以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す医療機器監視システム1(以下、監視システム1と称する)は、多数の医療機器90の稼働状態や故障の有無を離れた場所から監視するためのシステムである。監視システム1は、例えば比較的規模の大きい病院等において導入されることを想定している。監視システム1の監視対象となる医療機器90は、例えば輸液ポンプやシリンジポンプ、超音波管理者側装置等、病院内を移動して使用するものであって、かつ、商用電源を使用するものである。
図1に示すように、医療機器監視システム1は、複数の機器側ユニット10と、少なくとも1台の管理者側装置20と、を含んで構成されている。各機器側ユニット10及び管理者側装置20は、建物内に張り巡らされた商用電源の電力線81に接続される。各機器側ユニット10と管理者側装置20とは、電力線通信方式によって、電力線81を介して相互に通信可能に構成されている。
まず、機器側ユニット10について、図1及び図2を参照して説明する。機器側ユニット10は、図2に示すように、ケース11、ユニット側差込口12、及びユニット側プラグ13を有している。ケース11は、例えば金属又は樹脂製の容器で、機器側ユニット10の外殻を構成する。ユニット側差込口12は、ケース11に設けられており、医療機器90のコンセントプラグ91が挿抜可能となっている。また、ユニット側プラグ13は、ケース11から延び出るように構成されており、コンセント差込口82に挿抜可能に構成されている。コンセント差込口82は、例えば建物の壁面や床面に固定された一般的なコンセント差込口であり、電力線81に接続されている。
この場合、医療機器90のコンセントプラグ91やコンセント差込口82の具体的形状は、国や地域毎に異なる形状に規格化されている。このため、ユニット側差込口12及びユニット側プラグ13の形状は、医療機器監視システム1を使用する国や地域に応じて、コンセントプラグ91やコンセント差込口82の具体的形状に合わせて適宜変更される。
ユニット側差込口12とユニット側プラグ13とは、ケース11内において、電気的に繋がっている。このため、医療機器90のコンセントプラグ91がユニット側差込口12に差し込まれ、かつ、ユニット側プラグ13がコンセント差込口82に差し込まれると、医療機器90に対して、電力線81からの電力供給が可能になる。
図2に示すように、機器側ユニット10は、電流検出部14、制御部15、ID記憶部16、ユニット側通信部17、及び電源回路18を有している。電流検出部14は、ケース11内に設けられており、ユニット側差込口12とユニット側プラグ13との間を流れる電流を検出することで、機器側ユニット10に接続された医療機器90の消費電流値を計測することができる。電流検出部14は、例えばカレントトランス及びADコンバータで構成することができるが、この構成に限られない。
制御部15は、例えばCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部15は、ID記憶部16及びユニット側通信部17の各処理を制御する。ID記憶部16は、例えば制御部15の記憶領域の一部で構成されており、機器側ユニット10に接続される医療機器90に対応した識別情報つまりIDを記憶する。
ID記憶部16に記憶される識別情報は、機器側ユニット10に接続される医療機器90に応じて変更されるものであっても良いし、機器側ユニット10の各固体に固有のものであっても良い。本実施形態の場合、ID記憶部16に記憶される識別情報は、機器側ユニット10の各固体に固有のものである。以下の説明では、機器側ユニット10の識別情報を、ユニットIDとも称する。
管理者側装置20は、機器側ユニット10の各個体に固有の識別情報つまりユニットIDと、その機器側ユニット10に接続される医療機器90の固体とを紐付して、その紐付された機器側ユニット10の識別情報を記憶する。これにより、管理者側装置20は、機器側ユニット10の識別情報を、その機器側ユニット10に接続された医療機器90の識別情報とみなすことができるようになる。すなわち、これにより、管理者側装置20は、機器側ユニット10の識別情報を基に、その機器側ユニット10に接続された医療機器90を識別することができるようになる。
ユニット側通信部17は、各種情報を、電力線通信方式により、電力線81を介して管理者側装置20と通信することができる。この場合、ユニット側通信部17は、ID記憶部16が記憶している識別情報つまりユニットIDと、電流検出部14で検出した医療機器90の消費電流値とを、電力線通信方式の信号に変換して、電力線81を介して管理者側装置20に対して送信する。
電源回路18は、コンセント差込口82にユニット側プラグ13が差し込まれて商用電源の電力線81に接続された際に、電力線81からの電力を、電流検出部14や制御部15等に駆動電力として供給するためのものである。すなわち、この場合、機器側ユニット10は、商用電源の電力線81から電力供給を受けて駆動する。なお、機器側ユニット10は、電源回路18に換えて又は電源回路18と共に、機器側ユニット10を駆動させるための充電池を有していても良い。
また、機器側ユニット10は、非常ボタン19を有している。非常ボタン19は、例えば図2に示すように、スイッチ191を操作するための機械的なボタンである。スイッチ191は、例えばユニット側差込口12とユニット側プラグ13との間に設けられた機械的スイッチである。スイッチ191は、常時閉状態で、かつ、非常ボタン19が操作された場合に開状態となる。ユーザによって非常ボタン19が操作されると、スイッチ191が開状態となり、これによりユニット側差込口12とユニット側プラグ13との間が遮断される。その結果、商用電源の電力線81から医療機器90に対する電力供給が遮断される。
また、非常ボタン19は、制御部15に接続されている。非常ボタン19が操作されると、制御部15は、非常ボタン19が操作されたことを検出する。そして、制御部15は、ユニット側通信部17によって、非常ボタン19が操作された旨を、ID記憶部16に記憶されている識別情報とともに、電力線81を介して管理者側装置20へ送信する。
次に、管理者側装置20について、図3〜図20も参照して説明する。管理者側装置20は、図3に示すように、管理者側通信部21と、管理者側端末30と、を有している。管理者側通信部21は、電力線通信方式による通信が可能であると共に、商用電源の電力線81から電力供給を受けて駆動する。
すなわち、管理者側通信部21は、コンセント差込口82に挿抜可能な管理者側プラグ211を有している。管理者側プラグ211がコンセント差込口82に差し込まれると、管理者側通信部21と電力線81とが接続される。これにより、管理者側通信部21は、電力線81から電力供給を受けて駆動可能になると共に、各種情報を、電力線通信方式により電力線81を介して機器側ユニット10と通信可能となる。この場合、管理者側通信部21は、機器側ユニット10から送信されたユニットID及び消費電流値の信号を受信し、その信号を、管理者側端末30が認識可能な形式に変換する。
なお、管理者側通信部21は、図1及び図3に示すように、管理者側端末30とは別体に構成されていても良いし、管理者側端末30に組み込まれていても良い。管理者側通信部21と管理者側端末30とが別体に構成されている場合、実施形態の監視システム1が病院内等で使用されるという事情を考慮すると、管理者側通信部21と管理者側端末30とは、例えば有線LANやUSBケーブル等によって相互に接続されていることが好ましい。しかし、これに限られず、管理者側通信部21と管理者側端末30とは、無線LAN等によって相互に接続されていても良い。
管理者側端末30は、例えば一般的なパソコンや、いわゆるスマートフォン等の高機能携帯情報端末等で構成することができる。詳細は図示しないが、管理者側端末30は、管理者側プラグ211と異なるプラグによって電力線81と接続されて、電力線81から駆動用の電力の供給を受けても良い。また、管理者側端末30は、例えば駆動用の充電池を有していても良い。更に、管理者側端末30は、管理者側プラグ211及び管理者側通信部21を介して電力線81から駆動用の電力の供給を受けても良い。
管理者側端末30は、図3に示すように、入出力機器として、入力部31、モニタ32、及びスピーカ33を備えている。入力部31は、例えばマウスやキーボード、タッチパネル等であり、ユーザからの管理者側端末30に対する各種入力操作を受け付ける。モニタ32は、ユーザに対して各種情報を画像として提示すなわち報知する。スピーカ33は、ユーザに対して各種情報を音声として提示すなわち報知する。この場合、モニタ32及びスピーカ33は、報知部として機能する。
管理者側端末30は、制御部40、表示処理部41、ID設定処理部42、稼働状態監視処理部43、及び故障診断処理部44を有している。制御部40は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、管理者側端末30全体の制御を司っている。制御部40の図示しない記憶領域は、稼働状態監視プログラム及び故障診断プログラムを記録している。
制御部40は、図示しないCPUにおいて稼働状態監視プログラムを実行することにより、表示処理部41、及びID設定処理部42に加え、稼働状態監視処理部43を、ソフトウェアによって仮想的に実現する。また、制御部40は、図示しないCPUにおいて故障診断処理プログラムを実行することにより、表示処理部41、及びID設定処理部42に加え、故障診断処理部44を、ソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、表示処理部41、ID設定処理部42、稼働状態監視処理部43、及び故障診断処理部44の全部又は一部を、例えば制御部40と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
表示処理部41は、モニタ32に対して、各種情報の表示処理を行う。ID設定処理部42は、ID設定処理を実行可能である。ID設定処理は、図4に示すように、機器側ユニット10の識別情報であるユニットIDを、その機器側ユニット10に接続されている医療機器90に紐付けして記憶する処理である。これにより、ユニットIDと医療機器90とは、1対1の関係に紐付けされる。この場合、ユニットIDは、例えば図4に示すように、各機器側ユニット10の各固体に固有の連番に設定されている。
ユニットIDと医療機器90との紐付け処理は、ユーザが入力部31を用いて医療機器90の情報を直接入力することで行っても良い。また、ユニットIDと医療機器90との紐付け処理は、例えば機器側ユニット10と医療機器90とにRFタグやバーコード若しくは二次元コードの情報媒体を設けておき、管理者側端末30によって両者の情報媒体を読み込むことで行っても良い。
ID設定処理部42は、機器側ユニット10のユニットIDと共に、その機器側ユニット10に接続されている医療機器90の種類及び機種を記憶する。本実施形態において、医療機器90の種類とは、各医療機器90をその使用目的や採用されている機構等に応じて分類したものであり、本実施形態における分類の最も上位の概念である。医療機器90の種類としては、例えば輸液ポンプやシリンジポンプ、超音波管理者側装置等がある。
また、本実施形態において、医療機器90の機種とは、上述した種類の下位の概念に属するものであり、例えば医療機器90の型式等に応じて分類される。本実施形態の場合、輸液ポンプであれば、例えば「YP−100」と「YP−200」の2機種が存在する。また、シリンジポンプであれば、例えば「SP−100」の1機種が存在する。そして、超音波診断装置であれば、例えば「SU−100」と「SU−200」の2機種が存在する。
以下では、まず、稼働状態監視処理部43について説明する。稼働状態監視処理部43は、各医療機器90の現在及び現在までの稼働状態を監視する処理を行う。稼働状態監視処理部43は、図3に示すように、貸出先登録処理部431、閾値設定処理部432、状態判断処理部433、稼働データ記憶処理部434、未稼働機器抽出処理部435、及び要回収機器抽出処理部436を含んでいる。
貸出先登録処理部431は、貸出先登録処理を実行可能である。貸出先登録処理は、図5に示すように、各医療機器90に対応するユニットIDつまり医療機器90が接続された機器側ユニット10のユニットIDと、その医療機器90の貸出先とを紐付けして記憶する処理である。すなわち、貸出先登録処理部431は、各医療機器90の貸出先を登録し記憶する。貸出先の登録は、例えばユーザが入力部31を用いて医療機器90の貸出先を直接入力することで行うことができる。なお、貸出先を登録する代わりに、機器側ユニット10に位置情報検出機能を設けても良い。また、本実施形態の場合、貸出先登録処理部431は、図5に示すように、各医療機器90の貸出先と共に、その医療機器90の貸し出しを開始した貸出開始日も記憶する。
閾値設定処理部432は、各医療機器90について閾値設定処理を実行する。閾値設定処理は、各医療機器90について稼働状態を判別するための閾値を設定する処理である。例えば医療機器90の消費電流値が図6の消費電流値Iのような推移を示すものである場合、閾値設定処理部432は、第1閾値S1及び第2閾値S2の設定を行う。この場合、第1閾値S1は、暗電流値とスタンバイ電流値との間に設定されている。また、第2閾値S2は、スタンバイ電流値と稼働電流値との間に設定されている。
この場合、暗電流値とは、医療機器90の電源がOFFの状態(以下、「電源OFF」の状態と称する)における消費電流値を意味する。スタンバイ電流値とは、医療機器90の電源がONされた状態でかつ医療機器90が稼働せずに待機している状態(以下、「スタンバイ」の状態と称する)における消費電流値を意味する。そして、稼働電流値とは、医療機器90の電源がONされた状態でかつ医療機器90が実際に稼働している状態(以下、「稼働中」の状態と称する)における消費電流値を意味する。
なお、各閾値S1、S2の具体的な値は、医療機器90の種類や機種に応じて適宜変更される。また、各閾値S1、S2は、医療機器90の機種等に応じて予め設定された値とすることができる。更には、閾値設定処理部432は、例えばユーザからの入力に基づいて閾値S1、S2を設定しても良いし、医療機器90の電流値を一定期間計測し、その計測結果を機械学習させることで閾値S1、S2を設定しても良い。また、閾値S1、S2は、ある特定の値に限られず、一定の幅つまり範囲を有していても良い。
状態判断処理部433は、各医療機器90について稼働状態判断処理を実行する。稼働状態判断処理は、機器側ユニット10から受信した電流値及びユニットIDに基づいて、各医療機器90の稼働状態を判断する処理である。本実施形態において、状態判断処理部433は、「電源OFF」の状態と「スタンバイ」の状態と「稼働中」の状態と、の3種類の稼働状態を判断する。この場合、状態判断処理部433は、機器側ユニット10から受信したユニットIDに基づいて、そのユニットIDに紐付けされた医療機器90に対応する閾値S1、S2を選択する。そして、状態判断処理部433は、機器側ユニット10から受信した医療機器90の消費電流値と、閾値S1、S2とを比較する。
医療機器90の現在の消費電流値Iが閾値S1未満であれば、状態判断処理部433は、現在その医療機器90が「電源OFF」の状態であると判断する。医療機器90の現在の消費電流値Iが閾値S1以上でかつ閾値S2未満であれば、状態判断処理部433は、現在その医療機器90が「スタンバイ」の状態であると判断する。そして、医療機器90の現在の消費電流値Iが閾値S2以上であれば、状態判断処理部433は、現在その医療機器90が「稼働中」の状態であると判断する。
また、状態判断処理部433は、機器側ユニット10から電流値及びユニットIDを受信していない医療機器90については、「未接続」の状態であると判断する。この場合、「未接続」の状態とは、医療機器90に接続された機器側ユニット10が、電力線81に接続されていない状態を意味する。
稼働データ記録処理部434は、各医療機器90について稼働データ記憶処理を実行する。稼働データ記憶処理は、状態判断処理部433で判断された各医療機器90の稼働状態に基づいて、各医療機器90の現在までの稼働状態を経時的に蓄積した稼働データを記録する処理である。
例えば本実施形態において、稼働データ記憶処理部434は、図7に示すように、現時点の稼働状態を基に、過去数日間に亘る各医療機器90の稼働時間を、その医療機器90の稼働データとして記録する。本実施形態の場合、医療機器90が「稼働中」となっている時間が、稼働時間として記録される。また、稼働データには、「稼働中」となっている時間だけでなく、例えば「稼働中」となっている日付や時刻、更には「電源OFF」や「スタンバイ」、及び「未接続」の各状態となっている時間や日時を含めることができる。また、稼働時間には、「スタンバイ」状態となっている時間を含めても良い。
未稼働機器抽出処理部435は、各医療機器90について未稼働機器抽出処理を実行する。未稼働機器抽出処理は、各医療機器90のうち未稼働の状態が所定以上の期間継続された医療機器90を抽出する処理である。本実施形態の場合、未稼働機器抽出処理部435は、現時点から遡って過去1日間、「稼働中」の状態にならなかった医療機器90を抽出する。
例えば図7の例では、ユニットID「004」の超音波診断装置、及びユニットID「009」の輸液ポンプは、本日及び1日前のいずれにおいても、稼働時間が0となっている。この場合、未稼働機器抽出処理部435は、ユニットID「004」の超音波診断装置と、ユニットID「009」の輸液ポンプと、を未稼働機器として抽出する。
要回収機器抽出処理部436は、各医療機器90について要回収機器抽出処理を実行する。要回収機器抽出処理は、貸し出された各医療機器90のうち、回収が必要な医療機器90を抽出する処理である。本実施形態の場合、要回収機器抽出処理部436は、例えば貸し出されてから所定回数又は所定期間使用されてメンテナンスが必要な状態となっている医療機器90を抽出する。なお、以下の説明では、各医療機器90の1回の貸し出しにおいて、回収することなく連続して使用できる回数又は期間を、使用可能回数又は使用可能期間と称する。
例えば、輸液ポンプの「YP−100」について、使用可能期間が4日間に設定されている場合について見る。この場合、現在の日付が「20XX年10月12日」であるとすると、図5の例では、ユニットID「006」の輸液ポンプが、貸出開始日から5日間経過している。そのため、要回収機器抽出処理部436は、現在貸し出されている各医療機器90のうち、貸出開始日から使用可能期間を経過したユニットID「006」の輸液ポンプを、要回収機器として抽出する。なお、貸し出されてからメンテナンスを行うまでに使用可能な所定回数や所定期間は、医療機器90の種類や機種に応じて適宜設定される。
表示処理部41は、図8に示すように、医療機器90に関する情報として、各医療機器90の種類と機種と貸出先と現在の稼働状態とを含む情報を、ユニットIDと共に、管理者側端末30のモニタ32に表示する処理を実行する。その際、表示処理部41は、各医療機器90に関する情報を、医療機器90の種類毎、機種毎、稼働状態毎、又は貸出先毎に並べてモニタ32に表示することができる。
図8の例では、モニタ32には、各医療機器90に関する情報が、医療機器90の種類毎に並べて、各医療機器90の現在の稼働状態と貸出先とが表示されている。この場合、各医療機器90に関する情報は、種類毎でかつユニットIDの順に並ばれている。そのため、同一種類の医療機器90ついて見ると、稼働状態の異なる医療機器90がまとまり無く並んで表示されている。例えば輸液ポンプについて見ると、各輸液ポンプに関する情報は、機種「YP−100」及び「YP−200」を混在させた状態でユニットIDの順に並べて表示されている。
そこで、表示処理部41は、図9に示すように、各医療機器90に関する情報を、医療機器90の種類毎、機種毎、稼働状態毎、及び貸出先毎に並べてモニタ32に表示する処理を実行可能である。すなわち、この場合、各医療機器90に関する情報は、種類毎、機種毎、稼働状態毎、貸出先毎の順に優先して並べられる。例えば図9の例において輸液ポンプについて見ると、各輸液ポンプに関する情報は、機種「YP−100」及び「YP−200」毎に各機種のユニットIDの順に並べて表示されている。
また、表示処理部41は、図10に示すように、各医療機器90に関する情報を、稼働状態毎に並べてモニタ32に表示させても良い。この場合、各医療機器90に関する情報は、稼働状態毎、種類毎、機種毎、貸出先毎の順に優先して並べられる。また、表示処理部41は、図11に示すように、各医療機器90に関する情報を、貸出先毎に並べてモニタ32に表示させても良い。この場合、各医療機器90に関する情報は、貸出先毎、稼働状態毎、種類毎、機種毎の順に優先して並べられる。
これら図8〜図11の処理は、自動で行われても良いし、例えばユーザが入力部31を用いて、「種類」、「機種」、「稼働状態」、又は「貸出先」を選択することで行われても良い。すなわち、モニタ32上でユーザが「種類」を選択すると、各医療機器90の情報は種類毎に表示され、「機種」を選択すると、各医療機器90の情報は機種毎に表示される。また、モニタ32上でユーザが「稼働状態」を選択すると、各医療機器90の情報は稼働状態毎に表示され、「貸出先」を選択すると、各医療機器90の情報は貸出先毎に表示される。このように、ユーザは、種類毎、機種毎、稼働状態毎、貸出先毎の表示を、任意に切り替えることができる。
表示処理部41は、図12に示すように、各医療機器90の種類毎又は機種毎に、各医療機器90の稼働データをまとめて図形としてモニタ32に表示する処理を実行することができる。図12は、各医療機器90の現在の稼働データとして、機種毎の稼働率(%)をグラフ図形で示した例である。この場合、稼働率とは、現在貸し出されている同一機種に属する医療機器90の数に対して、現在稼働中の医療機器90の割合を示すものである。
表示処理部41は、図13に示すように、未稼働機器抽出処理部435で抽出された医療機器90に関する情報を、他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理を実行可能である。例えば図7の例において、未稼働機器抽出処理部435は、上述したように、ユニットID「004」の超音波診断装置と、ユニットID「009」の輸液ポンプと、を未稼働機器として抽出する。
そして、表示処理部41は、図13に示すように、ユニットID「009」の輸液ポンプ及びユニットID「004」の超音波診断装置に関する情報を、例えば背景色を他の医療機器90のものと変えたり文字を太くしたりして強調し、他の医療機器90と区別できるような態様でモニタ32に表示する。また、この場合、表示処理部41は、未稼働機器として抽出されたユニットID「004」の超音波診断装置及びユニットID「009」の輸液ポンプに関する情報を並べてモニタ32に表示させたり、未稼働機器として抽出されたユニットID「004」の超音波診断装置及びユニットID「009」の輸液ポンプに関する情報のみをモニタ32に表示させたりしても良い。これらの処理は、自動又は入力部31に対するユーザの操作に基づいて行われる。
また、表示処理部41は、要回収機器抽出処理部436で抽出された医療機器90に関する情報を、他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理を実行可能である。例えば図5の例において、要回収機器抽出処理部436は、上述したように、ユニットID「006」の輸液ポンプを、要回収機器として抽出する。
この場合、表示処理部41は、図14に示すように、ユニットID「006」の輸液ポンプに関する情報を、例えば背景色を他の医療機器90のものと変えたり文字を太くしたりして強調して、他の医療機器90と区別できるような態様でモニタ32に表示する。この処理は、自動又は入力部31に対するユーザの操作に基づいて行うことができるが、自動で行われることが好ましい。この場合、モニタ32に対する表示と共に、スピーカ33から注意音を発生させて、要回収機器が存在する旨をユーザに報知しても良い。また、この場合、表示処理部41は、各医療機器90に関する情報として、その医療機器90の前回の使用日時や現在の稼働状態を併せて表示させても良い。
また、表示処理部41は、例えば図15に示すように、特定の日の稼働時間を降順又は昇順に並べて、各医療機器90に関する情報を表示させることができる。この場合、特定の日は、ユーザが入力部31を操作すること等によって任意に設定することができる。
次に、故障診断処理部44について説明する。故障診断処理部44は、各医療機器90について、現在の故障状況を診断すると共に、故障の予兆を検出して将来の故障を予測する処理を行う。故障診断処理部44、図3に示すように、遷移範囲取得処理部441、故障判断処理部442、予兆範囲設定処理部443、及び故障予兆判断処理部444を含んでいる。
遷移範囲取得処理部441は、各医療機器90について遷移範囲取得処理を実行可能である。遷移範囲取得処理は、各医療機器90が正常に稼働している状態における消費電流値の遷移の範囲である電流遷移範囲を取得する処理である。遷移範囲取得処理部441は、機器側ユニット10の電流検出部14で検出された各医療機器90の消費電力値を機械学習させることによって、各医療機器90の電流遷移範囲を取得する。
遷移範囲取得処理部441は、例えば次のようにして、各医療機器90の正常時における電力遷移範囲を取得する。すなわち、遷移範囲取得処理部441は、医療機器90が始めて使用されてから複数回の使用に亘って、消費電力値のデータを蓄積する。そして、遷移範囲取得処理部441は、蓄積された消費電力値のデータを機械学習によってクラスタリングする。本実施形態の場合、図16に示すように、電源OFF状態のクラスC1と、スタンバイ状態のクラスC2と、稼働状態のクラスC3と、の3つのクラスに分類される。なお、クラスタリングの結果は、対象とする医療機器90の種類や機種によって変わり、4つ以上のクラスに分類される場合もある。
ここで、図16に示す稼働状態のクラスC3の例について見る。この場合、遷移範囲取得処理部441は、図17に示すように、稼働状態のクラスC3における消費電力値の累積データDから、その累積データDの回帰直線Pを求める。そして、遷移範囲取得処理部441は、回帰直線Pを基準とした所定範囲を、その医療機器90の稼働状態における表皮電流値の電流遷移範囲H1として設定する。電流遷移範囲H1は、正常時の医療機器90において、稼働状態の消費電力値の累積データDが所定の割合で収束する範囲である。この場合、回帰直線Pから電流遷移範囲H1の上限値までの幅と、回帰直線Pから電流遷移範囲H1の下限値までの幅とは、同一である場合もあるし、異なる場合もある。また、回帰直線P及び電流遷移範囲H1は、各医療機器90の個体毎に設定しても良いし、同一の機種間で共有しても良い。
故障判断処理部442は、故障判断処理を実行可能である。故障判断処理は、電流検出部14で検出された電流値が、電流遷移範囲H1から外れているか否かによって、その医療機器90が現在故障しているか否かを判断する処理である。すなわち、医療機器90の消費電流値が電流遷移範囲H1内に収まっている場合、故障判断処理部442は、その医療機器90が正常であると判断する。一方、医療機器90の消費電流値が電流遷移範囲H1から外れている場合、故障判断処理部442は、その医療機器90に故障が発生していると判断する。
そして、故障判断処理部442によって医療機器90が故障と判断された場合に、表示処理部41は、医療機器90が故障である旨、及びその故障が発生した医療機器90に対応したユニットIDを、モニタ32に表示させる処理を実行する。
例えばユニットID「006」の輸液ポンプが故障と判断された場合、表示処理部41は、図18に示すように、医療機器90に故障が発生した旨を報知する情報として例えば「故障発生!!」の文字を、各医療機器90に関する情報の文字よりも大きな文字でかつ異なる色で、モニタ32に表示させる。また、この場合、表示処理部41は、故障が発生したユニットID「006」の輸液ポンプに関する情報を、例えば背景色を他の医療機器90のものと変えたり文字を太くしたりして強調して、他の医療機器90と区別できるような態様でモニタ32に表示する。なお、スピーカ33から注意音を発生させて、医療機器90に故障が発生した旨をユーザに報知しても良い。
予兆範囲設定処理部443は、予兆範囲設定処理を実行可能である。予兆範囲設定処理は、電流遷移範囲H1の上限値及び下限値から所定の範囲内を、医療機器90に故障の予兆が発生したことを検出するための予兆範囲H2として設定する処理である。予兆範囲H2は、電流遷移範囲H1内にあって、電流遷移範囲H1の上限値及び下限値から例えば10%程度の範囲内に設定される。予兆範囲H2は、例えば医療機器90の消費電流値が予兆範囲H2に入った場合に、所定期間内に所定の確率でその医療機器90に故障が起こると予測される範囲である。
この場合、電流遷移範囲H1の上限値側の予兆範囲H2の幅と、電流遷移範囲H1の下限値側の予兆範囲H2の幅とは、同一である場合もあるし、異なる場合もある。予兆範囲H2は、機械学習によって取得しても良いし、予めユーザ等によって設定された値でも良い。また、予兆範囲H2は、各医療機器90の個体毎に設定しても良いし、同一の機種間で共有しても良い。
故障予兆判断処理部444は、故障予兆判断処理を実行可能である。故障予兆判断処理は、電流検出部14で検出された電流値が予兆範囲H2内に入った場合に、医療機器90の故障の予兆を検出したと判断する処理である。そして、故障予兆判断処理部444によって医療機器90の故障の予兆が検出されたと判断された場合、表示処理部41は、医療機器90に故障の予兆が検出された旨、及びその故障の予兆が検出された医療機器90に対応したユニットIDを、モニタ32に表示させる処理を実行する。
例えばユニットID「006」の輸液ポンプについて故障の予兆が検出された場合、表示処理部41は、図19に示すように、医療機器90について故障の予兆が検出された旨を報知する情報として例えば「故障予兆!!」の文字を、例えば各医療機器90に関する情報の文字よりも大きな文字でかつ異なる色でモニタ32に表示させる。また、この場合、表示処理部41は、故障の予兆が検出されたユニットID「006」の輸液ポンプに関する情報を、例えば背景色を他の医療機器90のものと変えたり文字を太くしたりして強調して、他の医療機器90と区別できるような態様でモニタ32に表示する。なお、スピーカ33から注意音を発生させて、医療機器90に故障の予兆が検知された旨をユーザに報知しても良い。
また、表示処理部41は、非常ボタン19が操作された場合に、非常ボタン19が操作された旨、及び操作された非常ボタン19に対応する医療機器90に対応したユニットIDをモニタ32に表示させる。
例えばユニットID「006」の輸液ポンプが接続された機器側ユニット10の非常ボタン19が操作された場合、その機器側ユニット10の制御部15は、非常ボタン19が操作された旨を、ユニットIDと共に管理者側装置20に送信する。これにより、管理者側端末30は、ユニットID「006」の輸液ポンプが接続された機器側ユニット10の非常ボタン19が操作された旨、及びそのユニットID「006」を受信する。
すると、管理者側端末30の表示処理部41は、図20に示すように、機器側ユニット10の非常ボタン19が操作された旨を報知する情報として「非常ボタン操作有り!!」の文字を、例えば各医療機器90に関する情報の文字よりも大きな文字でかつ異なる色でモニタ32に表示させる。そして、表示処理部41は、ユニットID「006」の輸液ポンプに関する情報を、例えば背景色を他の医療機器90のものと変えたり文字を太くしたりして強調して、他の医療機器90と区別できるような態様でモニタ32に表示する。なお、スピーカ33から注意音を発生させて、非常ボタン19が操作された旨をユーザに報知しても良い。
そして、図2に示す非常ボタン19が操作されると、スイッチ191が開状態となり、これによりユニット側差込口12とユニット側プラグ13との間を遮断される。すると、商用電源の電力線81から医療機器90に対する電力供給が遮断される。その結果、操作された非常ボタン19が設けられた機器側ユニット10に接続された医療機器90、この場合、ユニットID「006」の輸液ポンプの電源が落ちて停止する。
以上説明した実施形態によれば、医療機器監視システム1は、複数の機器側ユニット10と、管理者側装置20と、を備えている。各機器側ユニット10は、監視対象となる複数の医療機器90について、各医療機器90と商用電源の電力線81との間にそれぞれ接続される。管理者側装置20は、電力線81を介して各機器側ユニット10から受信した各医療機器90の消費電力値に基づいて、各医療機器90の状態を判断し監視する。
機器側ユニット10は、電流検出部14、ID記憶部16、及びユニット側通信部17を有している。電流検出部14は、医療機器90の消費電流を検出する。ID記憶部16は、医療機器90に対応した識別情報この場合ユニットIDを記憶する。ユニット側通信部17は、管理者側装置20に対してユニットID及び医療機器90の消費電流値を電力線通信方式により電力線81を介して送信する。
管理者側装置20は、管理者側通信部21、入力部31、モニタ32、及び稼働状態監視処理部43を有している。管理者側通信部21は、医療機器90に対応したユニットID及び医療機器90の消費電流値を電力線通信方式により前記電力線を介して受信する。入力部31は、ユーザからの操作を受け付ける。モニタ32は、ユーザに対して情報を表示する。
稼働状態監視処理部43は、貸出先登録処理部431、閾値設定処理部432、状態判断処理部433、及び表示処理部41を有している。貸出先登録処理部431は、医療機器90が接続された機器側ユニット10のユニットIDと、その医療機器90の貸し出し先と、を紐付けして記憶する処理を行う。閾値設定処理部432は、各医療機器90について稼働状態を判別するための閾値S1、S2を設定する処理を行う。状態判断処理部433は、機器側ユニット10から受信した医療機器90の消費電流値及びその機器側ユニット10のユニットIDに基づいて、各医療機器90の稼働状態を判断する処理を行う。そして、表示処理部41は、各医療機器90についてその種類と機種と貸出先と稼働状態とを含む情報を、医療機器90の種類毎、機種毎、稼働状態毎、又は貸出先毎に並べてモニタ32に表示する処理を実行することができる。
これによれば、管理者側装置20は、電力線通信方式によって既存の電力線81を介して各医療機器90が接続された機器側ユニット10と通信することで、各医療機器90を監視することができる。そのため、例えばLANケーブルや同軸ケーブル等の通信配線を敷設するための工事を行うことなく、医療機器監視システム1を導入することができるため、医療機器監視システム1の導入費用を極力低く抑えることができる。この場合、例えば管理者側装置20と機器側ユニット10との間で無線通信を行うことも考えられる。しかしながら、無線通信では、病院内には壁等の電波遮蔽物が多数存在する他、無線通信に用いる電波が医療機器の動作に悪影響を与えてしまうおそれがある。一方、本実施形態によれば、壁等の電波遮蔽物や、電波による影響等を考慮する必要がないため、より容易に医療機器監視システム1を導入することができる。
ここで、機器側ユニット10の識別情報つまりユニットIDと、その機器側ユニット10に接続される医療機器90の種類や機種とは相関性が無い。そのため、各医療機器90に関する情報を、例えばユニットIDの順に並べて表示すると、その表示内容は一貫性が無いものとなるため、その表示内容はユーザにとって見やすいとは言い難い。そして、貸出中の医療機器90の数が増えると、その表示内容は更に見難くなる。そのため、この場合、ユーザは、モニタ32の表示内容を見ても、どの医療機器90が現在使用されていないか等を一見して把握することが難しい。
一方、本実施形態によれば、モニタ32には、各医療機器90の情報が、各医療機器90の種類毎又は機種毎に並べて表示される。このため、貸出中の医療機器90が多数存在している場合であっても、ユーザは、目的とする医療機器90の種類又は機種の集合体を見ることで、目的とする医療機器90の稼働状態を容易に把握することができる。
稼働状態監視処理部43は、稼働データ記録処理部434を更に有している。稼働データ記録処理部434は、状態判断処理部433で判断された各医療機器90の稼働状態に基づいて、各医療機器90の現在までの稼働状態を蓄積した稼働データを記録する処理を実行する。そして、表示処理部41は、図12に示すように、医療機器90の種類毎又は機種毎に稼働データをまとめて図形としてモニタ32に表示する処理を実行することができる。これによれば、ユーザは、各医療機器90の稼働状態を一見して把握し易くなるため、各医療機器90の貸し出しの管理をより効率的に行うことができる。
稼働状態監視処理部43は、未稼働機器抽出処理部435を更に有している。未稼働機器抽出処理部435は、各医療機器90のうち未稼働の状態が所定以上の期間継続された医療機器90を抽出する処理を実行することができる。そして、表示処理部41は、図13に示すように、未稼働機器抽出処理部435で抽出された医療機器90に関する情報を、他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理を実行することができる。これによれば、ユーザは、どの医療機器90が現在使用されておらず回収可能であるかを一見して把握し易くなるため、各医療機器90の貸し出しの管理を更に効率的に行うことができる。
稼働状態監視処理部43は、要回収機器抽出処理部436を更に有している。要回収機器抽出処理部436は、貸し出された各医療機器90のうち回収が必要な医療機器90を抽出する処理を実行することができる。そして、表示処理部41は、要回収機器抽出処理部436で抽出された医療機器90に関する情報を、他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理を実行可能である。これによれば、ユーザは、どの医療機器90を回収すべきかを一見して把握し易くなるため、各医療機器90の貸し出しの管理を更に効率的に行うことができる。
また、管理者側装置20は、管理者側通信部21、入力部31、モニタ32の他、故障診断処理部44を有している。故障診断処理部44は、遷移範囲取得処理部441、及び故障判断処理部442を有している。遷移範囲取得処理部441は、医療機器90が正常に稼働している状態における消費電流値の遷移の範囲である電流遷移範囲H1を、電流検出部14で検出された医療機器90の消費電力値を機械学習させることによって取得する処理を実行することができる。故障判断処理部44は、電流検出部14で検出された消費電流値が電流遷移範囲H1から外れているか否かによって、医療機器90が故障しているか否かを判断する処理を実行することができる。
そして、表示処理部41は、医療機器90が故障と判断された場合に、医療機器90が故障である旨をモニタ32に表示する処理、又は故障と判断された医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理、の少なくとも一方を実行することができる。本実施形態の場合、表示処理部41は、医療機器90が故障である旨をモニタ32に表示する処理、及び故障と判断された医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示する処理、の両方を実行することができる。
これによれば、ユーザは、医療機器90から離れた場所に設置された管理者側装置20を監視することで、各医療機器90の故障を把握することができる。すなわち、ユーザは、各医療機器90の実際の使用現場に行くことなく、各医療機器90の故障を容易に監視することができる。そのため、ユーザは、医療機器90に故障が生じた場合に素早い対応が可能となり、その結果、各医療機器90の管理をより安全に効率的に行うことができる。
故障診断処理部44は、予兆範囲設定処理部443、及び故障予兆判断処理部444を更に有している。予兆範囲設定処理部443は、電流遷移範囲H1の上限値及び下限値から所定の範囲内を、医療機器90に故障の予兆が発生したことを検出するための予兆範囲H2として設定する処理を実行することができる。故障予兆判断処理部444は、電流検出部14で検出された消費電流値が予兆範囲H2内に入った場合に医療機器90の故障の予兆を検出したと判断する処理を実行することができる。
そして、表示処理部41は、故障予兆判断処理部444で故障の予兆が検出されたと判断した場合に、医療機器90について故障の予兆が検出された旨をモニタ32に表示させる処理、又は故障の予兆が検出された医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示させる処理、の少なくとも一方を実行することができる。本実施形態の場合、表示処理部41は、医療機器90について故障の予兆が検出された旨をモニタ32に表示させる処理、及び故障の予兆が検出された医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示させる処理、の両方を実行することができる。
これによれば、ユーザは、各医療機器90に実際に故障が生じる前に、その故障を予測することができる。そのため、ユーザは、故障の予兆が検出された医療機器90の使用を停止したりメンテナンスを行ったりすることで、故障が生じる前の素早い対応が可能となる。この結果、各医療機器90の管理を更に安全に効率的に行うことができる。
機器側ユニット10は、非常ボタン19を更に有している。非常ボタン19は、ユーザによって操作可能に設けられている。非常ボタン19は、ユーザによって操作された場合に、管理者側装置20に対して電力線81を介して操作された旨を送信することができる。そして、表示処理部41は、非常ボタン19が操作された場合に、非常ボタン19が操作された旨をモニタ32に表示させる処理、又は操作された非常ボタン19に対応する医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示させる処理、の少なくともいずれか一方を実行することができる。
本実施形態の場合、表示処理部41は、図20に示すように、非常ボタン19が操作された場合に、非常ボタン19が操作された旨をモニタ32に表示させる処理、及び操作された非常ボタン19に対応する医療機器90に関する情報を他の医療機器90に関する情報と区別できる態様でモニタ32に表示させる処理、の両方を実行することができる。
これによれば、例えば医療機器90を使用する患者に緊急事態が生じた場合に、患者やその周囲の人が非常ボタン19を操作することで、その患者の非常事態等を医療機器90の管理者に知らせることができる。その結果、患者の安全性も向上させることができる。これは、例えば近くにナースコールが設置されていない場所で医療機器90が使用されている場合等においてより有効である。
非常ボタン19は、操作された場合に商用電源の電力線81から医療機器90に対する電力供給を遮断する。これによれば、医療機器90に異常が発生した場合に、患者やその周囲の人が非常ボタン19を操作することで、医療機器90の動作を停止させることができる。これにより、その結果、患者の安全性を更に向上させることができる。
なお、本発明の実施形態は、上記し且つ図面に記載した一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。