JP6227241B2 - イオン移動度飛行時間型質量分析用のデータ取得モード - Google Patents

イオン移動度飛行時間型質量分析用のデータ取得モード Download PDF

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Description

本発明は一般に、イオン移動度による分離と飛行時間型の質量分析との組合せを利用したスペクトル測定データの取得に関し、より具体的には、スペクトルの複雑な逆畳込み(deconvolution)を必要としないデータの取得に関する。
ドリフト型のイオン移動度(ion mobility)(IM)スペクトロメータを飛行時間型の質量分析器(time−of−flight mass spectrometer)(TOF MS)と組み合わせて、問題の分析物に関する固有の2次元情報を提供することができる。組み合わされたIM−TOFシステム(以後、組合せIM−TOFシステム)では、イオンを移動度によって分離し、その後にそれらのイオンをTOF MS内へ送達し、TOF MSで、それらのイオンをその飛行時間に基づいて質量分解し、検出器へ送達する。これらの2つの分離技法をタンデム(tandem)で実行することは、ポリヌクレオチド、タンパク質、炭水化物などの生体高分子の分析において特に有用である。これは、IM分離によって追加される次元が、互いに異なる分子であるが、重なり合う質量ピークを示す大きなイオンを質量分解するのに役立つことがあるためである。
IMおよびTOF MSはともに高速の分離技法であり、それらの技法を互いに概ね両立できるようにする一般的なタイミングパラメータを有するが、これらの技法はともに、従来法に従って「パルスアンドウェイト(pulse and wait)」(または「インジェクトアンドウェイト(inject and wait))アプローチを用いて実施すると本来的に低いデューティサイクルに関係づけられる。このパルスアンドウェイトアプローチでは、イオンパケットがIMスペクトロメータのドリフト管内へ注入された後、ドリフト管からの最初のイオンパケットの流出が完了するまで、次のイオンパケットが注入されない。この流出の完了には数百ミリ秒かかることがある。TOF MSでは、パルスアンドウェイトアプローチにおいて、直前のTOF注入パルスの最も遅いイオンが検出器に到達するまで、TOF注入パルスが加えられない。このパルスアンドウェイトアプローチは、スペクトルの重なりを回避し、それによって調査中の試料からの質量スペクトルの構造を単純にするために従来から実行されているが、既に述べたとおり、このアプローチではデューティサイクルが低くなる。
組合せIM−TOFシステムでは、IMドリフト管から流出したイオンがTOF MSのパルサ(pulser)内へ送達され、パルサは、それらのイオンをTOF MSの飛行管内へ注入する。飛行管を通過して検出器に到達するまでのイオンの飛行時間は数マイクロ秒程度であり、しばしば、IMドリフト管を通過するドリフト時間よりも2桁または3桁速い。許容可能なレベルの検出感度を提供し、過剰な量のイオンを失うこと(すなわちパルサを通して送達されたイオンがTOF MSの飛行管内へ注入されないこと)を防ぐためには、パルサが、パルスアンドウェイトアプローチの周波数よりもより高い周波数で動作する必要がある。IM機器を「多重化」または「オーバーサンプリング」し(すなわちそれぞれのイオンパケットの全流出時間よりも速い速度でイオンパケットをIMドリフト管内へ注入し)、TOF MSを「多重化」または「オーバーパルシング」する(すなわちそれぞれのイオンパケットの全飛行時間よりもよりも速い速度でイオンパケットをTOF MSの飛行管内へ注入する)ことによって、組合せIM−TOFシステムの全体的なデューティサイクルを向上させることができる。多重化により、感度およびスループットを増大させることができ、イオンの損失を減らすことができるが、従来の方法では、多重化が、完全なデータを回復し、意味のある質量スペクトルを生み出すために、IMスペクトルとTOFスペクトルの両方の複雑な逆畳込み技法(例えばフーリエ変換技法、アダマール(Hadamard)変換技法、疑似ランダムシーケンシングなど)を必要とする。2重(IMおよびTOF)スペクトル逆畳込みは、高価な電子機器およびかなりのリアルタイム計算資源を必要とすることがある。
したがって、イオン移動度飛行時間型質量分析を実現する解決策であって、2重スペクトル逆畳込みによる複雑化を伴うことなく感度を最大にする解決策を提供することが求められている。
上記の課題の全てまたは一部に対処するため、および/または当業者によって見出されている可能性がある他の課題に対処するため、本明細書の開示は、後述する実施態様に例示的に記載された方法、プロセス、システム、装置、機器および/またはデバイスを提供する。
一実施形態によれば、スペクトル測定データを取得する方法は、イオン移動度(IM)ドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップと、イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、それぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップと、イオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達(transmit)するステップと、パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析計の飛行管内へ送達するステップであり、パルサ内へ送達された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離するステップと、飛行管から検出器にイオンが到達したときにイオンを検出するステップと、イオンを検出する前に、それぞれのイオンパケット中のイオンを選択された質量範囲に隔離するステップであり、飛行管内のそれぞれのイオンパケットが、残りのイオンパケットのイオンと同じ選択された質量範囲のイオンを含み、飛行管内での連続したイオンパケット間の重なりが最小化されるステップとを含む。
他の実施形態によれば、スペクトル測定データを取得する方法は、イオン移動度(IM)ドリフト管内へイオンパケットを注入するステップと、イオンが前記IMドリフト管内でドリフトしているときに、イオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップと、イオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析計の飛行管内へ送達するステップであり、パルサ内へ送達された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離するステップと、イオンがTOF質量分析器の検出器に到達したときに、TOFに従って分離されたイオンパケットのイオンを検出するステップと、イオンを検出する前に、それぞれのイオンパケット中のイオンを連続する質量範囲に隔離するステップであり、それぞれの連続する質量範囲が直前の質量範囲よりも高い質量範囲であり、それぞれの質量範囲の幅が、飛行管内での連続したイオンパケット間の重なりを最小化するように選択されたステップとを含む。
いくつかの実施形態では、それぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離した後に、イオンパケットを質量フィルタ(mass filter)に通すことによってイオンが隔離され、パルサ内へ送達されるイオンパケットが、質量フィルタに通されたイオンパケットである。
いくつかの実施形態では、パルサからイオンパケットを抽出した後に、ドリフト管内に配置された質量フィルタにイオンパケットを通すことによってイオンが隔離される。
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴および利点は当業者には明らかであり、または当業者が以下の図および詳細な説明を検討すれば明らかになる。このような全ての追加のシステム、方法、特徴および利点は、この説明に含まれ、本発明の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
本発明は、以下の図を参照することによってより十分に理解することができる。図中の構成要素は一様な尺度では必ずしも描かれておらず、それよりも本発明の原理を示すことに重点が置かれている。図中、異なる全ての図を通して、同様の参照符号は対応する部分を示している。
本明細書に記載された方法を実施する際に利用することができるイオン移動度飛行時間型質量分析器(IM−TOF MS)の一例の略図である。 (A)多重化を使用したときの図1に示されたものなどのIM−TOF MSの飛行管内への飛行時間注入、(B)多重化を使用しない飛行時間注入、(C)多重化を使用したときのIM−TOF MSのイオン移動度ドリフト管内への注入、および(D)多重化を使用しないイオン移動度ドリフト管内への注入に対する一般的なタイミングシーケンスを示す図である。 高頻度の(多重化された)注入速度でIM注入を実行し、TOF抽出を多重化しなかったときに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。 本明細書に記載された動作モードの実現に関連してIM注入とTOF抽出の両方を多重化したときに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。 本明細書に記載された動作モードに基づく質量フィルタリングを使用してIM−TOF MSを動作させた結果として取得することができるTOFスペクトルの一例である。 IMドリフト管内への単一の注入から、TOF抽出を多重化することなしに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。 本明細書に記載された動作モードの実現に関連してTOF抽出を多重化したときにIMドリフト管内への単一の注入から取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。 本明細書に記載された方法を実施する際に利用することができるIM−TOF MSの他の例の略図である。 (A)図6に示したIM−TOF MSのイオンパルサに印加されるTOF電圧および(B)図6に示したIM−TOF MSのブラッドバリー−ニールセンゲート(Bradbury−Nielsen gate)または類似のイオン光学デバイスに印加される偏向電圧の一般的なタイミングシーケンスを示す図である。
本明細書の開示は、分析物イオンからスペクトル測定データを取得する方法、装置およびシステムを記載する。これらの方法、装置およびシステムは、ドリフト型のイオン移動度(IM)分離と飛行時間型の質量分析(TOF MS)との組合せを実現する。これらの方法、装置およびシステムは、比較的に幅の広いイオン隔離窓(または範囲)を用いた質量フィルタリングを使用することによって、タンデム構成の両方の分離技法の完全な感度の潜在性の使用を可能にすることができる。以下に、実施形態の例を図1〜7に関して説明する。それらの実施形態は少なくとも2つの動作モードを含む。1つのモードは、質量フィルタを利用して、データ取得の全行程にわたって一定である選択されたm/z範囲(または「質量」範囲)内のイオンにイオンパケットを限定することを伴う。他のモードは、質量フィルタを利用して、データ取得の全行程にわたって変化するm/z範囲内のイオンにイオンパケットを限定することを伴う。
図1は、本明細書に記載された方法を実施する際に利用することができるハイブリッド(またはタンデムまたは組合せ)イオン移動度飛行時間型質量分析器(IM−TOF MS)システム100の一例の略図である。IM−TOF MSシステム100は一般にイオン源104、IMスペクトロメータ108、質量フィルタ112、TOF MS114およびシステムコントローラ118を含む。IMシステムおよびTOF MSシステムの構成要素の動作および設計は当業者に概ね知られており、したがって本明細書で詳細に説明する必要はないことに気づくであろう。その代わりに、本明細書では、本明細書に開示された方法の理解を容易にするために、ある種の構成要素を簡潔に説明する。
イオン源104は、IM動作およびTOF動作に適した任意のタイプの連続ビーム源またはパルスイオン源とすることができる。IMおよびTOFに対して一般的なイオン源104の例には、限定はされないが、エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionizaiton)(ESI)源、レーザ脱離イオン化(laser desorption ionization)(LDI)源およびマトリックス支援(matrix−assited)レーザ脱離イオン化(MALDI)源が含まれる。いくつかの実施形態では、イオン源104が、イオントラップ、イオン光学デバイス(図示せず)などのイオン蓄積(またはイオン貯蔵)デバイスを含み、またはそのようなイオン蓄積デバイスと連通していることができる。
IMスペクトロメータ108はIMドリフト管122を含み、IMドリフト管122は、IMドリフト管122を通過するイオンの飛行に対して向流を形成するような態様でバッファガスをドリフト管122内へ送り込むための1つまたは複数のポートを有する。IMドリフト管122は、ドリフト管122内の圧力を制御するポンプ(図示せず)と連通したハウジング(図示せず)内に封入することができる。IMスペクトロメータ108はさらに、ドリフト管122内の温度を制御するための加熱デバイス(図示せず)を含むことができる。IMドリフト管122の内面には一般に、一連の電極(例えば環形電極(図示せず))が取り付けられており、それらの電極は、IMドリフト管122の縦軸に沿って軸方向に配置されている。それらの電極は、IMドリフト管122の縦軸に沿って一定の電場を確立するために電圧源と信号通信状態にあるが、いくつかの実施形態ではこの電場が変化することがある。
質量フィルタ112は、本明細書の教示に基づく調整可能な幅の広いm/z範囲、すなわちイオン隔離の窓(隔離窓)を提供するのに適した任意のタイプの質量フィルタとすることができる。この文脈では、「幅の広い」m/z範囲すなわち隔離窓が一般に数十から数百程度である。本明細書に開示された方法を実施するのに適した質量フィルタ112の例には、限定はされないが、多重極質量フィルタおよびある種のイオン光学デバイスが含まれ、イオン光学デバイスには、ブラッドバリー−ニールセンゲート(または格子またはシャッタ)、設計または動作原理がブラッドバリー−ニールセンゲートに類似したデバイスなどが含まれる。質量フィルタ112が図1に示すように配置されるとき、現時点では、多重極構成が、より一般的な実施形態として企図される。当業者には理解されることだが、多重極質量フィルタは一般に、イオンビームの送達方向に延びる一組の平行な細長い電極を含む。多重極質量フィルタは一般に4重極構成(4つの電極)を有するが、(例えば6重極、8重極など)5つ以上の電極を有することもできる。1つまたは複数の電圧源が、位相が180度ずれたRF電圧を交番電極対に印加し、さらに、それらの電極にDC電圧を印加する。多重極質量フィルタがイオンを隔離するm/z範囲は、RF電圧の振幅および周波数ならびにDC電圧の振幅を設定(または調整)することによって選択され、制御される。代替のブラッドバリー−ニールセンゲートまたは類似のデバイスのケースは後に説明する。
TOF MS114は、イオンパルサ(またはイオン抽出領域)134、飛行管138およびイオン検出器142を含む。イオンパルサ134は、イオンパルサ134からイオンを抽出し、飛行管138内へ送達するのに十分なパルス電場を印加する電圧源と通信する一組の電極(例えば格子または孔のあいた板)を含む。飛行管138は、電場のないドリフト領域を画定し、このドリフト領域内でイオンは検出器142に向かってドリフトする。検出器142は、TOF MS内で使用するのに適した任意の検出器とすることができ、非限定的ないくつかの例は、平形ダイノードを有する電子増倍管およびマイクロチャンネルプレート検出器である。検出器142は、イオンの到達を検出し(またはイオンを計数し)、代表的なイオン検出信号を生み出す。この例では、TOF MS114が直交TOF MSとして構成されている。すなわち、イオンが抽出され、イオンが飛行管138内でドリフトする方向が、イオンがイオンパルサ134内へ送達される方向と概ね直交する(または少なくともかなりの角度で交わる)。他の例では、TOF MS114の軸が、IMドリフト管122および質量フィルタ112の軸と整列することができる。さらに、この例では、TOF MS114が、単段式または多段式のイオン反射器(またはリフレクトロン)146を含む。当業者には理解されるとおり、イオン反射器146は、イオンの経路を概ね180度回転させて、検出器142に到達する前にイオンの運動エネルギーを集束させる。この例の結果として生じるイオン飛行経路の全体が150で示されている。他の実施形態では、反射器146が利用されず、イオンパルサ134と検出器142とが飛行管138の対向する端部に配置される。
図1では、システムコントローラ118が、IM−TOF MSシステム100のさまざまな機能態様を制御し、監視し、かつ/またはそれらのタイミングを調整するように構成された1つまたは複数のモジュールを表すものとして図式的に示されており、このようなIM−TOF MSシステム100のさまざまな機能態様には、イオン源104の動作、所望の注入頻度でのIMドリフト管122内へのイオンパケットの注入、所望の大きさの電場を確立するためのIMドリフト管122の電極への電圧の印加、IMドリフト管122へのバッファガスの導入およびガス圧(および任意選択でガス温度)の制御、所望のm/z範囲を選択するための質量フィルタ112の動作パラメータの設定および調整、所望のパルシング(または抽出)周波数でのイオンパルサ134への電圧の印加、図1に具体的には示されていない他のイオン光学要素の制御などがある。システムコントローラ118はさらに、検出器142からイオン検出信号を受け取り、検出されたイオンの飛行時間を(例えばタイムツーディジタルコンバータ(time−to−digital converter)または高速アナログ−ディジタル変換器を利用して)計算し、飛行時間をm/z値と相関させ、必要に応じてデータの取得および信号の解析に関係した他のタスクを実行して、分析中の試料を特徴づける質量スペクトルを生み出すように構成されている。システムコントローラ118は、本明細書に開示された方法のうちのいずれかの方法を実行するための命令を含むコンピュータ可読媒体を含むことができる。これらの目的のため、システムコントローラ118は、イオン源104、IMスペクトロメータ108、質量フィルタ112およびTOF MS114のうちの1つまたは複数の構成要素と、対応するそれぞれの通信リンク152、154、156、158を介して信号通信状態にあるものとして図式的に示されている。所与の通信リンク152、154、156、158は適宜、有線リンクまたは無線リンクとすることができる。これらの目的のため、システムコントローラ118はさらに、1つまたは複数のタイプのハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェア、ならびに1つまたは複数のタイプの記憶装置およびデータベースを含むことができる。システムコントローラ118は一般に、全体的な制御を提供する主電子プロセッサを含む。システムコントローラ118は、専用の制御操作または特定の信号処理タスクを実行するように構成された1つまたは複数の電子プロセッサを含むことができる。システムコントローラ118はさらに、IM−TOF MSシステム100のさまざまな構成要素に電圧を印加するのに必要な全ての電圧源、タイミングコントローラ、クロック、周波数発生器などを図式的に表す。
システムコントローラ118はさらに、ユーザ入力デバイス(例えばキーパッド、タッチスクリーン、マウスなど)、ユーザ出力デバイス(例えば表示画面、プリンタ、視覚インジケータまたはアラート、可聴インジケータまたはアラートなど)、ソフトウェアによって制御されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)、電子プロセッサが読むことができる媒体(例えばソフトウェア、データなどの中に具体化された論理命令)を装填するためのデバイスなど、1つまたは複数のタイプのユーザインタフェースデバイスを表すことがある。システムコントローラ118は、システムコントローラ118のさまざまな機能を制御し管理するオペレーティングシステム(Microsoft Windows(登録商標)ソフトウェア)を含むことができる。システムコントローラ118の1つまたは複数の構成要素をIM−TOF MSシステム100から離れた位置に配置することができ、それらの構成要素は、システムコントローラ118のローカル部分と、有線または無線通信リンクを介して通信することができる。
質量スペクトルを生み出すため、システムコントローラ118は、IMスペクトル情報が畳み込まれた情報である場合に、質量スペクトルを、逆畳込みまたは他の方法によって数学的に再構成するように構成されたソフトウェアを含むことができる。従来の方法では、このようなソフトウェアがさらに、畳み込まれた質量スペクトル情報から、質量スペクトルの逆畳込みを実行するように構成されている。しかしながら、後の説明から明らかになるとおり、本明細書に開示された方法は、2重(IMおよびTOF)スペクトル逆畳込みを必要としない。
動作時、イオンの個々のパケット(またはイオンパケット)がIMドリフト管122内へ逐次的に注入される。いくつかの実施形態では、注入速度(または注入頻度)が、多重化された注入速度である。この文脈では、多重化された注入速度が、注入開始後の所与の瞬間に、少なくとも2つの連続した(または隣接する)イオンパケット(一般的には3つ以上のイオンパケット)がIMドリフト管122内に同時に存在する、十分に速い注入速度を指す。このIMスペクトロメータ108の多重化をオーバーサンプリングと呼ぶこともある。印加された電場の影響下で、それぞれのイオンパケット中のイオンがIMドリフト管122内を移動すると、イオンはバッファガス分子と衝突する。この過程によって、相対的に大きな衝突断面積を有するイオンは、相対的に小さな衝突断面積を有するイオンよりも大きく減速される。したがって、相対的に小さな衝突断面積を有するイオンは、相対的に大きな衝突断面積を有するイオンよりも高い移動度を有し、したがって、相対的に小さな衝突断面積を有するイオンは、IMドリフト管122の出口端から最初に流出し、続いて、連続的により低い移動度のイオンが逐次的に流出する。したがって、それぞれのイオンパケットがIMドリフト管122内を移動するにつれて、イオンパケット中のイオンがその異なる移動度に応じて時間的に分離するため、イオンパケットは、IMドリフト管122の縦軸に沿って空間的に分散する。結果として生じるIMに従って分離されたイオンパケットは、IMドリフト管122から逐次的に流出し、質量フィルタ112内へ送達される。いくつかの実施態様では、2つ以上の連続した(または隣接する)イオンパケットのうちの先頭のイオンパケットがIMドリフト管122から完全に流出する前に、それらの連続した(または隣接する)イオンパケットが少なくとも部分的に重なり合うことになる。すなわち、直前のイオンパケットの最も速いイオンが、先頭のイオンパケットの最も遅いイオンに追いつくことがある。
IMに従って分離されたそれぞれのイオンパケットが質量フィルタ112内を移動するとき、そのイオンパケットは、前述のRF電圧およびDC電圧によって確立された複合RF/DC電場にさらされる。このRF電圧およびDC電圧は、選択されたm/z範囲を画定する低い方のm/zカットオフ値および高い方のm/zカットオフ値を確立する。選択されたm/z範囲に含まれないイオンはそれぞれのイオンパケットから排除され、それによって選択されたm/z範囲に含まれるイオンを隔離する。その結果として、質量フィルタ112を出たイオンパケットは、そのIMベースの分離を保持しているが、さらに、選択されたm/z範囲に従って質量フィルタリングされる。本明細書の教示によれば、質量フィルタ112は、イオン処理技法において質量フィルタを使用するときに従来の方法において確立される隔離窓よりもはるかに幅の広い隔離窓を確立するように動作する。前述のとおり、隔離窓の幅は、m/z単位で数十から数百程度とすることができ、すなわち、隔離窓の幅は、約10から100または約10から100以上とすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、数十程度(例えば10、20、30、40またはそれ以上、すなわち最高100)の幅を有する隔離窓を提供するように、質量フィルタ112を動作させうる。一例として、選択されたm/z範囲の幅を30とすることができる。低い方のm/zカットオフ値が2000であるとすると、この例の選択されたm/z範囲は2000から2030になる(すなわち2000から2030の範囲に含まれる質量を有するイオンだけが質量フィルタ112によって送達される)ことになる。他の例として、選択されたm/z範囲の幅を60とすることができる。低い方のm/zカットオフ値が2000であるとすると、この例の選択されたm/z範囲は2000から2060になることになる。他の実施形態では、数百程度(例えば100、200、300、400またはそれ以上)の幅を有する隔離窓を提供するように、質量フィルタ112を動作させうる。一例として、選択されたm/z範囲の幅を100とすることができる。低い方のm/zカットオフ値が2000である例を続けて使用すると、この例の選択されたm/z範囲は2000から2100になることになる。他の例として、選択されたm/z範囲の幅を200とすることができる。低い方のm/zカットオフ値がやはり2000であるとすると、この例の選択されたm/z範囲は2000から2200になることになる。
追加の例として、隔離窓の幅(またはm/z範囲の幅)、すなわち送達されることが許されるイオンの最も低い質量から最も高い質量までの範囲は、10〜20(例えば、送達されることが許されるイオンは62〜71、または262〜275、または1262〜1278、または5462〜5473などの範囲の質量を有する)、20〜30(例えば62〜81、または262〜287、または1262〜1284、または5462〜5486などの範囲の質量を有数するイオンが送達される)、30〜40(例えば62〜92、または262〜299、または1262〜1298、または5462〜5493などの範囲の質量を有数するイオン)、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜200(例えば62〜161、または262〜378、または1262〜1398、または5462〜5612などの範囲の質量を有数するイオン)、200〜300(例えば62〜261、または262〜493、または1262〜1523、または5462〜5670などの範囲の質量を有数するイオン)、300〜400、400〜500、500-600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜2000、2000〜3000、3000〜4000、4000〜5000、5000〜6000、6000〜7000、7000〜8000、8000〜9000、9000〜10000、10000〜20000などにすることができる。上記の例で示した低い方の質量カットオフ値62、262、1262および5462は任意に選択したものであり、本明細書に開示された方法において実行される質量フィルタリングは、数万の範囲の質量を有するより大きなイオンを含む、システム内で分析する任意の質量を有するイオンに対して使用することができることが理解される。本発明のいくつかの実施形態では、隔離窓が、所与の時刻に予想されるm/z範囲のある百分率、例えば95%、90%、85%、80%、75%、70%などを通過させることを可能にする。例えば、所与の時刻に、イオンパルサが、100から120の範囲のm/zを有するイオンを受け取り、質量フィルタが、そのm/z範囲の90%のイオンを通過させるように設定されている場合、「通過」m/z範囲は、101から118、102から119などになる。通過m/z範囲は、所与の時刻に予想されるm/z範囲(上の例では100〜120)の中央とすることができる。
本明細書に開示された第1の動作モードでは、それぞれのイオンパケットが、同じ質量フィルタリングパラメータにかけられる。すなわち、選択されたm/z範囲が全てのイオンパケットに対して同じである。幅の広い質量フィルタリングの効果は、後にさらに説明するように、TOF MS114を多重化して感度を増大させることを可能にし、同時に、データの取得をかなり単純にすることである。
IMに従って分離され、質量フィルタに通されたそれぞれのイオンパケットは、質量フィルタ112から、TOF MS114のイオンパルサ134内へ送達される。イオンパルサ134は、イオンパルサ134に到達したそれぞれのイオンパケットからイオンを逐次的に抽出し、それによってイオンパケットを逐次的に加速し、飛行管138内へ送達するように動作させる。イオンパルサ134に到達したIMに従って分離された所与の単一のイオンパケットから、2つ以上のイオンパケットを抽出することができる。この実施形態では、抽出速度(もしくは抽出頻度)またはパルスレート(もしくはパルス頻度)が、多重化された抽出速度である。この文脈では、多重化された抽出速度が、抽出開始後の所与の瞬間に、少なくとも2つの連続した(または隣接する)イオンパケット(一般的には3つ以上のイオンパケット)が飛行管138内に同時に存在する、十分に速い抽出速度を指す。したがって、抽出されたイオンパケットが必ずしも、抽出が実行されたIMに従って流出したイオンパケットと同じイオン集団からなるわけではない限りにおいて、抽出されて飛行管138内へ送達されたイオンパケットを、IMドリフト管122から流出したイオンパケットに対して、「新たな」または「異なる」イオンパケットと特徴づけることができる。このTOF MS114の多重化を、多重パルシングまたはオーバーパルシングと呼ぶこともある。抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンは、全てのイオンが同じ運動エネルギーを有するが、個々のm/z比に応じて個々のイオンの速度は異なるような態様で加速される。したがって、抽出されたそれぞれのイオンパケットが飛行管138内を移動するにつれて、イオンパケットは空間的および時間的に分散する。イオンが検出器142に到達すると、検出器142はそれらのイオンを計数し、イオン検出信号を生成させる。このイオン検出信号から、イオンの飛行時間を計算し、それらの飛行時間をイオンのm/z比と相関させ、質量スペクトルを生み出すことができる。別の箇所で述べたとおり、これらのイオンパケットは質量フィルタに通されているため、イオンパケットのm/z範囲は限定されており、したがって、イオンパケットの分散または広がりも、飛行管138内において連続したイオンパケット間の重なりがほとんどまたは全く生じないような態様で限定されており、それによってデータの取得および解析は大幅に単純になる。
図2は、(A)多重化を使用したときのTOF注入(イオンパルサ134から飛行管138内へのイオンパケットの抽出)、(B)多重化を使用しないTOF注入、(C)多重化を使用したときのIMドリフト管122内への注入、および(D)多重化を使用しないIM注入に対する一般的なタイミングシーケンスを示す。単一のイオンパケットに対する完全なTOF流出サイクルの一般的な所要時間が図2(A)および2(B)の204に示されている。TOF流出サイクル204は、イオンパルサ134からイオンパケットが抽出された後、そのイオンパケットの最も遅い(最も重い)イオンが検出器142に到達するまでにかかる時間に対応する。単一のイオンパケットに対する完全なIM流出サイクルの一般的な所要時間が図2(C)および2(D)の208に示されている。IM流出サイクル208は、イオンパケットがIMドリフト管122内へ注入された後、そのイオンパケットの最も遅い(最も移動性の低い)イオンがIMドリフト管122から流出するまでにかかる時間に対応する。多重化を使用しないとき、図2(B)および2(D)はそれぞれ、「パルスアンドウェイト」条件下で動作しているTOF MS114およびIMスペクトロメータ108を表し、パルスアンドウェイト条件下では、IMドリフト管122内への注入と注入の間の時間がIM流出サイクル208にほぼ対応し、TOF抽出パルスとTOF抽出パルスの間の時間がTOF流出サイクル204にほぼ対応することがある。
IM流出サイクル208の時間スケールは一般に、TOF流出サイクル204の時間スケールよりも数桁(例えば2桁または3桁)遅い。例えば、IM流出サイクル208は10から100msの範囲で変化し、対応するTOF流出サイクル204は50から500μsの範囲で変化することがある。多重化を使用しないとデューティサイクルが非常に低いことが分る。さらに、多重化を使用しないとイオンが失われる。これは、前述のとおり、IMドリフト管122の上流でイオン蓄積デバイスを使用して注入と注入の間にイオンを蓄積することができるが、TOF MS114では、抽出パルスと抽出パルスの間にイオンパルサ134内を飛行するイオンは失われるためである。図2(A)および2(C)にそれぞれ示すように、TOF MS114の多重化は、単一のTOF流出サイクル204よりも速い速度(頻度)でパルスシングすることを伴い、IMスペクトロメータ108の多重化は、単一のIM流出サイクル208よりも速い速度(頻度)で注入することを伴う。デューティサイクルを向上させるだけでなく、イオン蓄積デバイスの容量が限られている場合にもIMスペクトロメータ108を多重化することができる。このケースでは、イオン信号が強い場合に、通常の注入(多重化されていない速度での注入)と注入の間にイオン蓄積デバイスがいっぱいになることがあり、それによって、イオンおよびIM分離の分解能が失われる可能性がある。さらに、多重化は、機器のダイナミックレンジを増大させることができる。非常に少数の別々のピークに同じ種類のイオンが詰め込まれると、データの取得が飽和することがある。この問題は多重化によって軽減することができ、その結果、複数のピーク間でイオンが分散される。
図3Aは、高頻度の(多重化された)注入速度でIM注入を実行し、TOF抽出を多重化しなかったときに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。x軸は、IMドリフト管122内でのドリフト時間を表し、y軸は、飛行管138内でのイオンの飛行時間を表す。IM分離の基本的な特性は、イオンの移動度とイオンの質量がある程度、相関することである。図3Aでは、IMドリフト管122内への個々のイオンパケットの注入による信号(質量ピーク)の分布またはグルーピングを、312、314、316および318も示されているようなIM「傾向ライン」または「帯域」によって表すことができる。それぞれのIM帯域は、対応するそれぞれの単一の注入から取得した質量ピーク(具体的には示されていない)を包囲していると考えることができる。IMパルスは、IMドリフト管122を通過する所与のイオンパケットのドリフト時間の逆数よりも例えば10倍高い頻度で生み出すことができる。この多重化または「オーバーサンプリング」の間、図3Aに示した2Dスペクトル中には複数のIM帯域が観察され、それぞれのIM帯域は、IMドリフト管122内へ注入された個々のイオンパケットに対応する。
図3Aには、x軸に沿った任意の位置に時刻Tが配置されており、時刻Tは、細い垂直ストリップまたは垂直線330としても描かれている。この議論の目的上、時刻Tは、TOF MS114のイオンパルサ134によって実現される第1の抽出パルスに対応すると考えることができる。したがって、時刻Tには、イオンパルサ134内に、ある選択されたイオンが存在する。IM注入を多重化することにより、時刻Tに実行されている抽出には、いくつかのIM帯域312、314、316および318(垂直ストリップ330が横切っているそれぞれのIM帯域)からのイオンが含まれている。従来の「パルスアンドウェイト」アプローチを実施した場合には、第2の抽出(T)は、全てのイオンが検出器142に到達した後にのみ実施され、システムのデューティサイクルは非常に低くなることになる。
前述のとおり、TOF MS114を多重化(オーバーパルシング)することによってデューティサイクルを向上させることができる。図3Bは、IM注入とTOF抽出の両方を多重化したときに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。多重化された抽出速度のため、個々のIM帯域(例えば帯域312、314、316、318)によって表されたデータは、垂直次元(TOFに対する時間スケール)に沿って複数回、複製され、それによってそのデータは、図3Aに示された程度よりもはるかに大きな程度で2D空間を埋める。従来の方法では、IM注入とTOF抽出の両方を多重化するといくつかの欠点が生じることがある。従来の方法では、TOF検出器に到達するさまざまなイオンパケットの到達時刻がかなり重なり合うことになり、それによって特別な逆畳込み技法が必要となる。このことは、1つまたはいくつかのTOF抽出パルスの間にイオン信号の強度がかなり変化しうるような態様でIM分離の分解能が高くなることがあることによってさらに複雑になり、それによって複雑な逆畳込みがより信頼性の低いものになる。さらに、IMスペクトロメータ108を多重化したことによるIM逆畳込みも同時に実行されるため、前述のとおり、複雑な逆畳込みは、非常に多くのリアルタイム計算資源を必要とすることがある。このレベルの逆畳込みは実現可能でもまたは実際的でもないことがある。
ここに開示した方法は、IM注入とTOF抽出の両方の多重化を使用して、IM−TOF MSシステムのデューティサイクルを増大させることを可能にし、同時に分析感度を最大にし、データの取得を単純にする。ここに開示した方法は、これを、システム内へ注入されたそれぞれのイオンパケットに含まれる最初のイオン集団のうちの制限されたm/z範囲だけからスペクトルデータを取得することによって達成する。このm/z範囲は、図1に関して上で説明したようにイオンが加速されてTOF MS114の飛行管138内へ送達される前に、または図6に関して後に説明するようにイオンが加速されて飛行管138内へ送達された後にイオンを質量フィルタに通すことによって制限される。
図3Bは、イオンパケットを質量フィルタに通してイオンパケットを選択されたm/z範囲(m/z)から(m/z)に制限し、同時にIM注入とTOF抽出の両方を多重化する効果を示す。選択されたm/z範囲(m/z)から(m/z)は例えば30から50、50から100、200から275などにすることができる。より一般的には、所与の実験に対して選択されるm/z範囲は、分析中の試料に含まれていることが分っている、または分析中の試料に含まれていると思われる分析物イオンの組成および全体のm/z範囲、ならびにTOF MS114内でのイオンパケット間の重なりを最小化し、または排除したい要求に依存するであろう。例えば、より幅の狭いm/z範囲がより軽いイオンに対してより有効であることがあり、より幅の広いm/z範囲がより重いイオンに対してより有効であることがある。より幅の狭いm/z範囲を選択することは、より高い多重化速度(頻度)での動作を可能にし、同時に、飛行管138内でのイオンパケットの重なりを回避する(または少なくとも最小化する)。図3Bでは、水平領域334が、選択されたm/z範囲(m/z)から(m/z)の幅(または隔離窓)を、時間の経過に対して表している。この実施形態では、時間が経過しても幅が一定に保たれる。水平領域334が全てのIM帯域を横切って延びていることは、この実施形態では、全てのイオンパケットが、同じ質量フィルタリングパラメータにかけられることを示している。すなわち、質量フィルタ112を出たそれぞれのイオンパケットは、残りのイオンパケットが質量フィルタ112を出るときの残りのイオンパケットと同じm/z範囲(m/z)から(m/z)に制限されている。再び時間Tをイオンパルサ134からの抽出時刻とすると、抽出される唯一のイオンは、垂直ストリップ330と水平領域334とが交差する領域338内に質量があるイオンである。時刻Tに対して選択された図3Bの位置で、領域338は単一のIM帯域316と重なり、時刻Tに使用可能な他のIM帯域312、314、318とは重ならない。したがって、この特定の時刻Tに、m/z範囲(m/z)から(m/z)は、1つのIM帯域316だけに属するイオンを含み、残りのIM帯域312、314、318からのイオンは飛行管138内へ送達されない。
本明細書に記載された質量フィルタリングを実施すると、(選択されたm/z範囲内の)イオンの検出をかなり強化し、したがって感度を増大させるのには十分に高く、TOF飛行管138内での連続したイオンパケット間の重なりを防ぎまたは少なくともかなり低減させるのには十分に低い抽出速度(頻度)でTOF MS114を多重化することができる。これによって、結果として生じるTOFスペクトル中のピークの重なりが排除され、または少なくともかなり低減され、それによって所与の実験において質量スペクトルを生み出すプロセスが単純になる。例えば、多くの実験に対して、TOFスペクトルの逆畳込みはもはや必要ない。この開示の文脈では、連続したイオンパケット間の重なりを「最小化する」ことが、所与のIM−TOF実験においてTOFスペクトルの逆畳込みが必要とならない程度まで、この重なりを低減させることを意味する。当業者には理解されることだが、TOF逆畳込みを回避するのに必要な重なりの低減の程度は、実行する特定の実験(例えば試料の組成、利用するイオン化技法、イオン化条件など)に依存する。さらに、重なりを「最小化する」ことは、少量の重なりが依然として存在するような態様で重なりを低減させることだけを包含するのではなく、重なりを完全に排除する(すなわちTOF飛行管138内において連続したイオンパケット間に重なりが全く存在しないような態様で重なりを排除する)ことをも包含する。本明細書に開示された方法に従って実施されるとき、質量フィルタリングは、上記の条件(感度を増大させ、重なりを最小化すること)を満たす広範囲の潜在的に最適な抽出速度を使用可能にする。さらに、この最適なイオン抽出速度の範囲は、小分子から高分子量の生体高分子までの幅広いさまざまな関心の試料に対して幅広いであろう。
図4は、この実施形態に基づく質量フィルタリングを使用してIM−TOF MSシステム100を動作させた結果として取得することができるTOFスペクトルの一例である。x軸は、連続した一連のTOF取得サイクルをマイクロ秒を単位として表し、y軸は、イオン信号強度を任意の単位で表しており、その結果、抽出されたそれぞれのイオンパケットから一連のTOFスペクトル402〜412が取得された。簡単にするため、6つのTOFスペクトル402〜412だけが示されている。多重化を使用しないと、IMドリフト管122内へ注入されたそれぞれのイオンパケットに対して、TOFスペクトル402〜412のうちの1つのTOFスペクトルだけが観察されるであろう。図4は、飛行管138内でイオンパケットの重なりが生じておらず、その結果、TOFスペクトル402〜412の重なりが存在しない一例を示す。したがって、TOFスペクトル402〜412の複雑な逆畳込みは必要なく、適当な時間補正を利用してTOFスペクトル402〜412を単純に合計することができる。したがって、この実施形態は、IM取得とTOF取得の両方のデューティサイクルを最大にし、イオンの選択されたm/z範囲に対して極めて感度の高い2Dスペクトルを達成することを可能にする。
比較として、図4の破線のトレースは、イオンパケットのm/z範囲が制限されていない場合に存在するであろう(422〜430のピークなどの)ピークを表している。質量フィルタリングを使用しないと、その結果、TOFスペクトルにかなり大きな重なりが生じ、それによって、TOF取得から質量スペクトルを構築するために複雑な逆畳込みが必要になるであろう。
前述の第1の動作モードでは、選択されたm/z範囲に関連した隔離窓が変化せず、データ取得の全行程にわたって一定に維持される。次に、データ取得の全行程にわたって隔離窓が段階的に変化する他の方法または動作モードを説明する。この第2のモードは特に、例えばIMドリフト管122の上流のイオン集積デバイスがいっぱいになることがない低レベル信号の取得の場合など、IMスペクトロメータ108の多重化が必要でない場合に適用される。
図1を参照すると、この第2のモードに基づく動作では、単一のイオンパケットがIMドリフト管122内へ注入される。イオンパケットがIMドリフト管122内を移動するにつれて、イオンは、イオン移動度に応じて、前述の方式で分離される。その結果生じたIMに従って分離されたイオンパケットはIMドリフト管122から流出し、質量フィルタ112内へ送達される。IMに従って分離されたイオンパケットが質量フィルタ112内を移動するにつれて、イオンは、変化するm/z範囲に従って隔離される。すなわち、この動作モードでは、質量フィルタ112が提供するm/z範囲が時間の経過とともに高速に移動するように、例えばシステムコントローラ118のハードウェアモジュールおよび/またはソフトウェアモジュールによって、質量フィルタ112がプログラムされる(すなわち電圧の大きさおよび周波数などの質量フィルタ112の動作パラメータが動的に調整される)。例えば、注入されたイオンパケットの質量スペクトル全体にわたってm/z範囲(m/z)〜(m/z)、(m/z)〜(m/z)、...、(m/z)n−1〜(m/z)を逐次的に確立するように、質量フィルタ112を動作させることができる。ここで、(m/z)は最も低いm/z比に対応し、(m/z)は最も高いm/z比に対応する。一般的な一実施形態では、m/z範囲が、重なり合うように段階的に変化する。例えば、第1のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を100〜200、第2のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を104〜204、第3のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を108〜208、...とすることができる。実験によっては、それぞれのm/z範囲の幅が一定である必要はなく、連続するm/z範囲間の重なりの量(単位はm/z)が一定である必要がない。例えば、第1のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を100〜200、第2のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を104〜224、第3のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を134〜224、...とすることができる。実験によっては、連続するm/z範囲が、重なり合うように段階に変化する必要がない。例えば、第1のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を100〜200、第2のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を201〜301、第3のm/z範囲(m/z)〜(m/z)を302〜402、...とすることができる。このような全ての場合に、第1の動作モードの場合と同様に、制限されたm/z範囲のそれぞれの繰返しを画定する隔離窓の幅を、数十から数百程度とすることができる。すなわち、所与の選択されたm/z範囲の幅を10から数百までとすることができる。第1の動作モードの場合と同様に、TOF MS114内でのイオンパケット間の重なりを最小化し、または排除するための隔離窓の幅は、分析中の試料に含まれていることが分っている、または分析中の試料に含まれていると思われる分析物イオンの組成および全体のm/z範囲(例えば軽いイオンと重いイオン)に依存する。
上記のm/z範囲を変化させる例では、連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲よりも高いm/z範囲である。あるいは、連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲よりも低いm/z範囲となるようにm/z範囲を変化させることもできる。より一般的には、連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲とは異なるm/z範囲になるようにm/z範囲を変化させることができる。m/z範囲を変化させる最も適当な方法は、実行する特定の実験によって異なりえる。
質量による隔離を変化させる上記の全ての例では、質量フィルタ112に通した後もイオンパケットがそのIMベースの分離を保持するが、ここではさらに、イオンパケットが、変化するm/z範囲に従って質量フィルタリングされる。したがって、イオンパケットの最も移動性の大きいイオン(IMに従って分離されたイオンパケットの先頭のイオン)が最初に質量フィルタ112に到達し、最初のm/z範囲(m/z)〜(m/z)のカットオフ限界によってフィルタリングされる。最も移動性の大きいイオンに続いて、連続的により低い移動度のイオンが到達し、それらのイオンは、連続する中間のm/z範囲のカットオフ限界によってフィルタリングされる。イオンパケットの最も移動度の小さいイオン(IMに従って分離されたイオンパケットの最後部のイオン)は最後に質量フィルタ112に到達し、その特定の時刻に質量フィルタ112によって使用されるm/z範囲のカットオフ限界によってフィルタリングされる。実験によっては、最も移動度の小さいイオンを、質量フィルタ112が使用するようにプログラムされた最後のm/z範囲(m/z)n−1〜(m/z)のカットオフ限界によってフィルタリングすることができる。
IMに従って分離され、質量フィルタに通されたイオンパケットが質量フィルタ112からイオンパルサ134内へ送達されると、イオンパルサ134は、イオンパルサ134に到達したイオンパケットからイオンを逐次的に抽出し、それによって「新たな」イオンパケットを逐次的に加速し、飛行管138内へ送達する。第1の動作モードの場合と同様に、抽出速度(もしくは抽出頻度)またはパルスレート(もしくはパルス頻度)は、多重化された抽出速度である。抽出されたそれぞれのイオンパケットが飛行管138内を移動するにつれて、イオンパケットは、速度の違いに応じて空間的および時間的に分散する。イオンが検出器142に到達すると、検出器142はそれらのイオンを計数し、イオン検出信号を生成させ、このイオン検出信号から、TOFスペクトルおよび最終的に質量スペクトルを生み出すことができる。
第1の動作モードの場合と同様に、イオンパケットに対して使用された質量フィルタリングが提供する限界は、飛行管138内において連続したイオンパケット間の重なりがほとんどまたは全く生じないような態様で、抽出されたイオンパケットの分散または広がりを限定する。すなわち、前述のように重なりが「最小化される」。前述のとおり、これによってTOF MS114を多重化し、したがって感度を増大させることが可能になり、データの取得はかなり単純化されて、TOFスペクトルの逆畳込みの必要性が排除される。次に、第2の動作モードに基づく変化する質量フィルタリングを使用する効果を図5Aおよび5Bに関して説明する。
図5Aは、IMドリフト管122内への単一の注入から、TOF抽出を多重化することなしに取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。x軸は、IMドリフト管122内でのイオンのドリフト時間を表し、y軸は、飛行管138内でのイオンの飛行時間を表す。図5Aの単一のIM帯域504は、IMドリフト管122内への単一のイオンパケットの注入を表す。この議論の目的上、時刻T、T、...、Tを、IMドリフト管122から質量フィルタ112内へのイオンパケットのイオンの流出時刻に対応すると考えることができる。時刻T、T、...、Tは、TOF時間スケールに沿った細い垂直ストリップとしても描かれており、時刻Tにおけるストリップ530および時刻Tにおけるストリップ534を含む。質量フィルタ112は、時刻Tに、第1のm/z範囲(m/z)01〜(m/z)02のイオンを送達するように設定されている。質量フィルタ112は、後続の時刻T、T、T...に、連続的により高いm/z範囲のイオンを送達するように設定されており、質量フィルタ112は、時刻Tに、m/z範囲(m/z)11〜(m/z)12のイオンを送達するように設定されている。質量フィルタ112は、所与の時刻Tに、IM帯域504内のイオンの適当な位置に対応するm/z範囲を送達するようにプログラムされている。質量フィルタ112の設定のこの段階的な変更は、IM帯域504がIM−TOF MSシステム100内を前進するときに、m/z窓(反復的なm/z範囲)がIM帯域504の形状および方向に密接に従うのに十分な頻度で実行される。このプロセスは、m/z範囲(m/z)01〜(m/z)02が時刻Tと交差する領域512、およびm/z範囲(m/z)11〜(m/z)12が時刻Tと交差する領域516によって、図5Aに部分的に示されている。領域512と領域516はともにIM帯域504に含まれる。m/z範囲を予め選択した後、飛行管138内での連続するイオンパケット間の重なりを回避する(または少なくとも最小化する)ことができる最大多重化頻度を決定する。あるいは、より高い多重化頻度で動作させることができるであろうより幅の狭いm/z範囲を選択することもできる。このアプローチは、よりいっそう高い検出効率を提供するであろうが、高い検出効率が得られるのは、パルサ領域内へ到達しているイオンの部分集団に対してだけである。
図5Bは、TOF抽出を多重化したときにIMドリフト管内への単一の注入から取得することができる生の2次元(2D)スペクトルの一例である。多重化された抽出速度のため、単一のIM帯域504によって表されたデータは、垂直次元(TOFに対する時間スケール)に沿って複数回、複製され、それによってそのデータは、図5Aに示された程度よりもはるかに大きな程度で2D空間を埋める。例として、図5Bは、6つのTOF抽出を表すIM帯域504の5つのコピーを示している。流出したイオンパケットのそれぞれの部分(それぞれの部分は概ね流出時刻T、T、...、Tに対応する)から複数回のTOF抽出が実行されるため、データは、それぞれの時刻に使用可能な2D空間全体から集められる。例えば、時刻Tには、単一の領域512からだけでなく、垂直ストリップ530全体の他の領域からもデータが集められる。別の言い方をすれば、時刻Tに最初のTOF抽出から取得されたデータが領域512に対応することがあり、次のTOF抽出(最初のTOF抽出から非常に短い時間の後に実行される)から取得されたデータが、領域512のすぐ上の垂直ストリップ530の領域に対応することがある。以下同様である。続いて、イオンパケットの残りの部分(すなわち残りの流出時刻T、T、T、...、T)に対して複数のTOF抽出が繰り返される。このようにして、そのイオンパケットから、TOF抽出を多重化することによって使用可能になった2D空間全体にわたってデータが取得される。このプロセスの実行中に、m/z範囲を、図5Aに関して先に説明した方式で段階的に変化させる。このようにすると、注入されたイオンパケットのイオンの全てを取得することができ、制限された1つのm/z範囲内だけでなく関心の試料のスペクトル全体にわたって感度が強化される。
さらに、質量フィルタリングを利用して、分析には無関係な背景イオン(例えば汚染物質または溶媒マトリックスから生成しうる背景イオンなど)を質量スペクトルから排除することができる。背景イオンは一般に、この2D空間においてより広い分布を有し、その分布はIM帯域に従わない。
第2の動作モードを実現するこの方法を、追加のイオンパケットに対して繰り返すことができ、それぞれのイオンパケットは、IMドリフト管122内へ一度に1パケットずつ注入される。
図6は、前述の質量フィルタリングモードを含む本明細書に記載された方法を実施する際に利用することができるハイブリッドIM−TOF MSシステム200の他の例の略図である。この実施形態では、質量フィルタ112が、IMドリフト管122とTOF MS114の間ではなく、TOF MS114の飛行管138内に配置される。質量フィルタ112は、図1に関して例として上で説明した構成など、適当な任意の構成をとることができる。質量フィルタ112が図6に示すように配置されるとき、現時点では、ブラッドバリー−ニールセンゲートまたは類似のイオン光学デバイスが、より一般的な実施形態として企図される。ブラッドバリー−ニールセンゲート(または類似のデバイス)は一般に、イオンの飛行(イオン飛行経路150)と直交する平面内に配置された一組の平行な導線(または格子として配置された導線のアレイ)を含む。当業者には理解されることだが、交番導線には、位相が180度ずれたパルス高周波電圧が印加される。このパルス電圧は、ゲートが「開いている」ある時間の間に導線を通過する選択されたm/z範囲内のイオンだけが、イオン飛行経路に沿って進むことができるようなタイミングで印加される。選択されたm/z範囲の外側のイオンは、ゲートが「閉じている」別の時間の間に、例として604で示されているイオン飛行経路からイオンがそれるような態様で導線を通過する。
図7は、(A)イオンパルサ134に印加されるTOF電圧、および(B)ブラッドバリー−ニールセンゲートまたは類似のイオン光学デバイスとして構成された質量フィルタ112に印加される偏向電圧の一般的なタイミングシーケンスを示す。この実施形態では、質量フィルタ112の偏向要素に印加される電圧は通常は「ハイ」であり、全てのイオンは偏向され、したがって検出器142には到達しない。所望のm/z範囲内のイオンが質量フィルタ112内を移動しているときには、偏向電圧をゼロに低下させる。
本明細書に記載された方法に関連した質量フィルタ112として利用することができるイオン光学デバイスの他の例として、一組の平行な偏向板を提供することができる。この一組の平行な偏向板は、偏向板間に適当な電位差が印加されたときにイオンを偏向させる。より一般的には、イオン光学デバイスは、指定された時間間隔の間だけイオンの送達を防ぐように構成することができる任意の電極幾何構造を含むことができる。
動作時、IMに従って分離されたイオンパケットは、質量フィルタリングされることなく、TOF MS114のイオンパルサ134内へ送達される。その代わりに、それらのイオンパケットは、図6および7から明らかなように、イオンパルサ134によって抽出され、飛行管138内へ送達された後に質量フィルタに通され、その間に、イオンは分離され始める。この実施形態では、質量フィルタリングを容易にするために抽出された1つのイオンパケットからのイオンが十分に分離されるが、それらのイオンが他のイオンパケットからのイオンと重なるほどにはまだ十分には分離されないイオンパルサ134の後ろのある位置に、質量フィルタ112が配置される。図1に関して上で説明した実施形態の場合と同様に、イオンの質量フィルタリングは、飛行管138内において連続したイオンパケット間の重なりがほとんどまたは全く生じないような態様でイオンの分散または広がりを限定し、この場合もやはり、データの取得および解析が大幅に単純になる。
上で説明し図6および7に示した実施形態を利用して、第1の動作モードおよび第2の動作モードのうちのいずれの動作モードも実現することができる。図6の場合のようにイオンパルサ134のすぐ「下流に」質量フィルタ112が配置されるときには、図3Aおよび3B(第1の動作モード)に示された時刻Tが、抽出されたイオンパケットのイオンがまさに分離され始め、飛行管138内に配置された質量フィルタ112に遭遇する抽出直後の時刻に対応すると考えることができる。あるいは、図5Aおよび5Bに示された第2の動作モードを実現するときには、前述の段階的質量フィルタリング方式のうちのいずれかの段階的質量フィルタリング方式に従ってイオン質量隔離の範囲を時間の経過に伴って変更するように、図6に示されたTOF内に配置された質量フィルタ112をプログラムすることができる。
(例示的な実施形態)
本明細書に開示された主題に従って提供される例示的な実施形態には、限定はされないが、以下のものが含まれる。
1.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、注入された少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、注入されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離して、注入された対応するそれぞれのイオンパケットから、IMに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを質量フィルタ内へ送達して、質量フィルタに通された複数のイオンパケットを生み出すステップであり、質量フィルタに通されたそれぞれのイオンパケットが、質量フィルタに通された残りのイオンパケットのイオンと同じ選択されたm/z範囲のイオンを含むステップと、
質量フィルタに通されたイオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
パルサから複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達して、質量フィルタに通されたイオンパケットから、抽出された複数のイオンパケットを生み出すステップであり、質量フィルタに通された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離して、飛行管内において、抽出された対応するそれぞれのイオンパケットから、TOFに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
イオンがTOF質量分析器の検出器に到達したときに、TOFに従って分離されたイオンパケットのイオンを検出するステップと
を含む方法。
2.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、注入された少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、注入されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離して、注入された対応するそれぞれのイオンパケットから、IMに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
パルサから複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達して、IMに従って分離されたイオンパケットから、抽出された複数のイオンパケットを生み出すステップであり、IMに従って分離された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離して、飛行管内において、抽出された対応するそれぞれのイオンパケットから、TOFに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンを分離している間に、抽出されたイオンパケットを質量フィルタ内へ送達して、質量フィルタに通された複数のイオンパケットを生み出すステップであり、質量フィルタに通されたそれぞれのイオンパケットが、質量フィルタに通された残りのイオンパケットのイオンと同じ選択されたm/z範囲のイオンを含むステップと、
イオンがTOF質量分析器の検出器に到達したときに、質量フィルタに通されたイオンパケットのイオンを検出するステップと
を含む方法。
3.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へイオンパケットを注入するステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、イオンパケット中のイオンをIMに従って分離して、IMドリフト管内において、IMに従って分離されたイオンパケットを生み出すステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを質量フィルタ内へ送達するステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを質量フィルタ内へ送達している間に、第1のm/z範囲の第1のイオンを隔離し、この第1のイオンを、飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
この第1のイオンをパルサ内へ送達している間に、パルサから第1のイオンの複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達するステップであり、第1のイオンの抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを質量フィルタ内へ送達している間の第1のイオンを隔離した後に、第1のm/z範囲よりも高い第2のm/z範囲の第2のイオンを隔離し、この第2のイオンをパルサ内へ送達するステップと、
第2のイオンをパルサ内へ送達している間に、第2のイオンの複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、飛行管内へ送達するステップであり、第2のイオンの抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、第1のイオンの抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンおよび第2のイオンの抽出されたそれぞれのパケット中のイオンをTOFに従って分離して、飛行管内において、抽出された対応するそれぞれのイオンパケットから、TOFに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
イオンがTOF質量分析器の検出器に到達したときに、TOFに従って分離されたイオンパケットのイオンを検出するステップと
を含む方法。
4.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へイオンパケットを注入するステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、注入されたイオンパケット中のイオンをIMに従って分離して、IMドリフト管内において、IMに従って分離されたイオンパケットを生み出すステップと、
IMに従って分離されたイオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
第1のイオンをパルサ内へ送達している間に、パルサから第1のイオンの複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達するステップであり、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
第1のm/z範囲の第1のイオンを隔離して、第1のイオンの抽出された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
第1のイオンを隔離した後に、第1のm/z範囲よりも高い第2のm/z範囲の第2のイオンを分離して、第2のイオンの抽出された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、第1のイオンの抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンおよび第2のイオンの抽出されたそれぞれのパケット中のイオンをTOFに従って分離して、飛行管内において、抽出された対応するそれぞれのイオンパケットから、TOFに従って分離された複数のイオンパケットを生み出すステップと、
TOF質量分析器の検出器にイオンが到達したときに、TOFに従って分離されたイオンパケットのイオンを検出するステップと
を含む方法。
5.前記実施形態のうちのいずれか1つの実施形態に記載の方法を実行するように構成されたIM−TOF MSシステム。
6.前記実施形態のうちのいずれか1つの実施形態に記載の方法を実行するための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
7.実施形態6に記載のコンピュータ可読記憶媒体を含むIM−TOF MSシステム。
8.IM−TOF MSシステムであって、
IMドリフト管と、
IMドリフト管から流出したイオンを受け取るように配置されたTOF飛行管、パルサ、検出器、およびパルサと検出器の間のイオン飛行経路を画定する電場のないドリフト領域を備えるTOF MSと、
調整可能なあるm/z範囲内のイオンを選択して送達するように構成された質量フィルタであり、IMドリフト管とTOF飛行管の間、またはパルサの下流のTOF飛行管内に配置された質量フィルタと
を備えるIM−TOF MSシステム。
9.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、それぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップと、
イオンパケットを、飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達するステップであり、パルサ内へ送達された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離するステップと、
飛行管から検出器にイオンが到達したときにイオンを検出するステップと、
イオンを検出する前に、特定のm/z範囲のイオンだけを選択するステップであり、飛行管内のそれぞれのイオンパケットが、残りのイオンパケットのイオンと同じ選択されたm/z範囲のイオンを含み、飛行管内での連続したイオンパケット間の重なりが最小化されるステップと
を含む方法。
10.前記特定のm/z範囲の幅が10から数百の範囲にある、実施形態9に記載の方法。
11.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、それぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップと、
イオンパケットを飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達するステップであり、パルサ内へ送達された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離するステップと、
飛行管から検出器にイオンが到達したときにイオンを検出するステップと、
イオンを検出する前に、特定のm/z範囲のイオンだけを選択するステップであり、飛行管内のそれぞれのイオンパケットが、残りのイオンパケットのイオンと同じ選択されたm/z範囲のイオンを含み、前記特定のm/z範囲の幅が10から数百の範囲にあるステップと
を含む方法。
12.イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
イオン移動度(IM)ドリフト管内へイオンパケットを注入するステップと、
イオンがIMドリフト管内でドリフトしているときに、イオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップと、
イオンパケットを、飛行時間型(TOF)質量分析器のパルサ内へ送達するステップと、
パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、TOF質量分析器の飛行管内へ送達するステップであり、パルサ内へ送達された同じイオンパケットから2つ以上のイオンパケットが抽出され、抽出された少なくとも2つのイオンパケットが飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
イオンが飛行管内でドリフトしているときに、抽出されたそれぞれのイオンパケット中のイオンをTOFに従って分離するステップと、
イオンがTOF質量分析器の検出器に到達したときに、TOFに従って分離されたイオンパケットのイオンを検出するステップと、
イオンを検出する前に、連続するm/z範囲内のイオンを選択するステップであり、連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲とは異なるm/z範囲であり、それぞれのm/z範囲の幅が、飛行管内での連続したイオンパケット間の重なりを最小化するように選択されたステップと
を含む方法。
13.前記連続するm/z範囲の幅が数十から数百の範囲にある、実施形態12に記載の方法。
14.少なくとも1つのm/z範囲が、以前のm/z範囲と少なくとも部分的に重なる、実施形態12または13に記載の方法。
15.TOFに従って分離されたイオンパケットの逆畳込みを必要とせずに、検出されたイオンの質量スペクトルを生み出すステップを含む、実施形態9〜14のいずれかに記載の方法。
16.IMに従って分離された隣接する少なくとも2つのイオンパケットがIMドリフト管内で少なくとも部分的に重なり、この方法がさらに、検出されたイオンの質量スペクトルを生み出すステップを含み、質量スペクトルを生み出す前記ステップが、IMに従って分離されたイオンパケットの逆畳込みを実行するステップを含む、実施形態9〜15のいずれかに記載の方法。
17.イオンを選択する前記ステップが、それぞれのイオンパケット中のイオンをIMに従って分離した後に、前記イオンパケットを質量フィルタに通すステップを含み、パルサ内へ送達されるイオンパケットが、質量フィルタに通されたイオンパケットである、実施形態9〜16のいずれかに記載の方法。
18.イオンを選択する前記ステップが、パルサからイオンパケットを抽出した後に、イオンパケットを、飛行管内に配置された質量フィルタに通すステップを含む、実施形態9〜16のいずれかに記載の方法。
19.イオンを選択する前記ステップが、イオンパケットを、重極質量フィルタ、イオン光学デバイスおよびブラッドバリー−ニールセンゲートからなるグループから選択された質量フィルタに通すステップを含む、実施形態9〜18のいずれかに記載の方法。
20.イオンを検出した後に、ドリフト管内へ注入する1つまたは複数の追加のイオンパケットに対して請求項9のステップを繰り返すステップを含む、実施形態12〜19のいずれかに記載の方法。
21.連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲よりも高いm/z範囲である、実施形態12〜20のいずれかに記載の方法。
22.連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲よりも低いm/z範囲である、実施形態12〜20のいずれかに記載の方法。
23.IMドリフト管と、質量フィルタと、TOF質量分析器と通信するシステムコントローラを備え、実施形態9〜22のうちのいずれかの実施形態を実行するように構成されたイオン移動度飛行時間型質量分析器システム。
本明細書に記載されたプロセス、サブプロセスおよびプロセスステップのうちの1つまたは複数のプロセス、サブプロセスまたはプロセスステップは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはこれらのうちの2つ以上の組合せによって、1つまたは複数の電子デバイスまたはディジタル制御されたデバイス上で実行することができることが理解される。このソフトウェアは、例えば図1および6に概略的に示されたシステムコントローラ118などの適当な電子式処理構成要素または電子式処理システム内のソフトウェア記憶装置(図示せず)内に置くことができる。このソフトウェア記憶装置は、論理機能(すなわちディジタル回路、ソースコードなどのディジタル形態、またはアナログ電気信号、アナログ音響信号、アナログビデオ信号などのアナログ源などのアナログ形態で実現することができる「論理」)を実現するための実行可能命令の順序付けられたリストを含むことができる。それらの命令は、処理モジュール内で実行することができ、この処理モジュールには例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組合せ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)または特定用途向けIC(ASIC)が含まれる。さらに、略図は、アーキテクチャまたは機能の物理的なレイアウトによって限定されない物理的な(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)実施態様を有する機能の論理的分割を記載している。本明細書に記載したシステムの例は、さまざまな構成で実現することができ、単一のハードウェア/ソフトウェアユニット内のハードウェア/ソフトウェア構成要素として、または別個のハードウェア/ソフトウェアユニット内のハードウェア/ソフトウェア構成要素として動作することができる。
実行可能命令は、命令が記憶されたコンピュータプログラム製品として実現することができ、それらの命令は、電子システム(例えば図1のシステムコントローラ118)の処理モジュールによって実行されたときに、それらの命令を実行するよう電子システムに指示する。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータベースの電子システム、プロセッサを含むシステムなどの命令を実行するシステム、装置もしくはデバイス、または命令を実行するシステム、装置もしくはデバイスから命令を選択的に取り出し、取り出した命令を実行することができる他のシステムによって使用される非一時的な任意のコンピュータ可読記憶媒体、あるいはこれらのシステム、装置もしくはデバイスに接続された非一時的な任意のコンピュータ可読記憶媒体として選択的に具体化することができる。本開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体が、プログラムを記憶することができる非一時的手段であって、命令を実行するシステム、装置もしくはデバイスによって使用される非一時的手段、または命令を実行するシステム、装置またはデバイスに接続された非一時的手段である。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、選択的に、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線または半導体システム、装置またはデバイスとすることができる。非一時的コンピュータ可読媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、1本または数本の導線を有する電気接続(電子媒体)、携帯可能なコンピュータディスケット(磁気媒体)、ランダムアクセスメモリ(電子媒体)、リードオンリーメモリ(電子媒体)、例えばフラッシュメモリなどの消去可能/書込み可能リードオンリーメモリ(電子媒体)、例えばCD−ROM、CD−R、CD−RWなどのコンパクトディスク記憶装置(光学媒体)、およびディジタルバーサタイルディスク記憶装置(すなわちDVD)(光学媒体)などが含まれる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、プログラムが印刷された紙または他の適当な媒体である場合もあることに留意されたい。これは、例えばその紙または他の媒体を光学的に走査することによってプログラムを電子式に捕捉し、次いで、必要ならば、そのプログラムを適当な方法でコンパイルし、翻訳し、または他の方法で処理し、次いでそのプログラムをコンピュータ記憶装置または機械記憶装置に記憶することができるからである。
本明細書で使用される用語「信号通信状態にある(in signal communication)」は、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールが、あるタイプの信号経路に沿って伝搬する信号を介して互いに通信することができることを意味する。この信号は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールの間の信号経路に沿って、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールから、第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールへ情報、電力またはエネルギーを伝達することができる通信信号、電力信号、データ信号またはエネルギー信号とすることができる。この信号経路は、物理的な接続、電気的な接続、磁気的な接続、電磁気的な接続、電気化学的な接続、光学的な接続、有線接続または無線接続を含むことができる。この信号経路はさらに、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールの間に、追加のシステム、デバイス、構成要素、モジュールまたはサブモジュールを含むことができる。
より一般的には、「通信する(communicate)」、「〜と...通信状態にある(in...communication with)」などの用語(例えば第1の構成要素は第2の構成要素と「通信する」、または第1の構成要素は第2の構成要素と「通信状態にある」)は、本明細書において、2つ以上の構成要素または要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、信号的、光学的、磁気的、電磁気的、イオン的または流体的関係を示すために使用される。そのため、1つの構成要素が第2の構成要素と通信するとの言及が、第1の構成要素と第2の構成要素の間に、および/または第1の構成要素と第2の構成要素の間に動作可能に結合されて、もしくは第1の構成要素と第2の構成要素の間に係合されて、追加の構成要素が存在しうる可能性を排除することは意図されていない。
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明のさまざまな態様または詳細を変更することができることが理解される。さらに、上記の説明は例示だけが目的であり、限定を目的としたものではない。本発明は、下記の特許請求の範囲によって定義される。

Claims (9)

  1. イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
    イオン移動度(IM)ドリフト管(122)内へイオンパケットを注入するステップと、
    前記イオンパケット中のイオンが前記IMドリフト管内でドリフトしているときに、このイオンをIMに従って分離するステップと、
    前記イオンパケットを、飛行時間型(TOF)質量分析器(114)のパルサ(134)内へ送達するステップと、
    前記パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、前記TOF質量分析器の飛行管(138)内へ送達するステップであり、前記パルサ内へ送達された同じイオンパケットから前記新たな複数のイオンパケットが抽出され、この抽出された新たな複数のイオンパケットの少なくとも3つが前記飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットが前記飛行管内でドリフトしているときに、前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットについてイオンをTOFに従って分離するステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンが前記TOF質量分析器の検出器(142)に到達したときに、TOFに従って分離された前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンを検出するステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンを検出する前に、前記飛行管内での連続した前記新たな複数のイオンパケット間の重なりが最小化されるようなイオンのm/z範囲を選択するステップと
    を含み、
    前記イオンパケットを注入するステップが、前記IMドリフト管内へ複数のイオンパケットを逐次的に注入するステップであり、少なくともつのイオンパケットが前記IMドリフト管内に同時に存在するような多重化された注入速度で注入が実行されるステップを含み、
    前記イオンのm/z範囲を選択するステップが、特定のm/z範囲のイオンだけを選択するステップであり、前記飛行管内の前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットが、同じ選択された前記特定のm/z範囲のイオンを含むステップを含む方法。
  2. イオンからスペクトル測定データを取得する方法であって、
    イオン移動度(IM)ドリフト管(122)内へイオンパケットを注入するステップと、
    前記イオンパケット中のイオンが前記IMドリフト管内でドリフトしているときに、このイオンをIMに従って分離するステップと、
    前記イオンパケットを、飛行時間型(TOF)質量分析器(114)のパルサ(134)内へ送達するステップと、
    前記パルサから新たな複数のイオンパケットを逐次的に抽出し、前記TOF質量分析器の飛行管(138)内へ送達するステップであり、前記パルサ内へ送達された同じイオンパケットから前記新たな複数のイオンパケットが抽出され、この抽出された新たな複数のイオンパケットの少なくとも3つが前記飛行管内に同時に存在するような多重化された抽出速度で抽出が実行されるステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットが前記飛行管内でドリフトしているときに、前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットについてイオンをTOFに従って分離するステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンが前記TOF質量分析器の検出器(142)に到達したときに、TOFに従って分離された前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンを検出するステップと、
    前記新たな複数のイオンパケットの各イオンパケットのイオンを検出する前に、前記飛行管内での連続した前記新たな複数のイオンパケット間の重なりが最小化されるようなイオンのm/z範囲を選択するステップと
    を含み、
    前記イオンのm/z範囲を選択するステップが、連続するm/z範囲内のイオンを選択するステップを含み、連続するそれぞれのm/z範囲が直前のm/z範囲とは異なるm/z範囲であり、それぞれのm/z範囲の幅が、前記飛行管内での連続した前記新たな複数のイオンパケット間の重なりを最小化するように選択され、前記イオンパケットを注入するステップが、それぞれのイオンパケットを前記IMドリフト管内へ一度に1パケットずつ注入するステップである、方法。
  3. 前記m/z範囲、前記特定のm/z範囲または前記連続するm/z範囲の幅が、十から四百の範囲にある、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記イオンのm/z範囲を選択するステップが、前記イオンパケット中のイオンをIMに従って分離するステップの後に、このイオンパケットを質量フィルタ(112)に通すステップを含み、前記パルサ内へ送達される前記イオンパケットが、この質量フィルタに通されたイオンパケットである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記イオンのm/z範囲を選択するステップが、前記パルサから前記新たな複数のイオンパケットを抽出した後に、この抽出した新たな複数のイオンパケットを、前記飛行管内に配置された質量フィルタ(112)に通すステップを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記イオンのm/z範囲を選択するステップが、前記イオンパケットまたは前記新たな複数のイオンパケットを、多重極質量フィルタ、イオン光学デバイスおよびブラッドバリー−ニールセンゲートからなるグループから選択された質量フィルタ(112)に通すステップを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記イオンを検出した後に、前記ドリフト管内へ注入する1つまたは複数の追加のイオンパケットに対して請求項に記載の一連のステップを再び行うステップを含む、請求項に記載の方法。
  8. 前記連続するm/z範囲のそれぞれが、直前のm/z範囲よりも高いm/z範囲または直前のm/z範囲よりも低いm/z範囲である、請求項に記載の方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたイオン移動度飛行時間型質量分析器システム(100)であって、前記IMドリフト管(122)と、前記イオンのm/z範囲を選択するステップを行うための質量フィルタ(112)と、前記TOF質量分析器(114)との通信を行うシステムコントローラ(118)を備えたシステム。
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