JP6224691B2 - 哺乳動物忌避剤 - Google Patents

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    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
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    • A01N43/601,4-Diazines; Hydrogenated 1,4-diazines

Description

本発明は、哺乳動物忌避剤に関し、より詳細には、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤に関する。
従来、害獣と呼ばれる哺乳動物から受ける人間の被害には様々なものがある。例えば、クマやイヌなどにより直接人間が肉体的被害を受ける場合、シカやサル、イノシシ、カモシカ、ハクビシン、ウサギ、ネズミなどにより田畑などが荒らされて農作物が被害を受ける場合、タヌキやキツネ、イタチなどにより家畜や養殖魚などが被害を受ける場合、モグラなどにより芝生が荒らされるなどの景観が被害を受ける場合、コウモリやネコなどの糞尿による汚染の被害を受ける場合、ペストに代表されるようにネズミなどを媒介とした疾病蔓延の場合などが挙げられる。特に農作物への被害は深刻であり、鳥類を除く獣類による農作物への被害総額は184億円、被害面積は85,000haにものぼっている(非特許文献1)。
このような状況下、昨今では様々な野生動物や害獣用の忌避剤が開発されている。例えば、動物の忌避する臭気を有するとともに化学的に安定化できて忌避剤の持続性を高めることを目的として、主鎖に硫黄結合を有し末端または分岐鎖端がチオール基である液状高分子化合物を主成分として用いた忌避剤(特許文献1)や、人体から発せられる臭気成分であるということで、炭素数6〜10の不飽和アルデヒドや炭素数5〜9の飽和カルボン酸を有効成分として用いた忌避剤(特許文献2)、悪臭や激臭、刺激臭を与え得る目的として、特定悪臭物質に指定されているジメチルジスルフィド(二硫化メチル)や悪臭防止法の規制対象となっているペンタン酸(吉草酸)、ワサビやカラシの辛み成分であるアリルイソチオシアネートを有効成分として用いた忌避剤(特許文献3)など、悪臭や激臭、異臭、刺激臭を与える化学物質を用いた忌避剤が開示されている。
一方、大型動物や天敵となる動物の糞尿を用いて、野生動物や害獣などを忌避させることが行われている。野生動物などはしばしば本来の生息地域から離れ人里に迷い込むことがあるが、それら糞尿にはイソペンテニルメチルスルファイドとその誘導体などの強烈な悪臭を放つ含硫化合物が含まれていて、それら野生動物などを殺傷することなく人里から遠ざける機能を持つことが経験的に知られているからである。そのような忌避剤として、例えば、トラやライオン、豹、熊、象などの大型動物や天敵となる動物の糞や尿の臭気成分を用いた忌避剤(特許文献4)や前記糞の抽出分や分離分を用いた徐放性防獣鳥物質(特許文献5)が開示されている。また、オオカミの尿も、悪臭、激臭物質である含硫化合物を多く含んでおり(非特許文献2)、それら含硫化合物が有効成分として働いて野生動物や害獣を忌避させることが知られている(非特許文献3)。オオカミの尿を用いた忌避剤は、「ウルフピー(登録商標)」という商品名で流通している。
ところで、含硫化合物などが有する悪臭や激臭、異臭といった臭気は、いわゆる嗅覚系(主嗅球系)で受容される。すなわち嗅覚は、嗅覚器の嗅細胞から始まり、一般のにおい物質を感じ取る器官、嗅覚を司る器官である主嗅球を経て、梨状葉、扁桃体など大脳辺縁系に広く投射し、最終的にその情報は大脳皮質に到達することで感じ取られる。これに対し、フェロモンなどは、鋤鼻系(副嗅球系)で受容される。より詳細には、鋤鼻器の鋤鼻細胞から副嗅球を経て扁桃体内側部に至り、最後は視床下部に到達する神経路で受容される。すなわち、主嗅球と副嗅球とはそれぞれ異なる器官であるが、従来、ヒトの成人は副嗅球を有していないことが知られている(非特許文献4)。
特開2001−354508 特開2011−173811 特開2012−153672 特開2004−189684 特開2006−104190
農林水産省、「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(平成23年度)」、平成25年2月1日(online、平成25年2月21日検索]、インターネット<URL:http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/saigai/130201.html> J.Raymerら、Experientia、第40巻、第7号、707−709頁、1984 Dietland Muller−Schwarze著、Hands−on Chemical Ecology:Simple Field and Laboratory Exercises、Springer Science+Business Media、2009年 E.Meisamiら、Annals of the New York Academy of Sciences、第855巻、第708−715頁、1998年
特許文献1〜5に開示されている忌避剤やウルフピー(登録商標)は、いずれも野生動物や害獣に対して悪臭や激臭、刺激臭を与えること、すなわち野生動物や害獣の嗅覚すなわち主嗅球に訴え、人体から発せられる臭気や悪臭、激臭、刺激臭と捉えさせることにより忌避させることを目的としているが、それら忌避剤は、同時に、主嗅球を有する人間に対しても悪臭や激臭、刺激臭を与えてしまうため、濃度の高いものを散布することができず、取り扱いが困難なものであった。従って、ある限度の濃度に抑えて使用せざるを得ないが、その場合の忌避効果は限定的となっていた。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、野生動物や害獣の副嗅球に作用させるといった、従来の野生動物・害獣用の忌避剤とは異なる神経経路を通じて忌避を誘起させることができるため、フェロモンなどが与えるような野生動物や害獣に対する本能的な作用、すなわちより効果的な忌避効果を奏することが可能であり、さらにはその忌避効果について慣れを生じさせず、かつその濃度に依らない優れた忌避効果が期待できるとともに、ヒトの成人が副嗅球を有していないことから従来の野生動物や害獣の忌避剤と比較して極めて取り扱いがしやすい、野生動物や害獣、家畜動物などのための哺乳動物忌避剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、悪臭や激臭、異臭、刺激臭など、主嗅球に訴えることにより野生動物や害獣に対する忌避効果を奏する灰色オオカミの尿を、その常識に反して希釈し、その希釈した尿から、従来灰色オオカミの尿に含有されているとの報告がなく、かつ揮発させることが可能なピラジン化合物を抽出し、これらピラジン化合物およびその塩が、野生動物や害獣の副嗅球に作用して本能的に忌避させることが可能であること、その忌避効果について慣れを生じさせないこと、およびヒトの成人が副嗅球を有していないことから従来の野生動物や害獣の忌避剤と比較して極めて取り扱いがしやすいことなどを見出し、さらには灰色オオカミの尿には含有されていないピラジン化合物であって、揮発させることができて野生動物や害獣の副嗅球に作用して本能的に忌避させることができ、かつその忌避効果について慣れを生じさせないピラジン化合物を見出し、下記の各発明を完成した。
(1)下記式(I):
Figure 0006224691
[上記式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜8の炭化水素基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を示し、この際、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは炭素原子数1〜8の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物および/またはその塩を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤。
(2)前記ピラジン化合物が下記式(I):
Figure 0006224691
[上記式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を示し、この際、R、R、RおよびRのうち少なくとも二つは炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物である、(1)に記載の忌避剤。
(3)前記ピラジン化合物が下記(i)〜(iv)で表されるピラジン化合物からなる群から選択される1または2以上の化合物である、(1)または(2)に記載の忌避剤;
(i)下記式(II):
Figure 0006224691
[上記式(II)中、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物;
(ii)下記式(III):
Figure 0006224691
[上記式(III)中、R、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物;
(iii)下記式(IV):
Figure 0006224691
[上記式(IV)中、R10およびR11はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物;
(iv)下記式(V):
Figure 0006224691
[上記式(V)中、R12およびR13はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物。
(4)前記ピラジン化合物が下記(v)〜(ix)で表される化合物である、(1)または(2)に記載の忌避剤;
(v)下記式(II):
Figure 0006224691
[上記式(II)中、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物
および下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(vi)下記式(III):
Figure 0006224691
[上記式(III)中、R、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物
および下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(vii)下記式(IV):
Figure 0006224691
[上記式(IV)中、R10およびR11はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物
および下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(viii)下記式(V):
Figure 0006224691
[上記式(V)中、R12およびR13はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物
および下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(ix)下記式(VI):
Figure 0006224691
で表される化合物
および下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物。
(5)前記ピラジン化合物が下記(x)〜(xvii)で表される化合物からなる群から選択される1または2以上の化合物である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の忌避剤;
(x)下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xi)下記式(VIII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xii)下記式(IX):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xiii)下記式(X):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xiv)下記式(XI):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xv)下記式(XII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xvi)下記式(XIII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xvii)下記式(XIV):
Figure 0006224691
で表される化合物。
(6)前記ピラジン化合物が下記(xviii)〜(xx)で表される化合物からなる群から選択される1または2以上の化合物である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の忌避剤;
(xviii)下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物、
下記式(VIII):
Figure 0006224691
で表される化合物
および下記式(IX):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xix)下記式(X):
Figure 0006224691
で表される化合物、
下記式(XI):
Figure 0006224691
で表される化合物
および下記式(XII):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xx)下記式(IX):
Figure 0006224691
で表される化合物、
下記式(XIII):
Figure 0006224691
で表される化合物
および下記式(XIV):
Figure 0006224691
で表される化合物。
(7)前記ピラジン化合物が下記(xxi)または(xxii)で表される化合物である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の忌避剤;
(xxi)下記式(XI):
Figure 0006224691
で表される化合物;
(xxii)下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物、
下記式(VIII):
Figure 0006224691
で表される化合物
および下記式(IX):
Figure 0006224691
で表される化合物。
(8)所望のピラジン化合物を揮発させて哺乳動物の副嗅球に作用させる工程を有する、副嗅球を有する哺乳動物に忌避させる方法。
(9)副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤としての所望のピラジン化合物および/またはその塩の使用。
本発明に係る哺乳動物忌避剤によれば、揮発させて野生動物や害獣の副嗅球に作用させるといった、従来の野生動物・害獣用の忌避剤とは異なる神経経路を通じて忌避を誘起させることができるため、フェロモンなどが与えるような野生動物や害獣に対する本能的な作用、すなわちより効果的な忌避効果を奏することの他、その忌避効果について慣れを生じさせないという効果が期待できるとともに、濃度にかかわらず優れた忌避効果が期待できる。また、ヒトの成人が副嗅球を有していないことから従来の野生動物や害獣の忌避剤と比較して害獣や野生動物への特異性が高いことが期待され、極めて簡便に取り扱うことができる。さらに、一般名称として2−エチルピラジン、2−イソブチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、ジエチルメチルピラジン、イソプロピルメチルピラジン、2−イソブチル−3−メチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、2−イソプロピル−5−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−5−メトキシピラジン、2−sec−ブチル−3−メトキシピラジン、2,3−ジメチル−5−エチルピラジン、2,5−ジメチル−3−エチルピラジン、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン、2,5−ジエチル−3−メチルピラジン、5−メチル−(5H)−シクロペンタ[b]ピラジン、2,3,5−トリメチルピラジン、アセチルピラジンと呼ばれるピラジン化合物など、有効成分とするピラジン化合物によっては食品添加物として既に指定され、香料として活用されているものも少なくなく、毒性と悪臭の懸念が少なく有用性の高い、産業上利用可能性に富んだ哺乳動物忌避剤を市場に提供することができる。
コントロール群(蒸留水)、オオカミの尿サンプルA、A/5およびA/15の群、B、B/5およびB/15の群、ならびにC、C/5およびC/15の群についての、マウスにおける回避率を示すグラフである。 コントロール群(蒸留水)、オオカミの尿サンプルA群、B群およびC群((a)図)、ならびにコントロール群、オオカミの尿サンプルA/5群、B/5群およびC/5群((b)図)についての、マウスにおける不動時間(恐怖誘発効果)を示すグラフである。 雌マウスの尿を雌マウスに曝露した場合(a)およびオオカミの尿サンプルC/5を雌マウスに曝露した場合(b)の、副嗅球におけるFos陽性細胞の発現の様子を表す図である。 オオカミの尿サンプルC、A/5、B/5およびC/5を曝露した場合の、副嗅球の前部僧帽細胞、前部顆粒細胞、後部僧帽細胞および後部顆粒細胞におけるFos陽性細胞の密度を示すグラフである。 オオカミの尿サンプルA、BおよびCについて、ガスクロマトグラフ質量分析をして得られたクロマトグラムである。 コントロール群(蒸留水)、1%(v/v)合成2,6−ジメチルピラジン(2,6DMP)群、1%(v/v)合成3−エチル−2,5−ジメチルピラジン(2,5DM3EP)群、1%(v/v)合成トリメチルピラジン(TMP)群、トータル1%(v/v)ピラジン化合物カクテル群、1%(v/v)TMT群および10%(v/v)TMT群について、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合の、マウスにおける不動時間(恐怖誘発効果)を示すグラフである。 コントロール群(蒸留水)およびトータル1%(v/v)ピラジン化合物カクテル群の、副嗅球の前部僧帽細胞、前部顆粒細胞、後部僧帽細胞および後部顆粒細胞におけるFos陽性細胞の密度を示すグラフである。 コントロール群(蒸留水)、合成トリメチルピラジン(TMP)群、合成3−エチル−2,5−ジメチルピラジン(2,5DM3EP)群、合成2,3−ジエチルピラジン(2,3DEP)群、合成2,3−ジメチル−5−エチルピラジン(2,3DM5EP)群、合成2−エチル−3メチルピラジン(2E3MP)群および合成2−イソブチル−3−メチルピラジン(2iB3MP)群について、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合の、マウスにおける不動時間(恐怖誘発効果)を示すグラフである。 新たなオオカミの尿サンプルについて、ガスクロマトグラフ質量分析をして得られたクロマトグラムである。 OPmix群、NewPmix1群、NewPmix2群およびNewPmix3群について、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合の、マウスにおける不動時間(恐怖誘発効果)を示すグラフである。 嗅上皮を硫酸亜鉛で処理して除去し、主嗅覚系を完全に阻害した実施例1(1)のマウス(P−mixまたはTMT)と前記処理をしていないマウス(Control)における、各種ピラジン化合物カクテルとTMTの忌避誘発性を示す図である。 同じマウスに対して各種ピラジン化合物カクテルを一日おきに1回当たり計5回呈示し、呈示後25〜35分間における体温の低下を測定した結果を示すグラフである。 各種ピラジン化合物カクテルの設置領域とControlである蒸留水の設置領域においてラットが過ごす様子を示した図である。 各種ピラジン化合物カクテルの設置領域とControlである蒸留水の設置領域においてラットが過ごす時間を示すグラフ、およびその際の尾部における体温を測定した結果を示す図である。 各種ピラジン化合物カクテルを曝露した場合および無刺激(何も施さない)の場合の、ラットの副嗅球の前部僧帽細胞、前部顆粒細胞、後部僧帽細胞および後部顆粒細胞におけるFos陽性細胞の密度を示すグラフである。 エゾシカ牧場にて各種ピラジン化合物カクテルを呈示する様子を示した図である。 各種ピラジン化合物カクテルを呈示した場合と、呈示しない場合の、ビニールシートに近づいたエゾシカの頭数を時間の経過とともに示した図である。 1ヶ月間隔を空けた2回の試験において、ピラジン化合物カクテル(P−mix)を呈示したビニールシートと何も呈示しないビニールシートに近づく頻度を雌雄別にカウントした結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る哺乳動物忌避剤について詳細に説明する。
本発明に係る哺乳動物忌避剤は、下記式(I)で表されるピラジン化合物および/またはその塩を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤である。
下記式(I):
Figure 0006224691
[上記式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜8の炭化水素基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を示し、この際、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは炭素原子数1〜8の炭化水素基である]
本発明に係る哺乳動物忌避剤は、好ましくは、下記式(I)で表されるピラジン化合物および/またはその塩を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤である。
下記式(I):
Figure 0006224691
[上記式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を示し、この際、R、R、RおよびRのうち少なくとも二つは炭素原子数1〜4の炭化水素基である]
本発明に係る哺乳動物忌避剤は、より好ましくは、下記(1)〜(4)で表されるピラジン化合物からなる群から選択される1または2以上の化合物および/またはその(それらの)塩を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤である。
(1)下記式(II):
Figure 0006224691
[上記式(II)中、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物、
(2)下記式(III):
Figure 0006224691
[上記式(III)中、R、RおよびRはそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物、
(3)下記式(IV):
Figure 0006224691
[上記式(IV)中、R10およびR11はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物、
(4)下記式(V):
Figure 0006224691
[上記式(V)中、R12およびR13はそれぞれ独立した炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物。
上記式(I)〜(V)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13の炭化水素基は直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよく、置換基を有していてもよい。また、R、R、R、Rにおいて、アルコキシ基は直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。
炭素原子数1〜8の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基で例示されるアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基で例示されるシクロアルキル基;ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基で例示されるアラルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基で例示されるアルケニル基;フェニル基、2−トリル基、4−トリル基で例示されるアリール基などを挙げることができ、好ましくはアルキル基を挙げることができる。
炭素原子数1〜4の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、で例示されるアルキル基;シクロプロピル基で例示されるシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基で例示されるアルケニル基などを挙げることができ、好ましくはアルキル基を挙げることができる。
炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メチルオキシ、クロロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シアノメチルオキシ、エチルオキシ、ジクロロエチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシまたは2−エチルヘキシルオキシなどを挙げることができる。
本発明において、ピラジン化合物は揮発性を有しているか、または揮発性溶媒などに溶解して揮発させることができるものである。従って、そのようなピラジン化合物の分子量は800程度までのものが好ましい(食品機能性の科学編集委員会編集;食品機能性の科学)。また、揮発性を有するか、または揮発性溶媒などに溶解して揮発させることができるピラジン化合物は食品添加物として認定されているものも多く、その有用性は極めて高いと考えられる。そのようなピラジン化合物は、上記式(I)[上記式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を示し、この際、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは炭素原子数1〜4の炭化水素基である]で表されるピラジン化合物を挙げることができ、特に、上記式(II)〜(V)[上記式(II)〜(V)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して炭素原子数1〜4の炭化水素基を示す]で表されるピラジン化合物を挙げることができる。
また、そのようなピラジン化合物として、下記式(VII):
Figure 0006224691
で表される化合物と上記式(II)〜(V)[上記式(II)〜(V)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して炭素原子数1〜4の炭化水素基を示す]で表されるいずれかのピラジン化合物との混合物、または上記式(VII)で表される化合物と下記式(VI):
Figure 0006224691
で表される化合物との混合物を挙げることができる。
さらに、下記式(VII)〜(XIV)で表されるいずれかのピラジン化合物を挙げることができる。なお、下記式(XI)で表される化合物および下記式(XII)で表される化合物は、オオカミ尿に含まれない物質であることが明らかとなっている。
Figure 0006224691
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なお、本明細書において、上記化合物(VII)のことを2,3−ジエチル−5−メチルピラジン(または2,3DE5MP)、上記化合物(VIII)のことを2,6−ジメチルピラジン(または2,6DMP)、上記化合物(IX)のことをトリメチルピラジン(またはTMP)、上記化合物(X)のことを3−エチル−2,5−ジメチルピラジン(または2,5DM3EP)、上記化合物(XI)のことを2,3−ジエチルピラジン(または2,3DEP)、上記化合物(XII)のことを2,3−ジメチル−5−エチルピラジン(または2,3DM5EP)、上記化合物(XIII)のことを2−エチル−3メチルピラジン(または2E3MP)、上記化合物(XIV)のことを2−イソブチル−3−メチルピラジン(または2iB3MP)という場合があるが、上記化合物(VII)〜(XIV)の名称は、それら名称に限定されない。
また、本発明において、ピラジン化合物は公知の方法により無機塩または有機塩としてもよい。本発明に適用可能な塩に限定はないが、無機塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができ、有機塩としては、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アミノ酸塩などを挙げることができる。
前記ピラジン化合物及び/またはその塩は、種々の製品へ配合してその優れた忌避作用を、副嗅球を有する哺乳動物へ付与し、忌避剤とすることができる。本発明に係るピラジン化合物及び/またはその塩はその効果を発揮し得る範囲で配合することが可能であるが、通常、各製品中に0.001〜30質量%配合することが好ましく、0.01〜20質量%の配合がより好ましく、0.01〜10質量%の配合がさらに好ましい。
副嗅球とは、鋤鼻器官の神経が収束して集まる部位であり、嗅球の背側後部に存在している。前述の通り、悪臭や激臭、異臭といった臭気、すなわち匂い物質は嗅覚器、主嗅球、大脳辺縁系を経て、大脳皮質へ至る経路で受容されるが、フェロモンなどの物質は、鋤鼻器、副嗅球、扁桃体内側部を経て、視床下部へ至る経路で受容される。副嗅球に作用する本発明の哺乳動物忌避剤の場合、悪臭や激臭、異臭といった臭気を有して主嗅球に作用し、その臭気で忌避させる従来の野生動物や害獣の忌避剤とは異なり、本能に訴えるような効果が期待できる。また、従来の野生動物や害獣の忌避剤の場合、希釈しての使用あるいは少量での使用ではその忌避効果が損なわれ得るところ、副嗅球に作用する本発明の哺乳動物忌避剤の場合、少量でも忌避効果を奏することができる。
副嗅球を有する哺乳動物としては、例えば、ニホンザル、カニクイザルなどのマカク属に属するサル;クマ、シカ、イノシシ、タヌキ、キツネ;マウスやラットなどのネズミ、ウサギ、リスなどの齧歯類;など、従来、忌避剤の対象となっている野生動物や害獣の他、ウシやブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどの家畜を挙げることができる。家畜への使用としては、例えば、柵の周辺に散布して家畜を柵の外へ逃がさないなどの使用を挙げることができる。
本発明に係る哺乳動物忌避剤は、その使用目的や態様に応じて、適宜、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、懸濁剤、乳化剤、固形剤、含浸固形製剤、錠剤、顆粒剤、粉剤などの形態に製剤化し、使用することができる。また、これらの製剤は、当業者が通常用いることができる添加剤などにより製剤化することができ、またそれは当業者が通常用いることができる方法により調製することができる。さらに、製剤の形態は、忌避対象、使用期間、使用場所の環境(温度、湿度、風量など)、所望の忌避効果などを考慮のうえ、適宜選択することができる。
また、本発明に係る副嗅球を有する哺乳動物に忌避させる方法は、所望のピラジン化合物を揮発させて哺乳動物の副嗅球に作用させる工程を有している。そのような工程としては、例えば、揮発性を有するピラジン化合物を、副嗅球を有する哺乳動物に対して直接噴霧する工程や、揮発性を有するピラジン化合物を含有する液剤や固形剤を忌避させたいエリアや建物などの周辺に散布しておき、それら液剤や固形剤から徐放させる態様で行う工程などを挙げることができる。
本発明における「所望のピラジン化合物」としては、上述した本発明に係る哺乳動物忌避剤におけるピラジン化合物を挙げることができる。
ピラジン化合物を含有する液剤を製造するための溶媒としては、本発明におけるピラジン化合物を揮発させて哺乳動物の副嗅球に作用させることができれば特に限定はされないが、例えば、水、ホルムアルデヒド、d−リモネン、トルエン、アセトン、エタノール、2−プロパノール、ヘキサナール、トリアセチンなどを用いることができる。
また、本発明に係る所望のピラジン化合物および/またはその塩の使用は、副嗅球を有する哺乳動物の忌避剤としての使用である。本発明における「所望のピラジン化合物」としては、上述した本発明に係る哺乳動物忌避剤におけるピラジン化合物を挙げることができる。
以下、本発明に係る哺乳動物忌避剤について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>オオカミの尿に対するマウスの忌避誘発性の確認試験
採取時期の異なるオオカミの尿を用いてマウスの忌避誘発性試験を行った。
(1)使用したマウス
事前に北海道医療大学の動物実験倫理委員会の許可を得た後、NIHの「実験動物の使用と管理に関するガイドライン」に従い、北海道医療大学にて維持繁殖させ、使用した。ポリカーボネートケージ中に2〜5ヵ月齢の雌C57BL/6Jマウスを2〜3匹ずつ収容し、22℃で12時間ずつの明暗サイクルの条件下で飼育した。市販のマウス・ラット用餌(オリエンタル酵母社)と水道水とを自由摂取させた。
(2)使用したオオカミの尿サンプル
環境温度が上昇するとオオカミの摂水量が増加し尿の濃度が低下する可能性があることから、夏季にサンプリングされた尿の購入を避け、2009年11月頃、2010年1月頃および2010年3月頃に雌雄オオカミの一群(n>10)より採取された3種類の尿サンプル(Predator Pee社)を購入し、無菌チューブ内において−20℃で保存したものを原液のまま、あるいはMilli−Q水で5倍または15倍希釈して使用した。以下、2009年11月頃に雌雄オオカミの一群(n>10)より採取された尿サンプルの原液を「オオカミの尿サンプルA」、「尿サンプルA」または単に「A」と、尿サンプルAを5倍希釈したものを「オオカミの尿サンプルA/5」、「尿サンプルA/5」または単に「A/5」と、尿サンプルAを15倍希釈したものを「オオカミの尿サンプルA/15」、「尿サンプルA/15」または単に「A/15」といい、2010年1月頃および2010年3月頃に雌雄オオカミの一群(n>10)より採取された2種類の尿サンプルBおよびCについても同様である。
(3)忌避誘発性の確認試験
本実施例(1)のマウス24匹を、本実施例(2)で準備した尿サンプルA、BおよびC群、ならびにコントロール群(蒸留水)の各群に6匹ずつ割り当てて試験を行った。試験は1日に1回ずつ、12:00(午後)〜17:00の時間帯で行った。尿サンプルA、BおよびC群についての試験から一週間後に、A、BおよびC群に割り当てたマウスを使用して、尿サンプルA、BおよびCの5倍希釈物であるA/5、B/5およびC/5について試験を行い、さらに一週間後に、同じマウスを使用して尿サンプルA、BおよびCの15倍希釈物であるA/15、B/15およびC/15について試験を行った。試験内容は以下の通りである。
長さ450mm×幅100mmの長腕1本と、長さが400mm×幅100mmの短腕を左右に2本を有する、厚さ1cmのアクリル樹脂製のY字型迷路を作製し、実験の開始の前日に3分間収容することでマウスを慣化させた。15gの紙製の敷きわらにオオカミ尿10mLを混ぜ合わせたものを調製し、縦7cm×横7cmのプラスチック・ディッシュに乗せて、左右の短腕のいずれか1本の先端にある匂いボックスに挿入し、同様に15gの紙製の敷きわらに蒸留水10mLを混ぜ合わせたものを調製して、他方の短腕の先端にある匂いボックスに挿入した。このとき、2本の短腕はそれぞれの匂い箱に直接接続している状態にある。
前記Y字型迷路の左右の短腕内にマウスを3分間滞在させ、回避時間を測定した。なお、残存する臭気物質の影響を排除するために、Y字型迷路の底部のベンチコートをそれぞれの試験ごとに交換した。また、すべての実験は、ブラインド・テストとして行った。
オオカミの尿サンプルによるマウスにおける忌避作用は、以下のように正味の回避時間を算出して回避率を算出することにより評価した。すなわち、正味の回避時間は、蒸留水の匂いのする短腕側の滞在時間を、オオカミ尿の匂いのする短腕側の滞在時間と蒸留水の匂いのする短腕側の滞在時間を加えた時間で割ったものに100をかけて表した。コントロール群においては、蒸留水の匂いのする一方の短腕側の滞在時間を蒸留水の匂いのする両方の短腕側の滞在時間の和で除し、100をかけて表した。また、それぞれの尿サンプルあるいは蒸留水による回避率の違いに対する統計的有意性は、分散分析(ANOVA)およびFisher’s PLSD post hoc testによって評価し、データを平均値±標準誤差として示した。その結果を図1に示す。
(4)試験結果
図1に示すように、コントロール群における回避率(±SD)が48.9±4.9であったのに対し、尿サンプルAの群では原液で62.4±9.7(P<0.01)、A/5で55.3±9.8、A/15では50.7±16.3、尿サンプルBの群では原液で63.9±3.0(P<0.01)、B/5で58.9±5.2、B/15では48.0±25.2、尿サンプルCの群では原液で69.9±9.1(P<0.001)、C/5で60.1±2.5、C/15では63.9±10.7であり、オオカミの尿サンプル原液ではいずれもマウスに対する忌避作用は有意であることが示された(Fisher’s PLSD post hoc testにより補足されたOne−way ANOVA)。尿サンプルA、BおよびCに関するデータ全体としてはRepeated−measure ANOVAに従い、忌避作用において有意であった(F(3,20)=7.478,P<0.01)。また、尿サンプルC、C/5およびC/15の群における回避率は、尿サンプルA、A/5およびA/15の群での回避率、尿サンプルB、B/5およびB/15の群での回避率と比較して有意に高い値であった(いずれもFisher’s PLSD post hoc testによりP<0.05)。さらに、尿サンプルA、A/5およびA/15の群、ならびに尿サンプルB、B/5およびB/15の群では、希釈するに従い回避率が低下する傾向を示したが、尿サンプルCでは回避率がC/15の群でも維持される傾向が見られた。
以上の結果から、オオカミの尿を哺乳動物の忌避剤として使用する場合、従来の技術常識の通り、希釈せずに原液のまま使用することが最も忌避効果を奏するといえるが、一部の希釈物(尿サンプルC/5およびC/15)については、従来の技術常識に反し、高い忌避効果を奏することが明らかとなった。
<実施例2>オオカミの尿に対するマウスの恐怖誘発行動の測定試験
続いて、採取時期の異なるオオカミの尿を用いてマウスの恐怖誘発行動の測定試験を行った。
(1)恐怖誘発行動の測定試験
B6マウスを、実施例1(2)で準備した尿サンプルA、B、Cおよびコントロール(蒸留水)の各群に10〜12匹ずつ、A/5、B/5、C/5およびコントロール群(蒸留水)の各群に10〜12匹ずつ割り当てて、それぞれ試験を行った。
縦27cm×横17cm×高さ14cmの、長方形のオープンボトム型ポリカーボネートチャンバーにマウスを収容し、不動時間を測定することにより行った。チャンバーの上部から排気口までポリエチレン・メッシュを装着した、直径11cmのアルミニウム排気ダクトを設置し、2日連続で5分間、マウスをチャンバー内に収容することにより汎化させた。15gの紙製の敷きわらにオオカミ尿10mLを混ぜ合わせたものと15gの紙製の敷きわらに蒸留水10mLを混ぜ合わせたものとを調製し、縦7cm×横7cmのプラスチック・ディッシュに収納して、3日目にチャンバー内に挿入した。試験は前記チャンバーにマウスを3分間滞在させ、不動時間を測定し、平均値を算出することにより行った。マウスに学習させる際、データが混乱することを防止するため、マウスは1回のみ使用した。それぞれのサンプルによって引き出される不動時間の違いに対する統計的有意性は、分散分析(以下、「ANOVA」という。)およびFisher’s PLSD post hoc testによって評価し、データを平均値±標準誤差として示した。その結果を図2に示す。
(2)試験結果
図2の(a)に示すように、使用した尿サンプルはOverall ANOVAにより、原液ではいずれも恐怖誘発行動を惹起させた(尿サンプルA、BおよびCの群;F(3,44)=4.006,P<0.05、尿サンプルA/5、B/5およびC/5の群;F(3,41)=3.400,P<0.05)。また、コントロール群での不動時間が4.9秒であったのに対し、尿サンプルA、BおよびCの群ではいずれも、不動時間が15.3秒(P<0.05)、21.7秒(P<0.01)および20.4秒(P<0.01)と、コントロール群と比較して有意に長時間であった。一方、図2の(b)に示すように、コントロール群での不動時間が3.7秒であったのに対し、尿サンプルA/5およびB/5の群では不動時間がそれぞれ4.9秒、5.3秒と、コントロール群と比較して有意な差はなかったが、尿サンプルC/5の群での不動時間は12.0秒(P<0.01)と、コントロール群の場合と比較して有意に長時間であった(いずれもFisher’s PLSD post hoc testによる)。
以上の結果から、オオカミの尿を哺乳動物の忌避剤として使用する場合、実施例1の結果と同様に、従来の技術常識の通り、希釈せずに原液のまま使用することが最も恐怖誘発効果を奏するといえるが、一部の希釈物(尿サンプルC/5)については、従来の技術常識に反し、高い恐怖誘発効果を奏することが明らかとなった。
<実施例3>オオカミの尿に曝露された副嗅球におけるFos免疫活性の確認試験
オオカミの尿に含まれる匂い物質に対する嗅覚応答経路を明らかにするために、神経興奮の指標となるFosタンパク質の発現を主嗅球と副嗅球において免疫組織化学的に解析した。
(1)試験用スライスの調製
スプレーを用いて雌マウスの尿5mLを紙製床敷き(日本エスエルシー社)に噴霧し、実施例1(1)と同様の手法で維持繁殖させた6ヶ月齢以上の雌C57BL/6Jマウスに対してその匂いを曝露した。90分後にそのマウスを35mg/kgのペントバルビタールで75分間、深く麻酔し、心臓から還流したリン酸緩衝液で血液を除去した後、4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝液を還流して脳を固定した。主嗅球と副嗅球が付随した形で脳を採取し、4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝液で一晩処理することによりさらに固定した後、バイブラトームを用いて100μmのスライスを作成した。また、オオカミの尿サンプルC、A/5、B/5およびC/5についても同様にして、6ヶ月齢以上の雌C57BL/6Jマウスに対してその匂いを曝露し、同様の手法によりスライスを作成した。
作成したスライスそれぞれを0.3%過酸化水素水で15分間処理し、0.4%のTriton−Xを含むリン酸緩衝液で2回洗浄した後、3%ヤギ血清を含むリン酸緩衝液で1時間処理した。これを8000倍希釈した抗Fos抗体(Ab−5;メルクミリポア社)で1晩処理した後、0.4%のTriton−Xを含むリン酸緩衝液でそれぞれのスライスを2回洗浄し、200倍に希釈した抗ウサギIgGで1時間処理した。さらに、0.4%のTriton−Xを含むリン酸緩衝液でそれぞれのスライスを2回洗浄した後、ABC液(VECTASTAIN(登録商標)Elite ABC kit;Vector Laboratories社)で1時間処理し、DAB/過酸化水素(0.05%DAB/0.003%過酸化水素/0.05mol/L Tris−HCl緩衝液)で12分間処理して試験用スライスをそれぞれ調製した。調製したスライスは蒸留水で洗浄し乾燥させた後、顕微鏡にマウントした。
(2)免疫組織の解析
雌マウスの尿およびオオカミの尿サンプルC/5を用いた場合の脳スライスにおける嗅球全体を観察したところ、副嗅球では顕著に発現していたため、それぞれ副嗅球で発現したFos陽性細胞のみ、顕微鏡を用いてブラインド条件下でカウントした。マウスの尿を雌マウスに曝露した場合およびオオカミの尿サンプルC/5を雌マウスに曝露した場合の、副嗅球におけるFos陽性細胞の発現の結果を図3に示す。また、オオカミの尿サンプルC、A/5、B/5およびC/5を曝露した場合について、同様に顕微鏡を用いて、副嗅球で発現したFos陽性細胞をブラインド条件下でカウントした後、僧帽細胞層(a mitral cell;以下、「MTC」という。)および顆粒細胞層(a granule cell;以下、「GC」という。)の写真を撮影した後、Sigma Scan(登録商標)Proソフト(Systat Software社)を用いて前部僧帽細胞層(anterior MTC;以下、「AMT」という)、前部顆粒細胞層(anterior GC;以下、「AGC」という。)、後部僧帽細胞層(posterior MTC;以下、「PMT」という。)および後部顆粒細胞層(posterior GC;以下、「PGC」という。)の面積を算出するとともに、大きな面積を有する3枚のスライスを用いて、副嗅球における連続矢状断面のFos陽性細胞密度を算出した。Fos陽性細胞密度の違いは、ANOVAおよびFisher’s PLSD post hoc testにより評価し、データは平均値±標準誤差で表した。その結果を図4に示す。
(3)試験結果
図3の(a)に示すように、雌のマウスの尿を雌の性フェロモン感知器官である副嗅球に曝露することにより、Fos陽性細胞の発現が顕著に観察された。これに対し、図3の(b)に示すように、オオカミの尿サンプルC/5を副嗅球に曝露することにより、雌マウスの尿を雌の副嗅球に曝露した場合と同様ないしそれ以上にFos陽性細胞の発現が観察され、特に、GCにおいて顕著な発現が観察された。
また、図4に示すように、それぞれの群のデータについて、独立因子としての尿サンプルと副嗅球の部位(AMT、AGC、PMT、PGC)に基づき、Two−factor(Two−way)ANOVAにより評価しており、副嗅球全体におけるFos陽性細胞の密度は、それぞれのオオカミの尿サンプルを曝露した場合において有意であった(F(3,32)=4.877,P<0.01)。一方、オオカミの尿サンプルC、A/5、B/5およびC/5を曝露した場合のAMTおよびPMTにおけるFos陽性細胞の密度は、いずれの場合も低値を示したが、AGCおよびPGCにおけるFos陽性細胞の密度は、オオカミの尿サンプルA/5およびB/5を曝露した場合では比較的低値を示したものの、オオカミの尿サンプルC、およびC/5を曝露した場合では高値を示し、有意な差を示した(いずれもFisher’s PLSD post hoc testにより、A/5およびB/5を曝露した場合に対しC/5を曝露した場合;それぞれP<0.05,P<0.005、B/5を曝露した場合に対しCを曝露した場合;P<0.01)。
以上の結果から、オオカミの尿を哺乳動物に曝露した場合、一部の尿(尿サンプルC)について、フェロモン感知器官である副嗅球に作用する物質が含まれていることが明らかとなり、特に、その物質は主にAGCおよびPGCに作用することが明らかとなった。
<実施例4>ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)による化学分析
オオカミの尿サンプルA、BおよびCの揮発性成分を四重極ガスクロマトグラフ質量分析計(以下、ガスクロマトグラフ質量分析(計)を「GC−MS」という。)により分析した。
(1)ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(HS−SPME)によるGC−MS分析用サンプルの調製
ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(HS−SPME)を用いてサンプルを調製し、GC−MS分析の準備を行った。各々の尿サンプルの揮発性物質を固相微量抽出(SPME)線維である50/30μmジビニルベンゼン(DVB)/carboxen/ポリジメチルシロキサン(PDMS)StableFlex繊維(Supelco(登録商標);Sigma−Aldrich Corporation)に吸着させた。一方、ポリテトラフルオロエチレン製のキャップを持つ4mLの遮光バイアル瓶(Supelco(登録商標);Sigma−Aldrich Corporation)にオオカミの尿150μLを入れ、そのヘッドスペースへ30分間挿入した。この時、尿サンプルはNaClで飽和させて撹拌し、37−40℃に加熱した。
(2)GC−MSによる化学分析
臭気物質の識別は、四重極GC−MS PARVUM 2システム(島津製作所社)を用いて行った。30m×0.32μm×0.5μmのRestek Stabilwax(登録商標)カラム(Restek社)をガスクロマトグラフとして装着し、ヘリウムをキャリアガスとして用い、カラム流量を2.4mL/分とした。オーブン温度を5分間40℃に維持した後、10℃/秒の速度で200℃まで上昇させた後、5℃/秒の速度で240℃まで上昇させた。また、注入部温度は230℃とした。その結果を図5に示す。
(3)試験結果
図5に示すように、AおよびBのピークと比較して、実施例3において副嗅球に作用した尿サンプルCでは、尿サンプルAおよびBではほとんど表れていないピーク14、16、17が特徴的に表れていることが示された。
そこで、尿サンプルA、BおよびCのそれぞれに存在する34の代表的な合成物のピーク面積の占める割合を百分率法で示し、比較するとともに、Mass Spectral 08ライブラリ(National Institute of Standards and Technology(NIST))を用いて各物質の構造解析を行った。また、オオカミの尿サンプルAおよびBと、尿サンプルCについて、化学成分に関する違いの統計的有意性はKruskal−Wallis testおよびSteel−Dwass post−hoc testによって評価した。その結果を下記の表1に示す。
[表1]
Figure 0006224691
なお、表1のデータに基づくピークの高さは、6回の質量分析の平均値であり、表中の*印が付された化学物質は、オオカミの尿中の同定された化学物質に対して四重極GC−MSと溶出時間の比較を行い、正確に同定された化学物質を示す。また、無印の化学物質は四重極GC−MSにより暫定的に同定された化学物質を示し、十字の印および#の印は、尿サンプルAまたはBとの比較で尿サンプルCにおいて、Kruskal−Wallis testおよびSteel−Dwass post−hoc testによる評価で、それぞれ顕著に高いピーク、顕著に低いピークであったことを示している。
表1に示すように、特に尿サンプルAおよびBでは複数かつ多量の含硫化合物が同定されており、それらが悪臭や激臭、刺激臭の原因となることから、従来、オオカミの尿が「主嗅球に作用する」忌避剤として使用されていることが示された。一方、実施例3において副嗅球に作用した尿サンプルCにおいて同定され、尿サンプルAおよびBではほとんど同定されていないID No.14、16、17は、いずれもピラジン化合物であること、および大型動物や天敵となる動物の糞尿からはこれまで同定されたという報告が見当たらないことが明らかとなった。さらに、それらID No.14、16、17のピラジン化合物については、標準物質(高砂香料工業社)を用いて溶出時間および四重極GC−MSの比較を行った結果、それぞれ、2,6−ジメチルピラジン(以下、「2,6DMP」という。)、トリメチルピラジン(以下、「TMP」という。)および3−エチル−2,5−ジメチルピラジン(以下、「2,5DM3EP」という。)と正確に構造決定されている。
<実施例5>ピラジン化合物に対するマウスの恐怖誘発行動の測定試験
実施例4(3)で同定された、哺乳動物の副嗅球に作用するピラジン化合物を用いてマウスの恐怖誘発行動の測定試験を行った。
(1)恐怖誘発行動の測定試験
実施例4(3)で同定した三種類のピラジン化合物である2,6DMP、TMP、2,5DM3EPおよびそれら三種類のピラジン化合物を混合して得られるピラジン化合物カクテル、ならびにキツネ糞便中に含まれている恐怖誘発性物質として知られているトリメチルチアゾリン(Trimethylthiazoline;以下、「TMT」という。)およびコントロール(蒸留水)の各群に、実施例1(1)のマウス132匹を22匹ずつ割り当てて、それぞれ試験を行った。
試験は、それぞれ1%(v/v)の合成された2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EP、ならびにそれぞれ0.33%(v/v)の合成された2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EPを混合して得られるピラジン化合物カクテル(トータルで1%(v/v))、1%(v/v)TMTおよび10%(v/v)TMTを、それぞれ2cm×2cmの大きさの濾紙に50μLずつ滴下し、これらをペトリ皿に入れ、チャンバー内に挿入したこと、およびチャンバーにマウスを5分間または10分間滞在させて不動時間を測定したことの他は、実施例2(1)と同様の手法により行った。その結果を図6に示す。
(2)試験結果
図6に示すように、それぞれ1%(v/v)の合成2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EP、ならびにそれぞれ0.33%(v/v)の合成2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EPを混合して得られるピラジン化合物カクテル(トータルで1%(v/v))、1%(v/v)TMTおよび10%(v/v)TMTの各群全体としてはOverall ANOVAに従い、恐怖誘発行動を有意に発現した(5分間測定の場合;F(6,38)=3.688,P<0.01、10分間測定の場合;F(6,38)=6.096,P<0.001)。また、5分間測定の場合、コントロール群での不動時間が約12秒であったのに対し、合成2,6DMP群および合成TMP群ではいずれも不動時間が約30秒であり、有意に長時間であった(いずれもFisher’s PLSD post hoc testによりP<0.05)。合成2,5DM3EP群の不動時間についてはコントロール群と比較して有意な差はなかったものの、合成2,6DMP群および合成TMP群と同様に約30秒であった。さらに合成2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EPを混合して得られるピラジン化合物カクテルの群では不動時間が約50秒であり、コントロール群と比較して有意に長時間であった(Fisher’s PLSD post hoc testによりP<0.001)。一方、1%(v/v)TMT群では不動時間が約15秒であり、コントロール群と比較して有意な差はなかった。また、10%(v/v)TMTでは不動時間が約35秒であり、コントロール群と比較して有意に長時間であった(Fisher’s PLSD post hoc testによりP<0.05)。
10分間測定の場合、コントロール群での不動時間が約30秒であったのに対し、合成2,6DMP群および合成TMP群ではいずれも不動時間が60秒前後であり、5分間測定の場合と同様、有意に長時間であった(いずれもFisher’s PLSD post hoc testによりP<0.05)。合成2,5DM3EP群の不動時間については、5分間測定の場合と同様、コントロール群と比較して有意な差はなかったものの、約54秒と長時間であった。さらに2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EPを混合して得られるピラジン化合物カクテルの群では不動時間が約105秒と極めて長く、コントロール群と比較して非常に有意に長時間であった(Fisher’s PLSD post hoc testによりP<0.001)。一方、1%(v/v)TMT群では不動時間が約45秒であり、コントロール群と比較して有意な差はなかった。また、10%(v/v)TMTでは不動時間が約80秒であり、コントロール群と比較して有意に長時間であった(Fisher’s PLSD post hoc testによりP<0.01)。
以上の結果から、それぞれ1%(v/v)の2,6DMP、TMP、2,5DM3EPおよびそれぞれ0.33%(v/v)の2,6DMP、TMPおよび2,5DM3EPを混合して得られるピラジン化合物カクテル(トータルで1%(v/v))は、従来、臭気物質、すなわち主嗅球を刺激する物質として知られ、野生動物や害獣の忌避剤として使用されているTMTの同濃度のもの(1%(v/v)TMT)と比較して、高い恐怖誘発効果を奏すること、および臭気が極めて強い10%(v/v)TMTと比較しても、5分間測定の場合だとほとんど変わらないほど、高い恐怖誘発効果を奏することが明らかとなった。特に、前記ピラジン化合物カクテルは、同量のTMTと比較して極めて高い恐怖誘発効果を奏することが明らかとなり、その効果は、臭気が極めて強い10%(v/v)TMTの効果をしのぐことが明らかとなった。
<実施例6>ピラジン化合物カクテルに曝露された副嗅球におけるFos免疫活性の確認試験
(1)Fos免疫活性の確認試験
蒸留水をコントロール群として、実施例5(1)のピラジン化合物カクテルの副嗅球におけるFosタンパク質の発現を、スプレーを用いて実施例5(1)のピラジン化合物カクテル5mLを紙製床敷き(日本エスエルシー社)に噴霧し、実施例1(1)と同様の手法で維持繁殖させた6ヶ月齢以上の雌C57BL/6Jマウスに対してその匂いを曝露したことの他は、実施例3と同様の手法により、免疫組織化学的に解析した。その結果を図7に示す。
(2)試験結果
図7に示すように、それぞれの群のデータについて、独立因子としてのサンプル(実施例5(1)のピラジン化合物カクテル)と副嗅球の部位(AMT、AGC、PMT、PGC)に基づき、Two−factor(Two−way)ANOVAにより評価しており、副嗅球全体におけるFos陽性細胞の密度は、実施例5(1)のピラジン化合物カクテルを曝露した場合、コントロール群と比較して有意な差を示した(F(2,68)=25.302,P<0.001)。また、副嗅球全体としてみた場合、実施例5(1)のピラジン化合物カクテル群におけるFos陽性細胞の密度は、コントロール群と比較して極めて有意な差を示した(Fisher’s PLSD post hoc testにより、P<0.001)。
以上の結果から、実施例5(1)のピラジン化合物カクテルを哺乳動物に曝露した場合、フェロモン感知器官である副嗅球に対して、極めて効果的に作用することが明らかとなった。
<実施例7>新たなピラジン化合物によるマウスの恐怖誘発行動の測定試験
(1)市販のピラジン化合物を用いたマウスの恐怖誘発行動の測定試験
市販の合成された2,3−ジエチルピラジン(2,3DEP)、2,3−ジメチル−5−エチルピラジン(2,3DM5EP)、2−エチル−3メチルピラジン(2E3MP)、2−イソブチル−3−メチルピラジン(2iB3MP)を入手して候補ピラジン化合物とし、実施例5において極めて高い恐怖誘発効果が既に確認されているTMPおよび2,5DM3EPと比較する形でマウスの恐怖誘発行動の測定試験を行った。
試験は、合成TMP、合成2,5DM3EP、合成2,3DEP、合成2,3DM5EP、合成2E3MPおよび合成2iB3MPを、それぞれ薄めないまま2cm×2cmの大きさの濾紙に1μmずつ滴下し、これらをシャーレに入れ、チャンバー内に挿入したこと、使用したマウスを、北海道医療大学の動物実験倫理委員会の許可を事前に得た後にNIHの「実験動物の使用と管理に関するガイドライン」に従って北海道医療大学にて維持繁殖させた2〜4ヵ月齢の雌C57BL/6Jマウスとしたこと、およびそれぞれのサンプルによって引き出される不動時間の違いに対する統計的有意性をt検定によって評価したことの他は、実施例5(1)と同様の手法により行った。その結果を図8に示す。
図8に示すように、合成TMP群、合成2,5DM3EP群、合成2,3DEP群、合成2,3DM5EP群、合成2E3MP群および合成2iB3MP群について、コントロール群(蒸留水)と比較して、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合のいずれも有意に長時間であり、マウスを5分間曝露した場合は、合成2,3DEP群、合成2,5DM3EP群、合成TMP群、合成2,3DM5EP群、合成2E3MP群、合成2iB3MP群の順に長時間であり、マウスを10分間曝露した場合は、合成2,3DEP群、合成2,5DM3EP群、合成2,3DM5EP群、合成TMP群、合成2E3MP群、合成2iB3MP群の順に長時間であった(図8中、*印はP<0.05、**印はP<0.01を示す)。
以上の結果から、合成2,3DEP、合成2,3DM5EP、合成2E3MPおよび合成2iB3MPのいずれも、合成TMPと比較して、高い恐怖誘発効果を有するか、あるいはこれらに劣らない恐怖誘発効果を有することが明らかとなった。また、合成2,3DEPおよび合成2,3DM5EPは、オオカミ尿に含まれない物質であり、従来の哺乳動物忌避剤とはまったく異にする哺乳動物忌避剤の提供が可能となることが明らかとなった。
(2)GC−MS分析によりスクリーニングしたピラジン化合物を用いたマウスの恐怖誘発行動の測定試験
実施例4と同様の手法で新たにGC−MS分析用サンプルを調製し、リテンションタイムを延長してGC−MS分析をしたところ、図9に示すように、実施例4で分析したオオカミ尿のサンプルA、BおよびCでは構造決定に至らなかったピークを新たに確認することができ、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン(2,3DE5MP)と同定した。この同定した2,3DE5MPの他、実施例4で同定した2,6−DMP、TMPおよび2,5DM3EP、ならびに本実施例7(1)の試験に用いた合成2,3DEP、合成2,3DM5EP、合成2E3MPおよび合成2iB3MPを用いて、実施例4(1)と同様の手法により下記(A)〜(D)のピラジン化合物カクテルを調製し、本実施例7(1)と同様の手法でマウスの恐怖誘発行動の測定試験を行った。その結果を図10に示す。
(A)OPmix(実施例4(1)で調製したピラジン化合物カクテル)
2,6−DMP、TMPおよび2,5DM3EPのピラジン化合物カクテル
(B)NewPmix1
2,5DM3EP、2,3DM5EPおよび2,3DEPのピラジン化合物カクテル
(C)NewPmix2
TMP、2E3MPおよび2iB3MPのピラジン化合物カクテル
(D)NewPmix3
2,3DE5MP、2,6−DMPおよびTMPのピラジン化合物カクテル
図10に示すように、OPmix群、NewPmix1群、NewPmix2群およびNewPmix3群について、コントロール群(蒸留水)と比較して、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合のいずれも有意に長時間であり、マウスを5分間曝した場合と10分間曝した場合のいずれも、NewPmix3群、NewPmix2群、OPmix群、NewPmix1群の順に長時間であった(図10中、*印はP<0.05、**印はP<0.01、***はP<0.001を示す)。
以上の結果から、NewPmix1群、NewPmix2群およびNewPmix3群のいずれも、OPmix群と比較して、高い恐怖誘発効果を有するか、あるいはこれらに劣らない恐怖誘発効果を有することが明らかとなった。また、OPmixを構成する2,5DM3EPを2,5DM3EP置換することで、極めて高い恐怖誘発効果を奏したことから、2,5DM3EPは他のピラジン化合物と混合することで、より効果の高い哺乳動物忌避剤の提供が可能となることが明らかとなった。
<実施例8>ピラジン化合物の受容器官や忌避誘発性効果の持続についての確認試験
(1)ピラジン化合物の受容器官についての確認試験
マウスを用いて上記各種ピラジン化合物の受容器官についての確認試験を行った。嗅上皮を硫酸亜鉛で処理して除去し、主嗅覚系を完全に阻害した実施例1(1)のマウス(P−mixまたはTMT)と前記処理をしていないマウス(Control)について、実施例1(3)と同様の手法により忌避誘発性の確認試験を行った。ただし、試験には30%(v/v)の各種ピラジン化合物カクテル10μLを用い、対象として 30%(v/v)のTMT10μLを用い、忌避の誘起が認められたマウスの割合を忌避率(Avoidance ratio)で表した。その結果を図11に示す。
図11に示すように、嗅上皮を硫酸亜鉛で処理して主嗅覚系が完全に阻害されたマウスは、TMTに対する忌避か消失するのに対し、ピラジン化合物カクテルに対する忌避は有意に消失しなかった(図11中、*印はP<0.05を示す)。
以上の結果から、ピラジン化合物カクテルは、主嗅覚系以外の嗅覚系、すなわち副嗅球系(鋤鼻系)で受容されることが明らかとなった。
(2)ピラジン化合物の忌避誘発効果持続性の確認試験
マウスを用いて上記各種ピラジン化合物(Pmix)の忌避誘発効果持続性についての確認試験を行った。試験は、ストレス反応の一種である体温の低下を指標とすることとした。実施例1(1)のマウスを用いて、200μLの各種ピラジン化合物カクテルを同じマウスに対して一日おきに計5回呈示し、呈示後25〜35分間における体温の低下について赤外線カメラを用いて測定した。また、一日おきに各種ピラジン化合物カクテルを呈示する前のマウスの平均体温、一日おきに各種ピラジン化合物カクテルを呈示して体温の測定を終えた後のマウスの平均体温、一日おきに蒸留水を呈示した後のマウスの平均体温も測定した。その結果を図12に示す。
図12中、「All Before」は一日おきに各種ピラジン化合物カクテルを呈示する前のマウスの平均体温、「All After DW」は一日おきに蒸留水を呈示した後のマウスの平均体温をそれぞれ示し、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「5th」はそれぞれ各種ピラジン化合物カクテルの呈示後25〜35分間におけるマウスの平均体温を示す。図12に示すように、各種ピラジン化合物カクテルの呈示後25〜35分間において、マウスの体温の低下が観察され、その後体温の回復、各種ピラジン化合物カクテルの呈示後における体温の低下を繰り返した。
以上の結果から、ピラジン化合物の忌避誘発効果は、慣れを生じさせず持続性を有することが明らかとなった。
<実施例9>ラットにおけるピラジン化合物の忌避誘発性や効果の持続性についての確認試験
ラットにおけるピラジン化合物の忌避誘発性や効果の持続性についての確認試験を行った。試験に用いたラットは、事前に旭川医科大学の動物実験倫理委員会の許可を得た12週齢の雌ラットであった。実施例5(1)で用いたチャンバーの4隅のうちの2隅に穴あきシャーレを設置し、その穴あきシャーレに上記各種ピラジン化合物カクテル(P−mix)を100μL滴下した2cm×2cmの濾紙を収容して、穴あきシャーレ設置領域にてラットが過ごす時間と、その際の尾部における体温を測定した。Controlを無刺激(何も施さない)として同様の試験を行った。ラットの様子を図13に示し、試験の結果を図14に示す。
図13に示すように、ラットは各種ピラジン化合物カクテルを忌避していることが目視によっても認められ、また、図14に示すように、各種ピラジン化合物カクテルの設置領域においてラットが過ごす時間は、ピラジン化合物カクテルを設置しない無刺激の領域においてラットが過ごす時間と比較して極端に短いことが分かった。さらに、図14に示すように、各種ピラジン化合物カクテルの設置領域におけるラットの体温は、ピラジン化合物カクテルを設置しない無刺激の領域におけるラットの体温と比較して低温であった。
以上の結果から、ピラジン化合物の忌避誘発効果は、副嗅球系(鋤鼻系)を有するラットにおいても確認できることが明らかとなった。
<実施例10>ピラジン化合物に曝露されたラットの副嗅球におけるFos免疫活性の確認試験
ラットのピラジン化合物に対する嗅覚応答経路を明らかにするために、事前に旭川医科大学の動物実験倫理委員会の許可を得た12週齢の雌ラットを用いたこと、各種ピラジン化合物カクテル(P−mix)を用いたこと、Controlを無刺激(何も施さない)としたことの他は、実施例3と同様の手法により試験用スライスの調製と免疫組織の解析を行い、神経興奮の指標となるFosタンパク質の発現をラットの副嗅球において免疫組織化学的に解析した。その結果を図15に示す。
図15に示すように、各種ピラジン化合物カクテルを曝露した場合のラットAMT、AGC、PMT、PGCにおけるFos陽性細胞の密度は、Controlと比較していずれも高値を示し、有意な差を示した。
以上の結果から、ピラジン化合物はラットの副嗅球に作用し、忌避誘発効果を奏することが明らかとなった。
<実施例11>エゾシカにおけるピラジン化合物の忌避誘発性や効果の持続性についての確認試験
2013年8月と9月に西興部村のエゾシカ牧場にて、エゾシカのピラジン化合物に対する忌避誘発性やその効果の持続性についての確認試験を行った。その様子を図16に示す。図16に示すように、4枚のビニールシートを設置し、それらの中央に乾燥トウモロコシをのせた。また、上記各種ピラジン化合物カクテル(Pyrazine mixture:P−mix)の呈示は、図16に示すように、穴を開けた金属製水道管に2mLの各種ピラジン化合物カクテルをしみこませた脱脂綿を収容し、これを両端のビニールシートの四隅に設置することにより行った。さらに、中央の2つのビニールシートの四隅には何も入れていない水道管を設置し、これをControlとした。そして、ビニールシートに近づいた(ビニールシート上に首を突っ込んできた)エゾシカの頭数を時間の経過とともにカウントした。その結果を図17に示す。
図17に示すように、カウント開始から5分前後経過するまでは、ピラジン化合物カクテル(Pyrazine mixture)を呈示したビニールシートと何も呈示しないビニールシートとでは、ピラジン化合物カクテルを呈示したビニールシートの方が、近づいたエゾシカの頭数は少なかった。なお、カウント開始から5分前後経過した後にControlの数値が減少するのは、餌によりエゾシカの空腹が満たされ、餌に強い興味を示さなくなったためである。
また、エゾシカはピラジン化合物カクテルを呈示したビニールシートに近づいても餌を食べずに逃げた様子や、ピラジン化合物カクテルを嗅ぐと飛び跳ねる様子が見られ、これらの行動はメスに特徴的に見られた。さらに、ピラジン化合物カクテルを呈示したビニールシートに近づいたエゾシカは、雌雄関係なく、一種の恐怖行動である尾を立てる確率が高くなった。
さらに、2013年8月と9月の2回の試験において、ピラジン化合物カクテル(P−mix)を呈示したビニールシートと何も呈示しないビニールシートに近づく頻度を雌雄別にカウントし、統計的有意性をANOVAによって評価した。その結果を図18に示す。
図18に示すように、雌雄のいずれもピラジン化合物カクテルの存在により、ビニールシートへ近寄る回数が減り、その傾向は試験実施の1ヶ月後に再度行った場合も同様であった(図18中、**印はP<0.05を示す)。なお、カウント開始から5分前後経過した後にControlの数値が減少するのは上述の理由と同様である。
以上の結果から、ピラジン化合物の忌避誘発効果は、副嗅球系(鋤鼻系)を有するエゾシカにおいても確認でき、その効果は慣れを生じさせず持続性を有することが明らかとなった。
<実施例12>哺乳動物忌避剤としての使用
(1)獣道での使用
2,6DMP、TMP、2,5DM3EPおよびそれら三種類のピラジン化合物を混合して得られるピラジン化合物カクテルをそれぞれ紙製床敷き(日本エスエルシー社)に噴霧したものを用意し、クマやシカが頻繁に出没する獣道に敷設して、1ヶ月間、クマやシカを含む野生動物の足跡や糞の有無を確認する。また、2,6DMP、TMP、2,5DM3EPおよびそれら三種類のピラジン化合物を用意し、クマやシカが頻繁に出没する獣道に散布して、同様に1ヶ月間、クマやシカを含む野生動物の足跡や糞の有無を確認する。その結果、野生動物の足跡や糞の痕跡は相当期間確認されず、持続的な効果を確認することができる。
(2)動物園や牧場などでの効果の確認
2,6DMP、TMP、2,5DM3EPおよびそれら三種類のピラジン化合物を混合して得られるピラジン化合物カクテルをそれぞれ紙製床敷き(日本エスエルシー社)に噴霧したものを用意し、動物園や牧場などにおいて敷設する。その結果、飼育動物は紙製床敷きに近寄ることなく、かつ持続的な効果を確認することができる。

Claims (2)

  1. 下記(1)〜(3)で表されるピラジン化合物および/またはそれらの塩の混合物からなる群から選択される1または2以上の混合物を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物(イヌ属に属する哺乳動物を除く。)の忌避剤
    (1)下記式(VII):
    [化54]
    Figure 0006224691
    で表される化合物、
    下記式(VIII):
    [化55]
    Figure 0006224691
    で表される化合物
    および下記式(IX):
    [化56]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (2)下記式(X):
    [化57]
    Figure 0006224691
    で表される化合物、
    下記式(XI):
    [化58]
    Figure 0006224691
    で表される化合物
    および下記式(XII):
    [化59]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (3)下記式(IX):
    [化60]
    Figure 0006224691
    で表される化合物
    および下記式(XIV):
    [化61]
    Figure 0006224691
    で表される化合物
  2. 下記(4)(8)で表されるピラジン化合物および/またはそれらの塩からなる群から選択される1または2以上の化合物または混合物を有効成分として含有する、副嗅球を有する哺乳動物(イヌ属に属する哺乳動物を除く。)の忌避剤;
    (4)下記式(VII):
    [化62]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (5)下記式(XI):
    [化63]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (6)下記式(XII):
    [化64]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (7)下記式(XIII):
    [化65]
    Figure 0006224691
    で表される化合物;
    (8)下記式(XIV):
    [化66]
    Figure 0006224691
    で表される化合物
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