JP6237067B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池システムに関する。
従来の燃料電池システムとして、燃料電池の出力電流を変化させながら検出した出力電圧に基づいて、燃料電池の電流電圧特性を推定するものがある(特許文献1参照)。
特開2000−357526号公報
燃料電池システムの起動後は、燃料電池の発電電力で補機を駆動することで燃料電池を暖機させ、燃料電池の電流電圧特性が所望の電流電圧特性になってから車両の走行許可を出すようにしている。そのため、燃料電池システムの起動後は、早期に電流電圧特性を推定し、可能な限り車両の走行許可を早く出したいという要求がある。
そこで、燃料電池システムを起動した後、補機の消費電力を目標値に向けて上昇させている過渡時から電流電圧特性の推定を行うことを検討しているが、燃料電池の出力電流を低下させながら検出した出力電圧に基づいて電流電圧特性を推定しようとすると、以下のような問題点が懸念される。
すなわち、補機の消費電力を目標値に向けて上昇させている過渡時は、消費電力の上昇に併せて、出力電流を変化させるときのバッテリ放電限界によって決まる下限電流も上昇するので、燃料電池の出力電流を低下させる際の電流の振り幅を十分に取れず、推定した電流電圧特性の精度が悪化するという問題点がある。
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、燃料電池システムの起動後、早期に、かつ、精度良く燃料電池の電流電圧特性を推定することを目的とする。
本発明のある態様によれば、アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電し、発電電力によって車両を走行させる燃料電池システムが提供される。そして、その燃料電池システムが、燃料電池の発電時に駆動される補機と、燃料電池の発電電力の余剰分を蓄えるバッテリと、燃料電池の出力電流を検出する出力電流検出手段と、燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、を備える。そして、燃料電池の暖機時に補機の消費電力を徐々に上昇させて一定値に制御し、補機の消費電力を徐々に上昇させている過渡時において、補機の消費電力が一定値に制御された後の定常時における燃料電池の出力の下限値である定常時下限電力を算出し、燃料電池の出力が定常時下限電力に達した後に、燃料電池の出力電流を増加させて所定の振り幅で燃料電池の出力電流を低下させたときの出力電圧に応じて燃料電池の電流電圧特性を推定することを特徴とする。
この態様によれば、補機の消費電力を徐々に上昇させている過渡時の段階から早期に燃料電池の電流電圧特性を推定できると共に、燃料電池の出力が定常時下限電力に達した後に電流電圧特性の推定を実施することで、所望の推定精度を確保することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池システムの概略図である。 燃料電池スタックの温度と、燃料電池スタックの電流電圧特性と、の関係を示す図である。 燃料電池システムの起動時における燃料電池スタックのIV特性の推定方法について説明する図である。 本発明の一実施形態による目標出力電流を設定する制御ブロック図である。 図4の制御ブロック図によって制御された出力電流及び発電電力の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態によるIV特性推定制御について説明するフローチャートである。 過渡時IV特性推定処理について説明するフローチャートである。 定常時IV特性推定処理について説明するフローチャートである。
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
燃料電池は電解質膜をアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とによって挟み、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)を供給することによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e- …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
この(1)(2)の電極反応によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
燃料電池を自動車用動力源として使用する場合には、要求される電力が大きいため、数百枚の燃料電池を積層した燃料電池スタックとして使用する。そして、燃料電池スタックにアノードガス及びカソードガスを供給する燃料電池システムを構成して、車両駆動用の電力を取り出す。
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システム100の概略図である。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、カソードガス給排装置2と、アノードガス給排装置3と、電力系4と、コントローラ5と、を備える。
燃料電池スタック1は、数百枚の燃料電池を積層したものであり、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて、車両の駆動に必要な電力を発電する。燃料電池スタック1は、電力を取り出す端子として、アノード電極側出力端子11と、カソード電極側出力端子12と、を備える。
カソードガス給排装置2は、燃料電池スタック1にカソードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスを外気に排出する装置である。カソードガス給排装置2は、カソードガス供給通路21と、フィルタ22と、カソードコンプレッサ23と、カソードガス排出通路24と、カソード調圧弁25と、を備える。なお、ここでは、図示しないが、燃料電池スタック1へ供給するカソードガスを加湿する加湿器を備えてもよい。加湿器は、例えば、カソードガス供給通路21にインジェクタを用いた水噴射システムであったり、中空糸膜を利用して燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスの水蒸気分をカソードガスに移動させる、水回収システムが挙げられる。
カソードガス供給通路21は、燃料電池スタック1に供給するカソードガスが流れる通路である。カソードガス供給通路21は、一端がフィルタ22に接続され、他端が燃料電池スタック1のカソードガス入口孔に接続される。
フィルタ22は、カソードガス供給通路21に取り込むカソードガス中の異物を取り除く。
カソードコンプレッサ23は、カソードガス供給通路21に設けられる。カソードコンプレッサ23は、フィルタ22を介してカソードガスとしての空気(外気)をカソードガス供給通路21に取り込み、燃料電池スタック1に供給する。
カソードガス排出通路24は、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスが流れる通路である。カソードガス排出通路24は、一端が燃料電池スタック1のカソードガス出口孔に接続され、他端が開口端となっている。
カソード調圧弁25は、カソードガス排出通路24に設けられる。カソード調圧弁25は、コントローラ5によって開口面積が調整されて、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
アノードガス給排装置3は、燃料電池スタック1にアノードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスを、カソードガス排出通路24に排出する装置である。アノードガス給排装置3は、高圧タンク31と、アノードガス供給通路32と、調圧弁33と、アノードガス排出通路34と、パージ弁35と、を備える。
高圧タンク31は、燃料電池スタック1に供給するアノードガスを高圧状態に保って貯蔵する。
アノードガス供給通路32は、高圧タンク31から排出されるアノードガスを燃料電池スタック1に供給するための通路である。アノードガス供給通路32は、一端が高圧タンク31に接続され、他端が燃料電池スタック1のアノードガス入口孔に接続される。
調圧弁33は、アノードガス供給通路32に設けられる。調圧弁33は、コントローラ5によって開閉制御されて、高圧タンク31からアノードガス供給通路32に流れ出したアノードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
アノードガス排出通路34は、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスが流れる通路である。アノードガス排出通路34は、一端が燃料電池スタック1のアノードガス出口孔に接続され、他端がカソードガス排出通路24に接続される。
パージ弁35は、アノードガス排出通路34に設けられる。パージ弁35は、コントローラ5によって開閉制御され、アノードガス排出通路34からカソードガス排出通路24に排出するアノードオフガスの流量を制御する。
電力系4は、電流センサ41と、電圧センサ42と、走行モータ43と、インバータ44と、バッテリ45と、DC/DCコンバータ46と、を備える。
電流センサ41は、燃料電池スタック1から取り出される電流(以下「出力電流」という。)を検出する。
電圧センサ42は、アノード電極側出力端子11とカソード電極側出力端子12の間の端子間電圧(以下「出力電圧」という。)を検出する。
走行モータ43は、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルを巻き付けた三相交流同期モータである。走行モータ43は、燃料電池スタック1及びバッテリ45から電力の供給を受けて回転駆動する電動機としての機能と、ロータが外力によって回転させられる車両の減速時にステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機としての機能と、を有する。
インバータ44は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの複数の半導体スイッチから構成される。インバータ44の半導体スイッチは、コントローラ5によって開閉制御され、これにより直流電力が交流電力に、又は、交流電力が直流電力に変換される。インバータ44は、走行モータ43を電動機として機能させるときは、燃料電池スタック1の発電電力とバッテリ45の出力電力との合成直流電力を三相交流電力に変換して走行モータ43に供給する。一方で、走行モータ43を発電機として機能させるときは、走行モータ43の回生電力(三相交流電力)を直流電力に変換してバッテリ45に供給する。
バッテリ45は、燃料電池スタック1の発電電力(出力電流×出力電圧)の余剰分及び走行モータ43の回生電力を充電する。バッテリ45に充電された電力は、必要に応じてカソードコンプレッサ23などの補機類及び走行モータ43に供給される。
DC/DCコンバータ46は、燃料電池スタック1の出力電圧を昇降圧させる双方向性の電圧変換機である。DC/DCコンバータ46によって燃料電池スタック1の出力電圧を制御することで、燃料電池スタック1の出力電流、ひいては発電電力が制御される。
コントローラ5は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ5には、前述した電流センサ41や電圧センサ42の他にも、アクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル操作量」という。)を検出するアクセルストロークセンサ51、バッテリ45の充電量を検出するSOCセンサ52、バッテリ45の温度を検出バッテリ温度センサ53などの燃料電池システム100を制御するために必要な各種センサからの信号が入力される。
図2は、燃料電池スタック1の温度と、燃料電池スタック1の電流電圧特性(以下「IV特性」という。)と、の関係を示す図である。図2において、実線で示したIV特性が、燃料電池スタック1の暖機が完了した後のIV特性(以下「基準IV特性」という。)である。
図2に示すように、燃料電池スタック1のIV特性は燃料電池スタック1の温度に応じて変化し、燃料電池スタック1の温度が低い場合ほど、同じ電流値の出力電流を燃料電池から取り出したときの出力電圧は低くなる。すなわち、燃料電池スタック1の温度が低いときほど、燃料電池スタック1の発電効率は低下する。
燃料電池スタック1の発電効率が低下した状態で車両の走行を許可してしまうと、走行時に走行モータ43の要求電力が大きくなって燃料電池スタック1の出力電流が増加したときに、燃料電池スタック1の出力電圧が最低電圧を下回るおそれがある。ここで最低電圧は、予め実験等によって設定される電圧値であって、燃料電池スタック1の出力電圧が最低電圧を下回ってしまうと、走行モータ43を駆動することができなくなる電圧値である。
したがって、燃料電池システム100の起動後は、燃料電池スタック1を暖機しつつ、燃料電池スタック1の温度上昇に応じて時々刻々と変化するIV特性が、走行モータ43を駆動しても燃料電池スタック1の出力電圧が最低電圧を下回ることのないIV特性になったことを確認して車両の走行許可を出す必要がある。図2で言えば、燃料電池スタック1の出力電流が走行許可電流になったときの出力電圧が、最低電圧を下回らないIV特性になったことを確認して車両の走行許可を出す必要がある。走行許可電流は、走行モータ43を駆動して車両を発進又は走行させた場合に想定される出力電流の最低値に所定の余裕代を加えた値であって、予め実験等によって設定される値である。
しかしながら、走行許可の出ていない暖機時に通電可能な電気部品は、走行モータ43以外のカソードコンプレッサ23や燃料電池スタック1を冷却する冷却水を加熱するヒータなどの補機及びバッテリ45に限られる。つまり、走行許可の出ていない暖機時は、補機及びバッテリ45に流すことのできる電流以上の出力電流を燃料電池スタック1から取り出すことができない。
したがって、走行許可の出ていない暖機時における出力電流の最大値(以下「走行許可前最大電流」)は、補機に流すことのできる電流(以下「補機消費電流」という。)に、バッテリ45に流すことのできる電流(以下「充電電流」という。)を加えたものとなるが、この走行許可前最大電流は、走行許可電流よりも小さい値となる。
そのため、走行許可の出ていない暖機時は、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出すことができないので、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っているかどうかを実際に判定することができない。
そこで本実施形態では、燃料電池システム100の起動後は、燃料電池スタック1を暖機しつつ燃料電池スタック1のIV特性を推定し、推定したIV特性が、走行モータ43を駆動しても燃料電池スタック1の出力電圧が最低電圧を下回ることのないIV特性になった時点で車両の走行許可を出すようにしている。
図3は、燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック1のIV特性の推定方法について説明する図である。図3において、実線は基準IV特性を示す。破線は走行許可の出ていない暖機中のある時点における実際のIV特性(以下「実IV特性」という。)を示す。
走行許可の出ていない暖機時は、出力電流を走行許可前最大電流までしか増大させることができない。そのため、走行許可前最大電流以上の領域における実IV特性を実際に検出することはできない。
ここで、走行許可の出ていない暖機中のある時点における実出力電流Irと、そのときの基準電圧(IV特性が基準IV特性であった場合に実際に検出されるはずの電圧)Vbと実出力電圧Vrとの電圧差ΔVと、の関係は以下の(3)式のように一次関数で近似することができる。
ΔV=A×Ir+B …(3)
したがって、出力電流を走行許可前最大電流までの間で変動させて、少なくとも任意の2点の実出力電流、基準電圧及び実出力電圧を算出すれば、(3)式の係数A及び切片Bを算出することができる。その結果、(3)式に基づいて、走行許可前最大電流以上の領域の任意の出力電流における出力電圧を算出することができるので、図3に一点鎖線で示すように、走行許可前最大電流以上の領域における実IV特性を推定することができる。
なお、図3に示すように、出力電流がIV推定下限電流になるまでは、活性化分極による電圧降下が大きく、出力電流の変動に対する出力電圧の変動が相対的に大きくなるので近似精度が低下する。そのため、本実施形態では、IV推定下限電流から走行許可前最大電流までの間で出力電流を一定量以上の振り幅で変動させて上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)を複数取得し、最小二乗法によって(3)式の係数A及び切片Bを算出している。
ここで、暖機中はIV特性が徐々に回復していくので、出力電流を上昇させながら取得したパラメータに基づいて(3)式の係数A及び切片Bを算出した場合には、推定IV特性が実IV特性よりも基準IV特性に近いIV特性になる傾向がある。このような推定IV特性に基づいて走行許可を出してしまうと、出力電流を走行許可電流まで上昇させたときに最低電圧を下回ってしまうおそれがある。
そのため本実施形態では、出力電流を降下させながら取得したパラメータに基づいてIV特性を推定している。
このように、走行許可の出ていない暖機中にIV特性を推定するには、IV推定下限電流から走行許可前最大電流までの間で出力電流を一定量以上の振り幅で降下させるべく、出力電流をIV特性推定用の目標出力電流に制御する必要がある。
図4は、本実施形態による目標出力電流を設定する制御ブロック図である。
目標補機消費電力算出部61は、カソードコンプレッサ23などの各補機で消費させる電力の目標値(以下「目標補機消費電力」という。)を算出する。走行許可が出ていない暖機中は、目標補機消費電力は所定の暖機時目標消費電力に設定される。
到達目標発電電力算出部62には、目標補機消費電力と、目標走行モータ供給電力と、が入力される。到達目標発電電力算出部62は、目標補機消費電力と目標走行モータ供給電力とを合算したものを、到達目標発電電力として算出する。目標走行モータ供給電力は、アクセル操作量が大きくなるほど大きくなり、走行許可が出ていない暖機中はアクセル操作量にかかわらずゼロとなる。
基本目標出力電流算出部63には、到達目標発電電力と、実発電電力(実出力電流×実出力電圧)と、が入力される。基本目標出力電流算出部63は、到達目標発電電力と実発電電力との偏差に基づいて、実発電電力を到達目標発電電力に向けて変化させる際の発電電力の目標値を、基本目標発電電力として算出する。また、発電電力を基本目標発電電力にするために要求される出力電流の目標値を、基本目標出力電流として算出する。
充放電可能電力算出部64には、バッテリ充電量と、バッテリ温度と、が入力される。充放電可能電力算出部64は、バッテリ充電量及びバッテリ温度に基づいて、バッテリ45に充電可能な電力(以下「充電可能電力」)及びバッテリ45から取り出し可能な電力(以下「放電可能電力」という。)を算出する。
IV推定用目標電流算出部65には、基本目標発電電力と、充電可能電力と、放電可能電力と、が入力される。IV推定用目標電流算出部65は、これらの入力値に基づいて、IV特性を推定するときの出力電流の目標値(以下「IV推定用目標電流」という。)を算出すると共に、IV推定実施フラグのON・OFF信号を出力する。燃料電池システムの起動時は、IV推定実施フラグはOFFに設定される。IV推定用目標電流算出部65の詳しい内容については、図5から図8を参照して後述する。
目標出力電流算出部66には、IV推定用目標電流と、基本目標出力電流と、が入力される。目標出力電流算出部66は、IV推定実施フラグがONになっていれば、IV推定用目標出力電流を目標出力電流として算出する。一方で、IV推定実施フラグがOFFになっていれば、基本目標出力電流を目標出力電流として算出する。
図5は、図4の制御ブロック図によって制御された出力電流及び発電電力の動作を示すタイムチャートである。
図5(B)において、破線Aは、基本目標発電電力を示す。破線Bは、基本目標発電電力に充電可能電力を足した電力(以下「上限発電電力」という。)を示す。破線Cは、基本目標発電電力から放電可能電力を引いた電力(以下「下限発電電力」という。)を示す。
なお、一点鎖線Dは、燃料電池システム起動後の走行許可が出ていない暖機時における到達目標発電電力、すなわち暖機時目標消費電力である。
一点鎖線Eは、到達目標発電電力に充電可能電力を足した電力であって、補機消費電力が到達目標発電電力まで上昇した後の上限発電電力(以下「定常時上限発電電力」という。)である。定常時上限発電電力は、バッテリ45に可能な限り電力を充電することを前提にして、燃料電池スタック1の発電電力で到達目標発電電力を実現しようとしたときに、燃料電池スタック1で最大限発電することが可能な発電電力の最大値である。
一点鎖線Fは、到達目標発電電力から放電可能電力を引いた電力であって、補機消費電力が到達目標発電電力まで上昇した後の下限発電電力(以下「定常時下限発電電力」という。)である。定常時下限発電電力は、バッテリ45の電力を可能な限り使用することを前提として、バッテリ45の放電電力と燃料電池スタック1の発電電力とで到達目標発電電力を実現しようとしたときに、燃料電池スタック1で発電しなければならいない発電電力の下限値である。
図5(A)において、破線Aは、基本目標出力電流を示す。破線Bは、発電電力を上限発電電力にするために要求される出力電流(以下「上限出力電流」という。)Ic1を示す。破線Cは、発電電力を下限発電電力にするために要求される出力電流(以下「下限出力電流」という。)Ic2を示す。走行許可が出ていない暖機中は、下限出力電流Ic2から上限出力電流Ic1の間で出力電流を変動させることができる。
なお、一点鎖線Dは、発電電力を定常時上限発電電力にするために要求される出力電流、すなわち走行許可前最大電流である。一点鎖線Eは、発電電力を定常時下限発電電力にするために要求される出力電流(以下「定常時下限電流」という。)It1である。一点鎖線Fは、IV推定下限電流Ic3である。
燃料電池システム100が起動されると、図5(B)に示すように、暖機時目標消費電力が到達目標出力電力として設定され、発電電力を暖機時目標消費電力にするための目標値が基本目標発電電力として設定される。
その結果、燃料電池システム100の起動時はIV推定実施フラグがOFFに設定されているので、基本目標出力電流が目標出力電流として設定され、図5(A)に示すように、出力電流が基本目標出力電流となるように制御される。
時刻t0で燃料電池スタック1の出力電流が定常時下限電流It1に到達し、時刻t1で上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が、IV特性を推定したときに所定の精度を確保するために必要な所定の電流振り幅ΔIt以上になると、IV推定実施フラグがONに設定される。そして、時刻t1における上限出力電流(以下「負荷上げ時目標電流」という。)It2がIV推定用目標電流に設定される。
その結果、IV推定用目標電流が目標出力電流として設定され、図5(A)に示すように、出力電流が負荷上げ時目標電流It2となるように制御される。
時刻t2で出力電流が負荷上げ時目標電流It2に到達すると、その時点から所定時間が経過するまでは、出力電流が負荷上げ時目標電流It2に維持される。
時刻t3で、時刻t2からの経過時間が所定時間に達すると、定常時下限電流It1がIV推定用目標電流に設定され、出力電流を所定の変化率で定常時下限電流It1へと変化させる。そして、出力電流を所定の変化率で定常時下限電流It1へと変化させている間に、上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)を複数取得する。
時刻t4で出力電流が定常時下限電流It1まで低下すると、取得したパラメータに基づいてIV特性を推定する。そして、IV推定実施フラグをOFFに設定し、再び出力電流が基本目標出力電流となるように制御する。
図6は、本実施形態によるIV特性推定制御について説明するフローチャートである。
ステップS1において、コントローラ5は、定常時下限電流It1を算出する。具体的には、走行許可が出ていない暖機時における到達目標発電電力(暖機時目標消費電力)から放電可能電力を引いて定常時下限発電電力を算出する。そして、発電電力を定常時下限発電電力にするために要求される出力電流を定常時下限電流It1として算出する。
ステップS2において、コントローラ5は、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が、IV特性を推定したときに所定の精度を確保するために必要な電流振り幅ΔIt以上になったか否かを判定する。コントローラ5は、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が電流振り幅ΔIt以上になるまで本処理を繰り返し、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が電流振り幅ΔIt以上になればステップS3の処理を行う。
ステップS3において、コントローラ5は、過渡時IV特性推定処理を実施する。過渡時IV特性推定処理は、燃料電池システム100を起動した後に行われる1回目のIV特性推定処理であって、補機消費電力が暖機時目標消費電力に到達する前の過渡時に実施されるIV特性推定処理である。過渡時IV特性推定処理の詳細については、図7を参照して後述する。
ステップS4において、コントローラ5は、過渡時IV特性推定処理でIV特性が推定されたか否かを判定する。コントローラ5は、IV特性が推定されていればステップS5の処理を行い、そうでなければステップS8の処理を行う。
ステップS5において、コントローラ5は、過渡時IV特性推定処理で推定したIV特性に基づいて、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っているかどうかを判定する。コントローラ5は、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っていなければステップS6の処理を行う。一方で、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っていればステップS7の処理を行う。
ステップS6において、コントローラ5は、車両の走行許可を出す。
ステップS7において、コントローラ5は、過渡時IV特性推定処理を実施してから後述する定常時IV特性推定処理を実施するまでのインターバル期間tintをゼロに設定する。
ステップS8において、コントローラ5は、定常時IV特性推定処理を実施する。定常時IV特性推定処理は、過渡時IV特性推定処理が実施された後に行われる2回目以降のIV特性推定処理であって、基本的に補機消費電力が暖機時目標消費電力に到達した後の定常時に実施されるIV特性推定処理である。定常時IV特性推定処理の詳細については、図8を参照して後述する。
ステップS9において、コントローラ5は、定常時IV特性推定処理で推定したIV特性に基づいて、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っているかどうかを判定する。コントローラ5は、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っていなければステップS6の処理を行う。一方で、燃料電池スタック1から走行許可電流を取り出したときの出力電圧が最低電圧を下回っていればステップS10の処理を行う。
ステップS10において、コントローラ5は、インターバル期間tintを可変値tm1に設定する。可変値tm1は、定常時IV特性推定処理で推定したIV特性が基準IV特性に近くなるほど、すなわちIV特性が回復するほど短くなるように設定される。
図7は、過渡時IV特性推定処理について説明するフローチャートである。
ステップS31において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをONに設定する。
ステップS32において、コントローラ5は、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が所定の電流振り幅ΔIt以上になったときの上限出力電流(以下「負荷上げ時目標電流」という。)It2と、現在の上限出力電流Ic1と、のうちの小さいほうを、IV推定用目標電流として設定する。このステップでは、基本的に負荷上げ時目標電流It2がIV推定用目標電流として設定されるが、このように負荷上げ時目標電流It2と、現在の上限出力電流Ic1と、のうちの小さいほうをIV推定用目標電流として設定するのは以下の理由による。すなわち、後述するステップS33で出力電流をIV推定用目標電流に保持しているときに、イレギュラー的に負荷上げ時目標電流It2が現在の上限出力電流Ic1よりも大きくなってしまうと、充電電流が過多となってバッテリ45が劣化するので、これを防止するためである。
ステップS33において、コントローラ5は、出力電流が、ステップS32で設定されたIV推定用目標電流に到達してから所定時間が経過したか否かを判定する。コントローラ5は、出力電流がIV推定用目標電流に到達してから所定時間が経過していなければステップS34の処理を行い、経過していればステップS37の処理を行う。
ステップS34において、コントローラ5は、電圧落ち判定を実施する。具体的には、出力電流をIV推定用目標電流に保持しているときに、出力電圧が所定の電圧落ち判定値未満になったか否かを判定する。コントローラ5は、出力電圧が所定の電圧落ち判定値未満になっていれば、過渡時IV特性推定処理を中止すべくステップS35の処理を行う。一方で、出力電圧が所定の電圧落ち判定値以上であれば、ステップS32の処理に戻る。
ステップS35において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをOFFに設定して過渡時IV特性推定処理を中止する。そして、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御する。
ステップS36において、コントローラ5は、インターバル期間tintを所定の固定値tm2に設定する。固定値tm2は前述した可変値tm1よりも大きい値である。
ステップS37において、コントローラ5は、現在の出力電流(=ステップS32で設定したIV推定用目標電流)Irから電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3以上か否かを判定する。コントローラ5は、現在の出力電流Irから電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3以上であればステップS38の処理を行う。一方、現在の出力電流Irから電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3未満であれば、過渡時IV特性推定処理を中止すべくステップS43の処理を行う。
ステップS38において、コントローラ5は、現在の出力電流Irから電流振り幅ΔItを引いた値と、下限出力電流Ic2と、のうちの大きいほうを、IV推定用目標電流として設定し、出力電流を所定の変化率でIV推定用目標電流に向けて低下させる。
ステップS39において、コントローラ5は、出力電流を低下させている間に上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)を取得する。
ステップS40において、コントローラ5は、出力電流が、ステップS38で設定したIV推定用目標電流まで低下したか否かを判定する。コントローラ5は、出力電流がIV推定用目標電流まで低下していればステップS41の処理を行い、そうでなければステップS39の処理に戻って上記の3つのパラメータを取得する。
ステップS41において、コントローラ5は、上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)の取得を終了し、取得したパラメータに基づいてIV特性を推定する。
ステップS42において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをOFFに設定し、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御する。
ステップS43において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをOFFに設定して過渡時IV特性推定処理を中止する。そして、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御する。
ステップS44において、コントローラ5は、インターバル期間tintをゼロに設定する。
図8は、定常時IV特性推定処理について説明するフローチャートである。
ステップS81において、コントローラ5は、インターバル期間tintが設定されてからの経過時間が、設定されたインターバル期間tintよりも大きくなったか否かを判定する。コントローラ5は、インターバル期間tintが経過するまで本処理を繰り返し、インターバル期間tintが経過すればステップS82の処理を行う。
ステップS82において、コントローラ5は、上限出力電流Ic1と、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3の大きいほうと、の差が電流振り幅ΔIt以上か否かを判定する。コントローラ5は、上限出力電流Ic1と、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3の大きいほうと、の差が電流振り幅ΔIt以上であればステップS83の処理を行い、そうでなければ電流振り幅ΔIt以上になるまで本処理を継続する。
ステップS83において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをONに設定する。
ステップS84において、コントローラ5は、上限出力電流Ic1と、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3の大きいほうと、の差が電流振り幅ΔIt以上になったときの上限出力電流Ic1と、現在の上限出力電流Ic1と、のうちの小さいほうを、負荷上げ時のIV推定用目標電流として設定する。
ステップS85において、コントローラ5は、出力電流が、ステップS84で設定された負荷上げ時のIV推定用目標電流に到達してから所定時間が経過したか否かを判定する。コントローラ5は、出力電流が負荷上げ時のIV推定用目標電流に到達してから所定時間が経過していなければステップS86の処理を行い、経過していればステップS89の処理を行う。
ステップS86において、コントローラ5は、電圧落ち判定を実施する。具体的には、出力電流を負荷上げ時のIV推定用目標電流に保持しているときに、出力電圧が所定の電圧落ち判定値未満になったか否かを判定する。コントローラ5は、出力電圧が所定の電圧落ち判定値未満になっていれば、再び所定のインターバル期間経過後に定常時IV特性推定処理を実施すべく、ステップS87の処理を行う。一方で、出力電圧が所定の電圧落ち判定値以上であれば、ステップS84の処理に戻る。
ステップS87において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをOFFに設定し、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御する。
ステップS88において、コントローラ5は、インターバル期間tintを所定の固定値tm2に設定し、その後はステップS81に戻って設定したインターバル期間経過後に再度IV特性の推定処理を開始する。
ステップS89において、コントローラ5は、現在の出力電流Irから電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3以上か否かを判定する。コントローラ5は、現在の出力電流Irから所定の電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3以上であればステップS90の処理を行う。一方、現在の出力電流Irから所定の電流振り幅ΔItを引いた値が、下限出力電流Ic2及びIV推定下限電流Ic3未満であれば、ステップS95の処理を行う。
ステップS90において、コントローラ5は、現在の出力電流Irから電流振り幅ΔItを引いた値と、下限出力電流Ic2と、のうちの大きいほうを、負荷下げ時のIV推定用目標電流として設定し、出力電流を所定の変化率で負荷下げ時のIV推定用目標電流に向けて低下させる。
ステップS91において、コントローラ5は、出力電流を低下させている間に上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)を取得する。
ステップS92において、コントローラ5は、出力電流が、ステップS89で設定した負荷下げ時のIV推定用目標電流まで低下したか否かを判定する。コントローラ5は、出力電流が負荷下げ時のIV推定用目標電流まで低下していればステップS93の処理を行い、そうでなければステップ91の処理に戻って上記の3つのパラメータを取得する。
ステップS93において、コントローラ5は、上記の3つのパラメータ(実出力電流、基準電圧及び実出力電圧)の取得を終了してIV特性を推定する。
ステップS94において、コントローラ5は、IV推定実施フラグをOFFに設定し、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御する。
ステップS95において、コントローラ5はIV推定実施フラグをOFFに設定する。そして、基本目標出力電流を目標出力電流として設定して出力電流を基本目標出力電流に制御し、ステップS82に戻って再度IV特性の推定処理を開始する。
以上説明した本実施形態による燃料電池システム100は、燃料電池スタック1の暖機時に、カソードコンプレッサ23などの補機の消費電力を徐々に上昇させて目標補機消費電力(一定値)に制御する過渡時に、補機の消費電力が目標補機消費電力に制御された後の定常時における燃料電池スタック1の発電電力の下限値である定常時下限発電電力を算出する。そして、燃料電池スタック1の発電電力が定常時下限発電電力に達した後に、燃料電池スタック1の出力電流を増加させて所定の振り幅で出力電流を低下させたときの出力電圧に応じて燃料電池スタック1のIV特性を推定する。
このように本実施形態では、燃料電池システム100を起動した後、補機消費電力が暖機時目標消費電力に到達する前の過渡時からIV特性の推定を実施することにした。これにより、補機消費電力が暖機時目標消費電力に到達した後の定常時になってからIV特性の推定をする場合と比較して、より早期にIV特性を推定することができる。
また、このような過渡時に出力電流を低下させながら所定のパラメータを取得してIV特性を推定しようとした場合は、出力電流を低下させている間に補機消費電力の上昇と共に下限出力電力も上昇していくので、所定の電流振り幅ΔItを確保できずにIV特性の精度が低下するおそれがある。
これに対して本実施形態では、定常時下限発電電力に到達した時の燃料電池スタック1の出力電流を、補機の消費電力が目標補機消費電力に制御された後の定常時における燃料電池スタック1の出力電流の下限値である定常時下限電流It1とし、バッテリ45の充電可能電力に基づいて、過渡時における燃料電池スタック1の出力電流の上限値である上限出力電流Ic1を算出することとした。そして、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が所定の振り幅ΔIt以上となったら燃料電池スタック1の出力電流を増加させて所定の振り幅ΔItで燃料電池スタック1の出力電流を低下させることとした。
このように本実施形態では、定常時下限電流It1を基準として所定の電流振り幅ΔItを確保できたときにIV推定を実施することにした。この定常時下限電流It1は、過渡時における下限出力電流の最大値と言い換えることもできる。したがって、定常時下限電流It1を基準として所定の電流振り幅ΔItを確保できたときにIV推定を実施することで、確実に出力電流を電流振り幅ΔIt分だけ低下させることができるので、IV特性の推定精度を確保することができる。
よって本実施形態による燃料電池システム100によれば、補機の消費電力を徐々に上昇させている過渡時の段階から早期に燃料電池スタック1のIV特性を推定できると共に、燃料電池スタック1の発電電力が定常時下限発電電力に達した後にIV特性の推定を実施することで、所望の推定精度を確保することができる。
また、本実施形態による燃料電池システム100は、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が所定の振り幅ΔIt以上となったら、燃料電池スタック1の出力電流をそのときの上限出力電流まで増加させる。これにより、IV特性の推定精度を確保できる状態になった時点でIV推定を開始することができるので、最短でIV特性を推定することができる。
また本実施形態によれば、上限出力電流Ic1及び定常時下限電流It1をバッテリ充電量等のバッテリの状態に応じて算出することにしたので、バッテリ45の過充電及び過放電を防止でき、バッテリ45の劣化を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、確実に電流振り幅ΔItが取れること確認するため、上限出力電流Ic1と定常時下限電流It1との差が所定の電流振り幅ΔIt以上になったときに、出力電流を負荷上げ時目標電流It2に制御してIV推定を開始していたが、出力電流が定常時下限電流It1に達したことを判定した後であれば、出力電流を上昇させてIV推定を開始させても良い。これによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
1 燃料電池スタック(燃料電池)
23 カソードコンプレッサ(補機)
41 電流センサ(出力電流検出手段)
42 電圧センサ(出力電圧検出手段)
45 バッテリ
63 基本目標出力電流算出部(暖機時補機制御手段)
S1 定常時下限電流算出手段
S3 過渡時電流電圧特性推定手段
S8 定常時電流電圧特性推定手段

Claims (8)

  1. アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電し、発電電力によって車両を走行させる燃料電池システムであって、
    前記燃料電池の発電時に駆動される補機と、
    前記燃料電池の発電電力の余剰分を蓄えるバッテリと、
    前記燃料電池の出力電流を検出する出力電流検出手段と、
    前記燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
    前記燃料電池の暖機時に、前記補機の消費電力を徐々に上昇させて一定値に制御する暖機時補機制御手段と、
    前記補機の消費電力を徐々に上昇させている過渡時において、前記補機の消費電力が一定値に制御された後の定常時における前記燃料電池の出力の下限値である定常時下限電力を算出する定常時下限電力算出手段と、
    前記燃料電池の出力が前記定常時下限電力に達した後に、前記燃料電池の出力電流を増加させて所定の振り幅で前記燃料電池の出力電流を低下させたときの出力電圧に応じて前記燃料電池の電流電圧特性を推定する過渡時電流電圧特性推定手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記過渡時電流電圧特性推定手段は、
    前記定常時下限電力に到達した時の前記燃料電池の出力電流を前記補機の消費電力が一定値に制御された後の定常時における前記燃料電池の出力電流の下限値である定常時下限電流とし、
    前記バッテリの充電可能電力に基づいて、前記過渡時における前記燃料電池の出力電流の上限値である上限出力電流を算出し、
    前記上限出力電流と前記定常時下限電流との差が前記所定の振り幅以上となったら、前記燃料電池の出力電流を増加させて所定の振り幅で前記燃料電池の出力電流を低下させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記過渡時電流電圧特性推定手段は、
    前記上限出力電流と前記定常時下限電流との差が前記所定の振り幅以上になったときに、前記燃料電池の出力電流をそのときの上限出力電流まで増加させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記定常時下限電流算出手段は、
    前記暖機時制御手段によって一定値に制御されたときの前記補機の消費電力と、前記バッテリの放電可能電力と、に基づいて前記定常時下限電流を算出する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  5. 前記補機の消費電力が一定値に制御された後の定常時において、定常時における前記燃料電池の出力電流の上限値である定常時上限電流と、前記定常時下限電流と、の差が前記所定の振り幅以上となったときに、前記燃料電池の出力電流を増加させて所定の振り幅で低下させたときの出力電圧に応じて前記燃料電池の電流電圧特性を推定する定常時電流電圧特性推定手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  6. 定常時電流電圧特性推定手段は、
    前記定常時における前記補機の消費電力と、前記バッテリの充電可能電力と、に基づいて前記定常時上限電流を算出する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記バッテリの放電可能電力は、前記バッテリの充電量及び温度の一方又は双方に基づいて算出される、
    ことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  8. 前記バッテリの充電可能電力は、前記バッテリの充電量及び温度の一方又は双方に基づいて算出される、
    ことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
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