JP2008105905A - 水の光分解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光を利用して水を酸素と水素とに高効率で分解することで、多くの酸素と水素とを回収することができる水の光分解装置を提供することを目的とする。
【解決手段】貯水槽2と、光7により水を酸素と水素とに分解する半導体光触媒を担持した光透過性を有する第1の多孔質構造部3および疎水性で光透過性を有する第2の多孔質構造部4を備えた多孔質構造体5と、分解された酸素と水素とを回収する回収装置16とを備え、多孔質構造体5は第1の多孔質構造部3に水が浸入した状態で貯水槽2の静水に浮かせたものである。これによって、半導体光触媒は比表面積の大きな第1の多孔質構造体3に担持され水との接触面積が広がり、また水没することがないので、十分な強度の光を受けることができ、水を酸素と水素とに高効率で分解して、多くの酸素と水素とを回収することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体光触媒の光触媒反応により、水を分解して酸素と水素を得る水の光分解装置に関するものである。
従来から、水の光分解の研究が盛んに行われている。特に、半導体光触媒では、例えばn型半導体を光触媒にした場合、バンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーの光を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯に光励起され、伝導帯には自由電子が生成される一方、価電子帯には正孔が生成される。そして、これらがそれぞれ還元反応と酸化反応をおこすことができれば、光触媒反応が進行する。
半導体光触媒により水の光分解が起こるためには、半導体のバンド幅が水の電解電圧(理論値1.23V)より大きくなければならない。さらに、伝導体の電子が水を還元でき、かつ価電子帯の正孔が水を酸化できる能力も必要とされる。すなわち、伝導帯の下端は、水からの水素発生電位よりマイナス側に位置していなければならず、価電子帯の上端は、酸素発生電位よりプラス側に位置していなくてはならない。
このような条件を満たす半導体としては、二酸化チタンをはじめ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウム、硫化カドミウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄(ヘマタイト)などが見出されており、これら半導体に白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族金属を助触媒として担持したものが、水の光分解用の半導体光触媒として有効であることが知られている。
以上のような半導体光触媒を利用した例として、光触媒を吸水材料の上に載置するとともに、吸水材料に水を含浸させることにより表面が濡れている程度にし、上方から太陽光を照射する方法(例えば、特許文献1参照)や、照射される光の一部を熱に変換し、その熱により水を水蒸気として多孔体に担持した光触媒で形成される光分解層で酸素と水素に分解する方法(例えば、特許文献2参照)などがある。
特許第3096728号公報 特許第3787686号公報
しかしながら、前記特許文献1参照の構成では、光触媒が吸水材料表面にのみ分散しており密度が低いため、十分な収量を得ることが難しいという課題があった。また、特許文献2参照の構成では、水ではなく水蒸気を分解することになるので、やはり十分な収量を得ることが難しいという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、光を利用して水を酸素と水素とに高効率で分解することで、化石エネルギーを消費することなく、多くの酸素と水素とを回収することができる水の光分解装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の水の光分解装置は、貯水槽と、光により水を酸素と水素とに分解する半導体光触媒を担持した光透過性を有する第1の多孔質構造部および疎水性で光透過性を有する第2の多孔質構造部を備えた多孔質構造体と、分解された酸素と水素とを回収する回収装置とを備え、前記多孔質構造体は第1の多孔質構造部に水が浸入した状態で貯水槽の静水に浮かせたものである。
これによって、半導体光触媒は比表面積の大きな第1の多孔質構造体に担持され水との接触面積が広がり、また水没することがないので、十分な強度の光を受けることができ、水を酸素と水素とに高効率で分解して、化石エネルギーを消費することなく、多くの酸素と水素とを回収することができる。
本発明の水の光分解装置は、光を利用して水を酸素と水素とに高効率で分解することで、化石エネルギーを消費することなく、多くの酸素と水素とを回収することができる。
第1の発明は、貯水槽と、光により水を酸素と水素とに分解する半導体光触媒を担持した光透過性を有する第1の多孔質構造部および疎水性で光透過性を有する第2の多孔質構造部を備えた多孔質構造体と、分解された酸素と水素とを回収する回収装置とを備え、前記多孔質構造体は第1の多孔質構造部に水が浸入した状態で貯水槽の静水に浮かせた水の光分解装置とすることにより、半導体光触媒は比表面積の大きな第1の多孔質構造体に担持され水との接触面積が広がり、また水没することがないので、十分な強度の光を受けることができ、水を酸素と水素とに高効率で分解して、化石エネルギーを消費することなく、多くの酸素と水素とを回収することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、回収した酸素と水素とを分離する分離装置を備えたことにより、酸素と水素とを分離して、例えば水素を燃料電池などに使うことができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、貯水槽の水は、池、湖、または海の一部であることにより、自然の水を利用することで、化石エネルギーの消費を抑えて、水素エネルギーを得ることができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、光は、太陽光であることにより、太陽光すなわち自然エネルギーを利用することで化石エネルギーを消費することなく、水素エネルギーを得ることができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、半導体光触媒は、白金を担持した二酸化チタンであることにより、安価で高活性な半導体光触媒を比較的簡単に作製することができるため、多くの酸素と水素とを得ることができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、第2の多孔質構造部は、少なくとも水を含む溶媒とゲル原料とを混合することで湿潤ゲルを形成するゲル化工程と、前記湿潤ゲルの表面の少なくとも一部を疎水化する疎水化工程と、前記疎水化工程で表面を疎水化された湿潤ゲル内の水を除く除水工程と、前記除水工程で除水された湿潤ゲル内に残存した溶媒を除く乾燥工程とから作製されることにより、通常の乾燥では細孔を潰してしまい見かけ密度が大きくなってしまうが、疎水化工程を行った後に乾燥させると細孔を潰すことなく、比較的簡単に見かけ密度の小さな第2の多孔質構造部を実現できる。このため、第2の多孔質構造部と比較して第1の多孔質構造部を大きくできる、あるいは半導体光触媒の担持量を多くすることができ、多くの酸素と水素とを得ることができる。
第7の発明は、特に、第6の発明において、ゲル化工程において、ゲル原料がアルキルアルコキシシランであり、少なくとも溶媒には水とアルコールとゲル化を促進させる触媒とを含むことにより、コストの安いアルキルアルコキシシランを原料とし、アルコール溶媒中で反応させると比較的ゲル化を制御しやすく、細い骨格で小さな細孔を有する見かけ密度の小さな第2の多孔質構造部を実現できる。このため、第2の多孔質構造部と比較して第1の多孔質構造部を大きくできる、あるいは半導体光触媒の担持量を多くすることができ、多くの酸素と水素とを得ることができる。また、ゾルゲル法で作製するシリカは非晶質に近い状態であるので、紫外線から可視光線までよく透過する。したがって、半導体光触媒は十分な強度の光を受けることができ、多くの酸素と水素とを得ることができる。
第8の発明は、特に、第6または第7の発明において、疎水化工程において、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用い、かつ乾燥工程が少なくとも表面の一部が疎水化された湿潤ゲル内に含まれる溶媒の臨界点未満の温度かつ圧力条件で乾燥する乾燥工程であることにより、比較的安価で確実に疎水化することができるので、超臨界乾燥をせずとも細孔を潰すことがなく、見かけ密度の小さな第2の多孔質構造部を実現できる。このため、第2の多孔質構造部と比較して第1の多孔質構造部を大きくできる、あるいは半導体光触媒の担持量を多くすることができ、多くの酸素と水素とを得ることができる。
第9の発明は、特に、第8の発明において、RとR’はいずれもメチル基で、かつx=2であることにより、この原料はジメチルジメトキシシランと称され、安価で疎水化速度が速く、確実に疎水化することができる。これは、x=1の単官能では3つのアルキル基の立体障害により反応性が低下し、またx=3の3官能では加水分解の結果生じる3つのシラノール基が全て、ゲル表面のシラノール基と反応することが難しくシラノール基がゲル表面に残存することで反応性が低下するからであり、ジメチルジメトキシシランはこのようなことがない。したがって、超臨界乾燥をせずとも細孔を潰すことがなく、見かけ密度の小さな第2の多孔質構造部を実現できる。このため、第2の多孔質構造部と比較して第1の多孔質構造部を大きくできる、あるいは半導体光触媒の担持量を多くすることができ、多くの酸素と水素とを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における水の光分解装置を示すものである。
図に示すように、本実施の形態における光分解装置は、水1を貯え、その上部に空間6を有する貯水槽2と、光により水を酸素と水素とに分解する半導体光触媒(後記)を担持した光透過性を有する第1の多孔質構造部3および疎水性で光透過性を有する第2の多孔質構造部4を備えた多孔質構造体5と、分解された酸素と水素とを回収する回収装置16とを備えている。そして、前記多孔質構造体5は、第1の多孔質構造部3に水が浸入した状態で貯水槽2の静水に浮かせているものである。
また、本実施の形態における光分解装置は、貯水槽2への給排水用バルブ8、空間6の給排気用バルブ9、空間6の気体を貯水槽2から外部へ取り出す配管10を備え、配管10はポンプ11に接続され、ポンプ11は切替弁15を介して酸素と水素とを分離する分離装置12へ接続されている。分離装置12から水素を第1のタンク13、酸素を第2のタンク14へ供給されるようになっている。ここで、貯水槽2の空間6、配管10、ポンプ11、および切替弁15は、分解された酸素と水素とを回収する回収装置16を構成している。切替弁15は、これを切替えることにより貯水槽2の空間6に存在する空気を外部へ排出することができる。
貯水槽2の水1は、純水、炭酸水素ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液であるが、池、湖、または海の一部を用いることができる。
多孔質構造体5は、第1の多孔質構造部3の細孔内に水1が浸入し、その重みで第2の多孔質構造部4の一部も水面より下にあるが、第2の多孔質構造部4には水は浸入しない。そして、多孔質構造体5全体は、静止した状態の水1に浮いている。また、第1の多孔質構造部3の細孔に浸入した水1は、担持されている半導体光触媒と接触し、太陽光である光7を吸収した半導体光触媒により酸素と水素に分解され、一時的に空間6に蓄えられる。その後、ポンプ11を通り、分離装置12で水素と酸素とに分離され、水素は第1のタンク13、酸素は第2のタンク14に貯蔵される。
分離装置12は、水素分離膜12aを介して二つの空間に分離されている。一つは酸素と水素との混合ガスが存在し、水素が分離されて酸素リッチなガスが残る空間、もう一つは水素分離膜を通って集めた水素が存在する空間である。水素分離膜12aは水素を透過できるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリイミドフィルムを600〜1000℃で熱処理したものを使用することができる。このとき、酸素と水素との混合ガスが存在する空間にアルゴンなどの不活性ガスを送り加圧することや、逆側の空間を減圧下にすることで水素の分離を早めることができる。このとき、加圧は10気圧まで、減圧は0.1気圧までが望ましく、これ以上の圧力差では水素分離膜12aが破れてしまう可能性がある。
多孔質構造体5の第1の多孔質構造部3と第2の多孔質構造部4の構造は、同じであっても異なっていてもよい。また、第1の多孔質構造部3と第2の多孔質構造部4との接着や接合によって多孔質構造体5を形成してもよい。さらには、大きさや形状も特に限定するものではなく、第1の多孔質構造部3に水を含んだ状態で多孔質構造体5の見かけ密度が、水1の密度未満であればよい。したがって、第1の多孔質構造部3の部分を大きくする、あるいは第1の多孔質構造部3での半導体光触媒の担持量を向上させるためには、第1の多孔質構造部3、第2の多孔質構造部4ともに見かけ密度を小さくする方がよい。
一方で、第1の多孔質構造部3は比表面積を大きくし、水を適切量保持する必要があるため、適度な大きさの連続した細孔が適度の数を有するのが望ましい。よって本実施の形態では、第2の多孔質構造部4が疎水性で見かけ密度0.25g/cc、直径約5cmのシリカ製の半球と、第1の多孔質構造部3が半導体光触媒を0.1g/ccで担持し、親水性で見かけ密度0.35g/cc、直径約5cmのシリカ製の半球とを張り合わせて多孔質構造体5としたものを用いた。この多孔質構造体5の見かけ密度は、第1の多孔質構造部3の細孔に水を満たした状態で0.85g/ccであり、静水に浮くものである。
ここで、例えば、第1の多孔質構造部3の見かけ密度を0.15g/cc、第2の多孔質構造部4の見かけ密度を0.25g/ccとすると、半導体光触媒の担持量を0.3g/ccとしても本実施の形態で使用した多孔質構造体5と同じ見かけ密度である。また同様に、第1の多孔質構造部3の見かけ密度を0.15g/cc、第2の多孔質構造部4の見かけ密度を0.25g/ccとし、半導体光触媒の担持量を変化させず0.1g/ccとした場合、多孔質構造体5に占める第1の多孔質構造部3の体積40%、第2の多孔質構造部4の体積60%としても、多孔質構造体5全体の見かけの密度は0.87g/cc程度で、本実施の形態で使用した多孔質構造体5とほぼ同じ見かけ密度である。これらより、第1の多孔質構造部3、第2の多孔質構造部4ともに見かけ密度を小さくすると、第1の多孔質構造部3の部分を大きくする、あるいは第1の多孔質構造部3での半導体光触媒の担持量を向上させることができるといえる。
次に、第1の多孔質構造部3や第2の多孔質構造部4について説明する。見掛け密度が0.25g/ccの多孔質構造部を有するシリカ製の多孔質構造体は、シリカの真密度が2.2g/ccとすると空隙率は90%近い値となり、非常に大きな空間を有しているものである。しかしながら、一般的なシリカゲルの作製のように湿潤ゲルに特別な処理をせず、熱風乾燥を行ったり、常温で徐々に乾燥させたりすると、空隙率が70%を越える多孔質構造体は作製することができない。多孔質構造体は空隙率の比較的大きなシリカゲルで60%程度である。この空隙率では、見かけ密度は0.9g/cc近くであるため、水の光分解装置には不適である。
そこで本実施の形態では、図2に示すシリカ製の多孔質構造体5を用いた。作製方法については後述する。
図2(a)は本実施の形態における多孔質構造体5の断面模式図であり、(b)は多孔質構造体5の第2の多孔質構造部4の一部分を拡大した模式図であり、(c)は多孔質構造体5の第1の多孔質構造部3の一部分を拡大した模式図である。
第1の多孔質構造部3、第2の多孔質構造部4ともに、1〜100nm程度のシリカ一次粒子21が数珠状につながった骨格からなり、骨格間距離22の径(数十nm〜数百nm程度)で多数の細孔を形成し、それが空間部分23を形成している。よって、見かけ密度が小さな軽いものとなっている。第1の多孔質構造部3の方がシリカ一次粒子21の径が大きく、太い骨格からなる。詳細は作製方法で記述するが、第1の多孔質構造部3は疎水化されていない状態での乾燥工程があるため、乾燥時の毛管力に耐えることができる強い骨格が必要であるからである。なお、図2ではシリカ一次粒子21の形状を球状で示したが、球状に限定されるものではない。
これらの構造はゾル−ゲル法により作製することができ、さらにはテトラメトキシシランのようなアルコキシシランを原料とすることで、紫外線から可視光線まで幅広い波長の光を高い透過率で透過することができるようになる。また、低コストであること、環境に対して無害であることなどからもシリカが最適である。
既述した半導体光触媒26は、微粒子状の半導体24に助触媒25を担持したものであり、従来の水の光分解反応における半導体光触媒の中から任意に選んで使用可能である。このような半導体光触媒としては、例えば、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウム、硫化カドミウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄(ヘマタイト)などに、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族金属や酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化ロジウムを助触媒として担持したものが、水の光分解用の半導体光触媒として有効である。また、本実施の形態では、半導体24、助触媒25ともに球形で示したが球形に拘るものではなく、大きさも特には限定しない。但し、多孔質構造体5に担持する関係から、シリカ一次粒子21と同じサイズが望ましい。本実施の形態では、半導体24として粒径20nmの二酸化チタンを、助触媒25として白金を用いた。
また、助触媒25の担持量は、光触媒活性の点から半導体24と助触媒25との合計量に基づき、0.1〜20wt%が望ましい。担持方法は、例えば、助触媒25形成溶液中に半導体粒子を分散させ、乾燥、焼成により半導体粒子表面に助触媒25を担持することができる。本実施の形態では、粉末状二酸化チタンをジニトロジアンミン白金硝酸溶液に分散させ、130℃で乾燥後、600℃で10分間焼成させることで担持を行った。なお、図2では半導体24を粒子で示したが、シリカ一次粒子21表面へのコーティング膜であっても同様の効果が得られる。さらには、シリカ一次粒子21の一部分を二酸化チタン粒子に置換しても同様の効果が得られる。
助触媒25の役割は、活性サイトとして働いたり、電荷の蓄積により多電子反応を促進したり、電荷分離を促進するなど様々であるが、例えば、本実施の形態のように助触媒25を白金とすると、水素発生の過電圧を大幅に下げることができる。
また、二酸化チタンは結晶構造の違いによりアナターゼ型やルチル型などがあるが、いずれを用いてもよく、またその混合品を用いてもよい。これは、一般的にアナターゼ型の方が、活性が高いと言われているが、デグッサ社製の高活性の二酸化チタン(品番:P25)はアナターゼ型とルチル型との混合であるため、一概に結晶構造だけで活性を議論することができないためである。
次に、第2の多孔質構造部4の作製方法について説明する。作製工程は主に以下の4つの工程からなる。
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
(2)疎水化工程(湿潤ゲル表面の疎水化)
(3)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
(4)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
以下、工程毎に説明する。
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
本実施の形態では、ゾル−ゲル法により湿潤ゲルを作製する。具体的には、金属アルコキシドをゲル原料とし、水やアルコールなどの溶媒と、必要に応じてゲル化触媒とを混合することで、溶媒中でゲル原料の重合をすすめて湿潤ゲルを形成する。また、ゲル原料として水ガラスを用い、必要に応じてゲル化触媒とを混合することによっても、湿潤ゲルを作製することもできる。本実施の形態で用いられるゲル原料としては、ゾル−ゲル法で一般的に用いられる、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどのアルコキシドなどがある。この中でも金属としてケイ素を含有する化合物が、入手の容易性、安価なコスト、光の透過性などから好ましい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン、ジアルコキシシランなどのアルキルアルコキシシランやそのオリゴマーなどおよびこれらの混合物が用いられる。特に、テトラメトキシシランは、シリカ含有分が多く、また安価で容易に入手でき、反応も速いため、本実施の形態で用いるためには最適である。
ゲル化触媒としては、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基が用いられる。有機酸として、酢酸、クエン酸、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸、有機塩基として、ピペリジン、無機塩基として、アンモニア、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどがある。本実施の形態では、一次粒子径を小さくできる塩基触媒を用いることが望ましい。
湿潤ゲルの形成には、アルキルアルコキシシランと、溶媒としてのアルコールと、ゲル化触媒としての酸あるいは塩基および水を加えることで、アルコキシシランの加水分解、縮重合を経て、湿潤ゲルを形成する。湿潤ゲルは、珪素原子と酸素原子が交互に結合した3次元網目構造のシリカ一次粒子を作り、それらシリカ一次粒子が重合して数珠状となり骨格を形成し、それら骨格同士の隙間すなわち孔に水などの溶媒が入り込む構造となっている。
ゲル化後、形成された湿潤ゲルを必要に応じて、加温雰囲気に置き、ゲル中の未反応のシラノール基を縮合させてゲルを熟成させることが、ゲル強度を増して、乾燥時の収縮を抑制することに有効である。
(2)疎水化工程(湿潤ゲル表面の疎水化)
この工程は、湿潤ゲルの表面のシラノール基を、例えば、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシランなどで疎水性のメチル基に代える工程である。これは、乾燥工程前の予備工程という意味合いがある。
乾燥は、湿潤ゲル中の溶媒(水も含む)を乾燥除去させる工程であるが、湿潤ゲルを普通に熱風乾燥させたものは、溶媒が乾燥するときの表面張力により、収縮してしまい孔を潰してしまうので、空隙率が小さくなってしまう。この孔に掛かる力ΔPは一般に(数1)により表される。
ここでΔPは毛管力、γは溶媒の表面張力、θは溶媒と骨格との接触角、dは細孔の径を表す。
したがって、毛管力を小さくするためには、接触角θを大きくする、あるいは表面張力γを小さくする必要がある。疎水基を導入することで、接触角θを大きくすることができるので、乾燥時に発生する毛管力を下げることができる。なお、表面張力γを小さくすることについては次の除水工程で説明する。
また、疎水化はメチル基に限定されるものではなく、エチル基、プロピル基、フッ素系官能基、あるいはフェニル基などでもほぼ同様の効果が得られるが、反応性やコストを考慮するとメチル基が望ましい。さらには、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンなどを用いると、塩化水素やアンモニアなどのガスを発生させ、これらが触媒となり湿潤ゲルが異常な反応をしてしまう可能性がある。また、これらの疎水化剤を用いる場合、予め水を取り除いておく必要があり、工程が一つ増えてしまう。
そこで、本実施の形態では、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用いて疎水化を行った。
用いるアルキルアルコキシシランとして、x=3のメトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシランなどの単官能アルキルアルコキシシラン、x=2のジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシランなどの2官能アルキルアルコキシシラン、x=1のメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの3官能アルキルアルコキシシラン化合物がある。これらのうち一つもしくは混合物を疎水化処理液となる溶媒に溶解させておき、湿潤ゲルとその溶媒に接触させることで反応させる。疎水化剤とシラノール基との反応は加水分解を伴うため、必ず水が必要となる。そこで、疎水化処理液となる溶媒は水溶性溶媒が望ましく、水溶性溶媒としては、水溶性のアルコール類としてメタノール、エタノール、プロパノールおよびターシャリ−ブタノール、エチレングリコール、グリセロールなどの低級アルコール類、その他、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどのケトンやエーテルや、これらの混合物も用いることができる。
アルキルアルコキシシランを疎水化剤として用いるためには、加水分解のために水を必要とするが、ゲル化工程で作製した湿潤ゲルは水を含んでいるため、新たに水を添加する必要がなく、また脱水しておく必要もないので、非常に望ましい。また、ゲル化時の触媒にアンモニア水を用い、溶媒に水とメタノールを用いることにより、湿潤ゲルに直接アルキルアルコキシシランを添加し、疎水化することができる。
さらに、アルキルアルコキシシランの中でも、x=2で表される2官能のアルキルアルコキシシランが疎水化効率に優れることも見出した。これは、単官能では3つのアルキル基の立体障害により反応性が低下し、3官能では加水分解の結果生じる3つのシラノール基が全て、ゲル表面のシラノール基と反応することが難しく、シラノール基がゲル表面に残存するためではないかと考えられる。したがって、疎水化効率に優れる2官能アルキルアルコキシシラン、特に、RとR’ともにメチル基であるジメチルジメトキシシランが、反応性が高く、非常に望ましい。
(3)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
この工程では、湿潤ゲル内にある水および未反応の疎水化剤を除去し、その分を表面張力の小さな溶媒に置換する工程である。この工程も乾燥工程の予備工程の意味合いがある。(数1)によると表面張力γを小さくすることも毛管力の低減には効果がある。水の表面張力は、0.072N/m(25℃)であり、他の液体、例えば、汎用的な有機溶媒であるトルエン0.027N/m(30℃)、エタノール0.021N/m(25℃)などに比較して格段に大きい。したがって、乾燥前に湿潤ゲル中の水の割合を低減させ、代わりに表面張力が小さい溶媒に置換することが非常に重要である。
除水方法として、溶媒置換もしくは加熱留去のいずれかの方法が望ましい。まず、溶媒置換について説明する。一般的な溶媒置換は、形成された湿潤ゲルを、水溶性溶媒の中に浸漬させて、前記溶媒をゲル内の溶媒と入れ替えることで行う。この時に用いる溶媒としては、水溶性の溶媒であれば特に制限されない。例えば、水溶性のアルコール類としてメタノール、エタノール、プロパノールおよびターシャリ−ブタノール、エチレングリコール、グリセロールなどの低級アルコール、その他に、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどのケトン類やエーテル類、ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド類、さらに蟻酸、酢酸およびプロピオン酸などの低級カルボン酸や、これらの混合物を用いることができる。この中でも、低価格で、入手が容易なメタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類の使用が望ましい。
また、溶媒置換は、上記水溶性溶媒だけではなく、上記水溶性溶媒と他の非水溶性溶媒との混合溶媒によっても可能である。具体的には、n−ヘキサン、デカン、ノナン、オクタン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレンなどと水溶性溶媒の混合溶媒である。安全面や入手の容易性など工業用として特に好ましいものは、オクタン、トルエン、キシレンなどである。
次に、加熱留去に関して説明する。加熱留去により水を除く場合、一般的に水の沸点付近より高い沸点を有する非水溶性の溶媒を加えて加熱することで、水を優先的に留去することが可能である。非水溶性の溶媒を用いることで、加熱留去後に有機溶媒と水が自然に分離するため、溶媒の再利用が容易になる効果がある。また、非水溶性溶媒の沸点は、水の沸点より低くても、過剰に加えれば、水を除去することが可能であるが、さらに溶媒の沸点を高くすることで、水留去の選択性を高めることができる。このため、溶媒置換により水を除去する場合に比較して、使用する溶媒量も大幅に低減できる効果が得られる。
また、水と加えた溶媒が、共沸混合物を形成する場合は、水と溶媒が一定の割合で留去されていくため、水の除去の制御が容易になる効果がある。さらに、通常の有機溶媒の乾燥で行われるように、減圧条件下で加熱留去を行うことで、効率的な水除去が可能になる。特に、ゲル化触媒などが存在する場合、水を含む状態で温度を上げて加熱乾燥すると、ゲル骨格中の結合の切断などが生じる可能性がある。このような場合は、減圧で水を加熱留去することで、温度上昇を防ぐことが効果的である。
(4)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
乾燥方法に関して説明する。乾燥は、除水工程において水除去時に代わりに湿潤ゲル内に入り込む溶媒を除去する工程である。この乾燥工程が少なくとも表面の一部が疎水化された湿潤ゲル内に含まれる溶媒の臨界点未満の温度かつ圧力条件で乾燥する乾燥工程であることにより、比較的安価で確実に疎水化することができるので、超臨界乾燥をせずとも細孔を潰すことがなく、見かけ密度の小さな第2の多孔質構造部4を実現できる。
疎水化工程と除水工程により、毛管力は著しく低下しているため、この状態で熱風乾燥を行ってもある程度の収縮は抑えられ、空隙率の大きな第2の多孔質構造部4を得ることができる。このとき、乾燥時の圧力は大気圧以上の加圧下で行うことが、より空隙率の大きな第2の多孔質構造部4が得られやすい。加圧下で乾燥を行えば、孔の中に保持される溶媒の沸点が上昇する。このとき、昇温により表面張力γが下がるため、毛管力が低減されて収縮が効果的に抑制され、望ましい。例えば、アセトンを加圧下で乾燥させる場合、沸点を45℃程度上昇させて100℃程度まで上げれば、表面張力が0.005N/m程度下がり、0.015N/m程度まで減少することから、加圧下での乾燥は十分収縮抑制に効果的であるといえる。
これらの工程を経て、疎水性で光透過性を有する見かけ密度0.25g/ccのシリカ製で直径約5cm、半球状の第2の多孔質構造部4を得た。
次に、第1の多孔質構造部3の作製方法について説明する。作製方法は主に2つあり、半導体光触媒26をゲル化工程時に担持する方法(以下、方法1と記す)と、第1の多孔質構造部3乾燥後に半導体光触媒26を担持する方法(以下、方法2と記す)である。さらに、方法1はゲル原料にチタンのアルコキシドを用いて第1の多孔質構造部3の一部もしくは全部を二酸化チタンで作製し、助触媒24を担持する方法(以下、方法1−1と記す)と、予め作製しておいた半導体光触媒26をゲル化工程時に担持させる方法(以下、方法1−2と記す)に分けられる。また、方法2についても、乾燥後に粒子状の半導体光触媒26を例えばディップ法で担持する方法(以下、方法2−1と記す)と、二酸化チタンコーティング液に浸漬し、シリカ一次粒子21の表面にコーティング膜を形成させる方法(以下、方法2−1と記す)に分けることができる。
これら4つの方法では、半導体光触媒26の担持量の制御、完成までの工程数、光触媒活性などを考慮すると方法1−2が望ましい。したがって、本実施の形態では方法1−2について記載する。方法1−2は、以下の3つの工程からなる。
(1)ゲル化工程(半導体光触媒担持湿潤ゲルの形成)
(2)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
(3)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
以下、工程毎に説明する。
(1)ゲル化工程(半導体光触媒担持湿潤ゲルの形成)
基本的な方法は上述した第2の多孔質構造部4の作製方法と同じであるが、大きな違いが2点ある。1点目はゲル原料と水とアルコールと触媒との混合時に半導体光触媒26も混合する点であり、2点目は疎水化せずに乾燥させる必要があるため、シリカ一次粒子21径を第2の多孔質構造部4より大きくし、一次粒子同士の結合を強化する必要がある点である。
1点目は、ゲル化時に半導体光触媒26が均一に分散するよう、攪拌しつつゲル化させることが必要であるため、攪拌中でもゲル化するよう、第2の多孔質構造部4のゲル化工程時より触媒の濃度を上げる必要がある。また、2点目のシリカ一次粒子21径を大きくするためには、大きなゾルを作製しておき、縮重合でゲル化させることである。具体的には、ゲル原料であるテトラメトキシシランのオリゴマーと水とアルコールとを混合し、まず塩酸などの酸触媒中でテトラメトキシシランの加水分解と縮重合を進行させることで大きなゾルを作り、次にアンモニア水のような塩基触媒を加えることで一気に縮重合を進め、ゲル化させる方法である。
これは、酸による加水分解はオキソニウムイオンがアルコキシル基の酸素原子を攻撃する親電子機構によって起こるため、加水分解によってシリコン原子に結合したアルコキシル基の数が減少するにつれて反応性が減少する。したがって、アルコキシシランは部分的に加水分解された状態で縮重合し、一次元的に重合されるため、ゲル化することなく大きなゾルとして成長することとなる。一方、塩基による加水分解は、ヒドロキシイオンがシリコン原子の位置に結合し、アルコキシル基が(OR)としてシリコン原子から遊離する親核機構によって起こるため、シリコン原子に結合したアルコキシル基の数が減少するにつれて反応性が増大する。したがって、ゾル中に残ったアルコキシル基の加水分解が進み、ゾル同士の三次元的重合が起こってゲル化する。
これら2点を考慮した具体的な手順として、ゲル原料であるテトラメトキシシランのオリゴマーと水とアルコールと塩酸とを混合し、例えば、60℃で2時間程度保持して大きなゾルを作製し、担持量が0.1g/ccとなるように半導体光触媒26(本実施の形態では、白金を担持した二酸化チタン)を混合し、ゆっくりと攪拌させた状態でアンモニア水を添加し、ゲル化を行った。
また、第2の多孔質構造部4作製時と同様に、形成された湿潤ゲルを加温雰囲気に置き、ゲル中の未反応のシラノール基を縮重合させることが、ゲル強度を増して、乾燥時の収縮を抑制することに有効である。
(2)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
第2の多孔質構造部4で行った方法と同様に、湿潤ゲル内に残った水や触媒などを表面張力の小さな溶媒に置換した。
(3)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
第2の多孔質構造部4で行った方法と同様である。疎水化を行っていないが、シリカ一次粒子21が大きいため、骨格間距離22も大きくなる。よって、(数1)の細孔径dが大きくなるため、毛管力ΔPは小さくなり、乾燥時の収縮は起こりにくい。
これらの工程を経て、半導体光触媒26を0.1g/ccで担持した光透過性を有する見かけ密度0.45g/ccのシリカ製で直径約5cm、半球状の第1の多孔質構造部3を得た。
そして、疎水性で光透過性を有する見かけ密度0.25g/ccのシリカ製で直径約5cm、半球状の第2の多孔質構造部4と、半導体光触媒を0.1g/ccで担持した光透過性を有する見かけ密度0.45g/ccのシリカ製で直径約5cm、半球状の第1の多孔質構造部3とをホットメルト型接着剤により張り合わせて、多孔質構造体5とした。接着剤はホットメルト型に限定されるものではないが、第1の多孔質構造部3や第2の多孔質構造部4の細孔へ入り込まないものが望ましい。また、長期間水と光に暴露されるため、水と光に強い接着剤が望ましい。
次に、図1に戻り、動作方法について説明する。給排水用バルブ8と給排気用バルブ9とを開け、貯水槽2に水1を貯め、多孔質構造体5を複数個、水1に浮かべる。その後、給排水用バルブ8と給排気用バルブ9を閉じ、切替弁15により経路を開放側に向け、ポンプ11を作動させて空間6を減圧雰囲気にする。空間6が減圧雰囲気下になった後、切替弁15により経路を分離装置12側へ切替える。そして、光7(本実施の形態では太陽光)を、第2の多孔質構造部4を透過して第1の多孔質構造部3に担持されている半導体光触媒26に照射すると、半導体24の価電子帯の電子が伝導帯に光励起され、伝導帯には自由電子が生成される一方、価電子帯には正孔が生成される。これらが水1に対してそれぞれ還元反応と酸化反応をおこすことで、水の分解が始まり、水素と酸素を生成し、空間6、配管10を通り、分離装置12へ入っていく。分離装置12では、水素が分離され、第1のタンク13に貯蔵される。水素が分離され残った酸素リッチなガスは、第2のタンク14に貯蔵される。水の光分解が進み、水が少なくなってくると給排水用バルブ8を開け、水1を補充していくことで連続的に水の光分解を行い、水素を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる水の光分解装置は、光を利用して水を酸素と水素とに高効率で分解することで、化石エネルギーを消費することなく、多くの酸素と水素とを回収することができるので、例えば、その水素エネルギーを家庭用燃料電池や燃料電池車などに用いることができ、また、水に含まれる有機物や細菌、微生物などを分解する水の浄化装置としても利用することができる。
本発明の実施の形態における水の光分解装置の断面模式図 (a)同水の光分解装置における多孔質構造体の断面模式図(b)同多孔質構造体の第2の多孔質構造部における一部分を拡大した模式図(c)同多孔質構造体の第1の多孔質構造部における一部分を拡大した模式図
符号の説明
1 水
2 貯水槽
3 第1の多孔質構造部
4 第2の多孔質構造部
5 多孔質構造体
6 空間
7 光
8 給排水用バルブ
9 給排気用バルブ
10 配管
11 ポンプ
12 分離装置
15 切替弁
16 回収装置
21 シリカ一次粒子
22 骨格間距離
23 空間部分
26 半導体光触媒

Claims (9)

  1. 貯水槽と、光により水を酸素と水素とに分解する半導体光触媒を担持した光透過性を有する第1の多孔質構造部および疎水性で光透過性を有する第2の多孔質構造部を備えた多孔質構造体と、分解された酸素と水素とを回収する回収装置とを備え、前記多孔質構造体は第1の多孔質構造部に水が浸入した状態で貯水槽の静水に浮かせた水の光分解装置。
  2. 回収した酸素と水素とを分離する分離装置を備えた請求項1に記載の水の光分解装置。
  3. 貯水槽の水は、池、湖、または海の一部である請求項1または2に記載の水の光分解装置。
  4. 光は、太陽光である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水の光分解装置。
  5. 半導体光触媒は、白金を担持した二酸化チタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水の光分解装置。
  6. 第2の多孔質構造部は、少なくとも水を含む溶媒とゲル原料とを混合することで湿潤ゲルを形成するゲル化工程と、前記湿潤ゲルの表面の少なくとも一部を疎水化する疎水化工程と、前記疎水化工程で表面を疎水化された湿潤ゲル内の水を除く除水工程と、前記除水工程で除水された湿潤ゲル内に残存した溶媒を除く乾燥工程とから作製される請求項1〜5のいずれか1項に記載の水の光分解装置。
  7. ゲル化工程において、ゲル原料がアルキルアルコキシシランであり、少なくとも溶媒には水とアルコールとゲル化を促進させる触媒とを含む請求項6に記載の水の光分解装置。
  8. 疎水化工程において、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用い、かつ乾燥工程が少なくとも表面の一部が疎水化された湿潤ゲル内に含まれる溶媒の臨界点未満の温度かつ圧力条件で乾燥する乾燥工程である請求項6または7に記載の水の光分解装置。
  9. RとR’はいずれもメチル基で、かつx=2である請求項8に記載の水の光分解装置。
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