JP6230025B2 - 熱応答試験の解析方法および解析プログラム - Google Patents
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斜法に基づく非線形最適化手法を用いて未知のパラメータを同定することによって、短時間で精度良く地盤の熱交換特性を評価できる解析方法および解析プログラムに関する。
期間を長くとる必要があること、などの問題点に着目し、地盤の温度上昇量を規定するKelvinの線源関数の近似解における未知のパラメータを同定して、地盤の熱伝導率を算出する解析方法および解析プログラムを提案している(特許文献2参照)。特許文献2で提案した解析方法では、熱応答試験の初期段階において得られる実測値に対して、パウエルの共役傾斜法に基づく非線形最適化手法を用いて、未知のパラメータを所定の値に設定した場合に得られる温度上昇量の計算値と、熱応答試験によって測定された温度上昇量の実測値との誤差が最小となるように、パラメータの逆解析を行い、未知のパラメータを同定して、地盤の熱伝導率を算出する。
以下に、地盤の温度上昇式として、地下水などの流体の流れに伴う熱移動を考慮した熱移動方程式の解析解を求めるにあたって、本発明者らが用いた解析理論を述べる。
但し、 T:温度(℃)
v:間隙流速(m/s)
n:間隙率
(ρc)W:液相の体積熱容量(J/m3/K)
(ρc)e:固相・液相・気相混合系の等価体積熱容量(J/m3/K)
λh:固相・液相・気相の熱伝導率に機構的熱分散を加味した混合系の熱分散率
(W/m/K)
式(10)で表されるハンタッシュ−ヤコブの井戸関数W(u、B)は、u≦1.0、B≦2.0の範囲において、次式(13)で近似される。
本発明においては、熱応答試験あるいは揚水試験の解析を、最適化手法による逆解析を利用して行う。先に述べた地下水モデルによる熱応答試験の解析解や、物質輸送式の解析解、あるいは、後述する揚水試験の解析解は、透水量係数Tmや熱伝導率λあるいは分散係数などを既知パラメータとして、地下水位、地下水温、物質の濃度などを計算する構造になっている。しかし、こうしたパラメータを直接精度よく測定することは難しく、むしろ解として得られるべき地下水位、地下水温、物質の濃度などの方が容易に、精度よく観測・測定が可能である。本発明では、地下水位や地下水温などの実測値に計算値が一致するように非線形最適化手法を用いて、各種パラメータを同定する逆解析を採用する。逆解析では、まず目的関数を設定し、それらを最小化することによって各パラメータを同定する。
ムに、係数A1および係数A2を乗じて重み付けした次式(17)を用いる。
熱応答試験において温度T、加熱量qH等は観測データとして既知である。式(8)の解析解において、等価体積熱容量(ρc)e、縦熱分散率κL、横熱分散率κT、真流速が未知の状態である。本発明では、同定対象のパラメータをこれらの4つのパラメータとして、式(17)の目的関数Fを用いて、共役傾斜法を組み込んだ同定プログラムにより逆解析を行う。
a1=(κT−κL)/κL≧0.0の場合、A1=1.0+a1
a1=(κT−κL)/κL<0.0の場合、A1=1.0 (19)
a2=10(1/κT(ρc)e−1/λe)≧0.0のとき、A2=1.0+a2
a2=10(1/κT(ρc)e−1/λe)<0.0のとき、A2=1.0 (20)
熱応答試験と揚水試験は、両者とも熱伝導理論を基として、解析解を導いている。そのため、本発明の熱応答試験の解析方法および解析プログラムは、揚水試験の解析(本発明の参考例)にも適応することが可能である。揚水試験は現場においては、透水量係数Tmや貯留係数Scといった地下水流動系パラメータを求めるための原位置試験として最も一般的に行われている。
但し、
h:ピエゾ水頭(m)
H0:隣接帯水層のピエゾ水頭(m)
r:半径(m)
Tm:揚水している帯水層の透水量係数(m2/s)
mc:層厚
K:加圧層の透水係数
Sc:貯留係数
Qw:揚水量(L/s)
次に、揚水試験においては、式(26)の解析解において、透水量係数Tm、貯留係数Sc、Bが未知の状態である。本発明では、求めるパラメータを次式(29)〜(31)に示すα1、α2、Bとして、共役傾斜法を組み込んだ同定プログラムにより逆解析を行う。そして、同定されたパラメータα1、α2、Bから、式(29)〜(31)より透水量係数Tm、貯留係数Sc、Bを算出する。
α1=r2Sc (29)
α2=Tm (30)
B=r/p (31)
但し、
験の測定データから未知のパラメータを同定でき、従来の解析では求めることのできなかったパラメータについても同定できる。具体的には、地下水流動があるサイトでの熱応答試験の解析により、等価体積熱容量(ρc)e、縦熱分散率κL、横熱分散率κT、真流速などのパラメータを精度良く求めることができる。よって、地下水流動があるサイトでの熱交換井の熱交換挙動を従来よりも精度良く予測することが可能である。
まず、移流・分散現象を考慮した、本発明の熱応答試験の解析方法の妥当性検証に先立って、解析に用いるデータ区間の検討について述べる。本発明者らは、以前に開発した解析プログラム(移流・分散現象を考慮していない熱移動方程式の解析解(Kelvinの線源関数の解析解)に基づき、パウエルの共役傾斜法を用いた逆解析を行ってパラメータを同定するプログラム:特許第5334221号公報)では、熱応答試験において熱交換器に熱媒体を循環している間の計測値(循環時データ)を用いていた。ここでは、解析に用いるデータ区間を広げるため、循環停止後の温度回復データを用いることを検討する。
以下の解析方法は、移流・分散現象を考慮していない、Kelvinの線源関数の解析解を用いるものである。この場合、加熱停止後の温度変化量は、重ね合わせの原理により、次式(32)〜(34)で表される。そこで、E(x)とE(x´)をべき級数展開式の第30項まで評価した高次漸近解を用いて、パウエルの共役傾斜法を適用したパラメータ同定による逆解析を行う解析プログラムを開発した。
(2)同定対象のパラメータ(熱伝導率λ、r2(ρc))の任意の初期推定値を出発点として、これらのパラメータを逆解析によって同定する。
(3)同定したパラメータを用いて温度変化量の再現計算を行い、(1)で算出した検証データと比較することにより、その精度を確認する。
本発明者らは、現場サイトで熱応答試験を行い、計測結果に対して逆解析を行い、熱伝導率λ、r2(ρc)を同定した。実施条件、測定機器などの詳細は省略する。72時間かけて加熱を行い、その後に得られた地盤温度回復データを解析に用いた。図4.3は、熱応答試験結果(往き温度、還り温度、平均温度、加熱量)を示すグラフである。加熱量、流量ともに安定して推移している。加熱前の地層温度は約14.1℃で、加熱開始から72時間後には往き温度約27.0℃、還り温度約24.0℃となり、加熱停止後は緩やかに加熱開始前の温度へ回復している。
用いて、加熱停止後の温度変化量を示す解析解を導き、温度回復データを用いる場合の逆解析方法を開発することで、パラメータ同定の精度を向上させることのできる可能性がある。
続いて、本発明の実施の形態に係る移流・分散現象を考慮した熱応答試験の解析方法の妥当性検証について述べる。本発明者らは、以下の1〜5の順で妥当性検証を行った。
1.順解析による、地下水流動の影響の検証
2.物質移動との比較
3.パラメータの感度解析
4.テストケースによるパラメータ同定精度の検証
5.室内熱応答試験データによるパラメータ同定精度の検証
本発明者らは、本発明の移流・分散現象を考慮した熱移動方程式の解析解に基づいて温度上昇量を演算するプログラムをFORTRANコードで開発した。そして、表2に示す3つのテストケース(テストケース1〜3)のパラメータを用いて、温度上昇量を演算する順解析を行った。テストケースのパラメータは、いずれも、飽和砂を用いた室内実験値および文献値を用いた。テストケース1〜3は、流速vの値だけがケースによって異なり、他のパラメータは全て同じである。また、縦分散長αLと横分散長αTの比が10.0となるようにパラメータを設定した。
(1)テストケース1(流速vが最小)
等価熱拡散率κeの方が機構的分散αL×vよりも大きいことを反映し、同心円状に熱が拡がる結果となった。熱の拡がり範囲は、計算時間1000hrでも、最大で5.0mとなった。
(2)テストケース2(流速vがテストケース1よりも1桁大きい)
機構的分散αL×vの方が等価熱拡散率κeよりも大きくなっており、熱分散が支配的になったことを反映して、楕円状に熱が拡がる結果となった。また、移流効果も伴って、計算時間1000hrでは10.0mまで熱が拡がった。
(3)テストケース3(流速vがテストケース2よりもさらに1桁大きい)
テストケース2よりも更に移流・分散効果が卓越し、より広域に熱が拡がっており、計算時間1000hrでは30.0mまで熱が拡がった。
上述したように、地下水流動場において、原点に連続的に注入したトレーサの濃度差分布は、熱移動と同じ解析理論によって解析できることから、熱移動方程式の解析解に基づいて温度上昇量を演算するプログラムは、物質輸送式の解析解についても適用できる。そ
こで、熱移動と物質移動との違いを比較検証するために、熱移動のテストケース1、2と同じ計算条件(表2参照)を用いて、濃度差分布を演算する順解析を行った。表4に、物質移動の演算に用いる2つのテストケースのパラメータを示す。また、表5に、各ケースの有効分子拡散係数Defと機構的分散αL×vを示す。表4では、熱移動と物質移動の演算結果を比較しやすくするために、qH/(ρc)e=M/nとなるように、M(質量)の値を設定した。一般的に,溶質の有効分子拡散係数 は105(cm2/s))のオーダーで非常に小さいため、物質移動では移流・分散現象が卓越することが多い。
本発明者らは、熱移動方程式の解析解を用いた逆解析において、同定対象のパラメータに設定した等価体積熱容量(ρc)e、縦熱分散率κL、横熱分散率κT、真流速が解析解に与える影響を検証する感度解析を行った。感度解析には、表6.1に示すパラメータの値を用いた。表6.1に示す3点の座標(x=2.0m、y=1.0m)、(x=2.0m、y=0.0m)、(x=0.0m、y=1.0m)において、同定対象の各パラメータを、表6.1に示す値(正確値)、正確値の10倍、正確値の1/10、に設定した場合の温度上昇量を演算した。
本発明者らは、本発明の移流・分散現象を考慮した熱移動方程式の解析解の高次漸近解を用いてパラメータの逆解析を行う解析プログラムを開発した。そして、これを用いた場
合のパラメータの同定精度の検証を、以下の手順で行った。
(1)表6.2に示す試験条件(テストケース)を与え、開発した解析プログラムを用いて温度変化量を算出し、これを検証データとする。
(2)同定対象の4つのパラメータ(等価体積熱容量(ρc)e、縦熱分散率κL、横熱分散率κT、真流速)の任意の初期推定値を出発点として、これらのパラメータを逆解析によって同定する。
(3)同定したパラメータを用いて温度変化量の再現計算を行い、(1)で算出した検証データと比較することにより、その精度を確認する。
示す一覧表である。表6.3に示すように、f/N値(データ1つ当たりの誤差)もほぼ0に等しく、精度の高い結果を得ることが出来た。以上の検証より、本発明の逆解析方法の妥当性を確認することが出来た。
本発明者らは、室内熱応答実験装置を用いて熱応答試験を実施し、得られたデータに本発明による逆解析方法を適用し、パウエルの共役傾斜法を用いたパラメータの同定プログラム(本発明を適用した熱応答試験の解析プログラム)を用いて解析を行った。以下に、室内熱応答実験装置の構成および試験の実施手順を説明する。
る。これにより、U字管21に直交する浸透流が発生する。
5はU字管21の出入口温度、平均温度、熱交換量である。加熱開始前の地盤温度は約17.4℃で安定しており、加熱開始から120分後には約33.49℃まで上昇した。熱交換量は、加熱開始から30分まではあまり安定しないが、それ以降ではほとんど一定で推移している。また、図6.16は2つの座標(座標1:x=0.03m、y=0.06m)、(座標2:x=0.03m、y=0.125m)での温度変化量の経時変化を示す。なお,加熱時間は120分で、各座標における深さ方向の温度測定結果の平均値をとっている。このグラフより、熱源から近い座標1(x=0.03m、y=0.06m)の方が遠い座標2(x=0.03m、y=0.125m)よりも温度変化量が大きくなることが分かる。
図6.20は、同定結果を用いて演算した温度変化量の計算値と実測値を示すグラフである。図6.20より、どの座標においても計算値と実測値は非常に良く一致していることが確認できる。各座標における同定結果を比較すると、縦熱分散率κLはほとんど等しいものの、横熱分散率κTは座標の関係もあり値がばらついているが、真流速は、どの座標でもほとんど等しい。また、等価体積熱容量(ρc)eの同定値は、3つの座標で、それぞれ、1005.04(W・hr/m3/K)、924.731(W・hr/m3/K)、997.675(W・hr/m3/K)で、座標2(x=0.03m、y=0.125m)における値が一番小さくなっている。なお、逆解析に用いたデータは88個で、データ一つ当たりの誤差を示すf/N値はそれぞれ6.80×10−3(K)、6.70×10−3(K)2.31×10−3(K)で非常に小さい。
実験ケース1:1128.723(W・hr/m3/K)
実験ケース2:1209.85(W・hr/m3/K)
また、f/N値は、それぞれ以下のようになった。
実験ケース1:1.3×10−2
実験ケース2:1.22×10−2
験ケース1よりも大きくなる。図6.23をみると、座標2(x=0.03m、y=0.125m)では実験ケース2の方が実験ケース1よりも大きくなっているが、座標1(x=0.03m、y=0.06m)では実験ケース2の方が実験ケース1よりも小さくなっている。この原因は、微妙な実験誤差や同定誤差が原因であると考えられる。また、横熱分散係数も同様に、より流速の大きい実験ケース2の方が実験ケース1よりも大きくなるが、座標2(x=0.03m、y=0.125m)ではその傾向を示しているが、座標1(x=0.03m、y=0.06m)では逆の傾向が見られる。この原因についても、微妙な実験誤差や同定誤差が原因であると考えられる。
次に、本発明の移流・分散現象を考慮した熱応答試験の解析方法を、揚水試験の解析方法に適用することの妥当性検証について述べる。本発明者らは、以下の6〜7の順で妥当性検証を行った。
6.テストケースによるパラメータ同定精度の検証
7.揚水試験データによるパラメータ同定精度の検証
本発明者らは、本発明の移流・分散現象を考慮した地下水流動方程式の解析解の高次漸近解を用いてパラメータの逆解析を行う解析プログラムを開発した。そして、これを用いた場合のパラメータの同定精度の検証を、以下の手順で行った。
(1)表6.8に示す試験条件(テストケース)を与え、開発した解析プログラムを用いて水位降下量算出し、これを検証データとする。
(2)同定対象の3つのパラメータ(透水量係数Tm、貯留係数Sc、B)の任意の初期推定値を出発点として、これらのパラメータを逆解析によって同定する。
(3)同定したパラメータを用いて水位降下量の再現計算を行い、(1)で算出した検証データと比較することにより、その精度を確認する。
本発明者らは、現場サイトで実施した揚水試験のデータに本発明による逆解析方法を適用し、パウエルの共役傾斜法を用いたパラメータの同定プログラム(本発明の参考例に係る揚水試験の解析プログラム)を用いて解析を行った。以下に、揚水試験を実施した現場の地質条件や試験条件等を説明する。
図6.29に揚水試験を実施したサイトの位置を示す。揚水試験を実施したサイトは信州大学工学部キャンパス内にあり、犀川から約761m離れた扇状地扇端部に位置する。現場内で掘削された複数の井戸から、サイトの帯水層構造についてはおおむね明らかになっている。図6.30は現場内の深井戸の掘削データをもとにした断面図である。調査地付近の地質は主に砂礫層から構成されており、ところどころに粘土層・粘土混り砂層砂礫層を挟んでいる。このうち砂礫層が帯水層となり、粘土層・粘土混り砂層砂礫層が不(難)透水層となっている。図6.30に示す電気検層結果より、同じ帯水層内にも異なる比抵抗値を示す部分があり、地盤の透水性に不均一性が見られる。
上記のサイトにおいて、第1帯水層と第2帯水層の井戸能力を把握するため、層別揚水試験を行った。表6.11に各帯水層における揚水時間、揚水量、帯水層厚、揚水井と観測井との距離について示す。揚水は観測井の水位変化が見られなくなるまで行い、それぞれ180minと175minとなった。揚水量はどちらも417(L/min)である。また、帯水層厚は第1帯水層が32.7m、第2帯水層が21.2mである。
(1)第一帯水層
揚水井から23.5mの距離にある観測井の地下水位の変動を図6.31に示す。地下水位は試験開始1min後から減少を続け、120minで0.215の水位降下が確認されている。120min以降は水位の変化がほとんど見られなくなったため、180minで試験を終了している。
揚水井から24.5mの距離にある観測井の地下水位の変動を図6.33に示す。地下水位は試験開始1min後から減少を続け、140minで0.587mの水位降下が確認されている。140min以降は水位の変化がほとんど見られなくなったため、175minで試験を終了している。
以上のように、本発明者らは、地下水流動場における熱応答試験の解析方法として、熱伝導に加えて移流・分散現象を考慮した解析解を導出し、パウエル(Powell)の共役傾斜法を用いた逆解析方法を開発してパラメータ同定を行った。また、この解析方法を揚水試験の解析方法にも適用し、パラメータ同定を行った。その結果と過程により得られた知見は以下の通りである。
(2)同一条件下で熱移動と物質移動を比較すると、流速の小さいケースでは、熱伝導によって熱の方がより広範囲に移動するのに対して、流速が大きくなると地下水流動の影響を強く受ける物質の方が熱よりもより広域に移動する。
(3)開発した解析プログラムを室内熱応答試験データの解析に適用した結果、同定された等価体積熱容量(ρc)e、真流速は実測値と近い値が得られた。また、従来のKelvinの線源関数の解析解に基づく解析方法で同定した場合よりも、格段に精度良くパラメータを同定できることが確認できた。従って、地下水流動があるサイトでの熱交換井の熱交換挙動を従来よりも精度良く予測することが可能になると期待できる。
(4)漏水性を伴う帯水層への揚水試験解析解(ハンタッシュ−ヤコブの式)を用いた逆解析方法を開発し、現場サイトで実施された揚水試験へ適用した。その結果、非常に精度の高いパラメータ同定を行えることが確認できた。従って、地下水流動があるサイトでの地下水位の挙動を従来よりも精度良く予測することが可能になると期待できる。
10…実験地盤
11…土槽
12…水位設定部
12A…上流側水位調節部
12B…下流側水位調節部
13…浸透量調節部
14A…給水容器
14B…上流側水位調整容器
15…下流側水位調整容器
16…試料充填部
17A、17B…貯水部
18…透水性スリット
20…熱応答実験装置
21…U字管
22…循環流路
23…循環ポンプ
24…電気ヒーター
25…給水容器
26a、26b…温度センサー
27…温度センサー
28…流量計
29…データロガー
30…パーソナルコンピューター
31…室温計
Claims (6)
- 熱応答試験によって測定された調査対象の地盤における温度上昇量の経時変化に基づき前記地盤の熱交換特性を評価する熱応答試験の解析方法であって、
前記地盤の温度上昇式を、地下水が流動している流動場での移流・分散現象を考慮した熱移動方程式の解析解である式(A)で規定し、
パウエルの共役傾斜法に基づく非線形最適化法を用いて、前記式(A)で規定する解析解に含まれる未知のパラメータを所定の値に設定した場合に得られる温度上昇量の計算値と、前記熱応答試験によって測定された温度上昇量の実測値との誤差が最小となるように、前記パラメータを同定する逆解析を行い、
当該逆解析においては、同定対象の前記パラメータを、等価体積熱容量(ρc)e、縦熱分散率κL、横熱分散率κT、真流速のうちの少なくとも1つとし、
前記逆解析に用いる目的関数として、前記計算値と前記実測値との2乗誤差の総和を1/2乗したユークリッドノルムに、係数A 1 および係数A 2 を乗じて重み付けした式(B)を使用し、
前記係数A 1 の値を、次式(C1)に示すように、前記縦熱分散率κ L と前記横熱分散率κ T から算出した値a 1 に応じて決定し、
a 1 =(κ T −κ L )/κ L ≧0.0の場合、A 1 =1.0+a 1
a 1 =(κ T −κ L )/κ L <0.0の場合、A 1 =1.0 (C1)
前記係数A 2 の値を、次式(C2)に示すように、前記横熱分散率κ T と前記地盤の等価熱伝導率λ e から算出した値a 2 に応じて決定することを特徴とする熱応答試験の解析方法。
a 2 =10(1/κ T (ρc) e −1/λ e )≧0.0のとき、A 2 =1.0+a 2
a 2 =10(1/κ T (ρc) e −1/λ e )<0.0のとき、A 2 =1.0 (C2) - 請求項1において、
式(A)で規定する前記解析解において、次式(D)のように変数を置き換えた場合に前記解析解に含まれるハンタッシュ−ヤコブの井戸関数W(u、B)を、次式(E)で規定する近似式で近似し、
当該近似式に含まれる第1種変形ベッセル関数I 0 (B)、第2種変形ベッセル関数K 0 (B)、および、B=0とした場合に前記ハンタッシュ−ヤコブの井戸関数W(u、B)と一致する関数となるタイスの井戸関数W(u)について、それぞれのべき級数展開式を少なくとも第30項まで含む漸近解を使用して、前記地盤の温度上昇量を算出することを特徴とする熱応答試験の解析方法。 - 請求項2において、
前記漸近解として、第1種変形ベッセル関数I 0 (B)、第2種変形ベッセル関数K 0 (B)のべき級数展開式を第50項まで含む漸近解を使用して、前記地盤の温度上昇量を算出することを特徴とする熱応答試験の解析方法。 - 熱応答試験によって測定された調査対象の地盤における温度上昇量の経時変化に基づき前記地盤の熱交換特性を評価するために用いる熱応答試験の解析プログラムであって、
コンピュータを、地下水が流動している流動場での移流・分散現象を考慮した熱移動方程式の解析解である式(A)を用いて、地盤の温度上昇量を演算する演算手段として機能させ、
コンピュータを、パウエルの共役傾斜法に基づく非線形最適化法を用いて、前記解析解に含まれる未知のパラメータを所定の値に設定した場合に得られる温度上昇量の計算値と、前記熱応答試験によって測定された温度上昇量の実測値との誤差が最小となるように、前記パラメータの逆解析を行う逆解析手段として機能させ、
当該逆解析手段は、前記パラメータとして、等価体積熱容量(ρc) e 、縦熱分散率κ L 、横熱分散率κ T 、真流速のうちの少なくとも1つを同定する演算を行い、
前記逆解析手段は、前記逆解析に用いる目的関数として、前記計算値と前記実測値との2乗誤差の総和を1/2乗したユークリッドノルムに、係数A 1 および係数A 2 を乗じて重み付けした式(B)を使用し、
前記係数A 1 の値を、次式(C1)に示すように、前記縦熱分散率κ L と前記横熱分散率κ T から算出した値a 1 に応じて決定し、
a 1 =(κ T −κ L )/κ L ≧0.0の場合、A 1 =1.0+a 1
a 1 =(κ T −κ L )/κ L <0.0の場合、A 1 =1.0 (C1)
前記係数A 2 の値を、次式(C3)、(C4)に示すように、前記横熱分散率κ T と前記地盤の等価熱伝導率λ e から算出した値a 2 に応じて決定することを特徴とする熱応答試験の解析プログラム。
a 2 =10(1/κ T (ρc) e −1/λ e )≧0.0の場合、A 2 =1.0+a 2
a 2 =10(1/κ T (ρc) e −1/λ e )<0.0の場合、A 2 =1.0 (C2) - 請求項4において、
式(A)で規定する前記解析解において、次式(D)のようにパラメータを置き換えた場合に前記解析解に含まれるハンタッシュ−ヤコブの井戸関数W(u、B)を、式(E)で規定する近似式で近似し、
前記演算手段は、当該近似式に含まれる第1種変形ベッセル関数I 0 (B)、第2種変形ベッセル関数K 0 (B)、および、B=0とした場合に前記ハンタッシュ−ヤコブの井戸関数W(u、B)と一致する関数となるタイスの井戸関数W(u)について、それぞれのべき級数展開式を少なくとも第30項まで含む漸近解を使用して、前記地盤の温度上昇量を演算することを特徴とする熱応答試験の解析プログラム。 - 請求項5において、
前記演算手段は、前記漸近解として、第1種変形ベッセル関数I 0 (B)、第2種変形ベッセル関数K 0 (B)のべき級数展開式を第50項まで含む漸近解を使用して、前記地盤の温度上昇量を算出することを特徴とする熱応答試験の解析プログラム。
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---|---|---|---|
JP2014139050A JP6230025B2 (ja) | 2014-07-04 | 2014-07-04 | 熱応答試験の解析方法および解析プログラム |
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