JP6223146B2 - 振動締固め機械のロール支持構造および組み付け方法 - Google Patents

振動締固め機械のロール支持構造および組み付け方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハンドガイドローラ等、路面の締固め施工等に使用される振動締固め機械のロール支持構造および組み付け方法に関する。
振動式のハンドガイドローラは、走行輪(ロール)を振動させながら路面を締め固める比較的小型の非搭乗型車両であり、アスファルト舗装の転圧や路肩、狭路地等の締固め施工に使用される。
ハンドガイドローラの従来のロール支持構造を図6、図7に示す。図6はロールの側面図、図7は図6におけるB−B断面図である。主に図7を参照して説明すると、ロール51内には互いに離間した一対の円板状の鏡板52、53が固設されており、鏡板52、53には各中心を貫通してロール51と同軸となる回転軸54が固設されている。具体的には、一方の鏡板53の貫通孔は他方の鏡板52の貫通孔よりも大径に形成されており、この鏡板53の貫通孔にはリング状のベースフランジ55が溶接等により一体に固設されている。回転軸54は、鏡板52側においては鏡板52の貫通孔に直に挿通された状態で溶接等により鏡板52と一体化され、鏡板53側においてはベースフランジ55の貫通孔に挿通されて溶接等によりベースフランジ55に固設されることで鏡板53と一体化されている。
図示しない車体の両側にはサイドフレーム56,57が位置しており、サイドフレーム56,57の内で鏡板52の外方に位置するサイドフレーム56にはブラケット58がボルト59により取り付けられ、鏡板53の外方に位置するサイドフレーム57にはブラケット60がボルト61により取り付けられている。ブラケット60は第1ブラケット60Aおよび第2ブラケット60Bからなる。回転軸54は一端が軸受62を介してブラケット58に支承され、他端が軸受63を介してブラケット60に支承されている。ブラケット60にはモータ取付け座64が固設されており、このモータ取付け座64に走行油圧モータMがボルト65により取り付けられている。走行油圧モータMの出力軸66はモータ取付け座64を貫通したうえで軸受67を介してブラケット60に支承される。出力軸66の先端に軸着された出力ギヤ68は、複数のボルト69によって前記ベースフランジ55に締結固定されたロール駆動ギヤ70に噛合する。
出力ギヤ66およびロール駆動ギヤ70からなる平歯車のギヤ伝達機構は、第1ブラケット60Aにより形成されたギヤ伝達機構収容室71に収容される。ギヤ伝達機構収容室71内には潤滑剤が充填され、ギヤ伝達機構収容室71を封止する封止部72として第1ブラケット60Aとベースフランジ55との間にオイルシール73が介設される。
以上により、走行油圧モータMの出力軸66が回転すると、出力ギヤ66およびロール駆動ギヤ70からなる平歯車のギヤ伝達機構により回転軸54が軸受62,63に支承されて回転し、回転軸54と一体化されたロール51が走行回転する。
以上の構造はたとえば特許文献1に記載されている。
特開2010−144386号公報
振動締固め機械は、振動締固め機械の質量による重力と起振装置による振動により、アスファルト合材、土等よりなる地盤を締め固める機械であり、振動に関しては、起振装置の振動をそのままロールに伝達させることがエネルギー効率上望ましい。一般に、搭乗型で大型の振動締固め機械において前後のロールをそれぞれ振動させるタイプの場合、起振装置を前後のロールの内部にそれぞれ設けたものが殆どであり、ロール内に起振装置を設けてあるために振動をロールに効率良く伝達させることができる。ロールの内部に起振装置を備えた構造の従来例としては、たとえば実開昭55−178006号公報の第3図に記載のものが挙げられる。
これに対してハンドガイドローラ等の小型の振動締固め機械では、製品自体の価格が低いために主にコスト制約上の問題により、防振ゴムよりもばね下質量側のロールの外部に起振装置を1つ設け、車体両側のサイドフレーム等の振動伝達部材を介して前後のロールに振動を伝達させる方式が採用されている。この方式では、振動の伝達経路が長くなり、部材の数も増えるため、いかに起振装置の振動を振動伝達部材を介して効率的にロールに伝達させるかが重要となる。
ここにおいて、ばね上とは、防振ゴム等の緩衝部材を挟んで上側を意味し、ばね下とは下側を意味するものとする。振動伝達部材は、ばね上の質量の他に、たとえばハンドガイドローラの場合には、転圧作業時にはハンドガイドローラ全体の質量の最大2倍くらいもの振動力が周期的に加わり、大変厳しい環境に晒される。
このような背景のもと、サイドフレーム56,57に対するロール51の従来の組み付け方法は、図示しない車体に既に取り付けられた状態のサイドフレーム56,57間にロール51を挿入して組み付けるのが一般的である。従来、軸受62,63としては共にボールベアリングが使用され、サイドフレーム56,57間に挿入させるという組み付け上、また製作誤差等も考慮して、一方のブラケット58は軸受62の外輪に対して軸方向(ベアリングアキシャル方向)に隙間Tの寸法分、移動できるようになっている。組み付ける際には、ブラケット58を一旦、ロール51内に押し遣った状態にすることでロール51をサイドフレーム56,57間に挿入し、その後、ボルト59,61によりサイドフレーム56,57に固定する。
以上により、従来では、組み付け後には隙間Tが存在することから、またボールベアリング自体にも軸方向に僅かなガタが存在することから、サイドフレーム56,57からの振動がロール51にスムーズに伝達されない、すなわち起振装置の振動が効率的にロールに伝達されにくいという問題があった。また、サイドフレーム56,57とロール51との間の相対的な振動発生、特に相対的な共振により、サイドフレーム56,57に大きな負荷がかかって最悪の場合にはその接合部等に亀裂等の損傷をきたすおそれもある。
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、その目的は、起振装置の振動を効率良くロールに伝達させつつ、かつ、振動伝達部材とロール間に相対的な振動を発生させることを振動伝達部材自体により防止させるところにある。
前記課題を解決するため、本発明は、ロールの内部に、両端が一対の軸受により支承されてロールと一体に回転する回転軸を備え、ロールの外部にある起振装置の振動が振動伝達部材と前記一対の軸受と前記回転軸とを介してロールに伝達される振動締固め機械において、前記一対の軸受を転がり軸受から構成し、各転がり軸受に前記振動伝達部材によってロール幅方向内方に予圧を加える構成としたことを特徴とする。
起振装置がロール外にあることに起因して、ロールへの振動の伝達経路が長くなり、振動伝達部材の部品の数が増えても、本発明のロール支持構造とその働きによれば、振動伝達部材とロール間における相対的な振動発生を抑制でき、起振装置の振動を効率良くロールに伝達でき、かつ、振動伝達部材自体が振動により損傷することを防止できる。
また、本発明は、前記振動伝達部材は、車体の両側に配される一対のサイドフレームと、当該一対のサイドフレームに取り付けられ前記転がり軸受の外輪を支持する一対のブラケットと、を備え、前記一対のブラケットは前記一対のサイドフレームをロール幅方向外方に押圧するように取り付けられ、このブラケットの押圧により生じるサイドフレームからの反力が前記転がり軸受に予圧として加わることを特徴とする。
サイドフレームからの弾性変形による反力を利用して軸受に予圧をかけるため、長期にわたりその予圧を維持でき、ロールとサイドフレームとの間の相対的な振動の発生を低減でき、サイドフレームに亀裂等の損傷が起きるのを防ぐことができる。
また、本発明は、前記一対のブラケットの内の少なくとも一方には、ブラケットに着脱自在に取り付けられ、前記転がり軸受を押圧する押圧部を有した蓋材と、前記蓋材とブラケットとの間に介設される予圧量調整用のシムと、が取り付けられていることを特徴とする。
このロール支持構造によれば、簡単な構造により、サイドフレーム間の距離等の製作誤差をシムの厚さ調整により容易に吸収して、所望の予圧を軸受に加えることができる。
また、本発明は、前記転がり軸受は、テーパローラベアリングまたはアンギュラ玉軸受であることを特徴とする。
このロール支持構造によれば、テーパローラベアリングまたはアンギュラ玉軸受を使用することで、大きな予圧を与えることができる。
また、本発明は、振動締固め機械がハンドガイドローラであることを特徴とする。
この発明によれば、ハンドガイドローラにおいて、安価な構造で、起振装置の振動を効率良くロールに伝達でき、丈夫で信頼性の高いハンドガイドローラを実現できる。
また、本発明は、ロールの内部に、ロールと一体に回転する回転軸と、前記回転軸の両端を支承する一対の軸受と、車体の両側に配されるサイドフレームに取り付けられ前記軸受の外輪を支持する一対のブラケットと、が配され、ロールの外部にある起振装置の振動が前記一対のサイドフレームと前記一対のブラケットと前記一対の軸受と前記回転軸とを介してロールに伝達される振動締固め機械において、前記一対の軸受を転がり軸受から構成し、組み付け前の状態において、前記一対のサイドフレーム間の距離W1と前記一対のブラケットの当て面間の距離W2との関係を「W1<W2」とし、組み付け時に、前記一対のブラケットを前記一対のサイドフレームがロール幅方向外方に押圧されるように取り付けることにより、前記サイドフレームからの反力を前記転がり軸受に予圧として加えることを特徴とする。
この組み付け方法によれば、簡単な組み付け手順でロールを組み付けることができる。そして、サイドフレームの弾性変形を利用した軸受への予圧を長期にわたり維持でき、ロールとサイドフレームとの間の相対的な振動の発生を低減でき、サイドフレームに亀裂等の損傷が起きるのを防ぐことができる。
本発明によれば、振動伝達部材の構造および働きにより、振動伝達部材とロール間の相対的な振動および共振を抑制して、ロールの外にある起振装置からの振動を効率良くロールに伝達させることができるとともに、振動伝達部材の破損を防止することができる。
ハンドガイドローラの外観斜視図である。 ロールの側面図である。 図2におけるA−A断面図である。 起振装置周りの説明図であって、(a)〜(c)はそれぞれ正面説明図、平面説明図、側面説明図である。 組み付け前のサイドフレームおよびロールを示す説明図である。 従来のロールの側面図である。 図6におけるB−B断面図である。
以下、振動締固め機械をハンドガイドローラとして説明する。図1において、ハンドガイドローラRは、走行機体1に走行駆動源となるエンジン及びこのエンジンにより駆動される油圧ポンプ(共に図示せず)を搭載しており、走行機体1の下部には前後一対のロール2を備えている。走行機体1の両側には平板状のサイドフレーム3,4が取り付けられており、後記するようにロール2はサイドフレーム3,4に支持されている。エンジンの駆動によって油圧ポンプから圧油がロール2内の走行油圧モータM(図3参照)に流れることで、ロール2が回転してハンドガイドローラRが走行する。サイドフレーム3,4は後記する振動装置43からの振動をロール2に伝達する機能を担う。走行機体1の後部には操縦桿5が取り付けられ、操縦桿5の手元には操作パネル6および作業者が把持するハンドル7が設けられている。操作パネル6の上面には、中間の中立位置から前方、後方に倒すと走行機体1がそれぞれ前進、後進となる前後進レバー8が設けられている。
図4に示すように、ハンドガイドローラRには起振装置43が搭載されている。以下、防振部材(防振ゴム45)を境としたばね上質量側とばね下質量側の各構成について説明する。
符号44は、エンジンやその付随機器、油圧ポンプ(いずれも図示せず)などを載置して取り付ける機器取付板を示し、その両側縁の前後端は、図4(a)に示すように、斜め上方に屈曲して傾斜部44aとして形成されている。この機器取付板44は車体1の一部を構成する。各傾斜部44aには、防振部材(防振ゴム45)を介して鉛直状のサイドフレーム3,4が取り付けられる。サイドフレーム3,4は、後記するブラケット14,16(図3)を介してロール2を軸支するとともに、ロール2に起振装置43からの振動を伝達する機能を担う。つまり、サイドフレーム3,4およびブラケット14,16は振動伝達部材として構成される。なお、符号46は、サイドフレーム3,4に溶接された防振ゴム45用の台座である。機器取付板44やこれに取り付けられるエンジン等は防振ゴム45を境としてばね上質量側の構成部材となる。
起振装置43は、偏心錘75を有する起振軸76と、起振機ケース49と、軸受ホルダ47,48とを主な構成部材として構成され、機器取付板44の下方に設けられている。機器取付板44の下方において、各サイドフレーム3,4の内側面には軸受ホルダ47,48が固設され、この軸受ホルダ47,48間に円筒状の起振機ケース49が掛け渡される。軸受ホルダ47,48にはそれぞれ軸受50が取り付けられ、偏心錘75を有する起振軸76がその両端で軸受50に支承される。起振軸76の一端には従動プーリ77が軸着されており、この従動プーリ77と、エンジンの出力軸にクラッチ機構(図示せず)を介して連結した駆動プーリ78との間にVベルト79が掛け回されている。
以上により、エンジンが所定の回転数に達したときにクラッチ機構が作動して駆動プーリ78がエンジンの出力軸と連結した状態となり、駆動プーリ78の回転がVベルト79を介して従動プーリ77に伝達され、起振軸76が回転して振動が発生する。起振装置43の振動はサイドフレーム3,4、ブラケット14,16(図3)、後記する軸受18,19、回転軸13を介してロール2に伝達される。起振装置43、サイドフレーム3,4、ブラケット14,16、ロール2は防振ゴム45を境としてばね下質量側の構成部材となる。
図2は一方のロール2の側面図であり、図3は図2におけるA−A断面図である。図3において、ロール2内には互いに離間した一対の円板状の鏡板11,12が固設され、鏡板11,12には各中心を貫通してロール2と同軸となる回転軸13が固設されている。回転軸13は、鏡板11,12の各貫通孔にいずれも直に挿通された状態で溶接等により鏡板11,12と一体化されている。回転軸13は、鏡板11,12の各貫通孔にかけて挿通される中央部分は一定径の中央軸部13Aとして形成され、鏡板11,12から各外方に突出する中央軸部13Aの内で各先端周りは、中央軸部13Aよりも若干径の小さい小径部13B,13Cとして形成されている。
サイドフレーム3にはブラケット14がボルト15により取り付けられ、サイドフレーム4にはブラケット16がボルト17により取り付けられている。回転軸13は、小径部13Bにおいて軸受18を介してブラケット14に支承され、小径部13Cにおいて軸受19を介してブラケット16に支承される。符号20は、後に詳述する蓋材である。符号21は、軸受19の外輪19bの側面に当接する環状の当接部材であり、ボルト23によりブラケット16に取り付けられる。
ブラケット16は、概ね、回転軸13の軸方向に扁平の略円筒状を呈したギヤ収容部24と、ギヤ収容部24の上部から二又状としてサイドフレーム4に向けて延設され先端部に前記ボルト17の締結座が形成されたフレーム連結部25と、を備えた形状からなる。ギヤ収容部24の軸方向一端寄り(ロール内側寄り)の側壁26は鏡板12に対向するように配置される。側壁26の略中央の貫通孔周りにはフランジ部26Aが形成されており、このフランジ部26Aのロール幅方向内方寄りに封止部42としてのオイルシール27が設けられている。
ギヤ収容部24の円周方向の一部には、径外方向に向けて膨出する膨出部24Aが形成されている。ギヤ収容部24の軸方向他端寄りの開口部は、当該開口部周りの縁に複数のボルト28により取り付けられる平板状のカバー29によって閉塞される。カバー29は例えば鉄板である。これにより、ギヤ収容部24の内部空間は密閉されたギヤ伝達機構収容室30として構成される。
ギヤ収容部24の膨出部24A周りの縁には、走行油圧モータMがその出力軸31が膨出部24Aの内部に位置するようにボルト32により締結固定される。なお、前記カバー29には出力軸31を通すための孔が穿孔されている。出力軸31には平歯車からなる出力ギヤ33がスプラインで軸着されている。出力ギヤ33の筒軸部は、ギヤ収容部24の膨出部24Aに取り付けられた軸受34により支承される。出力ギヤ33は、回転軸13に取り付けられた平歯車からなるロール駆動ギヤ35に噛合する。ロール駆動ギヤ35は、ロール駆動ギヤ35に穿孔された嵌合孔37と回転軸13の端面に穿孔された嵌合孔とにわたって嵌合する嵌合ピン(スプリングピン等)36により、およびギヤ外れ防止ボルト39により、回転軸13の端面に固定されている。符合41はワッシャである。また、符号38は、ロール駆動ギヤ35を交換するとき等において、ロール駆動ギヤ35の外しボルト(図示せず)を螺合させるためのねじ孔である。
以上により、走行油圧モータMの出力軸31が回転すると、出力ギヤ33およびロール駆動ギヤ35からなるギヤ伝達機構により回転軸13が軸受18,19に支承されて回転し、回転軸13と一体化されたロール2が走行回転する。
本発明は、前記一対の軸受18,19を転がり軸受から構成し、各転がり軸受に一対の振動伝達部材によってロール幅方向内方に予圧を加えることを主な特徴とする。本実施形態では、前記一対の振動伝達部材は、車体の両側に配される一対のサイドフレーム3,4と、一対のサイドフレーム3,4に取り付けられ前記転がり軸受の外輪を支持する一対のブラケット14,16と、を備えており、一対のブラケット14,16は一対のサイドフレーム3,4をロール幅方向外方に押圧するように取り付けられ、このブラケット14,16の押圧により生じるサイドフレーム3,4からの反力が前記転がり軸受に予圧として加わる構成としている。
軸受18,19は本実施形態ではテーパローラベアリングから構成される。テーパローラベアリングは、断面円錐状の内輪と外輪との間でローラが転動する構造であり、通常、ローラと内輪、外輪との間に隙間が生じないようにベアリングの軸方向に大きな予圧をかけることができる。符号18a,19aは内輪、符号18b,19bは外輪、符号18c,19cはローラである。軸受19においては、内輪19aの側面が回転軸13における中央軸部13Aと小径部13Cとの段差面に突き当てられ、外輪19bの側面が前記したようにブラケット16に取り付けられた当接部材21に突き当てられている。
軸受18においては、内輪18aの側面が回転軸13における中央軸部13Aと小径部13Bとの段差面に突き当てられ、外輪18bの側面は蓋材20に突き当てられている。蓋材20は円盤形状を呈しており、一面側には押圧部20aが環状に突設されている。蓋材20は、押圧部20aが外輪18bの側面に突き当たるようにして、ボルト22によりブラケット14に取り付けられる。蓋材20とブラケット14との間には、必要に応じて予圧量調整用として環状のシム40が介設される。
「作用」
図5はロール2の組み付け前の状態を示している。一対のサイドフレーム3,4間の距離W1と一対のブラケット14,16の当て面間の距離W2とは、「W1<W2」の関係にある。W2とW1との差、すなわち「W2−W1」の値は1〜3mm程度である。この「W1<W2」の関係のもとにロール2をサイドフレーム3,4間に挿入させて、ブラケット14,16をそれぞれボルト15,17(図3)でサイドフレーム3,4に締め付け固定すると、ブラケット14,16がサイドフレーム3,4をロール幅方向外方に押圧するように作用する。板材であるサイドフレーム3,4には弾性復元力が生じ、ブラケット14,16の押圧力に対する反力がブラケット14,16に加わる。つまり、ブラケット14には図5における右側に移動する力が加わり、ブラケット16には左側に移動する力が加わる。
これにより、図3において、軸受18においては、ブラケット14に取り付けられた蓋材20の押圧部20aが外輪18bの側面をロール幅方向内方に押圧することにより予圧がかかり、軸受19においては、ブラケット16に取り付けられた当接部材21が外輪19bの側面をロール幅方向内方に押圧することにより予圧がかかる。
以上のように、一対の軸受18,19を転がり軸受から構成し、各転がり軸受に振動伝達部材自体によってロール幅方向内方に予圧を加える構成とすれば、従来のようにブラケットと軸受との間に隙間が存在しなくなり、かつ軸受自体のガタも存在しなくなる。したがって、起振装置43の振動が効率良くロール2に伝達される。そして、振動伝達部材とロール2との間の相対的な振動、特に共振が発生しなくなり、振動伝達部材が損傷することもない。
また、振動伝達部材を一対のサイドフレーム3,4と一対のブラケット14,16とを備えるように構成し、一対のブラケット14,16は一対のサイドフレーム3,4をロール幅方向外方に押圧するように取り付けられ、このブラケット14,16の押圧により生じるサイドフレーム3,4からの反力が転がり軸受である軸受18,19に予圧として加わる構成とすれば、次のような効果が奏される。
振動伝達部材としてのサイドフレーム3,4の大きさは、図1等に示されるように、軸受18,19と比較して十分に大きく、予圧のためのサイドフレーム3,4の歪みは、サイドフレーム3,4全体の形状に対して微小変形となる。すなわち、サイドフレーム3,4を介して軸受18,19に予圧を与えても、サイドフレーム3,4の変形は弾性域での変形となり、塑性変形することがないため、へたることがない。そのため一旦、適切な組み立てが行われれば、経年変化せず、安定した初期の予圧を軸受18,19に与え続けることができる。したがって、長期にわたりロール2をサイドフレーム3,4と一体に振動させることができ、エネルギー効率上、効率良くロール2を振動させることができるとともに、ロール2とサイドフレーム3,4との間の相対的な振動、特に共振を防止して、サイドフレーム3,4の溶接の接合部等に亀裂等の損傷も防ぐことができる。
また、一対のブラケット14,16の内の少なくとも一方(本実施形態ではブラケット14)に、ブラケット14に着脱自在に取り付けられ、軸受18を押圧する押圧部20aを有した蓋材20と、蓋材20とブラケット14との間に介設される予圧量調整用のシム40と、が取り付けられる構造とすれば、前記距離W1,W2の製作誤差をシム40の厚さ調整により容易に吸収して、所望の予圧を軸受18,19に加えることができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。軸受18,19としてはテーパローラベアリングの他、アンギュラ玉軸受でもよい。また、本発明はハンドガイドローラ以外の振動締固め機械にも適用可能である。その他、本発明は図面に記載した内容に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
1 走行機体
2 ロール
3,4 サイドフレーム(振動伝達部材)
13 回転軸
14,16 ブラケット(振動伝達部材)
18,19 軸受(転がり軸受)
20 蓋材
40 シム
43 起振装置
R ハンドガイドローラ(振動締固め機械)

Claims (6)

  1. ロールの内部に、両端が一対の軸受により支承されてロールと一体に回転する回転軸を備え、ロールの外部にある起振装置の振動が振動伝達部材と前記一対の軸受と前記回転軸とを介してロールに伝達される振動締固め機械において、
    前記一対の軸受を転がり軸受から構成し、各転がり軸受に前記振動伝達部材によってロール幅方向内方に予圧を加える構成としたことを特徴とする振動締固め機械のロール支持構造。
  2. 前記振動伝達部材は、車体の両側に配される一対のサイドフレームと、当該一対のサイドフレームに取り付けられ前記転がり軸受の外輪を支持する一対のブラケットと、を備え、
    前記一対のブラケットは前記一対のサイドフレームをロール幅方向外方に押圧するように取り付けられ、このブラケットの押圧により生じるサイドフレームからの反力が前記転がり軸受に予圧として加わることを特徴とする請求項1に記載の振動締固め機械のロール支持構造。
  3. 前記一対のブラケットの内の少なくとも一方には、
    ブラケットに着脱自在に取り付けられ、前記転がり軸受を押圧する押圧部を有した蓋材と、
    前記蓋材とブラケットとの間に介設される予圧量調整用のシムと、
    が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の振動締固め機械のロール支持構造。
  4. 前記転がり軸受は、テーパローラベアリングまたはアンギュラ玉軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動締固め機械のロール支持構造。
  5. 振動締固め機械がハンドガイドローラであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動締固め機械のロール支持構造
  6. ロールの内部に、ロールと一体に回転する回転軸と、前記回転軸の両端を支承する一対の軸受と、車体の両側に配されるサイドフレームに取り付けられ前記軸受の外輪を支持する一対のブラケットと、が配され、ロールの外部にある起振装置の振動が前記一対のサイドフレームと前記一対のブラケットと前記一対の軸受と前記回転軸とを介してロールに伝達される振動締固め機械において、
    前記一対の軸受を転がり軸受から構成し、
    組み付け前の状態において、前記一対のサイドフレーム間の距離W1と前記一対のブラケットの当て面間の距離W2との関係を「W1<W2」とし、
    組み付け時に、前記一対のブラケットを前記一対のサイドフレームがロール幅方向外方に押圧されるように取り付けることにより、前記サイドフレームからの反力を前記転がり軸受に予圧として加えることを特徴とする振動締固め機械の組み付け方法。
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