以下、本発明のRFIDタグシステム、RFIDタグ、及び、温度検出方法を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のRFIDタグシステムの概略的な構成を示す図である。
実施の形態1のRFIDタグシステム1は、リーダライタ10、アンテナ21、サーバ30、及びRFIDタグ50A、50B、50C、50Dを含む。
リーダライタ10は、RFIDタグ50A〜50Dを読み取る読み取り装置であり、アンテナ21が接続される。また、リーダライタ10は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又はその他のネットワークによってサーバ30に接続されている。
図1には、リーダライタ10にアンテナ21が接続される形態を示すが、アンテナは1つ以上あれば、幾つであってもよい。また、図1には4つのRFIDタグ50A〜50Dを示すが、RFIDタグの数は幾つであってもよい。また、1つのサーバ30に複数のリーダライタ10が接続されていてもよい。
リーダライタ10は、アンテナ21を介して無線通信でコマンド及び応答信号等のデータの送受信を行うことにより、RFIDタグ50A〜50Dとデータの送受信を行う。
コマンド及び応答信号等の送受信は、予め定められたプロトコルに従って行われる。例えば、860MHz〜960MHzの通信周波数帯域を用いるUHF帯のRFIDタグ用の標準プロトコルとして、ISO18000−6タイプC等の規格が用いられる。
リーダライタ10は、予め与えられた読み取り条件に従ってRFIDタグ50A〜50Dの読み取りを繰り返し行う。RFIDタグ50A〜50Dの読み取り時に、リーダライタ10は、アンテナ21から一定の電波強度で電波の届く範囲にあるRFIDタグ50A〜50Dと交信する。
リーダライタ10は、RFIDタグ50A〜50Dから受信したデータを予め設定されたタイミングでサーバ30に送信する。サーバ30は、リーダライタ10から受信したデータをプログラムに従って処理する。
サーバ30は、リーダライタ10にRFIDタグ50A〜50Dの読み取りを行う指令を送信し、リーダライタ10で読み取られたRFIDタグ50A〜50Dの識別データ(Identification、以下IDと称す)を受信する。サーバ30は、リーダライタ10で読み取られたRFIDタグ50A〜50DのIDを集約して、所定の業務アプリケーションに受け渡す。
ここで、サーバ30は、実施の形態1のRFIDタグシステム1において、リーダライタ10の上位に位置するサーバである。また、業務アプリケーションは、例えば、RFIDタグ50A〜50DのIDを用いて物品等の管理を行うアプリケーションである。
RFIDタグ50A〜50Dは、主な構成要素として、ICチップとアンテナを含む。ICチップは、IDを内部メモリに記憶し、リーダライタ10からコマンドを受信すると、IDを送り返す処理を行う。アンテナは、リーダライタ10との無線通信に用いられる。
RFIDタグ50A〜50Dは、例えば、識別の必要な物品等に貼付される。物品は、例えば、物流等で搬送される物品であってもよいし、人間が所持する物品であってもよい。
RFIDタグ50A〜50Dは、環境温度によって、動作に必要な最小の電力が変化する特性を有する。RFIDタグ50のA〜50Dのこのような特性については後述する。
RFIDタグ50A〜50Dには、個々の物品を識別するために用いられるIDを表すデータと、温度検出に対応していることを表すデータとに加えて、RFID50A〜50Dが貼付される物品等に関するデータ(例えば、物品の種類又は製造日等)、又は物品を所持する人間に関するデータ等(例えば、社員番号等)が格納されていてもよい。
実施の形態1のRFIDタグシステム1で用いるRFIDタグ50A〜50Dは、例えば、UHF帯の通信周波数帯域を用いた電波方式のものである。RFIDタグ50A〜50Dは、リーダライタ10のアンテナ21から送信される高周波信号を受信すると、ICチップの駆動に必要な電流を発生する。
RFIDタグ50A〜50Dの内部で発生した電流は、整流後に調整された供給電圧としてICチップに供給され、RFIDタグ50A〜50Dは動作可能な状態になる。なお、実施の形態1では、電源を内蔵しないパッシブ型のRFIDタグを用いるが、RFIDタグ50A〜50Dは、電源を内蔵するアクティブ型のRFIDタグであってもよい。
図1に示すように、リーダライタ10に接続されるアンテナ21は、読み取り可能領域23を有する。読み取り可能領域23は、アンテナ21がRFIDタグ50A〜50Dを読み取ることのできる領域である。
読み取り可能領域23は、RFID50A〜50Dを用いた物品等の管理を行う場所に設置される。
なお、以下では、RFIDタグ50A〜50Dを特に区別しない場合には、単にRFIDタグ50と称す。
次に、図2を用いて、実施の形態1のRFIDタグシステム1のハードウェア構成について説明する。
図2は、実施の形態1のRFIDタグシステム1のハードウェア構成を示す図である。
RFIDタグシステム1は、リーダライタ10、アンテナ21、及びサーバ30を含む。
図2には、リーダライタ10がネットワーク40を介してサーバ30に接続されており、リーダライタ10のアンテナ21がRFIDタグ50A〜50Dと通信を行う状態を示す。
リーダライタ10は、制御部11、通信部12、送受信部13、ROM(Read Only Memory)14A、及びRAM(Random Access Memory)14Bを含み、アンテナ21が接続されている。制御部11、通信部12、送受信部13、ROM14A、RAM14B、及びアンテナ21は、バスを介して相互に接続されている。リーダライタ10は、読み取り処理装置の一例である。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理部を有する。制御部11は、ROM14A及びRAM14B等に予め記憶されている動作手順に従って、送受信部13及びアンテナ21を介してRFIDタグ50A〜50Dと無線通信を行うことにより、読み取り処理を行う。
通信部12は、ネットワーク40を介して、サーバ30との間でデータ通信を行う。通信部12としては、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を利用した通信を行うための通信モジュールを用いることができる。
送受信部13は、RFIDタグ50A〜50Dとの間でデータの送受信を行う。送受信部13によるデータの送受信の手順については後述する。
ROM14Aは、制御部11を動作させるために必要な制御プログラムを格納する。ROM14Aに格納される制御プログラムは、制御部11によって実行される際に、RAM14Bに展開される。
RAM14Bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、又はフラッシュメモリ等であればよい。
RAM14Bには、制御部11が制御プログラムを実行する際に発生するデータが一時的に記憶される。RAM14Bに記憶されるデータとしては、例えば、RFIDタグ50A〜50DのID、又は、制御プログラムの実行に必要な各種パラメータ等がある。
リーダライタ10は、具体的には、例えば、以下の手順により、送受信部13及びアンテナ21を介してRFIDタグ50A〜50Dとの間でデータの送受信を行う。
まず、リーダライタ10は、アンテナ21の読み取り可能領域23(図1参照)に存在するRFIDタグ50A〜50Dの探索(インベントリ)を行う。リーダライタ10が送信した探索コマンドを受信したRFIDタグ50A〜50Dは、ICチップに電流が供給されて動作可能になると、探索コマンドへの応答として自己のIDを表すIDデータをリーダライタ10に送信する。これにより、リーダライタ10は、RFIDタグ50A〜50DのIDを識別する。
リーダライタ10が探索コマンドを送信する際に、アンテナ21の読み取り可能領域23に複数のRFIDタグ50A〜50Dが存在する場合には、複数のRFIDタグ50A〜50Dが探索コマンドへの応答を同時に送信すると、互いの応答が干渉してリーダライタ10が応答を受信できない状況が発生しうる。このような状況は、各RFIDタグ50A〜50Dの応答が衝突することによって生じる。
このため、RFIDタグ50A〜50D及びリーダライタ10には、上述のように応答を受信できない状況を未然に回避するための機能が実装されている。
衝突が発生すると、リーダライタ10とRFIDタグ50A〜50Dとの間で定められた衝突回避プロトコルに従って、RFIDタグ50A〜50Dからの応答の抑制等が行われ、リーダライタ10は、RFIDタグ50A〜50Dから順番にIDを含む応答を受信する。これにより、RFIDタグ50A〜50Dからの応答の衝突を回避でき、各RFIDタグ50A〜50DのIDを受信することによって識別が行われる。
RFIDタグ50A〜50DがIDの他に物品等のデータを保持する場合には、リーダライタ10とRFIDタグ50A〜50Dとの間でさらにデータ読取コマンドやデータ書込コマンドを送受信することで、データの読み出しや書き込みを行うことができる。
リーダライタ10は、事前に指定された条件に従って探索コマンドを繰り返し発信する。RFIDタグ50A〜50Dは、探索コマンドを受信するたびに、記憶しているID等のデータを送信する。
従って、リーダライタ10が探索コマンドを発信するたびに、アンテナ21の読み取り可能領域23に存在するRFIDタグ50A〜50Dが応答し、電波環境に問題がなければ、各々のRFIDタグ50A〜50Dが応答した回数分のデータをリーダライタ10が受信することになる。
サーバ30は、制御部31、通信部32、記憶装置33A、ROM33B、RAM33C、表示部34、及び操作部35を含む。制御部31、記憶装置33A、通信部32、ROM33B、RAM33C、表示部34、及び操作部35は、バスを介して相互に接続されている。
制御部31は、CPU又はMPU等の演算処理部を有する。制御部31がMPUを有する場合は、ROM33B及びRAM33Cは制御部31に組み込まれていてもよい。
制御部31は、所定のタイミングに従って、記憶装置33A又はROM33Bに格納されている制御プログラムをRAM33Cに読み出して実行するとともに、通信部32及び表示部34等の動作を制御する。
制御部31は、リーダライタ10の制御部11が読み取り処理で生成する応答信号を受信し、応答信号に含まれるRFIDタグのIDを管理用のデータベースに登録する。
通信部32は、ネットワーク40を介してリーダライタ10とデータ通信を行い、リーダライタ10が読み取ったRFIDタグ50のデータを受信する。通信部32としては、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を利用した通信を行うための通信モジュールを用いることができる。
記憶装置33Aは、ハードディスク又はフラッシュメモリのような不揮発性の記憶装置である。記憶装置33Aには、RFIDタグの管理用のデータベース、サーバ30を動作させるために必要な種々の制御プログラム、及び事前に蓄積してあるデータ等が格納されている。
ROM33Bは、制御部31を動作させるために必要な制御プログラムを格納する。ROM33Bに格納される制御プログラムは、制御部31によって実行される際に、RAM33Cに展開される。
RAM33Cは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、又はフラッシュメモリ等であればよい。
RAM33Cには、制御部31が制御プログラムを実行する際に発生する種々のデータが一時的に記憶される。RAM33Cに記憶される種々のデータとしては、例えば、リーダライタ10から受信した応答信号に含まれるRFIDタグ50のID、又は、制御プログラムの実行に必要な各種パラメータ等がある。応答信号に含まれるRFIDタグ50のIDは、RAM33Cに一時的に記憶された後に、記憶装置33Aのデータベースに登録される。
表示部34は、例えば、液晶ディスプレイであり、制御部31からの指令に従って、サーバ30の動作状況、操作部35を介して入力された情報、操作者に対して通知すべき情報等を表示する。
操作部35は、サーバ30の操作者がサーバ30を操作するための入力インターフェースであり、例えば、キーボードとマウスである。
また、表示部34及び操作部35は、操作者とのインターフェースである。ネットワーク40を介して他の機器に情報等の表示を行う場合は、サーバ30が表示部34を有しなくてもよい。同様に、ネットワーク40を介して他の機器からサーバ30に操作用の入力を行う場合は、サーバ30が操作部35を有しなくてもよい。
なお、図1及び図2には、一例として、リーダライタ10にサーバ30が接続されており、サーバ30がRFIDタグ50のIDを受信する形態を示すが、リーダライタ10にサーバ30が接続されていなくてもよい。
例えば、リーダライタ10に表示部を設け、リーダライタ10で読み取ったRFIDタグ50のIDを表示部に表示してもよい。また、このような表示部を有するリーダライタ10は、携帯型の端末機であってもよい。
また、リーダライタ10とサーバ30を一体化してもよい。
次に、図3を用いて、実施の形態1のRFIDタグシステム1に含まれるRFIDタグ50について説明する。
図3は、実施の形態1のRFIDタグ50を示す図であり、(A)は平面図、(B)はEPCコードを示す図、(C)は等価回路を示す図である。
図3(A)に示すように、RFIDタグ50は、基板51、アンテナ52、整合部53、及びIC(Integrated Circuit:集積回路)チップ54を含む。
基板51は、例えば、ポリイミド又はポリカーボネート等の樹脂製のシート状の基板である。基板51の表面(図3(A)に示す面)には、アンテナ52と整合部53がパターニングされるとともに、ICチップ54が実装される。
なお、図3(A)では、アンテナ52、整合部53、及びICチップ54の形状及び配置を示すために、アンテナ52、整合部53、及びICチップ54を覆うカバーを省略するが、基板51の表面(図3(A)に示す面)には、アンテナ52、整合部53、及びICチップ54を覆うカバーが接着剤等で貼り付けられる。また、カバーは、基板51の裏面(図3(A)に示す面の裏側の面)にも貼り付けられていてもよい。
アンテナ52は、アンテナエレメント52A、52Bを有する。アンテナ52は、例えば、銀ペースト又は銅箔等によって形成される。銀ペーストでアンテナ52を形成する場合は、例えば、スクリーン印刷法によって形成すればよい。また、銅箔でアンテナ52を形成する場合は、例えば、基板51の表面に貼り付けられた銅箔をウェットエッチング処理等でパターニングすることによって形成すればよい。
アンテナエレメント52Aは、一端52A1が整合部53に接続され、他端52A2は平面視で矩形の基板51の角部51Aの近傍までL字型に伸延している。アンテナエレメント52Aは、整合部53を介してICチップ54に接続されている。
同様に、アンテナエレメント52Bは、一端52B1が整合部53に接続され、他端52B2は平面視で矩形の基板51の角部51Bの近傍までL字型に伸延している。アンテナエレメント52Bは、整合部53を介してICチップ54に接続されている。
アンテナ52は、ダイポールアンテナであり、アンテナエレメント52Aの一端52A1と他端52A2との間の長さと、アンテナエレメント52Bの一端52B1と他端52B2との間の長さとの合計の長さが、RFIDタグ50の通信周波数(共振周波数)における波長λの半分の長さ(λ/2)になるように、設定されている。
整合部53は、アンテナ52とICチップ54との間に形成され、アンテナ52とICチップ54との間のインピーダンス整合を取るために配設される。整合部53は、整合エレメント53A、53B、53Cを有する。
整合エレメント53Aは、一端53A1がICチップ54の一方(図3中左側)の端子に接続され、他端53A2がアンテナエレメント52Aの一端52A1と整合部53Cとに接続されている。
整合エレメント53Bは、一端53B1がICチップ54の他方(図3中右側)の端子に接続され、他端53B2がアンテナエレメント52Bの一端52B1と整合部53Cとに接続されている。
整合部52Cは、整合部53Aの他端53A2と、整合部53Bの他端53B2との間を接続している。
整合部53は、アンテナ52と同様に、例えば、銀ペースト又は銅箔等によって形成される。整合部53は、アンテナ52と一体的に形成することができる。
ICチップ54は、基板51の表面に実装され、整合部53を介してアンテナエレメント52A、52Bに電気的に接続されており、固有のIDを表すデータと、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ50であることを表すデータとを内部メモリに格納している。ここでは、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ50であることを表すデータを、温度検出対応符号データと称する。
実施の形態1では、固有のIDを表すデータと、温度検出対応符号データとは、一例として、図3(B)に示すように、EPC(Electronic Product Code)コードの一部としてICチップ54の内部メモリに格納されていることとする。このEPCコードは、EPC形式のシリアルデータである。
すなわち、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ50のICチップ54の内部メモリに格納されるEPCコードには、固有のIDを表すデータと、温度検出対応符号データとが含まれる。なお、ここでは、温度検出と温度測定とは同義のこととして取り扱う。
ICチップ54の内部メモリには、EPCコードとして、固有のIDを表すデータ、及び、温度検出対応符号データ以外に、RFIDタグ50を取り付ける物品に関するデータ等を含ませることができる。このため、図3(B)には、ICチップ54の内部メモリに格納されるEPCデータのうちの一部である、固有のIDを表すデータと温度検出対応符号データのみを示す。ICチップ54の内部メモリは、EPCコード記憶部である。
なお、上記のような温度検出対応符号データを付加しなくても良い、例えば、温度検出に対応したRFIDタグ50の固有のIDを表すEPCコードを事前に、リーダライタ10の温度検出用データ130に登録しおき、RFIDタグ50を読み取った際に、温度検出対応タグとして判定してもよい。
ICチップ54は、アンテナ52を介してリーダライタ10からRF(Radio Frequency)帯域の読み取り用の信号を受信すると、受信信号の電力で作動し、IDを表すデータをアンテナ52を介して発信する。これにより、リーダライタ10でRFIDタグ50のIDを読み取ることができる。
ICチップ54は、環境温度によって静電容量が変化するキャパシタを内蔵する。このようなキャパシタとしては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛 [Pb(Zr,Ti)]: Lead Titanate Zirconate)キャパシタを用いることができる。PZTキャパシタは、環境温度が高くなると、静電容量が略線形的に増大する特性を有する。
また、RFIDタグ50の等価回路は、図3(C)に示す通りである。図3(C)には、RFIDタグ50のアンテナ52、整合部53、及びICチップ54を示す。
図3(C)に示すように、RFIDタグ50のアンテナ52と整合部53とを合わせた部分は、抵抗器RとインダクタLで表すことができ、RFIDタグ50のICチップ54は、抵抗器RcpとキャパシタCvで表すことができる。すなわち、アンテナ52と整合部53は、抵抗成分とインダクタンス成分を含んでおり、ICチップ54は、抵抗成分とキャパシタンス成分とで表すことができる。
ここで、抵抗器Rは抵抗値Rの抵抗器であり、インダクタLはインダクタンスがLのインダクタである。また、抵抗器Rcpは抵抗値Rcpの抵抗器であり、キャパシタCvはキャパシタンスがCvのキャパシタである。
また、一例として、アンテナ52と整合部53のインダクタLのインダクタンスLは22.5nH、抵抗器Rの抵抗値Rは1400Ω、ICチップ54の抵抗器Rcpの抵抗値Rcpは1400Ω、キャパシタCvのキャパシタンスCvは0.9pF〜1.1pFに設定することができる。
ICチップ54は、環境温度によって静電容量が変化するキャパシタを内蔵するため、キャパシタCvのキャパシタンスCvは、環境温度によって変化する。すなわち、キャパシタCvは、静電容量が環境温度によって変化するバリアブルキャパシタである。キャパシタCvは、環境温度の上昇に伴ってキャパシタンスCvが増大する特性を有する。
実施の形態1のRFIDタグシステム1では、リーダライタ10とRFIDタグ50との間の距離を一定にして、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取る。また、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取る際に、リーダライタ10が出力するRF帯域の読み取り用の信号の周波数は一定である。
RFIDタグ50は、上述のように環境温度によって静電容量が変化するICチップ54を含むため、RFIDタグ50の環境温度が変化すると、ICチップ54の静電容量が変化し、リーダライタ10とRFIDタグ50とのインピーダンスのマッチングがずれる。
ここで、リーダライタ10とRFIDタグ50とを所定の距離を隔てて配置した場合において、リーダライタ10に接続されるアンテナ21(図1参照)と、RFIDタグ50のアンテナ52との間での自由空間損失Lbは、次式(1)で求めることができる。
Lb=10log(4πD/λ)2 ・・・(1)
なお、式(1)において、Dはリーダライタ10に接続されるアンテナ21(図1参照)と、RFIDタグ50のアンテナ52との間の距離であり、λはRFIDタグ50の共振周波数における波長である。
また、RFIDタグ50の最小動作電力Pminは、次式(2)によって求めることができる。
Pmin=Ps−G−Lb ・・・(2)
ここで、式(2)において、Psは、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取る際に必要なリーダライタ10の最小出力である。また、Gは、リーダライタ10に接続されるアンテナ21(図1参照)の利得と、RFIDタグ50のアンテナ52の利得との合計値である。
RFIDタグ50の環境温度が変化して、ICチップ54の静電容量が変化すると、RFIDタグ50の共振周波数が僅かにずれるため、リーダライタ10とRFIDタグ50とのインピーダンスのマッチングがずれる。
リーダライタ10とRFIDタグ50とのインピーダンスのマッチングがずれると、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取ることのできる最小出力Psが変化する。
ここで、ICチップ54の静電容量が変化してRFIDタグ50の共振周波数が僅かにずれると、厳密には式(1)における波長λ(RFIDタグ50の共振周波数における波長)がずれるが、波長λの変化分は微少であるため、無視できるものとして取り扱う。
また、上述のように、実施の形態1のRFIDタグシステム1では、リーダライタ10に接続されるアンテナ21(図1参照)と、RFIDタグ50のアンテナ52との間の距離Dを一定にして、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取る。
すなわち、式(1)のDとλは固定値であるため、式(1)で求まる自由空間損失Lbは一定値であり、式(2)における自由空間損失Lbは一定値である。
また、式(2)において、リーダライタ10に接続されるアンテナ21(図1参照)の利得と、RFIDタグ50のアンテナ52の利得との合計値Gも一定値である。
従って、実施の形態1のRFIDタグシステム1では、リーダライタ10の出力を制御することにより、リーダライタ10の最小出力Psを検出すれば、式(2)からRFIDタグ50の最小動作電力Pminを算出することができる。
RFIDタグ50の最小動作電力Pminは、RFIDタグ50のICチップ54に含まれるPZTキャパシタの静電容量の温度特性によって決まる。このため、最小動作電力PminとRFIDタグ50の環境温度との関係を表すデータを予め取得しておけば、RFIDタグ50の最小動作電力Pminを検出することにより、RFIDタグ50の環境温度を測定(検出)することができる。
ここで、図4を用いて、RFIDタグ50の最小動作電力Pminと、RFIDタグ50の環境温度Tとの関係について説明する。なお、図4には、RFIDタグ50のICチップ54に含まれるPZTキャパシタの静電容量Cvの温度特性も示す。
図4は、RFIDタグ50の最小動作電力Pmin、RFIDタグ50の環境温度T、及びPZTキャパシタの静電容量Cvの関係を示す図である。
図4に示すように、環境温度Tが増大すると、PZTキャパシタの静電容量Cvは増大する。図4には、一例として、環境温度Tが−25℃のときにCvが約0.92(pF)になり、環境温度Tが25℃のときにCvが約1.00(pF)になり、環境温度Tが85℃のときにCvが約1.10(pF)になる、PZTキャパシタの静電容量Cvの温度特性を示す。
PZTキャパシタの静電容量Cvが温度上昇によって増大すると、RFIDタグ50の共振周波数が僅かにずれて、リーダライタ10とRFIDタグ50とのインピーダンスのマッチングがずれる。
このため、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取る際に必要なリーダライタ10の最小出力Psが変動し、これに伴ってRFIDタグ50の最小動作電力Pminが変動する。インピーダンスのマッチングが取れている状態から、RFIDタグ50の環境温度が変化すると、RFIDタグ50の最小動作電力Pminは増大する。
従って、図4に示すように、RFIDタグ50の最小動作電力Pminは、環境温度Tの上昇とともに増大する特性を示す。
図4に示す最小動作電力Pminの温度特性では、一例として、環境温度Tが−25℃のときに最小動作電力Pminが約−6.7dBmになり、環境温度Tが25℃のときに最小動作電力Pminが約−6.0dBmになり、環境温度Tが約85℃のときに最小動作電力Pminが約−5.0dBmになる。
実施の形態1のRFIDタグシステム1では、図4に示すような環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータをリーダライタ10で保持し、RFIDタグ50を読み取る際の最小動作電力Pminに基づいて、RFIDタグ50の環境温度を検出する。
環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータは、例えば、環境温度Tと最小動作電力Pminとを関連付けたテーブル形式のデータでもよいし、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表す式のデータでもよい。
いずれの形式のデータであっても、最小動作電力Pminをパラメータとして、環境温度Tが得られるデータであればよい。
次に、図5を用いて、上述のようなRFIDタグ50の最小動作電力Pminの検出を行うことができる実施の形態1のリーダライタ10の詳細な構成について説明する。
図5は、実施の形態1のリーダライタ10の機能ブロックを示す図である。図5に示す機能ブロックは、リーダライタ10の制御部11(図2参照)がROM14Aに格納される制御プログラムを実行することによって実現されるものである。
まず、前提条件として、リーダライタ10に接続されるアンテナ21と、RFIDタグ50のアンテナ52との間の距離Dは、一定に保持される。
リーダライタ10は、タグ検出部110、温度検出部120、及び温度検出用データ130を有する。
タグ検出部110は、例えば、C1G2規格によってRFIDタグ50を検出する検出部である。タグ検出部110は、探索(インベントリ)コマンドをアンテナ21から発信することによって探索(インベントリ)を行う。
タグ検出部110は、RFIDタグ50から探索コマンドへの応答としてのIDデータを受信し、RFIDタグ50のIDを識別する。
実施の形態1では、タグ検出部110は、RFIDタグが有するEPCコードに基づいて、温度検出に対応したRFIDタグ50であるか、又は、温度検出に対応していないRFIDタグであるかを判定する。
このような判定を行う際に、タグ検出部110は、温度検出用データ130に含まれる温度検出対応符号データを参照する。
温度検出部120は、検出部121、出力制御部122、再検出実行部123、最小動作電力算出部124、及び温度換算部125を有する。温度検出部120は、タグ検出部110によって、温度検出に対応していると判定されたRFIDタグ50に対して、温度検出を行うための処理を行う。
検出部121は、出力制御部122によって設定される出力で、RFIDタグ50を読み取れるか否かを判定することにより、RFIDタグ50を検出する。
出力制御部122は、リーダライタ10がアンテナ21によってRFIDタグ50を読み取るために探索コマンドを発信する出力を設定する。出力制御部122は、探索コマンドを発信する出力を段階的に低下させる。
再検出実行部123は、出力制御部122によって設定された出力で、RFIDタグ50を再度検出するための処理を実行する。
最小動作電力算出部124は、上述した式(2)に基づいて、RFIDタグ50の最小動作電力Pminを算出する処理を行う。
温度換算部125は、温度検出用データ130に含まれる、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータを用いて、RFIDタグ50の最小動作電力PminをRFIDタグ50の温度に換算する換算処理を行う。
温度検出用データ130は、図2に示すROM14AとRAM14Bとに格納されるデータのうち、RFIDタグ50の温度検出に必要なデータである。温度検出に必要なデータとしては、温度検出対応符号データ、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータ、及び、式(1)、(2)、(3)、(4)を表すデータがある。なお、式(3)、(4)については後述する。
温度検出対応符号データは、温度検出に対応したRFIDタグ50であることを示すデータであり、温度検出に対応したRFIDタグ50が有するEPCコードに含まれる固有のデータである。タグ検出部110がRFIDタグを読み取った際に、RFIDタグが有するEPCコードに、温度検出に対応したRFIDタグ50が有する固有のデータ(温度検出対応符号データ)が含まれていれば、タグ検出部110が読み取ったRFIDタグは、温度検出に対応した実施の形態1のRFIDタグ50であると判定される。
また、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータは、ここでは一例として、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表す式のデータであることとする。
次に、図6を用いて、実施の形態1のRFIDタグシステム1のリーダライタ10における温度検出処理について説明する。
図6は、実施の形態1のリーダライタ10で実行される温度検出処理を示すフローチャートである。図6に示す温度検出処理は、リーダライタ10の温度検出部120によって行われる。図6に示す温度検出処理は、実施の形態1の温度検出方法の処理内容を示す。
温度検出部120は、リーダライタ10の電源が投入されることにより、温度検出処理を開始する(スタート)。
温度検出部120は、まず、リーダライタ10の出力を最大値(Pmax)にして、RFIDタグを検出する(ステップS1)。
ここで、ステップS1で検出対象になるRFIDタグとしては、温度検出に対応した実施の形態1のRFIDタグ50と、温度検出に対応していないRFIDタグとがあり得る。温度検出に対応した実施の形態1のRFIDタグ50とは異なり、温度検出に対応していないRFIDタグがリーダライタ10で読み取られる場合もあり得るからである。
ステップS1では、まず、リーダライタ10で読み取りが可能なRFIDタグを検出する。ステップS1の処理は、温度検出部120の検出部121が行う処理であり、リーダライタ10の出力を最大値(Pmax)に設定するのは、温度検出部120の出力制御部122が行う処理である。
次に、温度検出部120は、ステップS1で検出したRFIDタグが、温度検出に対応したRFIDタグ50であるか否かを判定する(ステップS2)。温度検出に対応したRFIDタグ50であるか否かの判定は、ステップS1で検出したRFIDタグのEPCコードに、温度検出対応符号データが含まれるか否かに基づいて行われる。ステップS2の処理は、温度検出部120の検出部121が行う処理である。
温度検出部120は、ステップS2において、温度検出に対応したRFIDタグ50である(S2:YES)と判定した場合は、フローをステップS3に進行させる。
ステップS3では、温度検出部120は、出力制御部122によって現在設定されているリーダライタ10の出力Pで、RFIDタグ50を検出できるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3は、RFIDタグ50の最小動作電力Pminを検出するための処理である。ステップS3の処理は、温度検出部120の検出部121が行う処理である。
温度検出部120は、ステップS3でRFIDタグ50を検出した(S3:YES)と判定した場合は、フローをステップS4に進行させる。
ステップS4では、温度検出部120は、リーダライタ10の出力Pを1Unit分低下させる(ステップS4)。具体的には、温度検出部120は、次式(3)を用いてリーダライタ10の出力を設定する。式(3)を表すデータは、温度検出用データ130に含まれている。
P=Pmax−Unit×n ・・・(3)
ここで、Unitは、リーダライタ10の出力を段階的に低下させる際の低下単位であり、実施の形態1では、一例として0.1dBmに設定される。
また、nは、ステップS4の実行回数を表す1以上の自然数である。すなわち、1回目のステップS4の処理ではnは1であり、2回目のステップS4の処理ではnは2になる。この要領で、3回目以降も同様に、nの値は1つずつインクリメントされて行く。
ステップS4の処理は、リーダライタ10の出力Pを最大値Pmaxから段階的に低下させる処理であり、ステップS3においてRFIDタグ50が検出されなくなるまで行われる。ステップS4の処理は、RFIDタグ50の最小動作電力Pminを検出するために行われる処理である。ステップS4の処理は、温度検出部120の出力制御部122が行う処理である。
次いで、温度検出部120は、ステップS4において出力制御部122によって設定されたリーダライタ10の出力Pで、RFIDタグ50を再検出する(ステップS5)。
ステップS5の処理は、ステップS4で出力制御部122によって低下された出力Pで、RFIDタグ50を再度検出する(再度読み取る)ために行う処理である。ステップS5の処理は、温度検出部120の検出部121が行う処理である。
温度検出部120は、ステップS5の処理を実行すると、フローをステップS3にリターンする。ステップS3では、温度検出部120は、出力制御部122によって現在設定されているリーダライタ10の出力Pで、RFIDタグ50を検出できるか否かを判定する。
このようにステップS3からS5はループ処理になっているため、ステップS3からS5の処理は、ステップS3においてRFIDタグ50を検出しなかった(S3:NO)と判定されるまで、繰り返し実行される。
すなわち、ステップS3からS5はループ処理が繰り返される度に、ステップS4でリーダライタ10の出力が1Unit分(0.1dBm)ずつ低下され、ステップS3でRFIDタグ50を検出したか否かが判定される。
従って、ステップS3においてRFIDタグ50を検出しなかった(S3:NO)と判定されるのは、RFIDタグ50の最小動作電力Pminを下回ったときである。
温度検出部120は、ステップS3において、RFIDタグ50を検出しなかった(S3:NO)と判定すると、フローをステップS6に進行させる。
温度検出部120は、ステップS6において、次式(4)を用いて、RFIDタグ50を読み取るために必要なリーダライタ10の最小出力Psを算出するとともに、式(2)を用いて最小動作電力Pminを算出する(ステップS6)。
Ps=P+Unit ・・・(4)
なお、記述した式(2)は次の通りである。Pmin=Ps−G−Lb ・・・(2)
すなわち、式(4)は、直前のステップS3でRFIDタグ50を検出しなかったときのリーダライタ10の出力Pに、ステップS4で減じる1Unit分(0.1dBm)の出力を加算することにより、RFIDタグ50を読み取るために必要なリーダライタ10の最小出力Psを算出するための式である。
換言すれば、式(4)は、直前のステップS3でRFIDタグ50を検出しなかったときのリーダライタ10の出力Pに、ステップS4で減じる1Unit分(0.1dBm)の出力を加算することにより、ステップS3で最後にRFIDタグ50を検出したときのリーダライタ10の出力Pを最小出力Psとして算出するための式である。
このような式(4)を表すデータは、温度検出用データ130に含まれている。
ステップS6では、温度検出部120は、式(2)を用いて、最小出力PsからRFIDタグ50の最小動作電力Pminを算出する。
なお、ステップS6の処理は、温度検出部120の最小動作電力算出部124が行う処理である。
次いで、温度検出部120は、環境温度Tと最小動作電力Pminとの関係を表すデータを用いて、ステップS6で算出したRFIDタグ50の最小動作電力Pminを環境温度Tに換算する(ステップS7)。ステップS7の処理は、温度検出部120の温度換算部125が行う処理である。
ここで、例えば、最小出力Psが11.1dBm、リーダライタ10に接続されるアンテナ21の利得Gが1dBi、RFIDタグ50のアンテナ52との間での自由空間損失Lbが16.1dBであるとする。
自由空間損失Lbが16.1dBになるのは、一例として、リーダライタ10に接続されるアンテナ21と、RFIDタグ50のアンテナ52との間の距離Dが16cmであり、共振周波数が954MHzである場合に得られるである。自由空間損失Lbを求めるのに必要な波長λは、共振周波数を954MHzとして計算した値である。
このような場合には、式(2)から、最小動作電力Pminは、Pmin=11.1−1−16.1=−6dBmと求まる。この最小動作電力Pminは、+25℃の温度に換算される。
以上のように、実施の形態1のRFIDタグシステム1は、RFIDタグ50の環境温度の変化による最小動作電力Pminを検出することにより、RFIDタグ50の環境温度を測定(検出)することができる。
従って、実施の形態1によれば、利便性の高いRFIDタグシステム1、及び、RFIDタグ50を提供することができる。
このようなRFIDタグ50の温度の検出は、RFIDタグ50が複数ある場合においても同様に実現できる。
特に、実施の形態1のRFIDタグシステム1は、従来の高周波タグシステムのように、タグ(応答器)を検出するために、質問器の発信周波数を変更する必要がない。このため、実施の形態1のRFIDタグシステム1は、例えば、C1G2規格のように、標準化によって通信周波数が決められている環境下においても、RFIDタグ50の温度を検出することができる。
このため、例えば、食品又は精密機械のように輸送中に温度管理が必要な物品にRFIDタグ50を貼着すれば、物品の温度をリーダライタ10で検出することができる。
また、ここで、ICチップ(第1ICチップ)を有するRFIDタグに、もう一つのICチップ(第2ICチップ)と電源(電池)とを追加して、第2ICチップで温度を検出し、検出した温度を表すデータを第1ICチップの内部メモリに書き込み、応答信号とともにリーダライタに送信することにより、RFIDタグの温度を検出することが考えられる。
しかしながら、このような手法では、RFIDタグの製造コストが高く、かつ、電源(電池)の充電又はメンテナンス等で維持費がかかるという問題が生じる。
これに対して、実施の形態1のRFIDタグ50は簡易な構成で温度検出が可能であり、温度の検出は、リーダライタ10が最小動作電力に基づいて行うため、製造コストが低いRFIDタグシステム1を提供することができる。
また、以上では、読み取り処理装置の一例としてリーダライタ10を用いる形態について説明したが、読み取り処理装置としては、ライタ(データの書き込み装置)としての機能を有しない、リーダ(読み取り専用の処理装置)を用いてもよい。
また、以上では、最小動作電力Pminと環境温度Tの関係を表すデータをリーダライタ10で保持する形態について説明したが、最小動作電力Pminの代わりに、リーダライタ10でRFIDタグ50を読み取ることのできる最小出力Psを用いたデータをリーダライタ10で保持してもよい。
<実施の形態2>
図7は、実施の形態2のRFIDタグシステムに用いるRFIDタグ250を示す図であり、(A)は平面図、(B)は回路構成を示す図である。
図7(A)に示すように、RFIDタグ250は、基板51、アンテナ52、整合部53、IC(Integrated Circuit:集積回路)チップ254、及び可変キャパシタ255を含む。
実施の形態2のRFIDタグ250は、整合部53の整合エレメント53Aと53Bとの間に、可変キャパシタ255を接続した点が、実施の形態1のRFIDタグ50と異なる。
また、実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54は、環境温度によって静電容量が変化するPZTキャパシタを内蔵しているが、実施の形態2のRFIDタグ250のICチップ254は、PZTキャパシタの代わりに、環境温度によって静電容量が変化しないキャパシタを含む点が実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54と異なる。
その他の構成は、実施の形態1のRFIDタグ50と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、実施の形態2のRFIDタグシステムは、実施の形態1のRFIDタグシステム1に含まれるRFIDタグ50を、実施の形態2のRFIDタグ250に置き換えたものである。
ICチップ254は、実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54のPZTキャパシタを、環境温度によって静電容量が変化しないキャパシタに置き換えたものである。その他の構成は、実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54と同様であるため、ICチップ254は、固有のIDを表すデータと、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ250であることを表すデータ(温度検出対応符号データ)とを内部メモリに格納している。
可変キャパシタ255は、整合部53の整合エレメント53Aと53Bとの間に接続されている。より具体的には、可変キャパシタ255は、一端(図7中の左側の端子)が整合エレメント53Aの一端53A1と他端53A2との間に接続され、他端(図7中の右側の端子)が整合エレメント53Bの一端53B1と他端53B2との間に接続されている。すなわち、可変キャパシタ255は、整合部53を介して、ICチップ254の一対の端子254A、254Bの間に接続されている。
可変キャパシタ255は、環境温度によって静電容量が変化するキャパシタである。このようなキャパシタとしては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛 [Pb(Zr,Ti)]: Lead Titanate Zirconate)キャパシタを用いることができる。PZTキャパシタは、環境温度が高くなると、静電容量が略線形的に増大する特性を有する。これは、実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54に含まれるPZTキャパシタと同様である。
また、RFIDタグ250の回路構成は、図7(B)に示す通りである。図7(B)には、RFIDタグ250のアンテナ52、整合部53、ICチップ254、及び可変キャパシタ255を示す。
ICチップ254は、キャパシタ261、スイッチング素子262、ダイオード263、キャパシタ264、復調部265、クロック生成部266、変調部267、制御部268、メモリ269を含む。
キャパシタ261は、ICチップ254の内部インピーダンスのキャパシタ成分をキャパシタの記号で表したものである。キャパシタ261は、ICチップ254の一対の端子254A、254Bの間に接続されている。
スイッチング素子262は、主経路が一対の端子254A、254Bの間に接続されている。スイッチング素子262の主経路の入力側の端子(図7(B)中の下側の端子)は、端子254Aに接続され、スイッチング素子262の主経路の出力側の端子(図7(A)中の上側の端子)は、端子254Bに接続されている。また、スイッチング素子262の制御端子は、変調部267に接続されている。
例えば、スイッチング素子262がNMOSFET(N type Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合は、FETのゲートが変調部267に接続され、ソースが端子254Aに接続され、ドレインが端子254Bに接続される。
スイッチング素子262は、RFIDタグ250が自己のIDを表すIDデータをリーダライタ10に送信する際に、変調部267によってオン/オフの制御が行われることにより、ICチップ254から出力される応答信号を変調するために設けられている。
ダイオード263は、スイッチング素子262の主経路の出力側の端子(図7(B)の上側の端子)と、キャパシタ264の図7(B)における上側の端子との間に接続されている。ダイオード263の整流方向は、スイッチング素子262の主経路の出力側の端子(図7(B)の上側の端子)から、キャパシタ264の図7(B)における上側の端子に向かう方向である。
キャパシタ264は、RFIDタグ250が、リーダライタ10(図1、図2参照)から探索コマンドを受信したときに充電され、ICチップ254を駆動するための電力を蓄える。すなわち、キャパシタ264は、電源として機能する。
復調部265は、RFIDタグ250が、リーダライタ10(図1、図2参照)から探索コマンドを受信したときに、制御部268によって駆動され、探索コマンドを復調する。復調部265は、キャパシタ264から供給される電力によって駆動される。
クロック生成部266は、RFIDタグ250が動作する際のクロックを生成する部分である。クロック生成部266は、キャパシタ264から供給される電力により、制御部268によって駆動される。
変調部267は、RFIDタグ250が自己のIDを表すIDデータをリーダライタ10に送信する際に、スイッチング素子262のオン/オフの制御を行うことにより、ICチップ254の端子254A、254Bから出力される応答信号を変調するために設けられている。変調部267は、制御部268によって駆動され、応答信号を変調する。
制御部268は、復調部265、クロック生成部266、及び変調部267の駆動を行う。制御部268は、RFIDタグ250が探索コマンドを受信したときに復調部265とクロック生成部266の駆動を開始し、RFIDタグ250が応答信号をリーダライタ10に返信する際に、復調部267を駆動する。
制御部268は、メモリ269に格納されているIDを表すデータ、及び、温度検出対応符号データ等が応答信号に含まれるように、変調部267を駆動する。
メモリ269は、RFIDタグ250のIDを表すデータ、及び、温度検出対応符号データ等を格納するメモリである。メモリ269は、不揮発性のメモリであればよい。
このようなICチップ254の端子254A、254Bの間に、可変キャパシタ255は接続されている。可変キャパシタ255は、ICチップ254の内部のキャパシタ261と並列に接続されている。
従って、可変キャパシタ255の容量は、実施の形態1のRFIDタグ50のICチップ54に含まれるPZTキャパシタの静電容量Cvから、キャパシタ261の静電容量Ccpを減じた値に設定すればよい。すなわち、可変キャパシタ255の静電容量をCadとすると、Ccp+Cad=Cvが成り立つように、可変キャパシタ255の可変容量Cadを設定すればよい。
以上のように、実施の形態2のRFIDタグ250では、ICチップ254の端子254A、254Bの間には、環境温度によって静電容量が変化する可変キャパシタ255が接続されている。可変キャパシタ255の静電容量Cadは、環境温度によって変化する。可変キャパシタ255の静電容量Cadは、環境温度の上昇に伴って増大する特性を有する。
RFIDタグ250の環境温度が変化して、可変キャパシタ255の静電容量が変化すると、RFIDタグ250の共振周波数が僅かにずれるため、リーダライタ10とRFIDタグ250とのインピーダンスのマッチングがずれる。
リーダライタ10とRFIDタグ250とのインピーダンスのマッチングがずれると、リーダライタ10でRFIDタグ250を読み取ることのできる最小出力Psが変化する。
従って、実施の形態2のRFIDタグ250を含むRFIDタグシステムでは、リーダライタ10の出力を制御することにより、リーダライタ10の最小出力Psを検出すれば、RFIDタグ250の最小動作電力Pminを算出することができる。
そして、RFIDタグ250の最小動作電力Pminに基づき、実施の形態1と同様に、温度を検出することができる。
なお、実施の形態2では、RFIDタグ250が可変キャパシタ255を有する形態について説明したが、実施の形態1のRFIDタグ50に可変キャパシタ255を追加してもよい。すなわち、環境温度によって静電容量が変化するICチップ54を含むRFIDタグ50に可変キャパシタ255を追加して、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ50を構築してもよい。
<実施の形態3>
図8は、実施の形態3のRFIDタグシステムに用いるRFIDタグ350を示す図であり、(A)は平面図、(B)は等価回路を示す図である。図9は、RFIDタグ350の最小動作電力Pminと環境温度Tの関係を示す図である。
図8(A)に示すように、RFIDタグ350は、基板51、アンテナ52、整合部53、ICチップ254、及び可変抵抗器355を含む。
実施の形態3のRFIDタグ350は、整合部53の整合エレメント53Aと53Bとの間に、可変抵抗器355を接続した点が、実施の形態2のRFIDタグ250と異なる。
その他の構成は、実施の形態2のRFIDタグ250と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、実施の形態3のRFIDタグシステムは、実施の形態1のRFIDタグシステム1に含まれるRFIDタグ50を、実施の形態3のRFIDタグ350に置き換えたものである。
可変抵抗器355は、整合部53の整合エレメント53Aと53Bとの間に接続されている。より具体的には、可変抵抗器355は、一端(図8中の左側の端子)が整合エレメント53Aの一端53A1と他端53A2との間に接続され、他端(図8中の右側の端子)が整合エレメント53Bの一端53B1と他端53B2との間に接続されている。すなわち、可変抵抗器355は、整合部53を介して、ICチップ254の一対の端子254A、254Bの間に接続されている。
図8(B)に示すように、RFIDタグ350のアンテナ52、整合部53、及び可変抵抗器355を合わせた部分は、抵抗器R、RvとインダクタLで表すことができ、RFIDタグ350のICチップ254は、抵抗器RcpとキャパシタCcpで表すことができる。抵抗器Rvは、可変抵抗器355であり、可変抵抗器355は抵抗値がRvの可変抵抗器である。可変抵抗器355の抵抗値は、環境温度の増大によって低下する。
このように、アンテナ52、整合部53、及び可変抵抗器355は、抵抗成分とインダクタンス成分を含んでおり、ICチップ254は、抵抗成分とキャパシタンス成分とで表すことができる。
ここで、一例として、アンテナ52と整合部53のインダクタLのインダクタンスLは22.5nH、抵抗器Rの抵抗値Rは1400Ω、可変抵抗器Rvの抵抗値Rvは4956Ω〜86Ω、ICチップ254の抵抗器Rcpの抵抗値Rcpは1400Ω、キャパシタCvのキャパシタンスCvは1.0pFに設定することができる。可変抵抗器Rvの抵抗値Rvは、温度の低下に伴い、4956Ω〜86Ωに変化する。4956Ωは、環境温度が−25℃のときの抵抗値であり、86Ωは、環境温度が75℃のときの抵抗値である。
以上のような実施の形態3のRFIDタグ350をリーダライタ10(図1、図2参照)で読み取る際には、RFIDタグ350の環境温度の変化により、可変抵抗器355の抵抗値Rvが変化する。可変抵抗器355の抵抗値Rvは、温度の上昇に伴い低下する。
このため、実施の形態3のRFIDタグ350を読み取るために必要なリーダライタ10の最小出力Psは、RFIDタグ350の環境温度の増大に伴って増大する。これは、RFIDタグ350の環境温度の増大に伴い、可変抵抗器355の抵抗値Rvが低下すると、リーダライタ10でRFIDタグ350を読み取る際に必要な電力が増大するからである。
このように、RFIDタグ350の環境温度の増大に伴ってリーダライタ10の最小出力Psが増大すると、RFIDタグ350の最小動作電力Pminは、図9に示すようにRFIDタグ350の環境温度Tの増大に伴って増大することになる。図9には、一例として、環境温度Tが約−30℃のときに最小動作電力Pminが約−6dBmであり、環境温度Tが約80℃のときに、最小動作電力Pminが約1dBmである温度特性を示す。
従って、RFIDタグ350を含む実施の形態3のRFIDタグシステムでは、RFIDタグ350の環境温度の変化による最小動作電力Pminを検出することにより、実施の形態1と同様に、RFIDタグ350の環境温度を測定(検出)することができる。
従って、実施の形態3によれば、利便性の高いRFIDタグシステム、及び、RFIDタグ350を提供することができる。
なお、以上では、可変抵抗器355を含む形態について説明したが、可変抵抗器355の代わりに、温度上昇に伴って抵抗値の低下するサーミスタを用いてもよい。
また、実施の形態3では、RFIDタグ350が可変抵抗器355を有する形態について説明したが、実施の形態1のRFIDタグ50又は実施の形態2のRFIDタグ250に、可変抵抗器355を追加してもよい。
すなわち、環境温度によって静電容量が変化するICチップ54を含むRFIDタグ50、又は、環境温度によって静電容量が変化する可変キャパシタ255を含むRFIDタグ250に、可変抵抗器355を追加して、温度検出(温度測定)に対応したRFIDタグ50又は250を構築してもよい。
また、実施の形態1のRFIDタグ50に、可変キャパシタ255と可変抵抗器355を追加してもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態のRFIDタグシステム、RFIDタグ、及び、温度検出方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
ICチップを有し、環境温度に応じて最小動作電力が変化するRFIDタグと、
前記RFIDタグに対して一定の距離を隔てて配設され、前記RFIDタグの最小動作電力に基づいて前記RFIDタグの温度を検出する読み取り処理装置と
を含む、RFIDタグシステム。
(付記2)
前記RFIDタグの前記ICチップは、温度依存性のあるキャパシタ成分を含む、付記1記載のRFIDタグシステム。
(付記3)
前記RFIDタグは、前記ICチップの一対の端子間に接続され、温度依存性のあるキャパシタをさらに有する、付記1又は2記載のRFIDタグシステム。
(付記4)
前記RFIDタグは、前記ICチップの一対の端子間に接続され、温度依存性のある抵抗器又はサーミスタをさらに有する、付記1乃至3のいずれか一項記載のRFIDタグシステム。
(付記5)
前記読み取り処理装置は、前記RFIDタグの最小動作電力と、前記RFIDタグの温度とを関連付けたデータを格納する格納部を有し、
前記RFIDタグを読み取る際に検出する前記RFIDタグの最小動作電力を用いて、前記格納部に格納されるデータを参照することにより、前記RFIDタグの温度を検出する、請求項1乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグシステム。
(付記6)
ICチップと、
前記ICチップに接続されるアンテナと
を含み、一定の距離を隔てて配設される読み取り処理装置によって最小動作電力が読み取られるRFIDタグであって、環境温度に応じて最小動作電力が変化する、RFIDタグ。
(付記7)
環境温度に応じて最小動作電力が変化するRFIDタグに対して一定の距離を隔てて配設され、前記RFIDタグの最小動作電力に基づいて前記RFIDタグの温度を検出する、読み取り処理装置。
(付記8)
環境温度に応じて最小動作電力が変化するRFIDタグを、前記RFIDタグに対して一定の距離を隔てて配設される読み取り処理装置で読み取る段階と、
前記RFIDタグの最小動作電力に基づいて、前記RFIDタグの温度を検出する段階と
を含む、温度検出方法。