JP6230125B2 - 新規殺虫性組成物のハイスループット同定のための統合された方法およびその用途 - Google Patents

新規殺虫性組成物のハイスループット同定のための統合された方法およびその用途 Download PDF

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Description

配列表の組込み
添付の配列表中の物質は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。添付のファイル(ファイル名「SGI1530−1WO_ST25.txt」)は、2012年8月17日に作成されたものであり、836Kbである。前記ファイルには、Window OSを使用するコンピュータ上で、Microsoft Wordを利用してアクセスすることができる。
発明の分野
本発明は全体として分子生物学分野に関する。より具体的には、本発明は、生体毒素をコードする遺伝子配列の同定およびその用途に関する。
発明の背景
多くの微生物種、特に土壌に生息する芽胞形成性グラム陽性菌種および他の複合的生態群集は、自身の生存能および増殖能を増加させる幅広いタンパク質性毒素を産生する。そのような細菌の多くは、しばしば、種々の遺伝子を含み得るプラスミドおよびエピソーム等の染色体外遺伝因子を保有している。多くの場合、これらのプラスミドにコードされる遺伝子およびエピソームにコードされる遺伝子は、所与の菌種に重要な特徴を与える。例えば、最も広く使用されている生物致死性殺虫剤の一つは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis:Bt)の亜種および菌株の染色体外遺伝物質にコードされるタンパク質のCrystal(Cry)である。現在まで、種々様々なバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis:Bt)菌株およびBt由来化合物が殺微生物剤として使用されている。Btの芽胞は結晶を含有し、その結晶は主に一つまたは複数のCryおよび/またはCytタンパク質(β内毒素としても知られている)を含んでおり、種々の鱗翅目害虫に対する強力で特異的な殺虫活性を有する。Bt毒素は作物保護のための局所的な殺虫剤として使用されており、より最近では、該タンパク質は病虫害抵抗性を付与するために遺伝子導入植物において発現されている。これらの菌種による殺虫性タンパク質の産生に関与する遺伝子は染色体外DNAにコードされている。
種々の農業応用における微生物毒素およびそれらをコードする遺伝子の使用は過去20年間の間にますます一般的になってきているが、商業的応用のための有望な潜在性を有する微生物毒素遺伝子を発見し特徴付けるプロセスは煩雑なままである。微生物は生物界における最大の構成要素であり、そして、地球上の進化的多様性および生化学的多様性の唯一最大の源であることが広く認められている。実際に、地球上の微生物細胞の総数は少なくとも1030であると推定されている。原核生物は個々の生物の中では最大の割合であり、10〜10種の別々な遺伝種を含む。さらに、細菌の染色体外DNAの間にも非常に大きな遺伝的多様性があることも報告されている。従って、途方もない生物多様性を有するこれらの微生物遺伝物質は、商業的応用に向けた可能性を有する新規の遺伝子および化合物の宝庫として、大部分が未だ手つかずのままである。しかし、商業的に実現可能な遺伝子を微生物からスクリーニングするための現在利用可能な方法は、多くの場合、これらの調査中の供給源に対し効率的に適用することができない。例えば、バシラエ属(Bacillae species)の新規結晶性毒素タンパク質のスクリーニングに現在利用されているアプローチは、当該分野の初期から大きく変わっておらず、多大な時間を要しスループットがかなり遅い方法に主に依存している。商業的に実現可能な遺伝子およびタンパク質を同定する従来のアプローチは、典型的には以下の重要な機能に依存している。典型的に、芽胞形成性のバシラエ属(Bacillae)の新規分離菌株は環境から集められた後、長い多段階の特徴付けプロセスにかけられ、そのプロセスには、(1)結晶タンパク質形成菌株を同定するための顕微分析、(2)線虫および昆虫の摂食および死滅アッセイ、(3)完全長毒素遺伝子配列を回収するための変性PCR分析(degenerative PCR analysis)およびプライマーウォーキングが含まれる。そのようなアプローチの主な欠点には、スループットの遅さ、必要とされる長大な時間および労力だけではなく、これらの努力が全て為された後になって初めて、発見された遺伝子配列が決定されるという事実も含まれる。
最近のゲノミクスアプローチは、遺伝子を可能な限り速く配列決定し、既知遺伝子との相同性によりそれらの機能を特定しようというものである。分子生物学のツールがこの目的に利用可能となってから、微生物のゲノムを特徴付ける努力が進行している。さらにより高い配列決定処理能力を達成するには技術革新が必要とされるため、多数の商事会社および科学研究所が、超高スループット配列決定を達成するための多くの異なる方法を考え出している。これらのアプローチは多くの場合、新規毒素コード配列の同定が可能となるまでに、微生物ゲノム全体の配列決定および構築、その後のゲノムワイドな遺伝子注釈を必要とする、しかし、毒素遺伝子の多くが微生物ゲノムの染色体外部分に存在しているため、商業的価値を有する新規遺伝因子を同定する目的で、所与の生物のゲノム全体を配列決定することがどれだけ効果のあることなのかは未だ不明である。微生物の染色体外DNAが保有する遺伝物質を特徴付けし、商業に応用できる微生物遺伝子を迅速に同定する手段としてそのような特徴付けを利用しようという、組織的な努力はほとんどなかった。そのような組織的アプローチの一つは以前に米国特許出願第20100298207号(特許文献1)に記述されており、その中で、目的の毒素遺伝子を保有する可能性がある菌種の染色体外DNA含有物を、個々に抽出し、配列決定し、構築し、注釈した後に、毒素遺伝子を同定することができた。しかし、このアプローチは、個々の微生物菌株が単離され特徴付けされること、および染色体外核酸が培養菌株から個々に単離されることを必要とするため、さらなる改善が必要である。さらに、個々に処理された試料において新規毒素遺伝子を同定するために、個々別々に、全てのDNAライブラリーを構築し、配列決定し、注釈づけする際のクローニングには多大な労力が必要となる。
メタゲノミクスは今日において最も発展が速い研究領域の一つである。前記用語は、メタアナリシス(個別の分析を統計学的に組み合わせる方法)およびゲノミクス(生物の遺伝物質の総合的解析)の統計的概念に由来する。今日までのところ、従来のメタゲノミクスはしばしば、配列決定用の純粋な培養物を入手する必要性を回避することによる、環境試料または一連の関連試料から直接得られたDNAに対する、ハイスループット配列決定の適用と定義されている。ある程度、従来のメタゲノミクスは微生物ゲノミクスの派生であるが、重要な違いは、メタゲノミクスが、配列決定用の純粋な培養物を入手する必要性を回避することにある。さらに、試料は単離された個体群からではなく、混合群(community)から入手される。
メタゲノミクスを使用して所望の活性を有する酵素を同定することに成功しているが、メタゲノミクスは、環境DNAクローンライブラリーの、相対的にロースループットな(low-throughput)、機能に基づくスクリーニングまたは配列に基づくスクリーンニングに主に依存している。配列に基づいたメタゲノミクスによる環境試料からの完全遺伝子の発見は、たいていの環境における微生物種の複雑性、および低カバレッジなメタゲノミクス的アセンブリにおいて完全長遺伝子が結果としてわずかであることによって、制限されている。
従って、微生物の染色体外DNA含有物が保有する有用なヌクレオチド配列の、迅速的且つ効率的な同定を促進するための、新規の方法が必要とされる。特に、商業に関連があるより多くの微生物毒素遺伝子を同定し、それを迅速且つ効率的に行うことが必要とされる。本発明の一態様は、微生物のゲノム全体に対し、多大な労力を必要とし相対的にスループットの遅いクローニングまたは配列決定を行う必要なしに、迅速且つ効率的に微生物ゲノムから遺伝的多様性を捕捉し、商業的利益のある新規の毒素をコードする配列を同定するための方法を提供することによって、この長年に亘る切実な要求に対する解決策として、統合されたスクリーニング法を提供する。
米国特許出願第20100298207号
微生物において生体毒素をコードする遺伝子配列を迅速且つ高効率に同定する方法が本開示に記載される。特に、目的の新規配列について微生物の染色体外遺伝物質を迅速に試料採取しスクリーニングする方法が提供される。新規生体毒素をコードする単離された核酸分子およびそのような核酸分子を含有する組成物も、本開示において提供される。さらに、細胞および生物、例えば、微生物、植物、植物細胞、組織、および種子に殺虫活性を付与するための組成物および方法が提供される。本開示に記載の核酸配列および分子は、例えば、宿主生物、例えば微生物および植物における形質転換および発現に適したDNA構築体または発現カセットの作製に使用することができる。核酸分子は、標的生物、例えば、限定はされないが、微生物または植物における最適な発現のために設計された合成配列も含有し得る。さらに、これらの核酸分子に対応するポリペプチド、そのようなポリペプチドを生成する方法、およびこれらのポリペプチドに特異的に結合する抗体も、本開示には包含される。
本発明の一態様は、生体毒素をコードする核酸配列を同定するための方法に関する。前記方法は、(a)複数の分離菌株から染色体外DNA分子の混合群を作製し、(b)前記染色体外DNA分子の混合群に由来する核酸配列を含むメタゲノム配列データセットを構築し、(c)前記メタゲノム配列データセットの配列データを処理して、少なくとも1つの核酸配列コンティグを定義し、(d)ステップ(c)で得られた前記少なくとも1つの核酸配列コンティグを既知の生体毒素配列と比較することにより、生体毒素をコードする核酸配列を同定すること、を含む。
一部の実施形態では、本発明の本態様による方法は、分離菌株の分類学的分類を決定するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、複数種の分離菌株が少なくとも1種の生体毒素を産生する能力について予備選択され得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の本態様による方法は、ステップ(d)で同定された核酸配列が新規生体毒素をコードしているかどうかを決定するステップをさらに含み得る。一実施形態では、新規毒素の核酸配列は、あらゆる既知の生体毒素配列と30%未満の同一性を共有し得る。一部の実施形態では、新規毒素の核酸配列は、あらゆる既知の生体毒素配列と、60%未満、または70%未満、または80%未満、または90%未満、または95%未満、または98%未満、または99%未満の配列同一性を共有し得る。本態様による方法のある実施形態では、複数種の分離菌株には少なくとも12種の分離菌株が含まれる。一部の実施形態では、複数種の分離菌株には、少なくとも24種、または少なくとも48種、または少なくとも50種、または少なくとも96種、または少なくとも200種、または少なくとも384種、または少なくとも400種、または少なくとも500種、または少なくとも1500種の分離菌株が含まれる。本態様の好ましい実施形態では、分離菌株のうち少なくとも1種は細菌である。細菌は、限定はされないが、以下の属の細菌であり得る:バシラス属、ブレビバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、フォトラブダス属、シュードモナス属、セラチア属、ストレプトマイセス属、およびゼノラブダス属。本態様のさらに他の実施形態では、メタゲノム配列データセットは分子クローニングを除く直接配列決定法によって構築され得る。
本明細書で開示されるハイスループットな遺伝子同定法により同定される核酸配列を含む単離された核酸分子も、本発明の別の態様により提供される。
さらに別の態様では、本開示は、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の相補体、およびいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示すヌクレオチド配列の相補体、およびいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子を提供する。
本開示は、本明細書で提供されるポリヌクレオチドを含む核酸構築体も提供する。核酸構築体は、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列を含む核酸分子に機能的に連結された異種核酸;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの好ましい実施形態では、異種核酸は異種プロモーターである。いくつかの他の好ましい実施形態では、本発明の本態様による核酸構築体はベクター構築体である。そのようなベクター構築体は、遺伝子導入細胞および遺伝子導入生物、例えば、限定はされないが、遺伝子導入植物および遺伝子導入微生物における、本発明によるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの形質転換および発現に有用である。
別の態様では、本開示は、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列を含む核酸分子に機能的に連結された異種核酸;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築体を含む宿主細胞をさらに提供する。いくつかの本態様の好ましい実施形態では、そのような宿主細胞は植物細胞または微生物細胞であり得る。
本開示は、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列を含む核酸分子に機能的に連結された異種核酸;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築体を含む宿主細胞を含有する宿主生物も提供する。いくつかの本態様の好ましい実施形態では、そのような宿主生物は植物または微生物であり得る。本開示は上記の宿主生物に由来する生物試料および子孫も提供する。
本発明の別の態様では、生物に殺虫活性を付与するための方法が開示される。前記方法は、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子を前記生物に導入することを含む。好ましい実施形態では、核酸分子は転写されて、照生物と比較した場合の、有害生物に対する生物の抵抗性に向上をもたらす。
さらに別の態様では、本開示はさらに、単離されたポリペプチドを提供する。単離されたポリペプチドは、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子にコードされる。いくつかの本態様の好ましい実施形態では、前記ポリペプチドは殺虫活性を有し得る。
本発明の別の態様では、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子にコードされるポリペプチドを含む組成物が提供される。本発明の本態様による組成物は、以下の特徴のうちの一つまたは複数をさらに含み得る。前記ポリペプチドは単離されたポリペプチドであり得る。前記ポリペプチドは殺虫活性を有し得る。前記組成物は担体をさらに含み得る。そのような担体は農業的に許容できる担体であり得る。前記組成物は農業的に有効な量の殺虫性の化合物または組成物を追加で含み得る。前記追加の化合物または組成物は、殺ダニ剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤(insecticide)、殺細菌剤、殺線虫剤、殺有害生物剤(pesticide)、または肥料であり得る。前記組成物は、エマルジョン、コロイド、粉塵、顆粒、ペレット、粉末、噴霧、または溶液であり得る製剤として調製され得る。前記組成物は、微生物細胞の培養物の遠心分離、濃縮、乾燥、抽出、濾過、均質化、または沈降によって調製され得る。さらに他の実施形態では、前記組成物は、本明細書で提供される約1重量%〜約99重量%のポリペプチドを含み得る。
本発明の別の態様では、有害生物を制御するための方法も提供される。前記方法は、有害生物に、殺虫有効量の本明細書に記載の本発明のポリペプチドを接触または摂食させることを含む。
さらに本発明の別の態様では、殺虫活性を有するポリペプチドを生成する方法が提供される。前記方法は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちのいずれか1つをコードする核酸分子を含む宿主細胞を、該核酸分子が発現される条件下で培養することを含む。従って、前記ポリペプチドは、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子にコードされ得る。
本明細書で提供されるポリペプチドのうちのいずれか1つに特異的に結合する精製された抗体またはその殺虫性断片も本開示で提供される。前記ポリペプチドは、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;または配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子にコードされ得る。
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
複数種の分離菌株から染色体外DNA分子の混合群を作出する段階;
該染色体外DNA分子の混合群由来の核酸配列を含むメタゲノム配列データセットを構築する段階;
該メタゲノム配列データセットの配列データを処理して、少なくとも1つの核酸配列コンティグを定義する段階;および
段階(c)で得られた少なくとも1つの核酸配列コンティグと、既知の生体毒素配列とを比較することによって、生体毒素をコードする核酸配列を同定する段階、
を含む、生体毒素をコードする核酸配列を同定する方法。
[2]
前記分離菌株の分類学的分類を決定する段階をさらに含む、[1]記載の方法。
[3]
前記複数種の分離菌株が、少なくとも1種の生体毒素を産生する能力について予備選択されている、[1]記載の方法。
[4]
段階(d)から同定された前記核酸配列が新規生体毒素をコードしているかどうかを決定する段階をさらに含み、同定された新規毒素の核酸配列がいかなる既知の生体毒素配列とも30%未満の配列同一性しか共有していない、[1]記載の方法。
[5]
前記複数種の分離菌株が少なくとも12種の分離菌株を含む、[1]記載の方法。
[6]
前記分離菌株のうちの少なくとも1種が細菌である、[1]記載の方法。
[7]
前記細菌が、バシラス属、ブレビバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、フォトラブダス属、シュードモナス属、セラチア属、ストレプトマイセス属、およびゼノラブダス属からなる群から選択される属の細菌である、[6]記載の方法。
[8]
前記メタゲノム配列データセットが、分子クローニングを除く直接配列決定法によって作成される、[1]記載の方法。
[9]
[1]〜[8]のいずれかの方法によって同定された核酸配列を含む、単離された核酸分子。
[10]
高度にストリンジェントな条件下で、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、その相補体、もしくはそのいずれかの断片にハイブリダイズする、核酸配列;または
配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、その相補体、もしくはそのいずれかの断片に対し70%以上の配列同一性を示す、核酸配列;または
配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする、核酸配列
を含む、単離された核酸分子。
[11]
異種核酸に機能的に連結されている[10]記載の核酸分子を含む、核酸構築体。
[12]
[11]記載の核酸構築体を含む、宿主細胞。
[13]
植物細胞または微生物細胞である、[12]記載の宿主細胞。
[14]
[12]記載の宿主細胞を含む、宿主生物。
[15]
[14]記載の宿主生物に由来する、生物試料または子孫。
[16]
[10]記載の核酸分子を生物に導入する段階を含み、該核酸分子が転写されることにより、該生物の有害生物に対する抵抗性が対照生物と比較して上昇する、生物に殺虫活性を付与するための方法。
[17]
高度にストリンジェントな条件下で、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、その相補体、もしくはそのいずれかの断片とハイブリダイズする、核酸配列;または
配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、その相補体、もしくはそのいずれかの断片に対し70%以上の配列同一性を示す、核酸配列;または
配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする、核酸配列
を含む核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
[18]
殺虫活性を有する、[17]記載のポリペプチド。
[19]
[18]記載のポリペプチドを含む、組成物。
[20]
有害生物に、殺虫有効量の[18]記載のポリペプチドを接触または摂食させる段階を含む、有害生物を制御するための方法。
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、以下の本発明の詳細な説明および特許請求の範囲からより充分に明らかとなるだろう。
発明の詳細な説明
本発明は、生物、特に植物または植物細胞における病虫害抵抗性を調節するのに有用な組成物および方法に関する。新規生体毒素をコードする遺伝子配列を迅速且つ効率的に同定する方法が提供される。特に、目的の新規配列について、微生物の染色体外遺伝物質を迅速にサンプリングおよびスクリーニングする方法が記載される。新規生体毒素をコードする単離された核酸分子およびそのような核酸分子を含有する組成物が本開示において提供される。さらに、細菌、植物、植物細胞、組織、および種子に殺虫活性を付与するための組成物および方法も提供される。さらに、前記ポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列も包含され、それらのアミノ酸配列に特異的に結合する抗体も提供される。
特に、本発明の核酸分子は、例えば、後の目的の生物への形質転換のための発現ベクターの構築に、他の毒素遺伝子を単離するための、およびドメイン交換またはDNAシャフリング等の当該技術分野において既知の方法により改変型殺虫性タンパク質を生成するためのプローブとして、使用することができる。核酸配列またはアミノ酸配列は、標的生物、例えば、限定はされないが、微生物または植物内で最適に発現するよう設計された合成配列であってもよい。本発明のポリペプチドは、有害生物集団、特に鱗翅目、鞘翅目、および線虫の有害生物集団の制御または死滅に有用であり、殺虫活性を有する組成物の生成に有用である。
さらに、本開示による方法を用いて生み出された微生物細胞および植物細胞は、バイオマス、微生物産生物、植物産生物、例えば、食物、飼料、バイオ燃料、化粧品、医薬品(medicinal products)、栄養補助食品、栄養食品、または製剤製品(pharmaceutical products)を生産するために使用することができる。
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、記号および他の科学用語または専門用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解される意味を有することが意図される。いくつかの場合、共通に理解される意味を有する用語は、明確さのためおよび/または参照のし易さのために本明細書で定義され、そのような本明細書における定義の包含は、必ずしも、当該技術分野において一般的に理解されるものとの実質的な差異を表すと解釈されるべきではない。本明細書で記載または参照される技術および方法の多くは、当業者により、従来の方法論を用いて、充分に理解され一般的に使用されるものである。
単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈によって特に明示されない限りは複数の参照物が含まれる。例えば、「細胞(a cell)」という用語には、一つまたは複数の細胞が含まれ、その混合物も含まれる。
アミノ酸:本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、自然発生的なアミノ酸および合成アミノ酸、並びに自然発生的なアミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。自然発生的なアミノ酸は遺伝暗号によってコードされるアミノ酸(例えばD/L光学異性体)、並びに後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、y−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸類似体は自然発生的なアミノ酸と同じ基礎化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合した炭素)を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。そのような類似体は修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、自然発生的なアミノ酸と同じ基礎化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、自然発生的なアミノ酸に類似した様式で機能する、化学物質を指す。
本明細書で同義的に使用される「生体毒素」または「トキシン」という用語は、一種または複数種の有害生物、例えば、限定はされないが、鱗翅目、双翅目、および鞘翅目のメンバー、並びに無体節ぜん虫(Nematoda phylum)の線虫メンバー等の昆虫有害生物に対して、毒性作用を有するポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの機能相同体を指すことが意図される。「生体毒素」という用語は、生体起源を明示的に確認するために使用される場合がある。いくつかの場合で、生体毒素タンパク質はバシラス属から単離される。他の実施形態では、毒素はクロストリジウム属およびパエニバシラス属を含む他の微生物属から単離され得る。毒素タンパク質は、本明細書で開示される完全長ヌクレオチド配列から推定されるアミノ酸配列、および完全長配列よりも短いアミノ酸配列を含むが、これは、別の下流開始部位の使用によるもの、または殺虫活性を有するより短いタンパク質を生成するプロセシングによるものである。プロセシングは、前記タンパク質をその内部で発現する生物内で、または前記タンパク質を経口摂取した後の有害生物内で起こり得る。
組成物:「組成物」は、活性薬剤、および不活性な(例えば、検出可能な薬剤または標識または液体担体)、または活性な(例えば殺虫剤)、別の化合物、担体または組成物の組み合わせを意味することが意図される。
「制御する」または「制御」という用語または文法上のその等価語は、殺虫処理に関連して本明細書で使用される場合、あらゆる発生段階での有害生物の摂食、成長、および/または行動における変化に影響を与えるための、所与の有害生物に対する殺虫性組成物のいかなる殺虫作用または有害生物抑制的(pestistatic)(有害生物機能を阻害、忌避、阻止、防止、および一般的には干渉して宿主植物への傷害を防止する)作用、例えば、限定はされないが、昆虫殺傷、成長遅延、生殖能抑制等を包含すると理解される。従って、「制御する」または「制御」という用語または文法上のその等価語は、殺傷を含むだけでなく、卵の発生または孵化の忌避、防止、阻止、阻害または消滅、成熟または発達の阻害、および幼生または成体有害生物の滅菌等の作用も含まれる。
対照生物:本発明で使用される「対照生物」は、対象の生物または細胞の表現型における変化を測定するための比較基準を与え、いかなる適切な生物または細胞であってもよい。対照生物または対照細胞は、例えば、(a)野生型生物もしくは野生型細胞、すなわち、対象生物もしくは対象細胞をもたらした遺伝子変化が、出発物と同じ遺伝子型である生物または細胞;(b)出発物と同じ遺伝子型ではあるが、無意味なコンストラクト(すなわち目的の形質に既知の影響を与えないコンストラクト、例えばレポーター遺伝子を含むコンストラクト)で形質転換された生物もしくは細胞;(c)対象生物もしくは対象細胞の子孫の中で非形質転換型の分離個体である生物もしくは細胞;(d)対象生物もしくは対象細胞と遺伝学的に同一であるが、対象生物もしくは対象細胞と同じ処理(例えば、殺虫剤処理)に暴露されていない生物もしくは細胞;(e)目的の遺伝子が発現されない条件下の対象生物もしくは対象細胞それ自体;または(f)例えば、殺虫剤もしくは殺虫剤の組み合わせおよび/または他の化学薬品等の特定の処理に暴露されていない条件下の対象生物もしくは対象細胞それ自体を含み得る。いくつかの場合においは、「対照生物」という用語は、遺伝子導入生物または遺伝子改変生物における改変された表現型を同定するための、遺伝子導入生物または遺伝子改変生物との比較に使用される生物または細胞を指す。「対照生物」は、いくつかの場合において、目的の遺伝子導入生物に存在する外来性核酸を含有しないが、その他の点ではそのような遺伝子導入生物と同一または類似の遺伝的背景を有する生物を指し得る。いくつかの他の場合において、本明細書で使用される適切な対照生物または対照細胞は、対象生物または対象細胞と異なる遺伝子型を有し得るが、対象生物または対象細胞をもたらした遺伝子変化に関しては、出発物の殺虫剤感受性特徴を共有し得る。例えば、「対照植物」は、本開示の目的に使用される場合、遺伝子導入植物または遺伝子改変植物における改変された表現型を同定するための、遺伝子導入植物または遺伝子改変植物との比較に使用される、植物細胞、種子、植物成分、植物組織、植物器官または植物全体を指す。「対照植物」は、いくつかの場合、目的の遺伝子導入植物には存在する外来性核酸を含有しないが、そのような遺伝子導入植物と同一または類似の遺伝的背景を有する植物を指す場合もある。適切な対照植物は、対象遺伝子導入植物を作製するために使用された親系統の、遺伝学的に変化していないまたは遺伝子が導入されていない植物であり得る。適切な対照植物は、いくつかの場合、形質転換実験から得られた非遺伝子組換え型の分離個体、または目的の外来性核酸以外の外来性核酸を含有する遺伝子導入植物であり得る。
培養:「培養」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞または生物が全てではなくともいくつかの生物学的プロセスを実行できる適切な条件下における、様々な種類の培地(例えば液体、半固体または固体の培地)の上または中での、細胞または生物の増殖を指す。例えば、培養されている細胞は、増殖中または繁殖中であってもよく、生物学的および/または生化学的なプロセス、例えば、限定はされないが、複製、転写、翻訳を実行することができる。
ドメイン:「ドメイン」は、タンパク質ファミリーおよび/またはタンパク質の部分を特徴付けるのに使用され得る、ポリペプチド内の実質的に連続したアミノ酸のグループである。そのようなドメインは、保存された一次配列、二次構造、および/または三次元高次構造を含み得る「フィンガープリント」または「シグナチャー(signature)」を有する。一般的に、ドメインは特定のインビトロおよび/またはインビボ活性と関連している。ドメインは、4アミノ酸〜400アミノ酸、例えば、4〜50アミノ酸、または4〜20アミノ酸、または4〜10アミノ酸、または4〜8アミノ酸、または25〜100アミノ酸、または35〜65アミノ酸、または35〜55アミノ酸、または45〜60アミノ酸、または200〜300アミノ酸、または300〜400アミノ酸の長さを有し得る。本明細書の別の場所でより詳細に開示されるように、生体毒素活性を示す保存領域および保存ドメインは、科学文献および特許文献に広く記載されている。
有効量:本明細書で使用される場合、「有効量」は、有益なまたは所望の結果を及ぼすのに充分な量である。有効量は一回または複数回の投与で投与され得る。有害生物および/または疾患の管理、治療、阻害または保護に関して、有効量は、標的有害生物感染または病状の進行を抑制、安定化、反転、緩徐化または遅延するのに充分な量である。従って、「殺虫有効量」という表現は、有害生物の発生レベルおよび/または有害生物の感染レベルにおける、無処理対照群で生じるそれと比較した場合の低減を達成するのに必要な殺虫剤処理の量を指して、本明細書で使用される。殺虫性物質または殺虫性生物のそれぞれにおいて、殺虫有効量は、特定の環境で影響を受ける各有害生物に対して、経験的に決定され得る。典型的に、有効量の所与の殺虫剤処理は、適切な処理条件下の無処理対照群において生じる有害生物の感染レベルおよび/または有害生物の発生レベルと比較して、少なくとも20%;またはより典型的には、30〜40%;より典型的には50〜60%;さらにより典型的には70〜80%;さらにより典型的には90〜95%の低減を与える。上記の通り、殺虫有効量は一回または複数回の投与で投与され得る。
外来性:「外来性」とは、核酸に関連して使用される場合、その核酸が組換え核酸構築体の一部であり、その天然環境には存在しないことを示す。例えば、外来性核酸は、ある種に由来する、別の種に導入された配列、すなわち、異種核酸であり得る。典型的に、そのような外来性核酸は、組換え核酸構築体を介してその他の種に導入される。外来性核酸は、ある生物に由来し、その生物の細胞に再導入された配列でもあり得る。天然配列を含む外来性核酸は、多くの場合、外来性核酸に連結した非天然配列(例えば、組換え核酸構築体内の天然配列に隣接している非天然制御配列)の存在により、自然発生的な配列とは区別され得る。さらに、安定に形質転換が行われた外来性核酸(stably transformed exogenous nucleic acid)は、天然配列が存在する位置以外の位置に組み込まれ得る。外来性核酸は、研究中の細胞にではなく、前駆細胞に導入されていてもよいことが理解されよう。例えば、外来性核酸を含有する遺伝子導入植物は、安定に形質転換された植物および非遺伝子導入植物間の交雑種の子孫であり得る。そのような子孫は外来性核酸を含有すると考えられている。
発現:本明細書で使用される場合、「発現」は、ポリヌクレオチドの遺伝情報を、典型的にはRNAポリメラーゼ酵素によって触媒される転写によりRNAに変換し、リボソーム上でのmRNAの翻訳によりタンパク質に変換するプロセスを指す。
機能相同体:「機能相同体」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの特徴を共有するタンパク質を述べている。そのような特徴には、配列類似性、生化学的活性、転写パターンの類似性および表現型活性(phenotypic activity)が含まれる。典型的に、機能相同体は、参照ポリペプチドに対し配列類似性を有し、参照ポリペプチドの生化学的または生理的な機能の一つまたは複数を実行するポリペプチドである。機能相同体は、典型的に、同程度に(必ずしも同一でなくともよい)、同じ特徴を生じる。典型的に、機能相同的タンパク質は、相同体の一方による定量的測定が、もう一方の少なくとも20%;より典型的には、もう一方の30〜40%;より典型的には、50〜60%;さらにより典型的には、70〜80%;さらにより典型的には90〜95%;さらにより典型的には98〜100%である場合に、同一の特徴を与える。
機能相同体およびその参照ポリペプチドは自然発生的なポリペプチドであってもよく、配列類似性は収束または分岐進化事象によるものであってもよい。従って、機能相同体は、文献において、ホモログ、オルソログ、またはパラログとして設計される場合がある。自然発生的な機能相同体の変異体、例えば変異型または野生型のコード配列にコードされるポリペプチドは、それ自体が機能相同体であり得る。本明細書で使用される場合、機能相同体は、生体毒素ポリペプチドのコード配列の部位特異的変異誘発により、または異なる自然発生的な生体毒素ポリペプチドのコード配列に由来するドメインを組み合わせることにより、生成することもできる。「機能相同体」という用語は、機能相同体ポリペプチドをコードする核酸に適用される場合もある。
機能相同体は、ヌクレオチドおよびポリペプチドの配列アラインメントを解析することにより同定することができる。例えば、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のデータベース上でクエリーを実行することにより、生体毒素ポリペプチドの相同体を同定することができる。配列解析には、参照配列としてAHASポリペプチドのアミノ酸配列を用いる非冗長データベースのBLAST、Reciprocal BLAST、またはPSI−BLAST解析が含まれ得る。アミノ酸配列は、いくつかの場合、ヌクレオチド配列から推定される。典型的に、40%超の配列同一性を有するデータベース内のポリペプチドは、生体毒素ポリペプチドとしての適合性に関するさらなる評価候補である。アミノ酸の配列類似性は、ある疎水性残基の別の疎水性残基への置換またはある極性残基の別の極性残基への置換等の、保存的アミノ酸置換を可能にする。所望であれば、さらに評価するべき候補を狭めるために、そのような候補の手動の検査を行うことができる。生体毒素ポリペプチド内に存在するドメイン(例えば、保存的機能ドメイン)を有していると思われる候補を選択することにより、手動の検査を行うことができる。
反復配列であり、いくつかの二次構造(例えばヘリックスおよびβシート)を形成し、正もしくは負に帯電しているドメインを確立する、またはタンパク質モチーフまたはドメインである、生体毒素ポリペプチドの一次アミノ酸配列内に、ある領域を配置することにより、保存領域を同定することができる。例えば、種々のタンパク質モチーフおよびドメインのコンセンサス配列を記述しているPfamウェブサイトを、ワールドワイドウェブのsanger.ac.uk/Software/Pfam/and pfam.janelia.org/で参照されたい。Pfamデータベースに含まれる情報の説明は、例えば、Sonnhammer et al. (Nucl. Acids Res., 26:320-322, 1998), Sonnhammer et al. (Proteins, 28:405-420, 1997);およびBateman et al. (Nucl. Acids Res., 27:260-262, 1999)に記載されている。近縁種由来の同一または関連のポリペプチドの配列を整列することにより、保存領域を決定することもできる。近縁種は、同一ファミリー由来であることが好ましい。一部の実施形態では、2つの異なる種に由来する配列の整列が適切である。本明細書の別の場所でより詳細に開示されるが、生体毒素活性を示す保存領域および保存機能ドメインは、科学文献および特許文献において広く記載されている。
典型的に、少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を示すポリペプチドは、保存領域を同定するのに有用である。関連ポリペプチドの保存領域は、少なくとも45%のアミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%のアミノ酸配列同一性)を示す。一部の実施形態では、保存領域は少なくとも92%、94%、96%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を示す。
異種配列:「異種配列」という用語は、本明細書で使用される場合、異種ポリペプチドおよび異種核酸を包含し、天然では互いに機能的に連結していないまたは互いに隣接していない配列を指す。例えば、コムギ由来のプロモーターはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)コード領域配列に対して異種であるとされる。また、コムギ由来の増殖因子をコードする遺伝子のプロモーターは、その増殖因子に対するコムギ受容体をコードする配列に対して異種であるとされる。天然にはコード配列と同じ遺伝子に由来しないUTRまたは3'末端終止配列等の調節エレメント配列は、前記コード配列に対して異種であるとされる。天然に互いに機能的に連結し連続しているエレメントは、互いに対し異種ではない。一方、これらの同一エレメントは、他のフィラー配列がそれらの間に配置された場合は、機能的に連結したままではあるが異種となる。従って、アミノ酸輸送体を発現するコムギ遺伝子のプロモーターおよびコード配列は互いに異種でないが、新しい様式で機能的に連結したコムギ遺伝子のプロモーターおよびコード配列は異種である。
「ハイブリダイゼーション」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、相補的塩基鎖対合を介した核酸分子の連結能を指す。本発明の核酸分子またはその断片は、特定の状況下で他の核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる。本明細書で使用される場合、2つの核酸分子は、その2つの分子が逆平行の二本鎖核酸構造を形成可能である場合に、互いに特異的にハイブリダイズ可能であると考えられる。2つの核酸分子が完全な相補性を示す場合、一方の核酸分子は他方の核酸分子の「相補体」であると考えられる。本明細書で使用される場合、一方の分子の全てのヌクレオチドが他方のヌクレオチドに対し相補的である場合、これらの分子は「完全な相補性」を示していると考えられる。2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェント」な条件下で、互いにアニーリングしたままであることを可能とするのに充分な安定性で互いにハイブリダイズ可能である場合に、「最低限に相補的」であると考えられる。同様に、2つの分子は、従来の「高ストリンジェント」な条件下で、互いにアニーリングしたままであることを可能とするのに充分な安定性で互いにハイブリダイズ可能である場合に、「相補的」であると考えられる。従来のストリンジェントな条件は、Sambrook et al., In: Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)およびHaymes et al. In: Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press, Washington, D.C. (1985))に記載されている。従って、完全な相補性からの逸脱は、そのような逸脱がこれらの分子の二本鎖構造形成能を完全に妨げない限りは、許容することができる。従って、本発明の核酸分子または断片は、プライマーまたはプローブとして機能するためには、使用される特定の溶媒および塩濃度下で安定な二本鎖構造を形成可能であるように充分に配列相補的でありさえすればよい。
DNAハイブリダイゼーションを促進するのに適したストリンジェントな条件としては、例えば、約45℃の6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、およびそれに続く約50℃の2.0×SSC洗浄が挙げられる。さらに、洗浄ステップにおける温度を、低ストリンジェントな条件である約22℃の室温から、高ストリンジェントな条件である約65℃まで増加することができる。温度および塩の両方を変更してもよいし、温度または塩濃度のいずれかを一定に保ちもう一方の可変対象(variable)を変更してもよい。これに関した情報は、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1- 6.3.6に見出すことができる。例えば、低ストリンジェントな条件を使用して、標的核酸配列に対しより低い配列同一性を有する核酸配列を選択することができる。所望により、約20℃〜約55℃の範囲の温度の約0.15M〜約0.9Mの塩化ナトリウム等の条件を使用してもよい。高ストリンジェントな条件を使用して、開示される核酸配列に対しより高い程度の同一性を有する核酸配列を選択することができる(上記Sambrook et al., 1989)。高ストリンジェントな条件には、一般的には以下が含まれる:約50℃〜約70℃での数時間〜一晩のインキュベーションを伴う、約2×SSC〜約10×SSC(pH7.0、蒸留水中3M塩化ナトリウムおよび0.3Mクエン酸ナトリウムを含有する20×SSC原液からの希釈)、約2.5×〜約5×デンハート液(蒸留水中1%(w/v)ウシ血清アルブミン、1%(w/v)フィコール、および1%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有する50×原液からの希釈)、約10mg/mL〜約100mg/mL魚精子DNA、および約0.02%(w/v)〜約0.1%(w/v)SDS中での核酸ハイブリダイゼーション。ハイブリダイゼーションの後、典型的には、数回の洗浄ステップが続く。これらの洗浄ステップは、典型的には、ストリンジェンシーを徐々に高めることにより行われ、約20℃〜約70℃での15分間のインキュベーションを伴っての、0.5×SSC〜約10×SSC、および0.01%(w/v)〜約0.5%(w/v)SDSを含む。0.1×SSC中65℃での少なくとも1回の洗浄の後も、核酸セグメントがハイブリダイズされたままであることが好ましい。好ましい実施形態では、高ストリンジェントな条件は、プレハイブリダイゼーション、並びに5×SSC、5×デンハート液、100μg/mLの切断され変性されたサケ精子DNA、および1%(w/v)SDS中、65℃で少なくとも3時間のハイブリダイゼーション、並びに65℃、2×SSC、0.2%SDSでの2回の洗浄により与えられる。
本出願のいくつかの実施形態によれば、本発明の核酸分子は、配列表中の核酸配列のいずれか1つ、もしくはそのあらゆる相補体、またはいずれかのあらゆる断片に、低または高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含むことが好ましい。
単離された分子および実質的に精製された分子:「単離された」または「精製された」核酸分子もしくはタンパク質、または生物学的に活性なその部分は、組換え技術によって生成された場合は他の細胞物質または培地を実質的に含まず、あるいは、化学的に合成された場合は化学的前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない。「実質的に精製された」という用語は、本明細書で使用される場合、その天然状態において通常伴われる実質的に全ての他の分子から分離された分子を指す。実質的に精製された分子が、間接的であれ、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの人間の操作によるものである、またはその結果である調製物中に存在する優勢化学種であることがより好ましい。実質的に精製された分子は、天然混合物中に存在するその他の分子(溶媒は除外)の、60%超、好ましくは75%、より好ましくは90%、より好ましくは95%を含有しない場合がある。「実質的に精製された」という用語には、その天然状態で存在する分子は包含されない。核酸に関して、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生物の細胞内で、その核酸に天然に隣接している配列(すなわち、その核酸の5'末端および3'末端にある配列)を含有しないことが好ましい。従って、本明細書で使用される「単離された核酸」は、自然発生的なゲノム内で核酸に直接隣接している一方または両方の配列が除去されているか存在しないという条件で、自然発生的な核酸を含む。従って、単離された核酸には、限定はされないが、単離された分子として存在する核酸、またはベクターもしくは組換え生物中に組み入れられた核酸分子が含まれる。例えば、cDNAライブラリー、ゲノムライブラリー、またはゲノムDNAの制限酵素消化物を含有するゲル切片内で数百〜数百万の他の核酸の中に存在する核酸を、単離された核酸と見なすべきではない。本発明の目的上、「単離された」には、核酸分子を指して使用される場合、単離された染色体も含まれない。例えば、種々の実施形態において、単離された毒素コード核酸分子は、その核酸が由来する細胞内でその核酸分子に天然に隣接する約5kb未満、4kb未満、3kb未満、2kb未満、1kb未満、0.5kb未満、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有し得る。細胞物質を実質的に含まない毒素タンパク質には、約30%未満、20%未満、10%未満、または5%未満(乾燥重量で)の非毒素タンパク質(本明細書では典型的に「混在タンパク質」と称される)を含有するタンパク質調製物が含まれる。
「分離菌株」または「単離された微生物菌株」という用語は、本明細書で同義的に使用される場合、2種以上の微生物を含む試料または混合群もしくは微生物から得られた、またはそれに由来する、特定の種、属、科、目、または綱の微生物を指す。本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、微生物(例えば、細菌または極微菌)に適用される場合、天然の発生源である環境から取り出されたおよび/または精製された微生物を指す。従って、「単離された微生物菌株」は、本明細書で使用される場合、その天然環境から取り出されたおよび/または精製された菌株である。従って、「単離された」微生物には、それが天然に発生する環境内にあるものは含まれない。さらに、「単離された」という用語は、微生物が精製された程度を、必ずしも反映していなくてもよい。微生物の菌株の「実質的に純粋な培養物」は、所望の1種または複数種の微生物菌株以外の他の微生物を実質的に含有しない培養物を指す。言い換えれば、微生物菌株の実質的に純粋な培養物は、微生物の混在物および望ましくない混在化学物質を含み得る他の混在物を実質的に含有しない。さらに、本明細書で使用される場合、「生物学的に純粋な」菌株は、天然では通常伴われる物質から分離された菌株を意味することが意図される。天然では一緒に存在しない他の菌株または化合物もしくは物質を伴う菌株も、「生物学的に純粋である」と定義されることに注意されたい。特定の菌株の単一培養物は、もちろん、「生物学的に純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された微生物菌株の「富化培養物」という用語は、単離菌株を50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、または95%超含有する微生物培養物を指す。
メタゲノム配列データセットとは、本明細書で使用される場合、複数の単離された微生物から無作為にサンプリングされることで、複数の単離された微生物に由来する核酸配列データの集合を指す。メタゲノミクスという用語は、メタアナリシス(個別の分析を統計学的に組み合わせるプロセス)およびゲノミクス(生物の遺伝物質の総合的解析)の統計的概念に由来する。
核酸およびポリヌクレオチド:「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書では同義的に使用され、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、およびDNAまたはRNAを含有する核酸類似体を含むRNAおよびDNAの両方を指し得る。ポリヌクレオチドはいかなる三次元構造もとることができる。核酸は二本鎖または一本鎖(すなわち、センス鎖またはアンチセンス鎖)であり得る。ポリヌクレオチドの非限定例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、siRNA、マイクロRNA、リボザイム、cDNA、DNA/RNAハイブリッド、組換えポリヌクレオチド、分岐鎖ポリヌクレオチド、核酸プローブおよび核酸プライマーが挙げられる。ポリヌクレオチドは、通常とは異なる(unconventional)、または修飾されたヌクレオチドを含有し得る。
機能的に連結された:本明細書で使用される場合、「機能的に連結された」または「機能的に連接された」は、2つ以上の配列間の機能的連結を意味することが意図される。例えば、目的のポリヌクレオチドと制御配列(例えば、プロモーター)の間の機能的連結は、その目的のポリヌクレオチドの発現を可能にする機能的連結である。機能的に連結したエレメントは、近接していても近接していなくてもよい。この意味において、「機能的に連結された」という用語は、調節領域が目的のコード配列の転写または翻訳を調節するのに有効となるような、核酸分子内の調節領域および転写されるべきコード配列の位置決め(positioning)を指す。例えば、コード配列と調節領域を機能的に連結するために、コード配列の翻訳読み取り枠の翻訳開始部位は、典型的に、調節領域の1ヌクレオチド下流から約50ヌクレオチド下流の間に配置される。しかし、調節領域は、翻訳開始部位の約5,000ヌクレオチドも上流に、または転写開始部位の約2,000ヌクレオチドも上流に位置し得る。2つのタンパク質コード領域の連結に関して使用される場合、「機能的に連結された」により、コード領域が同一の翻訳読み取り枠内にあることが意図される。エンハンサーの作用に関して使用される場合、「機能的に連結された」は、エンハンサーが目的の特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(a particular polypeptide or polynucleotides of interest)の発現を増加させることを表した。その目的の1つまたは複数のポリヌクレオチド(the polynucleotide or polynucleotides of interest)がポリペプチドをコードする場合、コードされるポリペプチドは、高レベルで生成される。
配列同一性パーセント:「配列同一性の割合」または「配列同一性パーセント」は、核酸配列またはアミノ酸配列に関して本明細書で使用される場合、以下の2つの配列を最適に整列させた際、試験(「対象」)分子と比較して、参照(「クエリー」)分子の直鎖状配列内で同一である核酸塩基またはアミノ酸残基の割合を指す。「配列同一性の割合」は、2つの配列間の局所的整列の長さにより定義される比較ウィンドウ上で、その2つの最適に局所的に整列された配列を比較することにより決定される。比較ウィンドウ内のアミノ酸配列または核酸配列は、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較される際、その2つの配列を最適に整列させるために、付加または欠失(例えば、ギャップまたはオーバーハング)を含んでもよい。2つの配列間の局所的整列は、整列を実行するために使用されるアルゴリズム(例えばBLAST)に応じた基準に従い充分に類似していると見なされる各配列のセグメントのみを含む。配列同一性の割合は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列内に生じている位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、そのマッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、結果に100を乗算することにより算出される。比較に最適な配列の整列は、SmithおよびWaterman(Add. APL. Math. 2:482, 1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch(J Mol. Biol. 48:443, 1970)の全体的相同性整列アルゴリズムにより、PearsonおよびLipman(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444, 1988)の類似性検索法(search for similarity method)により、これらのアルゴリズム(NCBI BLAST、WU−BLAST、BLAT、SIM、BLASTZ)の発見的実行により、または目視検査により、実行することができる。本発明の目的上、「同一性パーセント」は、翻訳されたヌクレオチド配列に対するBLASTXバージョン2.0、およびポリヌクレオチド配列に対するBLASTNバージョン2.0を用いて決定することもできる。2つの配列が比較のために同定された場合、GAPおよびBESTFITを使用してそれらの最適な整列を決定することが好ましい。典型的に、5.00のギャップ重量(gap weight)および0.30のギャップ重量長さ(gap weight length)が初期値として使用される。ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列間の「相当な(substantial)配列同一性」という用語は、前記プログラムを用い参照配列を比較して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。さらに、ペアワイズ配列相同性またはペアワイズ配列類似性は、本明細書で使用される場合、整列された2つの配列間で類似している残基の割合を指す。同一側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野において充分に定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。
クエリー核酸およびアミノ酸配列を、共用または専有データベース内に存在する対象核酸または対象アミノ酸配列に対して、検索することができる。そのような検索は、国立バイオテクノロジー情報センターBasic Local Alignment Search Tool(NCBI BLAST v2.18)プログラムを用いて行うことができる。NCBI BLASTプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)から、インターネット上で利用可能である。典型的に、以下のNCBI BLASTのパラメータが用いられ得る:Filter options設定は「初期設定」、Comparison Matrix設定は「BLOSUM62」、Gap Costs設定は「Existence:11、Extension:1」、Word Size設定は3、Expect(E閾値)設定は1e−3、局所的アライメントの最小長設定はクエリー配列長の50%。GenomeQuest(商標)ソフトウェア(Gene−IT社、米国マサチューセッツ州ウースター)を用いて、配列同一性および配列類似性を決定することができる。
有害生物:本明細書で使用される場合、「有害生物」という用語または文法上のその等価語は、望ましくない生物を指すことが理解され、限定はされないが、植物および動物へのコロニー形成、攻撃、寄生、または感染によってそれらに負の影響を与える細菌、真菌、植物(雑草)、線虫、昆虫、および他の病原性動物が含まれ得る。従って、「殺虫性の」という用語は、本明細書で使用される場合、有害生物、すなわち、望ましくない生物の増殖率を減少させる、または有害生物の死亡率を増加させる物質または組成物の能力を指す。有害生物の成長速度は、当該技術分野において既知の種々の方法のうちのいずれか1つを用いることによって、例えば、経時的な生存有害生物数の定量化等によって、定量することができる。
本明細書で使用される場合、「殺ダニ性」、「殺アリマキ性」、「殺菌性」、「殺虫性」、「殺細菌性」、または「殺線虫性」という用語、または文法上のそれら等価語は、語根の分類学的分類に包含される生物に対し殺虫活性を有する物質または組成物を指すことが理解され、分類学的分類に厳密には従っていない場合がある語根の口語的使用に包含される生物に対して殺虫活性を有する物質も指す。例えば、「殺虫性の」という用語は、一般的には節足動物門、昆虫綱の昆虫として知られる生物に対し殺虫活性を有する物質を指すと理解される。さらに、本明細書で使用される場合、前記用語は、昆虫綱とは異なる分類学的分類に分類され得るが口語的には節足動物門に包含される「昆虫」または「虫」と称される他の生物に対し殺虫活性を有する物質も指すと理解される。この理解に基づき、「殺虫性」という用語は、「昆虫」という用語の口語的使用を鑑みて、クモ形綱動物(クモ綱)、特にダニ(ダニ亜綱)に対し活性を有する物質を指すのに使用され得る。「殺ダニ活性」という用語は、節足動物門、クモ綱、ダニ亜綱のダニ(ダニ目)に対し殺虫活性を有する物質を指すと理解される。「殺アリマキ性」という用語は、節足動物門、昆虫綱、アブラムシ科のアブラムシ(アブラムシ科)に対し殺虫活性を有する物質を指すと理解される。これら全ての用語は「殺虫性」または「殺虫剤」という用語または文法上の等価語により包含されることが理解される。これらの用語は必ずしも相互排他的である必要はなく、そのため「殺虫剤」として知られる物質が、昆虫綱のいかなる科の生物(例えばアブラムシ)、および「昆虫」または「虫」という用語の他の口語的使用に包含される生物(例えばクモ形綱動物およびダニ)に対して殺虫活性を有し得ることも理解される。「殺虫剤」が、ダニに対し殺虫活性を有する場合は殺ダニ剤としても知られ、あるいは、アブラムシに対し殺虫活性を有する場合は殺アリマキ剤としても知られている可能性があることは理解される。
プロモーター:本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、植物細胞または微生物細胞等の細胞内で転写を開始することができ、本発明のヌクレオチド配列またはその断片の転写を駆動または促進することができるヌクレオチド配列である。そのようなプロモーターは、微生物起源または植物起源のプロモーターである必要はない。例えば、植物ウイルス由来のプロモーター(例えばCaMV35Sプロモーター)またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のプロモーター(例えばT−DNAプロモーター)は、本発明の目的に有用であり得る。別の非限定例は、微生物宿主細胞(例えば蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)細胞)内での本発明に基づく分子および配列の発現に特に有用であり得る、tacプロモーター(例えば米国特許第5,840,554号参照)である。
ポリペプチド(ペプチド、タンパク質と同義的に使用される場合もある):「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、翻訳後修飾(例えば、リン酸化またはグリコシル化)の有無は問わず、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体、または他のペプチド模倣体から成る化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合または例えばエステル結合もしくはエーテル結合等の他の結合により結合されている場合がある。完全長ポリペプチド、切断型ポリペプチド、点変異体、挿入変異体、スプライスバリアント、キメラタンパク質、およびそれらの断片もこの定義に包含される。
子孫:本明細書で使用される場合、「子孫」には、特定の植物または植物系統の子孫が含まれる。目下の植物の子孫には、F1、F2、F3、F4、F5、F6および後の世代の植物で形成される種子、またはBC1、BC2、BC3、および後の世代の植物で形成される種子、またはF1BC1、F1BC2、F1BC3、および後の世代の植物で形成される種子が含まれる。F1という命名は、遺伝的に異なる2つの親の交雑による子孫を指す。F2、F3、F4、F5およびF6という命名は、F1植物の自家受粉または他家受粉(sib-pollinated)子孫である、後の世代を指す。
調節領域:「調節領域」という用語、本明細書で使用される場合、所与の宿主生物内での、転写または翻訳の開始および速度、並びに転写産物または翻訳産物の安定性および/または移動性に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。そのような調節領域は合成であっても異種の供給源由来であってもよい。例えば、植物用の調節領域は植物起源である必要は無い。調節配列には、限定はされないが、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、タンパク質認識部位、誘導性エレメント、タンパク質結合配列、5'および3'非翻訳領域(UTR)、転写開始点、終止配列、ポリアデニル化配列、イントロン、およびそれらの組み合わせが含まれる。調節領域は、典型的に、少なくとも1つのコア(基本)プロモーターを含む。調節領域には、エンハンサー配列、上流エレメントまたは上流活性化領域(UAR)等の少なくとも1つの調節領域も含まれ得る。例えば、適切なエンハンサーは、オクトピンシンターゼ(ocs)遺伝子の上流領域由来のシス制御エレメント(−212〜−154)であり、これは植物細胞内の生体毒素導入遺伝子の発現を駆動するのに有用であり得る。
遺伝子導入生物:本明細書で使用される場合、「遺伝子導入生物」または「組換え生物」は、そのゲノム内に異種のポリヌクレオチドを含む生物を指す。一般的に、異種ポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが後の世代に受け継がれるように、ゲノム内に安定に組み込まれる。異種ポリヌクレオチドは、単独で、または組み換え発現カセットの一部として、ゲノム内に組み込むことができる。「遺伝子導入型」は、その遺伝子型が異種核酸の存在により変化されている、いかなる細胞、細胞株、カルス、組織をも含むように、本明細書では使用される。遺伝子導入型という用語は、最初にそのように変化された遺伝子導入物、並びにその最初の遺伝子導入物から性的交雑または無性繁殖により作出された遺伝子導入物を含む。遺伝子導入型という用語には、本明細書で使用される場合、無作為他家受精、非組換え型ウイルス感染、非組換え型細菌形質転換、非組換え型遺伝子転座、または自然突然変異等の、従来の植物育種法または自然発生的な事象によるゲノム(染色体ゲノムまたは染色体外ゲノム)の変化は包含されない。
変異体:ポリペプチドおよび核酸を指す場合、「変異体」という用語は、本明細書では、それぞれ参照ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチドと比較した場合に、自身の塩基またはアミノ酸配列内に合成的または天然に生成されたいくつかの差異を有するポリペプチド、タンパク質またはポリヌクレオチド分子を表すのに使用される。例えば、これらの差異には、参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチド内の置換、挿入、欠失またはそのような変化のいかなる所望の組み合わせも含まれる。ポリペプチド変異体およびタンパク質変異体は、さらに、電荷および/または翻訳後修飾(例えばグリコシル化、メチル化、リン酸化等)における変化から成り得る。調節ポリヌクレオチド配列の「機能的変異体」も、本発明の組成物に包含される。機能的変異体には、例えば、一つまたは複数のヌクレオチド置換、欠失または挿入を有し、天然のプロモーターが活性になる条件下での発現と同様の条件下で機能的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現を駆動し得る、本発明の天然調節ポリヌクレオチド配列が含まれる。本発明の機能的変異体は、部位特異的変異誘発、誘導突然変異により作製され得るか、または対立遺伝子変異型(多型)として生じ得る。「変異体」という用語は、微生物に関して使用される場合、典型的には、それが属する種の同定特徴を有するが、少なくとも1つのヌクレオチド配列変化、または形質が遺伝的(遺伝性)である場合に親菌株に関する同定可能な異なる形質を有する、微生物菌株を指す。
ベクター:「ベクター」という用語は、異なる宿主細胞間での遺伝子導入のために設計された核酸構築体を指す。本明細書で使用される場合、「ベクター」は、プラスミド、ファージ、またはコスミド等のレプリコンを指し、その内部に、挿入されたセグメントの複製が引き起こされるように別のDNAセグメントが挿入されている場合がある。一般的にベクターは、適切な調節領域が付随する場合、複製が可能である。従って、「ベクター」という用語には、クローニングベクターおよび発現ベクター、並びにウイルスベクターおよび組込みベクター(integrating vector)が含まれる。具体的には、「発現ベクター」は調節領域を含むベクターであり、調節領域によって、宿主細胞内(インビボ)および/または無細胞環境内(インビボ(in vivo))で、DNA配列および断片を発現することができる。
本明細書で言及される全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が具体的且つ個々に参照により組み込まれることが示されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
いかなる参照文献も従来技術を構成することを認めるものではない。参照文献に関する記述は、それらの著者が主張することを述べるものであり、本出願人は、引用文献の正確さおよび妥当性に疑問を呈する権利を有する。いくつかの先行文献を本明細書で言及しているが、この参照は、これらの文献のいずれかが当該技術分野における共通一般知識の一部を形成することを認めるものではないことを明確に理解されたい。
本明細書で与えられる一般的な方法に関する記述は、説明のみを目的としている。本開示を再検討する際、他の代替法および実施形態が当業者には明らかである。
染色体外遺伝物質および生体毒素
細菌集団内に存在する多様性の多くは、染色体外DNA含有物(例えばプラスミドおよびエピソーム)上に存在する。プラスミド含有物による菌株変異は、バシラス属菌株、特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(「Bt」)において、よく知られている。主に巨大染色体外DNA分子上に存在するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)δ−内毒素遺伝子等の殺虫性タンパク質は、本発明の方法を用いることにより迅速に発見することができる。さらに、多くのクロストリジウム属菌株が巨大染色体外プラスミドを有していることも知られており、これらのうちいくつかは毒性因子およびι毒素等の毒素を含有することが知られている(例えば、Perelle et al., Infect. Immun., 61:5147-5156, 1993;およびそこで引用される参考文献を参照)。さらに、クロストリジウム属菌株の変異性の大部分がプラスミド含有物により生じているように思われることが示されている(例えば、Katayam et al., Mol. Gen. Genet. 250:17-28, 1996参照)。従って、複数のクロストリジウム属菌株の染色体外DNA含有物の解読によって、膨大な遺伝的多様性が迅速に捉えられる。さらに、クロストリジウム属内に存在するδ−内毒素遺伝子の相同体に関する報告がなされている(Barloy et al., J. Bacteriol. 178:3099-3105, 1996)。
多くの微生物プラスミドは、病原性微生物による感染の感染価または重症度に重要な、毒性因子を含有することも知られている。従って、可能性として、プラスミドゲノムにより発現されるタンパク質の多くはワクチンとして価値があり得る。例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis)のプラスミドであるpXO1およびpXO2の両方は、炭疽菌感染間の病原性に必要なタンパク質をコードすることが報告されている。pXO2は、細菌の周囲に保護莢膜を生成するタンパク質をコードする。pXO1プラスミドは、炭疽毒素複合体の3種のタンパク質、致死因子(LF)、浮腫因子(EF)、および感染防御抗原(PA)をコードする。PAタンパク質(感染防御抗原)は炭疽に対するワクチンの基礎を形成する。細菌性プラスミドの迅速且つ効率的な解読により情報を得て、それを用いて有効なワクチンとして機能し得るタンパク質のデータベースを作成することができる。
腫瘍誘発性で且つ相利共生性であるプラスミドは、アグロバクテリウム属および根粒菌属菌株で共通に見られる(Van Larebeke et al., Nature, 252:169-170, 1974)。従って、細菌性プラスミド、特に既知の植物病原菌由来の細菌性プラスミドの解読により、毒性および非毒性の両方に関与するまたは必要な遺伝子を含む、植物−病原体相互作用に関与する遺伝子が同定され得る。
非限定的な例示において、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)δ−内毒素遺伝子等の殺虫性タンパク質は、しばしば巨大染色体外DNA分子上に存在する。従って、バシラス属菌株(例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)菌株)由来の染色体外DNAの単離および配列決定によって、新規のδ−内毒素遺伝子が同定され得る。そのような毒素遺伝子は、害虫の駆除に役立つ可能性がある。
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)は、特定の目および種の昆虫に対して特異的に毒性があるが植物および多くの他の非標的生物に対しては無害である結晶封入体を生成するその能力により特徴付けられるグラム陽性の芽胞形成性土壌細菌である。従来の液中発酵技術を使用することで、Bt芽胞を大規模に生産することができ、そしてBt細菌を殺虫性組成物の供給源として商業的に魅力のあるものとすることができる。バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)菌株またはそれらの殺虫性タンパク質を含む組成物は、農業害虫を駆除するための環境的に許容可能な殺虫剤として、または種々のヒトまたは動物の疾患のための昆虫ベクターとして、広く使用される。
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の結晶(Cry)タンパク質(δ−内毒素)は、主に鱗翅目、双翅目、および鞘翅目の幼生に対して強力な殺虫活性を有する。これらのタンパク質は、膜翅目、同翅目、シラミ目、ハジラミ目、およびダニ目の有害生物目、並びに線形動物門、扁形動物門、および肉質鞭毛虫門等の他の無脊椎動物目に対して殺虫活性を示すことも報告されている。現在、広範な特異性および毒性を有する、600超の既知の種の結晶タンパク質が存在する。これらの結晶タンパク質および対応する遺伝子は、主にそれらの構造および殺虫スペクトルに基づいて最初に分類された(例えば、Feitelson, In Advanced Engineered Pesticides, Ed. Kim, L., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., pp. 63-71, 1993参照)。主な分類は、鱗翅目特異的(I)、鱗翅目特異的且つ双翅目特異的(II)、鞘翅目特異的(III)、双翅目特異的(IV)、並びに線虫特異的(V)および(VI)であった。タンパク質はサブファミリーにさらに分類され;各ファミリー内でより高度に関連したタンパク質に、Cry1A、Cry1B、Cry1C等の区分的文字が割り当てられた。各区分内のさらにより密接に関連したタンパク質は、Cry1C1、Cry1C2等の名称を与えられた。
より最近の命名法では、昆虫標的特異性ではなくアミノ酸配列同一性に基づいて、Cry遺伝子は記述される(Crickmore et al., Microbiol. and Mol. Bio. Reviews, 62:807-813, 1998)。この分類では、各毒素は、最初の階級(アラビア数字)、二番目の階級(大文字)、三番目の階級(小文字)、および四番目の階級(別のアラビア数字)を結合させた独特な名称を割り当てられる。新しい分類において、第一階級のローマ数字はアラビア数字に取り換えられている。45%未満の配列同一性を有するタンパク質は異なる第一階級を有し、第二および第三の階級の基準はそれぞれ78%および95%である。
結晶タンパク質は、典型的には、経口摂取され昆虫の中腸内で可溶化されない限り殺虫活性を示さない。経口摂取された毒素前駆体は昆虫の消化管内でプロテアーゼにより加水分解されて活性毒素分子となる。この毒素は標的幼生の中腸内の頂端部刷子縁受容体に結合し、頂端膜内に入り込んでイオンチャネルまたはイオンポアをつくり出し、幼生の死をもたらす。
δ-内毒素は、一般的に、5つの保存的配列ドメイン、および3つの保存的構造ドメインを有する(例えば、de Maagd et al., Trends Genetics 17:193-199, 2001参照)。第一の保存的構造ドメインは7つのαへリックスから成り、膜挿入およびポア形成に関わる。ドメインIIはGreek key構造に配列される3つのβシートから成り、ドメインIIIは「ゼリーロール」構造の2つの逆平行βシートから成る(上記de Maagd et al., 2001)。ドメインIIおよびドメインIIIは受容体の認識および結合に関与するため、毒素特異性の決定因子であると考えられている。
δ−内毒素の他に、殺虫性、殺有害生物性のタンパク質毒素の、いくつかの他の種類が知られている。他の種類の殺虫性タンパク質はバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)およびセレウス菌(Bacillus cereus)において記述されており、その中の、栄養成長期に産生される(vegetative)殺虫性タンパク質、すなわちVipタンパク質である。Vipタンパク質は栄養生長期に分泌され、Cry毒素またはCyt毒素といかなる類似性も示さない。最近、記述されたVip関連配列が全て、3つの異なるファミリー、Vip1、Vip2、およびVip3に分類された。近年、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)命名委員会により、これらのタンパク質の3つのクラス、7つのサブクラス、およびさらなる細区画への分類が提唱された(Crickmore et al., 2005, www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/)。Vip3タンパク質は異なる宿主範囲を有し、これにはいくつかの主要な鱗翅目害虫が含まれる。Cry毒素と同様に、Vip3Aタンパク質は、プロテアーゼにより活性化され、その後、Cry毒素により認識されるものとは異なる、中腸上皮表面の特異的な80kDaおよび100kDa膜タンパク質を認識するはずである。アポトーシスが作用機序として最初に提唱されたが、Cry毒素と同様に、活性化されたVip3A毒素は膜において安定なイオンチャネルをつくることができるポア形成性タンパク質であることが近年示された。Vip1およびVip2タンパク質は、鞘翅目に対し毒性を示す二元毒素の2つの成分である。Vip1Aa1およびVip2Aa1は、通常、トウモロコシ根食い虫、特にウェスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)およびノーザンコーンルートワーム(Diabrotica longicornis)に対して非常に活性がある。VIP1/VIP2毒素は、他の二元(「A/B」)毒素と一緒に。VIP、C2、CDT、CST、または炭疽菌(B. anthracis)浮腫および致死毒素等のA/B毒素は、受容体依存性エンドサイトーシスとそれに続く細胞被毒に関与すると考えられている機序により、昆虫に対して強力な活性を示す。
スクリーニング法の説明
本開示は、有用な遺伝子を迅速且つ効率的に同定および単離するための統合されたアプローチを提供する。本発明の一態様は、微生物において生体毒素をコードする遺伝子配列を迅速且つ高効率に同定する方法を提供する。特に、本方法は、目的の新規配列についての、微生物の染色体外遺伝物質の迅速且つ効率的なサンプリングおよびスクリーニングを可能にする。本方法は、分離菌株の集合から得られた染色体外DNA分子の混合群の迅速な配列決定および特徴付けを含む。本方法は、染色体外DNAを標的とし、宿主染色体の繰り返しのクローニングおよび配列決定を回避させ、それにより、染色体外DNAにコードされる遺伝子(例えば生体毒素)への集中を可能にする。本方法は、染色体外DNA分子の混合群に由来するヌクレオチド配列を含むメタゲノムデータセットを構築し、処理し、メタゲノムデータセットの注釈づけされた配列を既知の配列に対し比較して、新規のヌクレオチド配列を同定することを含む。本発明のいくつかの好ましい態様では、処理されたDNA配列は6つ全てのフレームで翻訳され得、得られたアミノ酸配列は既知のタンパク質配列に対して比較され得る。特に重要な微生物には、限定はされないが、細菌、真菌、藻類等が含まれる。
本明細書に記載の統合されたスクリーニング法を使用して、既存遺伝子に対し相同性を有する新規遺伝子を迅速に同定しクローニングすることができる。特に、上記スクリーニング法は、ハイブリダイゼーション等の他の方法で同定することが困難であろう、既知遺伝子とわずかな相同性しか有さない新規遺伝子の同定に有用であり得る。
典型的なスクリーニングのワークフローは、単離された微生物の集合を作製から始まり、染色体外DNAの単離、ハイスループット配列決定、配列リードの処理およびアセンブリへと進む。配列データマイニングおよび解析のプロセスの間、遺伝子は配列リード、または配列コンティグ、またはその両方を要求される。群集構成解析(すなわちメタゲノムデータ解析)がこのワークフローのいくつかの段階で使用され、典型的には、解析を促進するためにデータベースが必要とされる。このワークフローのステップの全ては、本開示の下記および全体を通じて詳細に記述される。
土壌、植物組織、昆虫および水試料を含む環境試料は、標的作物に対し系統学的な類似性を有する天然植物を有する多様な生態系から収集することができる。植物関連微生物の培養に基づく単離は、土壌、根圏および葉圏内に存在する個体群を標的化することによる多段階アプローチにおいて行うことができる。個々の試料を別々に処理してもよく、あるいは、地理的に特異な試料採取場所から得られた複数の試料を一緒にプールしその後さらに処理したが、これは、1回の単離イベントを用いて全領域内の微生物の多様性を捉える際に特に有用であり得る。試料に対して、微生物細胞抽出法が実行され、続いて連続希釈が行われ、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)を単離するために開発された高度に選択的な色素生産性培地上への播種が行われ得る。Bt分離菌株はコロニーピッキングされ、保存され、後の染色体外DNA抽出に備えて小体積培地中で個々に増殖せられ得る。種々の富化培地および単離培地上へ環境試料を播種して、または既存の保存物から系統に基づいて特定の菌株を選択して、典型的には数百の個々の単離培養物から成り得る混合培養物を作製することにより、非Bt微生物集団を、同様に標的化することができる。次に、Large constructプラスミド抽出キット(キアゲン社)を使用して、混合培養物から染色体外DNAを単離することができる。本発明の一部の実施形態では、溶解手順がグラム陽性細胞の溶解により厳密となるように、QIAGEN(登録商標)推奨のワークフローに変更が為され得る。ゲノム混在物が最低限である、得られた精製染色体外DNAを、次に定量化し、次世代ハイスループット配列決定用に調製することができる。
染色体外DNAの抽出は典型的には混合培養物に対して行われ得るため、得られた精製DNA試料は典型的には数百の個々の分離菌株に由来する染色体外DNAの混合群である。
単離後、染色体外核酸のプールをハイスループット配列決定プロセスにかけることで、メタゲノムデータセットを作製することができる。アセンブリ、遺伝子予測および注釈づけを含むメタゲノム配列データの処理ステップを使用して、目的の潜在活性を有する遺伝子を同定することができる。以下で詳細に記載されるように、Cry、VIPおよびCyt遺伝子を含むBt毒素の多くの主要クラスに属するいくつかの毒素遺伝子が本発明の方法を用いて同定された。表1に報告され配列表中に記載されるように、以前に既に発見されていた多くの遺伝子と共に、いくつかの完全長および部分的な新規生体毒素コード遺伝子が発見された。
メタゲノム配列データセットの構築
メタゲノミクスは現在最も発展が速い研究領域の一つである。前記用語は、メタアナリシス(個別分析を統計的に組み合わせる過程)およびゲノミクス(生物の遺伝物質の総合的解析)の統計的概念に由来する。今日までのところ、従来のメタゲノミクスはしばしば、環境試料または一連の関連試料から直接得られたDNAに対する、ハイスループット配列決定の適用と定義されている。ある程度、従来のメタゲノミクスは微生物ゲノミクスの派生であるが、重要な違いは、メタゲノミクスが配列決定用の純粋な培養物を入手する必要性を回避することにある。さらに、試料は単離された個体群からではなく、混合群(community)から入手される。原則的に、環境内微生物混合群のメタゲノミクス解析は主に2つのアプローチ、メタゲノムライブラリーの機能に基づくスクリーニングおよび配列に基づくスクリーニングに分類され得る。両スクリーニング技術は、環境DNAの単離、および小インサートまたは大インサートのライブラリーの構築を含む(例えばSimon and Daniel, Appl. Environ. Microbiol. 77:1153-1161, 2011参照)。
メタゲノミクスを使用して所望の活性を有する酵素を同定することに成功しているが、メタゲノミクスは、環境DNAクローンライブラリーの、相対的にロースループットな、機能に基づくスクリーニングまたは配列に基づくスクリーンニングに主に依存している。配列に基づいたメタゲノミクスによる環境試料からの完全遺伝子の発見は、たいていの環境における微生物種の複雑性、および低カバレッジなメタゲノミクス的アセンブリにおいて完全長遺伝子が結果としてわずかであることによって、制限されている。本発明の一態様による統合されたスクリーニング法は、労働集約的なクローンライブラリーの構築、または微生物のゲノム全体の配列決定の必要無しに、迅速且つ効率的に微生物ゲノムから遺伝的多様性を捉え、商業的利益がある新規配列を同定する方法を提供することにより、この積年の要求に解決法を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、メタゲノム配列データセットの構築を含む。前述の通り、従来のメタゲノミクスはしばしば、配列決定用の純粋な培養物を入手する必要性を回避することによる、環境試料または一連の関連試料から直接得られたDNAに対する、ハイスループット配列決定の適用と定義される。本願の目的上、「メタゲノム配列データ」という用語は、複数の単離微生物に由来する、無作為にサンプリングしたDNA配列データを指す。メタゲノム配列データセットから得られた配列データはしばしば、より大きなコンティグにアセンブリされる。一般的に、「コンティグ」という用語(「近接(contiguous)」に由来)は、共に核酸分子のコンセンサス領域を表す一組の重複した核酸配列を指す。典型的なゲノム配列決定計画において、コンティグは、ボトムアップ配列決定戦略により生成されるDNA小断片の再アセンブリから得られる、重複した配列データ(リード)を指し、該戦略は、ゲノムDNAを多くの小断片(「ボトム」)に切断し、これらの断片を配列決定し、それらをコンティグに、最終的にはゲノム全体(「アップ」)に再アセンブリすることを含む。従って「コンティグ」という用語は、本明細書で使用される場合、複数の重複リードを含む、近接する染色体外DNA配列を指す。メタゲノムデータセットは、典型的には、少なくとも10Mbp、少なくとも20Mbp、好ましくは少なくとも30Mbp、より好ましくは少なくとも40Mpb、最も好ましくは少なくとも50Mbpの短配列リードデータを含み、これらは後に、生体毒素コード遺伝子等の商業的利益がある遺伝子および配列のための、コンピュータによる配列マイニングに使用され得る。
本発明の方法の実践に適した配列決定技術
染色体外核酸分子の配列は、種々の技術、具体的には大量並列配列決定技術と称される場合もある次世代ハイスループット配列決定技術を用いることにより、決定することができる。これらのハイスループット配列決定技術は周知であり、技術文献および科学文献、例えば、Lin et al. (Recent patents on Biomedical Engineering, 1:60-67, 2008)によるレビューおよびその中で引用される参考文献に記述されている。
一部の実施形態では、分子クローニングを必要としない直接配列決定法を用いることにより、配列決定は染色体外核酸分子に対して直接行われ得る。核酸分子のクローニングは比較的直接的なものであるが、核酸の直接配列決定は典型的にサブクローニングおよび多くのショットガンライブラリーの生成における要求を排除し、配列決定反応の数を最少にし、配列情報の獲得および完全配列のアセンブリを劇的に加速する。直接核酸配列決定の利点には、クローニングアーティファクト(cloning artifact)およびライブラリーまたはPCR反応物の相互汚染の排除が含まれる。これは近縁生物の生成配列決定(production sequencing)にとって非常に重要であるが、これは、直接核酸配列決定が少ない回数の冗長的配列決定反応でゲノムの偏りのない完全なカバレッジを生成し、データ処理の有意な節約をもたらすためである。核酸の直接配列決定のための一般的技術は当該技術分野において既知である。例えば、Lin et al. (2008,上記); Lilian et al., (Quarterly Rev. Biophysics, 169-200, 2002)を参照。
染色体外核酸分子の配列決定は、いくつかの従来的な配列決定法のうちの1つによっても行うことができ、例えば、限定はされないが、従来のゲルベースの技術、並びに合成による配列決定(SBS)、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、並びにナノトランジスタアレイ、走査トンネル顕微鏡およびナノワイヤー分子センサー等を用いる多くのより最近の配列決定技術を包含する技術が含まれる。
1970年代にSanger et al.(Sanger et al., 1977)により開発された方法論から派生した一般的なゲルベースの技術は必要不可欠であり、連鎖停止およびゲル分離による配列決定を含んでいる。そのような方法では、各塩基での終結を表す核酸断片の混合群が、「ターミネーター」−2',3'−ジデオキシおよび通常のデオキシヌクレオシド三リン酸のアラビノヌクレオシド類似体を用いて作製された。それらは電気泳動ゲル上で泳動され、配列がゲル中の断片のオーダー(order)から「読まれ」得る。各塩基での核酸断片の化学分解に基づく類似の配列決定法も、MaxamおよびGilbert (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1977)により開発された。
フルオロフォア標識された可逆的ターミネーターヌクレオチドを用いる合成による配列決定は、合成による配列決定の最も一般的なプラットフォームである。前記配列決定は、「蛍光インサイツ配列決定(fluorescent in situ sequencing)」(FISSEQ)と呼ばれる場合もある。前記配列決定は通常以下のステップを含む:配列決定するDNAを固相表面に付着させ、次にポリメラーゼ、および切断可能な化学基を有する標識ヌクレオチドを加え、デオキシリボースの3'位の−OH基をキャップすることで、ヌクレオチドの挿入により反応を終結させる。ヌクレオチドに使用された標識から配列を読むことができる。ピロシーケンス技術は、Ronaghi et al. (Ronaghi et al., Anal. Biochem. 242,1: 84-9, 1996; Ronaghi, Genome Res. 11:3-11, 2001)によって開発されたもう1つのSBS技術である。簡単に説明すると、ピロシーケンス技術は、DNAポリメラーゼによるヌクレオチド取り込みの後に無機PPiが遊離される際の、DNA合成中に遊離されるピロリン酸(PPi)の検出に基づいている。遊離されたPPiは次にATPスルフリラーゼによりATPに変換される。ルシフェラーゼレポーター酵素がそのATPを使って発光し、次にそれが電荷結合素(CCD)カメラにより検出される。光シグナルは取り込まれたヌクレオチド(例えばA、TT、CCC等)の数に比例する。G、A、T、およびCヌクレオチドは配列決定サイクルにおいて段階的に加えられるため、DNA配列は容易に得られる。ピロシーケンスは、光ファイバーと接続している、微細加工ピコリットルサイズ反応ウェルの中の、沈着されたミクロビーズを有するテンプレート等のいくつかの技術の組み合わせにより、超高スループット配列決定技術に進化した。ピロシーケンス技術に基づくいくつかの商業的配列決定プラットフォームが現在利用可能であり、例えば、454ライフサイエンス社(454 Life Science)/ロシュ・ダイアグノスティックス社製のGenome Sequencer 20 SystemおよびGenome Sequencer FLX System、並びにビジジェン・バイオテクノロジーズ社(Visigen Biotechnolgies Inc)により商業化された「蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescent Resonance Energy Transfer、FRET)」技術が挙げられる(例えば、米国特許出願第20070172869、20070172860、および200701728190号)。他のSBSに基づく技術、例えば、限定はされないが、インテリジェント・バイオシステムズ社(Intelligent Bio-Systems Inc.)(例えば、欧州特許出願第1790736号参照)、アフィメトリクス社(例えば、米国特許出願第20070105131号参照)により販売される技術も、使用することができる。本発明の一部の実施形態では、SBS技術に基づくイルミナ社(Illumina Inc.)製Genome Analyzer(商標)システム(例えば、米国特許出願第20077232656号)も、これも特に好ましい。
ショットガン配列アセンブリを確認し補助するために、鋳型DNA断片の両末端から配列データを作製すること(ペアエンド、デュアルエンドまたはダブルエンド配列決定として知られる)が、有利でありしばしば必要であることは、当業者により認識される。ペアエンド配列決定もゲノム再編成および挿入および欠失の特徴分析に、例えばがんゲノム特徴分析において、有用である。様々な「ダブルエンド配列決定」技術が周知であり、例えば、米国特許出願第20077244567、20060024681、20070172839、20060292611、20077270951、および20077282337号に記載される技術等であり、これらは、本発明の方法に使用することができる。
ある実施形態では、ポロニー(polony)増幅およびFISSEQに基づく他のハイスループット配列決定法が使用され得る。簡潔に説明すると、ポロニー増幅は、ポリアクリルアミド薄膜上でDNAをインサイツ増幅するための方法である。DNAの移動はポリアクリルアミドゲルにおいて制限されるため、増幅されたDNAはゲル中に位置して所謂「ポロニー」(ポリメラーゼコロニー)を形成する。最大5百万のポロニー(すなわち5百万のPCR産物(PCR))を、1枚のガラス製顕微鏡用スライド上に形成させることができる。ポロニー蛍光−インサイツ−シーケンスビーズ(polonyfluorescent-in situ-sequencing bead)およびPMAGE(「遺伝子発現のポロニー多重分析」に関して、ポロニー増幅およびライゲーションによる配列決定法(sequence-by-ligation method)の組み合わせ)を含む、ポロニー配列決定法の変形形態も、本発明の方法に使用することができる。
本発明を実施するのに使用され得る他のハイスループット配列決定技術、装置およびシステムには、ナノポアシーケンシング(例えば、米国特許出願第20070190542、20070042366、20070048745、20060231419、および20070178507号参照)、およびハイブリダイゼーションによる配列決定(SBH)(例えば、米国特許出願20070178516、20077276338、および20060287833号参照)を包含するものが含まれる。
また、ライゲーション技術による様々なハイスループット配列決定が、本発明の方法に使用され得る。そのような技術の例としては、限定はされないが、「大規模並列シグネチャー配列決定(Massively Parallel Signature Sequencing)」技術(例えばBrenner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000;米国特許出願第US20006013445号参照)が挙げられる。この技術のいくつかのバージョンにおいて、DNA分子は、エマルジョンポリメラーゼ連鎖反応(emulsion polymerase chain reaction)によりミクロビーズ上に並列して増幅される。次に数百万個のビーズがポリアクリルアミドゲルに固定化され、ライゲーションによる配列決定法を用いて配列決定される。SOLiD(Supported Oligo Ligation Detection)等のアプライドバイオシステムズ社/ライフ社(Life Inc.)により商品化されている装置およびシステムは特に有用であり得る。エマルジョンPCRと組み合わされた類似のライゲーションによる配列決定法に基づくより最近のバージョンも、使用することができる。
微生物メタゲノム配列データのより品質の良いアセンブリおよび注釈づけを生み出すために、異なる配列決定技術の組み合わせを有効に利用することが有利であり、しばしば必要であることは、当業者により認識される。
分類学的同定法
本発明が開示するスクリーニング法によって微生物が選択された後、それらを分類学的に同定することはしばしば有益である。微生物分離菌株の分類学による分類を種々の技術、例えば、限定はされないが、(1)前記分離菌株の核酸分子への核酸プローブのハイブリダイゼーション;(2)前記分離菌株の核酸分子の増幅;(3)前記分離菌株の分子の免疫検出;(4)前記分離菌株由来の核酸分子の配列決定;またはこれらの技術のうちの2つ以上の組み合わせ、によって決定することができることは、当業者により理解される。
生物同定は数種までの(up to several)異なるレベルの解析を含むことができ、各解析はその生物の様々な特徴に基づき得る。そのような解析には、核酸に基づく解析(例えば、それらの存在もしくはそれらの正確な配列、または特定の遺伝子もしくは遺伝子ファミリーの発現に関する、個々の特定の遺伝子の解析)、タンパク質に基づく解析(例えば、直接的または間接的な酵素アッセイを用いた機能レベルでの解析、または免疫検出技術を用いた構造レベルでの解析)等が含まれ得る。
単離された培養物の集中的な分子解析を行う前に、その微生物培養物が単一細胞から生じたこと、および、そのことからそれが純粋な培養物であること(本開示の別の場所で論じられるような、微生物が意図的に混合された場合は除く)を確認することは、有用であり得る。微生物はしばしば、直接顕微分析(試料中の細胞全てが検査上同じに見える)、染色特徴、単純な分子解析(例えば単純な制限断片長多型(RFLP)決定)等に基づいて識別され得る。しかし、本発明のある実施形態では、混合された微生物培養物が後の解析で明らかとなるため、この純粋確認ステップを行うことは必ずしも必要ではない。
a.核酸に基づく解析:本発明のある実施形態において、微生物を同定するために提供される方法には、非常に少数の細胞から遺伝子を増幅し配列決定することが含まれる。従って、提供される方法は、希釈懸濁液から細胞およびそれらのDNAを濃縮するという課題を克服している。遺伝子配列によって細胞を同定するために、または特定の遺伝子または遺伝子ファミリーを有する細胞を同定するために、提供される方法を使用することができる。
「核酸増幅」という用語は、一般的に、試料または検体中の核酸分子のコピーの数を増加させる技術を指す。核酸増幅に有用な技術は当該技術分野において周知である。核酸増幅の一例は、試料中の核酸テンプレートへのプライマー対のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、対象から採取した生物試料をオリゴヌクレオチドプライマー対と接触させる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。プライマー対は適切な条件下で伸長し、テンプレートから解離し、その後再度アニーリングし、伸長し、そして解離して、核酸のコピー数を増幅する。インビトロ増幅技術の他の例としては、鎖置換増幅(strand displacement amplification);無転写等温増幅(transcription-free isothermal amplification);修復連鎖反応増幅(repair chain reaction);リガーゼ連鎖反応;ギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅(gap filling ligase chain reaction amplification);リガーゼ検出とPCRの共役反応(coupled ligase detection and PCR);およびRNA無転写増幅(RNA transcription-free amplification)が挙げられる。
本明細書で提供される実例的なプライマーの他に、微生物の個々の種または系統学的な群に対して、プライマーは設計もされていたし、新しいプライマーが絶えず設計されている。そのような狭く標的化されたプライマーを、本明細書に記載の方法と共に使用して、目的の微生物のみを特異的にスクリーニングおよび/または同定することができる。
核酸プライマーを作製および使用するための方法は、例えば、Sambrook et al. (In Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1989), Ausubel et al. (ed.) (In Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1998)に記載されている。増幅プライマー対は、例えば、Primer(ホワイトヘッド・バイオ医療研究所、マサチューセッツ州ケンブリッジ)等のその目的のためのコンピュータプログラムを用いることにより、既知配列から得ることができる。特定のプローブまたはプライマーの特異性がその長さと共に増加することは、当業者により認識される。従って、例えば、rRNAコードヌクレオチドまたはその隣接領域の30連続ヌクレオチドを含有するプライマーは、15ヌクレオチドのみの対応するプライマーよりも高い特異性で、標的配列にアニールする。従って、より高い特異性を得るために、16S rRNA等の標的ヌクレオチド配列の少なくとも20、25、30、35、40、45、50またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーを選択することができる。
核酸応用(例えば、PCR)に有用な核酸を調製するための一般的技術には、フェノール/クロロホルム抽出、または市販されている多くのDNA抽出キットのうちの1つの使用が含まれる。DNAを増幅することができる別の方法は、細胞を直接核酸増幅反応ミックスに加え、増幅の変性ステップによって、細胞を溶解しDNAを放出させることによるものである。
核酸増幅反応の産物は、電気泳動、制限酵素切断パターン、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションもしくはライゲーション、および/または核酸配列決定を含む、当該技術分野において周知の一つまたは複数の標準的な技術によって、さらに特徴付けすることができる。ハイブリダイゼーション技術が細胞同定の目的に使用される場合、蛍光標識、放射性標識および非放射性標識を含む、種々のプローブ標識法が有用であり得る。
b.タンパク質に基づく解析:核酸の解析に加えて、本発明の方法を用いて選択された微生物を、直接的に、特定のタンパク質の存在(または不在)に基づいて、特徴付けおよび同定することができる。そのような解析は、例えば、酵素アッセイによる、または共培養生物の応答による、または単なる特定のタンパク質の存在(例えばインサイツ免疫蛍光抗体染色等の免疫学的方法を用いて決定することができる)による、特定のタンパク質の活性に基づき得る。
酵素アッセイ:一例として、蛍光または発色基質類似体を増殖培地中に含ませ(例えば、マイクロタイタープレート培養)、次にインキュベーションし、反応産物のスクリーニングを行うことにより、培養物をそれらの酵素活性に基づいて同定することができる。
共培養応答:本発明の一部の実施形態では、分離菌株に保有される酵素の活性は、共培養された生物(例えばレポーター生物)の応答(または応答の程度)に基づいて、アッセイすることができる。
また、少なくとも1つの抗体または抗体由来分子を、微生物の分子、より具体的には微生物の分子のエピトープに結合することにより、供給源である環境から選択され単離された微生物を同定するために、様々な方法を使用することができる。
HarlowおよびLane(Antibodies, A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1988)を含むいくつかのテキストに記載されている標準的な方法を用いて、抗微生物タンパク質抗体を生産することができる。特定の薬剤が実質的に所望の微生物のタンパク質のみに結合するという決定は、通例の方法を使用または適用することで、容易に為すことができる。1つの適切なインビトロアッセイはウェスタンブロット法を利用する(多くの標準的なテキスト、例えばHarlowおよびLane; Antibodies, A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1988に記載されている)。
抗体のより短い断片(抗体由来分子、例えば、FAb、Fv、および一本鎖Fv(SCFv))も、特異的結合物質として機能し得る。これらの断片を作製する方法は通例である。
本発明の多くに関する、細胞に結合する抗体の検出は、標準的な技術、例えば検出可能なシグナル(例えば蛍光または発光シグナル)を与えるELISAアッセイを用いて、実行することができる。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド
本発明の別の態様では、本開示は、新規の単離された核酸分子、これらの核酸分子に干渉する核酸分子、これらの核酸分子とハイブリダイズする核酸分子、およびDNAコードの縮重により同じタンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。本出願のさらなる実施形態は、本発明の単離された核酸分子にコードされるポリペプチドをさらに含む。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、核酸が別の核酸分子とハイブリダイズする能力、またはポリペプチドが抗体により結合される能力(またはそのような結合のために別の分子と競合する能力)等の構造的特性に関して、「生物学的に活性」であることが好ましい。あるいは、そのような特性は触媒作用的であり得るため、前記分子が化学反応または応答を媒介する能力を含む。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは組換え型であってもよい。本明細書で使用される場合、組換え型という用語は、間接的にではあるが、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのヒトによる操作から得られた、またはそれの結果である、いかなる分子(例えばDNA、ペプチド等)をも意味する。
本発明の核酸分子またはその断片は、特定の状況下で他の核酸分子と特異的にハイブリダイズすることができる。本明細書で使用される場合、2つの核酸分子は、これらの2つの分子が逆平行の二本鎖核酸構造を形成可能である場合に、互いと特異的にハイブリダイズすることができると考えられる。完全な相補性を示す場合、核酸分子は別の核酸分子の「相補体」であると考えられる。本明細書で使用される場合、分子は、これらの分子のうちの一方の全てのヌクレオチドがもう一方のヌクレオチドに対し相補的である場合、「完全な相補性」を示すと考えられる。2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェント」な条件下で、互いにアニーリングしたままであることを可能とするのに充分な安定性で互いにハイブリダイズ可能である場合に、「最低限に相補的」であると考えられる。同様に、2つの分子は、従来の「高ストリンジェント」な条件下で、互いにアニーリングしたままであることを可能とするのに充分な安定性で互いにハイブリダイズ可能である場合に、「相補的」であると考えられる。従来のストリンジェントな条件は、Sambrook et al.: Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、およびHaymes et al.: Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press, Washington, D.C. (1985)に記載されている。従って、完全な相補性からの逸脱は、そのような逸脱がこれらの分子の二本鎖構造形成能を完全に妨げない限りは、許容することができる。従って、本発明の核酸分子または断片は、プライマーまたはプローブとして機能するためには、安定なものを形成可能であるのに充分に配列相補的でありさえすればよい。
DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェントな条件は、例えば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続く50℃での2.0×SSCの洗浄である。前記条件は当業者に既知であるか、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. 6.3.1-6.3.6 (1989)に見出すことができる。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。さらに、洗浄ステップにおける温度は、約22℃の室温での低ストリンジェントな条件から約65℃での高ストリンジェントな条件まで上昇させることができる。温度および塩の両方を変更してもよいし、温度または塩濃度のいずれかを一定に保ちもう一方の可変対象(variable)を変更してもよい。
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、中程度にストリンジェントな条件下(例えば、約2.0×SSCおよび約65℃)で、配列表に記載の核酸配列のうちの一つもしくは複数またはそれらの相補体と特異的にハイブリダイズする。
特に好ましい実施形態では、本発明の核酸は、高度にストリンジェントな条件下で、配列表に記載の核酸配列のうちの一つもしくは複数またはそれらの相補体と特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。
別の実施形態では、本発明は、ポリペプチドをコードする領域を含むヌクレオチド配列を提供する。コードされるポリペプチドは、ポリヌクレオチドで表される遺伝子にコードされる完全タンパク質であってもよく、コードされるタンパク質の断片であってもよい。本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、完全タンパク質の相当な部分を構成する、より優先的には、関連の生物活性を与えるのに充分な完全タンパク質の部分を構成する、ポリペプチドをコードすることが好ましい。生体毒素の産生に関与するポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドは特に重要である。
本発明の核酸分子の一部には、少なくとも15、好ましくは少なくとも16または17、より好ましくは少なくとも18または19、さらにより好ましくは少なくとも20以上の連続ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドから成る開示のポリヌクレオチドの断片が含まれる。そのようなオリゴヌクレオチドは、配列表中のポリヌクレオチド配列から選択される配列を有するより巨大な分子の断片であり、例えば、本発明のポリヌクレオチドを検出するための干渉分子、プローブおよびプライマーとしての用途がある。
一部の実施形態では、これらの毒素をコードするヌクレオチド配列の断片である核酸分子も、本発明に包含される。「毒素断片」は、毒素タンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であることが意図される。ヌクレオチド配列の断片は、毒素タンパク質の生物学的に活性な部分をコードしていてもよく、あるいは、下記で開示される方法を用いてハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用することができる断片であってもよい。毒素ヌクレオチド配列の断片である核酸分子は、少なくとも約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2600、2650、2700、2750、2800、2850、2900、2950、3000、3050、3100、3150、3200、3250、3300、3350の連続ヌクレオチド、または、用途に応じて本明細書で開示される完全長毒素をコードするヌクレオチド配列中に存在するヌクレオチドの数までの連続ヌクレオチドを含む。「連続ヌクレオチド」という用語は、互いに直接隣接しているヌクレオチド残基を意味することが意図される。本発明のヌクレオチド配列の断片は、毒素タンパク質の生物活性を保持する、従って殺虫活性を保持する、タンパク質断片をコードする。「活性を保持する」ことにより、断片が少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、80%、90%、95%またはそれ以上の毒素タンパク質の殺虫活性を有することが意図される。殺虫活性を測定する方法は当該技術分野において周知である。例えば、CzaplaおよびLang (J. Econ. Entomol. 83:2480-2485, 1990); Andrews et al. (Biochem. J. 252:199-206, 1988); Marrone et al. (J. of Economic Entomology 78:290-293, 1985);並びに米国特許第5,743,477号)を参照されたい。
本発明のタンパク質の生物学的に活性な部分をコードする毒素コードヌクレオチド配列の断片は、少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100の連続アミノ酸、または本発明の完全長毒素タンパク質中に存在するアミノ酸の総数までの連続アミノ酸をコードする。一部の実施形態では、断片はタンパク質切断断片である。例えば、タンパク質切断断片は、配列表に記載されるあらゆるアミノ酸配列と比較して、少なくとも約100アミノ酸、約120、約130、約140、約150、または約160アミノ酸のN末端切断またはC末端切断を有し得る。一部の実施形態では、本願に包含される断片は、例えばタンパク質分解またはコード配列中への終止コドンの挿入による、C末端結晶化ドメインの除去から得られる。
また、本願で提供されるポリヌクレオチドの変異体も、本発明において重要である。そのような変異体は、自然発生的であってもよく(例えば同一または異なる種由来の相同ポリヌクレオチド)、あるいは非天然の変異体(例えば化学合成法を用いて合成された、もしくは組換えDNA技術を用いて作製されたポリヌクレオチド)であってもよい。ヌクレオチド配列に関して、遺伝暗号の縮重は、遺伝子から生成されるポリペプチドのアミノ酸配列に変化を生じずに、遺伝子のタンパク質コード配列の少なくとも1つの塩基を異なる塩基で置換する可能性を与える。従って、本発明のDNAは、遺伝暗号の縮重による置換によって配列表中のあらゆるポリヌクレオチド配列から変化された、いかなる塩基配列をも有していてもよい。コドン使用頻度について説明している参考文献は、容易に公的に入手可能である。
本発明のヌクレオチド配列を変異させて、タンパク質の生物活性を変化させることなく、コードされる毒素タンパク質のアミノ酸配列に変化をもたらすことによって、変化を導入することができることは、当業者によりさらに認められる。従って、一つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失がコードされるタンパク質内に導入されるように、一つまたは複数のヌクレオチド置換、付加、または欠失を、本明細書で開示される対応するヌクレオチド配列に導入することによって、変異型単離核酸分子を生成することができる。変異は、部位特異的変異誘発およびPCRを介した変異誘発等の標準的な技術によって導入することができる。そのような変異型ヌクレオチド配列も本発明に包含される。
例えば、保存的アミノ酸置換は、一つまたは複数の予測非必須アミノ酸残基で行うことができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物活性を変化させることなく毒素タンパク質の野生型配列から変化させることができる残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は生物活性に必要である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。
本明細書の他の部分でも述べているように、δ−内毒素は一般的に、5つの保存的配列ドメイン、および3つの保存的構造ドメインを有する(例えば、上記de Maagd et al., 2001参照)。第一の保存的構造ドメインは7つのαへリックスから成り、膜内挿入およびポア形成に関与する。ドメインIIはGreek key構造に配列される3つのβシートから成り、ドメインIIIは「ゼリーロール」構造の2つの逆平行βシートから成る(上記de Maagd et al., 2001)。ドメインIIおよびドメインIIIは受容体の認識および結合に関与するため、毒素特異性の決定因子であると考えられている。機能を保持する非保存領域において、アミノ酸置換を行うことができる。一般的に、タンパク質活性に必須である保存アミノ酸配列残基に対して、または保存的モチーフ内に存在するアミノ酸残基に対しては、そのような置換は行われないであう。保存されており、タンパク質活性に重要であり得る残基の例としては、例えば、本発明のアミノ酸配列および既知の毒素配列の整列に含有される、全てのタンパク質間で同一である残基が挙げられる。保存されているが保存的アミノ酸置換を許容し活性も保持する残基の例としては、例えば、本発明のアミノ酸配列および既知の毒素配列の整列に含有される、全てのタンパク質間で 保存的置換のみを有する残基が挙げられる。しかし、当業者であれば、機能変異体が保存残基において少数の保存的または非保存的変化を有し得ることを理解するであろう。
あるいは、変異型ヌクレオチド配列は、コード配列の全部または一部に沿って無作為に変異を導入することによって(例えば飽和突然変異誘発によって)作製することができ、得られた変異体を、毒素活性を付与する能力を求めてスクリーニングして、能力を保持する変異体を同定することができる。変異誘発後、コードされるタンパク質を組換え発現することができ、標準的なアッセイ技術を用いてタンパク質の活性を決定することができる。
PCR、ハイブリダイゼーション等の方法を用いて、本発明の配列に対し相当な同一性を有するような、対応する毒素配列を同定することができる。例えば、SambrookおよびRussell(2001、上記)。
本願で提供されるポリヌクレオチドの変異体である本発明のポリヌクレオチドは、概して、本願で提供されるポリヌクレオチドと有意な同一性を示す。本明細書に記載のポリヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと、少なくとも約50%の配列同一性、少なくとも約60%の配列同一性、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%、95%またはさらにそれ以上、例えば96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド相同体が、特に重要である。
新規毒素遺伝子を同定した後、新規毒素遺伝子に対応する核酸分子およびその断片を使用して、染色体外遺伝物質に目的の新規毒素遺伝子の核酸配列と同じ核酸配列が天然に含まれる微生物の菌株または分離菌株を同定することができることは、当業者によりさらに認められる。そのような微生物の菌株または分離菌株は、前述の核酸分子またはその断片を使用して微生物集団をスクリーニングすることにより、容易に同定することができる。他の周知の方法の中で、PCRまたはDNAに基づくハイブリダイゼーション法、抗体に基づくハイブリダイゼーション法を使用することによる、細菌コロニーのスクリーニングは、当該技術分野において通例である。
本発明の核酸分子およびその断片を使用して、同じ種から他の核酸分子を得ることができる。そのような核酸分子には、タンパク質の完全コード配列を有する核酸分子並びにその分子のプロモーターおよび隣接配列が含まれる。さらに、そのような核酸分子には、他の毒素または遺伝子ファミリーメンバーをコードする核酸分子が含まれる。そのような分子は、前述の核酸分子またはその断片を使用して、毒素産生微生物から得られたcDNAライブラリーまたは染色体外DNAライブラリーをスクリーニングすることにより、容易に得ることができる。そのようなライブラリーを作製する方法は当該技術分野において周知である。
本発明の核酸分子およびその断片を使用することで、核酸相同体を得ることもできる。そのような相同体には、同一種または他の生物内の異なる対立遺伝子の核酸分子、例えば、他の生物の毒素タンパク質相同体、プロモーターおよび転写制御エレメント等の遺伝因子の配列を全体的または部分的にコードする核酸分子が含まれる。そのような分子は、前述の核酸分子またはその断片を使用して、そのような微生物種から得られたcDNAライブラリーまたは染色体外DNAライブラリーをスクリーニングすることにより、容易に得ることができる。そのようなライブラリーを作製するための方法は当該技術分野において周知である。完全な相補性が安定なハイブリダイゼーションに必要ではないために、そのような相同体分子は、それらのヌクレオチド配列において、配列表中のヌクレオチドのうちの一つまたは複数またはそれらの相補体に存在するヌクレオチド配列と異なり得る。従って、本発明の核酸分子には、核酸分子と特異的にハイブリダイズすることができるが、「完全な相補性」を欠き得る分子も含まれる。特定の実施形態では、3'または5'RACEの方法を使用して、そのような配列を得ることができる。
当該技術分野において既知の種々の方法のいずれかを使用することで、一つまたは複数の前述の核酸分子を得ることができる。この目的に、自動核酸シンセサイザーを使用することができる。そのような合成の代わりに、開示の核酸分子を使用して、あらゆる所望の核酸分子または断片を増幅および獲得するためにポリメラーゼ連鎖反応で使用することが可能なプライマー対を定義することができるが、これは当該技術分野において標準的なものである。
さらに、異なるヌクレオチド配列に同じタンパク質またはペプチドをコードさせることを可能にする遺伝暗号の縮重も、当該技術分野において既知である。
本発明の一態様において、本発明の核酸分子のうちの一つまたは複数は、同一のタンパク質をコードするがヌクレオチド配列において異なるという点において、遺伝暗号における縮重のために、配列表中のヌクレオチド配列からなる群から選択される毒素ポリペプチドまたはその断片をコードするヌクレオチド配列と、ヌクレオチド配列において異なっている。
異なるヌクレオチド配列が一つまたは複数の保存的アミノ酸残基を有するポリペプチドをコードするという事実のために、配列表中のヌクレオチド配列からなる群から選択される毒素ポリペプチドまたはその断片をコードするヌクレオチド配列とヌクレオチド配列において異なる、一つまたは複数の核酸分子も、本発明の別のさらなる態様において提供される。そのような保存的置換をコードすることができる遺伝子コドン(genetic codon)が当該技術分野において周知のであることは理解される。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドも提供する。配列中の一つまたは複数のアミノ酸を、電荷および極性が置換されるアミノ酸の電荷および極性と類似している他のアミノ酸と置換すること(すなわち保存的アミノ酸置換)により、生物学的/機能的にサイレントな変化をもたらすことができることは、当該技術分野において既知である。ポリペプチド配列内のアミノ酸に対する保存的置換基は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。アミノ酸は以下の4つの群に分類することができる:(1)酸性(負に帯電している)アミノ酸、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性(正に帯電している)アミノ酸、例えばアルギニン、ヒスチジン、およびリジン;(3)中性極性アミノ酸、例えばセリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミン;並びに(4)中性非極性(疎水性)アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、およびメチオニン。
天然ポリペプチド配列内の保存的なアミノ酸の変化は、これらの群の1つに含まれるあるアミノ酸を、同じ群内の別のアミノ酸で置換することにより為すことができる。本発明のポリペプチドまたはその断片の生物学的な機能を有する等価物は、約10以下の保存的アミノ酸変化、より好ましくは約7以下の保存的アミノ酸変化、最も好ましくは約5以下の保存的アミノ酸変化を有し得る。本発明の好ましい実施形態では、本ポリペプチドは、約5〜約500の保存的変化、より好ましくは約10〜約300の保存的変化、さらにより好ましくは約25〜約150の保存的変化、最も好ましくは約5〜約25の保存的変化または1〜約5の保存的変化を有する。従って、コードヌクレオチド配列は、本発明のタンパク質または断片の生物学的な機能を持つ等価形態をコードすることを可能にする、対応する塩基置換基を有する。
本発明の別の態様では、生体毒素ポリペプチドも本発明に包含される。この態様の一実施形態では、「生体毒素ポリペプチド」は、配列表に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドであることが意図される。一部の実施形態では、生体毒素ポリペプチドは、配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対応する核酸配列;または配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片;配列表中のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対し70%以上の配列同一性を示す核酸配列、その相補体、もしくはいずれかの断片を含む核酸分子にコードされる。一部の実施形態では、生体毒素ポリペプチドは、配列表中のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し50%以上の配列同一性を示す。
本明細書の他の場所でより詳細に記述されるように、生体毒素ポリペプチドは、例えば、組換え生物内で発現された場合に組換え生物に殺虫活性を付与するのに、または有害生物を駆除するのに、効果的であり得る。そのような生体毒素ポリペプチドは、典型的には、殺虫活性を示す少なくとも1つのドメインを含有する。本明細書に記載の生体毒素ポリペプチド内に出願人が同定した、殺虫活性を示すPfamドメインの例としては、内毒素_M(PF00555)ドメイン(例えば、Li et al., Nature 353: 815-21, 1991; Cygler et al., J. Mol. Biol. 254 (3): 447-464, 1995; Ghosh et al., Acta Crystallogr. D 57: 1101-1109, 2001参照);リシン_B_レクチン(PF00652)ドメイン、アエロリジン(PF01117)ドメイン(例えば、Howard et al., J. Bacteriol. 169: 2869-71, 1987; Parker et al., Nature 367: 292-5, 1994参照);Bac_thur_毒素(PF01338)ドメイン(例えば、Li et al., J. Mol. Biol. 257:129-152, 1996参照);ETX_MTX2(PF03318)ドメイン(例えば、Thanabalu et al., Gene 170:85-89, 1996; Petit et al., J. Biol. Chem. 276:15736-15740, 2001参照);CBM_6(PF03422)ドメイン(例えば、Henshaw et al., J. Biol. Chem. 279: 21552-21559, 2004参照);二元(Binary)_toxB(PF03495)ドメイン(例えば、De Haan et al., Mol. Membr. Biol. 21: 77-92, 2004; Perelle et al., Infect. Immun. 61: 5147-56, 1993参照);ADPrib_exo_Tox(PF03496)ドメイン(例えば、上記De Haan et al., 2004;上記Perelle et al., 1993参照);内毒素_C(PF03944)ドメイン(例えば、上記Li et al., 1991;上記Cygler et al., 1995;上記Ghosh et al., 2001参照);内毒素_N(PF03945)ドメイン(例えば、上記Li et al., 1991;上記Cygler et al., 1995;上記Ghosh et al., 2001参照)、毒素_10(PF05431)ドメイン(例えば、Humphreys et al., J. Invertebr. Pathol. 71:184-185, 1998参照);ボツリヌス毒素_HA−17(PF05588)ドメイン(例えば、Hutson et al., J. Biol. Chem. 271:10786-10792, 1996参照);CryBP1(PF07029)ドメイン(例えば、Dervyn et al., J. Bacteriol. 177:2283-2291, 1995; Zhang et al., J. Bacteriol. 179:4336-4341, 1997参照);PA14(PF07691)ドメイン(例えば、Rigden et al.,Trends Biochem. Sci. 29:335-339, 2004参照);およびFve(PF09259)ドメイン(例えば、Paaventhan et al., J Mol Biol. 332:461-470, 2003参照)が挙げられる。特定のPfamドメインのより詳細な記述は、種々の情報源、例えば「www.sanger.ac.uk」または「pfam.janelia.org」で見つけることができる。さらに、一つまたは複数の表示のPfamドメインを含有することが予測される特定のポリペプチドは、添付の配列表中に極めて詳細に記載されている。従って、配列表中の生体毒素配列の種々の実際の適用は、既知配列に対するそれらの類似性に基づいて、当業者には直ちに明らかとなる。
断片、生物学的に活性な部分、およびそれらの変異体も提供され、本発明の方法の実施に使用され得る。「断片」または「生物学的に活性な部分」には、配列表中に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つと充分な同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を示す、ポリペプチド断片も含まれる。毒素タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸長であるポリペプチドであり得る。そのような生物学的に活性な部分を、組換え技術により調製して、殺虫活性について評価することができる。殺虫活性を測定するための方法は当該技術分野において周知である。例えば、Czapla and Lang J. Econ. Entomol. 83:2480-2485 (1990); Andrews et al., Biochem. J. 252:199-206 (1988); Marrone et al., J. of Economic Entomology 78:290-293 (1985);WO2011009182A2;および米国特許第5,743,477号を参照されたい。本明細書で使用される場合、断片は、配列表に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つの、少なくとも8個の連続アミノ酸を含む。しかし、本発明は他の断片、例えば、約10、20、30、50、100、150、200、250、300、350、400、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、または1300アミノ酸よりも大きなタンパク質中のあらゆる断片を包含する。
本明細書の他の場所に記載されるように、「変異体」は、配列表に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも約60%、65%、約70%、75%、約80%、85%、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドであることが意図される。変異体には、ストリンジェントな条件下で、配列表に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはその相補体とハイブリダイズする核酸分子にコードされるポリペプチドも含まれる。変異体には、変異誘発によりアミノ酸配列において異なるポリペプチドが含まれる。本発明に包含される変異型タンパク質は、生物学的に活性であり、すなわち、該タンパク質は殺虫活性を保持する天然タンパク質の所望の生物活性を持ち続ける。殺虫活性を測定するための方法は当該技術分野において周知である。例えば、CzaplaおよびLang(1990、上記);Andrews et al., Biochem. J. (1988、上記);Marrone et al., (1985、上記);PCT公開番号WO2011009182A2;および米国特許第5,743,477号を参照されたい。
改変または改善された変異体
毒素のDNA配列を種々の方法により改変できること、およびこれらの改変により、本発明の毒素によりコードされるアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA配列をもたらされ得ることが企図される。このタンパク質は、配列表に記載される配列の一つまたは複数のアミノ酸のアミノ酸置換、欠失、切断、および挿入、例えば、最大で、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失または挿入を含む種々の方法において、改変され得る。
そのような操作のための方法は、当該技術分野において一般的に知られている。例えば、毒素タンパク質のアミノ酸配列変異体は、DNAにおける変異によって作製することができる。これは、変異誘発のいくつかの形態のうちの1つによって、および/または指向性進化において、達成することもできる。いくつかの態様において、アミノ酸配列にコードされる変化はタンパク質の機能に実質的に影響を与えない。そのような変異体は所望の殺虫活性を有する。しかし、殺虫活性を付与する毒素の能力は、本発明の組成物に対するそのような技術の使用により、向上され得ることが理解される。例えば、DNA複製中の塩基の誤取り込みを高い割合で示す宿主細胞(例えばXL−1 Red(ストラタジーン社))の中で、毒素を発現させてもよい。そのような菌株における増殖後、毒素DNAを単離し(例えば、プラスミドDNAを作製することにより、またはPCRで増幅して得られたPCR断片をベクター内にクローン化することにより)、非変異原性菌株において毒素変異体を培養し、例えば殺虫活性を試験するためのアッセイを行うことにより、殺虫活性を有する変異した毒素遺伝子を同定することができる。
あるいは、改変を、活性に実質的に影響を与えずに、アミノ末端またはカルボキシ末端において、多くのタンパク質のタンパク質配列につくることができる。これには、現代の分子法(例えば、PCR増幅で使用されるオリゴヌクレオチド中にアミノ酸コード配列を含ませることによりタンパク質コード配列を改変または伸長するPCR増幅を含むPCR)によって導入される挿入、欠失、または改変が含まれ得る。あるいは、加えれれるタンパク質配列には、タンパク質融合体を作製するのに当該技術分野において一般的に使用されるもの等の、全タンパク質コード配列が含まれ得る。そのような融合タンパク質は、(1)目的タンパク質の発現を増加させるために、(2)結合ドメイン、酵素活性、またはエピトープを導入して、タンパク質精製、タンパク質検出、または当該技術分野において既知の他の実験的使用を促進するために、(3)タンパク質の分泌または翻訳を、グラム陰性細菌の細胞膜周辺腔または真核細胞の小胞体(後者はしばしばタンパク質のグリコシル化をもたらす)等の細胞内小器官に標的化するために、しばしば使用される。
本発明の変異型ヌクレオチド配列および変異型アミノ酸配列には、DNAシャフリング等の変異促進性の組換え誘導法から得られる配列も包含される。そのような方法で、一つまたは複数の異なる毒素タンパク質コード領域を用いることで、所望の特性を有する新しい毒素タンパク質を作製することができる。この方法において、組換えポリヌクレオチドのライブラリーを、相当な配列同一性を有する配列領域を含む関連配列ポリヌクレオチドの集団から作製し、インビトロまたはインビボで相同組換えすることができる。例えば、このアプローチを用いて、目的ドメインをコードする配列モチーフを、本発明の毒素遺伝子と他の既知の毒素遺伝子の間でシャッフルすることで、目的の特性が向上した(例えば殺虫活性が増加した)タンパク質をコードする新しい遺伝子を得ることができる。そのようなDNAシャフリングのための戦略は、当該技術分野において既知である。
ドメインのスワッピングまたはシャフリングは、改変型δ−内毒素タンパク質を作製するためのもう1つの機構である。ドメインIIおよびドメインIIIをδ−内毒素タンパク質の間で交換することで、所望の殺虫活性または標的スペクトルを有するハイブリッドまたはキメラ毒素を得ることができる。組換えタンパク質を作製し、殺虫活性についてそれらを試験する方法は、当該技術分野において周知である。
さらに、当該技術分野において周知の種々の方法のうちのいずれかを使用することで、一つまたは複数の前述のポリペプチドを得ることができることは、当業者により認識される。本発明のポリペプチドは化学的に合成することができ、あるいは、大腸菌、酵母、昆虫等の異種発現系における標準的な組換え技術を用いて、ポリペプチドを作製することができる。
細菌遺伝子は、かなり頻繁に、オープンリーディングフレームの開始点に近接して複数のメチオニン開始コドンを有する。しばしば、これらの開始コドンのうちの一つまたは複数における翻訳開始は、機能タンパク質の生成をもたらす。これらの開始コドンにはATGコドンが含まれ得る。しかし、バシラス属等の細菌はコドンGTGも開始コドンとして認識し、GTGコドンで翻訳を開始するタンパク質は第一アミノ酸にメチオニンを含有する。さらに、これらのコドンのうちどれが細菌内で天然に使用されるかは、多くの場合、事前に決定されていない。従って、代わりのメチオニンコドンのうちの1つの使用によっても、殺虫活性をコードする毒素タンパク質の生成がもたらされ得ることが理解される。これらの毒素タンパク質は本発明に包含され、本発明の方法で使用され得る。
配列表中の情報
本明細書にはPatentln Version 3.5プログラムを用いて作成されたヌクレオチドおよびポリペプチドの配列情報が含まれる。配列表中に提供される生体毒素配列は注釈づけされ、それぞれの配列の1つまたはいくつかの既知の相同体を示している。いくつかの配列は特定用途を示す「pfam」ドメインを含有する。具体的なpfamドメインは、「www.sanger.ac.uk」または「pfam.janelia.org」等の様々なソースによってより詳細に記述される。従って、配列表中の生体毒素配列の種々の実際の適用は、既知配列に対するそれらの類似性に基づいて、当業者には直ちに明らかとなる。
配列表中に提供される生体毒素配列は注釈づけされ、それぞれの配列の1つまたはいくつかの既知の相同体を示している。いくつかの配列は殺虫活性を示す「Pfam」ドメインを含有する。本明細書に記載の生体毒素ポリペプチド内に出願人が同定した、殺虫活性を示すPfamドメインとしては、内毒素_M(PF00555)ドメイン;リシンBレクチン(PF00652)ドメイン、アエロリジン(PF01117)ドメイン;Bac_thur_毒素(PF01338)ドメイン;ETX_MTX2(PF03318)ドメイン;CBM_6(PF03422)ドメイン;二元(Binary)_toxB(PF03495)ドメイン;ADPrib_exo_Tox(PF03496)ドメイン;内毒素_C(PF03944)ドメイン;内毒素_N(PF03945)ドメイン、毒素_10(PF05431)ドメイン;ボツリヌス毒素_HA−17(PF05588)ドメイン;CryBP1(PF07029)ドメイン;PA14(PF07691)ドメイン;およびFve(PF09259)ドメインが挙げられる。配列表中のいくつかの生体毒素配列は、例えば、生物への殺虫活性の付与、または有害生物の駆除におけるそれぞれの配列の有益な適用と共に、「種々の特徴」セクションにおいて注釈づけされている。従って、配列表中の生体毒素配列の種々の実際の適用は、既知配列に対するそれらの類似性に基づいて、当業者には直ちに明らかとなる。
配列適用に関するさらなる情報は、公開データベース中の配列への類似性から得られる。「NCBI GI:」および「NCBI Desc:」とラベルされた配列表の「種々の特徴」セクション中の記入は、それぞれの配列に関するさらなる情報を与える。いくつかの場合で、www.ncbi.nlm.nih.govから検索することができる対応する公記録は、注釈づけされた配列の用途を示すデータを含む刊行物を引用している。
本発明のヌクレオチドおよびポリペプチドが、それぞれ個々の配列によっては、一つまたは複数の改変された特徴(例えば殺虫活性等)を有する遺伝子導入生物を作製するのに有用である場合があることは、配列表の開示から理解することができる。本発明はさらに、配列表に含まれるもの等の、上記のポリペプチドをコードするヌクレオチド、並びにその相補体および/または断片を包含し、遺伝暗号の縮重に基づくその代替物を含む。
本発明のいくつかの態様は、生体毒素をコードする新規ヌクレオチド配列の単離および同定のための、統合された戦略に関する。「新規ヌクレオチド配列」は、比較ために使用されるデータベース中のいかなる配列に対しても、約30%未満の配列同一性、好ましくは約60%未満の配列同一性、より好ましくは約80%未満の配列同一性、最も好ましくは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%未満の配列同一性を共有するヌクレオチド配列であることが意図される。
本発明のポリペプチドまたはその変異体もしくは断片に対する抗体も包含される。抗体を作製するための様々な技術および方法が当該技術分野において周知であり(例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.;米国特許第4,196,265号)、本明細書で開示される本発明の抗体を作製するために使用することができる。
本発明の方法の使用
本明細書に記載の方法は、商業的価値を有する遺伝子配列を含む巨大なメタゲノム配列データセットを作成するのに有用である。細菌に特異的な染色体外核酸の単離および配列決定は、現在の遺伝子同定法に対していくつかの利点を有する。第一に、遺伝子がDNA配列により同定されるため、この方法は、ハイブリダイゼーションにより容易に達成され得るよりも、既知遺伝子に対しより低いDNA類似性を有する遺伝子を同定する可能性が高い。第二に、微生物菌株の染色体外ゲノムは全ゲノムサイズの一部分(1〜20%)であるため、多くの関連または非関連細菌の染色体外ゲノムを迅速にサンプリングし、興味深い遺伝子を直ちに同定することができる。第三に、染色体外遺伝物質における差異により存在する菌株間の多様性が大きいため;この方法は、細菌群における主な多様性、差異を捉える際に非常に効率的である。さらに、既存の配列データセットの規模が増すごとに、本方法の効率も増す。いかなる所与の微生物に関しても、検出される新規クローンの割合は50%から1%まで低下し得るため、本明細書で開示される方法の効率は、ゲノム全体の配列決定(15kbのインサートサイズに対する)に対して3倍〜16倍に増加し得る。
特定の細菌種のみが本明細書に記載されているが、本発明の方法が、細菌種および真菌種を含む、染色体外DNAを含有する全ての微生物に事実上適用され得ることは理解される。染色体外DNAをこれらの微生物から単離し、本発明の方法に使用して、新規毒素遺伝子を同定することができる。さらに、微生物細胞の染色体外DNA含有物を単離し解析するために、微生物細胞を単離および/または精製する必要は必ずしもなく;すなわち、本方法を、混合群から得られた試料、または環境試料等の起源未知の試料に適用できることが理解される。
従って、微生物試料、菌株、または分離菌株が染色体外DNAに保有される少なくとも1つの毒素遺伝子を含有する限り、本発明のいくつかの実施形態は、毒素活性を有する分子をコードするポリヌクレオチドを求めて微生物の混合群、富化された試料、またはその分離菌株をスクリーニングするための新規の系を提供する。本発明の方法は、インビトロにおける新規毒素分子の発見、具体的には非培養または培養試料由来の新規毒素分子の発見を可能にする。染色体外DNAの大集団が、本発明の方法を用いて単離され、配列決定され、スクリーニングされ得る。所望であれば、本発明の方法は、広範囲の環境試料から、インビトロで、ポリヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドをスクリーニングおよび同定することを可能にし得る。
別の実施形態では、複数の分離菌株の染色体外核酸がそれぞれの抽出の後にプールされ、後の配列決定、アセンブリ、注釈づけ、および遺伝子同定に適した染色体外核酸の集団が作出され得る。あるいは、複数の分離菌株がDNA抽出ステップ前に組み合わされ、それも最終的に染色体外核酸の集団を作出し得る。2以上の染色体外核酸の集団がプールまたは組み合わされて、プールされた染色体外核酸の集団が得られ得る。
染色体外DNAを単離することができる微生物には、真正細菌および古細菌等の原核微生物、真菌、藻類および原生動物等の下等な真核微生物が含まれる。微生物は、環境試料から得られる培養微生物または非培養微生物であり得、好熱菌、超好熱菌、好冷菌および低温菌等の好極限性細菌を含む。特に重要なものとしては、限定はされないが、バシラス属、ブレビバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、フォトラブダス属、シュードモナス属、セラチア属、ストレプトマイセス属、またはゼノラブダス属の細菌属の種が挙げられる。
1つの具体的な非限定例において、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)δ−内毒素遺伝子等の殺虫性タンパク質は、巨大な染色体外DNA分子上に存在しているため、本明細書で開示されるスクリーニング法を用いることで迅速に発見することができる。従って、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)等のバシラス属微生物からの染色体外DNAの単離および配列決定は、新規のδ−内毒素遺伝子の同定に繋がり得る。そのような遺伝子は、害虫を駆除するための新規の組成物および方法の開発に役立ち得る。さらに、クロストリジウム属の多くの微生物は巨大な染色体外プラスミドを有することも知られており、これらのうちいくつかは、毒性因子およびι毒素等の毒素を含有することが知られている(例えば、Perelle et al., Infect. Immun. 1993参照)。さらに、クロストリジウム属微生物の遺伝子変異性の大部分がプラスミド含有物に起因して生じているように思われるということが示されている(例えば、Katayam et al., Mol. Gen. Genet. 1996参照)。本明細書で開示される方法を使用することで、複数のクロストリジウム属分離菌株の染色体外DNA含有物をスクリーニングし、多大な遺伝的多様性を迅速に捕捉できることが、本発明者により企図されている。さらに、クロストリジウム属種に存在するδ−内毒素遺伝子の相同体に関する報告がある(Barloy et al., J. Bacteriol. 1996)。従って、本発明のスクリーニング法の適用は、この属の細菌における新規バイオキシン(bioxin)遺伝子を同定する際にも使用することができる。
さらに、腫瘍誘発性で且つ相利共生性であるプラスミドは、アグロバクテリウム属および根粒菌属微生物で共通に見られる(例えば、Van Larebeke et al., Nature 1974)。従って、特に既知の植物病原体由来の、腫瘍誘発性で且つ相利共生性である細菌性プラスミドの配列決定に本発明のスクリーニング法を適用することにより、毒性および非毒性の両方に関与するまたは必要な遺伝子を含む、植物−病原体相互作用に関与する新規遺伝子が同定され得る。
染色体外DNA含有物が本明細書で提供される方法を用いて解読され得る微生物のさらなる例には、S.エントモピラ(S. entomophila)のpADAPプラスミドおよびS.プロテアマクランス(S. proteamaculans)のpU143プラスミド等の染色体外DNAが毒性関連領域を含むことが知られている細菌属セラチア属の種が含まれる(例えば、Hurst et al., Plasmid, 2011; Hurst et al., J. Bacteriol. 2000参照)。S.エントモピラ(S. entomophila)のpADAPプラスミドの毒性コード領域内で、sepABCと命名された少なくとも1つの遺伝子集団が、S.エントモピラ(S. entomophila)の病原性に重要である。Sepタンパク質は、線虫関連細菌フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)において最初に同定された、毒素複合体(Tc)ファミリーメンバーの殺虫性タンパク質である。典型的には3つのTcタンパク質Tc−A、Tc−B、およびTc−Cが結合して、殺虫活性を有する複合体を形成する。第二のpADAP毒性コード領域は18のORFを含み、その翻訳産物は、殺虫性細菌P.ルミネッセンス(P. luminescens)TTO1のゲノムに存在するフォトラブダス属毒性カセット(Photorhabdus virulence cassette、PVC)に対して類似性を有する。従って、セラチア属細菌の染色体外遺伝物質を解読するために本発明のスクリーニング法を適用することによって、殺虫活性並びに毒性および非毒性に関与するまたはそれらに必要な新規配列が同定され得ることも、本発明者らによって企図される。
さらに、細菌集団に存在する多様性の多くは、プラスミドを含む染色体外DNA含有物上に存在する。微生物プラスミドの多くは、細菌性病原体による感染の感染価または重症度に重要な毒性因子を含むことが知られている。同様に、プラスミドゲノムにより発現されるタンパク質の多くは、ワクチンとしての価値を有し得る。例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis)のpXO1およびpXO2の両プラスミドは、炭疽感染における発病に必要なタンパク質をコードする。例えば、pXO2は細菌周囲の保護莢膜を生成するタンパク質をコードする。pXO1プラスミドは、炭疽毒素複合体の3つのタンパク質、致死因子(LF)、浮腫因子(EF)、および感染防御抗原(PA)をコードする。PAタンパク質(感染防御抗原)は炭疽に対するワクチンの基礎を形成する。本明細書で開示されるスクリーニング法を用いることによる細菌性プラスミドの迅速且つ効率的な配列決定によって、効果的なワクチンとして機能し得るタンパク質のデータベースを作成することができる情報が得られることが、本出願人らにより企図される。
本発明の分子の使用
本発明の一態様では、目的のポリヌクレオチド配列に隣接したDNA配列を特定するために、多くの既知の方法のうちの1つが使用され得る。例えば、微生物細胞における新規ポリヌクレオチド配列を天然に囲むゲノム領域をさらに同定することができる。ハイブリダイゼーションプローブを作製し、既存の染色体外DNAライブラリーをスクリーングすることにより、これを達成することができる。あるいは、より大きなインサート(例えばコスミドライブラリー)のライブラリーを作製し、目的の新規ポリヌクレオチド配列に隣接したDNAを含有していそうなクローンをスクリーニングすることができる。例えば、逆PCR(SambrookおよびRussell、上記)により、既知のDNAに隣接する領域をクローン化し配列決定することができる。別のそのような方法は、配列既知のリンカーを制限酵素で消化された染色体外DNAに連結し、次に、オリゴリンカーに相同なオリゴヌクレオチド、および目的領域に相同なオリゴ(例えば本発明の新規ポリヌクレオチド配列の末端配列)を用いてPCR産物を生成することを含む。この方法を実行するためのキット(GENOMEWALKER(商標)、クローンテック社)は、市販されている。
例えば、ハイブリダイゼーション法では、毒素をコードするヌクレオチド配列の全てまたは一部を使用して、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる。そのようなcDNAおよびゲノムライブラリーを構築するための方法は、当該技術分野において一般的に知られており、SambrookおよびRussell(2001、上記)に記載されている。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNA断片、cDNA断片、RNA断片、または他のオリゴヌクレオチドであってもよく、32P等の検出可能な基、または他の放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、もしくは酵素補因子等のいかなる他の検出可能なマーカーで標識されていてもよい。ハイブリダイゼーション用のプローブは、本明細書で開示される既知の毒素をコードするヌクレオチド配列に基づく合成オリゴヌクレオチドの標識によって作製することができる。ヌクレオチド配列またはコードされるアミノ酸配列内の保存的ヌクレオチドまたはアミノ酸残基に基づいて設計された変性プライマーをさらに使用することができる。プローブは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、本発明の毒素をコードするヌクレオチド配列またはその断片もしくは変異体の少なくとも約12、少なくとも約25、少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、または400連続ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。ハイブリダイゼーション用のプローブを調製する方法は当該技術分野において一般的に知られており、SambrookおよびRussell(2001、上記)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
そのような配列のハイブリダイゼーションは、プローブがその標的配列に対して、他の配列に対してよりも、検出可能な程より大きな程度(例えば、典型的にはバックグラウンドの少なくとも2倍)に、ハイブリダイズするハイブリダイゼーション条件を用いて行うことができる。ハイブリダイゼーション条件は配列依存的であり、異なる環境においては異なったものになる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄条件を調節することにより、プローブに対し100%相補的な標的配列を同定することができる(相同プロービング)。あるいは、ハイブリダイゼーション条件を調整して配列内にいくつかのミスマッチを許容することにより、より小さな程度の類似性を検出することができる(異種プロービング)。一般的に、プローブは約1000ヌクレオチド長未満、好ましくは500ヌクレオチド長未満、より好ましくは200ヌクレオチド長未満、および最も好ましくは100ヌクレオチド長未満である。
得られる配列の商業的な用途の多くは得られる配列の直接検査から明らかであり得るが、得られる配列または遺伝子のさらなる商業的な用途を特定するために、さらなるステップを実行することができる。
作物への病虫害抵抗性の付与
本発明の別の態様では、殺虫活性を有する毒素を発現する遺伝子導入生物、特に遺伝子導入植物を作製するための方法が提供され、該方法は典型的には核酸構築体を生物に導入することを含む。例えば、「導入」とは、構築体が植物細胞の内側へのアクセスを得るように、植物に核酸構築体を与えることを意味する。本発明の方法では、ヌクレオチド構築体を植物に導入するための特定の方法を使用することを必要とせず、構築体が植物の少なくとも1つの細胞の内側へのアクセスを得るだけでよい。例として以下で詳細に記載される方法を使用して遺伝子導入植物を作製することができるが、遺伝子導入植物細胞を作製する方法は、本発明にとってそれほど重要ではない。
本発明の遺伝子導入植物は、本明細書で開示される殺虫性配列のうちの一つまたは複数を発現することができる。種々の実施形態において、遺伝子導入植物は、昆虫抵抗性のための一つまたは複数の追加の遺伝子、例えば、鞘翅目、鱗翅目、異翅類、または線虫有害生物を駆除するための一つまたは複数の追加の遺伝子をさらに含む。遺伝子導入植物が目的の農業形質を付与するいかなる遺伝子をも含んでいてよいことは、当業者に理解される。
核酸構築体を植物に導入するための種々の方法が当該技術分野において既知であり、例えば、限定はされないが、安定形質転換法、一過性形質転換法、およびウイルス媒介法が挙げられる。次に、当該技術分野において記述される一般的な方法で、例えばカルスの形質転換、形質転換したカルスの選択、およびそのような遺伝子導入カルスからの稔性植物の再分化により、毒素を発現する植物を単離することができる。そのようなプロセスにおいては、植物細胞内でのその発現によって形質転換細胞の同定または選択のための能力が付与されさえすれば、いかなる遺伝子も選択マーカーとして使用することができる。
発現ベクター
本発明の核酸分子にコードされるポリペプチドまたはその断片の1つまたは複数を、形質転換細胞または形質転換生物内で発現させることができる。例えば、本発明の配列、またはそれらの組み合わせ、またはそれらの一部および/もしくは変異体(mutant)および/もしくは融合物および/もしくはバリアント(variant)を使用するために、ベクター内に挿入された本発明のポリヌクレオチド配列を含み、植物細胞の形質転換に適した組換え核酸構築体を調製することができる。構築体は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができ、アグロバクテリウム属が介在する性形質転換によって、または下記で言及される他の形質転換法によって、目的の種に導入することができる。さらに、本発明の微生物毒素配列を改変またはコドン最適化して、宿主細胞(例えば植物細胞)内での対応するポリペプチドの発現を達成または増強することができる。典型的に、そのような毒素ポリペプチドを発現する構築体は、その遺伝子の転写を駆動するためのプロモーター、および転写終結およびポリアデニル化のための3'非翻訳領域を含有しているであろう。そのような構築体の構成は当該技術分野において周知である。いくつかの場合では、得られるペプチドが分泌されるか、あるいは植物細胞内で標的化されるように、遺伝子を操作することが有用であり得る。例えば、遺伝子を操作することで、小胞体へのペプチドの移動を促進するためのシグナルペプチドを含有させることができる。イントロンのmRNAプロセシングが発現に必要となるように、植物発現カセットを操作してイントロンを含ませることも、好ましい場合がある。
ベクター骨格(vector backbone)は、当該分野で典型的に使用されるいかなるものであってもよく、例えば、プラスミド、ウイルス、人工染色体、BAC、YAC、PACおよびベクター(例えば細菌−酵母シャトルベクター、λファージベクター、T−DNA融合ベクターおよびプラスミドベクター)等である。
典型的に、構築体は、本発明の核酸分子をあらゆる所望の転写制御配列および/または翻訳制御配列(例えばプロモーター、UTR、および3'末端終止配列等)と共に含有するベクターを含む。ベクターは、例えば、複製開始点、足場付着領域(SAR)、マーカー、相同配列、およびイントロンも含み得る。ベクターは、選択可能な表現型を植物細胞に付与するマーカー遺伝子も含み得る。マーカーは、好ましくは、殺生物剤抵抗性形質、特に抗生物質耐性(例えば、カナマイシン、ブレオマイシン、またはハイグロマイシンに対する抵抗性)、または除草剤抵抗性(例えばグリフォセート、クロルスルフロンまたはホスフィノトリシンに対する抵抗性)をコードし得る。
いくつかの場合、組換えDNA構築体は、タンパク質がコードされるDNA断片に付加される異種転写シグナルおよび/または翻訳開始シグナルを含むことができ、その結果、そのようなDNA断片はその後転写および翻訳され得る。新しい転写シグナルおよび翻訳シグナルの付加は、当該技術分野において一般的に知られているものを含む種々の技術により達成することができる。例えば、PCRに基づく方法または標準的な組換えDNAクローニング技術を使用することにより、DNA断片のタンパク質コード領域への、転写開始シグナルの付加、および新しいATG開始コドンのインフレームでの付加が可能である。
当然のことながら、2つ以上の調節領域(例えば、プロモーター、イントロン、エンハンサー、上流活性化領域、転写ターミネーター、および誘導性エレメント)が組換えベクター内に存在していてもよい。例えば、適切なエンハンサーは、オクトピンシンターゼ(ocs)遺伝子の上流領域からのシス制御エレメント(−212〜−154)である。Fromm et al., Plant Cell 1:977-984 (1989)。従って、2つ以上の調節領域を目的の核酸配列に機能的に連結することができる。
既知であるかまたは宿主細胞(例えば、植物細胞または微生物細胞)内でDNAの転写を引き起こすことが分かっているプロモーターを、本発明において使用することができる。これらのプロモーターは微生物、植物および植物ウイルス等の種々の供給源から得ることができる。好ましくは、選択された特定のプロモーターは、所望の表現型を生じさせるために、有効量のタンパク質の産生をもたらすのに充分な発現を引き起こすことが可能であるべきである。植物細胞内でDNAの転写を引き起こすことが知られているプロモーターに加えて、標的組織または標的細胞内で選択的に発現されるまたは発現されることが好ましい遺伝子を求めて植物cDNAライブラリーまたは微生物cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明で使用するための他のプロモーターを同定することができる。
含まれるべきプロモーターの選択は、いくつかの要素、例えば、限定はされないが、効率、選択可能性、誘導能、所望の発現レベル、および細胞または組織選択発現によって異なる。当業者は、プロモーターおよびその配列に関連する他の調節領域を適切に選択し配置することにより、従来の通りに配列の発現を調節することができる。
ベクターまたは構築体は輸送ペプチドを含んでいてもよい。適切な葉緑体輸送ペプチドの組込みを使用してもよい。翻訳エンハンサーをベクターDNAの一部として組み込んでもよい。DNA構築体は、得られたmRNA転写物からの遺伝子産物の発現を増強するのに機能し得る、一つまたは複数の5'非翻訳リーダー配列を含有していてもよい。そのような配列は、遺伝子を発現させるために選択されたプロモーターから得てもよく、あるいはmRNAの翻訳が増加されるよう特異的に改変してもよい。そのような領域は、ウイルスRNAから、適切な真核生物遺伝子または原核生物遺伝子から、または合成遺伝子配列から得ることもできる。
構築体またはベクターは、目的のコード領域と共に、全体または一部において、その領域の転写を終結させるように作用するヌクレオチド配列を含んでいてもよい。例えば、Tr7 3'配列およびnos 3'配列等を含む、そのような配列が単離されている。
適切なポリペプチド産生が望ましい場合、典型的には、コード領域の3'末端に、ポリアデニル化領域が含まれる。ポリアデニル化領域は、天然遺伝子由来、種々の他の植物遺伝子または微生物遺伝子由来、またはT−DNA由来であってもよく、研究室内で合成されてもよく。
植物形質転換
本発明の核酸分子を、種々の技術により、適切な宿主植物のゲノムまたは細胞内に導入することができる。形質転換技術、およびヌクレオチド配列を植物に導入するためのプロトコルは、形質転換の標的とされる植物または植物細胞の種類(すなわち、単子葉類または双子葉類)に応じて異なり得る。種々様々な高等植物種を形質転換させることができるこれらの技術は、周知であり、技術文献および科学文献に記載されている。遺伝子導入植物または遺伝子導入植物細胞の作製は、いくつかの方法のうちの1つにより行うことができ、例えば、限定はされないが、DNAの注入、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションによる植物細胞の形質転換、細胞またはプロトプラストの融合、PEGを介した形質転換、微粒子銃の使用、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)または他の細菌宿主等を用いT−DNAを介して等である。
さらに、当業者に周知であるいくつかの安定でない形質転換法が本発明に望ましい場合もある。そのような方法としては、限定はされないが、一過性発現およびウイルストランスフェクションが挙げられる。
葉緑体の形質転換法は当該技術分野において既知である。例えば、Svab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990); SvabおよびMaliga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993); SvabおよびMaliga, EMBO J. (1993)を参照されたい。前記方法は、選択マーカーを含有するDNAの粒子銃送達、および相同組換えによる色素体ゲノムへの該DNAのターゲティングに基づく。さらに、色素体形質転換は、核内にコードされ色素体を対象とするRNAポリメラーゼの組織選択的発現(tissue-preferred expression)による、サイレント色素体由来導入遺伝子のトランス活性化によって達成され得る。そのような系はMcBride et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994)で報告されている。
種子を形質転換植物から得て、安定性および遺伝の試験に使用する。通常、2世代以上を栽培し、表現型特性が安定に維持され遺伝されることを確認する。
発現カセットが、遺伝子導入植物に安定に組み込まれ機能性が確認された後、性的交雑により他の植物に導入することができることは、当業者により認識される。いくつかの標準的な繁殖技術のいずれをも、交雑される種に応じて、使用することができる。
2つの異なる遺伝子導入植物を交雑して、2つの独立に分離している付加外来遺伝子を含有する子孫を生み出せるということも理解されるべきである。適切な子孫の自家受粉により、両方の付加外来遺伝子についてホモ接合性の植物を生み出すことができる。親植物への戻し交雑および非遺伝子導入型植物との異系交雑も企図され、栄養繁殖も同様に企図される。
植物形質転換の評価
異種外来DNAを植物細胞に導入した後、植物ゲノムにおける異種遺伝子の形質転換または組込みを、組み込まれた遺伝子に関連する核酸、タンパク質および代謝産物の解析等の種々の方法によって、行うことができる。
PCR分析は、特に、土壌に移植する前の初期段階で、組み込まれた遺伝子の存在について形質転換細胞、組織またはシュートをスクリーニングするための、迅速な方法である(SambrookおよびRussell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. 2001)。PCRは、目的の毒素遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーまたはアグロバクテリウム属ベクターバックグラウンド等を用いて行うことができる。
植物形質転換は、ゲノムDNAのサザンブロット解析により行うことができる(上記SambrookおよびRussell, 2001)。一般的に、全DNAを形質転換体から抽出し、適切な制限酵素で消化し、アガロースゲル中で分画し、ニトロセルロースまたはナイロン膜に転写する。次に、膜または「ブロット」を、標準的な技術(上記SambrookおよびRussell, 2001)に従って、例えば放射性標識32P標的DNA断片でプローブし、植物ゲノム中への導入遺伝子の組込みを確認する。
ノーザンブロット解析では、当該技術分野において従来的に使用されている標準的な方法(例えば、上記SambrookおよびRussell, 2001)に従って、RNAが形質転換体の特定の組織から単離され、ホルムアルデヒドアガロースゲル中で分画され、ナイロンフィルター上にブロットされる。次に、当該技術分野において既知の方法(例えば、上記SambrookおよびRussell, 2001)によりフィルターを毒素由来の放射性プローブにハイブリダイズすることによって、毒素にコードされたRNAの発現を試験する。
毒素タンパク質上に存在する一つまたは複数のエピトープに結合する抗体を用いる標準的な方法(例えば、上記SambrookおよびRussell, 2001)により、ウエスタンブロット、生化学分析等を遺伝子導入植物に対し行うことで、毒素遺伝子にコードされるタンパク質の存在を確認することができる。
前述の通り、植物細胞と共に使用するためのいくつかのマーカーが開発されており、例えば、クロラムフェニコール抵抗性、アミノグリコシドG418抵抗性、ハイグロマイシン抵抗性等である。葉緑体代謝に関わる産物をコードする他の遺伝子も、選択マーカーとして使用することができる。さらに、本明細書で開示される遺伝子も、細菌細胞または植物細胞の形質転換を評価するためのマーカーとして有用である。植物、植物器官(例えば、葉、茎、根等)、種子、植物細胞、栄養繁殖体、胚またはその子孫における導入遺伝子の存在を検出するための方法は、当該技術分野において周知である。一部の実施形態では、殺虫活性を試験することにより、導入遺伝子の存在を検出することができる。
毒素を発現する稔性植物を殺虫活性について試験することができ、最適活性を示す植物をさらなる繁殖のために選択することができる。殺虫活性についてアッセイするための様々な方法が当該技術分野において利用可能である。一般的に、タンパク質は混合されて摂食アッセイに使用される。例えばMarrone et al.(1985、上記)を参照されたい。
原則的に、いかなる植物種用にも、本発明による方法および組成物を開発することができる。単子葉類および双子葉類の植物種が特に適切である。農業、園芸、液体燃料分子および他の化学物質を生産するのに使用されるバイオマスの生産、並びに/または林業にとって重要なまたは関心が高い植物を用いて、プロセスが使用されることが好ましい。
従って、本発明は、広範囲の植物、好ましくは被子植物門および裸子植物門のクラスに属する高等植物にわたって、用途を有する。双子葉植物および単子葉植物のサブクラスの植物が特に適切である。双子葉植物は以下の目に属する:アリストキアレス目(Aristochiales)、キク目、バテス目、キキョウ目、フウチョウソウ目、ナデシコ目、モクマオウ目、ニシキギ目、ミズキ目、イワウメ目(Diapensales)、ビワモドキ目、マツムシソウ目、カキノキ目、ツツジ目、エウコミアレス目(Eucomiales)、トウダイグサ、マメ目、ブナ目、リンドウ目、フウロソウ、アリノトウグサ目、マンサク目、シキミ木、クルミ、シソ目、クスノキ目、サガリバナ目、レイトネリア目、モクレン目(Magniolales)、アオイ目、ヤマモモ目、フトモモ目、スイレン目、パペベラレス目(Papeverales)、コショウ目、オオバコ目、イソマツ目、カワゴケソウ目、ハナシノブ目、ヒメハギ目、タデ目、サクラソウ目、ヤマモガシ目、ラフレシア目、キンポウゲ目、クロウメモドキ目、ロサレス、アカネ目、ヤナギ目、ビャクダン目(Santales)、ムクロジ目、サラセニア科、ゴマノハグサ目、ツバキ目、ヤマグルマ目、セリ目、イラクサ目、そしてスミレ目。単子葉植物は以下の目に属する:オモダカ目、サトイモ目、ヤシ目、パイナップル目、ツユクサ目、パナマソウ目、カヤツリグサ目、ホシクサ目、トチカガミ目、イグサ目、ユリ目(Lilliales)、イバラモ目、ラン目、タコノキ目、イネ目、サンアソウ目(Restionales)、ホンゴウソウ目、ガマ目、およびショウガ目。裸子植物のクラスに属する植物はソテツ目、イチョウ目、グネツム目、およびマツ目である。
適切な種は以下の属のメンバーを含む:トロロアオイ属、モミ属、カエデ属、コヌカグサ属、ネギ属、アルストロメリア属、アナナス属、アンドログラフィス属、ウシクサ属、ヨモギ属、ダンチク属、ベラドンナ属、メギ属、フダンソウ属、ベニノキ属、アブラナ属、キンセンカ属、ツバキ属、カンプトテカ属、カンナビス属、トウガラシ属、ベニバナ属、ニチニチソウ属、イヌガヤ属、キク属、キナノキ属、キトルルス属、コーヒー属、コルキカム属、コレウス属、ククミス属、カボチャ属、ギョウギシバ属、チョウセンアサガオ属、ナデシコ属、ジギタリス属、ヤマノイモ属、アブラヤシ属、マオウ属、エリアンサス属、コカ属、ユーカリ属、ウシノケグサ属、オランダイチゴ属、ユキノハナ属、ダイズ属、ワタ属、ヒマワリ属、パラゴムノキ属、オオムギ属、ヒヨス属、ナンヨウアブラギリ属、アキノノゲシ属、アマ属、ドクムギ属、ハウチワマメ属、トマト属、ヒカゲノカズラ属、イモノキ属、ウマゴヤシ属、ハッカ属、ススキ属、バショウ属、タバコ属、イネ属、キビ属、ケシ属、パルセニウム属、ペニセタム属、ペチュニア属、クサヨシ属、アワガエリ属、マツ属、イチゴツナギ属、トウダイグサ属、ハコヤナギ属、インドジャボク属、トウゴマ属、バラ属、サトウキビ属、ヤナギ属、サングイナリア属、ロート属、ライムギ属、ナス属、モロコシ属、スパルティナ属、ホウレンソウ属(Spinacea)、ヨモギギク属、イチイ属、カカオ属、ライコムギ属(Triticosecale)、コムギ属、ウニオラ属(Uniola)、バイケイソウ属、ツルニチニチソウ属、ブドウ属、およびトウモロコシ属。
本発明の方法および組成物は、農業、園芸、バイオ燃料分子および他の化学物質を生産するためのバイオマス、並びに/または林業にとって重要なまたは関心が高い植物に使用されることが好ましい。非限定例としては、例えば、パニクム・ヴィルガトゥム(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、ソルグム・ビコロル(Sorghum bicolor)(モロコシ、スーダングラス)、ミスカントゥス・ギガンテウス(Miscanthus giganteus)(ススキ)、サッカルム・スポンタネウム(Saccharum sp.)(エナジーケーン(energycane))、ポプルス・バルサミフェラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、ズィー・メイス(Zea mays)(トウモロコシ)、グリュキネ・マクス(Glycine max)(ダイズ)、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)(アブラナ)、トゥリティクム・アエスティヴム(Triticum aestivum)(コムギ)、ゴッシュピウム・ヒルストゥム(Gossypium hirsutum)(ワタ)、オリュザ・サティヴァ(Oryza sativa)(イネ)、ヘリアントゥス・アンヌウス(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、メディカゴ・サティヴァ(Medicago sativa)(アルファルファ)、ベタ・ヴルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン)、ペンニセトゥム・グラウクム(Pennisetum glaucum)(トウジンビエ)、キビ属(Panicum spp.)、モロコシ属(Sorghum spp.)、ススキ属(Miscanthus spp.)、サトウキビ属(Saccharum spp.)、エリアンサス属(Erianthus spp.)、ポプラ属(Populus spp.)、アンドゥロポゴン・ゲラルディイ(Andropogon gerardii)(ビッグ・ブルーステム(big bluestem))、ペンニセトゥム・プルプレウム(Pennisetum purpureum)(ネピアグラス)、パラリス・アルンディナケア(Phalaris arundinacea)(クサヨシ)、キュノドン・ダクテュロン(Cynodon dactylon)(ギョウギシバ)、フェストゥカ・アルンディナケア(Festuca arundinacea)(ヒロハノウシノケグサ)、スパルティナ・ペクティナタ(Spartina pectinata)(プレーリー・コードグラス(prairie cord-grass))、アルンド・ドナクス(Arundo donax)(ダンチク)、セカレ・ケレアレ(Secale cereale)(ライムギ)、ヤナギ属(Salix spp.)(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus spp.)(ユーカリ)、ライコムギ属(Triticosecale spp.)(コムギ属-コムギ×ライコムギ)、タケ、カルタムス・ティンクトリウス(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、ヤトゥロパ・クルカス(Jatropha curcas)(ナンヨウアブラギリ属)、リキヌス・コムムニス(Ricinus communis)(トウゴマ)、エラエイス・グイネエンシス(Elaeis guineensis)(アブラヤシ)、ポエニクス・ダクテュリフェラ(Phoenix dactylifera)(ナツメヤシ)、アルコントポエニクス・クンニンガミアナ(Archontophoenix cunninghamiana)(ユスラヤシ)、シュアグルス・ロマンゾッフィアナ(Syagrus romanzoffiana)(ジョオウヤシ)、リヌム・ウシタティッシムム(Linum usitatissimum)(アマ)、ブラッシカ・ユンケア(Brassica juncea)、マニホトゥ・エスクレンタ(Manihot esculenta)(キャッサバ)、リュコペルシコン・エスクレントゥム(Lycopersicon esculentum)(トマト)、ラクトゥカ・サリヴァ(Lactuca saliva)(レタス)、ムサ・パラディシアカ(Musa paradisiaca)(バナナ)、ソラヌム・トゥベロスム(Solanum tuberosum)(ジャガイモ)、ブラッシカ・オレラケア(Brassica oleracea)(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)、カメッリア・シネンシス(Camellia sinensis)(チャノキ)、フラガリア・アナナッサ(Fragaria ananassa)(イチゴ)、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)(カカオ)、コッフェア・アラビカ(Coffea arabica)(コーヒー)、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)(ブドウ)、アナナス・コモスス(Ananas comosus)(パイナップル)、カプシクム・アンヌム(Capsicum annum)(ホット&スイートペッパー)、アッリウム・ケパ(Allium cepa)(タマネギ)、ククミス・メロ(Cucumis melo)(メロン)、ククミス・サティヴス(Cucumis sativus)(キュウリ)、ククルビタ・マクシマ(Cucurbita maxima)(カボチャ)、ククルビタ・モスカタ(Cucurbita moschata)(カボチャ)、スピナケア・オレラケア(Spinacea oleracea)(ホウレンソウ)、キトゥルッルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)(スイカ)、アベルモスクス・エスクレントゥス(Abelmoschus esculentus)(オクラ)、ソラヌム・メロンゲナ(Solanum melongena)(ナス)、パパヴェル・ソムニフェルム(Papaver somniferum)(ケシ)、パパヴェル・オリエンタレ(Papaver orientale)、タクスス・バッカタ(Taxus baccata)、タクスス・ブレヴィフォリア(Taxus brevifolia)、アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua)、カンナビス・サリヴァ(Cannabis saliva)、カムプトテカ・アクミナテ(Camptotheca acuminate)、カタラントゥス・ロセウス(Catharanthus roseus)、ヴィンカ・ロセア(Vinca rosea)、キンコナ・オッフィキナリス(Cinchona officinalis)、コイキクム・アウトゥムナレ(Coichicum autumnale)、ヴェラトゥルム・カリフォルニカ(Veratrum californica)、ディギタリス・ラナタ(Digitalis lanata)、ディギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)、ディオスコレア属(Dioscorea spp.)、アンドゥログラピス・パニクラタ(Andrographis paniculata)、アトゥロパ・ベッラドンナ(Atropa belladonna)、ダトゥラ・ストモニウム(Datura stomonium)、メギ属(Berberis spp.)、イヌガヤ属(Cephalotaxus spp.)、エペドゥラ・シニカ(Ephedra sinica)、マオウ属(Ephedra spp.)、エリュトゥロクシュルム・コカ(Erythroxylum coca)、ガラントゥス・ウォルノリイ(Galanthus wornorii)、ロート属(Scopolia spp.)、リュコポディウム・セッラトゥム(Lycopodium serratum)(トウゲシバ)、ヒカゲノカズラ属(Lycopodium spp.)、ラウウォルフィア・セルペンティナ(Rauwolfia serpentina)、インドジャボク属(Rauwolfia spp.)、サングイナリア・カナデンシス(Sanguinaria canadensis)、ヒヨス属(Hyoscyamus spp.)、カレンドゥラ・オッフィキナリス(Calendula officinalis)、クリュサンテムム・パルテニウム(Chrysanthemum parthenium)、コレウス・フォルスコフリイ(Coleus forskohlii)、タナケトゥム・パルテニウム(Tanacetum parthenium)、パルテニウム・アルゲンタトゥム(Parthenium argentatum)(グアユールゴムキ)、パラゴムノキ属(Hevea spp.)(ゴムノキ)、メンタ・スピカタ(Mentha spicata)(ミント)、メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)(ミント)、ビクサ・オレッラナ(Bixa orellana)、ユリズイセン属(Alstroemeria spp.)、バラ属(Rosa spp.)(バラ)、ディアントゥス・カリュオピュッルス(Dianthus caryophyllus)(カーネーション)、ツクバネアサガオ属(ペチュニア)、ポインセッティア・プルケッリマ(Poinsettia pulcherrima)(ポインセチア)、ニコティアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)(タバコ)、ルピヌス・アルブス(Lupinus albus)(ルピナス)、ウニオラ・パニクラタ(Uniola paniculata)(カラスムギ)、ベントグラス(コヌカグサ属(Agrostis spp.))、ポプルス・トゥレムロイデス(Populus tremuloides)(ヤマナラシ)、マツ属(Pinus spp.)(マツ)、モミ属(Abies spp.)(モミ)、カエデ属(Acer spp.)(カエデ)、ホルデウム・ヴルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)、ポア・プラテンシス(Poa pratensis)(ブルーグラス)、ドクムギ属(Lolium spp.)(ドクムギ)、プレウム・プラテンセ(Phleum pratense)(オオアワガエリ)、および球果植物が挙げられる。重要なものは、エネルギー生産のために栽培される植物(いわゆるエネルギー作物)、例えばパニクム・ヴィルガトゥム(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、ソルグム・ビコロル(Sorghum bicolor)(モロコシ、スーダングラス)、ミスカントゥス・ギガンテウス(Miscanthus giganteus)(ススキ)、サッカルム・スポンタネウム(Saccharum sp.)(エナジーケーン(energycane))、ポプルス・バルサミフェラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、アンドゥロポゴン・ゲラルディイ(Andropogon gerardii)(ビッグ・ブルーステム(big bluestem))、ペンニセトゥム・プルプレウム(Pennisetum purpureum)(ネピアグラス)、パラリス・アルンディナケア(Phalaris arundinacea)(クサヨシ)、キュノドン・ダクテュロン(Cynodon dactylon)(ギョウギシバ)、フェストゥカ・アルンディナケア(Festuca arundinacea)(ヒロハノウシノケグサ)、スパルティナ・ペクティナタ(Spartina pectinata)(プレーリー・コードグラス(prairie cord-grass))、アルンド・ドナクス(Arundo donax)(ダンチク)、セカレ・ケレアレ(Secale cereale)(ライムギ)、ヤナギ属(Salix spp.)(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus spp.)(ユーカリ)、ライコムギ属(Triticosecale spp.)(コムギ属-コムギ×ライコムギ)、およびタケ等のセルロースベースのエネルギー作物;並びにズィー・メイス(Zea mays)(トウモロコシ)およびマニホトゥ・エスクレンタ(Manihot esculenta)(キャッサバ)等のデンプンベースのエネルギー作物;並びにサッカルム・スポンタネウム(Saccharum sp.)(サトウキビ)およびベタ・ヴルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン)等のスクロースベースのエネルギー作物;並びにグリュキネ・マクス(Glycine max)(ダイズ)、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)(アブラナ)ヘリアントゥス・アンヌウス(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、カルタムス・ティンクトリウス(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、ヤトゥロパ・クルカス(Jatropha curcas)(ナンヨウアブラギリ属)、リキヌス・コムムニス(Ricinus communis)(トウゴマ)、エラエイス・グイネエンシス(Elaeis guineensis)(アフリカアブラヤシ)、エラエイス・オレイフェラ(Elaeis oleifera)(アメリカアブラヤシ)、ココス・ヌキフェラ(Cocos nucifera)(ココナツ)、カメリナ・サティヴァ(Camelina sativa)(野生のアマ)、ポンガミア・ピンナタ(Pongamia pinnata)(インド海浜木)、オレア・エウロパエア(Olea europaea)(オリーブ)、リヌム・ウシタティッシムム(Linum usitatissimum)(アマ)、クラムベ・アビュッシニカ(Crambe abyssinica)(アビシニアケール)、およびブラッシカ・ユンケア(Brassica juncea)等のバイオ燃料生産エネルギー作物である。
組換え微生物作製における本発明の分子の使用:
有害生物駆除においてまたは他の微生物の操作において、本発明による核酸もしくはポリペプチド配列またはその変異体を含む微生物菌株を殺虫性薬剤として使用するための一般的な方法は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第7,129,212号;同第7,056,888号;同第5,308,760号;および同第5,039,523号を参照されたい。
例えば、本発明の核酸配列またはその変異体を含有する微生物菌株(例えばバシラス属)、または殺虫性の遺伝子配列およびタンパク質を含有するよう遺伝的に改変された微生物を、有害生物から農業作物および農産物を保護するために使用することができる。本発明の一つの態様では、毒素(殺虫剤)産生生物の細胞全体(すなわち非溶解細胞)を、標的有害生物の環境に適用する際、細胞内で産生された毒素の活性を延長させる試薬で処理する。
あるいは、本発明による毒素コード配列を有するポリペプチドをクローン化し、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)に導入することで、該タンパク質を発現させ、細菌細胞壁内でマイクロカプセル化することができる。シュードモナス属(Pseudomonas spp.)内での細菌性毒素の産生に適した様々な技術は、当該技術分野において既知である。マイクロカプセル化された毒素は、単独で、または他の毒素を含有するバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)に基づく殺虫剤と順番で、噴霧散布に使用することができる
あるいは、毒素コード配列を細胞宿主に導入することによって、バイオ殺虫剤を生産することができる。毒素遺伝子の発現は、直接的または間接的に、バイオ殺虫剤の細胞内での産生および維持をもたらす。本発明の一つの態様では、次に、細胞が標的有害生物の環境に散布された際、細胞内で産生された毒素の活性が延長される条件下でこれらの細胞を処理する。得られる産物は毒素の毒性を保持している。次に、これらの天然にカプセル化された殺虫剤を、標的有害生物が生息する環境(例えば、土壌、水、および植物の葉)への散布のために、従来技術に従って、製剤化してもよい。例えば米国特許第4,695,462号;およびそこで引用される参考文献を参照されたい。あるいは、得られる物質を殺虫剤として散布することを可能にするように、本発明の遺伝子を発現する細胞を製剤化してもよい。
殺虫性組成物
本発明のポリペプチドは、通常、組成物の形態で散布され、処理されるべき作物地帯または植物に、同時にまたは連続的に、他の化合物および組成物と共に散布され得る。これらの化合物および組成物は、凍結保護剤、洗浄剤、休眠期間中用油剤(dormant oil)、肥料、殺虫性石けん(pesticidal soap)、高分子、界面活性剤、除草剤、および/または製剤を1回散布した後に標的地帯の長期間の薬剤供給を可能にする持続放出型もしくは生分解性担体製剤であってもよい。また、これらの化合物および組成物は、所望であれば、さらに、製剤の分野において通例使用される農業的に許容し得る担体、界面活性剤または散布促進アジュバントを一緒に含む、選択的な化学的殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺アメーバ剤、農有害生物剤、抗線虫薬、殺軟体動物剤、抗ウイルス剤、またはこれらの調製のうちのいくつかの混合物であってもよい。適切な担体およびアジュバントは、固体または液体であってよく、製剤技術において通常使用される物質(例えば天然または再生ミネラル分散剤、物質、溶媒、粘着付与剤、湿潤剤、結合剤、または肥料)に一致していてもよい。同様に、標的有害生物による殺虫性製剤の摂食または経口摂取を可能にするために、製剤を可食「餌」に調製してもよいし、有害生物「トラップ」を形成させてもよい。
一部の実施形態では、本発明の殺虫性ポリペプチドまたは本発明の殺虫性ポリペプチドのうちの少なくとも1つを含有する農業用生化学組成物を散布する方法は、葉面散布、種子粉衣および土壌施用を含む。散布の回数および散布の割合は、対応する有害生物による寄生の強度に依存する。
組成物は粉末、粉塵、ペレット、顆粒、噴霧、エマルジョン、コロイド、溶液等として製剤化してもよく、本ポリペプチドを含む細胞の培養物の遠心分離、濃縮、乾燥、抽出、濾過、均質化、または沈降等の常法により調製してもよい。少なくとも1つのそのような殺虫性ポリペプチドを含有する組成物全てにおいて、本ポリペプチドは、約1重量%〜約99重量%の濃度で存在していてもよい。
本発明の方法により、鞘翅目、双翅類、鱗翅目、または線虫有害生物を所与の地帯において死滅または減数させることができ、あるいは環境地帯に予防的に散布して、感受性の高い有害生物による寄生を予防することができる。有害生物が、殺虫有効量の本ポリペプチドを経口摂取するか、またはそれと接触することが好ましい。上記で開示されたように、「殺虫有効量」は、無処理対照群において生じるレベルと比較して、有害生物の発生レベルおよび/または有害生物の感染レベルにおける低減を達成するために必要な、殺虫剤または殺虫処理の量であることが意図される。この量は、例えば、駆除される特異的標的有害生物、処理される具体的な環境、場所、植物、作物、または農業用地、環境条件、並びに殺虫効果のあるポリペプチド組成物の散布の方法、割合、濃度、安定性、および量等の要因によって異なる。製剤は、気候条件、環境配慮、および/または散布頻度、および/または有害生物寄生の重症度によっても異なり得る。
本明細書に記載の殺虫性組成物は、微生物細胞、胞子懸濁液、細菌性結晶、または単離されたタンパク質成分を所望の農業的に許容できる担体と共に製剤化することにより、作製することができる。本組成物は、投薬前に、凍結乾燥(lyophilized)、フリーズドライ(freeze-dried)、乾燥(desiccated)等の適切な手段で、または液体担体、培地もしくは適切な希釈剤(例えば食塩水または他の緩衝液)中で、製剤化することができる。製剤化された組成物は、粉塵もしくは粒状体の形態であってもよく、油(野菜またはミネラル)、もしくは水もしくは油/水エマルジョン中の懸濁液の形態であってもよく、または水和剤としてでもよく、または農業応用に適したいかなる他の担体物質との組み合わせであってもよい。適切な農業用担体は固体または液体であり得、当該技術分野において周知である。「農業的に許容できる担体」という用語には、殺虫剤製剤技術において通常使用される全てのアジュバント、不活性成分、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、結合剤等が包含され;これらは殺虫剤製剤における当業者に周知である。本製剤を、一つまたは複数の固体または液体のアジュバントと混合し、種々の方法、例えば、従来の製剤技術を用いて本殺虫性組成物を適切なアジュバントと均一に混合(mix)、ブレンド(blend)および/または粉砕することにより、調製することができる。適切な製剤および散布法は、例えば、米国特許出願公開US20090087863A1に記載されている。
植物を、一つまたは複数の化学組成物(例えば一つまたは複数の除草剤、殺虫剤、または殺真菌剤)を含む、本発明の組成物で処置することもできる。代表的な化学組成物としては、除草剤(S-)メトラクロール、アラクロール、アミドスルフロン、アトラジン、アジムスルフロン、ベフルブタミド、ベンスルフロン、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ビスピリバック、ブロマシル、ブロモキシニル、ブタクロール、ブタフェナシル、カルフェントラゾン、クロリダゾン、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、クレトジム、クロジナホップ、クロピラリド、クロランスラム-メチル、シクロキシジム、シハロホップ、ダイムロン、デスメジファム、ジクロホップ、ジフルフェニカン、ジウロン、エトフメセート、エトキシスルフロン、フェノキサプロップ、フェントラザミド、フロラスラム、フルアジホップ、フルアジホップ-ブチル、フルカルバゾン、フルフェナセット、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルロキシピル、フルピルス、ホメサフェン、グルホシネート、グリホサート、ハロスルフロン、ハロスゴーワン、イマザモックス、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、インダジフラム(Indaziflam)、ヨードスルフロン、アイオキシニル、イソプロツロン、レナシル、リニュロン、メフェナセット、メソスルフロン、メソトリオン、メタミトロン、メタザクロル(Metazachlor)、メトリブジン、メトスルフロン、MSMA、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、オキシデメトン‐メチル(Oxidemethon-methyl)、オキシフルオルフェン、パラコート、ペンディメタリン、ペノクスラム、フェンメディファム、フェノキシエス(Phenoxies)、ピコリナフェン、ピノキサデン、ピリミカルブ、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロメトリン、プロパニル、プロポキシカルバゾン、プロピザミド、ピラスルホトール、ピラゾスルフロン、ピリブチカルブ、ピリフタリド、ピリミスルファン、ピリチオバック-ナトリウム、ピロキサスルホン(Pyroxasulfon)、ピロキスラム(Pyroxsulam)、キンクロラック、キンメラック、キザロホップ、リムスルフロン、サフルフェナシル、セトキシジム、シマジン、スルコトリオン、スルホスルフロン、テフリルトリオン、テムボトリオン、テプラロキシジム、チアクロプリド、チアメトキサム、チジアズロン、チエンカルバゾン、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、トプラメゾン、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルラリン、トリフルラリンエタメトスルフロン、トリフルスルフロン、殺虫剤:(S-)、ジメテナミド(S-)メトラクロール、4-[[(6-クロルピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオレチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、アバメクチン、アセフェート、アセキノシル、アセタミプリド、アセトクロール、アラクロール、アルジカルブ、α-シペルメトリン、アベルメクチン、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuriengiensis)、ベンフラカルブ、βシフルトリン、ビフェナゼート、ビフェントリン、ブロモキシニル、ブプロフェジン、カズサホス(Cadusaphos)、カルバリル、カルボフラン、カルタップ、クロルピリホス、クロルピリホス、クロマフェノジド、クロピラリド、クロルフィリホス(Clorphyriphos)、クロチアニジン、シアノピラフェン(Cyanopyrafen)、シアキシピル(Cyaxypyr)、シアジピル(Cyazypyr)、シフルメトフェン、シフルトリン/βシフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、ダイアジノン、ジカンバ、ジメトエート、ジネトフラン(Dinetofuran)、ジノテフラン、エマメクチン安息香酸塩、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトフェンプロックス、フェナミホス、酸化フェンブタスズ、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フィプロニル、フロニカミド、フルアクリピリム、フルベンジアミド、フルフェナセット、ホラムスルフロン、ホルチアザート(Forthiazate)、γおよびλシハロトリン、γシハロトリン、γ/λシハロトリン、γシハロトリン、グルホシネート、グリホサート、ヘキスチアゾキス(Hexthiazox)、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソプロカルブ、イソキサフルトール、λ-シハロトリン、λシハルトリン、ルフェヌロン、マラチオン、メソトリオン、メタフルミゾン、メトアミドホス(Metamidophos)、メタミドホス、メチオカルブ、メソミル、メトキシフェノジドモノクロトホス、ノバルロン、有機リン、パラチオン、プロフェノホス(Profenophos)、ピレスロイド、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リナキシピル、スピノジクロフェン(Spinodiclofen)、スピノサド、スピノテラム(Spinoteram)、スピノトラム(Spinotoram)、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、スルホキサフロル(Sulfoxaflor)、τフルバレリアート(tau-Fluvaleriate)、テブピリムホス、テフルトリン、テルブホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオカルブ(Thiocarb)、チオジカルブ、トリアゾホス(Thriazophos)、トルフェンピラド、トリアゾホス、トリフルモロン(Triflumoron);殺菌剤:アゾキシストロビン、ボスカリド、カルベンダジム、カルプロパミド、クロロタロニル、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル(Cymoxanil)、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロシメット、ジモキシストロビン、EBDC、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エトリジアゾールフェンアミドン、ヘキサミド、フェニトロパン(Fenitropan)、フェノキサニル、フェンプロピモルフ、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオキサストロビン、フルトリアフォル、ホセチル、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、クレソキシムメチル、メタラキシル、メタラキシル/メフェノキサム、オキスポコナゾールフマル酸、ペンシクロン、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、シメコナゾール、硫黄、テブコナゾール、テトラコナゾール、チオファネートメチル、チラム、チアジニル、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、ビンクロゾリン、ゾキサミドが挙げられる。
本発明の殺虫性組成物は、一つまたは複数の農業的に重要な有害生物の駆除に使用することができ、有害生物としては、例えば、限定はされないが、細菌、真菌、昆虫、ダニ、線虫、マダニ等が挙げられる。昆虫の有害生物としては、シラミ目、鞘翅目、革翅目、双翅目、半翅目、同翅目、膜翅目、等翅目、鱗翅目、ハジラミ目、直翅目(Orthroptera)、ノミ目、総翅目、毛翅目等、特に鞘翅目、双翅目、および鱗翅目から選択される昆虫が挙げられる。
特に重要な線虫の有害生物としては、ネコブ、シスト、およびネグサレ線虫等の寄生線虫、例えばヘテロデラ属(Heterodera spp)、グロボデラ属(Globodera spp.)、およびメロイドギュネ属(Meloidogyne spp.);特にシスト線虫のメンバー、例えば、限定はされないが、ヘテロデラ・アヴェナエ(Heterodera avenae)(ムギシストセンチュウ);ヘテロデラ・グリュキネス(Heterodera glycines)(ダイズシスト線虫);ヘテロデラ・スカクティイ(Heterodera schachtii)(テンサイシスト線虫);およびグロボデラ・パイリダ(Globodera pailida)およびグロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)(ジャガイモシスト線虫)が挙げられる。ネグサレ線虫としてはプラテュレンクス属(Pratylenchus spp.)が挙げられる。
本発明の殺虫性組成物は、主要作物の害虫駆除に使用されることが好ましく、害虫としては、例えば、限定はされないが、チューリップサビダニ(Aceria tulipae)、ウィートカールマイト(wheat curl mite);アクロステルヌム・ヒラレ(Acrosternum hilare)、グリーンスティンクバグ(green stink bug);アグロミュザ・パルヴィコルニス(Agromyza parvicornis)、コーンブロットリーフマイナー(corn blot leafminer);アグロティス・イプシロン(Agrotis ipsilon)、タマナヤガ(black cutworm);アグロティス・オルトゴニア(Agrotis orthogonia)、ウエスタンカットワーム(western cutworm);アナポトゥリプス・オプスクルルス(Anaphothrips obscrurus)、グラススリップス(grass thrips);アントノムス・グランディス(Anthonomus grandis)、ワタノハナゾウムシ(boll weevil);アンティカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar);アヌラピス・マイディラディキス(Anuraphis maidiradicis)、コーンルートアフィド(corn root aphid);アピス・ゴッシュピイ(Aphis gossypii)、ワタアブラムシ(cotton aphid);ブリッスス・レウコプテルス・レウコプテルス(Blissus leucopterus leucopterus)、ナガカメムシ(chinch bug);ボテュルス・ギッボスス(Bothyrus gibbosus)、キャロットビートル(carrot beetle);ブレヴィコリュネ・ブラッシカエ(Brevicoryne brassicae)、ダイコンアブラムシ(cabbage aphid);ケプス・キンクトゥス(Cephus cinctus)、ウィートステムソーフライ(wheat stem sawfly);カエトクネマ・プリカリア(Chaetocnema pulicaria)、トウモロコシトビハムシ(corn flea beetle);キロ・パルテッルス(Chilo partellus)、ソルガムボーラー(sorghum borer);コラスピス・ブルンネア(Colaspis brunnea)、グレープコラスピス(grape colaspis);コンタリニア・ソルギコラ(Contarinia sorghicola)、ソルガムミッジ(sorghum midge);トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid);キュクロケパラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis)、ノーザンマスクチェイファ(northern masked chafer)(ネキリムシ);キュクロケパラ・イムマクラタ(Cyclocephala immaculata)、サザンマスクドチェイファ(southern masked chafer)(ネキリムシ);デリア・プラトゥラ(Delia platura)、シードコーンマゴット(seedcorn maggot);デリア属(Delia ssp.)、ルートマゴット(Root maggots);ディアブロティカ・ロンギコルニス・バルベリ(Diabrotica longicornis barberi)、ノーザンコーンルートワーム(northern corn rootworm);ディアブロティカ・ウンデキムプンクタタ・ホワルディ(Diabrotica undecimpunctata howardi)、サザンコーンルートワーム(southern corn rootworm);ディアブロティカ・ヴィルギフェラ(Diabrotica virgifera)、ウエスタンコーンルートワーム(western corn rootworm);ディアトゥラエア・グランディオセッラ(Diatraea grandiosella)、南西部アワノメイガ(southwestern corn borer);ディアトゥラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、シュガーケーンボーラー(sugarcane borer);ディアトゥラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、シュガーケーンボーラー(sugarcane borer);エラスモパルプス・リグノセッルス(Elasmopalpus lignosellus)、レッサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer);エレオデス(Eleodes)、コノデルス(Conoderus)、およびアエオルス(Aeolus)属、ワイアワーム(wireworms);エムポアスカ・ファバエ(Empoasca fabae)、ポテトリーフホッパー(potato leafhopper);エピラクナ・ヴァリヴェスティス(Epilachna varivestis)、インゲンテントウ(Mexican bean beetle);エウスキストゥス・セルヴス(Euschistus servus)、ブラウンスティンクバグ(brown stink bug);フェルティア・スプテッラネア(Feltia subterranea)、グラニュレートカットワーム(granulate cutworm);フランクリンキエッラ・フスカ(Franklinkiella fusca)、タバコスリップス(tobacco thrips);ヘリコヴェルパ・ゼア(Helicoverpa zea)、コーンアースワーム(corn earworm);ヘリコヴェルパ・ゼア(Helicoverpa zea)、コットンボールワーム(cotton bollworm);ヘリオティス・ヴィレスケンス(Heliothis virescens)、コットンバッドワーム(cotton budworm);ホモエオソマ・エレクテッルム(Homoeosoma electellum)、サンフラワーモス(sunflower moth);ヒュレミュア・コアルクタテ(Hylemya coarctate)、ウィートバルブフライ(wheat bulb fly);ヒュレミュア・プラトゥラ(Hylemya platura)、シードコーンマゴット(seedcorn maggot);ヒュペラ・プンクタタ(Hypera punctata)、クローバーリーフウィービル(clover leaf weevil);リッソロプトゥルス・オリュゾピルス(Lissorhoptrus oryzophilus)、イネミズゾウムシ(rice water weevil);リュグス・リネオラリス(Lygus lineolaris)、ミドリメクラガメ(tarnished plant bug);マクロシプム・アヴェナエ(Macrosiphum avenae)、イングリッシュグレインアフィド(English grain aphid);マメストゥラ・コンフィグラタ(Mamestra configurata)、バーサアーミーワーム(Bertha armyworm);マイェティオラ・デストゥルクトル(Mayetiola destructor)、コムギタマバエ(Hessian fly);メラノプルス・ディッフェレンティアリス(Melanoplus differentialis)、ディファレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper);メラノプルス・フェムッルブルム(Melanoplus femurrubrum)、アカアシバッタ(redlegged grasshopper);メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)、マイグラトリグラスホッパー(migratory grasshopper);メラノトゥス属(Melanotus spp.)、ワイアーワーム(wireworms);メロミュザ・アメリカナ(Meromyza americana)、ウィートステムマゴット(wheat stem maggot);ミュズス・ペルシカエ(Myzus persicae)、モモアカアブラムシ(green peach aphid);ネオラシオプテラ・ムルトゥフェルドゥティアナ(Neolasioptera murtfeldtiana)、サンフラワーシードミッジ(sunflower seed midge);ネポテッティクス・ニグロピクトゥス(Nephotettix nigropictus)、ライスリーフホッパー(rice leafhopper);オストゥリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、アワノメイガ(European corn borer);オウレマ・メラノプス(Oulema melanopus)、キアシクビボソハムシ(cereal leaf beetle);ペクティノポラ・ゴッシュピエッラ(Pectinophora gossypiella)、ワタアカミムシガ幼虫(pink bollworm);ペトゥロビア・ラテンス(Petrobia latens)、ブラウンウィートマイト(brown wheat mite);ピュッロパガ・クリニタ(Phyllophaga crinita)、ネキリムシ(white grub);ピュッロトゥレタ・クルキフェラエ(Phyllotreta cruciferae)、トビハムシ(Flea beetle);プラテュペナ・スカプス(Plathypena scabs)、グリーンクローバーワーム(green cloverworm);プルテッラ・クシュロステッラ(Plutella xylostella)、コナガ(Diamond-back moth);ポピッリア・ヤポニカ(Popillia japonica)、マメコガネ(Japanese beetle);プセウダレティア・ウニプンクタタ(Pseudaletia unipunctata)、ヨトウムシ(army worm);プセウダトモスケリス・セリアトゥス(Pseudatomoscelis seriatus)、コットンフリーホッパー(cotton fleahopper);プセウドプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、ソイビーンルーパー(soybean looper);ロパロシプム・マイディス(Rhopalosiphum maidis);トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid);ロシアコムギアブラムシ(Russian wheat aphid);スキザピス・グラミヌム(Schizaphis graminum)、ムギミドリアブラムシ(greenbug);セリコトゥリプス・ヴァリアビリス(Sericothrips variabilis)、ソイビーンスリップス(soybean thrips);シパ・フラヴァ(Sipha flava)、イエローシュガーケーンアフィド(yellow sugarcane aphid);シトディプロシス・モセッラナ(Sitodiplosis mosellana)、ウィートミッジ(wheat midge);シトピルス・オリュザエ(Sitophilus oryzae)、穀象虫(rice weevil);ソレノプシス・ミレスタ(Solenopsis milesta)、盗賊アリ(thief ant);スペノポルス・マイディス(Sphenophorus maidis)、メイズビルバグ(maize billbug);スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)、シロイチモンジョトウガの幼虫(beet armyworm);スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、ツマジロクサヨトウ(fall armyworm);スレイマ・ヘリアンタナ(Suleima helianthana)、サンフラワーバッドモス(sunflower bud moth);テトゥラニュクス・キンナバリヌス(Tetranychus cinnabarinus)、カーマインスパイダーマイト(carmine spider mite);テトゥラニュクス・トゥルケスタニ(Tetranychus turkestani)、ストロベリースパイダーマイト(strawberry spider mite);テトゥラニュクス・ウルティカエ(Tetranychus urticae)、ナミハダニ(twospotted spider mite);トゥリプス・タバキ(Thrips tabaci)、オニオンスリップス(onion thrips);トゥリアレウロデス・アブティロネア(Trialeurodes abutilonea)、バンデッドウィングドホワイトフライ(bandedwinged whitefly);ズュゴグラムマ・エクスクラマティオニス(Zygogramma exclamationis)、サンフラワービートル(sunflower beetle)が挙げられる。
本開示の全体を通じて、様々な情報源が参照され、参照によって組み込まれる。情報源には、例えば、科学誌論文、特許文献、教科書、およびワールドワイドウェブブラウザ−非活動ページアドレスが含まれる。そのような情報源の参照は、単に、出願時における当該分野の一般的状態を表明する目的のためである。本発明の実施形態を作製および使用するために、各情報源の内容および教示が当業者により頼りにされ使用され得るが、特定の情報源におけるいかなる考察および所見も、決して、そのような所見が当該分野で一般的見解として広く受け入れられたことの承認と見なされるべきではない。
本明細書で与えられる一般的方法に関する考察は、説明のみを目的とすることが意図される。他の代替法および実施形態は、本開示を検討すれば当業者には明らかであり、本願の精神および範囲内に含まれるべきである。
以下の実施例が、本発明を限定するためではなく、例示するために提供されることも理解されるべきである。
実施例1:微生物の単離
第一単離:微生物試料を米国内のいくつかの試料採取場所から採取した。各試料採取場所における混合微生物試料を、個々の根圏試料から作製した。個々の試料から2グラムの根圏土壌を採取し、50mLファルコンチューブ中で混合することにより、混合試料を作製した。混合後に土壌をホモジナイズした。
続いて混合微生物試料を、発色基質および阻害性成分を含有するR&F(登録商標)色素生産性平板培地上で試料を生育して他の細菌、酵母およびカビの増殖を阻害することを含む、Bt富化法に用いた。この平板培地を、混合試料(カタログ番号M−0400、R&Fプロダクト社)からセレウス菌(Bacillus cereus)細胞およびバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)細胞を同時に同定するために、従来の通りに用いた。この高度に選択的な培地は、典型的に、セレウス菌(B. cereus)およびバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)分離菌株のみを青色コロニーとして同定するのに役立ち得るが、一方で、他のバシラス属は白色コロニーを形成するかまたは増殖しない。青色コロニー、すなわちセレウス菌(B. cereus)およびバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)を、個々にピックアップして150μL/ウェルの2YT培地を含む96ウェル細胞培養プレートに播種し、30℃で一晩インキュベートした。これらの分離菌株プレートをピンツールで移送して、2つの新しい96ウェルプレート(レプリケート)を作製し、20%グリセロールを用い−80℃で保存した。
第二単離:1グラムの混合土壌を、0.25M酢酸ナトリウムを添加した10mLのLB培地中に播いて、振盪しながら30℃で4時間インキュベートした。次に、インキュベートしたこれらを、連続希釈するか、またはR&F(登録商標)色素生産性平板培地上に直接播種し、その後30℃で24時間インキュベートした。青色コロニー、すなわちセレウス菌(B. cereus)およびバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)を選択し、インキュベートし、上記の通りに保存した。
Bt富化分離菌株を含む最初の96ウェルプレートを、分離菌株の同一性を確認するために16S rRNA配列決定にかけた。下記で詳細に説明されているように、富化および単離の方法の妥当性を確認し、回収された分離菌株がバシラス属であることを確認するために、この最初の16S配列決定を行った。
バクテリア細胞の溶解および16S rRNA配列情報の入手
細胞懸濁液の20μl分量を、20μlの2×溶解緩衝液(100mM トリスHCL(pH8.0)、2mM EDTA(pH8.0)、1%SDS、400μg/ml プロテイナーゼK)を含む96ウェルPCRプレートに移した。溶解条件は以下の通りであった:55℃で30分間、94℃で4分間。一定分量の溶解産物をPCR増幅用の鋳型DNA源として使用した。16S rRNA配列を、M13−27F(SEQ ID NO:207)および1492R M13付加(M13-tailed)(SEQ ID NO:208)プライマーを用いるPCRで増幅した。
16S rRNA領域の増幅のために、4μlの細菌溶解反応液、2μMの各プライマー(27Fまたは1492R)、6%トウィーン−20、および10μlの2×ImmoMix(バイオラインUSA社(Bioline USA Inc)、マサチューセッツ州トーントン)を含有する最終体積20μlの反応液中で各PCR混合物を調製した。PCR条件は以下の通りであった:94℃で10分間;94℃で30秒間、52℃で30秒間、72℃で75秒間を30サイクル;72℃で10分間。2μl分量のPCR産物を1.0%アガロースゲルで泳動して、予想サイズのシングルバンドを確認した。陽性バンドを精製しPCR配列決定にかけた。カリフォルニア州サンディエゴのJ・クレイグ・ヴェンター研究所において、454種の技術を用い、フォワードおよびリバース伸長方向に配列決定を行った。
DDBJ/GenBank/EMBLデータベースを利用して、決定されたヌクレオチド配列についての相同性検索を行った。GenomeQuest(商標)ソフトウェア(ジーン−IT社(Gene-IT)、米国マサチューセッツ州ウースター)を用いて、配列の同一性および類似性も決定した。配列解析の結果により、92種のBt富化分離菌株のうち91種の分離菌株が、予め同定したセレウス菌(B. cereus)および/またはバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)菌株の16S rRNA遺伝子に対して少なくとも98%の配列同一性を共有している16S rRNA遺伝子を有していることが明らかになった。これらの結果により、R&F(登録商標)色素生産性平板培地上での選択ステップから、意図されたバシラス属細胞集団が回収されたことが確認された。R&F(登録商標)色素生産性平板培地上で増殖した青色コロニーの大多数が確かにセレウス菌(B. cereus)および/またはバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)であった観察結果に基づいて、16S配列決定ステップは、セレウス菌(B. cereus)および/またはバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)分離菌株のその後の選択における最適なステップを成し得る。
系統学的な再構築が必要な場合はいつでも、ヌクレオチド配列をBioedit(ワールドワイドウェブ上のwww.mbio.ncsu.edu/bioedit/bioedit.htmlにある)において整列させ、その後手動で調整する。系統樹を、最大尤度、HKY置換モデルおよび初期設定を用いて、PHYML(ワールドワイドウェブ上のpbil.univ-lyon1.fr/software/phyml_multi/にある)で構築した。分岐支持をブートストラップ法(100反復)で得た。
実施例2:分離菌株の混合群からの染色体外DNAの精製
細菌細胞溶解用の改良された方法を開発し、以下の通りに最適化した。
Bt富化分離菌株の一部を選択して、細胞溶解および染色体外DNA抽出法の効率を確認した。基本的にはいくつか変更を加えたAndrup et al. (Plasmid 59:139-143, 2008)に記載の手順に従って、Bt富化分離菌株からの染色体外DNAの調製を行った。各単離において、50μLの前培養液を含む7mLの2×YT培養液を播種し、次に回転式振盪培養機(200rpm)上で一晩(12〜16時間)、30℃でインキュベートした。細胞を4℃、30分間の3250×gでペレット化し、100μLの抽出緩衝液(15%[wt/vol]スクロース、40mM トリス、2mM EDTA、pH7.9)中で、細胞懸濁液を上下に数分間穏やかにピペッティングすることにより再懸濁した。200μLの溶解液(3%[wt/vol]SDS、50mM トリス、pH12.5)を加えて細胞を溶解した。ライセートを60℃で30分間加熱した後、20μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、Finnzymes、サーモサイエンティフィック社)を加えた。その溶液を数回反転させて混合し、37℃で60分間インキュベートした。1ミリリットルのフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1)を添加し、その溶液を数回反転させた。8000×gで7分間遠心分離した後、各抽出物は典型的には約250μLの水層を上側にもたらした。その水層を新しいチューブに移した。その水溶液の10μL分量を電気泳動にかけて、染色体外DNAおよびもしあれば混入ゲノムDNAの量を概算した。後のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)ステップに一般的に干渉し得る混入RNAを、1μL(10mg/mL)のRNase(フェルメンタス社(Fermentas))を添加することにより除去した。パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を使用して高分子量核酸を分離した。DNA抽出ステップで得た水溶液のおよそ40μLを、20μLの溶解アガロースと混合し、その後1%アガロースゲルの各ウェルに充填した。ゲルを0.96×TAE緩衝液中で16時間泳動した。ゲル条件は以下の通りであった:最初のスイッチ時間は5秒;最後のスイッチ時間は20秒;泳動中6ボルト/cm、120度角、300〜350mA。標準はEpigene Bac tracker、Lambda midrange、およびLamba ladder(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England Biolabs))であった。ゲルを後にエチジウムブロマイド(1μg/mL)で染色し、UV照明下で可視化した。可視化により、分離菌株が染色体外DNAを含んでおり、その多くが100kb超のサイズを有していることが確認された。
QIAGEN(登録商標)試薬を用いた染色体外DNAの調製
染色体外DNAからゲノムDNAを除去する目的で、QIAGENのlarge construct kitを使用して、Bt分離菌株から染色体外DNAを抽出した。2つのアプローチを試みた;(1)製造業者に推奨される通りのQIAGEN(登録商標)プロトコルに従った:(2)グラム陽性バシラス属細胞の溶解を促進するよう改変された細胞溶解法を開発した(元のQIAGEN(登録商標)プロトコルはグラム陰性細菌である大腸菌用に開発されているため)。
プロトコル1:QIAGEN(登録商標)プロトコルに推奨通りに従った。インキュベーションステップ(QIAGEN(登録商標)プロトコルのステップ5)は、室温で5分間、次に氷上で1.5時間、その後中和ステップであった。
プロトコル2:バシラス属細胞の溶解がより厳密となるよう、QIAGEN(登録商標)プロトコルのステップ5を改変した。これは、250μg/mLプロテアーゼKの添加と共に、水浴中60℃で30分間のインキュベーション、および37℃で60分間のインキュベーションを含んだ。
200のBt富化分離菌株を、各々5mLのMiller社製LB中で、それぞれ、回転式振盪培養機(200rpm)上、30℃で16時間、増殖させた。インキュベーション後、各培養物を合わせて1Lの混合培養物を作製した。500mLのこの混合培養物を、QIAGEN(登録商標)large constructプロトコルに従ってペレットにし、懸濁した。推奨されるQIAGEN(登録商標)ステップ5の代わりに、バシラス属細胞用に改変した溶解法を使用した。残りのステップは製造業者に推奨される通りに従った。
抽出後、2回目のエタノール沈殿ステップ(QIAGEN(登録商標)ステップ19)から得られた最終的なペレットを、500μLのTE緩衝液(pH8.5)中に懸濁し、Qubit(登録商標)蛍光光度計(インビトロジェン社)による蛍光定量にかけた。10μLの各抽出物を1.0%アガロースゲル上で泳動した。ゲルの結果を視覚的に評価することにより、改良された方法(すなわちプロトコル2)を用いて抽出された染色体外DNAが、0.5〜30Kbのサイズにわたる細分化DNAとしてゲル上に存在することが明らかとなった。対照的に、製造業者の推奨(すなわちプロトコル1)に厳密に従って行われた対照抽出物では、DNAは得られなかった。
実施例3:メタゲノム配列データセットの構築:ハイスループット配列決定、配列のアセンブリおよび注釈づけ
国際公開第WO2010115156A2号に記載される方法を使用して、200のバシラス属分離菌株から精製された染色体外核酸のプールをショットガン配列決定にかけ、アセンブリし、注釈づけした。鋳型DNAを、製造業者が推奨する条件に従うIllumina Genome Analyzer IIx(GAIIx)プラットフォームの単一レーンにかけた。およそ2Gbpの75bpペアードエンドリード(paired-end reads)を生成した。インサートの平均的サイズは約200bpであった。次に、初期パラメータを使用するCLC Genomics Workbench de-novoアセンブラ(CLC Bio社)を用いて配列アセンブリを行った。18.3Mbpの全長および702bpのN50値を有する合計28,098のコンティグがアセンブリされた。
並列配列決定実験において、鋳型DNAをIllumina HiSeq(商標)2000配列決定系の単一レーンにもかけて、200bpの平均インサートサイズを有するおよそ15Gbpの75bpペアードエンドリードを生成した。次に、初期パラメータを使用するCLC Genomics Workbench de-novoアセンブラ(CLC Bio社)を用いて配列アセンブリを行った。35.9Mbpの全長および873bpのN50値を有する合計47,551のコンティグがアセンブリされた。
HiSeqがデータはより大きなカバレッジを与え、より完全な長さの配列を生成することで、配列データの質は2つのデータセット間で有意に向上した。
およそ35Mbpの残りのコンティグ、すなわちBt毒素データベースと有意な配列類似性を示さず、おそらくは染色体外DNA含有物の他の部分であるアセンブリされたコンティグも、下記の通りに原核生物注釈パイプラインにかけた。
Liu et al. [Bioinformatics, Mar 1;24(5):597-605, 2008]により以前に記載された通りのEviganコンセンサス遺伝子予測法を用い、複数のソースから得られた証拠を組み合わせるアプローチを用いて、アセンブリされたコンティグからコード遺伝子配列を予測した。6つ全てのフレーム上に存在する終止コドンに基づいてメタゲノム配列リード上の全ての候補ORFを最初に予測し、部分ORFを含ませるためのランオンを可能にした。次に、NCBI非冗長タンパク質データベースに対するBlastp検索並びにPfam(Finn et al., Nucleic Acids Res. 2008)およびSuperfamily(例えば、Inskeep et al., PLoS, 2010参照)ドメインデータベースに対するFastHMM(microbesonline.org/fasthmm/)検索を用いて、候補ORF翻訳物を注釈づけした。3種の原核生物遺伝子解析ツール:Glimmer [Delcher et al., Bioinformatics, Mar 15;23(6):673-9, 2007]、Prodigal (compbio.ornl.gov/prodigal/)、およびMetagene [Brunet et al., Proc Natl Acad Sci USA, Mar 23;101(12):4164-9, 2004]を用いて、de novo ORF予測も行った。次に、blast/FastHMM検索およびde novo遺伝子ファインダ(de novo gene finder)から得られた証拠を、Eviganを用いて、監視無しで組み合わせた。Eviganによって予測された開始部位は必ずしも開始コドンと一致しないため、予測されたORFを上流に向かって同コーディングフレーム内の最も近い開始コドンまで伸長させた。まずコンティグをGC含量に基づいて結合し、次に各10,000のコンティグ入れ(bin)を別々にEviganにかけることにより、コンセンサス遺伝子予測を行った。
実施例4:新規毒素遺伝子を迅速に同定するためのメタゲノム配列データセットの使用
次に、実施例3に記載のアセンブリおよび注釈づけプロセスから得られたコンティグを、BLASTXアルゴリズムを用いて既知の内毒素から成るデータベースに対して配列比較することにより、新規内毒素をコードするポリヌクレオチド配列の存在について試験した。アセンブリおよび注釈づけされた配列の解析により、Cry、VIPおよびCyt遺伝子を含む、Bt毒素の多くの主要なクラスに属するいくつかの遺伝子が同定された。合計で47の完全長新規毒素遺伝子および56の部分新規毒素遺伝子が、以前に発見されていた多くの毒素遺伝子と共に同定された。
(表1) 本発明の方法により同定された生体毒素コード配列
それぞれのアミノ酸配列について、GenomeQuest(商標)ソフトウェアを初期設定で用いて配列同一性を決定した。各ポリペプチドの例示的な機能相同体を記載する。それぞれの配列の他の既知の相同体も添付の配列表に記載する。
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実施例5:合成毒素遺伝子の構築
いくつかの実験において、合成毒素配列を作製する。これらの合成配列は、親毒素配列と比較して変化したDNA配列を有する場合があり、対応する親毒素タンパク質と同一線上にある(collinear)が、所望により多くのδ内毒素タンパク質内に存在するC末端「結晶ドメイン」を欠くタンパク質をコードしている場合がある。
いくつかの他の実験において、得られるペプチドが小胞体またはアポプラスト等の植物細胞小器官に標的化されるように、合成遺伝子の改変型を設計する。植物細胞小器官に対する融合タンパク質のターゲティングをもたらすことが知られているペプチド配列は、当該技術分野において既知である。例えば、シロバナルーピン(Lupinus albus)由来の酸性ホスファターゼ遺伝子のN末端領域(Miller et al., Plant Physiology 127: 594-606, 2001)が、異種タンパク質の小胞体ターゲティングをもたらすことが知られている。得られた融合タンパク質がC末端にN末端−リジン−アスパラギン酸−グルタミン酸−ロイシン(すなわち「KDEL」モチーフ)ペプチドを含む小胞体保留配列も含有する場合、その融合タンパク質は小胞体にターゲティングされ得る。融合タンパク質がC末端に小胞体ターゲティング配列を欠く場合、そのタンパク質は小胞体にターゲティングされ得るが、最終的にはアポプラスト内に隔離され得る。
実施例6:バシラス属細胞およびシュードモナス属細胞内での発現
いくつかの実験において、本明細書に記載の配列を有する生体毒素を合成し、既知のクローニング方法を用いて、バシラス属またはシュードモナス属に適したベクター内にクローン化する。形質転換に関して、バシラス属またはシュードモナス属培養物を、当該技術分野において既知の形質転換法に従って適切に準備する。毒素遺伝子を有するベクターを含有する、得られたバシラス属またはシュードモナス属組換え菌株を、CYS培地(10g/l Bacto−casitone;3g/l 酵母抽出物;6g/l KHPO;14g/l KHPO;0.5mM MgSO;0.05mM MnCl;0.05mM FeSO)等の従来の増殖培地上で、顕微鏡検査により芽胞形成が明らかとなるまでそれぞれ培養する。試料を調製し、バイオアッセイにおいて活性を試験する。
実施例7:機能に関するインビトロバイオアッセイ
本出願で開示される毒素または予測毒素ドメインをコードするDNA分子を、選択可能な抗生物質抵抗性マーカーを含有する適切な大腸菌発現ベクターに別々にクローン化し、それぞれのプラスミドを含む大腸菌コンピテント細胞の形質転換を行う。各コンストラクトについて、単一コロニーを抗生物質を添加したLB培地に播種し、37℃で一晩増殖させる。次の日、一晩培養したものの1%を新鮮な培地に播種し、37℃で対数増殖期まで増殖させる。各細胞ペレットを、プロテアーゼ阻害剤を含有するトリス緩衝液(20mM トリス−Cl緩衝液、pH7.4、200mM NaC1、1mM DTT)中に懸濁し、超音波処理する。毒素タンパク質の発現をSDS−PAGE解析で確認する。次に毒素タンパク質を当該技術分野において既知の技術により精製する(例えば、上記SambrookおよびRussell, 2001参照)。精製したタンパク質を、適切な対照と共に、昆虫アッセイで試験する。プレートの5日目の読み取り値は、毒素タンパク質がコナガおよび南西部アワノメイガ有害生物に対して殺虫活性を有することを示している。
実施例8:追加の殺虫活性アッセイ
有害生物に対して殺虫剤として作用する殺虫性タンパク質の能力は多くの場合いくつかの方法において評価される。当該技術分野において周知の1つの方法は、摂食アッセイを行うことである。そのような摂食アッセイでは、有害生物は試験対象の毒素/化合物を含有する試料または対照試料に暴露される。多くの場合、これは、試験対象の物質または係る物質の適切な希釈物を、人工飼料等の有害生物が経口摂取する物質上に配置することにより行われる。試験対象の物質は液体、固体、またはスラリーから成り得る。試験対象の物質を表面上に配置した後に乾燥せてもよい。あるいは、試験対象の物質を溶けた人工飼料と混合した後にアッセイチャンバ中に分配してもよい。アッセイチャンバは、例えば、カップ、ディッシュ、またはマイクロタイタープレートのウェルであってよい。
吸汁性有害生物(例えばアブラムシ)に対するアッセイは、試験物質を仕切り壁、理想的には吸汁性昆虫の吸汁口器により貫通され得る部分、で昆虫から隔離して試験物質を経口摂取させることを含み得る。多くの場合、試験化合物の経口摂取を促進するために、試験物質はスクロース等の摂食刺激物質と混合される。
他のタイプのアッセイには、有害生物の口または腸への試験物質のマイクロインジェクション、並びに遺伝子導入植物を開発した後の、遺伝子導入植物を摂食する有害生物の能力の試験が含まれ得る。植物試験には、通常消費される植物部分の隔離、例えば、葉に付着した小ケージ、または昆虫を含むケージにおける植物全体の隔離が含まれ得る。有害生物を評価するための他の方法およびアプローチは当該技術分野において既知であり、例えばRobertsonおよびPreisler(Pesticide Bioassays with Arthropods, CRC Press, Science, 1992)において見出すことができる。
実施例9:植物、植物の細胞および組織の形質転換
ベクター構築: 本発明の遺伝子の各コード領域を植物内発現用の適切なプロモーターおよび転写終結配列に独立に連結させる。そのような配列は当該技術分野において周知であり、ウイルス性CaMV35Sプロモーター、単子葉類内発現用のイネのアクチンプロモーターまたはトウモロコシのユビキチンプロモーター、双子葉類内発現用のアラビドプシス属のUBQ3プロモーター、およびNOSまたはOCSターミネーターが含まれ得る。プロモーター−遺伝子−ターミネーターコンストラクトを作製し確認する技術も当該技術分野において周知である。以下の例は限定のためではなく説明のために記載される。
形質転換植物内での新規生体毒素タンパク質の産生
上記の完全長または切断型の生体毒素タンパク質を含む発現カセットを、CaMV35Sプロモーター(HowellおよびHull、Virology 1978)およびユビキチンプロモーター(Christensen et al., Plant Mol. Biol. 1992)を用いて、通例の方法で適切なシャトルベクター内に作製する。いくつかの場合において、宿主植物内での生体毒素タンパク質の発現効率を最適化するため、オープンリーディングフレームのコドン使用頻度を宿主植物のコドン使用頻度に適合させ、同じタンパク質をコードする一方で別のコドンが使用されるようにする。そのような変化された配列はReverse Translateソフトウェアで作製するが、これはワールドワイドウェブのbioinformatics.org/sms2/rev_trans.htmlで見つけることができるコドン最適化ソフトウェアである。次に、例えばオオムギ、コムギ、ライコムギ、トウモロコシ、ワタ、およびイネの細胞を含む植物細胞を、得られた組換えベクターで形質転換する。
オオムギ、コムギ、ライコムギ、トウモロコシの細胞は、例えば、Henzel et al. (Inter. J. of Plant Genomics, 2009);PCT出願WO92/09696および米国特許第5,641,664号に記載されるような、アグロバクテリウム属介在性形質転換または傷をつけ酵素的に分解した胚発生カルスを用いたエレクトロポレーションによって安定に形質転換される。
ワタ細胞は、例えば、Umbeck et al., 1987および米国特許第5,004,863号に記載されるような、アグロバクテリウム属介在性形質転換によって安定に形質転換される。
イネ細胞は、Hiei et al., Plant J. Aug, 6(2):271-82, 1994;およびPCT出願WO92/09696に記載される方法に基本的には従って、安定に形質転換される。
再分化形質転換トウモロコシ、ワタおよびイネ植物は、ノーザンブロット、サザンブロット、ELISA、および殺虫作用、またはこれらの技術の組み合わせによって選択される。生体毒素配列を含む子孫植物は、昆虫抵抗性と形質転換表現型を適切に分離して、非形質転換対照植物と比較して、昆虫に対する向上された抵抗性を示す。タンパク質およびRNAの測定により、昆虫抵抗性の増加は植物内での新規Cryタンパク質のより高い発現と関連していることが示される。
本発明の毒素コード配列によるトウモロコシ細胞のアグロバクテリウム属介在性形質転換
8〜12DAPの穂からトウモロコシ胚を単離し、サイズが0.8〜1.5mmである胚を形質転換に使用する。胚を、胚盤側を上にして、適切なインキュベーション培地上に播き、所望により25℃暗所で一晩インキュベートする。次に胚を5〜10分間のTiプラスミド介在性遺伝子導入に適したベクターを含むアグロバクテリウム属菌株と接触させた後、共培養培地上に3日間(暗所25℃)播く。共培養後、外植体を回復期培地に5日間(暗所25℃)移す。外植体を適切な選択培地中で、利用する各選択の性質および特徴に応じて最長8週間、インキュベートする。選択期間後、得られたカルスを、成熟体細胞胚の形成が観察されるまで、胚成熟培地に移す。次に、得られた成熟体細胞胚を微光下に置き、当該技術分野において既知の通りに再分化プロセスを開始する。得られたシュートを発根培地に根付かせ、得られた植物を苗床鉢に移し、遺伝子導入植物として生育させる。
エアロゾルビーム技術の使用による本発明の毒素コード配列でのトウモロコシ細胞の形質転換
8〜12DAPの穂からトウモロコシ胚を単離し、サイズが0.8〜1.5mmである胚を形質転換に使用する。胚を、胚盤側を上にして、DN62A5S培地(3.98g/L N6塩;1mL/Lの1000×ストックN6ビタミン;800mg/L L−アスパラギン;100mg/L ミオイノシトール;1.4g/L L−プロリン;100mg/L カザミノ酸;50g/L スクロース;1mL/Lの1mg/mLストック2,4−D)等の適切なインキュベーション培地上に播き、25℃暗所で一晩インキュベートする。得られた外植体をメッシュスクエア(mesh square)(1プレート当たり30〜40個)に移し、次に30〜45分間浸透圧培地に移し、その後ビーミングプレート(beaming plate)に移す(例えば、PCT出願WO200138514および米国特許第5,240,842号参照)。
基本的にはPCT出願WO200138514に記載される通りの条件を用いて、植物細胞内で本発明の配列を発現するよう設計されたDNA構築体を、エアロゾルビームアクセラレータを使用して植物組織内に加速導入する。ビーミングの後、胚を浸透圧培地上で30分間インキュベートし、次に25℃暗所でインキュベーション培地上に一晩静置する。ビーミングされた外植体への損傷を避けるため、それらを回復培地に移す前に少なくとも24時間インキュベートする。次に、胚を回復期培地上に散布し(25℃暗所で5日間)選択培地に移す。外植体を選択培地中で利用する各選択の性質および特徴に応じて最長8週間、インキュベートする。選択期間後、得られたカルスを、成熟体細胞胚の形成が観察されるまで、胚成熟培地に移す。次に、得られた成熟体細胞胚を微光下に置き、当該技術分野において既知の方法による再分化プロセスを開始する。得られたシュートを発根培地に根付かせ、得られた植物を苗床鉢に移し、遺伝子導入植物として生育させる。
本発明のいくつかの実施形態について記載したが、当然ながら、本明細書に記載の実施形態の要素を組み合わせてさらなる実施形態を成すことが可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱せずに種々の変更を加えることが可能である。従って、本願に記載され特許請求される他の実施形態、代替物および等価物は本発明の範囲内である。
本出願における見出しは単に読者への便宜のためのものであり、本発明の範囲またはその実施形態をいかなる点においても限定するものではない。
本明細書で言及された全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が具体的に且つ個々に参照によって組み込まれることが示されたのと同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。

Claims (10)

  1. (a)複数種の分離菌株から染色体外DNA分子の混合群を作出する段階;
    (b)該混合群から得られた染色体外DNA分子を、分子クローニングの手段を用いずに配列決定する段階;
    (c)該染色体外DNA分子の混合群由来の核酸配列を含むメタゲノム配列データセットを構築する段階;
    (d)該メタゲノム配列データセットの配列データを処理して、少なくとも1つの核酸配列コンティグを定義する段階;および
    (e)段階(d)で得られた少なくとも1つの核酸配列コンティグと、既知の生体毒素配列とを比較することによって、生体毒素をコードする核酸配列を同定する段階、
    を含む、生体毒素をコードする核酸配列を同定する方法。
  2. 前記分離菌株の分類学的分類を決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記複数種の分離菌株が、少なくとも1種の生体毒素を産生する能力について予備選択されている、請求項1記載の方法。
  4. 段階(d)から同定された前記核酸配列が新規生体毒素をコードしているかどうかを決定する段階をさらに含み、同定された新規毒素の核酸配列がいかなる既知の生体毒素配列とも30%未満の配列同一性しか共有していない、請求項1記載の方法。
  5. 前記複数種の分離菌株が少なくとも12種の分離菌株を含む、請求項1記載の方法。
  6. 前記分離菌株のうちの少なくとも1種が細菌である、請求項1記載の方法。
  7. 前記細菌が、バシラス属、ブレビバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、フォトラブダス属、シュードモナス属、セラチア属、ストレプトマイセス属、およびゼノラブダス属からなる群から選択される属の細菌である、請求項6記載の方法。
  8. 前記分離菌株が、環境試料から得られることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  9. 請求項1記載の方法を実施する段階と、核酸を同定する段階を含む、生体毒素をコードする核酸を同定する方法であって、
    前記核酸が
    高度にストリンジェントな条件下で、配列番号5、35、41、57、65、67、79、95、97、および99に示す核酸配列のうちのいずれか1つ、またはその相補体にハイブリダイズし、ならびに前記核酸が、殺虫活性を有するポリペプチドをコードする、核酸;あるいは
    配列番号5、35、41、57、65、67、79、95、97、および99に示す核酸配列のうちのいずれか1つ、またはその相補体に対し90%以上の配列同一性を示し、ならびに前記核酸が、殺虫活性を有するポリペプチドをコードする、核酸;あるいは
    配列番号6、36、42、58、66、69、80、96、98、および100に示すアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し90%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードし、ならびに前記アミノ酸配列が、殺虫活性を有する、核酸
    である、
    前記方法。
  10. 請求項1記載の方法を実施する段階と、核酸を同定する段階を含む、ポリペプチドを同定する方法であって、
    前記核酸が
    高度にストリンジェントな条件下で、配列番号5、35、41、57、65、67、79、95、97、および99に示す核酸配列のうちのいずれか1つ、またはその相補体にハイブリダイズし、ならびに前記核酸が、殺虫活性を有するポリペプチドをコードする、核酸;あるいは
    配列番号5、35、41、57、65、67、79、95、97、および99に示す核酸配列のうちのいずれか1つ、またはその相補体に対し90%以上の配列同一性を示し、ならびに前記核酸が、殺虫活性を有するポリペプチドをコードする、核酸;あるいは
    配列番号6、36、42、58、66、69、80、96、98、および100に示すアミノ酸配列のうちのいずれか1つに対し90%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードし、ならびに前記アミノ酸配列が、殺虫活性を有する、核酸
    である、
    前記方法。
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