以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システム、すなわちセルラーシステムを示すブロック図である。無線通信システムは複数の基地局装置100を備える。基地局装置100は有線または無線にて相互に接続されて、相互に通信可能である。
各基地局装置100は、所定の無線アクセス技術(Radio Access Technology)、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)におけるLTE(Long Term Evolution)に従って、ユーザ装置200と無線通信を行う。下りリンクの無線送信方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、上りリンクの無線送信方式としてSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用される。各ユーザ装置200はUE(user equipment)であり、各基地局装置100はeNB(evolved Node B)である。
隣接する複数の基地局装置100が同じ周波数を用いて同時に下りリンク送信をするとき、宛先である複数のユーザ装置200は干渉を受ける。また、隣接する複数の基地局装置100にそれぞれ接続される複数のユーザ装置200が同じ周波数を用いて同時に上りリンク送信をするとき、宛先である複数の基地局装置100は干渉を受ける。
図2は、第1の実施の形態に係る無線通信システムでの下りリンクの無線リソースを示す図である。図2において、最小の升目は、各ユーザ装置200に割り当てられるリソースブロックRBである。各リソースブロックRBは時間および周波数で特定される。
図2に示すように、本発明においては時間スロットという概念が使用される。本明細書において、「時間スロット」は1msの長さのサブフレームである。但し、「時間スロット」は10msの長さの無線フレームであってもよいし、いくつかのサブフレームの集合であってもよい。いずれにせよ、各時間スロットは、少なくとも1つのユーザ装置200に割り当て可能な複数のリソースブロックRBを有する。
これらの時間スロットは、複数のスロットグループにグループ化されている。複数のスロットグループの各々は複数の所定数の時間スロットを有する。図2の例では、各スロットグループは、10個の時間スロットを有しており、各スロットグループを構成する10個の時間スロットは時間的に連続している。但し、各スロットグループを構成するスロットの数は10に限られない。
この無線通信システムは基地局間同期システムである。この無線通信システムにおいては、すべての基地局装置100が、各スロットグループの始期と終期、各スロットの始期と終期を共有している。また、各スロットグループを構成するスロットの数も、すべての基地局装置100が共有している。但し、無線通信システムのすべての基地局装置100がこれらを共有しなくてもよく、少なくともある特定のエリアにある基地局装置100がこれらを共有していてもよい。
各基地局装置100は、スロットグループの各々において先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBを記憶し、後続の時間スロット(先頭の時間スロットS1を除く複数の時間スロット)においては、先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBの中から、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するべき複数のリソースブロックRBを選択する。つまり、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で下りリンクのデータ送信に使用したリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットでは下りリンクのデータ送信に使用しない。
図3に示すように、各基地局装置100は、無線通信部(送信部、受信部)110、送受信アンテナ112、基地局間通信部120、記憶部122、符号化部124、変調部126、バッファ128、および制御部130を備える。
無線通信部110は、ユーザ装置200と無線通信を実行するための要素であり、ユーザ装置200から電波を受信して電気信号に変換する受信回路(図示せず)と、ユーザ装置200に送信されるべき電気信号を電波に変換して送信する送信回路(図示せず)とを備える。
基地局間通信部120は、他の基地局装置と通信を実行するための要素であり、他の無線基地局装置と電気信号を送受信する。基地局間通信には、有線通信が利用されるが、無線通信を利用してもよい。
制御部130は、下りリンクリソーススケジューラ132、MCS(変調・符号化方式)決定部134、PF(プロポーショナル・フェアネス)メトリック計算部136、所要総数決定部138、個別トラフィック量推定部140および所要個別数決定部142を備える。制御部130は例えばCPU(Central Processing Unit)である。下りリンクリソーススケジューラ132、MCS決定部134、PFメトリック計算部136、所要総数決定部138、個別トラフィック量推定部140および所要個別数決定部142は、CPUが図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。記憶部122は制御部130のワークエリアであり、例えばRAM(Random Access Memory)である。
制御部130は、データを符号化部124に供給し、符号化部124はデータのチャネル符号化を行う。変調部126は、符号化されたデータを変調して、変調されたデータをバッファ128に蓄積する。バッファ128に蓄積されたデータは、無線通信部110に順次読み出されて、宛先のユーザ装置200に送信される。したがって、バッファ128は、当該基地局装置100に接続されているすべてのユーザ装置200へ送信されるべきデータを一時的に格納する。
制御部130において、下りリンクリソーススケジューラ132は、下りリンクのリソーススケジューリングを実行する。具体的には、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200に下りリンクのリソースブロックRBをそれぞれ割り当てる。無線通信部110は、下りリンクリソーススケジューラ132で割り当てられたリソースブロックRBを使用して、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信を実行する。
下りリンクリソーススケジューラ132は、図2を参照して上述したスロットグループの各々について先頭の時間スロットS1で、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBを示す情報を記憶部122に記憶する。下りリンクリソーススケジューラ132は、記憶部122の記憶を参照し、各スロットグループでの後続の時間スロット(先頭の時間スロットS1を除く複数の時間スロット)においては、先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBの中から、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するべき複数のリソースブロックを選択する。つまり、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で使用した下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットでは下りリンクのデータ送信に使用しない。したがって、無線通信部110は、各スロットグループでの後続の時間スロットにおいては、下りリンクリソーススケジューラ132でそのように選択されたリソースブロックRBのみを使用して複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信を実行する。
所要総数決定部138は、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での、この基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを決定する。個別トラフィック量推定部140は、各ユーザ装置200に送信されるべき下りリンクのデータトラフィック量を推定する。所要個別数決定部142は、各時間スロットでの、各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要個別数NS1IRBを決定する。
MCS決定部134は、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200の各々から送信されて無線通信部110で受信された下りリンクチャネル品質情報に基づいて、各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するための変調・符号化方式(MCS)を決定する。この目的のため、無線通信部110は、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報を受信する。下りリンクチャネル品質情報は、各ユーザ装置200で測定されるSINRに基づいており、基地局装置100からそのユーザ装置200へのチャネル品質を示すとみなすことができる。各ユーザ装置200から送信される下りリンクチャネル品質情報は、SINRを直接的に示す情報であってもよいし、SINRからユーザ装置200で決定されユーザ装置200への送信に使用されるべきMCSを示すチャネル品質インジケータ(channel quality indicator、CQI)であってもよい。
図4は、ユーザ装置200からフィードバックされうるCQIを示すインデックス(0〜15)と、そのインデックス(CQIインデックス)で指定されるMCSの例を示す表である。CQIインデックスが大きいほど、送信効率は高い。送信効率が高いほど、ユーザ装置200で受信されるデータの誤り率が上昇しがちである。換言すれば、低い送信効率のMCSを使用すれば、ユーザ装置200でのデータの誤り率が低減されることが期待される。
MCS決定部134は、各ユーザ装置200からフィードバックされた下りリンクチャネル品質情報に基づいて、そのユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用されるべき変調方式および符号化方式を決定する。MCS決定部134は、決定した変調方式でデータを変調するよう変調部126を制御し、決定した符号化方式でデータを符号化するよう符号化部124を制御する。
PFメトリック計算部136は、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200の各々から送信されて無線通信部110で受信された下りリンクチャネル品質情報に基づいて、各ユーザ装置200について、かつ無線基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能なすべてのリソースブロックRBの各々について、プロポーショナル・フェアネス・メトリック(PFメトリック)を計算する。
PFメトリックは、瞬時SINRを、過去のSINRの平均値で割り算することで得ることができる。ユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報としてSINRを直接的に示す情報がフィードバックされる場合、PFメトリック計算部136はこの手法でPFメトリックを計算することができる。あるいは、PFメトリックは、瞬時CQIインデックスの値を、過去のCQIインデックスの値の平均値で割り算することで得ることができる。ユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報としてCQIインデックスがフィードバックされる場合、PFメトリック計算部136はこの手法でPFメトリックを計算することができる。あるいは、PFメトリック計算部136は、ユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報としてフィードバックされたCQIインデックスの値をSINRに換算し、瞬時SINRを過去のSINRの平均値で割り算してPFメトリックを計算してもよい。
PFメトリック計算部136は、計算されたこれらのPFメトリックを下りリンクリソーススケジューラ132に供給する。下りリンクリソーススケジューラ132は、これらのPFメトリックを参照し、プロポーショナル・フェアネス法に従って、各ユーザ装置200にリソースブロックRBを割り当てる。すなわち、ユーザスケジューリング方法は、公知の方法でよい。
この実施の形態では、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で使用した下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットS2〜S10では下りリンクのデータ送信に使用しない。つまり、いずれの基地局装置100においても、各スロットグループの範囲内で、ほぼ一定のリソースブロックRBだけが下りリンクのデータ送信に使用される。後続の時間スロットで使用されるリソースブロックRBが先頭の時間スロットS1で使用されたリソースブロックRBより減ることはあっても、増えることはない。したがって、各スロットグループの範囲内で、セル間干渉が安定化され、ひいてはチャネル品質の変動が抑制される。各ユーザ装置200では先頭の時間スロットS1で測定されたSINRが、このユーザ装置200にとってそのスロットグループの後続する時間スロットでのSINRの最低値となる。
各基地局装置100において後続の時間スロットS2〜S10では複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用可能なリソースブロックRBの上限が規制されているので、各ユーザ装置200が移動せず、かつ下りリンクのトラフィック量が変化しないと仮定すれば、各スロットグループの範囲内で、先頭の時間スロットS1で使用されたリソースブロックRBと同じリソースブロックRBが後続の時間スロットでも使用される。このような仮定の下では、各スロットグループの範囲内で、干渉が一定になるのでチャネル品質の変動はほぼないと考えられる。チャネル品質の変動がないと仮定すれば、各ユーザ装置200では先頭の時間スロットS1で測定されたSINRが、このユーザ装置200にとってそのスロットグループの後続する時間スロットでのSINRとほぼ等しいことになる。
実際には、各ユーザ装置200が移動することによりチャネル品質が変動する。また、下りリンクのトラフィック量の変化により、基地局装置100で使用するリソースブロックRBが変化して、干渉量が変化するため、チャネル品質が変動しうる。しかしながら、各基地局装置100で、後続の時間スロットでは使用可能なリソースブロックRBの上限が規制されているので、各スロットグループの範囲内で、セル間干渉がほぼ一定になり、チャネル品質の変動が顕著に抑制される。
セル間干渉の抑圧の技術としては、複数の基地局装置が協調して下りリンクの送信を行うCoMP(Coordinated Multiple Point transmission and reception)が知られている。CoMPでは、基地局装置がユーザ装置でのチャネル品質に関する情報を交換する必要がある。しかし、この実施の形態に係る方式では、各基地局装置100は、独自に各スロットグループ内での後続する時間スロットで使用可能なリソースブロックRBを規制する。後述するように、先頭の時間スロットS1でのリソースブロックRBの所要数を決定するために、各基地局装置100は、他の基地局装置の下りリンクのデータトラフィック量を考慮してもよいが、その場合でも基地局装置100相互に交換する情報量は、ユーザ装置でのチャネル品質に関する情報を基地局装置が共有する場合に比べて、少なくて済む。
以上のように、各スロットグループの範囲内でチャネル品質の変動が顕著に抑制されるので、各スロットグループの範囲内では、先頭の時間スロットS1でユーザ装置200により測定されたSINRまたはそれに対応する指標に基づいて、基地局装置100がMCSを決定すれば、そのMCSは後続の時間スロットにもおおむね適切であると考えられる。そのように決定されたMCSに従って下りリンクのデータ送信を行うことにより、潜在的に達成可能なスループットに近いスループットを達成できるようになると考えられる。
また、各スロットグループの範囲内で、チャネル品質の変動が顕著に抑制されるので、各スロットグループの範囲内では、先頭の時間スロットS1でユーザ装置200により測定されたSINRに基づいて、下りリンクリソーススケジューラ132は、後続の時間スロットでのユーザスケジューリングを実施すればよい。ユーザスケジューリング方法としては、上記の通り公知の方法を用いることができる。
上記のように、各スロットグループでは、先頭の時間スロットS1でユーザ装置200により測定されるSINRが重要となりうる。そこで、基地局装置100においては、無線通信部110が、各スロットグループの先頭の時間スロットS1では、後続の時間スロットS2〜S10の各々での参照信号よりも多数の参照信号(SINRの測定のための参照信号)を送信すると好ましい。SINRの測定のための参照信号には、例えば、セル固有参照信号(CRS)またはチャネル状態情報参照信号(channel state information RS(CSI-RS))がある。
但し、ユーザ装置200の移動によるチャネル変動の影響をより的確に考慮するため、後続の時間スロットS2〜S10でも、ユーザ装置200がチャネル品質を測定して、基地局装置100に下りリンクチャネル品質情報をフィードバックしてもよい。
各基地局装置100において、所要総数決定部138はスロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での、この基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを以下の方式に従って決定することが好ましい。但し、リソースブロックRBの所要総数NS1TRBは、以下の方式に従わずに任意に決定してもよい。
(1)所要総数決定部138は、当該基地局装置100での過去の下りリンクのデータトラフィック量(この基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200に対する)、またはこの基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200に対して過去に下りリンクのデータ送信に使用されたリソースブロックRBの数に基づいて、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを決定することができる。例えば、リソースブロックRBの所要総数NS1TRBは、過去のいずれかの単一の時間スロットで下りリンクのデータ送信に使用されたリソースブロックRBの数と等しくてもよい。あるいは、リソースブロックRBの所要総数NS1TRBは、時間スロットあたりの平均リリソースブロックRB数であってもよい。例えば、所要総数NS1TRBは、直前のスロットグループのすべてまたはいくつかの時間スロットで下りリンクのデータ送信に使用されたリソースブロックRBの総数を、それらの時間スロットの数で除算した数であってもよい。あるいは、所要総数決定部138は、当該基地局装置100での過去のデータトラフィック量(例えば、直前のスロットグループで下りリンクのデータ送信されたデータの量)を演算処理することにより、リソースブロックRBの所要総数NS1TRBを決定してもよい。
以上のように所要総数NS1TRBを決定することにより、各基地局装置100は、この基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200に対して過去の時間スロットで下りリンクのデータ送信に使用されたリソースブロックRBの数と、あまり変わらない数NS1TRBのリソースブロックRBを先頭の時間スロットS1で下りリンクのデータ送信に使用することができる。したがって、各基地局装置100の下りリンクリソーススケジューラ132は、引き続き精度の良いチャネル品質情報に基づき動作することができる。
(2)バッファ128に格納されているデータの量(すなわちこれから下りリンクのデータ送信すべきデータの量)に基づいて、所要総数決定部138は、方式(1)で決定された、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを補正してもよい。バッファ128に格納されているデータの量が多ければ、所要総数決定部138は所要総数NS1TRBを増加させてよく、データの量が多いほど、増加分を大きくしてよい。バッファ128に格納されているデータの量が少なければ、所要総数決定部138は所要総数NS1TRBを減少させてよく、データの量が少ないほど、減少分を大きくしてよい。
バッファ128に格納されているデータの量に対する具体的な補正量は、例えば、あらかじめテーブルに記録してもよい。テーブルは、例えば、図示しないROMに格納することができる。補正量は、正の値もありうるし負の値もありうる。あるいは、所要総数決定部138は、バッファ128に格納されているデータの量に応じて、所要総数NS1TRBを補正する数式を使用してもよい。
バッファ128に格納されているデータの量に基づいて、所要総数NS1TRBを補正することにより、現在下りリンクのデータ送信に必要な所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを基地局装置100は確保することができる。
(3)直前のスロットグループの先頭の時間スロットS1でバッファ128に格納されていたデータの量と、現在バッファ128に格納されているデータの量の差分に基づいて、所要総数決定部138は、方式(1)で決定された(あるいは方式(2)で補正された)、リソースブロックRBの所要総数NS1TRBを補正してもよい。現在のデータの量が過去のデータの量より多ければ、所要総数決定部138は所要総数NS1TRBを増加させてよく、その差分が大きいほど、増加分を大きくしてよい。現在のデータの量が過去のデータの量より少なければ、所要総数決定部138は所要総数NS1TRBを減少させてよく、その差分が大きいほど、減少分を大きくしてよい。
差分に対する具体的な補正量は、例えば、あらかじめテーブルに記録してもよい。テーブルは、例えば、図示しないROMに格納することができる。補正量は、正の値もありうるし負の値もありうる。あるいは、所要総数決定部138は、差分に応じて、所要総数NS1TRBを補正する数式を使用してもよい。
上記の差分に基づいて、所要総数NS1TRBを補正することにより、現在下りリンクのデータ送信に必要な所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを基地局装置100は確保することができる。
(4)他の基地局装置100の下りリンクのデータ送信のデータトラフィック量を示す情報に基づいて、所要総数決定部138は、方式(1)で決定された(あるいは方式(2)および/または方式(3)で補正された)、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを補正してもよい。この目的のため、基地局装置100は、基地局装置100自身の下りリンクのデータトラフィック量を示す情報を、基地局間通信部120を使用して他の基地局装置100に適切な時間間隔で送信してもよい。あるいは、各ユーザ装置200は、そのユーザ装置200が接続された所望の基地局装置100に、他の基地局装置からの干渉量を示す信号を送信してもよい。他の基地局装置からの干渉量を示す信号に基づいて、基地局装置100の制御部130は、他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量を示す情報を推定することができる。
他の基地局装置100が上記の方式(1)に従ってリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを決定する場合には、他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量が大きい場合に、その他の基地局装置が与える干渉が大きいと考えられる(ユーザ装置200でのSINRは低下すると考えられる)。逆に他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量が小さい場合には、その他の基地局装置が与える干渉が小さいと考えられる(ユーザ装置200でのSINRは向上すると考えられる)。そこで、所要総数決定部138は、他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量が大きい場合には、所要総数NS1TRBを増加させ、他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量が小さい場合には、所要総数NS1TRBを減少させるのが好ましい。
他の基地局装置100の下りリンクのデータ送信トラフィック量に対する具体的な補正量は、例えば、あらかじめテーブルに記録してもよい。テーブルは、例えば、図示しないROMに格納することができる。補正量は、正の値もありうるし負の値もありうる。あるいは、所要総数決定部138は、他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量に応じて、所要総数NS1TRBを補正する数式を使用してもよい。
他の基地局装置100の下りリンクのデータトラフィック量を示す情報に基づいて、所要総数NS1TRBを補正することにより、他の基地局装置100での送信に起因する干渉量に対して適切な所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを基地局装置100は確保することができる。
以上のように、所要総数決定部138が先頭の時間スロットS1での下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBを決定した後、下りリンクリソーススケジューラ132は、どのリソースブロックRBを先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するかを決定することができる。複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定(すなわち選択)は、以下の方式に従うことが好ましい。
当該基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200の各々について、かつ当該基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。これらのPFメトリックは、PFメトリック計算部136で計算される。但し、後述する他の実施の形態に関して説明するように、これらのPFメトリックは、各ユーザ装置200で計算されて、各ユーザ装置200から基地局装置100に報告されてもよい。
過去の下りリンクのPFメトリックがより大きい所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。つまり、もし所要総数NS1TRBが5であるならば、第1番目から第5番目までの良好なPFメトリックに対応するリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は複数のユーザ装置200のために選択することができる。
ここで「過去」とは、直前のスロットグループのいずれかの時間スロットを指す。ユーザ装置200でのチャネル品質の測定時点と下りリンクのリソーススケジューリングの時点ではタイムラグがあるので、直前のスロットグループの最終の時間スロットS10でのPFメトリックに基づいて、現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1でのリソースブロックRBを選択することはできない。タイムラグの長さは、各時間スロットの長さ、ならびにユーザ装置200と基地局装置100の処理性能に依存する。例えば、直前のスロットグループの時間スロットS7でのPFメトリックに基づいて、下りリンクリソーススケジューラ132は現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1でのリソースブロックRBを選択してよい。
このように良好なPFメトリックに対応するリソースブロックRBを選択することにより、高いスループットで下りリンクのデータ送信を実行することができる。
また、下りリンクリソーススケジューラ132は、ユーザスケジューリング、すなわち個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行する。リソースブロックRBの割り当ては、以下の方式に従うことが好ましい。
個別トラフィック量推定部140は、当該基地局装置100から複数のユーザ装置200の各々に送信されるべき下りリンクのデータトラフィック量を推定する。所要個別数決定部142は、スロットグループの各々での先頭の時間スロットS1での各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要個別数NS1IRBを決定する。所要個別数決定部142は、当該基地局装置100からユーザ装置200への過去の下りリンクのチャネル品質と、個別トラフィック量推定部140で推定された当該ユーザ装置200へのデータトラフィック量に基づいて、先頭の時間スロットS1での所要個別数NS1IRBを決定する。より具体的には、所要個別数決定部142は、過去の下りリンクのチャネル品質に基づいて、MCS決定部134で決定されたユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用されるべき変調方式および符号化方式に対応する送信効率(図4参照)と、当該ユーザ装置200へのデータトラフィック量に基づいて、先頭の時間スロットS1でのユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBを決定する。
当該ユーザ装置200について、かつ当該基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。これらのPFメトリックは、PFメトリック計算部136で計算される。但し、後述する他の実施の形態に関して説明するように、これらのPFメトリックは、各ユーザ装置200で計算されて、各ユーザ装置200から基地局装置100に報告されてもよい。
当該ユーザ装置200についての過去の下りリンクのPFメトリックがより大きい所要個別数NS1IRBのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。つまり、もし所要個別数NS1IRBが2ならば、第1番目から第2番目までの良好なPFメトリックに対応するリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132はそのユーザ装置200のために選択することができる。このように良好なPFメトリックに対応するリソースブロックRBを選択することにより、高いスループットで下りリンクのデータ送信を実行することができる。
もしも同じリソースブロックが複数のユーザ装置200のために一旦選択された場合には、そのリソースブロックに関してより良好なPFメトリックを有するユーザ装置200に、下りリンクリソーススケジューラ132はそのリソースブロックを割り当てる。このようにして複数のユーザ装置200に同じリソースブロックRBが割り当てられることが回避される。但し、所要総数NS1TRBを越える数のリソースブロックRBを先頭の時間スロットS1で使用してはならないので、複数のユーザ装置200に割り当てられるリソースブロックRBの数の合計は所要総数NS1TRB以下に制限される。
以上のように個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てが行われるので、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定は必ずしも実行しなくてもよい。複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBを決定した後に、さらに個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを行う場合には、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用すると決定されたリソースブロックRBだけのPFメトリックに基づいて、個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行してもよい。
複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定、および個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当ての便宜のために、基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBは、各リソースグループが複数のリソースブロックRBを有するようにあらかじめ複数のリソースグループにグループ化されていてもよい。例えば、図5において、リソースブロックRBは、便宜的に模様によって区別されるように、複数のリソースグループにグループ化されている。図5の例では、周波数が隣り合う2つのリソースブロックRBが同じリソースグループに属する。
複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定においては、当該基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200の各々について、かつ複数のリソースグループの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、過去の下りリンクのPFメトリックがより大きく、所要総数NS1TRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。リソースグループについてのPFメトリックとは、例えば、そのリソースグループを構成するリソースブロックRBのPFメトリックの平均値でよい。
例えば、所要総数NS1TRBが4であるならば、第1番目から第2番目までの良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する4つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は複数のユーザ装置200のために選択することができる。所要総数NS1TRBが5であるならば、第1番目から第2番目までの良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する4つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132はまず選択し、第3番目に良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する2つのリソースブロックRBのうち1つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は次に選択することができる。
このように良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属するリソースブロックRBを選択することにより、高いスループットで下りリンクのデータ送信を実行することができる。
個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てにおいては、当該ユーザ装置200について、かつ複数のリソースグループの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、過去の下りリンクのPFメトリックがより大きく、所要個別数NS1IRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。もし所要個別数NS1IRBが2ならば、第1番目の良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する2つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132はそのユーザ装置200のために選択することができる。もし所要個別数NS1IRBが3ならば、第1番目の良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する2つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132はまず選択し、第3番目に良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属する2つのリソースブロックRBのうち1つのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は次に選択することができる。
このように良好なPFメトリックに対応するリソースグループに属するリソースブロックRBを選択することにより、高いスループットで下りリンクのデータ送信を実行することができる。もしも同じリソースブロックが複数のユーザ装置200のために一旦選択された場合には、そのリソースブロックに関してより良好なPFメトリックを有するユーザ装置200に、下りリンクリソーススケジューラ132はそのリソースブロックを割り当てる。
個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てが行われるので、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定は必ずしも実行しなくてもよい。複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBを決定した後に、さらに個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを行う場合には、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用すると決定されたリソースブロックRBが属するリソースグループだけのPFメトリックに基づいて、個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行してもよい。
この実施の形態においては、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBの中から、後続の時間スロットで複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するべき複数のリソースブロックRBを下りリンクリソーススケジューラ132が選択する。したがって、上記のように先頭の時間スロットS1のために選択されたリソースブロックRBの範囲内で、スロットグループの後続の時間スロットでのリソースブロックRBが選択される。
上記の通り、各基地局装置100において、各ユーザ装置200に対する下りリンクのデータ送信に使用されるMCSはMCS決定部134により決定される。MCS決定部134は、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での、各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用されるMCSを以下の方式に従って決定することが好ましい。
MCS決定部134は、スロットグループの各々での最初のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS1〜S4)では、過去の下りリンクのチャネル品質に適するMCSよりも送信効率が低いMCSを決定することができる。スロットグループの各々での最後のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS5〜S10)では、MCS決定部134は、下りリンクのチャネル品質に適するMCSを決定することができる。
ユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報としてCQI(図4参照)がフィードバックされる場合、最後のいくつかの時間スロットでは、MCS決定部134は、ユーザ装置200から受信されたCQIのCQIインデックスに対応するMCSを、そのユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用すると決定する。例えば、ユーザ装置200から受信された過去のCQIのCQIインデックスが6であれば、CQIインデックス6に対応する変調方式および符号化率をMCS決定部134は選択する。
他方、最初のいくつかの時間スロットでは、MCS決定部134は、ユーザ装置200から受信された過去のCQIのCQIインデックスに対応するMCSよりも送信効率が低いMCSをそのユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用すると決定する。例えば、ユーザ装置200から受信されたCQIのCQIインデックスが6であれば、より送信効率が低いCQIインデックス1〜5のいずれかに対応する変調方式および符号化率をMCS決定部134は選択する。図4から明らかなように、MCSの送信効率が低いことは、変調多値数(modulation level)と符号化率(code rate)の少なくとも一方が小さく、そのためにユーザ装置300で受信されるデータの誤り率を低減できることを意味する。上述したように、ユーザ装置200でのチャネル品質の測定時点と下りリンクのリソーススケジューリングの時点ではタイムラグがあるので、ユーザ装置200から受信されたCQIは、過去の下りリンクのチャネル品質に対応する。
この実施の形態においては、上記の通り、先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数NS1TRBが決定される。したがって、先頭の時間スロットS1では、必ずしもすべてのユーザ装置200に適切な品質をもたらすリソースブロックRBの割り当てが行われるとは限らない。そこで、先頭の時間スロットS1については、ユーザ装置200での受信誤り率を低減することができるように、MCS決定部134は、過去の下りリンクのチャネル品質に適するMCSよりも送信効率が低いMCSを決定する。
他方、この実施の形態では、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で使用した下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットS2〜S10では下りリンクのデータ送信に使用しない。したがって、各スロットグループの範囲内で後続の時間スロットS2〜S10では、セル間干渉が安定化され、ひいてはチャネル品質の変動が抑制される。そこで、各スロットグループでの最後のいくつかの時間スロットでは、MCS決定部134は、下りリンクのチャネル品質に適するMCSを決定してよい。
しかし、上述したように、ユーザ装置200でのチャネル品質の測定時点と下りリンクのリソーススケジューリングの時点ではタイムラグがあるので、先頭の時間スロットS1での下りリンクのチャネル品質に必ず適するMCSを次の時間スロットS2で選択することはできない。そこで、MCS決定部134は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1を含む最初のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS1〜S4)では、過去の下りリンクのチャネル品質に適するMCSよりも送信効率が低いMCSを決定し、他の時間スロット(例えば時間スロットS5〜S10)では、下りリンクのチャネル品質に適するMCSを決定する。
最初のいくつかの時間スロットで、送信効率を低減する程度は、以下のように定めることができる。基地局装置100は、無線通信部110を介して、当該基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200から、そのユーザ装置200に与えられる干渉量を示す情報(例えば干渉および雑音電力を示す情報)を受信する。MCS決定部134は、直前のスロットグループでの各ユーザ装置200での干渉量の変化(例えば干渉および雑音電力の変化)に基づいて、直前のスロットグループでのユーザ装置200での干渉量が減少する傾向にある場合には、送信効率を低減する程度を小さくし、他の場合には、送信効率を低減する程度を大きくするように、現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1でのMCSを決定する。
例えば、ユーザ装置200から受信されたCQIのCQIインデックスが6であると想定する。直前のスロットグループでのユーザ装置200での干渉量が減少する傾向にある場合には、隣接する基地局装置100での時間スロットあたりの使用されているリソースブロックRBが減少しており、そのユーザ装置200での受信チャネル品質がよくなる傾向にあることを意味する。送信効率を顕著に低減する必要はない。したがって、CQIインデックス6に対応する送信効率に近い送信効率を有するCQIインデックス5に対応する変調方式および符号化率をMCS決定部134は選択する。
直前のスロットグループでのユーザ装置200での干渉量が一定である場合には、隣接する基地局装置100での時間スロットあたりの使用されているリソースブロックRBがあまり変化せず、そのユーザ装置200での受信チャネル品質が継続する傾向にあることを意味する。送信効率をより低減する必要がある。したがって、CQIインデックス6に対応する送信効率より低い送信効率を有するCQIインデックス4に対応する変調方式および符号化率をMCS決定部134は選択する。
直前のスロットグループでのユーザ装置200での干渉量が増加する傾向にある場合には、隣接する基地局装置100での時間スロットあたりの使用されているリソースブロックRBが増加しており、そのユーザ装置200での受信チャネル品質が悪くなる傾向にあることを意味する(但し、この実施の形態では、使用されるリソースブロックRBの数の上限があるので、スロットグループの長さが短い場合には、この事態はあまり考えられない)。この場合、送信効率を顕著に低減する必要がある。したがって、CQIインデックス6に対応する送信効率により顕著に低い送信効率を有するCQIインデックス3に対応する変調方式および符号化率をMCS決定部134は選択する。
送信効率を低減する程度は、上記の一例には限定されない。干渉量の変化量に対する具体的なMCSは、例えば、あらかじめテーブルに記録してよい。テーブルは、例えば、図示しないROMに格納することができる。
ユーザ装置200から下りリンクチャネル品質情報としてCQIではなく、SINRを直接的に示す情報がフィードバックされる場合、MCS決定部134は、SINRからCQIインデックスに相当する指標を決定する。そして、上記と同様に、MCS決定部134は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1を含む最初のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS1〜S4)では、過去の下りリンクのチャネル品質に適するMCSよりも送信効率が低いMCSを決定し、他の時間スロット(例えば時間スロットS5〜S10)では、下りリンクのチャネル品質に適するMCSを決定する。また、MCS決定部134は、直前のスロットグループでの各ユーザ装置200での干渉量の変化に基づいて、上記と同様に、現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1でのMCSを決定する。
次に、この実施の形態に係るユーザ装置200を説明する。図6は、第1の実施の形態に係るユーザ装置200を示すブロック図である。各ユーザ装置200は、無線通信部(送信部、受信部)210、送受信アンテナ212および制御部220を備える。
無線通信部210は、基地局装置100と無線通信を実行するための要素であり、基地局装置100から電波を受信して電気信号に変換するためのOFDMAに適用される受信回路(図示せず)と、基地局装置100に送信されるべき電気信号を電波に変換して送信するためのSC−FDMAに適用される送信回路(図示せず)とを備える。
制御部220は、データ信号処理部222、参照信号ベクトル測定部224、チャネル推定値計算部226、所望データ信号電力推定部(所望信号電力推定部)228、全受信電力推定部230、干渉および雑音電力推定部232、信号対干渉雑音比(SINR)計算部234、チャネル状態情報判定部236および送信信号生成部238を備える。制御部220は例えばCPUである。データ信号処理部222、参照信号ベクトル測定部224、チャネル推定値計算部226、所望データ信号電力推定部228、全受信電力推定部230、干渉および雑音電力推定部232、SINR計算部234、チャネル状態情報判定部236および送信信号生成部238は、CPUが図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
データ信号処理部222は、無線通信部210から出力される受信信号のうち、所望の基地局装置100から当該ユーザ装置200宛てのデータ信号を他の信号から分離する。
参照信号ベクトル測定部224は、所望の基地局装置100から送信される参照信号のベクトルである参照信号ベクトルを測定する。上記の通り、参照信号は、セル固有参照信号(CRS)またはチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)である。
チャネル推定値計算部226は、参照信号ベクトル測定部224で測定された参照信号ベクトルに基づいて、所望の基地局装置100から当該ユーザ装置200への受信信号のチャネル推定値を計算する。所望データ信号電力推定部228は、チャネル推定値計算部226で計算されたチャネル推定値に基づいて所望データ信号電力を推定する。所望データ信号電力は、チャネル推定値計算部226で計算されたチャネル推定値の振幅の二乗である。
全受信電力推定部230は、全受信電力(所望データ信号電力と干渉電力と雑音電力の合計)を推定する。全受信電力は、データ信号に対応する受信シンボルの振幅の二乗の平均値である。干渉および雑音電力推定部232は、全受信電力推定部230で推定された全受信電力から、所望データ信号電力推定部228で推定された所望データ信号を減算することにより、干渉および雑音電力(干渉電力と雑音電力の合計)を推定する。
SINR計算部234は、所望データ信号電力推定部228で推定された所望データ信号を、干渉および雑音電力推定部232で推定された干渉および雑音電力で除算することにより、SINRを計算する。このようなSINRの計算は、当該基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について行う。
チャネル状態情報判定部236は、SINR計算部234で計算されたSINRから、チャネル状態情報(CSI)を判定する。チャネル状態情報としては、チャネル品質インジケータ(CQI)、プリコーディング行列インジケータ(PMI)、ランクインジケータ(RI)のセットが知られている。チャネル状態情報判定部236は、公知の手法で、CQI、PMI、RIを判定し、CQI、PMI、RIを含むCSIを示す信号を送信信号生成部238に渡す。
送信信号生成部238は、無線通信部210および送受信アンテナ212によって、CSIを示す信号を所望基地局装置に送信すなわちフィードバックする。後述するように、送信信号生成部238は、無線通信部210および送受信アンテナ212によって、SINR計算部234で計算されたSINRを示す信号を所望基地局装置に送信すなわちフィードバックしてもよい。
基地局装置100は、チャネル品質の測定のための既知のパターンの参照信号を送信する。参照信号は、一般に基地局装置100が送信すべきユーザデータの有無に関わらず所定のパターンで送信されるため、隣接する基地局装置100が送信する参照信号に基づいて、ユーザ装置200が干渉電力の推定を行うと、隣接する基地局装置100がデータ信号を送信している場合でも送信していない場合でも、ユーザ装置200は同じ干渉電力値を推定することになる。これでは、SINRを正確に計算することができない。そこで、この実施の形態では、全受信電力推定部230は、データ信号に対応する受信シンボルに基づいて、全受信電力を推定する。全受信電力推定部230は、所望の基地局装置100から送信されたデータ信号に対応する受信シンボルから全受信電力を推定してもよいし、所望の基地局装置100および隣接する基地局装置100から送信されたデータ信号に対応する受信シンボルから全受信電力を推定してもよい。
この実施の形態では、上述したように、各スロットグループでは、先頭の時間スロットS1でユーザ装置200により測定されるSINRが重要となりうる。そこで、基地局装置100においては、無線通信部110が、各スロットグループの先頭の時間スロットS1では、後続の時間スロットS2〜S10の各々での参照信号よりも多数の参照信号を送信すると好ましい。
また、先頭スロットS1でのチャネル品質の推定に、判定帰還形チャネル推定(decision feedback channel estimation )を使用してもよい。判定帰還形チャネル推定では、初めに参照信号よりチャネル推定を行ない、得られたチャネル推定値を用いてデータ信号の検出を行なう。次に検出されたデータ信号が正しいと仮定して、これらのデータ信号を再変調することにより得られる信号パターン(これは推定された送信信号パターンに相当する)を参照信号として、データ信号に対応する受信信号も使用して再度チャネル推定を行なう。また、この処理を複数回繰り返してもよい。これにより、実質的により多くの参照信号を使用してチャネル品質を推定できることからより高精度にチャネル推定ができることになる。このようにして得られたチャネル推定値を用いて、上記のチャネル品質推定を行なうことで、より高精度なチャネル品質推定を行なうことが可能である。また、ここで説明した判定帰還形チャネル推定方法は一例であり、類似の判定帰還形チャネル推定方法が用いられてもよい。
ユーザ装置200は、所望の基地局装置100に、下りリンクチャネル品質情報を送信する。上記の通り、下りリンクチャネル品質情報は、SINRを直接的に示す情報であってもよいし、SINRからユーザ装置200で決定されユーザ装置200への送信に使用されるべきMCSを示すCQIであってもよい。下りリンクチャネル品質情報として、SINRを直接的に示す情報を送信する場合には、ユーザ装置200はチャネル状態情報判定部236を有しなくてもよく、この場合には、SINR計算部234が、基地局装置100からの下りリンクのチャネル品質を推定し、チャネル品質に基づく下りリンクチャネル品質情報を生成する下りリンクチャネル品質推定部として機能する。下りリンクチャネル品質情報として、CQIを送信する場合には、SINR計算部234とチャネル状態情報判定部236が、基地局装置100からの下りリンクのチャネル品質を推定し、チャネル品質に基づく下りリンクチャネル品質情報を生成する下りリンクチャネル品質推定部として機能する。
ユーザ装置200において、SINR計算部234は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1についてのみSINRを計算し、後続の時間スロットS2〜S10についてはSINRを計算しなくてもよい。したがって、無線通信部210は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1についてのみ下りリンクチャネル品質情報(SINRを示す情報またはCQI)を送信し、後続の時間スロットS2〜S10については下りリンクチャネル品質情報を送信しなくてもよい。
この実施の形態では、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で使用した下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットS2〜S10では下りリンクのデータ送信に使用しない。したがって、各スロットグループの範囲内で後続の時間スロットS2〜S10では、セル間干渉が安定化され、ひいてはチャネル品質の変動が抑制される。後続の時間スロットS2〜S10について下りリンクチャネル品質情報をユーザ装置200が基地局装置100に送信しなくても、基地局装置100は、先頭の時間スロットS1での下りリンクチャネル品質情報に基づいて、後続のいくつかの時間スロット(タイムラグを考慮して例えば時間スロットS4〜S10)について、複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定を適切に行うことができる可能性がある。後続の時間スロットS2〜S10についてSINRを計算せず、下りリンクチャネル品質情報を送信しないことにより、ユーザ装置200の処理負担を低減し、かつ上りリンクのトラフィック量を削減することができる。
あるいは、ユーザ装置200において、SINR計算部234は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1については、基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能なすべてのリソースブロックRBのSINRを計算し、後続の時間スロットS2〜S10については、先頭の時間スロットS1で下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBのSINRを計算してもよい。したがって、無線通信部210は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1についてのみは、すべてのリソースブロックRBの下りリンクチャネル品質情報(SINRを示す情報またはCQI)を送信し、後続の時間スロットS2〜S10については先頭の時間スロットS1で下りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBの下りリンクチャネル品質情報を送信してもよい。これにより、基地局装置100は、後続の時間スロット(タイムラグを考慮して例えばS4〜S10)について、複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定をより適切に行うことができる。後続の時間スロットS2〜S10についてSINRを計算するリソースブロックRB(送信される下りリンクチャネル品質情報の対象であるリソースブロックRB)を減らすことにより、ユーザ装置200の処理負担を低減し、かつ上りリンクのトラフィック量を削減することができる。
いずれの場合においても、各スロットグループでの最後のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS8〜S10)については、SINR計算部234は、SINRをまったく計算せず、無線通信部210は、下りリンクチャネル品質情報を送信しなくてもよい。上述したように、ユーザ装置200でのチャネル品質の測定時点と下りリンクのリソーススケジューリングの時点ではタイムラグがあるので、直前のスロットグループでの最後のいくつかの時間スロットでのチャネル品質情報に基づいて、現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1で、リソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定は適切にできないからである。
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態において、基地局装置100は第1の実施の形態のそれと同じでよい。図7は、本発明の第2の実施の形態に係るユーザ装置200を示すブロック図である。
図7に示すように、第2の実施の形態に係るユーザ装置200においては、無線通信部210は、図6に示す構成要素に加えて、所望信号電力差分計算部240と干渉および雑音電力差分計算部242を備える。所望信号電力差分計算部240と干渉および雑音電力差分計算部242は、CPUが図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
所望信号電力差分計算部240は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1での所望データ信号電力推定部228で推定された所望データ信号電力と、後続の時間スロットS2〜S10の各々での所望データ信号電力推定部228で推定された所望信号電力の差分を計算する。干渉および雑音電力差分計算部242は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1での干渉および雑音電力推定部232で計算された干渉および雑音電力と、後続の時間スロットS2〜S10の各々での干渉および雑音電力推定部232で計算された干渉および雑音電力の差分を計算する。
ユーザ装置200において、SINR計算部234は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1についてのみSINRを計算し、後続の時間スロットS2〜S10についてはSINRを計算しなくてもよい。したがって、無線通信部210は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1についてのみ下りリンクチャネル品質情報(SINRを示す情報またはCQI)を送信し、後続の時間スロットS2〜S10については下りリンクチャネル品質情報を送信しなくてもよい。
但し、後続の時間スロットS2〜S7の各々において、送信信号生成部238は、無線通信部210および送受信アンテナ212によって、各時間スロットでの所望信号電力の差分と、干渉および雑音電力の差分を示す信号を所望基地局装置100に送信すなわちフィードバックする。
基地局装置100は、ユーザ装置200からフィードバックされる先頭の時間スロットS1での下りリンクチャネル品質情報に基づいて、後続の時間スロット(タイムラグを考慮して例えば時間スロットS4)について、複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定を行う。
基地局装置100は、ユーザ装置200から送信される後続の時間スロットS2〜S7の各々での所望信号電力の差分と、干渉および雑音電力の差分に基づいて、先頭の時間スロットS1での下りリンクチャネル品質情報に演算処理を施すことにより、後続の時間スロットS2〜S7の各々での下りリンクチャネル品質情報を得ることが可能である。そして、基地局装置100は、こうして得られた後続の時間スロットS2〜S7での下りリンクチャネル品質情報に基づいて、後続の時間スロット(タイムラグを考慮して例えば時間スロットS5〜S10)について、複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定を行う。
各スロットグループでの最後のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS8〜S10)については、ユーザ装置200は所望信号電力の差分と干渉および雑音電力の差分をまったく計算せず、無線通信部210は、これらを示す情報を送信しなくてもよい。上述したように、ユーザ装置200でのチャネル品質の測定時点と下りリンクのリソーススケジューリングの時点ではタイムラグがあるので、直前のスロットグループでの最後のいくつかの時間スロットでのチャネル品質情報に基づいて、現在のスロットグループの先頭の時間スロットS1で、リソースブロックRBの割り当ておよびMCSの決定は適切にできないからである。
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態に係るユーザ装置200を示すブロック図である。
第1の実施の形態において、図3に示すように、PFメトリック計算部136が基地局装置100に設けられている。しかし、PFメトリック計算部136はユーザ装置200に設けてもよい。第3の実施の形態において、基地局装置100は、第1の実施の形態のそれと基本的に同じであるが、PFメトリック計算部136が設けられていない。
図8に示すように、第3の実施の形態に係るユーザ装置200においては、無線通信部210は、図6に示す構成要素に加えて、PFメトリック計算部246を備える。PFメトリック計算部246は、CPUが図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
PFメトリック計算部246は、SINR計算部234またはチャネル状態情報判定部236で得られた下りリンクチャネル品質情報に基づいて、当該ユーザ装置200について、かつ無線基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能なすべてのリソースブロックRBの各々について、下りリンクのPFメトリックを計算する。PFメトリックは、瞬時SINRを、過去のSINRの平均値で割り算することで得ることができる。あるいは、PFメトリックは、瞬時CQIインデックスを、過去のCQIインデックスの平均値で割り算することで得ることができる。PFメトリック計算部246は、得られたPFメトリックを送信信号生成部238に渡す。送信信号生成部238は、無線通信部210および送受信アンテナ212によって、下りリンクのPFメトリックを示す情報を所望基地局装置に送信する。
第1の実施の形態と同様に、基地局装置100の下りリンクリソーススケジューラ132は、PFメトリックを参照し、プロポーショナル・フェアネス法に従って、各ユーザ装置200にリソースブロックRBを割り当てる。特に、各スロットグループの先頭の時間スロットS1において、下りリンクリソーススケジューラ132は、PFメトリックに基づいて、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定および個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行することができる。
PFメトリック計算部246は、特定のいくつかのリソースブロックRBについて下りリンクのPFメトリックを計算してもよい。具体的には、PFメトリック計算部246は、下りリンクのチャネル品質がより良好な(すなわちSINRがより良好な)所定数のリソースブロックRBについてのみ、下りリンクのPFメトリックを計算してもよい。このように、PFメトリックを計算するリソースブロックRBを制限することにより、PFメトリックを計算するための処理負担が軽減される。また、計算されるPFメトリックの量が削減されるので、所望基地局装置に送信されるPFメトリックを示す情報の量が削減される。
図5を参照して上述したように、基地局装置100が下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBは、各リソースグループが複数のリソースブロックRBを有するようにあらかじめ複数のリソースグループにグループ化されていてもよい。この場合、PFメトリック計算部246は、各リソースグループについてのPFメトリックを計算してよい。リソースグループについてのPFメトリックとは、例えば、そのリソースグループを構成するリソースブロックRBのPFメトリックの平均値でよい。
第1の実施の形態と同様に、基地局装置100の下りリンクリソーススケジューラ132は、各スロットグループの先頭の時間スロットS1において、各リソースグループについてのPFメトリックに基づいて、複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRBの決定および個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行することができる。
PFメトリック計算部246は、特定のいくつかのリソースグループについて下りリンクのPFメトリックを計算してもよい。具体的には、PFメトリック計算部246は、下りリンクのチャネル品質がより良好な(すなわちSINRがより良好な)所定数のリソースグループについてのみ、下りリンクのPFメトリックを計算してもよい。このように、PFメトリックを計算するリソースブロックRBを制限することにより、PFメトリックを計算するための処理負担が軽減される。また、計算されるPFメトリックの量が削減されるので、所望基地局装置に送信されるPFメトリックを示す情報の量が削減される。
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図9は、本発明の第4の実施の形態に係る基地局装置を示すブロック図である。第4の実施の形態において、基地局装置100は、第1の実施の形態のそれと基本的に同じであるが、この実施の形態は、第1の実施の形態に対して、基地局装置100での各スロットグループの先頭の時間スロットS1でのMCSの決定方式が異なる。
第1の実施の形態と同様に、MCS決定部134は、各ユーザ装置200からフィードバックされた下りリンクチャネル品質情報に基づいて、そのユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用されるべき変調方式および符号化方式を決定する。MCS決定部134は、スロットグループの各々での最初のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS1〜S4)では、過去の下りリンクのチャネル品質に適するMCSよりも送信効率が低いMCSを決定することができる。スロットグループの各々での最後のいくつかの時間スロット(例えば時間スロットS5〜S10)では、MCS決定部134は、下りリンクのチャネル品質に適するMCSを決定することができる。
所要個別数決定部142は、スロットグループの各々での先頭の時間スロットS1での各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要個別数NS1IRBを決定する。第1の実施の形態と同様に、所要個別数決定部142は、過去の下りリンクのチャネル品質に基づいて、MCS決定部134で決定されたユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用されるべき変調方式および符号化方式に対応する送信効率(図4参照)と、当該ユーザ装置200へのデータトラフィック量に基づいて、先頭の時間スロットS1でのユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBを決定する。
但し、所要個別数決定部142は、まず仮想所要個別数計算部として機能する。仮想所要個別数計算部としての所要個別数決定部142は、MCS決定部134で決定されたMCSを複数のユーザ装置200の各々への下りリンクのデータ送信に使用すると仮定する場合に、各スロットグループにおける先頭の時間スロットS1での各ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要個別数NS1IRBを計算する。
所要個別数決定部(仮想所要個別数計算部)142で計算された各ユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBより小さい場合に、MCS決定部134は、1つのユーザ装置200について、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1では、過去の下りリンクチャネル品質情報に基づいて既に決定されたMCSよりも送信効率が低い新たなMCSを決定する。具体的には、過去の下りリンクチャネル品質情報に基づいて、下りリンクのチャネル品質が最も劣悪な(すなわちSINRが最も劣悪な)ユーザ装置200をMCS決定部134は選択し、このユーザ装置200について既に決定されたMCSよりも送信効率が低い新たなMCSを決定する。例えば図4に示すCQIインデックス3に対するMCSが既に決定されている場合、MCS決定部134は、それより送信効率が低いCQIインデックス2に対するMCSを再決定する。
所要個別数決定部(仮想所要個別数計算部)142は、このように決定されたMCSに基づいて、再度、そのユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要個別数NS1IRBを計算して、所要個別数NS1IRBの合計を計算する。所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBより小さい場合に、MCS決定部134は、下りリンクのチャネル品質が最も劣悪なユーザ装置200について既に決定されたMCSよりも送信効率が低い新たなMCSを決定する。所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBに達するまで、所要個別数決定部142による所要個別数NS1IRBの再計算と、MCS決定部134によるMCSの再決定が繰り返される。所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBと等しくなったら、MCS決定部134は各ユーザ装置200のためのMCSを確定し、所要個別数決定部142は各ユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBを確定する。
したがって、この実施の形態では、所要総数決定部138が決定した先頭の時間スロットS1での所要総数NS1TRBの分のリソースブロックRBをすべて使用して、複数のユーザ装置200に下りリンクのデータ送信を行うことができる。しかも、下りリンクのチャネル品質が劣悪なユーザ装置200について既に決定されたMCSよりも送信効率が低いMCSを再決定することにより、そのようなユーザ装置200については、より受信データの誤り率を低減することが可能である。
新たなMCSを決定しようとするユーザ装置200について送信効率が最低のMCSがMCS決定部134で既に決定されている場合(すなわち、図4に示すCQIインデックス1に対するMCSが既に決定されている場合には)、MCS決定部134は、それより送信効率が低いMCSを再決定することはできない。所要個別数決定部(仮想所要個別数計算部)142で計算された各ユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBより小さい場合であっても、送信効率が最低のMCSが新たなMCSを決定しようとするユーザ装置200について既に決定されている場合には、所要個別数決定部(仮想所要個別数計算部)142で計算されたそのユーザ装置200のための所要個別数NS1IRBより多い数のリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択し、そのユーザ装置200宛の同じデータを別個のリソースブロックRBで送信するのが好ましい。
このようにして、所要総数決定部138が決定した先頭の時間スロットS1での所要総数NS1TRBの分のリソースブロックRBをすべて使用して、複数のユーザ装置200に下りリンクのデータ送信を行うことができる。しかも、下りリンクのチャネル品質が劣悪なユーザ装置200に割り当てるリソースブロックRBの数を増加させ、そのユーザ装置200宛の同じデータを異なるリソースブロックRBで送信することにより、そのようなユーザ装置200については、より受信データの誤り率を低減することが可能である。
また、仮に、先頭の時間スロットS1で送信すべき所要個別数NS1IRBの合計が所要総数NS1TRBに到達しない場合には、基地局装置100は、ダミーデータを送信して、所要総数NS1TRBの分のリソースブロックRBをすべて使用してもよい。
第5の実施の形態
図2を参照して上述したスロットグループのグループ化によれば、各スロットグループを構成する複数の時間スロットは時間的に連続している。このため、下記のような問題が生じうる。
各ユーザ装置200が各スロットグループの先頭の時間スロットS1でSINRを測定して、そのユーザ装置200が接続されている基地局装置100に下りリンクチャネル品質情報をフィードバックしても、基地局装置100がフィードバックされた下りリンクチャネル品質情報に基づいて、MCSを決定したり、ユーザスケジューリングを実行したりすることができるまでにはタイムラグがある。例えば、各スロットグループにおいて、先頭の時間スロットS1の後の時間スロットS2,S3,S4では、先頭の時間スロットS1でのSINRに基づいて、MCSの決定およびユーザスケジューリングはできない。先頭の時間スロットS1でのSINRに基づいて、MCSの決定およびユーザスケジューリングができるのは、時間スロットS5〜S10である。
タイムラグの長さは、各時間スロットの長さ、ならびにユーザ装置200と基地局装置100の処理性能に依存する。しかし、せっかくユーザ装置200がSINRを測定しても、それをMCSの決定およびユーザスケジューリングに使用できない時間スロットがあるのでは、問題がある。
そこで、第5の実施の形態は、下記のように不連続なスロットグループのグループ化を提供する。第5の実施の形態では、スロットグループの各々は、少なくとも3つの時間スロットを有しており、これらの少なくとも3つの時間スロットは先頭の時間スロットS1と、途中の時間スロットと、最終の時間スロットとを有しており、各スロットグループの先頭の時間スロットと途中の時間スロットとの間に、直前のスロットグループの少なくとも1つの時間スロットが配置され、各スロットグループの途中の時間スロットと最終の時間スロットとの間に、次のスロットグループの少なくとも1つの時間スロットが配置されている。
例えば、図10に示す例においては、スロットグループSG1,SG2,G3,SG4の各々は、10の時間スロットS1〜S10を有する。図10に示すように、スロットグループSG2の先頭の時間スロットS1と途中の時間スロットS2〜S7との間に、直前のスロットグループSG1の最終の3つの時間スロットS8〜S10が配置され、スロットグループSG2の途中の時間スロットS2〜S7と最終の3つの時間スロットS10との間に、次のスロットグループSG3の先頭の時間スロットS1が配置されている。スロットグループSG3の先頭の時間スロットS1と途中の時間スロットS2〜S7との間に、直前のスロットグループSG2の最終の3つの時間スロットS8〜S10が配置され、スロットグループSG3の途中の時間スロットS2〜S7と最終の3つの時間スロットS10との間に、次のスロットグループSG4の先頭の時間スロットS1が配置されている。図10から全体が明らかでないが、スロットグループSG1,SG4も同様である。
但し、不連続なスロットグループのグループ化は、図10に示す形態に限られない。例えば、途中の時間スロットの数および最終の時間スロットの数は、各時間スロットの長さ、ならびにユーザ装置200と基地局装置100の処理性能に応じて、決定することができる。また、図10においては、単一の先頭の時間スロットS1の直後に、直前のスロットグループの時間スロットが配置されているが、複数の時間スロットS1,S2の後に、直前のスロットグループの時間スロットが配置されてもよい(この場合、時間スロットS2では、先頭の時間スロットS1でのSINRに基づいて、MCSの決定およびユーザスケジューリングはできない)。
第5の実施の形態では、先頭の時間スロットS1でのSINRに基づいて、MCSの決定およびユーザスケジューリングができない時間スロットを削減することができる。換言すれば、先頭の時間スロットS1でのSINRに基づいて、スロットグループの多くの後続の時間スロットで、基地局装置100は、MCSの決定およびユーザスケジューリングが可能である。
第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。図10は、本発明の第6の実施の形態に係る無線通信システムを示すブロック図である。第6の実施の形態において、無線通信システムは、図1に示す構成要素に加えて、スロットグループ長調整部300を備える。
スロットグループ長調整部300は、基地局装置100に接続されており、これらの基地局装置100で適用されるスロットグループの長さを調整する。つまり、スロットグループ長調整部300は、複数のスロットグループの各々を構成する時間スロットの数を調整する。
スロットグループ長調整部300は、無線通信システムのすべての基地局装置100に接続されて、すべての基地局装置100で適用されるスロットグループの長さを調整してもよい。あるいは、スロットグループ長調整部300は、ある特定のエリアにあるスロットグループを共有する基地局装置100に接続されて、それらの基地局装置100で適用されるスロットグループの長さを調整してもよい。
少なくともあるエリアで動作するすべての基地局装置では、スロットグループ内の時間スロットの数が同じである必要があることから、スロットグループ内の時間スロットの数は、ネットワーク内のスロットグループ長調整部300で集中的に管理する。
本発明においては、各スロットグループにおいて、先頭の時間スロットS1で使用した下りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットでは下りリンクのデータ送信に使用しない。したがって、スロットグループ内の時間スロットの数が多い場合には、各ユーザ装置200に与えられる干渉量が長期にわたり安定しやすくなるが、ある基地局装置100で下りリンクのトラフィック量が変化すれば、その基地局装置100では、送信遅延が発生しやすく、その基地局装置100に接続されるユーザ装置200はSINRを過小に推定しやすい。他方、スロットグループ内の時間スロットの数が少ない場合には、各ユーザ装置200に与えられる干渉量が安定している期間が短いが、ある基地局装置100で下りリンクのトラフィック量が変化しても、その基地局装置100は、下りリンクのトラフィック量に追随して短周期でスケジューリングが行えるため、送信遅延が発生しにくく、その基地局装置100に接続されるユーザ装置200はSINRを精度よく推定しやすい。
以上のように、スロットグループ内の時間スロットの数が多い場合も少ない場合も長所および短所がある。そこで、スロットグループ長調整部300は、下りリンクのデータ送信の誤りまたは下りリンクのデータ送信の遅延を示す指標に基づいて、各スロットグループを構成する時間スロットの数を調整する。下りリンクのデータ送信の誤りまたは下りリンクのデータ送信の遅延を示す指標は、各基地局装置100から報告される。このような指標は、例えば、下りリンクのデータ送信の再送確率であってもよい。このような指標を決定するため、各基地局装置100は、ユーザ装置200からの再送要求の数、ユーザ装置200でのデータの誤り率を示す情報、ユーザ装置200でのデータ送信の受信時刻を示す情報の少なくともいずれかを使用することができる。
各スロットグループを構成する時間スロットの数を更新すると、スロットグループ長調整部300は、更新されたその数およびそれを適用する時期を複数の基地局装置100に通知する。したがって、基地局装置100は、新たなスロットグループの始期と終期を共有する。また、各基地局装置100の無線通信部110は、更新されたその数を示す信号およびそれを適用する時期を当該基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200へ送信する。したがって、ユーザ装置200は、新たなスロットグループの始期と終期を知ることができる。
この実施の形態において、スロットグループ長調整部300は、各基地局装置100から離れた位置に配置されているが、ある基地局装置100にスロットグループ長調整部300を設けてもよい。
第7の実施の形態
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。図12は、本発明の第7の実施の形態に係る基地局装置を示すブロック図である。第4の実施の形態において、基地局装置100の制御部130は、図3に示す構成に加えて、干渉および雑音電力推定部150および上りリンクリソーススケジューラ152を備える。干渉および雑音電力推定部150および上りリンクリソーススケジューラ152は、CPUが図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
干渉および雑音電力推定部150は、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200の各々から受信される上りリンクのデータ信号の複数のリソースブロックRBごとに干渉および雑音電力を推定する。上りリンクリソーススケジューラ152は、干渉および雑音電力推定部150で推定された干渉および雑音電力に基づいて、上りリンクのリソーススケジューリングを実行する。具体的には、基地局装置100に接続されている複数のユーザ装置200に上りリンクのリソースブロックRBをそれぞれ割り当てる。上りリンクリソーススケジューラ152は、無線通信部110を用いて、上りリンクのリソーススケジューリング情報をユーザ装置200に送信する。
ユーザ装置200は、基地局装置100から送信された上りリンクのリソーススケジューリング情報に示されたユーザ装置200自身の上りリンクのリソーススケジューリング情報に従って、リソースブロックRBを使用してデータ信号を基地局装置100に送信する。
上りリンクの無線リソースは、図2または図10を参照して上述した下りリンクの無線リソースと同様である。下りリンクの無線リソースと同様に、上りリンクの無線リソースについても、時間スロットは、複数のスロットグループにグループ化されている。複数のスロットグループの各々は複数の所定数の時間スロットを有する。
下りリンクだけでなく上りリンクについても、この無線通信システムにおいては、すべての基地局装置100が、各スロットグループの始期と終期、各スロットの始期と終期を共有している。また、各スロットグループを構成するスロットの数も、すべての基地局装置100が共有している。但し、無線通信システムのすべての基地局装置100がこれらを共有しなくてもよく、少なくともある特定のエリアにある基地局装置100がこれらを共有していてもよい。
各基地局装置100は、スロットグループの各々において先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200が上りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBを記憶し、後続の時間スロット(先頭の時間スロットS1を除く複数の時間スロット)においては、先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200が上りリンクのデータ送信に使用した複数のリソースブロックRBの中から、複数のユーザ装置200が上りリンクのデータ送信に使用するべき複数のリソースブロックRBを選択する。つまり、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1で上りリンクのデータ送信に使用したリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットでは上りリンクのデータ送信に使用しない。
上りリンクリソーススケジューラ152は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1で上りリンクのリソーススケジューリングを実行すると、その先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200に上りリンクのデータ送信のために割り当てた複数のリソースブロックRBを示す情報を記憶部122に記憶する。上りリンクリソーススケジューラ152は、記憶部122の記憶を参照し、各スロットグループでの後続の時間スロット(先頭の時間スロットS1を除く複数の時間スロット)においては、先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200のための上りリンクのデータ送信のために割り当てた複数のリソースブロックRBの中から、複数のユーザ装置200のための上りリンクのデータ送信に使用するべき複数のリソースブロックを選択する。つまり、各基地局装置100は、スロットグループの各々において、先頭の時間スロットS1でユーザ装置200に割り当てた上りリンクのデータ送信のためのリソースブロックRB以外のリソースブロックRBを後続の時間スロットでは上りリンクのデータ送信のためにユーザ装置200に割り当てない。
したがって、複数のユーザ装置200は全体として、各スロットグループでの後続の時間スロットにおいては、上りリンクリソーススケジューラ150でそのように割り当てられたリソースブロックRBのみを使用して上りリンクのデータ送信を実行する。いずれの基地局装置100についても、各スロットグループの範囲内で、複数のユーザ装置200は全体として、ほぼ一定のリソースブロックRBだけを上りリンクのデータ送信に使用する。後続の時間スロットで使用されるリソースブロックRBが先頭の時間スロットS1で使用されたリソースブロックRBより減ることはあっても、増えることはない。したがって、各スロットグループの範囲内で、上りリンクのセル間干渉が安定化され、ひいてはチャネル品質の変動が抑制される。
また、上りリンクリソーススケジューラ152は、各スロットグループでの先頭の時間スロットS1で上りリンクのリソーススケジューリングを実行すると、その先頭の時間スロットS1で複数のユーザ装置200ごとに、上りリンクのデータ送信のために割り当てたリソースブロックRBを示す情報を記憶部122に記憶する。上りリンクリソーススケジューラ152は、記憶部122の記憶を参照し、スロットグループの各々での後続の時間スロットについて、先頭の時間スロットS1で各ユーザ装置200に上りリンクのデータ送信のために割り当てたリソースブロックRBのみをそのユーザ装置200の上りリンクのデータ送信に割り当てる。また、上りリンクリソーススケジューラ152は、先頭の時間スロットS1で上りリンクのデータ送信のためにリソースブロックRBを割り当てなかったユーザ装置200にはリソースブロックRBを割り当てない。
したがって、各ユーザ装置200は、各スロットグループの範囲内で、ほぼ一定のリソースブロックRBだけを上りリンクのデータ送信に使用する。後続の時間スロットで同じユーザ装置200に使用されるリソースブロックRBが先頭の時間スロットS1で使用されたリソースブロックRBより減ることはあっても、増えることはない。したがって、各スロットグループの範囲内で、上りリンクのセル間干渉がさらに安定化され、ひいてはチャネル品質の変動が抑制される。
基地局装置100の制御部130は、当該基地局装置100での過去の上りリンクのデータトラフィック量(この基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200からの)、またはこの基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200に対して過去に上りリンクのデータ送信に割り当てたリソースブロックRBの数に基づいて、スロットグループの各々における先頭の時間スロットS1での上りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの所要総数を決定することができる。
上りリンクリソーススケジューラ152は、スロットグループの各々での先頭の時間スロットS1で、干渉および雑音信号電力推定部150で推定された干渉および雑音電力に基づいて、複数の後続の時間スロットS2〜S10での複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行する。各スロットグループの範囲内で、上りリンクのセル間干渉が安定化されているため、後続の時間スロットS2〜S10での干渉および雑音電力は、先頭の時間スロットS1での干渉および雑音電力とあまり変わらない。したがって、先頭の時間スロットS1での干渉および雑音電力に基づいて、精度よく、後続の時間スロットS2〜S10での複数のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てを実行することが可能である。
この実施の形態に係るセルラーシステムにおいて、第6の実施の形態と同様のスロットグループ長調整部300を設け、スロットグループ長調整部300が上りリンクのデータ送信の誤りまたは上りリンクのデータ送信の遅延を示す指標に基づいて、各スロットグループを構成する時間スロットの数を調整してもよい。この場合、各スロットグループを構成する時間スロットの数を更新すると、スロットグループ長調整部300は、更新されたその数およびそれを適用する時期を複数の基地局装置100に通知する。したがって、基地局装置100は、新たなスロットグループの始期と終期を共有する。また、各基地局装置100の無線通信部110は、更新されたその数を示す信号およびそれを適用する時期を当該基地局装置100に接続される複数のユーザ装置200へ送信する。したがって、ユーザ装置200は、新たなスロットグループの始期と終期を知ることができる。
他の変形
上記の実施の形態では、無線通信システムがLTEに従って動作するが、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、必要な設計上の変更を施した上で、他の無線アクセス技術にも適用可能である。例えば、CDMAにおいては、各スロットグループにおいて、下りリンクおよび上りリンクのための符号が、先頭の時間スロットS1での割り当ての範囲内で制限される。
上記の実施の形態では、PFメトリックを用いるプロポーショナル・フェアネス法に従って、ユーザスケジューリングが行われる。しかし、ユーザスケジューリングは、例えば、Max C/I(最大搬送波対干渉波比)法など、他の方法によって行ってもよい。Max C/I法では、搬送波対干渉波比(CIR)メトリックが大きいユーザ装置にリソースブロックが割り当てられる。CIRメトリックは、例えばSINRそのものであってもよいし、EbNo(energy per bit to noise power spectral density ratio)であってもよい。下りリンクのCIRメトリックは、各ユーザ装置200が基地局装置100に通知してもよいし、各ユーザ装置200からフィードバックされる情報に基づいて基地局装置100が換算してもよい。
第1の実施の形態において、下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの決定においては、下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について計算された過去の下りリンクのPFメトリックがより大きい所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。しかし、下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について計算された過去の下りリンクのCIRメトリックがより大きい所要総数NS1TRBのリソースブロックRBを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択してもよい。
第1の実施の形態において、個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てにおいては、下りリンクのデータ送信に使用可能な複数のリソースブロックRBの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、下りリンクリソーススケジューラ132は、各ユーザ装置200についての過去の下りリンクのPFメトリックがより大きい所要個別数NS1IRBのリソースブロックRBを、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。しかし、各ユーザ装置200についての過去の下りリンクのCIRメトリックがより大きい所要個別数NS1IRBのリソースブロックRBを、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択してもよい。
第1の実施の形態において、複数のリソースブロックRBがあらかじめ複数のリソースグループにグループ化されている場合、下りリンクのデータ送信に使用するリソースブロックRBの決定においては、過去の下りリンクのPFメトリックがより大きく、所要総数NS1TRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。しかし、過去の下りリンクのCIRメトリックがより大きく、所要総数NS1TRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での複数のユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択してもよい。
第1の実施の形態において、複数のリソースブロックRBがあらかじめ複数のリソースグループにグループ化されている場合、個々のユーザ装置200へのリソースブロックRBの割り当てにおいては、各ユーザ装置200について、かつ複数のリソースグループの各々について計算された複数の過去の下りリンクのPFメトリックに基づいて、過去の下りリンクのPFメトリックがより大きく、所要個別数NS1IRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択することができる。しかし、各ユーザ装置200について、かつ複数のリソースグループの各々について計算された複数の過去の下りリンクのCIRメトリックに基づいて、過去の下りリンクのCIRメトリックがより大きく、所要個別数NS1IRB以下の数のリソースブロックRBを持つことになるリソースグループを、下りリンクリソーススケジューラ132は、先頭の時間スロットS1での当該ユーザ装置200への下りリンクのデータ送信に使用するために選択してもよい。
第3の実施の形態において、ユーザ装置200は、下りリンクのチャネル品質がより良好な(すなわちSINRがより良好な)所定数のリソースブロックRBについてのみ、下りリンクのPFメトリックを計算し、計算されたPFメトリックを示す情報を所望基地局に送信することができる。しかし、ユーザ装置200は、下りリンクのチャネル品質がより良好な所定数のリソースブロックRBについてのみ、CIRメトリックを示す情報を所望基地局に送信してもよい。
第3の実施の形態において、複数のリソースブロックRBがあらかじめ複数のリソースグループにグループ化されている場合、ユーザ装置200は、下りリンクのチャネル品質がより良好な(すなわちSINRがより良好な)所定数のリソースグループについてのみ、下りリンクのPFメトリックを計算し、計算されたPFメトリックを示す情報を所望基地局に送信することができる。しかし、ユーザ装置200は、下りリンクのチャネル品質がより良好な所定数のリソースグループについてのみ、CIRメトリックを示す情報を所望基地局に送信してもよい。
基地局装置100およびユーザ装置200において、CPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array),DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
前記の実施の形態および変形は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。