JP6698698B2 - オーバーサンプル型飛行時間質量分析 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月6日に出願された英国特許出願第1507759.7号からの優先権および利益を主張する。本出願の内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は一般に質量分析に関し、詳細には質量分析の方法および質量分析計に関する。
飛行時間(「TOF」)質量分析において、異なる質量の種の混合物は質量分析器の中に加速され、イオンはイオンの質量対電荷比に従って分離される。いわゆる「パルスアンドウェイト」手法では、次のまたは後続の加速事象が開始される前に、混合物内に存在するイオンの最大質量対電荷比種がイオン検出器に到達するために十分な時間が許容される。この技法は、特に連続したイオン源とともに使用されるときに本質的に低いデューティサイクルおよび感度を有する。例えば直交加速の折り畳まれた飛行経路(「FFP」)の場合に、この時間の長さを待機する飛行時間分析器により、デューティサイクルが非常に低くなる(例えば0.3%以下)。
低デューティサイクルは、イオンの最大質量対電荷比種の飛行時間によって決定されるより多くサンプリングすること、およびその後「オーバーサンプリング」として公知の工程において得られるスペクトルデータを逆多重化することによってある程度軽減できることが公知である。
しかしこの手法の1つの問題は、オーバーサンプリング手法を(液体クロマトグラフィーの質量分析実験に多く見られるような)豊富で複雑なスペクトルに利用すると、得られるデータが含むピーク重なりが多過ぎて首尾よく逆多重化ができない可能性があるということである。
電流の低いデューティサイクル(0.3%以下)の折り畳まれた飛行経路分析では、ほぼ30%に実質的に向上したデューティサイクルを達成するために、約100%だけオーバーサンプリングできることが望ましい。
米国特許出願公開第2005/0194531号 国際公開第2011/135477号
したがって質量分析の改良された方法を提供することが望ましい。
一態様によれば、質量分析の方法であって、
イオンをオーバーサンプリングの動作モードで動作する飛行時間質量分析器に移行させることと、
複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオンに対するイオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することとを含む方法が提供される。
本手法は、高いオーバーサンプリングレートが可能であり、著しく改良されたデューティサイクルが得られる一方で、得られるデータを首尾よく逆多重化することができるままである方法に関する。イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することにより、複雑性、例えば各データセットに対するピークまたはピーク重なりの数が、他の公知の配置に比べて低減されることがある。これにより、例えばより複雑なサンプルから得る、かつ/またはより高いオーバーサンプリングレートを使用して獲得される、より複雑なデータセットを首尾よく処理できる。この点において飛行時間質量分析器にイオンが到着する前にイオンの上流分離を利用することにより、さらなる改良を達成することができる。
飛行時間質量分析器をオーバーサンプリングして、またはオーバーサンプリングの動作モードで動作することは、抽出パルス(すなわちイオンが飛行時間領域に押される/引かれるパルスレート)の間の時間が、検出器に到達するために前のパルス内の最も遅いイオンに対する飛行時間より短いことを意味することが理解されよう。すなわちイオンの複数のパケットまたは群は、飛行時間領域内に同時に存在する。オーバーサンプリングはデューティサイクルに改良を提供することが認識されよう。しかしこれにより、次にデコンボリューションするもしくは逆多重化する、または別法として明瞭な質量スペクトルを提供するために処理しなければならない重なるスペクトルをもたらすことも認識されよう。したがってオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットは、オーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットが多重の潜在的な重なる質量スペクトルを含有するように、オーバーサンプリングの工程によって収集したまたは獲得したデータセットを備えることを理解されたい。本明細書に説明された技法により、いかなる情報も失うことなく、非常に高いオーバーサンプリングレートであっても収集したスペクトルを首尾よく逆多重化できる。
米国特許出願公開第2005/0194531号(Chernushevich)(特許文献1)は、イオンビームが異なる検出領域に交互に向けられることによりパルス周波数を増加することができる方法を開示している。しかし各検出領域に対するパルススケジュールは、従来のパルスアンドウェイト手法を依然として踏襲しているので、得られる質量スペクトルデータセットはオーバーサンプリングされず、それゆえ逆多重化が必要とされない。米国特許出願公開第2005/0194531号(Chernushevich)(特許文献1)に開示された手法によれば、パルス周波数は、異なる検出領域の数とともに直線的に増加するのみであるので、この手法はデューティサイクルの比較的限定されたまたは控えめな増加が可能なだけである。
一方、本明細書に説明された技法およびそれに関する様々な実施形態では、第1の質量スペクトルデータセットはそれぞれがオーバーサンプリングされる。それゆえ米国特許出願公開第2005/0194531号(Chernushevich)(特許文献1)に開示された配置に比べて、はるかに高いパルスレートおよびデューティサイクルを達成することができる一方で、依然として個々のデータセットの複雑性を管理可能な範囲内に保つ。
イオン信号は、質量スペクトルデータを提供するために処理されてもよいイオン信号であることが認識されよう。したがってイオン信号は飛行時間質量分析器を使用することによって発生される。イオン信号は、例えば飛行時間質量分析器のイオン検出またはデータ収集システムで発生されてもよい。したがってイオン信号は、飛行時間質量分析器のイオン検出器または他の検出システムでイオンの到着時間に直接または間接的に対応してもよい。イオン信号は、イオンの到着または検出事象に対応するまたは示す電子信号またはデータであってもよい。異なるチャネルは、概して飛行時間検出システムまたはデータ収集システムの異なるチャネルであってもよい。
それぞれのオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットは、多重の飛行時間スペクトルを含んでもよく、通常多重の飛行時間スペクトルを含むことになる。すなわちそれぞれの第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットは、それぞれの異なるチャネルに関連した質量スペクトルデータセットが、それぞれオーバーサンプリングされる(例えばしたがってさらにそれぞれが逆多重化を必要とする)ように、多重の重なる飛行時間スペクトルを含有してもよい。
イオン信号を異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することにより、イオン信号は、信号実験または測定サイクルの過程の間に少なくとも2つの異なるチャネル上に記録されることを意味する。
すなわちその上にイオン信号が記録されるチャネルは、時間に応じて変わる。
イオン信号は、第1の質量スペクトルデータセットの後続の処理を促すために、各第1の質量スペクトルデータセットの複雑性を所望の閾値より低く保つために、複数の異なるチャンネル上に交互にまたは連続して記録されてもよい。複雑性および/または所望の閾値の程度は、例えば質量スペクトルデータ点すなわち質量ピークの数、イオンカウント、総イオン電流、強度、または重なりピークの数として画定されてもよい。
その上にイオン信号が記録されるチャネルは、徐々にまたは連続的に変更されてもよい。チャネルは、連続的方式または段階的方式で変更されてもよい。イオン信号は、実験の過程の間に周期的または反復的方式で複数の異なるチャネルのそれぞれの上に記録されてもよいので、実験の過程の間に複数の異なるチャネルのそれぞれの上にイオン信号を記録する重複インスタンスが存在する。
その方法は、イオン信号を複数の異なるチャネル上に連続して記録することを含んでもよい。例えば方法は、その上にイオン信号が記録されるチャネルを所定の順序に従って交代させること(または別法として変更させること)を含んでもよい。方法は、別法としてその上にイオン信号が記録されるチャネルをランダムまたは疑似ランダム順序に従って交代させることを含んでもよい。
チャネルは、所定の時間間隔の後、すなわちイオン信号が各チャンネル上に一定時間に記録されるように変更されてもよい。各チャネルに対する時間は同じであってもよい、すなわち時間間隔は等しく間隔を置かれてもよく、または異なってもよい。
概してデータは大量の異なるチャネル上に記録されてもよいことに留意されたい。例えばイオン信号は、約10個以上、約20個以上、約30個以上、約40個以上、約50個以上、約60個以上、約70個以上、約80個以上、約90個以上、約100個まで、または約100個を超える異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録されてもよい。
イオンは、概して連続的方式で、すなわち一部の時間関数または変動により飛行時間質量分析器に到着してもよく、または飛行時間質量分析器に移行されてもよい。イオン信号は、この時間関数または変動に基づいて異なるチャネルに向けられてもよい。例えばチャネルを変えるための時間スケールまたは頻度は、この時間関数または変動の時間スケールに基づいて決定されてもよい。特にチャネルは、時間関数または変動の過程にわたって何度も変更されてもよい。
連続して到着するイオンは、複数のイオン群を形成すると考えられる。イオン群は、例えばイオン群が飛行時間質量分析器に到着する時間間隔に従ってイオンをグループ化することにより、任意に画定されてもよい。チャネルを変更するための時間スケールまたは頻度は、概して異なる群が異なるチャネルを使用して記録されるようなものであってもよい。すなわち1回目に質量分析器の飛行時間領域に移行したイオンの第1の群(すなわちイオンの第1の群を示すデータ)は、第1のチャネル上に記録されてもよく、その後の2回目に質量分析器の飛行時間領域に移行したイオンの第2の群に関するイオン信号は、第2の異なるチャネル上に記録されてもよい。
さらに後のイオンの第3の群は第3の異なるチャネル上に記録され、同様に続いてもよい。特にイオンが一部の時間関数または変動により(例えば上流分離に基づいて)飛行時間質量分析器に到着した場合、時間関数または変動の単一サイクル内のそれぞれのイオン群は、別個のチャネル上に記録されてもよい。また後の群からのイオン、特に後のサイクルまたは分離からのイオンは、第1のチャネルを使用して記録されてもよい、すなわちそのシーケンスは反復または循環されてもよいことも企図される。
方法は、複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理することと、複合質量スペクトルまたは質量スペクトルデータセットを形成するために複数の第2の質量スペクトルデータセットを組み合わせることとをさらに含んでもよい。
複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理するステップは、複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを逆多重化することを含んでもよい。逆多重化することは、例えば飛行時間の収集またはパルス周波数の知識に基づいて、様々な公知の技法を使用して実行されてもよい。
複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれは、個別に、すなわち異なるチャネル上に記録されたその他の質量スペクトルデータセットと無関係に処理(または例えば逆多重化)されてもよい。
しかし第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを必ずしも個別に処理しなくてもよく、実施形態は第1のスペクトルデータセットの(すなわち多数の)サブセットが一緒に処理されてもよいことが企図されることが認識されよう。特にこれは、これらのデータセットが比較的少ない、または比較的少ないと決定された(すなわち明確なピークおよび/もしくは重なるピークの含有が比較的少ない)場合に行われてもよい。得られる複合スペクトルが首尾よく逆多重化できないほど複雑ではないという条件で、あらゆる点で処理されるデータおよび/または歪みを処理するデータ全体の複雑性は、依然として十分に低減されてもよい。それゆえ方法は、複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットの少なくともいくつかまたは一部を個別に処理することを含んでもよい。
方法は、イオンを飛行時間質量分析器に移行する前に、イオンを1つまたは複数の物理化学的特性に従って分離することまたはフィルタリングすることを含んでもよい。
方法は、第1の質量スペクトルデータセットのそれぞれが、物理化学的特性の値または値の範囲に関連付けられるように、イオンに対するイオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することを含んでもよい。
物理化学的特性は、(i)イオン移動度、および/または(ii)微分イオン移動度、および/または(iii)衝突断面積(「CCS」)、および/または(iv)質量もしくは質量対電荷比、および/または(v)クロマトグラフィー保持時間であるか、またはそれらを含んでもよい。
イオン信号は、イオンの分離/フィルタリングに基づいて、またはイオンの分離/フィルタリングに応じて、複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録されてもよい。イオンを飛行時間質量分析器の上流で分離することまたはフィルタリングすることにより、スペクトルの複雑性をいかなる時も低減できる。したがってあらゆる個々のチャネル内のピーク濃度は、複合信号または分離されていない信号に比べて低減される。イオンは概して公知の方式で分離され、またはフィルタリングされてもよい。
イオンを分離するまたはフィルタリングするステップは、物理化学的特性に従ってイオンを効果的にグループ化する、または別法として分類することが認識されよう。したがってこのステップの効果は、飛行時間質量分析器に移行されるイオンに時間的拡大または変調を導入するべきである。この時間的拡大は、分離または分離装置の特徴的な時間スケールとして画定されてもよい。特徴的な時間スケールは、最大の時間スケールに対応してもよく、最大の時間スケールを超えて同時に分離装置に入るイオンは、装置から溶出してもよく、すなわち潜在的な時間の拡大は分離装置によって導入される。概して分離装置の型に依存して、イオンは、複数の時間的に分離されたイオンパケットとして、または1つもしくは複数の時間的に分離された成分を含有する実質的に連続的な、または疑似的に連続的なビームとして、分離装置から飛行時間質量分析器に移行されてもよいことに留意されたい。
分離または分離サイクル(すなわち分離装置の特徴的な時間スケール内にチャネルを何度も変更すること)の過程の間にイオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することは、チャネル数と物理化学的特性との間の相互関係を導入する効果を有することになる。すなわち異なるときに分離装置から溶出するイオンは、異なるチャネル上に記録されてもよい。特に物理化学的特性の異なる値、または物理化学的特性の異なる範囲内に収まる値を有するイオンに対するイオン信号は、異なるチャネル上に記録されてもよい。第1の範囲内の物理化学的特性の値を有するイオン(すなわち第1回目に分離装置から溶出する第1の群を形成するイオン)に対するイオン信号は、第1のチャネルに向けられてもよい一方で、第2の異なる範囲(すなわち第2回目に分離装置から溶出する第2の群)内の物理化学的特性の値を有するイオンに対するイオン信号は、第2の異なるチャネルに向けられてもよい。
したがってそれに従ってイオン信号が異なるチャネルに記録される、または異なるチャネルに向けられる順序は、分離装置からのイオンの溶出によって決定されてもよく、またはイオンの溶出に基づいてもよい。例えばその上にイオン信号が記録されるチャネルは、分離装置からのイオンの溶出に応じて連続してまたは徐々に変化してもよい。したがってチャネルを変更する時間スケールまたは頻度は、分離の特徴的な時間スケールに基づいて選択されてもよい。概してチャネルを変更する時間スケールは、分離装置における分離の時間スケールより短くなるが、質量分析器における飛行時間分離より長くなる。
したがって分離の特徴的な時間スケールは、多重の飛行時間スペクトルが各分離の過程の間に収集されるように(これは「ネストされた」飛行時間の収集と呼ばれることがある)、飛行時間の分離の時間スケールより概して大きくあるべきであることが理解されよう。したがって完全な飛行時間スペクトルを、物理化学的特性のそれぞれの値に対して記録することができる。分離は、飛行時間と液体クロマトグラフィー(「LC」)の時間スケールとの間の時間にネストされてもよい。
イオン信号は、対応するイオンが分離装置から溶出する際に複数の異なるチャネルに連続して記録されてもよい。
分離は、時間関数f(t)に従って1つまたは複数の物理化学的特性に応じてイオンを分離してもよく、イオン信号は、時間関数に従って異なるチャネル上に記録されてもよい。
分離されたイオンは、物理化学的特性の特定の値または値の範囲に関連した複数のイオン群にグループ化または分類されてもよい。異なる群に対するイオン信号は、異なるチャネル上に記録されてもよい。したがってイオンの群は、その群に対するイオン信号が記録されるチャネルに従って画定されてもよい。上記のように、イオン群の大きさは任意に画定されてもよい。例えば群はイオンビームを多数の時間区間に分割すること、およびイオン信号をそれぞれの時間区間内または少なくとも異なるチャネル上の隣接した時間区間内に記録することによって画定されてもよい。別の例としては、イオン群は動的に画定されてもよく、例えばその上にイオン信号が現在記録されているイオンチャネルが、一旦ある特定のイオン電流または強度閾値に達すると変更されてもよい。
特に方法は、1つまたは複数の物理化学的特性に従ってイオンを分離することまたはフィルタリングすることと、分離されたまたはフィルタリングされたイオンをオーバーサンプリングの動作モードで動作する飛行時間質量分析器に移行することと、それぞれが1つまたは複数の物理化学的特性の値もしくは値の範囲に関連した、複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオンに対するイオン信号を複数の異なるチャネル上に連続して記録することと、複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理することと、複合質量スペクトルまたは質量スペクトルデータセットを形成するために複数の第2の質量スペクトルデータセットを組み合わせることとを含んでもよい。
方法は、イオンのイオン移動度の微分イオン移動度または衝突断面積(「CCS」)に従ってイオンを分離することまたはフィルタリングすることを含んでもよい。
方法は、イオンのイオン移動度、ドリフト時間、または衝突断面積を決定することをさらに含んでもよい。イオン移動度、ドリフト時間、または衝突断面積は、質量スペクトルデータセットを処理することまたは逆多重化することの一部として決定されてもよい。例えばイオン移動度、ドリフト時間、または衝突断面積は、オーバーサンプリングされた飛行時間質量分析器によって獲得されたプロファイル情報から再構成されてもよい。イオン移動度、ドリフト時間、または衝突断面積は、追加として/別法としてその上にイオン信号が記録されたチャネルによって決定されてもよい。すなわちイオン移動度特徴は、チャネル数を保ち、チャネル数と相互関係をもってもよい。
方法は、質量または質量対電荷比に従ってイオンを分離することまたはフィルタリングすることを含んでもよい。
方法は、クロマトグラフィー保持時間に従ってイオンを分離することまたはフィルタリングすることを含んでもよい。
クロマトグラフィー分離装置(例えば液体クロマトグラフィー(「LC」の列)は、イオンよりむしろクロマトグラフ的に分離されるのはイオンが由来するサンプルの成分であるように、概してイオン化源の上流に配置されてもよいことが認識されよう。しかしこの場合、イオンはクロマトグラフ的な分離プロファイルを保持し、したがって保持時間または疑似保持時間に従って分離されるとみなすことができ、本出願のためにイオンのクロマトグラフ的な分離へのあらゆる言及にこのことが含まれることを理解されたい。
イオンが由来する成分は、まずクロマトグラフィー保持時間に従って、次いで例えば飛行時間分離の前にイオン移動度または質量対電荷比に従って分離されてもよい。この場合、分離は、分離の特徴的な時間スケールが機器に沿って低減するように、概して時間内にネストされるべきである。
上記のように、方法は、固定された、または所定の時間間隔の後にチャネルを交代させることを含んでもよい。しかし方法は、別法としてその上にイオン信号が動的に記録されるチャネルを交代させることを含んでもよい。例えば方法は、チャネルに対するイオン信号の閾値に達した後、その上にイオン信号が動的に記録されるチャネルを交代させることを含んでもよい。イオン信号の閾値は、例えば各チャネルに対するカウントの所定の数、またはある特定のイオン電流または強度閾値を表してもよい。方法は、カウントの数、イオン電流または強度閾値を記録すること、および一旦閾値に達するとチャネル間で自動的に交代することを含んでもよい。
オーバーサンプリングの動作モードで飛行時間質量分析器を動作するステップは、符号化頻回パルス(「EFP」)を利用することをさらに含んでもよい。
EFPは特定の型のオーバーサンプリングまたは逆多重化であり、これは例えば折り畳まれた飛行経路の直交加速飛行時間質量分析器に適切に適合されてもよい。しかしEFPの使用は、特定の型の飛行時間質量分析器に限定されない。
EFPの原理は、例えば国際公開第2011/135477号(Verenchikov)(特許文献2)に説明されている。EFP技法では、飛行時間の収集またはパルス周波数は変化するまたは疑似ランダムのシーケンスに従って設定される。得られるデータをこのシーケンスの知識に基づいて連続して逆多重化することができる。このようにしてパルスレートを変化させることは、意図しないバイアス型エラーの導入を回避する助けとなることがあり、そうでなければこれは固定したオーバーサンプリングされた収集率で飛行時間を動作するときに起きることがある。
イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録するステップは、多重ピクセルの飛行時間検出器の面積を横切って走査することまたはラスター化することを含んでもよく、複数の異なるチャネルは検出器の指定されたまたは離散した面積またはピクセルを備えてもよい。多重ピクセルの飛行時間検出器は、二次元の配列を含んでもよい。
検出器の面積を横切って走査することまたはラスター化することは、1つまたは複数の偏向電極に加えられた1つまたは複数の偏向電位または波形を徐々に変えることを含んでもよい。走査速度は分離の特徴的な時間スケールに基づいて決定されてもよい。
複数の異なるチャネルは、データ収集システム内に個別の記憶場所を備えてもよい。
別の態様によれば、オーバーサンプリングの動作モードで動作可能な飛行時間質量分析器であって、
複数の第1の質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録するように、オーバーサンプリングの動作モードで配置され適合された制御システムを備える、飛行時間質量分析器が提供される。
制御システムは、上に説明されたように、または上に説明されたあらゆる特徴を含む方法を実行するように配置され適合されてもよい。制御システムは、イオン信号を複数の異なるチャネル上に記録するように配置され適合された、あらゆる適切な制御および/または処理回路を備えてもよい。飛行時間質量分析器は、続いてイオン信号を例えば上に説明された方式で処理するために、あらゆる適切な処理装置または処理回路をさらに備えてもよい。
飛行時間質量分析器は、イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録するためのあらゆる適切な手段を含んでもよい。例えば飛行時間質量分析器は、このことを行うために様々な電極またはイオン光学配置を備えてもよい。
飛行時間質量分析器は、様々な公知の飛行時間機器を備えてもよい。例えば飛行時間質量分析器は、線形または直交加速飛行時間質量分析器を備えてもよい。飛行時間質量分析器は、伸張されたまたは折り畳まれた飛行経路の飛行時間質量分析器を備えてもよい。通常飛行時間質量分析器は、イオン加速領域および飛行時間領域を備えてもよい。イオンは、イオン加速領域から、例えば1つまたは複数の抽出パルスを使用して飛行時間領域に加速されてもよく、飛行時間領域ではイオンは飛行時間、すなわち質量または質量対電荷比に従って分離される。飛行時間領域の端部で、イオンはイオン検出器または検出システムに到着する。イオン検出器または検出システムの出力は、質量スペクトルデータを提供するために処理されてもよい。飛行時間質量分析器は、概して処理するため、例えば質量スペクトルデータセットを逆多重化するための処理装置を備える。処理装置は、適切なソフトウェアを動作させるユーザのコンピュータを備えてもよい。
飛行時間質量分析器は、1つまたは複数の物理化学的特性に従ってイオンを分離するまたはフィルタリングするための分離装置をさらに備えてもよい。
イオンは、飛行時間質量分析器に移行される前に分離される、またはフィルタリングされてもよい。分離装置は、飛行時間質量分析器の上流に配置されてもよい。
分離装置は、(i)イオン移動度または微分イオン移動度分離装置、(ii)質量もしくは質量対電荷比分離装置、(iii)質量選択的なイオントラップ、および/または(iv)質量選択的なイオンフィルタを備えてもよい。
それぞれの異なるチャネルは、多重ピクセルの飛行時間質量検出器の指定されたまたは離散した面積またはピクセルを備えてもよい。
この場合、イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録するための装置は、1つまたは複数の偏向レンズを備えてもよい。制御システムは、飛行時間質量検出器の面積を横切って走査する、またはラスター化するために、走査電位または波形を偏向レンズに徐々に加えるように配置されてもよい。
異なるチャネルのそれぞれは、データ収集システム内に個別の記憶場所を備えてもよい。
イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録するための装置は、1つまたは複数の偏向レンズを備えてもよい。
一態様によれば、上に説明されたような飛行時間質量分析器を備える質量分析計が提供される。
さらなる態様によれば、
イオンをオーバーサンプリングの動作モードで動作する飛行時間質量分析に移行させることと、
複数の第1の質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオンに対するイオン信号を複数の異なるチャネル上に連続して記録することとを含む方法が提供される。
別の態様によれば、オーバーサンプリングの動作モードで動作可能な飛行時間質量分析器であって、
複数の第1の質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオン信号を複数の異なるチャネル上に連続して記録するように、オーバーサンプリングの動作モードで配置され適合された制御システムを備える、飛行時間質量分析器が提供される。
これらの態様の方法および飛行時間質量分析器は、本明細書に説明されたあらゆるまたはすべてのステップもしくは特徴をさらに備えてもよく、あるいは制御システムは、本明細書に説明されたあらゆるまたはすべてのステップを実行するようにさらに配置され適合されてもよい。
一態様によれば、オーバーサンプリングモードで動作するまたは動作可能な飛行時間質量分析計であって、
上流の分離装置によって、使用中に飛行時間質量分析器によって検出されたイオン信号は、イオン信号が分離装置から溶出される際に、複数の異なるチャネル上に連続して向けられ、それによって複合の分離されない信号に比べてあらゆる個々のチャネル内のピーク濃度が低減する、上流の分離装置を備え、
各チャネル内のイオン信号は別個に逆多重化される、飛行時間質量分析計が提供される。
分離は、概してクロマトグラフィーと飛行時間の時間スケールとの間の時間にネストされてもよい。
分離装置はイオン移動度に従って分離してもよい。
分離装置は質量選択的なイオントラップを備えてもよい。
分離装置は質量選択的なイオンフィルタを備えてもよい。
利用されるオーバーサンプリング技法は、符号化頻回パルシング(「EFP」)技法を備えてもよい。
各チャネルは、多重ピクセルの飛行時間質量検出器の指定された面積を備えてもよい。
各チャネルは、追加としてまたは別法として個別の記憶場所であってもよく、またはデータ収集システム内に個別の記憶場所を備えてもよい。
質量分析計は、
(a)(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリクス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル63放射線イオン源、(xvii)大気圧マトリクス支援レーザー脱離イオン化イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(「ASGDI」)イオン源、(xx)グロー放電(「GD」)イオン源、(xxi)衝突体イオン源、(xxii)リアルタイムでの直接分析(「DART」)イオン源、(xxiii)レーザースプレーイオン化(「LSI」)イオン源、(xxiv)音響スプレーイオン化(「SSI」)イオン源、(xxv)マトリクス支援呼気イオン化(「MAII」)イオン源、(xxvi)溶媒支援呼気イオン化(「SAII」)イオン源、(xxvii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、および(xxviii)レーザー切断エレクトロスプレーイオン化(「LAESI」)イオン源からなる群から選択されたイオン源、ならびに/あるいは
(b)1つまたは複数の連続またはパルスイオン源、ならびに/あるいは
(c)1つまたは複数のイオンガイド、ならびに/あるいは
(d)1つもしくは複数のイオン移動度分離装置および/または1つもしくは複数の電界非対称イオン移動度分析装置、ならびに/あるいは
(e)1つもしくは複数のイオントラップまたは1つもしくは複数のイオントラップ領域、ならびに/あるいは
(f)(i)衝突誘起解離(「CID」)断片化装置、(ii)表面誘起解離(「SID」)断片化装置、(iii)電子移動解離(「ETD」)断片化装置、(iv)電子捕獲解離(「ECD」)断片化装置、(v)電子衝突または衝撃解離断片化装置、(vi)光誘起解離(「PID」)断片化装置、(vii)レーザー誘起解離断片化装置、(viii)赤外線照射誘起解離断片化装置、(ix)紫外線照射誘起解離装置、(x)ノズルスキマーインターフェース断片化装置、(xi)インソース断片化装置、(xii)インソース衝突誘起解離断片化装置、(xiii)熱源または温度源断片化装置、(xiv)電界誘起断片化装置、(xv)磁場誘起断片化装置、(xvi)酵素消化または酵素分解断片化装置、(xvii)イオン−イオン反応断片化装置、(xviii)イオン−分子反応断片化装置、(xix)イオン−原子反応断片化装置、(xx)イオン−準安定イオン反応断片化装置、(xxi)イオン−準安定分子反応断片化装置、(xxii)イオン−準安定原子反応断片化装置、(xxiii)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−イオン反応装置、(xxiv)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−分子反応装置、(xxv)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−原子反応装置、(xxvi)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−準安定イオン反応装置、(xxvii)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−準安定分子反応装置、(xxviii)付加または生成イオンを形成するようにイオンを反応させるためのイオン−準安定原子反応装置、(xxix)電子イオン化解離(「EID」)断片化装置からなる群から選択された1つまたは複数の衝突、断片化または反応セル、ならびに/あるいは
(g)(i)飛行時間質量分析器、(ii)直交加速飛行時間質量分析器、および(iii)線形加速飛行時間質量分析器からなる群から選択された質量分析器、ならびに/あるいは
(h)1つもしくは複数のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器、ならびに/あるいは
(i)1つまたは複数のイオン検出器、ならびに/あるいは
(j)(i)四重極型質量フィルタ、(ii)2Dまたは線形四重極型イオントラップ、(iii)ポールもしくは3D四重極型イオントラップ、(iv)ペニングイオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁場型質量フィルタ、(vii)飛行時間質量フィルタ、および(viii)ウィーンフィルタからなる群から選択された1つまたは複数の質量フィルタ、ならびに/あるいは
(k)イオンにパルスを発するための装置またはイオンゲート、ならびに/あるいは
(l)実質的に連続的なイオンビームをパルスイオンビームに変換するための装置をさらに備えてもよい。
質量分析計は、
(i)Cトラップ、および四重極型対数の潜在的分布を有する静電界を形成する外部バレル状電極および同軸内部スピンドル状電極を備える質量分析器であって、第1の動作モードで、イオンはCトラップに伝送され、次いで質量分析器内に注入され、第2の動作モードで、イオンはCトラップに伝送され、次いで衝突セルまたは電子移動解離装置に伝送され、少なくとも一部のイオンは断片イオンに断片化され、次いで断片イオンは、質量分析器に注入される前にCトラップに伝送される、Cトラップおよび質量分析器、ならびに/または
(ii)使用中にイオンがそれを通って伝送される開口部をそれぞれが有する複数の電極を備える積層リングイオンガイドであって、電極の間隔はイオン経路の長さに沿って増加し、イオンガイドの上流区画内の電極の開口部は第1の直径を有し、イオンガイドの下流区画内の電極の開口部は第1の直径より小さい第2の直径を有し、交流または直流電圧の逆位相は、使用中に連続的な電極に印加される、積層リングイオンガイドのどちらかをさらに備えてもよい。
質量分析計は、交流または直流電圧を電極に供給するように配置され適合された装置をさらに備えてもよい。交流または直流電圧は、(i)ピーク幅<50V、(ii)ピーク幅50〜100V、(iii)ピーク幅100〜150V、(iv)ピーク幅150〜200V、(v)ピーク幅200〜250V、(vi)ピーク幅250〜300V、(vii)ピーク幅300〜350V、(viii)ピーク幅350〜400V、(ix)ピーク幅400〜450V、(x)ピーク幅450〜500V、(xi)ピーク幅>500Vからなる群から選択された振幅を有してもよい。
交流または直流電圧は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択された周波数を有してもよい。
また質量分析計は、クロマトグラフィーまたはイオン源の上流の他の分離装置を備えてもよい。一実施形態によれば、クロマトグラフィー分離装置は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー装置を備える。別の実施形態によれば、分離装置は、(i)キャピラリー電気泳動(「CE」)分離装置、(ii)キャピラリー電気クロマトグラフィー(「CEC」)分離装置、(iii)実質的に硬質なセラミック製多層マイクロ流体基板(「セラミックタイル」)分離装置、または(iv)超臨界流体クロマトグラフィー分離装置を備えてもよい。
質量分析計はクロマトグラフィー検出器を備えてもよい。
クロマトグラフィー検出器は、(i)水素炎イオン化検出器(「FID」)、(ii)エアロゾルベース検出器またはナノ量検体検出器(「NQAD」)、(iii)炎光光度検出器(「FPD」)、(iv)原子発光検出器(「AED」)、(v)窒素リン検出器(「NPD」)、および(vi)蒸発光散乱検出器(「ELSD」)からなる群から恣意的に選択された破壊型クロマトグラフィー検出器を備えてもよい。
加えてまたは別法として、クロマトグラフィー検出器は、(i)固定波長または可変波長UV検出器、(ii)熱伝導度検出器(「TCD」)、(iii)蛍光検出器、(iv)電子捕獲検出器(「ECD」)、(v)導電率モニタ、(vi)光イオン化検出器(「PID」)、(vii)屈折率検出器(「RID」)、(viii)ラジオフロー検出器、および(ix)キラル検出器からなる群から恣意的に選択された非破壊型クロマトグラフィー検出器を備えてもよい。
イオンガイドは、(i)<0.0001mbar、(ii)0.0001〜0.001mbar、(iii)0.001〜0.01mbar、(iv)0.01〜0.1mbar、(v)0.1〜1mbar、(vi)1〜10mbar、(vii)10〜100mbar、(viii)100〜1000mbar、および(ix)>1000mbarからなる群から選択された圧力で維持されてもよい。
次に様々な実施形態について、例示目的に過ぎないが、添付図面を参照して説明する。
本明細書に説明された技法が実施されてもよい一実施形態による、機器の概略図である。 オーバーサンプリングなしに収集された質量スペクトルを示す図である。 イオン移動度分離を示す図である。 符号化頻回パルシングを利用してオーバーサンプリングの動作モードで収集された質量スペクトルを示す図である。 5つの分離したチャネル上に記録され、5つの分離したチャネルから個別に逆多重化されたデータを示す図である。 一実施形態に従って獲得された、再構成された質量スペクトルを示す図である。 マイクロチャネルプレートに影響を与えて電子ビームをもたらすために、イオンをどのように配置してよいかを示し、電子ビームは次いでx偏向電極に印加され得る第1の偏向電圧波形の印加により、またy偏向電極に印加され得る第2の偏向電圧波形の印加により、x方向およびy方向に偏向されてもよい。 ピクセル照明毎に500μsを有し、それによって50msまでのドリフト時間を有するイオンが検出できる、本明細書に説明された技法を用いて使用するために適切な100ピクセル検出器の一例を示す図である。
本明細書に説明された技法を基礎とする一般原則が図1を参照に示されている。オーバーサンプリングで動作する飛行時間質量分析器4によって発生されたイオン信号またはデータは、時間関数F(t)に従ってイオン検出またはデータ収集システムの複数の異なるチャネルの1つに記録される、または向けられる、すなわちその上にイオン信号が記録されるチャネルは時間に応じて変更される。あらゆる個々のチャネル上のデータの複雑性(例えばピーク濃度)は、それによって低減され、オーバーサンプリングされたスペクトルを首尾よく逆多重化させるよう促す。したがって様々な実施形態による手法が特に有益であることが明白になろう。
図1に示された概略配列では、サンプルはクロマトグラフィーインターフェース1(例えばLC列)およびイオン化源2(例えばエレクトロスプレー)を介して質量分析計に導入されてもよい。得られる検体イオンは次いで分離装置3を通過し、分離装置3は、イオンがオーバーサンプリングモードで動作する飛行時間質量分析器4に到着する前に、物理化学的特性(例えば質量もしくは質量対電荷比、イオン移動度、微分イオン移動度または衝突断面積)に従ってイオンを分離するように配置される。分離装置3内のイオンの分離は、クロマトグラフィーと飛行時間の時間スケールとの間の時間にネストされてもよい。飛行時間質量分析器4によって生成されたデータは、次いで検出器システム5のN個の異なるチャネル51、52の1つに向けられてもよい。チャネルを変更するための時間スケールは、分離装置3によりイオンを分離する時間スケールより短く設定されるので、異なる物理化学的値に関連したイオンの異なる群は、異なるチャネル上に記録される。しかしチャネルを変更するための時間スケールは、概して飛行時間質量分析器4の収集速度より遅く配置されるので、各チャネル上に記録されたデータセットは重なるピークをもつ多重の飛行時間スペクトルを含む。
しかし本明細書に説明された技法は、図1に示された特定の機器配列に限定されないことが認識されよう。例えば技法は、あらゆる特定のインターフェースおよび/またはイオン源配置に限定されない。同様に機器は、1つまたは複数のイオンガイド、反応もしくは衝突セル、質量フィルタ、分離装置、および/またはイオントラップを含む、機器に沿って置かれた様々な他の構成要素をさらに備えてもよい。
上流の分離装置3は、1つまたは複数の物理化学的特性に従ってイオンをグループ化または分類するように配置されてもよく、それゆえイオンビームに時間的拡大または変調を導入する。同時に分離装置に導入されたイオンは、概して装置の最大の特徴的な時間スケールまで互いから分離される。分離は、溶出するスペクトルの複雑性(濃度)をあらゆる時点で低減する役目を果たすことがある。したがってあらゆる時点におけるピーク濃度は、すなわち複合または分離されていないスペクトルに対して低減される。複雑性の低下により、オーバーサンプリング周波数が大きくなり、その結果デューティサイクルの改善が可能になる。
分離装置3は、概して物理化学的特性に従ってイオンを分離またはフィルタリングしてもよいことが認識されよう。詳細には、イオンはイオン移動度および/または質量対電荷比に従って分離またはフィルタリングされてもよいことが企図される。分離装置3は、様々な公知のイオン移動度または質量対電荷分離装置を備えてもよい。例えば分離装置3は、ドリフト管または伝播波イオン移動度分離器または質量選択的なイオントラップを備えてもよい。別法として分離装置3は、電界支援イオン移動度分離(「FAIMS」)装置などの微分イオン移動度分離もしくはフィルタリング装置、または四重極質量フィルタなどの質量フィルタを備えてもよい。
イオンは物理化学的特性に従って分離装置3から溶出されてもよく、この溶出は時間関数f(t)によって記載されてもよい。時間関数f(t)は、物理化学的特性と相関関係があってもよく、すなわち特定の時間における分離装置3から溶出する(またひいては飛行時間質量分析器4に到着する)イオンは、物理化学的特性の特定の値と関連付けられる。
分離装置3は提供される必要がなく、イオンはクロマトグラフィー列1により、または電気泳動分離装置などのイオン源2の上流に配置された別の分子分離機器により、イオンの(疑似)保持時間のみに従って分離されてもよいことが認識されよう。クロマトグラフィー列1または他の分子分離機器の使用は必須ではなく、イオンは分離機器3のみによって分離されてもよいことも認識されよう。またイオンは飛行時間質量分析器4に到着する前に分離される必要は全くなく、単にイオン源2から直接提供されてもよいことも企図される。
飛行時間質量分析器4は、抽出領域に到着するイオンのパルスを多重化方式で飛行時間領域に供給するように、オーバーサンプリングモードで動作してもよい。飛行時間質量分析器4は、例えばパルス間隔が変化する可変または疑似ランダムパルススケジュールに従ってイオンのパルスを飛行時間領域に供給する、国際公開第2011/135477号(Verenchikov)(特許文献2)に説明されEFP動作モードで動作してもよい。パルススケジュールは記憶され、その後データを逆多重化するために使用することができる。しかし飛行時間質量分析器4は、得られるデータセットがオーバーサンプリングされるように、様々な他の適切な多重化されたパルススケジュールに従って動作してもよいことも企図される。飛行時間質量分析器4は様々な形を取ってもよい。例えば飛行時間質量分析器4は、線形または直交加速質量分析器を備えてもよい。飛行時間質量分析器は、伸張されたまたは折り畳まれた飛行経路の飛行時間質量分析器を備えてもよい。
次いで飛行時間質量分析器4によって生成されたデータは、時系列に従って検出器システム5のN個の異なるチャネル51、52…の1つに向けられてもよい。あらゆる数の異なるチャネルが存在してもよい。例えばイオン信号は、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個まで、または100個を超える異なるチャネル上に交互に記録されてもよい。データは、隣接したデータが隣接したチャネル上に記録されるように、それぞれの異なるチャネルに順番に連続して向けられてもよい。別法としてデータは、例えば隣接した順番が隣接しないチャネル上に記録されるように、あらゆる順番でそれぞれの異なるチャネルに向けられてもよい。
それに従ってデータがN個の異なるチャネル上に記録される順序は、上流の分離に基づいてもよい(すなわちf(t)に基づいてもよい)。すなわちそれに従ってイオン信号が異なるチャネル上に記録される時系列F(t)は、分離を説明する関数f(t)に基づくか、または関数f(t)に結び付けられてもよい。このようにして、その上にデータが記録されるチャネルは、それに従ってイオンが分離された物理化学的特性に相互関係をもってもよい。例えば多数の時間的に離れた成分を含有する疑似の連続したビームとして、分離装置3からイオンが溶出する場合、最初に溶出する成分は、飛行時間検出器システム5の第1のチャネル51を使用して記録されてもよく、その後に溶出する成分は第2のチャネル52、第3のチャネル、さらなるチャネルなどに連続して記録されてもよい。最終的にイオン信号は、再度第1のチャネル51などを使用して循環方式で記録を開始されてもよい。分離の単一循環の過程の間にイオン信号が何度も向けられるチャネルを変更することにより、チャネル51、52…のそれぞれは物理化学的特性の特定の値または値の範囲に関連付けられてもよい。
その上にデータが記録されるチャネルは、連続してまたは徐々に変更されてもよい。チャネルは、例えば検出器の異なる物理的領域を横切って連続して走査することにより、連続して変更されてもよい。別法としてチャネルは、離散的にまたは段階的方式で変更されてもよい。チャネルは、1つまたは複数の所定の時間間隔が経過した後に変更されてもよい。時間間隔は等間隔であってもよく、または長さが違ってもよい。例えば短い時間間隔は、ピーク濃度が最大であると予期され、または公知である場合に使用されてもよいのに対して、長い時間間隔は、ピーク濃度が低いと例えば実験開始時に予期される面積に使用されてもよい。予期されるピーク濃度は、例えば高速のプレスキャンから決定されてもよく、次いでこれを使用して時間に応じて各チャネル上に記憶されるデータ量を調節する。通常実験の過程の間に、イオン信号は、多重に分離した時間間隔に関連付けられたイオン信号が異なるチャネルのそれぞれの上に記録されるように、循環方式で異なるチャネル上に記録されてもよい。データは異なる時間間隔に関連付けられるので、各時間間隔に対するピーク濃度は、当然ながら依然として下がる。
別の例として、チャネルは、例えばイオンカウントまたはイオン電流または強度の既定数が特定のチャネル上に記録された後、動的に変更されてもよい。イオンコートまたはイオン電流または強度の既定数は、各チャネル上に記録されたデータセットの複雑性が所望の閾値より下に保たれるように設定されてもよい。データセットの複雑性は、例えばデータセットの質量ピークの数または重複する質量ピークの数によって画定されてもよい。また複雑性は、データセット内でイオン信号のイオンコート、イオン電流または強度を使用して画定されてもよい。各チャネル上に記録されるデータの量を動的に記録し、次いで一旦閾値に達するとチャネルを変更するために、適切な回路が提供されてもよい。
チャネルは、例えばデータ収集システム内の異なる記憶場所であってもよい。加えて/別法として、これらのチャネルは、多重ピクセルの飛行時間検出器の物理的に異なる面積であってもよい。概して異なるチャネルは、それぞれの異なるチャネル上に記録されたデータセットの複雑性を低減するために、イオン信号を異なるチャネル上に交互に記録できる限り、様々な適切な形を取ってよい。チャネルは、様々な異なる構成または形状で互いに対して配置されてもよい。例えばチャネルは、線形または二次元配列のいずれかに配置されてもよい。
チャネル上に記録されたデータは、独立して処理されてもよい。したがってデータを異なるチャネル内で別個に逆多重化し、次いで複合質量スペクトルを生成するために組み合わせることができる。データを処理するかつ/または逆多重化するために様々な異なる技法を使用してもよい。例えばEFPのオーバーサンプリング技法が使用される際、データは、EFPのパルススケジュールの知識に基づいて逆多重化されてもよい。特に国際公開第2011/135477号(Verenchikov)(特許文献2)に説明された処理技法は、EFP技法を用いて使用されてもよい。しかし、様々な他の処理技法も使用されてもよいことが認識されよう。
チャネルが徐々にまたは連続して変更される場合、分離の特徴は保持されチャネル数に従って抽出されてもよい。例えばイオンがイオン移動度に従って分離される場合、特定の種に対するドリフト時間またはイオン移動度値は、その上にイオン信号が記録されたチャネルに基づいて抽出されてもよい。別法として、ドリフト時間または移動度値は、例えば符号化頻回パルシングによって与えられる飛行時間分析器の高速のパルスサンプリングのプロファイル情報から再構成されてもよい。
図2A〜図2Eは技法の態様をより詳細に示す。特に約50msまでの時間にネストされたイオン移動度分離を利用して取り組んだ例が示されている。イオン移動度分離の追跡は、図2Bに5つの10msの区画に分割して概略的に示されている。これらの10msそれぞれの区画内のイオン信号は、図2Dに示されたように検出器の分離したチャネルに向けられる。
図2Aは、図2Bに示された分離のそれぞれの10msの区画に対して下にある質量スペクトル(すなわちいかなるオーバーサンプリングもない)を示す。各区画は独自の質量スペクトルを有する。イオン移動度分離の結果、5区画のそれぞれの異なる質量スペクトルピークの数は、分離していないスペクトルに比べて平均5分の1に低減する。
図2Cは、オーバーサンプリングモードで動作する、例えばEFPを使用して動作する飛行時間分析器を用いて収集された質量スペクトルを示す。デューティサイクルは図2Aの実験に対して向上するが、それぞれの10msの区画の間に記録されたスペクトルは、逆多重化が必要になる多数の重複するピークも現在含有していることがわかる。やはり各チャネルは、イオン移動度分離が実施されなかった場合に収集されるはずの平均約5分の1の複雑性のデータを受領する。上に論じたように、各チャネルに関連した時間間隔を、複雑性の所望の低減を与えるために適切に設定することができる。例えばより短い時間間隔を使用して、さらに例えばサンプルがはるかに複雑な場合であっても平均の複雑性を低減してもよい。一方、複雑性の少ないサンプルに対しては、より長い時間間隔を使用することで十分であることがある。また各チャンネルに対する時間間隔が同一である必要はなく、既定の方式で、またはデータが記録されるリアルタイムで変化してもよいことも認識されよう。
しかしデータは、図2Dに示されたように異なるチャネルの間で分けられるので、各チャンネル内のデータは個別に逆多重化されてもよい。個別に逆多重化されたデータは、その後複合のデコンボリューションされた質量スペクトルを生成するために組み合わせることができる。このようにしてスペクトルの複雑性、すなわちそれぞれの個々のチャネルに対するピーク数を低減するので、より容易に逆多重化することができる。したがってこの技法は、非常に豊富な、または複雑なデータセットを首尾よく逆多重化することができる。したがってこの技法は、実質的により高いデューティサイクルが可能である、すなわちそうでなければ可能な速度より速いパルスレートでオーバーサンプリングできることが明らかである。図2Eは、高いデューティサイクルのEFP手法を使用して獲得された、図2Cに示された質量スペクトルを処理することによって獲得された、再構成された質量スペクトルを示す。
図3および図4は、本明細書に説明された技法を用いて使用するために適切なイオン検出システムの一実施形態を示す。
図3に示された検出システムでは、イオン検出の第1段階から(例えば変換ダイノードまたはマイクロチャネルプレート(「MCP」)31から)出力した電子は、検出器の異なる面積を連続して照射するように、多重ピクセル検出器を横切ってラスター化される。検出器のそれぞれの面積またはピクセルは、個別にまたは個々の基準で逆多重化されてもよく、検出器のそれぞれの面積は、複合スペクトル上に見られるはずであるよりはるかに少ないピーク重なりを有する。
MCP31から出力される電子は、1対の「X」および「Y」偏向プレート33に到着する前に集束配置を通過する。図3に示された集束配置は、第1の対の集束レンズ32a、ピンホール開口32bおよび第2の対の集束レンズ32bを含む。しかし様々な他のイオン光学または他の集束配置も使用されてもよいことが認識されよう。偏向プレート33に印加される電位を調節することにより、電子は、多重ピクセル位置感度飛行時間検出器34の特定のピクセル35、36…に向けられてもよい。偏向プレート33および集束配置は、電子が検出器34の関連するピクセルに集束するように配置されるように、電子を動的に集束するように配置されてもよい。電子は、例えば約5keVを超えるエネルギーで検出器に到着するように配置されてもよい。
偏向プレート33に印加されることがある適切な「x」および「y」偏向電圧波形が図3の底部に示されており、上の図2に関連して論じた50msのイオン移動度分離のために使用されてもよい。「y」偏向電圧は、イオン移動度分離の過程を超えて、すなわち約50msの時間スケールを超えて走査されてもよい。それぞれの「y」方向の走査の間、「x」偏向電圧は、電子が飛行時間検出器の全面積を横切って連続して走査されるように、繰り返し走査されてもよい。この走査は、次いで分離の後続の循環のために繰り返される。
図3は、イオンが検出のために電子に変換される適切なイオン検出システムの一例を示すが、様々な他の適切なイオン検出システムも使用されてもよいことが認識されよう。例えばイオンは直接検出されてもよく、または検出のために光子または他の粒子に変換されてもよい。
同様に図3は1つの適切な集束し偏向する配置を示すが、他の適切な光学を提供して粒子を検出器上に集束させ、その上にイオン信号が記録される検出器のチャネルまたは領域を交換してもよいことが認識されよう。イオン信号が異なるチャネル上に交互に記録される方式は、チャネルの形および位置に依存してもよく、チャネルがどのように互いに対して物理的に配置されるかが認識されよう。通常異なるチャネルは、イオンが複数の異なるチャネルに関連した多数の離散した異なる物理的場所に交互に向けられることがあるように、異なる固定された物理的場所に置かれてもよい。またイオンの方向は、検出器の表面または面積を連続して隈なく走査され得るように、連続して変更されてもよいことも企図される。さらに検出器自体は、チャネルが飛行時間領域からイオンを受領するために交互に所定位置に置かれるように移動されてもよい。図4は、最高ドリフト時間50msが可能な、ピクセル当たり500μsの照射時間を有する100ピクセルの検出器の一例を示す。電子は、走査が矢印によって示されたように「y」方向に徐々に下に移動するにつれて、検出器の「x」方向に横切って繰り返し走査される。それぞれの異なるピクセルは、その上にイオン信号を記録できる異なるチャネルを表す。図4のピクセル検出器は正方配列であるが、検出器の様々な他の適切な大きさおよび/または形状が使用されてもよいことが認識されよう。
分離装置3がイオンのイオン移動度に従ってイオンを分離する場合、その上にイオン信号が記録される検出器の面積は、イオン移動度分離時間に相互に関連することが認識されよう。したがってイオンのイオン移動度またはドリフト時間は、ピクセル数から決定されてもよい。通常約100kHzのオーバーサンプリングレートは、イオン移動度ピークのプロファイルを十分に描くより多い。このようなオーバーサンプリングの構想では、イオン移動度時間の決定は、イオン移動度分離循環を繰り返すまで、それぞれの加速事象が公知の量だけイオン移動度分離器時間を進める際の、逆多重化の手順の一部になってもよい。
それぞれ個々のピクセルを別個に処理する必要なないことが認識されよう。例えばピクセルの群は、複合スペクトルが首尾よく逆多重化できないほど複雑過ぎないという条件で、一緒に逆多重化されてもよい。これは、例えば比較的少ないまたは複雑でないと決定または予期され、それゆえ比較的わずかな(重複する)ピークを含むデータセットに対して行われてもよい。
本発明は様々な実施形態を参照して説明されているが、形の様々な変更および詳細が、添付の特許請求の範囲に説明されたように本発明の範囲から逸脱することなく行われてもよいことが当業者には理解されよう。

Claims (14)

  1. 質量分析の方法であって、
    イオンをオーバーサンプリングの動作モードで動作する飛行時間質量分析器に移行させることと、
    複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットを獲得するために、前記イオンに対するイオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することと、
    複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理することと、及び、
    複合質量スペクトルまたは質量スペクトルデータセットを形成するために前記複数の第2の質量スペクトルデータセットを組み合わせることと
    を含み、
    前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理する前記ステップは、前記複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを逆多重化することを含む、方法。
  2. 前記イオンを前記飛行時間質量分析器に移行する前に、前記イオンを1つまたは複数の物理化学的特性に従って分離することまたはフィルタリングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の質量スペクトルデータセットのそれぞれが、前記物理化学的特性の値または値の範囲に関連付けられるように、前記イオンに対する前記イオン信号を前記複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記物理化学的特性は、(i)イオン移動度、および/または(ii)微分イオン移動度、および/または(iii)衝突断面積(「CCS」)、および/または(iv)質量もしくは質量対電荷比、および/または(v)クロマトグラフィー保持時間を含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. チャネルに対するイオン信号閾値に達した後、その上にイオン信号が動的に記録される前記チャネルを交代させることをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. オーバーサンプリングの動作モードで前記飛行時間質量分析器を動作する前記ステップは、符号化頻回パルス(「EFP」)を利用することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. イオン信号を前記複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録することは、多重ピクセルの飛行時間検出器の面積を横切って走査することまたはラスター化することを含み、前記複数の異なるチャネルは前記検出器の指定されたまたは離散した面積またはピクセルを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記複数の異なるチャネルは、データ収集システム内に個別の記憶場所を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. オーバーサンプリングの動作モードで動作可能な飛行時間質量分析器であって、
    複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットを獲得するために、イオン信号を複数の異なるチャネル上に交互にまたは連続して記録し、
    複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理し、及び、
    複合質量スペクトルまたは質量スペクトルデータセットを形成するために前記複数の第2の質量スペクトルデータセットを組み合わせるように、前記オーバーサンプリングの動作モードで配置され適合された制御システムを備え、
    前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを処理する前記ステップは、前記複数の第2の質量スペクトルデータセットを獲得するために、前記複数の第1のオーバーサンプリングされた質量スペクトルデータセットのそれぞれを逆多重化することを含む
    飛行時間質量分析器。
  10. 1つまたは複数の物理化学的特性に従って、イオンを分離するまたはフィルタリングするための分離装置をさらに備える、請求項9に記載の飛行時間質量分析器。
  11. 前記分離装置は、(i)イオン移動度もしくは微分イオン移動度分離装置、(ii)質量もしくは質量対電荷比分離装置、(iii)質量選択的なイオントラップ、および/または(iv)質量選択的なイオンフィルタを備える、請求項10に記載の飛行時間質量分析器。
  12. 前記異なるチャネルのそれぞれは、多重ピクセルの飛行時間質量検出器の指定されたまたは離散した面積またはピクセルを備える、請求項9〜11のいずれか1項に記載の飛行時間質量分析器。
  13. 前記異なるチャネルのそれぞれは、データ収集システム内に個別の記憶場所を備える、請求項9〜12のいずれか1項に記載の飛行時間質量分析器。
  14. 請求項9〜13のいずれか1項に記載の飛行時間質量分析器を備える質量分析計。
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