以下、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器等に接続される。特に、硬水軟化装置1は、一般家庭において水道水を原水として使用するのに適している。
本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1をイオン交換樹脂床211(後述)で軟水化して得られた処理水(軟水)W2を浴室等の需要箇所(図示せず)に供給する通水工程、塩水W3を供給してイオン交換樹脂床211を再生させる再生工程、イオン交換樹脂床211に供給された塩水W3を押し出す押出工程、イオン交換樹脂床211に残留した塩水W3を洗浄するリンス工程、及び再生液タンクに補給水を供給する補水工程を実行可能な構成を備える。
まず、図1〜図5、図8を参照して、本実施形態の硬水軟化装置1を構成する各構成要素について説明する。以下の説明において「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
本実施形態の硬水軟化装置1は、圧力タンク2と、再生液タンクとしての塩水タンク4と、配管部5と、筐体6と、を備えて構成される。圧力タンク2の内部には、原水(例えば、水道水)W1を導入することにより処理水としての軟水W2を製造するイオン交換樹脂床211が収容される。塩水タンク4の内部には、圧力タンク2内のイオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W3が貯留される。配管部5は、原水W1を導入する原水導入部51、及び軟水W2を導出する処理水導出部としての軟水導出部52を有する。筐体6は、圧力タンク2、塩水タンク4及び配管部5を収容する。
図2、図3、図8に示すように、圧力タンク2は、丸みを帯びた底部を有する筒状体(例えば、円筒)であり、上部に開口21を有している。圧力タンク2の内部には、開口21の中央部から圧力タンク2の底部付近まで延びる集配液管231(図8参照)が設けられる。圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域には、頂部スクリーン241が設けられる。集配液管231の下端部と圧力タンク2の底部との間には、底部スクリーン242が設けられる。そのため、集配液管231の上端部から圧力タンク2に流入した液体は、集配液管231内を下降してその下端部から底部スクリーン242を通って集配液管231の外側に出て、集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間を上昇して頂部スクリーン241を通って圧力タンク2から外に出る。反対に、頂部スクリーン241を通って圧力タンク2に流入した液体は、圧力タンク2の内部空間を下降して底部スクリーン242を通って集配液管231の中に入り、集配液管231内を上昇してその上端部から圧力タンク2の外に出る。
集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間には、陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211、及び濾過砂利からなる支持床212が、収容される。支持床212は、圧力タンク2の底部側に配置される。支持床212は、イオン交換樹脂床211に対する流体の整流部材として機能する。イオン交換樹脂床211は、支持床212の上方に積層される。イオン交換樹脂床211は、原水W1を軟水化する処理材として機能する。
圧力タンク2の上部の開口21には、流路制御バルブユニットとしてのコントロールバルブ3が取り付けられる。図8に示すように、コントロールバルブ3は、流路切換バルブ31と、後述するバイパスバルブ32の着脱受け部3211と、エゼクタ33と、ストレーナ34と、ブラインバルブ35と、ドレンバルブ36と、原水ラインL12と、軟水ラインL21、L22、L23、L24と、希釈水ラインL31、L32と、塩水ラインL41、L42、L43、L44と、排水ラインL51、L52、L53、L54と、を備える。後述するように、軟水ラインL21〜L24、希釈水ラインL31、L32、塩水ラインL44は、原水ラインとしても機能する。軟水ラインL21は、塩水ラインとしても機能する。
流路切換バルブ31は、一端部が開口した筒状のバルブハウジング311と、筒状のバルブ本体312とを備える。バルブ本体312は、一端部が開口し、バルブハウジング311の内部に収容されてバルブハウジング311の軸線方向に沿って摺動可能である。バルブハウジング311は、その周壁に、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて4つの孔3111〜3114を備える。バルブ本体312は、3つのシール部3121〜3123を備える。3つのシール部3121〜3123は、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて周壁から外方へ張り出している。バルブ本体312は、その頂部に1つの孔3124を備える。
流路切換バルブ31の開口端部は、圧力タンク2の集配液管231の上端部に水密に取り付けられる。原水ラインL12の一端は、バイパスバルブ32の着脱受け部3211の後述する第2流路L2に接続される。原水ラインL12の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第1孔3111に接続される。軟水ラインL21の一端は、圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域に水密に接続される。軟水ラインL21の他端は、軟水ラインL22の一端と、塩水ラインL44の一端との接続点に接続される。軟水ラインL22の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第3孔3113に接続される。軟水ラインL23の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第2孔3112に接続される。軟水ラインL23の他端は、軟水ラインL24の一端と、希釈水ラインL31の一端との接続点に接続される。軟水ラインL24の他端は、バイパスバルブ32の着脱受け部3211の後述する第3流路L3に接続される。
希釈水ラインL31の他端は、ストレーナ34の一側に接続される。ストレーナ34の他側には、希釈水ラインL32の一端が接続される。希釈水ラインL32の他端は、エゼクタ33の一側に接続される。エゼクタ33の他側には、塩水ラインL44の他端が接続される。エゼクタ33の吸込み口には、塩水ラインL43の一端が接続される。塩水ラインL43の他端は、ブラインバルブ35の一側に接続される。ブラインバルブ35の他側には、塩水ラインL42の一端が接続される。塩水ラインL42の他端は、コントロールバルブ3の外方に設けられる塩水流量計44の一側に接続される。塩水流量計44の他側には、塩水ラインL41の一端が接続される。塩水ラインL41の他端は、塩水タンク4の塩水取り出し部に接続される。排水ラインL51の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第4孔3114に接続される。排水ラインL51の他端は、ドレンバルブ36の一側に接続される。ドレンバルブ36の他側には、排水ラインL52の一端が接続される。排水ラインL52の他端は、排水ラインL53の一端と、排水ラインL54の一端との接続点に接続される。排水ラインL53の他端は、塩水タンク4のオーバフロー部に接続される。排水ラインL54の他端は、系外の排水溝等に解放される。
コントロールバルブ3には、配管部5の原水導入部51からコントロールバルブ3に至る原水ラインL11、及びコントロールバルブ3から配管部5の軟水導出部52に至る軟水ラインL25が接続される。具体的には、コントロールバルブ3付近の原水ラインL11及び軟水ラインL25には、バイパスバルブ32が設けられる。バイパスバルブ32は、原水ラインL11と軟水ラインL25とを直接接続して、コントロールバルブ3を含む圧力タンク2を原水ラインL11及び軟水ラインL25から切り離すことが可能である。
バイパスバルブ32は、内部に4つの流路L1〜L4を有するバルブハウジング321と、バルブハウジング321の内部に収容されて流路L1〜L4の流通を切換可能なバルブ本体322と、を備える。バルブハウジング321の第1流路L1と第4流路L4とは、互いに一直線上に配置される。第2流路L2と第3流路L3とは、互いに平行に配置される。第1流路L1及び第4流路L4の向きと、第2流路L2及び第3流路L3の向きとは、互いに直交する。バルブハウジング321の第2流路L2及び第3流路L3側の先端部は、着脱受け部3211として、バルブハウジング321に対して着脱可能に構成される。
図6、図7に示すように、バイパスバルブ32の着脱受け部3211は、コントロールバルブ3側に設けられる。着脱受け部3211は、2つの円筒状の内周面3212、3213を有する。バイパスバルブ32の第2流路L2及び第3流路L3側を構成する部分は、2つの円筒部3214、3215を備える。円筒部3214、3215は、円筒状の外周面を有し、この外周面には、Oリング3216、3217がそれぞれ装着される。円筒部3214、3215を着脱受け部3211の内周面3212、3213に圧入したうえ、左右の連結金具3231、3232をねじ留めすることによって、バイパスバルブ32は、コントロールバルブ3に連結される。このとき、Oリング3216、3217の作用により、バイパスバルブ32とコントロールバルブ3とは、水密に連結される。左右の連結金具3231、3232を外したうえ、ハンドル324を操作すると、Oリング3216、3217の抵抗に抗して、円筒部3214、3215を着脱受け部3211の内周面3212、3213から抜き取ることができる。即ち、バイパスバルブ32は、コントロールバルブ3から切り離される。
バイパスバルブ32の通常使用時には、バルブ本体322は、図8〜図11に示す位置にある。このとき、バイパスバルブ32の第1流路L1と第2流路L2とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の第3流路L3と第4流路L4とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の切り離し時には、バルブ本体322は、図12に示す位置にある。このとき、バイパスバルブ32の第1流路L1と第4流路L4とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の第2流路L2と第3流路L3とは、互いに連通する。
バイパスバルブ32の第1流路L1には、原水ラインL11の一端が接続される。バイパスバルブ32の第4流路L4には、軟水ラインL25の一端が接続される。原水ラインL11の他端及び軟水ラインL25の他端は、据付現場の給水配管(例えば、水道管)に接続される。即ち、水道管の上流側に原水ラインL11の他端が接続され、水道管の下流側に軟水ラインL25の他端が接続される。水道管に接続される原水ラインL11の他端は、原水W1を導入する原水導入部51を構成する。水道管に接続される軟水ラインL25の他端は、処理水としての軟水W2を導出する処理水導出部としての軟水導出部52を構成する。
原水ラインL11には、原水導入部51に近い側から順に、通水流量計511、逆止弁付きボール止水栓512、ストレーナ513、減圧弁514、逃がし弁515、及びフロースイッチ516が設けられる。フロースイッチ516の下流側には、負圧破壊弁517及びフィルタ518が設けられる。通水流量計511は、原水W1の通水流量を計測する。逆止弁付きボール止水栓512は、原水W1の流れを一方向に規制して原水W1の逆流を防止する。ストレーナ513は、原水W1に含まれる微細粒子の流通を阻止する。減圧弁514は、原水W1を所定の水圧まで減圧する。逃がし弁515は、原水W1の水圧や装置二次側からの背圧が所定値以上になった場合に、過剰な圧力を系外に逃がすことにより、圧力タンク2やコントロールバルブ3を保護する。フロースイッチ516は、所定流量の原水W1が流通したことを検知すると、検出信号を制御部(図示せず)に出力する。負圧破壊弁517は、系内での負圧発生時に開弁して大気を吸入する。軟水ラインL25には、バイパスバルブ32に近い側から順に、コック付きストレーナ521、及び逆止弁付きボール止水栓522が設けられる。コック付きストレーナ521は、軟水W2に混入した異物(イオン交換樹脂の細粒や破砕片)を捕捉可能であり、コックを開けることによりその異物を系外に排出する。逆止弁付きボール止水栓522は、軟水W2の流れを一方向に規制して軟水W2の逆流を防止する。原水ラインL11及び軟水ラインL25におけるこれらの構成要素は、配管部5を構成する。
流路切換バルブ31は、採水及び再生に関して、原水W1を圧力タンク2の底部スクリーン242へ配液しながら、頂部スクリーン241で集液することにより原水W1の上昇流を生成して、処理水である軟水W2を製造する通水工程の水(原水W1、軟水W2)の流れ、及び、再生液である塩水W3を頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより塩水W3の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211を再生させる再生工程の塩水W3の流れを、切り換え可能なバルブである。
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と第2孔3112との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第4孔3114と開口端部との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙、バルブハウジング311の頂部内側の空間、及びバルブ本体312の頂部の孔3124を介して、バルブ本体312の内側の空間と連通する。即ち、バルブハウジング311の第1孔3111は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113とは、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、互いに連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第1の状態という(後述する通水工程参照)。
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第2孔3112と連通する。バルブハウジング311の第3孔3113は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第2の状態という(後述する再生工程及び押出工程参照)。
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第2シール部3122がバルブハウジング311の第2孔3112に対応する位置にあって第2孔3112を塞がないときに、バルブ本体312の第1シール部3121は、バルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第2孔3112は、流路切換バルブ31の第2の状態と同様に、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第1孔3111と連通すると共に、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第3孔3113とも連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第3の状態という(後述するリンス工程参照)。
塩水タンク4は、上下2段になった底部411を有する筒状体(例えば、角筒)であり、上部に開口412を有している。底部411は、最も低い最底部4111と、最底部4111よりも1段高い隆起底部4112とで構成される。塩水タンク4の内部には、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W3が貯留される。塩水タンク4の外周には、底部411から所定の高さに段部413が設けられる。段部413は、これよりも上方における塩水タンク4の横断面の大きさに比べて、これよりも下方における塩水タンク4の横断面の大きさが小さくなった段部である。塩水タンク4の前側には、凹部414が設けられる。凹部414には、後述する入口管路としての原水ラインL11の一部を構成する原水接続管519が配置される。塩水タンク4の後側には、凹部415が設けられる。凹部415には、後述する出口管路としての軟水ラインL25の一部を構成する軟水接続管523が配置される。塩水タンク4は、塩水供給管42を備える。塩水供給管42は、再生工程において、貯留する塩水W3を圧力タンク2に供給するための塩水ラインL41の一部を構成する。塩水W3は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置においては、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用することができる。
図14、図15に示すように、塩水タンク4の内部には、配管部5に生じる圧力変動(例えば、エゼクタにより発生させた負圧)に応じて底部付近から塩水W3を吸い込む再生液吸い込み装置としての塩水吸い込み装置45が設けられる。塩水吸い込み装置45は、再生液プレートとしての塩水プレート46と、再生液ウェルとしての塩水ウェル47と、再生液バルブ装置としての塩水バルブ装置48とを備える。塩水プレート46は、塩水タンク4の段部413に載置されて、水平に配置される。塩水タンク4の内部は、塩水プレート46により、原料収容部としての塩収容部461と、再生液貯留部としての塩水貯留部462とに区画される。塩収容部461は、再生液の原料としての塩S(例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウム)を収容可能な領域である。塩水貯留部462は、塩収容部461に収容された塩Sと外部から導入される補給水とから生成される塩水W3を貯留可能な領域である。
塩水プレート46には、塩収容部461に収容される塩Sが載置される。塩水プレート46に載置された塩Sの一部は、塩水プレート46から塩水貯留部462に溶け出し、補給水と混じり合うことにより塩水W3となる。塩水プレート46は、円形孔463を有する。塩水ウェル47は、円形孔463を貫通して、塩水タンク4の底面に設置される。塩水ウェル47は、塩水バルブ装置48を塩Sから隔離して収容する容器である。塩水ウェル47及び塩水バルブ装置48の下部は、塩水タンク4の最底部4111に設置される。塩水ウェル47及び塩水バルブ装置48の下部を設置する以外の部分では、塩水タンク4の底部は、隆起底部4112として、最底部4111よりも1段高くなっている。隆起底部4112の高さは、塩水吸い込み装置45における塩水バルブ装置48の吸い込み停止位置BL(後述)の高さに設定される。最底部4111の横断面積は、例えば、塩水ウェル47及び塩水バルブ装置48の下部の面積の1.2倍以下であることが好ましい。隆起底部4112の高さは、例えば、吸い込み停止位置BLよりも2〜5cm低いことが好ましい。
塩水バルブ装置48は、コントロールバルブ3からの補給水の流れ及びコントロールバルブ3への塩水W3の流れを制御すると共に、塩水タンク4内の水位が予め設定された規定水位WLに達した場合に補給水の流れを遮断する機能を有する。塩水バルブ装置48は、水位検出用フロート101と、フロートロッド104と、塩水バルブパイプ110と、エアチェックハウジング部120と、を備える。水位検出用フロート101は、塩水ウェル47の内部に貯留された塩水W3の水位を検出する。水位検出用フロート101は、垂直断面において逆凹形となる円筒状に形成される。水位検出用フロート101は、補給水よりも比重の小さい材料により構成される。そのため、水位検出用フロート101は、補給水及び塩水W3に対して浮力を有する。フロートロッド104は、水位検出用フロート101に連動して上下に移動する棒状の部材である。フロートロッド104の上端は、水位検出用フロート101に連結される。フロートロッド104の下端は、弁体としての補水ストッパ124(後述)に連結される。
塩水バルブパイプ110は、塩水タンク4から外部に供給される塩水W3、及び外部から塩水タンク4に供給される補給水が流通する筒状の部材である。塩水バルブパイプ110の下方の端部は、下部エアチェックハウジング129(後述)の第2孔部129bに接続される。エアチェックハウジング部120は、塩水バルブフィルタ121と、上部エアチェックハウジング122と、補水ストッパ124と、を備える。エアチェックハウジング部120は、ボールホルダ125と、フロートボール126と、を備える。エアチェックハウジング部120は、下部エアチェックハウジング129と、金属ボール130と、プラグ131と、を備える。
上部エアチェックハウジング122は、上部に弁孔122aを有する。弁孔122aは、塩水W3及び補給水が流通可能な開口である。上部エアチェックハウジング122は、下部エアチェックハウジング129と連結される。補水ストッパ124は、上部エアチェックハウジング122の弁孔122aを開閉可能な部品(弁体)である。補水ストッパ124は、フロートロッド104の下端に連結される。フロートロッド104の上端は、水位検出用フロート101に連結される。そのため、補水ストッパ124は、水位検出用フロート101と共に、フロートロッド104の軸方向に移動する。
ボールホルダ125は、フロートボール126を収容して、上下方向に移動可能に保持する。塩水W3及び補給水は、ボールホルダ125の上部にフロートボール126が押し上げられた状態において、上部エアチェックハウジング122とボールホルダ125との隙間を流通することができる。フロートボール126は、ボールホルダ125内の水位に応じて、下部エアチェックハウジング129の第1孔部129a(後述)を開閉する。フロートボール126は、補給水よりも比重の小さい材料により構成される。そのため、フロートボール126は、補給水及び塩水W3に対して浮力を有する。
下部エアチェックハウジング129は、第1孔部129a、第2孔部129b及び通水孔132を有する。第1孔部129aは、塩水W3及び補給水が流通可能な開口である。第2孔部129bは、塩水バルブパイプ110の下方の端部が接続される開口である。通水孔132の開口に金属ボール130が当接した状態において、金属ボール130と通水孔132の間には、若干の隙間が形成される。
図16に示すように、塩水タンク4は、塩水タンク本体40と、蓋体624(後述)とによって構成される。塩水タンク本体40は、再生液の原料を投入する原料投入口としての塩投入口(開口)412を上部に有する。塩投入口412は、塩水タンク本体40の上部において上向きに延びる所定高さの円筒形状を有し、この円筒形状の外周にはねじ4121が形成される。蓋体624は、塩水タンク本体40に対して着脱可能であり、塩投入口412を開閉する。蓋体624は、塩投入口412の円筒形状の直径よりも大きい直径を有する蓋板部6241、及び蓋板部6241の周囲から延びる円筒形状の側板部6242を有する。側板部6242の内周には、塩投入口412のねじ4121と螺合するねじ6243が形成される。蓋板部6241の内面には、側板部6242の内面との間に所定の間隙を隔てて円筒形状の突起6244が形成される。
塩水タンク4において塩投入口412を閉鎖するには、蓋体624が塩水タンク本体40の塩投入口412に上から被せられて、塩投入口412のねじ4121に対して蓋体624のねじ6243が締め付けられる。このとき、塩投入口412の環状の上部は、蓋板部6241における側板部6242の内面と蓋板部6241の突起6244との間に形成される環状の凹部6245内に収容される。そして、蓋体624の蓋板部6241の内面と、塩投入口412の上縁とが密接する。蓋体624の蓋板部6241の内面と、塩投入口412の上縁とのこの密接状態は、パッキン等のシール部材を用いることなく実現される。従って、塩水タンク4の内部空間は、塩水タンク4の外部環境に対して密閉される。
塩投入口412の直径は、200〜300mmの範囲であり、塩投入口412の据付高さは、据付面から700〜1000mmの範囲であることが好ましい。塩を投入する側の装置1の側面から塩投入口412の中心までの距離は、200〜350mmの範囲であることが好ましい。蓋体624が塩投入口412に上から被せられて塩投入口412のねじ4121に対して蓋体624のねじ6243が締め付けられるときの蓋体624の回る角度は、45°〜180°の範囲であることが好ましい。蓋体624又は塩水タンク本体40は、塩投入口412のねじ4121に対して蓋体624のねじ6243が締め付けられるときに、蓋体624の蓋板部6241の内面と、塩投入口412の上縁とが密接する位置を確認する手段(例えば、塩投入口412に対して蓋体624が所定角度回ったことを示す手段)を有することが好ましい。塩水タンク4の塩水タンク本体40及び蓋体624の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂の中から選択されることが好ましい。
ここで、圧力タンク2と、塩水タンク4と、配管部5との配置関係について説明する。図2〜図5に示すように、塩水タンク4は、装置1の中央に配置される。圧力タンク2は、塩水タンク4の一側(左側)に配置される。配管部5は、塩水タンク4の他側(右側)に配置される。圧力タンク2の上部に取り付けられたコントロールバルブ3に連結されたバイパスバルブ32と、配管部5とは、原水接続管519及び軟水接続管523によって接続される。原水接続管519は、塩水タンク4の前側の凹部414内において実質的に水平に配置される。軟水接続管523は、塩水タンク4の後側の凹部415において実質的に水平に配置される。原水接続管519は、原水ラインL11の一部を構成する。軟水接続管523は、軟水ラインL25の一部を構成する。
筐体6は、圧力タンク2及び塩水タンク4を支持する基部61と、塩水タンク4全体及び圧力タンク2の一部の領域において、装置1の前面、背面及び上面を覆う筐体中央部62と、圧力タンク2が配置された側(左側)の筐体左部63と、配管部5が配置された側(右側)の筐体右部64と、を備える。基部61は、圧力タンク2の丸みを帯びた底部の形状を支える支持形状を有する圧力タンク支持部611と、塩水タンク4の段部413を支える支持形状を有する塩水タンク支持部612と、を備える。圧力タンク支持部611及び塩水タンク支持部612は、一体に構成される。
筐体中央部62は、前面部材621と、背面部材622と、上面部材623と、を備える。前面部材621の下端部は、基部61の前側に固定される。背面部材622の下端部は、基部61の後側に固定される。上面部材623の横幅は、前面部材621及び背面部材622の横幅に比べて長く、装置1全体の横幅に相当する長さを有する。上面部材623は、周囲に下向きのフランジ6231を有する。上面部材623は、塩水タンク4の上部の開口412に対応する位置に、開口6232を有する。開口6232には、蓋体624が被せられる。上面部材623は、圧力タンク2の上部のコントロールバルブ3の上方位置に、開閉可能な窓6233を有する。前面部材621の上端部は、上面部材623の左右に関して中央において、フランジ6231の内側に固定される。背面部材622の上端部は、上面部材623の左右方向の中央において、フランジ6231の内側に固定される。
筐体左部63は、左側面の前縁から左前面が張り出し、左側面の後縁から左背面が張り出した水平断面が略コ字形の形状を有する部材である。筐体左部63は、筐体中央部62の上面部材623の左側において、筐体左部63の上端部を下からフランジ6231の内側に差し込んだうえ、前面部材621及び背面部材622の左側部に係止されて、基部61上に着脱可能に取り付けられる。筐体左部63の取り付けには、適宜の取り付け方法を用いることができる。
筐体右部64は、右側面の前縁から右前面が張り出し、右側面の後縁から右背面が張り出した水平断面が略コ字形の形状を有する部材である。筐体右部64は、筐体中央部62の上面部材623の右側において、筐体右部64の上端部を下からフランジ6231の内側に差し込んだうえ、前面部材621及び背面部材622の右側部に係止されて、基部61上に着脱可能に取り付けられる。筐体左部63の取り付けには、適宜の取り付け方法を用いることができる。筐体右部64の内側には、配管部5の保温用のヒータ53が設けられる。ヒータ53には、面状ヒータを用いることができる。
次に、本実施形態における硬水軟化装置1の運転動作において、通水工程、再生工程、押出工程、リンス工程及び補水工程について説明する。
〔通水工程〕
図8に示すように、通水工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第1の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも閉位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び孔3124を順次流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL21、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23、軟水ラインL24、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25を順次流れて、軟水導出部52から装置1の外部へ導出されて、軟水W2の需要箇所へ供給される。尚、軟水W2は、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23を順次流れるのと並行して、塩水ラインL44、エゼクタ33、希釈水ラインL32、ストレーナ34、希釈水ラインL31を順次流れる。
〔再生工程〕
図9に示すように、再生工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも開位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33を順次流れる。原水W1が所定の圧力でエゼクタ33を流れることにより、エゼクタ33の吸込み口には、吸込み力が発生する。この吸込み力により、塩水タンク4における塩水吸い込み装置45の塩水バルブパイプ110、及びエアチェックハウジング部120の内部も負圧となる。この負圧により、図15に示すように、補水ストッパ124が下降して、上部エアチェックハウジング122の弁孔122aが開放される。弁孔122aが開放されると、塩水タンク4の内部に貯留された塩水W3は、エアチェックハウジング部120の内部に吸引される。なお、フロートボール126は、ボールホルダ125の内部で浮上しているため、下部エアチェックハウジング129の第1孔部129aは開放している。また、金属ボール130は、塩水W3の流れに乗ってプラグ131側(図15の左方向)へ移動する。吸引された塩水W3は、エアチェックハウジング部120の内部及び塩水バルブパイプ110を流通し、塩水ラインL41、塩水流量計44、塩水ラインL42、ブラインバルブ35、塩水ラインL43を順次介して、エゼクタ33の吸込み口に吸込まれる。これにより、塩水W3と原水W1とは、エゼクタ33において混合され、所定濃度(約10重量%)の塩水W3となる。
所定濃度の塩水W3は、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配液され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、塩水W3は、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集液され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。再生工程の進行により、塩水タンク4に貯留された塩水W3の水位は、徐々に低下する。そして、エアチェックハウジング部120の内部において、塩水W3の水位が塩水バルブ装置48の吸い込み停止位置BLになると、フロートボール126が下降して第1孔部129aを閉じる。そのため、塩水タンク4から塩水ラインL41への塩水W3の供給が停止する。また、フロートボール126が第1孔部129aを閉じることにより、空気の吸引が抑制される。なお、塩水W3の水位が塩水バルブ装置48の吸い込み停止位置BLになった状態において、補水ストッパ124は、下降したままとなる。そのため、上部エアチェックハウジング122の弁孔122aも開放されたままとなる。この再生工程は、所定時間実行され、所定量の塩水W3を供給することにより完了する。
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を所定濃度に希釈するのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
〔押出工程〕
図10に示すように、押出工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも開位置にある。これは、図9に示す再生工程と同じである。但し、塩水タンク4において、フロートボール126が第1孔部129aを閉じた状態にあるため、塩水バルブパイプ110が負圧となっても、塩水タンク4内の塩水W3がエアチェックハウジング部120の内部及び塩水バルブパイプ110を流通することは、防止される。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、先行して供給された塩水W3を押し出しながら、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3及び原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。この押出工程は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給して塩水W3を押し出すことにより完了する。
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を押し出すのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
〔リンス工程〕
図11に示すように、リンス工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第3の状態にあり、ブラインバルブ35は閉位置にあり、ドレンバルブ36は開位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112を通り、この第2孔3112から、一方では、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44を通る流れとなり、他方では、流路切換バルブ31の第3孔3113、軟水ラインL22を通る流れとなる。この両方の流れは、軟水ラインL21において合流して1つの流れとなって、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W3を洗い流しながら、イオン交換樹脂床211をリンスする。使用済みの原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。このリンス工程は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給することにより完了する。
このように、リンス工程では、押出工程の場合に原水W1が流れる流路切換バルブ31の第2孔3112から軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44を通る流れとは別に、流路切換バルブ31の第3孔3113、軟水ラインL22を通る流れは、作られる。この両方の流れは、軟水ラインL21において合流して1つの流れとなって、圧力タンク2に供給される。従って、圧力タンク2への単位時間当たりの原水供給量は、押出工程の場合よりも大きくなる。このため、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W3は、速やかに洗い流される。
このリンス工程の場合も、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
〔補水工程〕
図12に示すように、補水工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第1の状態にあり、ブラインバルブ35は開位置にあり、ドレンバルブ36は閉位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び孔3124を順次流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL21、塩水ラインL44、エゼクタ33、塩水ラインL43、ブラインバルブ35、塩水ラインL42、塩水流量計44、塩水ラインL41を順次介して、塩水タンク4における塩水吸い込み装置45の塩水バルブパイプ110、及びエアチェックハウジング部120の内部に供給される。すると、エアチェックハウジング部120の内部において、フロートボール126が供給された補給水(軟水W2)により押し上げられ、第1孔部129aが開放される。これにより、補給水は、上部エアチェックハウジング122の弁孔122aから塩水タンク4の内部に流れ込み、塩水貯留部462に貯留される。このとき、金属ボール130は、補給水の流れに乗って通水孔132側(図15の右方向)へ移動し、通水孔132の開口に当接して補給水の流量を制限する。これにより、補水の実行中に過大な流量の補給水がエアチェックハウジング部120の内部に流入した場合でも、水圧により補水ストッパ124が閉弁してしまうことは、防止される。
その後、補給水が塩水貯留部462に貯留されるに従い、塩水ウェル47の内部における塩水W3の水位は徐々に上昇する。塩水W3の水位が上昇すると、水位検出用フロート101も上昇する。水位検出用フロート101は、フロートロッド104を介して補水ストッパ124と連結されている。そのため、塩水W3の水位が規定水位WLまで上昇して、水位検出用フロート101が最大浮上位置に達すると、上部エアチェックハウジング122の弁孔122aは、補水ストッパ124により閉じられる。これにより、補給水の塩水タンク4への流れ込みは停止する。
この補水工程の間、エゼクタ33から塩水タンク4に向けて補給水(軟水W2)が供給されるのと並行して、軟水W2は、エゼクタ33から希釈水ラインL32、ストレーナ34、希釈水ラインL31を順次流れる。軟水W2はまた、軟水ラインL21から軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23も順次流れる。そのため、塩水タンク4に補給するのに過剰な軟水W2は、軟水ラインL24で合流して、軟水ラインL24、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
上述した本実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下のような様々な効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1を導入することにより軟水W2を製造するイオン交換樹脂床211が収容される圧力タンク2と、イオン交換樹脂床211を再生する塩水W3が貯留される塩水タンク4と、原水導入部51及び軟水導出部52を有する配管部5と、を備え、塩水タンク4には、配管部5に生じる圧力変動に応じて底部付近から塩水W3を吸い込む塩水吸い込み装置45が設けられ、塩水タンク4は、塩水吸い込み装置45の設置される領域の底部4111を除いて、塩水吸い込み装置45による吸い込み停止位置BLまで隆起した底部4112を有する。
そのため、塩水タンク4における塩水吸い込み装置45の吸い込み停止位置BLよりも下方に存在するデッドスペースを最小限まで小さくすることができる。従って、再生に使用されない塩の無駄な消費を抑制することができて、再生用の塩を有効利用することができる。また、デッドスペースに滞留する塩水量が減少するため、装置1の運転重量を軽量化することができる。
また、塩水タンク4は、塩を収容可能な塩収容部461、及び塩収容部461に収容された塩と外部から導入される補給水とから生成される塩水W3を貯留可能な塩水貯留部462を有し、塩水吸い込み装置45は、塩水タンク4の内部に配置され、塩水貯留部462に収容された塩Sが載置される塩水プレート46と、外部からの補給水の流れ及び外部への塩水W3の流れを制御すると共に、塩水タンク4内の水位が予め設定された規定水位WLに達した場合に補給水の流れを遮断する機能を有する塩水バルブ装置48と、塩水タンク4の内部に設置され、塩水バルブ装置48が収容される塩水ウェル47と、を備える。そのため、塩水プレート46上に載置される塩Sと、外部から導入される補給水とから生成される塩水W3を塩水貯留部462に貯留することができる。塩水バルブ装置48の働きにより、塩水貯留部462に貯留された塩水W3を、塩水W3の水位が塩水バルブ装置48の吸い込み停止位置BLになるまで、圧力タンク2へ供給してイオン交換樹脂床211の再生に使用することができる。また、塩水バルブ装置48の働きにより、塩水タンク4内の水位が規定水位WLに達するまで、補給水を外部から塩水タンク4内へ導入することができる。
また、本実施形態の硬水軟化装置1は、塩水タンク4を支持する基部61、をさらに備え、基部61は、塩水タンク4を差し込む塩水タンク用差込部612を有し、塩水タンク用差込部612は、塩水タンク用差込部612に差し込まれる部分の塩水タンク4の形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、塩水タンク4は、塩水タンク用差込部612に差し込まれることによって、基部61上に位置決めされて支持される。そのため、塩水タンク4の底部411が平坦ではないにも拘わらず、製造工場や据付現場で装置1を組み立てる際に、塩水タンク用差込部612に塩水タンク4を差し込むことによって、塩水タンク4を装置1の基部61に安定して保持することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。