはマグネタイト、ヘマタイト(超常磁性体)等として存在するのが好ましい。なお、ヘマタイト等の強磁性化合物の場合には超常磁性体として含有されるのでその粒子径が数ナノメートル以下であると考えられる。
本発明の光触媒ガラスを構成する上記鉄含有ガラスにおける上記鉄成分の含有量は、鉄含有ガラスに含まれる鉄成分をFe成分として含有量を換算した場合(FeとO以外の成分を含んでいたとしても、FeとOのみを算出し、算出した各元素の量をもってFeに換算する)に、当該Fe成分の含有量がガラス全体中35〜70重量%となる量であるのが触媒活性の点から好ましく、40〜60重量%であるのがさらに好ましい。
なお、本明細書において、鉄成分は、ガラスのマトリックスを形成するガラス形成成分、ガラス安定化成分、ガラス修飾成分などを含んでなる本発明の光触媒ガラスに含有される鉄の成分を意味し、本発明の光触媒ガラスにおける上記鉄成分の存在状態は、結晶構造を取っていない非晶質中の鉄イオン、鉄を含有する結晶構造を有する鉄など、特に制限されない。
ここで、本発明の光触媒ガラスは、上記鉄供給源と上記ガラス形成材料とを混合してなる混合物を、300℃以上600℃未満、さらには350〜500℃で、2〜4時間アニーリング処理してなるガラスであるのが、光触媒活性が最も高くなる点で好ましい。
上記鉄イオンの磁性、酸化数、存在量、結晶状態は、例えば、57Feメスバウアースペクトル分析により、調べることができる。例えば、鉄の酸化数については異性体シフト(アイソマーシフト)値に現れ、磁性についてはスペクトルパターンに現れる。例えば、スペクトルパターンがセクステット(6本のピーク)のパターンは強磁性やフェリ磁性、反強磁性を示し、ダブレット(2本のピーク)は常磁性または超常磁性を示すものである。
また、結晶状態については、例えば、ガラス内でこの「常磁性鉄イオン」が集合して、そのサイズが10ナノメートル以上の結晶粒子(例えば、ナノ微粒子)を形成すると、メスバウアースペクトルの線幅が0.4mms−1未満となり、セクステットが観測される。これにより、ガラス中の結晶を直接観測することができる。57Feメスバウアースペクトル分析の測定方法などの詳細については、実験例等に記載する。
上記鉄含有ガラスにおける上記鉄成分以外の成分は、特に制限されず、例えば、ガラスのマトリックス成分(ガラス形成成分)として、SiO、B、P、GeOなどを挙げることができる。また、ガラス安定化成分として通常のガラスに用いられるガラス安定化成分、ガラス修飾成分として、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaOなどを挙げることができる。これらは単独または複数種混在していてもよい。
上記鉄含有ガラスにおける鉄成分の含有量以外の成分組成は、特に制限されないが、ガラス安定化成分やガラス修飾成分が存在する場合の使用量はガラス全体中1〜30重量%であるのが好ましい。
<製造方法>
本発明の光触媒ガラスの製造方法を説明する。
本発明の光触媒ガラスの製造方法は、
上記鉄供給源を用いてゾルゲル法によりガラス化するガラス化工程を行うことにより実施することができる。
以下、詳細に説明する
(ガラス化工程)
上記ガラス化工程は、上記ガラス形成材料と上記鉄供給源とを含むゲル化溶液(ゾル)を調製し、これをゲル化させた後、乾燥させてガラスを得、これをアニーリング処理することにより実施できる。
ゲル化溶液の調製に際しては、上記ガラス形成材料として、上記ガラス形成成分にたとえばテトラエトキシシラン等のアルコキシドを用いる必要があり、さらに、溶媒としてのエタノール、メタノール、プロパノールなどのアルコール類と、アルコキシドの加水分解や重合反応の触媒としての硝酸などの酸又は塩基溶液と、を混合するのが好ましい。
上記ゲル化溶液は、アルコキシドの加水分解及び重合反応によりゲル化するので、アルコキシドを含む上記ガラスの形成材料、上記鉄供給源、上記溶媒並びに上記酸又は塩基溶液をすべて混合するのが好ましい。
ついで、上記ゲル化に続いて、得られたゲルを乾燥させてガラスを得る。
上記乾燥の条件は、特に制限されないが、室温〜80℃の温度条件で1日〜5日間乾燥させるのが好ましく、50〜80℃で3日間以上乾燥させるのがさらに好ましい。これにより、ゾルゲル法の過程で用いたエタノールなどの有機化合物を蒸発させることができ、不純物がより少なくなり、光触媒活性を高くすることができる。
そして、アニーリング処理は、アニーリング処理前ガラスを電気炉などで加熱処理を行うことにより行うことができ、これにより本発明の光触媒ガラスを得ることができる。
上記アニーリング処理における加熱温度は、特に制限されないが、300℃以上1000℃未満であるのが好ましく、300℃以上600℃未満であるのがより好ましく、350〜500℃であるのがさらに好ましい。この温度範囲でアニーリング処理することにより、常磁性の3価の鉄イオンの含有量を最大化させて、光触媒活性を高くすることができる。また、上記のアニーリング処理の温度範囲は、製造過程の水や酸等を除去することもでき好ましい。上記加熱時間は、1〜5時間とするのが好ましく、2〜4時間であるのがより好ましい。
上記アニーリング処理条件は、非特許文献10に開示されるガラスの製造条件とは異なるものである。これにより、本発明の光触媒ガラスは非特許文献10に開示されるガラスと異なる構造となり、常磁性の3価の鉄イオンを含有量が多く、光触媒活性が高いものとなる。
(その他の製法)
本発明の光触媒ガラスは、上述の本発明の製造方法以外の製造方法を用いても得ることができる。
例えば、上記ガラス化工程で用いたゾルゲル法ではなく、通常のガラスの製造に際して用いられる溶融法を用いて製造することもできる。
<用途>
本発明の光触媒は、可視光で光触媒活性を有するものであり、光触媒として各種の用途に用いることができ、例えば、汚染物質の分解などによる浄化などに用いることができる。
本発明は上述した実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
本発明の光触媒の形状は、特に制限されず、たとえば、微粒子、薄膜、ファイバー(線材)など、公知の成形方法により、さまざまな形状にすることができる。中でも、触媒活性を向上させる点から、表面積が大きい方が好ましく、微粒子、薄膜、ファイバーなどの形状が好ましい。
以下、本発明について実施例及び比較例を示してさらに具体的に説明するが本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕(光触媒ガラス(Fe:SiO=50:50(重量%))の製造)
本明細書において、「Fe:SiO=x:(100−x)(重量%)」は、ガラス構成元素(Fe、Si)を酸化物(Fe、SiO)に換算した重量の比を意味し、そのガラスをxFSガラスと表記することもある。(Fe:SiO=50:50(重量%)のガラスの場合は50FS)
本発明の光触媒ガラス(50FS)は、下記のゾルゲル法により製造した。
ガラス形成材料としてのテトラエトキシシラン(Si(OC)の液体を5.54mL、鉄供給源としての硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)の粉末7.58g、7.8Mの硝酸水溶液0.64mL、100%エタノール26.16mLをビーカーに投入し、マグネティックスターラを用いて室温で2時間の条件で十分に混合した。該混合溶液を、80℃、2時間の加熱還流でさらに撹拌した後、ガラスバイアルに注ぎ、60℃で3日間乾燥させ、暗褐色のガラス(以下、アニーリング処理前ガラスと呼ぶ。)を得た。得られたアニーリング処理前ガラスを、電気マッフル炉で400℃、3時間の条件でアニーリング処理を行い本発明の光触媒ガラス(50FS)を得た。
〔実施例2〕(光触媒ガラス:30FS)の製造)
ガラス形成材料としてのテトラエトキシシラン(Si(OC)の液体を7.76mL、鉄供給源としての硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)の粉末4.56g、に変えた以外は、実施例1と同様にして、本発明の光触媒ガラス(30FS)を得た。
〔実施例3〕(光触媒ガラス:10FS)の製造)
ガラス形成材料としてのテトラエトキシシラン(Si(OC)の液体9.97mL、鉄供給源としての硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)の粉末1.52g、に変えた以外は、実施例1と同様にして、本発明の光触媒ガラス(10FS)を得た。
〔実験例1〕熱重量測定・示差熱分析
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの熱物理特性を明らかにするために、熱重量測定(TG)・示差熱(DTA)分析(TG−DTA)を行った。
TG−DTAは、差動型示差熱天秤(形式名:TG8120、Rigaku社製)により、下記条件で行った。
条件:
昇温速度:10℃/min
ガス流量:100mL/min
標準試料:α−Al

得られた結果を図1に示す。
〔実験例2〕フーリエ変換赤外分光分析
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの詳細な分子構造を明らかにするために、
フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。
FT−IRは、フーリエ変換赤外分光光度計(商品名:Spectrum-GX、Perkin-Elmer社製)により、下記条件で行った。
条件:
測定波数:370〜4000cm−1
測定解像度:2cm−1
測定方法:KBr錠剤法
また、比較実験として、アニーリング処理前ガラスにおいても、同時に実験を行った。
得られたアニーリング処理前ガラスにおける結果を図2(A)に、アニーリング処理後における結果を図2(B)に示す。
〔実験例3〕57Feメスバウアースペクトル分析
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスにおける詳細なFe原子の挙動を明らかにするために、57Feメスバウアースペクトル分析を行った。
メスバウアースペクトル分析は、解析装置として、Mossbauer driving unit MDU-1200(Wissenschaftliche Elektronik社製)、Digital function generator DFG-1000(Wissenschaftliche Elektronik社製)、High Voltage PowerSupply 456(ORTEC社製)、Amplifier 485(ORTEC社製)、Single channel analyzer SCA-550(ORTEC社製)、Multi-Channel Analyzer MCA-7700(SEIKO EG&G社製)を接続したものを使用した。
測定用試料は、本発明の光触媒ガラスをよく粉砕した後、該粉砕物をセロハンテープで挟み込んだものを使用した。
線源にはRhマトリックスに分散させた線量925Bqの57Coを使用し、α−Feを基準物質とした。
なお、得られたスペクトルデータは、メスバウアー解析ソフトウェア(商品名:MossWin3.0iXP、トポロジックシステムズ社製)により、ローレンツ関数へフィッティングさせることによるカーブフィッティングを行った。
得られた結果を図3に示す。
〔実験例4〕X線回折分析
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスにおける詳細な原子・分子構造を明らかにするために、X線回折(XRD)分析を行った。
XRD分析は、試料水平型強力X線回折装置(型式名:RINT-TTRIII、Rigaku社製)により、下記条件で行った。
条件:
回折角(2θ):10〜80°
インターバル:0.02°
スキャン速度:5°min−1
X線源:CuKα線
X線波長(λ):1.54Å
管電流(mA):300
管電圧(kV):50
得られた結果を図4に示す。
〔実験例5〕走査電子顕微鏡による表面分析
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの構造を明らかにするために、走査電子顕微鏡による表面分析を行った。
走査電子顕微鏡による表面分析は、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡(型式名:VE−9800、KEYENCE社製)を用い、加速電圧2.5kV、倍率400倍の条件で走査電子顕微鏡写真像を取得して行った。
また、比較実験として、アニーリング処理前ガラスにおいても、同時に実験を行った。
得られた結果を図5に示す。
〔実験例6〕光触媒活性試験
実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの光触媒活性をメチレンブルー分解実験により評価した。
メチレンブルーの分解実験は、まず、実施例1〜3で得られた、それぞれの光触媒ガラス40mgを十分に粉砕し、別々の容器に入れ、31.8μMのメチレンブルー溶液10mLで浸漬させ、浸漬中、以下の条件で可視光照射を行った。
条件:
装置:装置名:MH−100 Illuminator(Edmund Optics社製)
光源:metal halide lamp
フィルター:UV cutoff FSAフィルター(Dolan-Jenner industries社製)
照射波長:420〜750nm
出力:100W

浸漬処理30分、60分、90分、120分後に、それぞれの容器からメチレンブルー水溶液を採取し、紫外可視分光光度計(装置名:UV−1700、SHIMADZU社製)を用いて下記条件によりの吸光スペクトルを測定した。
なお、光照射を行わない実験も合わせて行った。
条件:
測定波長:200〜800nm
測定波長間隔:1nm
光源:tungsten-deuterium lamp
出力:20W

メチレンブルーの濃度は、得られた664nmの吸光度、メチレンブルーのモル吸光係数(9.5×10Lmol−1cm−1)、及び光路長(1cm)から算出した。また、メチレンブルー濃度から、一時反応速度定数を算出した。
得られた浸漬処理120分におけるメチレンブルー溶液の吸光スペクトルの結果を図6に、メチレンブルー濃度の経時変化の結果を図7に示す。
なお、図7において図中の実線は光照射時の結果、点線は光照射しなかった場合の結果を示す。
〔実験例7〕アニーリング処理の温度による鉄原子の特性変化
アニーリング処理の温度による鉄原子の特性変化を57Feメスバウアースペクトル分析で調べた。
(アニーリング処理ガラスの製造)
アニーリング処理の温度を600℃、800℃、1000℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、アニーリング処理前ガラスを製造し、アニーリング処理を行い、アニーリング処理ガラスを製造した。
57Feメスバウアースペクトル分析)
得られたアニーリング処理ガラス、実施例1で製造した本発明の光触媒ガラス(アニーリング処理:400℃)、並びに、アニーリング処理前ガラスを、実験例3と同様にして、57Feメスバウアースペクトル分析を行った。
得られたメスバウアースペクトルの結果のチャートを図8、そのパラメータを表1に示す。
以下、結果を考察する。
(実施例1〜3で製造した光触媒ガラス)
実施例1〜3において製造した本発明の光触媒ガラスは、ガラスの一般的なマトリックス形成成分ではない鉄が、酸化物換算組成で全体重量に対して10〜50重量%という高い含有量であるが、均一なガラスであった。
(TG−DTA)
図1は、本発明の光触媒ガラスの熱物理特性を明らかにするために行ったTG−DTAの結果である。その結果、TGでは室温から400℃の間に質量減少が見られ、DTAでは60℃付近に吸熱ピークが見られた。この結果は、製造に用いたFe(NO・9HOが約50℃で熱分解が始まり、その硝酸と水の蒸発が400℃までの温度で起こった結果であると考えられる。また、400〜1000℃において、TGではほとんど変化がみられなかったが、DTAにおいては幅広い吸熱ピークが見られた。このことから、400〜1000℃においてガラス構造の変化があることが判る。
この結果から、400℃でのアニーリング処理は、製造過程の水、硝酸等の除去等の観点から好ましいことがわかる。
(FT−IR)
図2は本発明の光触媒ガラスの詳細な分子構造を明らかにするために行ったFT−IRの結果である。
結果における1386cm−1の吸収バンドはすべての試料においてアニーリング処理前に存在しアニーリング処理後に消失していた。これは、残留した硝酸イオンとFT−IRの試料調製に用いたKBrの反応により形成されたKNOによるものである。
この結果は、TG−DTAの結果と合わせて考えると、アニーリング処理により硝酸イオンが消失していることがわかる。
また、500cm−1付近のいくつかのバンドはFe−Oの伸縮振動のバンドに由来すると報告されているバンドであるが、本実験例においては、Siのバンドにカバーされ見られなかった。
また、炭化水素とエタノールに由来する吸収バンドは、すべての試料において見られなかった。
この結果から、ゾルゲル法で用いた本発明の光触媒ガラス中に有機化合物は存在しないことがわかる。また、ゾルゲル法の過程で用いたエタノールは、60℃、3日間の乾燥により蒸発したと言える。以上から、60℃、3日間の乾燥処理は、好ましい条件といえる。
57Feメスバウアースペクトル分析・XRD)
図3は、実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスにおける詳細なFe原子の挙動を明らかにするために行った57Feメスバウアースペクトル分析の結果である。
すべての試料において、0.37±0.01mm−1に異性体シフト(δ)を示すダブレットがみられ、常磁性3価の鉄イオンを含有することがわかる。また、鉄含有量の増加に伴い四極分裂(Δ)が、1.10±0.01mm−1(FS10)、0.71±0.01mm−1(FS30)、0.82±0.01mm−1(FS50)、と変化しており、3価の鉄イオンと酸素からなるFeO四面体の歪みが大きくなることが分かる。
また、メスバウアースペクトルがダブレットであり、セクステットがみられなかったことから、実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスにおける鉄は、強磁性、フェリ磁性、および反強磁性の結晶粒子の状態ではなく、鉄がガラス内で均一分散されてガラス骨格を構築しているもので、「常磁性」であると考えられる。また10ナノメートル以下の「微粒子」として存在する場合は「超常磁性」であると考えられる。
この結果から明らかなように、本発明の光触媒ガラスは、図3に示すピークがダブレットであり、常磁性の鉄イオンを含有する化合物の存在が確認された。なお、この図からは、超常磁性のヘマタイト又は常磁性のマグネタイトが混在していることも考えられる。
そして、これらの常磁性の鉄イオン含有化合物を含有する本発明の光触媒ガラスは、図6に示すように、優れた光触媒活性を示すものである。
また、これらの結果は、図8及び表1に示す1000℃のアニーリング処理の結果におけるスペクトルパターンとは異なるものである。また、アニーリング処理前の結果とも異なるものであった。このことから、アニーリング処理により鉄原子に変化が見られることがわかる。
図4は光触媒ガラスにおける詳細な原子・分子構造を明らかにするために行ったXRD分析の結果である。
その結果、すべての試料において低強度のいくつかのピークと、ブロードなベースラインが見られた。この結果は、これらの試料の構造がアモルファス構造であることを示している。以上から、アニーリング処理の温度条件が400℃の場合、アモルファス構造が維持され、鉄はガラス中に拡散されることがわかる。
また、以上の結果から、実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスにおける57Feメスバウアースペクトル分析及びXRDのパラメータは、非特許文献10に開示されるガラスにおけるパラメータとは異なるものであることがわかる。
(SEM)
図5は、実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの構造を明らかにするために、走査電子顕微鏡による表面分析を行った結果である。アニーリング処理後の50FS(B−c)のみ、平らでない表面パターンが見られ、アニーリング処理後の50FS以外の試料では平坦な表面パターンが見られた。
アニーリング処理後の50FSの表面パターンは、平らでないが、上述のXRDの結果からアモルファス構造であると考えられる。言い換えれば、化学的構造が異なるのではなく、立体構造が異なるものであると考えられる。また、アニーリング処理後の50FSの表面パターンからアニーリング処理後の50FSは他の試料よりも大きな表面積を持つと考えられる。
(光触媒活性試験)
図6及び7は実施例1〜3で得られた本発明の光触媒ガラスの光触媒活性をメチレンブルー分解実験により評価した結果である。
図6及び7より本発明の光触媒ガラス(10FS、30FS、50FS)は、可視光により光触媒活性を有することがわかる。特に本発明の光触媒ガラス(50FS)において光触媒活性が高いことがわかる。これは、光触媒ガラス(50FS)の表面は、図5のSEMの結果に示される大きな表面積に起因することが考えられる。
また、メチレンブルー濃度の経時変化から、一次反応速度定数を算出した、その結果、本発明の光触媒ガラス10FS、30FS、50FSにおける一次反応速度定数は、光照射時においては、それぞれ、1.37×10−6−1、1.14×10−5−1、3.30×10−4−1であり、光照射を行わなかった時においては、それぞれ、−2.77×10−6−1、8.42×10−6−1、2.49×10−4−1、であった。このことから、可視光照射により反応速度が大きくなり、本発明の光触媒ガラス(10FS、30FS、50FS)は、可視光照射により触媒活性が増強することがわかる。なお、光照射を行わなかった10FSにおける一次反応速度定数がマイナス値であったのは、この条件においてはメチレンブルー濃度変化より測定誤差の方が大きく、測定誤差によりマイナス値となったものである。このため、光照射を行なわない10FSにおける一時反応速度定数は、ほぼ0であると考えられる。
(アニーリング処理の温度による鉄原子の特性変化)
図8及び表1は、アニーリング処理の温度によるガラス内の鉄原子の特性変化を57Feメスバウアースペクトル分析で調べた結果である。
結果より、アニーリング処理前、及びアニーリング処理温度が400℃において、ダブレット(2本)のスペクトルと異性体シフト値から結晶構造を有さない常磁性の3価の鉄イオンを含有することがわかる。
また、アニーリング処理温度が600℃においては、ダブレットのスペクトルが減少し、磁気分裂を示すセクステット(6本)のスペクトルが現れた。
この結果から、反強磁性のα−Feが存在することがわかり、また、アニーリング処理温度が600℃であると常磁性の3価の鉄イオンがα−Feに変化することがわかる。表1に示した線幅(LW)の値は、常磁性3価の鉄イオン、および反強磁性α−Feのいずれにおいても0.40よりも大きい、0.60mm s−1台の大きな値を示していることから、3価の鉄イオンはすべてガラス状態にあることが分かる。
また、アニーリング処理温度が800℃では、ダブレットとセクステットが混在した。このことから、常磁性3価の鉄イオンとα−Feとを含有するものであることがわかる。表1に示すように、800℃以上でアニーリングすると、線幅の値が0.30mm s−1のオーダーとなり、多くの鉄イオンが結晶状態となり10ナノメートル以上の結晶粒子を形成していることが分かる。
また、1000℃ではダブレットのスペクトルが消失し、セクステットのスペクトルのみが見られ、鉄はすべて反強磁性のα−Feで存在することがわかる。
これらの結果から、常磁性3価の鉄イオンが反強磁性のα−Feに変化しないようにするためには、アニーリング処理温度が600℃未満であるのが好ましい。
また、このアニーリング処理温度が1000℃の条件は、非特許文献10に開示されるガラスの条件であり、非特許文献10においてはα−Fe成分は光触媒活性を示すことが開示されている。
一方、400℃のアニーリング条件(実施例1)における光触媒ガラスでは、表1に示すようにα−Fe成分は検出されず、鉄成分はすべて結晶構造を有さないガラス状態の常磁性3価の鉄イオンであった。この結果から、本発明の光触媒ガラスは、非特許文献10に開示されるガラスとは異なり、常磁性3価の鉄イオンにより光触媒活性を示すものである。
以上の結果から、本発明の光触媒ガラスは、可視光領域で光触媒活性を示し、常磁性の3価の鉄イオン(Fe3+)を含有し、光触媒活性が高いものであることがわかる。
本発明の光触媒ガラスは、可視光で十分な光触媒活性を示すため、各種触媒として用いることができる他、太陽光パネルや、光ファイバー等への応用が可能である。
また、電力メーカーの高炉から排出される飛灰(フライアッシュ)を原料として用いて本発明の光触媒ガラスを製造することも可能であると考えられるので、各種施設から排出される焼却灰などの無機系廃棄物を、本発明の光触媒ガラスとしてリサイクルすることが可能である。また、主成分がケイ酸塩ガラスで、処理するのに厄介な火山灰など、天然の「廃棄物」を有効活用することができる。

Claims (2)

  1. 鉄供給源とガラス形成材料とを用いて形成された、常磁性の鉄イオンを、光触媒活性を示す成分として含有する鉄含有ガラスからなり、
    上記鉄イオンが3価の鉄イオンであり、
    上記鉄含有ガラスに含まれる鉄成分をFe 成分として含有量を換算した場合に、その含有量がガラス全体中35〜70重量%であり、
    上記鉄含有ガラスが常磁性の鉄イオンを含む化合物としてヘマタイトまたはマグネタイトを含有し、可視光で触媒活性を示すことを特徴とする光触媒ガラス。
  2. 請求項1記載の光触媒ガラスの製造方法であって、
    上記ガラス形成材料と上記鉄供給源を用いて、上記ガラス形成材料と上記鉄供給源とを含むゲル化溶液(ゾル)を調製し、これをゲル化させた後、乾燥させてガラスを得、これを300℃以上1000℃未満の温度範囲で1〜5時間加熱処理するアニーリング処理を行うガラス化工程を行うことを特徴とする光触媒ガラスの製造方法。
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