JP6232980B2 - 熱可塑性エラストマー - Google Patents
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Description
(A)アクリルゴムを100質量部と、(B)熱可塑性ポリアミドを15〜70質量部含む混合物を、前記成分(A)100質量部に対して0.1〜5質量部の(C)架橋剤の存在下に動的に架橋して熱可塑性エラストマーを製造する方法であって、
前記(A)アクリルゴムは、コア−シェル構造を有し、
コア層は、
(a−1)アクリル酸アルキルエステル単量体又はアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体から選ばれる少なくとも1種由来の構成単位を70〜100質量部と、
(a−2)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位を0〜30質量部と、
(a−3)側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−1)と前記構成単位(a−2)の合計100質量部に対して0.1〜3質量部と、
(a−4)側鎖に架橋性基である塩素基、エポキシ基又はカルボキシル基から選ばれる少なくとも一種を有する単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−1)と前記構成単位(a−2)の合計100質量部に対して0.1〜3質量部と
を含み、
シェル層は、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位を含まず、
(a−5)アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種由来の構成単位を70〜100質量部と、
(a−6)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位を0〜30質量部と、
(a−7)側鎖にエポキシ基を有する単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−5)と前記構成単位(a−6)の合計100質量部に対して0〜3質量部とを含む、熱可塑性エラストマーの製造方法
(A)アクリルゴムは、熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントとして作用し、主として柔軟性、弾力性、シール性、耐熱性、及び耐油性等を付与する成分である。そのうえで、本発明の(A)アクリルゴムは、内部にゲル分を含むコア層と、該コア層を覆う、ゲル分を含まないシェル層とによって構成されたコア−シェル二層構造となっている。
コア層は、(a−1)アクリル酸アルキルエステル単量体及びアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体から選ばれる少なくとも1種由来の構成単位と、(a−2)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位と、(a−3)側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位と、(a−4)側鎖に架橋性基である塩素基、エポキシ基又はカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種を有する単量体由来の構成単位とを含む。
アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中でも、優れた柔軟性と耐油性を発揮できるという点で、特に好ましいのはアルキル基の炭素数が2〜4のアクリル酸アルキルエステルである。
不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等を挙げることができる。これらは1種のみを使用することもできるし、2種以上を混用することもできる。
側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1、3、5−トリビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート等のジアリル化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングルコールジメタアクリレート等の多官能アクリレート、メタクリル酸アリル、アクリル酸ジシクロペンテニル等が挙げられる。これらは1種のみを使用することもできるし、2種以上を混用することもできる。
構成単位(a−4)は、架橋を行うための官能基として、側鎖に塩素基、エポキシ基、又はカルボキシル基を有している。塩素基含有単量体としては、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル等の塩素基含有ビニルエーテル、クロロメチルスチレン等の塩素基含有スチレン誘導体、ビニルクロロアセテート等の塩素基含有ビニルアセテート等が挙げられる。
シェル層は、(a−5)アクリル酸アルキルエステル単量体及びアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体から選ばれる少なくとも1種由来の構成単位と、(a−6)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位と、(a−7)側鎖にエポキシ基を有する単量体由来の構成単位とを含む。但し、コア層とは異なり、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位を含まない。したがって、アクリルゴムを重合した際、シェル層にはゲル分が生じない。
構成単位(a−5)・(a−6)には、それぞれコア層の構成単位(a−1)・(A−2)と同種の単量体を使用すればよい。また、構成単位(a−7)も、コア層の構成単位(a−4)のうち、側鎖にエポキシ基を有する単量体を使用すればよい。
〔アクリルゴムの重合〕
(B)熱可塑性ポリアミドは、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントとして作用し、主として熱可塑性エラストマーの成形加工性(流動性)や機械的強度等を向上させる成分である。当該(B)熱可塑性ポリアミドとしては、主鎖中にアミド結合を持つ全ての熱可塑性ポリアミドが含まれる。熱可塑性ポリアミドは、ジアミンと二塩基酸との重縮合、ジホルミル等のジアミン誘導体と二塩基酸との重縮合、ジメチルエステル等の二塩基酸誘導体とジアミンとの重縮合、ジニトリル又はジアミドとホルムアルデヒドとの反応、ジイソシアナートと二塩基酸との重付加、アミノ酸又はその誘導体の自己縮合、ラクタムの開環重合等の公知の方法により得ることができ、ホモポリアミド、コポリアミドのいずれであってもよい。熱可塑性ポリアミドは、1種又は2種以上が適宜組み合わせて使用される。
(C)架橋剤は、(A)アクリルゴムを架橋するために添加されるものであって、アクリルゴムの塩素基、エポキシ基又はカルボキシル基と共有結合することによりアクリルゴムを架橋する機能を有する。例えば、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリエポキシド、ポリオール、酸無水物、有機カルボン酸アンモニウム塩、ジチオカルバミン酸塩等を挙げることができる。
なお、(A)アクリルゴムには、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、充填剤、補強剤、金属酸化物、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、難燃剤、又は紫外線吸収剤等のその他の添加剤を添加することもできる。その他の各添加剤は、下記に示す具体的材料のうち1種のみを添加してもよいし、2種以上を混合添加することもできる。
熱可塑性エラストマーは、(A)アクリルゴム100質量部と、(B)熱可塑性ポリアミド15〜70質量部とを含む溶融混合物(エラストマー前駆体)を、(C)架橋剤の存在下において動的架橋させて得られる。動的架橋とは、(A)アクリルゴムと(B)熱可塑性ポリアミドとを含む混合物を混練しながら架橋を進行させることをいう。
水200質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1質量部、硫酸第一鉄0.01質量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.03質量部、ソジウムスルホキシレート0.05質量部を、窒素置換したステンレス製反応器に仕込み、コア用単量体として表1に示す材料を表1に示す割合で、p−メンタンハイドロパーオキサイド0.1質量部と共に2時間かけて滴下し、反応温度30℃で乳化重合させた。重合転化率が100%に達したところで、シェル単量体として表1に示す材料を表1に示す割合で、p−メンタンハイドロパーオキサイド0.1質量部と共に30分かけて滴下し、反応温度30℃で乳化重合させた。
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
MEA:アクリル酸2−メトキシエチル
AN:アクリロニトリル
AMA:メタクリル酸アリル
DCPA:アクリル酸ジシクロペンテニル
VCAc:モノクロロ酢酸ビニル
GMA:メタクリル酸グリシジル
MBM:マレイン酸モノn−ブチル
(A)アクリルゴム及び(B)熱可塑性ポリアミドとして表2に示す材料を表2に示す量で使用し、温度250℃、ブレード回転数100rpmに設定したバンバリーミキサーに投入し、トルクが一定になるまで混練を行った。次に(C)架橋剤として表2に示す材料を表2に示す量追加投入し、トルクが一定になるまで混練を行い、熱可塑性エラストマー(実施例1〜5、比較例1〜5)を合成した。
PA6:6−ナイロン
PA66:6,6−ナイロン
PA12:12−ナイロン
HMDAC:ヘキサメチレンジアミンカルバメート
MXDA:m−キシリレンジアミン
JIS K 6251に準拠し、試験速度500mm/minにて引張強度(MPa)、伸び(%)を測定した。
<硬度>
JIS K 6253に準拠し、スプリング硬さ試験機A形によって硬度を測定した。
Claims (1)
- (A)アクリルゴムを100質量部と、(B)熱可塑性ポリアミドを15〜70質量部含む混合物を、前記成分(A)100質量部に対して0.1〜5質量部の(C)架橋剤の存在下に動的に架橋して熱可塑性エラストマーを製造する方法であって、
前記(A)アクリルゴムは、コア−シェル構造を有し、
コア層は、
(a−1)アクリル酸アルキルエステル単量体又はアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体から選ばれる少なくとも1種由来の構成単位を70〜100質量部と、
(a−2)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位を0〜30質量部と、
(a−3)側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−1)と前記構成単位(a−2)の合計100質量部に対して0.1〜3質量部と、
(a−4)側鎖に架橋性基である塩素基、エポキシ基又はカルボキシル基から選ばれる少なくとも一種を有する単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−1)と前記構成単位(a−2)の合計100質量部に対して0.1〜3質量部と
を含み、
シェル層は、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体由来の構成単位を含まず、
(a−5)アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種由来の構成単位を70〜100質量部と、
(a−6)不飽和ニトリル単量体由来の構成単位を0〜30質量部と、
(a−7)側鎖にエポキシ基を有する単量体由来の構成単位を、前記構成単位(a−5)と前記構成単位(a−6)の合計100質量部に対して0〜3質量部と
を含む、熱可塑性エラストマーの製造方法。
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