JP7458611B2 - 土壌中の熱伝導率の評価方法、評価装置、評価プログラム地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法 - Google Patents

土壌中の熱伝導率の評価方法、評価装置、評価プログラム地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 ・ウェブサイトのアドレス http://www.acsmeetings.org https://scisoc.confex.com/scisoc/2020am/prelim.cgi/Paper/124500 掲載日 令和2年11月6日(北米時間の11月5日)
本発明は、土壌中の熱伝導率の評価方法及び地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法に関する。
地中熱を利用したヒートポンプシステムとして、1~2mの深さに熱交換器を埋設する水平型ヒートポンプシステムが知られている。水平型ヒートポンプシステムは、50~100mの深さに熱交換器を埋設するボアホール型ヒートポンプシステムと比較して設置が容易であることから、低コストで導入可能である。したがって、温室の冷暖房装置等の農業利用時にも初期投資が抑えられ、実現可能性が高い。
ヒートポンプシステムの導入により期待される冷暖房効率の評価は、地中に埋設する熱交換器の採熱及び放熱効率の評価により実施され得る。熱交換器の採熱及び放熱効率の評価においては、土壌中の熱伝導率が考慮される。特許文献1~5には、土壌中の熱伝導率を算出する方法が記載されている。非特許文献1及び2には、水平型ヒートポンプに関して、土壌中の熱伝導率を考慮することについて記載されている。
ここで、土壌中の熱伝導率は、土壌水分量により変動することが知られている。非特許文献3は、土壌中の水の移動に伴う熱移動量の算出方法が記載されている。また、非特許文献4には、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動について記載されている。
しかしながら、土壌中の水の移動に伴う熱移動を考慮すると、計算量が膨大になる上に、計算の収束条件が厳しくなり、計算機による計算の実行が困難である。そのため、従来、熱交換器の採熱及び放熱効率を評価する場合には、土壌水分量を一定と仮定して、土壌中の熱伝導率を固定して評価されている。
特開2014-122818号公報 特開2013-238419号公報 特開2011-002448号公報 特開2009-145204号公報 特開2007-263957号公報
藤井ら、日本地熱学雑誌(2010)、32(4):219-228 藤井ら、日本地熱学会誌(2017)、39(3):157-165 Saito et al., Vadose Zone Journal(2006), 5(2):784-800 新庄 彬,農業土木学会論文集,第69号,p8~12,1977
夏期の冷房時のように熱交換器周囲の地温が高温になるような場合には、水蒸気の移動に伴う熱移動を考慮しないと、熱交換器の採熱及び放熱効率が実際よりも過小評価される場合があることを本発明者らは見出した。したがって、熱交換器の採熱及び放熱効率をより正確に評価するために、水蒸気の移動に伴う熱移動を考慮する必要がある。しかしながら特許文献1~5並びに非特許文献1及び2は、水蒸気の移動に伴う熱移動が考慮されていない。また、非特許文献3の方法では、水蒸気の移動に伴う熱移動の計算量が膨大になる。
非特許文献4に記載の方法を利用すれば、水蒸気移動を考慮した見かけの熱伝導率を用いることで、正確な水移動量を算出することなく水の移動に伴う熱移動量を算出することが可能である。しかし、土壌密度が異なる毎に算出式の補正係数を特殊な実験により求める必要があり、煩雑である。
本発明の一態様は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、水蒸気の移動に伴う熱移動量を容易に算出し、水蒸気の移動に伴う熱移動量を考慮した土壌中の熱伝導率の評価を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る土壌中の熱伝導率の評価方法は、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する工程を包含し、前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される。
本発明の一態様に係る土壌中の熱伝導率の評価装置は、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する算出部を備え、前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される。
本発明の一態様に係る地中熱ヒートポンプの設置支援方法は、請求項1から5のいずれか1項に記載の評価方法により評価した熱伝導率に基づき、地中熱ヒートポンプが備える熱交換器の設置条件を決定する工程を包含する。
本発明に係る評価装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記評価装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記評価装置をコンピュータにて実現させる評価装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明の一態様に係る地中熱ヒートポンプの採熱及び放熱効率を評価したポテンシャルマップは、本発明の一態様に係る記載の評価方法により評価した熱伝導率を用いて作成したものである。
本発明の一態様によれば、水蒸気の移動に伴う熱移動量を容易に算出し、水蒸気の移動に伴う熱移動量を考慮した土壌中の熱伝導率の評価を実現できる。
地中熱ヒートポンプシステムの一例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価方法により熱伝導率を算出するための補正係数を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価方法により熱伝導率を算出するための補正係数と水分量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価装置の要部構成を示すブロック図である。 熱交換器出口温度の再現計算に関して、本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価方法と従来の方法とを比較したグラフである。 図5の一部を拡大した図である。
〔土壌中の熱伝導率の評価方法〕
本発明の一態様に係る土壌中の熱伝導率の評価方法は、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する工程を包含する。そして、本発明の一態様に係る土壌中の熱伝導率の評価方法では、前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される。
本発明の一態様に係る評価方法は、地中熱を利用したヒートポンプシステムにおいて、地中に埋設する熱交換器の採熱及び放熱効率の評価に利用され得る。このような地中熱ヒートポンプシステムの概略を図1に示す。図1は、地中熱ヒートポンプシステムの一例を示す概略図である。
図1に示すように、地中熱ヒートポンプシステム100は、熱交換器101、ヒートポンプ102、及び空調機103を構成要素として備えている。熱交換器101は地中に埋設され、内部を巡回する熱媒と土壌との間で熱交換を行う機能を有する。熱交換器101は、帯水層よりも地表面側に位置する不飽和帯に埋設される。ヒートポンプ102は、熱交換器101内を循環する熱媒を介して採放熱する機能を有する。空調機103は、ヒートポンプ102により冷却又は加熱された熱媒を介して冷房又は暖房する機能を有する。
熱交換器101における採熱及び放熱効率は、熱交換器101が埋設される土壌の熱特性の影響を受ける。したがって、熱交換器101における採熱及び放熱効率を評価するためには、熱交換器101が埋設される土壌の熱特性、特に、熱伝導率を考慮する必要がある。一方で、土壌中の熱伝導率は、土壌水分量により変動することが知られている。また、熱交換器101が埋設されている不飽和帯は、地表からの深さが1~2m程度であり、土壌水分量が比較的安定している。さらに、不飽和帯においては、降雨などによる水の下方浸透に伴う移流による熱移動は考慮しなくても問題ないことを、本発明者らは見出している。
したがって、従来のように、土壌水分量による熱伝導率の変動は考慮せず、土壌の水分量を一定と仮定することで土壌中の熱伝導率を正確に評価可能であると考えられた。しかしながら、本発明者らの検討により、このような従来の評価方法では土壌中の熱伝導率が過小評価され、正確に評価されないことが見出された。
このような問題点を解決するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、夏期の冷房時のように熱交換器周囲の地温が高温になるような場合には、水蒸気の移動に伴う熱移動を考慮しないと、熱交換器の採熱及び放熱効率が実際よりも過小評価される場合があることを見出した。
すなわち、本発明の一態様に係る評価方法では、土壌中の熱伝導率を、土壌中の熱伝導による真の熱伝導率(第1の熱伝導率)と、土壌中の水蒸気の移動に伴う熱移動による熱伝導率(第2の熱伝導率)とにより評価する。第1の熱伝導率は、土壌中の固相(土粒子部分)と液相(液体の水)とを伝わる熱移動による真の熱伝導率である。これによって、熱効率をより正確に評価することができる。本発明の一態様に係る評価方法は、不飽和帯の土壌中の熱伝導率を評価することができる。
(水蒸気移動量の推定に基づく熱伝導率の算出)
本発明の一態様に係る評価方法においては、式1Aに示すように、真の熱伝導率k1と土壌中の水蒸気の移動に伴う熱移動による熱伝導率k2との和として算出される見かけの熱伝導率Kを、土壌中の熱伝導率として評価する。
K=k1+k2 (式1A)
本発明の一態様に係る評価方法においては、土壌中の水蒸気移動量を推定し、土壌中の温度勾配の高温側から低温側に移動した水蒸気が全て低温側で水になったと仮定して水蒸気による熱移動量を算出し、土壌中の水蒸気の移動に伴う熱移動による熱伝導率k2を算出する。これにより、実験などを行うことなく、土壌中の水蒸気の移動を考慮した熱伝導率を算出することができる。
土壌中の水蒸気移動量は、土壌の物理パラメータを参照して推定することができる。土壌の物理パラメータと水蒸気移動量との関係を模式的に示すと、図2に示すとおりである。図2は、本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価方法を説明する図である。
土壌の物理パラメータとしては、圧力水頭、地温、土壌水分量、間隙率、粘土含量、気相率(空気間隙率)、間隙の屈曲度等が挙げられる。これらの物理パラメータのうち、土壌中の水蒸気移動量を推定するために用いる物理パラメータには、圧力水頭、地温、土壌水分量、間隙率、及び粘土含量が含まれる。
土壌中の水蒸気移動量の推定及びこれに基づく熱移動量は、例えば、後述する(1)~(9)の計算により算出することができる。また、土壌の固相及び液相における熱伝導による真の熱伝導率は、従来公知の方法により算出することができる。このような方法として、例えば、ヒートプローブ法等の実験により求める方法や、土壌水分量、石英含量等の土壌の物性値に基づき推定モデルにより推定する方法が挙げられる。
(補正係数εと土壌水分量θとの関係に基づく熱伝導率の算出)
見かけの熱伝導率Kは、非特許文献4を参照すると、水蒸気移動による熱伝導率の増加を考慮するための補正係数εを用いて、以下の式1Bにより算出することができる。
Figure 0007458611000001
すなわち、熱伝導率k2は、下記式1により表される。
Figure 0007458611000002
式1B及び式1において、Lは蒸発潜熱(Jg-1)、Dは水蒸気拡散係数(m-1)、hは相対湿度、ρSVは飽和水蒸気密度(gm-3)、Tは温度(℃)である。これらの値は地温の関数として与えられる。
非特許文献4においては、熱伝導率k2を表す値の補正係数ε以外の部分を式2により近似している。
Figure 0007458611000003
これらの式1B、式1、及び式2を用いることで、水蒸気移動量を計算することなく、地温を入力パラメータとして土壌中の水蒸気の移動を考慮した熱伝導率を算出することができる。
ここで、補正係数εは、非特許文献4においては実験により求められている。しかしながら、このような算出方法では、熱交換器を埋設する土壌の領域毎に補正係数εを求めるための実験を行う必要があり、煩雑である。
本発明の一態様に係る評価方法を用いれば、土壌中の水蒸気移動量を参照して、補正係数εと土壌水分量θとの関係を算出することで、特別な実験を行うことなく、土壌の物理パラメータからεを推定することができる。すなわち、補正係数εは、水蒸気による熱移動量を参照して、土壌水分量に応じて設定される。土壌の物理パラメータと補正係数εとの関係を模式的に示すと、図2に示すとおりである。図2に示す関係に基づき、補正係数εを求めるための具体的な手順の例を以下に示す。
(1)まず、評価の対象となる土壌の平均地温T(単位:K)から、空気中の水蒸気拡散係数Daを式3により計算する。
Da=2.12×10-5(T/273.15) (式3)
(2)次に、式4において、評価の対象となる土壌の空気間隙率θaと間隙率θsから、空気間隙の屈曲度τを計算する。
τ=θa7/3/θs (式4)
(3)さらに、空気間隙率θaと屈曲度τ、空気中の水蒸気拡散係数Daの積として土壌の水蒸気拡散係数Dを求める。
(4)そして、平均値温Tから土壌中の水の密度ρwを求める。
(5)次に、地点1(低温側;土壌中の任意の点)と地点2(高温側;熱交換器表面)における飽和水蒸気密度ρSV(単位:kgm-3)を式5により求める。
Figure 0007458611000004
(6)さらに、粘土割合fc、土壌水分量θ、及び空気間隙率θaから式6により反応係数ηを求める。
Figure 0007458611000005
(7)そして、平均値温Tと土壌水分量θに相当するマトリックポテンシャルhから式7により相対湿度Hrを計算する。ここで、Mは水の分子量(0.018015kg・mol-1)、Rは普遍気体定数である。
Figure 0007458611000006
(8)上記(1)~(7)で算出した値を用いて、式8により温度勾配下の水蒸気移動の透水係数KVTを求める。
Figure 0007458611000007
(9)上記(8)で算出したKVTと温度勾配dTとから水蒸気移動量を算出し、移動する水蒸気が全て低温側で水になると仮定して、算出した水蒸気移動量を蒸発潜熱の値で除することにより水蒸気による熱移動量Qを算出する。
(10)熱移動量Qを、式2で算出した値で除することにより補正係数εが求められる。
(11)土壌水分量θ毎に、上記(1)~(10)のプロセスでεを計算し、θとεの関係を求めると、その関係は図3に示すようなグラフで表される。
補正係数εと土壌水分量θとの関係を求めておくことによって、熱伝導率を算出する対象の土壌の平均的な土壌水分量θから補正係数εを設定し、式1Bにより地温の関数として見かけの熱伝導率Kを算出することができる。
すなわち、本発明の一態様に係る評価方法においては、推定した土壌中の水蒸気移動量を参照して、補正係数εと土壌水分量θとの関係を算出する。それにより、評価対象となる土壌の土壌水分量及び地温から、土壌中の水蒸気の移動を考慮した熱伝導率を算出することができる。
また、本発明の一態様に係る評価方法により評価した熱伝導率を用いれば、地中熱ヒートポンプの採熱及び放熱効率を評価したポテンシャルマップを好適に作成することができる。すなわち、本発明の一態様に係る評価方法により評価した熱伝導率を用いて作成した、地中熱ヒートポンプの採熱及び放熱効率を評価したポテンシャルマップについても、本発明の範疇に含まれる。
(土壌中の熱伝導率の評価方法の実施例)
ここで、本発明の一態様に係る評価方法の有用性を示すために、本発明の一態様に係る評価方法を利用して熱交換器出口温度の再現計算した結果と、水蒸気の移動を考慮しない方法により熱交換器出口温度の再現計算した結果とを比較する。
茨城県つくば市の黒ボク土畑圃場の深さ1.5mに設置された浅層水平型地中熱交換器(Bosch社製)の出口温度を2017/2/1~2018/10/1まで測定したデータを温度計等の計測機器から取得した。この出口温度を、本発明の一態様に係る評価方法を用いて、水蒸気の移動を考慮して再現計算した。また、同様に、水蒸気の移動を考慮せずに出口温度を再現計算した。これらの再現計算結果と実際の熱交換器の出口温度とを比較したグラフを図5に示す。
図5は、熱交換器出口温度の再現計算に関して、本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価方法と従来の方法とを比較したグラフである。また、図5の2018/6/1~2018/10/1のグラフを拡大した図を図6に示す。なお、図5及び6においては、本発明の一態様に係る評価方法による結果を、水蒸気移動を考慮した熱交換器出口温度として示した。図5及び6に示すように、温度が25℃を超えたあたりから温度の再現性に差が生じた。
このように、本発明の一態様に係る評価方法は、水蒸気の移動を考慮することによって、熱交換器の出口温度を正確に再現することができる。特に、出口温度が高温になる場合には、水蒸気の移動を考慮しない方法と比較して、より正確に熱交換器の出口温度を再現することができる。
〔土壌中の熱伝導率の評価装置〕
本発明の一態様に係る土壌中の熱伝導率の評価装置は、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する算出部を包含する。前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される。
図4は、本発明の一実施形態に係る土壌中の熱伝導率の評価装置の要部構成を示すブロック図である。図4に示すように、評価装置200は、算出部201を備えている。評価装置200は、さらにデータ取得部202及び記憶部203を備えていてもよい。
算出部201は、土壌の物理パラメータを参照して、土壌中の水蒸気の移動を考慮した熱伝導率を算出する。算出部201はまた、土壌中の水蒸気移動量を参照して、補正係数εと土壌水分量θとの関係を算出する。算出部201が参照する土壌の物理パラメータは、データ取得部202が取得したものであってもよいし、記憶部203やサーバ上保存されたものであってもよい。
算出部201は、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の見かけの熱伝導率を算出する。算出部201は、第2の熱伝導率を、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出する。これにより、実験などを行うことなく、土壌中の水蒸気の移動を考慮した熱伝導率を算出することができる。
データ取得部202は、土壌の物理パラメータを取得する。物理パラメータには、圧力水頭、地温、土壌水分量、間隙率、粘土含量等が含まれる。記憶部203は、算出部201による算出結果や、データ取得部202が取得した土壌の物理パラメータ等を記憶する。
一例として、本発明の一態様に係る評価装置は、上述した本発明の一態様に係る評価方法を実現するものである。したがって、本発明の一態様に係る評価装置の詳細は、上述した本発明の一態様に係る評価方法の説明に準じる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
土壌中の熱伝導率の評価装置の制御ブロック(算出部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、土壌中の熱伝導率の評価装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
すなわち、本発明の一態様に係る評価装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを評価装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより評価装置をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
具体的には、本発明の一態様に係る評価装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する算出ステップを包含し、前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される、評価プログラムについても、本発明の範疇に入る。
〔地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法〕
本発明の一態様に係る地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法は、上述したいずれかの評価方法により評価した熱伝導率に基づき、地中熱ヒートポンプが備える熱交換器の設置条件を決定する工程を包含する。
上述した本発明の一態様に係る評価方法によれば、土壌中の水蒸気の移動を考慮して、地中熱ヒートポンプの採熱及び放熱効率を評価したポテンシャルマップの作成が可能である。したがって、本発明の一態様に係る地中熱ヒートポンプシステムの設置支援方法は、このようなポテンシャルマップを利用して、地中熱ヒートポンプの導入前に、土壌中の物理特性に応じてどの程度の規模の熱交換器が必要か、採熱に必要な土地の面積はどの程度か等の熱交換器の設置条件を決定することができる。
上述した本発明の一態様に係る評価方法は、不飽和帯の土壌中の熱伝導率を好適に評価することができる。したがって、本発明の一態様に係る設置支援方法は、不飽和帯の土壌中に熱交換器を設置する水平型の地中熱ヒートポンプの設置支援に好適である。一例として、水平型の地中熱ヒートポンプを設置する際に、熱交換器のパイプの長さは長いほど良いが、埋設費用が高額になってしまう。そこで、地中熱ヒートポンプシステム導入前に、必要とされる最適な熱交換器のパイプの長さ(熱交換器の埋設面積)を決定するための計算に本発明の一態様に係る評価方法を使用することで、設置費用を軽減することができる。
本発明の一態様に係る設置支援方法は、地中熱利用のポテンシャルを評価するコンサルタント業務や、地中熱ヒートポンプの施工業務等に好適に利用され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
100 地中熱ヒートポンプシステム
101 熱交換器
102 ヒートポンプ
103 空調機
200 評価装置
201 算出部
202 データ取得部
203 記憶部

Claims (10)

  1. 土壌中の熱伝導率の評価方法であって、
    土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する工程を包含し、
    前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される、評価方法。
  2. 前記水蒸気移動量は、土壌の物理パラメータを参照して推定される、請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記物理パラメータには、圧力水頭、地温、土壌水分量、間隙率、及び、粘土含量が含まれる、請求項2に記載の評価方法。
  4. 不飽和帯の土壌中の熱伝導率を評価する、請求項1から3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 前記第2の熱伝導率は、下記式1により表され、
    Figure 0007458611000008
    (式1中、kは第2の熱伝導率、Lは蒸発潜熱、Dは水蒸気拡散係数、hは相対湿度、ρSVは飽和水蒸気密度、Tは温度、εは補正係数を表す)
    前記補正係数εは、前記水蒸気による熱移動量を参照して、土壌水分量に応じて設定される、請求項1から4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 土壌中の熱伝導率の評価装置であって、
    土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する算出部を備え、
    前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される、評価装置。
  7. 請求項6に記載の評価装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    土壌中の固相及び液相における熱伝導による第1の熱伝導率と、土壌中の水蒸気移動に伴う熱移動による第2の熱伝導率と、を参照して土壌中の熱伝導率を算出する算出ステップを包含し、
    前記第2の熱伝導率は、推定した水蒸気移動量の全てが土壌中の温度勾配の低温側において水になると仮定して算出した水蒸気による熱移動量を参照して算出される、評価プログラム。
  8. 地中熱ヒートポンプの設置支援方法であって、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の評価方法により評価した熱伝導率に基づき、地中熱ヒートポンプが備える熱交換器の設置条件を決定する工程を包含する、設置支援方法。
  9. 前記熱交換器は、不飽和帯の土壌中に設置される、請求項8に記載の設置支援方法。
  10. 請求項1から5のいずれか1項に記載の評価方法により評価した熱伝導率を用いて作成した、地中熱ヒートポンプの採熱及び放熱効率を評価したポテンシャルマップ。
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