JP6230568B2 - 化粧建築板の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1及び2では、金属系基材、ポリエステルを含むインキ受理層及びインキ受理層を有する塗装鋼板が開示されている。これらの塗装鋼板を製造する際には、金属基材上に形成されたインキ受理層の表面に、溶剤系インキをインクジェット印刷することでインキ層を形成する。このとき、溶剤系インキに含まれる有機溶媒がインキ受理層表面の一部を溶解させて粗面化するため、溶剤系インキは、インキ受理層に対して濡れ広がり、かつ密着することができる。
特に、建築板1が金属サイディング材の場合は、断熱性や防音性を高める目的で、合成樹脂発泡体などを芯材13として、アルミラミネートクラフト紙などの裏面材14で金属系基材の裏面が被覆される(図2)。これらの芯材や裏面材が被覆された後に成形加工が行われるため、芯材由来の樹脂及び添加剤なども後続ロッドのインキ受理層12に付着し、汚れが顕著になる。
具体的に、本発明は、高低差が1.5mmを超える凹凸模様を形成する金属系基材を含み、該基材上には樹脂組成物で形成されるインキ受理層が配置された建築板を、建築板の印刷面の垂直方向に対して±15〜60°の角度で傾斜したバーナーから噴射される火炎で表面処理した後、活性光線硬化型インキでインクジェット印刷することを含む、化粧建築板の製造方法を提供する。
なお、本発明で使用する金属系基材は、発明の効果を阻害しない範囲で、その表面に化成処理皮膜や下塗り塗膜などが形成されていてもよい。
また、金属系基材の厚さは特に限定されないが、建築材が金属サイディング材の場合は、金属系基材の厚さは0.15〜0.5mmである。
なお、高低差dに関し、インキ受理層の厚さも考慮されるべきであるが、下記の通り、インキ受理層の厚みは通常3〜30μmの範囲内であるため、インキ受理層の厚みは考慮しなくてもよい。
なお、従来の水性インキのインキ受理層として使用されてきた多孔質なインキ受理層を形成するような塗料は使用しないことが好ましい。このような多孔質なインキ受理層は耐水性、耐候性に問題がある場合があり、建築材の使用に適さない場合がある。
上記無機粒子としては、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークが挙げられる。また、有機粒子として、アクリル樹脂ビーズ、ポリアクリロ二トリル樹脂ビーズが挙げられる。これらの樹脂ビーズは、公知の方法を用いて製造したものでもよいし、市販品を利用してもよい。市販のアクリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社の「タフチック AR650S(平均粒径18μm)」、「タフチック AR650M(平均粒径30μm)」、「タフチック AR650MX(平均粒径40μm)」、「タフチック AR650MZ(平均粒径60μm)」、「タフチック AR650ML(平均粒径80μm)」、「タフチック AR650L(平均粒径100μm)」および「タフチック AR650LL(平均粒径150μm)」が含まれる。また、市販のポリアクリロニトリルビーズの例には、東洋紡株式会社の「タフチック A−20(平均粒径24μm)」、「タフチック YK−30(平均粒径33μm)」、「タフチック YK−50(平均粒径50μm)」および「タフチック YK−80(平均粒径80μm)」が含まれる。
上記固形粒子や着色顔料の平均粒径は、コールターカウンター法により求められる。
芯材13は、合成樹脂発泡体で形成される。合成樹脂発泡体として、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリア樹脂フォームなどを例示することができる。また、芯材13は、ロックウール、グラスウール、セラミックウールなどの無機質材を利用することもできる。
活性光線硬化型インキは、通常、モノマーもしくはオリゴマー、光重合開始剤、色材、分散剤、界面活性剤、その他の添加剤を含む。本発明では、当該技術分野で一般的に使用されている材料を用いる。カチオン重合型インキはラジカル重合型インキと比較して体積収縮率が少なく、架橋密度を高めた非浸透性のインキ受理層に対しても高い密着性が得られることから特に好ましい。
また、バーナーの炎口21が搬送方向に向かって傾斜しているときは、角度Rの値を正の数値とする。一方、バーナーの炎口21が搬送方向と逆方向に向かって傾斜しているときは、角度Rの値を負の数値とする。
また、建築板1の搬送時に生じる気流を考慮すると、図3のようにバーナーの炎口21が搬送方向に向かって傾斜していること、つまり、正の角度に傾斜していることが好ましい。
また、距離Hが120mmを超えると、フレーム処理の効果を奏するために高いエネルギーの火炎を照射する必要があり、非効率的であり好ましくない。
バーナーの出力は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常、バーナーの炎口の幅10mmあたり250kJ/時〜12000kJ/時、好ましくは、400kJ/時〜7500kJ/時、さらに好ましくは600kJ/時〜6000kJ/時、なお更に好ましくは1200kJ/時〜5000kJ/時の出力である。バーナーの炎口の幅10mmあたり250kJ/時未満であると、建築板1の表面に存在する汚れ(異物)の焼却が十分に行われない場合がある。また、バーナーの炎口の幅10mmあたり7500kJ/時以下で、火力は十分であり、これを超えると経済的にも非効率である。また、建築板1が金属サイディング材である場合、12000kJ/時を超える火力で火炎を照射すると、金属系基材1の表面温度がすぐに300℃を超えてしまうため、芯材2と金属系基材1との界面に熱歪が生じ芯材2と金属系基材1に剥離が生じる。また、金属系基材1の蓄熱性を考慮すると250℃以下が好ましい。
図5(a)で示されるLは、炎口21の長さを表す。炎口21は、図3又は4における搬送方向に平行の向きにその長さLを変更することが可能である。通常、Lは3〜40mmである。なお、建築板1の搬送速度が大きくなると建築板1の移動に伴う気流が発生する。Lの値が小さいほどバーナーの火炎3がその気流の影響を受けやすくなるため、火炎3が均一に照射できない場合がある。そのため、最適条件を考慮しながら、Lと搬送速度を調整することが好ましい。
また、上記の「バーナーの炎口の幅10mmあたり」記載は、図5(b)のW´が10mmであることを意味する。
インキ滴の初速が3m/sec未満では液滴の速度が遅すぎるため、インキ滴の着弾精度が大幅に低下する場合がある。また、9m/secを超える場合は、着弾精度は良いものの、インキのサテライトが発生して画質が低下するという問題が生じる場合がある。
活性光線照射機9は、搬送機4の搬送面4−1に向けて設置された活性光線を照射するランプを備え、搬送面4−1の方向に活性光線を照射する。
印刷面1−1に着弾したインク滴を活性光線照射機9からの活性光線で硬化させる。通常、インク滴が着弾してから1.0秒以上、好ましくは2.0秒以上、さらに好ましくは2.2秒以上経過した後に活性光線を照射するように、搬送機4の搬送速度及びインクジェット式塗装機5から活性光線照射機9までの距離を調整する。また、空気中の水分がインキの重合を阻害することがあるため、インキが着弾後30秒以内に活性光線を照射する。
以下の実施例では、建築板として金属サイディング材を調製し、評価した。
1.金属サイディング材の製造
(1−1)金属系基材の製造
板厚0.27mm、A4サイズの片面当りめっき付着量90g/m2の溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を基材として使用した。このめっき鋼板をアルカリ脱脂した後、塗布型クロメート(NRC300NS:日本ペイント株式会社製 Crとして50mg/m2の付着量)、プライマー層として市販のエポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ファインコーティングス株式会社製700P)を乾燥膜厚が5μmとなるようにロールコーターで塗装した後、最高到達板温215℃となるように焼き付けた。
インキ受理層を形成するための樹脂組成物である塗料の組成は以下の通りである。樹脂としては数平均分子量5,000、ガラス転移温度30℃、水酸基価28mgKOH/gの高分子ポリエステル樹脂(DIC株式会社製)を用いた。架橋剤であるメラミン樹脂としては、メトキシ基90モル%のメチル化メラミン樹脂(三井サイテック製サイメル303)を用いた。ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の配合比は70/30であり、着色顔料としては平均粒径0.28μmの酸化チタン(テイカ製 JR−603) 49質量%、平均粒径10μmのマイカ(株式会社ヤマグチマイカ製 SJ−010) 13質量%、平均粒径5.5μmの疎水性シリカ(サイシリア456;富士シリシア株式会社) 6質量%、平均粒径12μmの疎水性シリカ(富士シリシア化学株式会社製 サイリシア476) 2質量%を添加した。触媒はドデシルベンゼンスルフォン酸を、樹脂固形分に対して1質量%加えた。またアミンとしてジメチルアミノエタノールをドデシルベンゼンスルフォン酸の酸当量に対してアミン当量として1.25倍の量を加えた。塗料の乾燥膜厚が18μmとなるようにロールコーターで塗装した後、最高到達板温225℃となるように焼き付けた。
具体的には以下のように測定した。測定装置として、コールターカウンター(米国コールターエレクトロニクス社製)TA−II型を用いた。試料約0.5gを200mlのビーカーに取り、純水約150mlを加え、超音波(ULTRASONIC CLEANER B-220)で60〜90秒分散させた。付属の電解液(ISOTON II:0.7%高純度NaCl水溶液)150mlに上記分散液をスポイトで数滴加え入れ、上記装置を用いて粒度分布を求めた。
但し、上記JR−603(酸化チタン)及びサイシリア456(疎水性シリカ)は30μmのアパッチャーチューブを使用した。また、SJ−010(マイカ)は50μmのアパッチャーチューブを使用した。平均粒径は累積粒度分布図の50%径を読み取り求めた。
上記のインキ受理層を有する金属系基材にエンボス加工による表面加工を行った。
アンコイラーに巻かれたインキ受理層を有する金属系基材を連続的に送り出し、ロール式エンボス成形機により、ブリック柄で高さ1.8mm〜4.0mmのエンボス形状に金属系基材を連続して成形し、御影石擬似柄の外観を施した金属系基材を形成した。
(1−4)芯材及び裏面材の形成
形成された金属系基材の裏面に、芯材となるポリイソシアヌレート原料として、ソフランR−HIPとトーヨーソフランR746−19D(いずれも株式会社ソフランウィズ製)とを、発泡機によって質量比10対7で混合しながら混合押出機により吐出した。また、発泡するポリイソシアヌレート原料層上にアルミクラフト紙(裏面材)を送り出した。そして、エンボス加工された金属系基材とアルミクラフト紙との間にポリイソシアヌレート原料層をサンドイッチした状態で加熱、加圧し、発泡成形することにより、インキ受理層を有する金属系基材、芯材およびアルミクラフト紙をこの順で有する金属サイディング材を製造した。なお、芯材の厚みは、17mmとした。芯材の厚みは、上記加熱、加圧時に金属サイディング原板をその積層方向に挟持するダブルコンベア間の距離によって調整した。
ポリイソシアヌレート原料の詳細な発泡条件は以下の通りである。
ラインスピード 40m/min
流量 6kg/min
液温 30℃
インキ受理層を有する金属系基材のプレヒート温度 35℃
オーブンキュアー温度 50℃
発泡機 低圧型アジテータミキシング発泡機
フレーム処理を行うためのバーナーとして、FFP200(Finecom I&T(韓国)社製を使用した。燃焼ガスとしてLPガスを用い、バーナーの炎口の幅10mmに対し、LPガス0.04〜1.28L/分、クリーンドライエアー 1〜32L/分をガスミキサーで混合した後に、バーナーで燃焼させてフレーム処理を行った。また、バーナーの炎口における搬送方向に平行な向きの長さ(図5(a)におけるL)が20mmのものを用いた。
また、バーナーの傾斜角度Rは、0°、5°、±15°、±30°、±40°、±45°、±60°及び65°でフレーム処理を行った。
なお、フレーム処理時の搬送速度は20m/分で行った。
(3−1)
活性硬化型インキとして、ラジカル重合型紫外線硬化性黒色インキ及びカチオン重合型紫外線硬化性黒色インキを用いた。各インキの具体的な組成は以下の通りである。
ラジカル重合型紫外線硬化性黒色インキを、以下の成分を混合することにより調製した。具体的な組成は以下の通りである。
反応性オリゴマー2) 25質量部
反応性オリゴマー3) 57質量部
光重合開始剤4) 5質量部
光重合開始剤5) 3質量部
2)CN985B88、2官能脂肪族ウレタンアクリレート88質量%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート12質量%の混合物 サートマージャパン(株)製
3)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
4)イルガキュア184、ヒドロキシケトン類 チバ・ジャパン(株)製
5)イルガキュア819、アシルフォスフィンオキサイド類 チバ・ジャパン(株)製
高分子分散剤(味の素ファインテクノ社製 PB821) 9質量部とオキセタン化合物(東亜合成社製 OXT211) 71質量部にブラック:Pigment Black 7を20質量部加えて、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて4時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、ブラックの顔料分散体を調整した。
上記分散体14質量部に、以下の光重合性化合物、塩基性化合物、界面活性剤、相溶化剤、光酸発生剤を混合して、カチオン重合型紫外線硬化性インクジェットインキを作製した。
(a)ノズル径 :35μm
(b)印加電圧 :11.5V
(c)パルス幅 :10.0μs
(d)駆動周波数 :3,483Hz
(e)解像度 :360dpi
(f)インキ液滴の体積 :42pl
(g)ヘッド加熱温度 :45℃
(h)インキ塗布量 :8.4g/m2
(i)ヘッドと記録面の距離 :5.0mm
(j)インキ滴の初速 :5.9m/sec
(a)ノズル径 :35μm
(b)印加電圧 :13.2V
(c)パルス幅 :10.0μs
(d)駆動周波数 :3,483Hz
(e)解像度 :360dpi
(f)インキ液滴の体積 :42pl
(g)ヘッド加熱温度 :45℃
(h)インキ塗布量 :8.4g/m2
(i)ヘッドと記録面の距離 :5.0mm
(j)インキ滴の初速 :6.1m/sec
(1)ランプの種類:高圧水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製 Hバルブ)
(2)ランプの出力:200W/cm
(3)積算光量:600mJ/cm2(オーク製作所製紫外線光量計UV−351−25を使用して測定)
熱電対温度計(Kタイプ)(日置電機株式会社・温度ロガーLR5021)とセンサー(安立計器株式会社・テープ型多目的温度センサー)を金属サイディング材の金属系基材表面に取り付け測定した。
金属系基材と芯材の接着強度測定方法を図6に示すように行った。まず、裏面材を除去した50mm×50mmの金属サイディング材の表裏をホットメルト接着剤101(商品名:ホットメルトスティック多用途白色 HSW−01K、ヘンケルジャパン株式会社製)で木片102(9mm×65mm×70mm)を貼り付けた。次に、引張用治具103を用いて、上下の矢印方向に引っ張り速度5mm/分で引っ張り、最大剥離強度(kg/cm2)を測定した。サイディングオス側嵌合部、中央部、メス側嵌合部の3箇所の最大剥離強度を平均して金属系基材と合成樹脂発泡体の接着強度とした。接着強度が0.3g/cm2以上であれば合格とした。
なお、下記表の実施例1〜3は参考例である。
11:金属系基材、12:インキ受理層、13:芯材、14:裏面材
21:炎口、22:バーナーヘッド、23:支持部、24:ガス供給部
3:火炎、4:搬送機、4−1:搬送面、5:インクジェット式塗装機、61:インクジェット記録ヘッド(イエロー)、62:インクジェット記録ヘッド(シアン)、63:インクジェット記録ヘッド(マゼンダ)、64:インクジェット記録ヘッド(ブラック)、71:インキ供給タンク(イエロー)、72:インク供給タンク(シアン)、73:インク供給タンク(マゼンダ)、74:インク供給タンク(ブラック)、8:制御部、9:活性光線照射機
101:ホットメルト接着剤、102:木片、103:引張用治具
d:金属系基材の凹凸の高低差、H:バーナー2と印刷面1−1との間の最短の距離
M:ライン式インクジェット記録装置、R:バーナー2の傾斜角度
α:印刷面に対して垂直方向に伸びる破線、β:炎口に対して垂直方向に伸びる破線
Claims (8)
- 高低差が1.5mmを超える凹凸模様を形成する金属系基材を含み、該基材上には樹脂組成物で形成されるインキ受理層が配置された建築板を、該建築板の印刷面の垂直方向に対して±15〜60°の角度で傾斜したバーナーから噴射される火炎で表面処理した後、活性光線硬化型インキでインクジェット印刷することを含む、化粧建築板の製造方法。
- 前記インキ受理層は活性光線硬化型インキに対して非浸透性である、請求項1に記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記バーナーが、建築板の印刷面の垂直方向に対し±15〜40°の角度で傾斜する、請求項1又は2に記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記活性光線硬化型インキが活性光線硬化型カチオン重合性インキである、請求項1又は2に記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記バーナーと建築板との距離が10〜120mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記建築板の搬送速度が5.0m/分〜70m/分である、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記建築板が、前記金属系基材のインキ受理層とは反対側に芯材及び裏面材が配置された金属サイディング材である、請求項1〜6に記載いずれかに記載の化粧建築板の製造方法。
- 前記建築板の温度が、前記表面処理時に300℃以下である、請求項7に記載の化粧板の製造方法。
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