JP6221227B2 - ガラスブロックパネル、及びガラスブロックパネルの移設方法 - Google Patents

ガラスブロックパネル、及びガラスブロックパネルの移設方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数のガラスブロックを積層してなるガラスブロックパネル、及びガラスブロックパネルの移設方法に関する。
ガラスブロックは、商業施設、公共施設、大型オフィスビル、住宅建物等において、採光性や意匠性を高めるため、外装材や内装材、建物の外構等に広く使用されている。ガラスブロックは、一般に、一対の有底無蓋の箱型形状を備えるガラス成形体を、互いの開放端縁で結合一体化して作製される。従って、ガラスブロックは、表裏面の双方に透光面を備える中空の構造を有しており、透光性に優れた建材となる。
ガラスブロックを建材として使用する場合、複数のガラスブロックを積層したガラスブロックパネルの形態にされる。ここで、「複数のガラスブロックを積層する」とは、透光面を同じ側に向けた状態で複数のガラスブロックを配置してガラスブロックの行及び列を構成し、複数行及び複数列に亘ってガラスブロックを並べることを意味する。複数のガラスブロックを積層すると、ガラスブロックの透光面が格子状に並んだガラスブロックパネルが形成される。ガラスブロックパネルは、複数のガラスブロックの間に補強筋を配設し、ガラスブロック間にモルタルを流し込んでガラスブロックの側面どうしを接着し、その後モルタルを乾燥させて製造される。複数のガラスブロックの集合体であるガラスブロックパネルは、クレーン等で吊り上げられ、保管場所に搬送される。あるいは、屋外等の設置場所まで直接搬送される。このとき、クレーン等で吊り上げられたガラスブロックパネルの姿勢は、倒立した状態となる。
ガラスブロックパネルは重量物であるため、クレーン等で吊り上げられると、自重により撓み、ガラスブロックパネルに応力が発生することがある。このとき、ガラスブロックパネルが湾曲し、ガラスブロックどうしを接着するモルタルが剥離する等の不具合が発生することがあった。
また、乾燥直後のモルタルは、まだ強度が十分に高まっていないため、この状態のままクレーン等でガラスブロックパネルを吊り上げると、ガラスブロックとモルタルとの接着界面に負荷が掛かり、モルタルの剥離が発生し易い。そのため、ガラスブロックパネルを動かしても支障がない程度にまでモルタルの強度が高まるのを待たなければならず、結果として、ガラスブロックパネルの生産効率が落ちるという問題があった。
従来、ガラスブロックパネルを歩留まり良く大量生産する技術として、定盤上に多数のガラスブロックを並べ、ブロック間にゴムパッキンを敷設して形成された隙間にモルタルを充填し、固着一体化させるガラスブロックパネルの製造方法があった(例えば、特許文献1を参照)。ここで、特許文献1には、完成したガラスブロックパネルをクレーン付きの自動車等に乗せて建設現場まで運搬し、その場所で簡単な設置作業が行われることが開示されている。
特開平11−62105号公報(特に、第0032段落)
ところが、特許文献1においては、ガラスブロックパネルの運搬方法(吊り上げ方法)等について、どのような手順で行うか具体的な説明はなされておらず、クレーン等で吊り上げた際に生じ得るガラスブロックパネルの撓み等の問題についても特に認識されてはいない。上述したように、ガラスブロックパネルを移設する場合、通常、移設対象となるガラスブロックパネルにクレーン等を取り付けて床面上からガラスブロックパネルを吊り上げ、倒立させた状態にするため、特許文献1においてもこのような方法で移設作業を行っていると推察できる。このため、ガラスブロックパネルを移設する途中でガラスブロックパネルに撓みが生じ、モルタルの剥離等のトラブルが発生する虞がある。
ガラスブロックパネルの移設をスムーズに行うには、運搬中のガラスブロックパネルに無理な力が掛からないように何らかの対策を講じておく必要があるが、従来においては、このようなガラスブロックパネルの移設作業時に発生し得る問題について、十分な検討がなされていなかったのが現状である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ガラスブロックパネルの移設作業時において、モルタルの剥離等のトラブルが発生することなく、移設作業を容易に進めることが可能なガラスブロックパネル、及び当該ガラスブロックパネルの移設方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係るガラスブロックパネルの特徴構成は、
透光面を同じ側に向けた状態で行及び列を構成するように積層された複数のガラスブロックと、
隣接するガラスブロックの間に配設された補強筋と、
を備え、
前記補強筋の周囲にモルタルを充填して前記複数のガラスブロックを接着させたガラスブロックパネルであって、
移設時に使用する昇降手段を取り付ける取付部が前記補強筋に設けられていることにある。
本構成のガラスブロックパネルによれば、移設時に使用する昇降手段を取り付ける取付部が補強筋に設けられている。補強筋は、隣接するガラスブロックの間に配設されており、ガラスブロックパネル中に縦横に張り巡らされているため、取付部に昇降手段を取り付けてガラスブロックパネルを吊り上げると、ガラスブロックパネルの重量が補強筋に沿って分散され、その重量を補強筋全体で負担することができる。このため、ガラスブロックパネルが上昇して床面から離間した状態になっても、ガラスブロックパネルの自重による撓みが生じ難く、移設を行っている途中でガラスブロックパネルが湾曲することはない。また、モルタルの強度がまだ十分ではない乾燥直後の状態でガラスブロックパネルを吊り上げた場合でも、ガラスブロックとモルタルとの接着界面に大きな負荷が掛かることがないため、モルタルの剥離等のトラブルが発生せず、ガラスブロックパネルを迅速に保管場所や屋外の設置場所等に移設することができる。従って、ガラスブロックパネルの生産効率を向上させることができる。
本発明に係るガラスブロックパネルにおいて、
前記取付部は、重心から外れた位置に設けられていることが好ましい。
本構成のガラスブロックパネルによれば、取付部は重心から外れた位置に設けられているため、取付部に昇降手段を取り付けてガラスブロックパネルを吊り上げると、ガラスブロックパネルは取付部の側が上方に位置する姿勢となり、倒立した状態となる。このような倒立状態にあるガラスブロックパネルは、縦方向又は横方向に大半の重量が掛かることになるため、厚み方向における重量負担が少なくなる。従って、ガラスブロックパネルに撓みが生じ難くなり、湾曲の発生を防止することができる。
本発明に係るガラスブロックパネルにおいて、
前記取付部は、複数箇所に設けられていることが好ましい。
本構成のガラスブロックパネルによれば、取付部は、補強筋に複数箇所設けられているため、複数の取付部に昇降手段を取り付けてガラスブロックパネルを吊り上げると、ガラスブロックパネルの姿勢がより安定化する。従って、ガラスブロックパネルの移設をより迅速且つ容易に行うことができる。
本発明に係るガラスブロックパネルにおいて、
前記取付部は、モルタルを追加充填することにより埋設可能に構成されていることが好ましい。
本構成のガラスブロックパネルによれば、ガラスブロックパネルの移設作業が終了したら、取付部の上からモルタルを追加充填して取付部をモルタルに埋設することができる。従って、仕上がったガラスブロックパネルは美観が損なわれず、従来と同様の美しい外観を備えたものとなる。
本発明に係るガラスブロックパネルにおいて、
前記複数のガラスブロックの透光面で構成されるパネル面が、3m以上の長辺と1.5m以上3m未満の短辺とを有する矩形状に構成されていることが好ましい。
本構成のガラスブロックパネルによれば、パネル面が上記の最適なサイズ及び形状とされていることから、取付部に昇降手段を取り付けて移設作業を行い易いガラスブロックパネルを構成することができる。
本発明に係るガラスブロックパネルの移設方法の特徴構成は、
上記のガラスブロックパネルの移設方法であって、
前記取付部に昇降手段を取り付ける取付け工程と、
前記パネル面の短辺側が立ち上がるように前記昇降手段を上昇させる上昇工程と、
前記パネル面の長辺側から接地するように前記昇降手段を下降させる下降工程と、
前記取付部から前記昇降手段を取り外す取外し工程と、
を包含することにある。
本構成のガラスブロックパネルの移設方法によれば、取付部に昇降手段を取り付けた後、パネル面の短辺側が立ち上がるように昇降手段を上昇させ、パネル面の長辺側から接地するように昇降手段を下降させているので、吊り上がった状態のガラスブロックパネルは取付部の側が上方に位置する姿勢となり、倒立した状態となる。このような倒立状態にあるガラスブロックパネルは、縦方向又は横方向に大半の重量が掛かることになるため、厚み方向における重量負担が少なくなる。従って、ガラスブロックパネルに撓みが生じ難くなり、湾曲の発生を防止することができる。また、モルタルの強度がまだ十分ではない乾燥直後の状態でガラスブロックパネルを吊り上げた場合でも、ガラスブロックとモルタルとの接着界面に大きな負荷が掛かることがないため、モルタルの剥離等のトラブルが発生せず、ガラスブロックパネルを迅速に保管場所や屋外の設置場所等に移設することができる。従って、ガラスブロックパネルの生産効率を向上させることができる。
本発明に係るガラスブロックパネルの移設方法において、
前記取外し工程の後、前記取付部の周囲にモルタルを充填して当該取付部を埋設させる仕上工程を実行することが好ましい。
本構成のガラスブロックパネルの移設方法によれば、取付部から昇降手段を取り外した後、取付部の上からモルタルを追加充填して取付部をモルタルに埋設することができるので、仕上がったガラスブロックパネルは美観が損なわれず、従来と同様の美しい外観を備えたものとなる。
図1は、本発明のガラスブロックパネルを構成するガラスブロックの斜視図である。 図2は、本発明のガラスブロックパネルの全体構成を示す概略図である。 図3は、昇降手段を取り付けた状態の取付部の概略図である。 図4は、本発明のガラスブロックパネルにおける隣接するガラスブロック間の側面断面図である。 図5は、本発明のガラスブロックパネルの移設方法を模式的に説明する工程図である。 図6は、別実施形態に係る取付部の概略図である。
以下、本発明のガラスブロックパネル、及びガラスブロックパネルの移設方法に関する実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。ただし、本発明の理解を容易にするため、初めに、本発明のガラスブロックパネルを構成するガラスブロックについて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<ガラスブロック>
図1は、本発明のガラスブロックパネルを構成するガラスブロック10の斜視図である。ガラスブロック10は、一対の有底無蓋の箱型形状のガラス成形体1(1a,1b)を備えている。例えば、表側となる一方のガラス成形体1aは、底部に透光面2aと、透光面2aを囲む額縁3aと、開放端縁4aとを備えている。裏側となる他方のガラス成形体1bは、底部に透光面2bと、透光面2bを囲む額縁3bと、開放端縁4bとを備えている。なお、図1では、紙面の都合上、ガラス成形体1bの透光面2b及び額縁3bは視認できないため、参照符号は示されていないが、ガラス成形体1bの透光面2b及び額縁3bは、ガラス成形体1aの透光面2a及び額縁3aと対称な位置に設けられている。ガラスブロック10は、一方のガラス成形体1aの開放端縁4aと、他方のガラス成形体1bの開放端縁4bとを結合一体化して作製される。従って、ガラスブロック10は、表裏面の双方に額縁3(3a,3b)に囲まれた透光面2(2a,2b)を備えており、さらに、一方の透光面2aの額縁3aの周縁部から他方の透光面2bの額縁3bの周縁部に亘って側面5が形成されている。ガラスブロック10の内部には、中空部S(図4に示されている)が形成されている。ガラスブロック10は、その強度を確保しつつ軽量化するため、その高さ方向又は幅方向において、ガラス成形体2の透光面2から額縁3に到る部分が比較的厚く構成されており、両部分の間の領域は比較的薄く構成されている。ガラスブロック10は、中空部Sへの水蒸気、二酸化炭素等のガス成分の侵入による白濁を防止し、長期間に亘って高い透光性を維持するため、開放端縁4の結合部分を不透湿材(図示せず)で覆うことも可能である。また、ガラスブロック10の破損を防止するため、ガラスブロック10の側面5の全周に亘って、応力吸収層(図示せず)を設けることも可能である。
<ガラスブロックパネル>
図2は、本発明のガラスブロックパネル100の全体構成を示す概略図である。図1に示したガラスブロック10を用いてガラスブロックパネル100を製造する場合、用意した定盤上に複数のガラスブロック10を格子状に並べる。このとき、ガラスブロック10は、透光面2を同じ側に向けた状態で行及び列を構成するように積層された状態となる。次いで、隣接するガラスブロック10間に形成される隙間に補強筋6を配設し、補強筋6を縦方向及び横方向に張り巡らせる。この状態で、隣接するガラスブロック10間の隙間にモルタルMを流し込み、ガラスブロック10の側面5どうしを接着する。モルタルMが十分に乾燥・固化すると、格子状に並べられた複数のガラスブロック10が補強筋6及びモルタルMを介して一体化したガラスブロックパネル100が形成される。このガラスブロックパネル100は、長辺100a及び短辺100bを有する矩形状のパネル面100cを備えたものとなる。パネル面100cのサイズは、例えば、長辺100aが3m以上、短辺100bが1.5m以上3m未満に設定され、好ましくは、長辺100aが3m以上、短辺100bが2m以上2.2m未満に設定される。
本発明のガラスブロックパネル100は、補強筋6に取付部7が設けられている。取付部7は、ガラスブロックパネル100を移設する際に使用するクレーン等の昇降手段Cを取り付けるための部材である。取付部7は、従来のガラスブロックパネルには無かった新たな構造物であり、移設等のためにガラスブロックパネルを運搬する際に有用なものとなる。そこで、本発明のガラスブロックパネル100において特徴的な取付部7について、以下に詳細に説明する。
図3は、昇降手段Cを取り付けた状態の取付部7の概略図である。取付部7は、補強筋6に直接取り付けられるベース部8と、ベース部8に対して着脱可能に構成された係合部9とを備えている。ベース部8及び係合部9は、例えば、ナット及びボルトを採用することができ、この場合、ナット及びボルトとして、日本工業規格(JIS B 1181)のM6又はM8のものを使用することができる。ベース部8は、補強筋6の側部に溶接等によって堅牢に取り付けられる。ベース部8には、係合部9(雄ネジ)が挿入される開口部8a(雌ネジ)が形成されている。開口部8aは、ガラスブロックパネル100のパネル面100cの方向を向くように位置決めされており、これにより、ベース部8の開口部8aに係合部9を挿入して螺合したとき、係合部9が傾斜してガラスブロック10の側面5に干渉することはない。係合部9にはクレーン等の昇降手段Cが取り付けられるため、係合部9の先端は、例えば、図3に示すようなリング状に構成されている。係合部9の先端に昇降手段Cを取り付け、昇降手段Cを上昇させ、ガラスブロックパネル100を床面から離間させると、ガラスブロックパネル100の重量は補強筋6に沿って分散し、補強筋6全体で負担される。
図4は、ガラスブロックパネル100における隣接するガラスブロック10間の側面断面図である。(a)は、ガラスブロック10間の隙間にモルタルMを充填した状態を示したものである。(b)は、ガラスブロック10間の隙間にモルタルMを充填後、さらに化粧目地用モルタルM´を充填した状態を示したものである。図4(a)に示すように、係合部9は、ベース部8に螺合した状態で、その先端がモルタルMの充填領域より若干突出し、且つパネル面100cから引っ込んだサイズに設計される。本実施形態では、係合部9のモルタルMの充填領域からの突出量aが約5mm、ガラスブロックパネル100のパネル面100cからの引っ込み量bが約10mmとなるように設計されている。これは、ガラスブロック10間の隙間にモルタルMを充填した後でも、係合部9に昇降手段Cを取り付けることを可能とするためである。ガラスブロックパネル100の運搬(移設)が完了したら、係合部9はその役割を終えて不要となるので、ベース部8から係合部9を取り外す。その後、図4(b)に示すように、ガラスブロック10間の隙間に充填したモルタルMの上から、さらに化粧目地用モルタルM´を充填する。これにより、係合部9を取り外して形成された穴に化粧目地用モルタルM´が充填されるとともに、取付部7(ベース部8)は化粧目地用モルタルM´によって埋設されて外部から視認できなくなるので、仕上がったガラスブロックパネル100は美観が損なわれず、従来と同様の美しい外観を備えたものとなる。なお、ガラスブロックパネル100の移設作業の実態によっては、ガラスブロックパネル100の運搬(移設)後、ベース部8から係合部9を取り外さずに、取付部7の全体を埋設するように化粧目地用モルタルM´を追加充填しても構わない。
取付部7は、補強筋6の任意の位置に設けることができるが、ガラスブロックパネル100の重心から外れた位置に設けることが好ましい。本実施形態の矩形状のガラスブロックパネル100では、パネル面100cの長辺100aの垂直二等分線と短辺100bの垂直二等分線との交点が重心となる。また、パネル面100cの二つの対角線の交点も重心に一致する。ガラスブロックパネル100の重心から外れた位置の例として、図2に示すように、長辺100aの近くに配設されている補強筋6の任意の位置に取付部7を設ける。この場合、取付部7に昇降手段Cを取り付けてガラスブロックパネル100を吊り上げると、ガラスブロックパネル100は取付部7の側が上方に位置する姿勢となり、対向する2つの短辺100bは、取付部7から離れている方の一つの長辺100a(図2では、紙面上で下側に示されている長辺100a)を軸として回動するように立ち上がって倒立した状態となる。この倒立状態のガラスブロックパネル100は、立ち上がっている短辺100bの延伸方向に大半の重量が掛かることになるため、ガラスブロックパネル100の厚み方向における重量負担が少なくなる。従って、ガラスブロックパネル100に撓みが生じ難くなり、ガラスブロックパネル100を移設する際の湾曲の発生やモルタルの剥離等を防止することができる。
取付部7は、補強筋6の複数箇所に設けられることが好ましい。複数の取付部7に昇降手段Cを取り付けてガラスブロックパネル100を吊り上げると、ガラスブロックパネル100の姿勢がより安定化する。従って、ガラスブロックパネル100の移設をより迅速且つ容易に行うことができる。なお、図2では、ガラスブロックパネル100の長辺100aに平行に配設された同一の補強筋6の2箇所に取付部7を設けているが、同一の補強筋6に3箇所以上設けてもよく、長辺100aに平行に配設された異なる複数の補強筋6に跨って複数箇所設けてもよい。複数の取付部7のより好ましい取付箇所は、ガラスブロックパネル100の重心から離れた位置の長辺100aに平行に配設されている補強筋6と、短辺100bに平行に配設されている補強筋6とが交差する場所であって、且つ、長辺100aに平行に配設されている同一の補強筋6上である。このような場所に取付部7を設けると、ガラスブロックパネル100を吊り上げた際、ガラスブロックパネル100の重量が補強筋6に沿ってより効果的に分散され、その重量を補強筋6全体で負担することができる。このため、ガラスブロックパネル100の自重による撓みが生じ難く、ガラスブロックパネル100を移設する際にガラスブロックパネルが湾曲することはない。
<ガラスブロックパネルの移設方法>
次に、本発明のガラスブロックパネル100の移設方法について説明する。図5は、ガラスブロックパネル100の移設方法を模式的に説明する工程図である。ガラスブロックパネル100は、(a)〜(e)の各工程を経て移設される。なお、図5の各工程(a)〜(e)は、ガラスブロックパネル100を短辺100bの側から見たものを簡略的に表している。
完成したガラスブロックパネル100を移設する場合、先ず(a)に示すように、補強筋6に設けられている取付部7にクレーン等の昇降手段Cを取り付ける(取付け工程)。次に(b)に示すように、昇降手段Cを徐々に上昇させてガラスブロックパネル100の短辺100bの側を立ち上げ、さらに(c)に示すように、昇降手段Cをさらに上昇させてガラスブロックパネル100を床面から離間させて倒立状態にする(上昇工程)。ここで、「短辺100bの側を立ち上げ」とは、床面上に接地してあるガラスブロックパネル100の取付部7から離れている方の一つの長辺100aを軸として、対向する2つの短辺100bが回動しながら立ち上がることを意味する。昇降手段Cで吊り上げて倒立状態にされたガラスブロックパネル100は、目的の所定位置まで搬送され、当該所定位置に到着したら(c)に示す倒立状態から(d)に示すように、昇降手段Cを徐々に下降させて下の長辺100aの側から接地させる(下降工程)。ここで、「長辺100aの側から接地させる」とは、上昇工程において、対向する2つの短辺100bが回動しながら立ち上がる際に軸とした長辺100aの側が床面に接地することを意味する。ガラスブロックパネル100のパネル面100cが水平になるまで昇降手段Cの下降を続け、ガラスブロックパネル100全体が床面に接地したら、(e)に示すように、取付部7から昇降手段Cを取り外す(取外し工程)。これにより、ガラスブロックパネル100の移設は完了となる。移設した場所からガラスブロックパネル100をさらに別の場所に搬送したい場合は、上述した一連の工程(a)〜(e)を再度繰り返せばよい。このような一連の工程によってガラスブロックパネル100の移設作業を行えば、運搬中にガラスブロックパネル100に撓みが生じ難いため、湾曲の発生やモルタルの剥離等が起こらず、容易に保管場所や屋外の設置場所等に移設することができる。その結果、ガラスブロックパネル100の生産効率を向上させることができる。
<別実施形態>
(1)上記実施形態では、補助筋6に設けた取付部7に昇降手段Cを取り付ける構成を説明したが、取付部7と昇降手段Cとを一体にすることも可能である。図6は、別実施形態に係るガラスブロックパネル100の取付部7の概略図である。この別実施形態では、取付部7はベース部8と係合部9とから構成され、係合部9に昇降手段Cが直接接続されたものとなっている。係合部9は、昇降手段Cに接続されている上部9aと、ベース部8の開口部8a(雌ネジ)に挿入される下部9b(雄ネジ)とから構成され、上部9aと下部9bとは回転軸9cを介して相対回転可能に結合されている。係合部9をベース部8に螺合させるには、係合部9の下部9bを回転させてベース部8の開口部8aにねじ込む。そして、係合部9がベース部8に螺合すると、取付部7と昇降手段Cとが一体化した状態となる。この状態で昇降手段Cを上昇させ、ガラスブロックパネル100を吊り上げると、取付部7が大きく揺れることがないので、ガラスブロックパネル100の倒立姿勢がより安定する。ガラスブロックパネル100の移設が完了したら、係合部9をベース部8から取り外し、上記実施形態と同様に化粧目地用モルタルM´を充填してベース部8を埋設する。
(2)上記実施形態では、取付部7は、ガラスブロックパネル100を吊り上げる昇降手段を取り付けるための部材として構成したが、例えば、ガラスブロックパネル100の上に看板等を取り付ける部材として再利用することも可能である。この場合、ガラスブロックパネル100の上に設置される看板等によって取付部7は隠れてしまうため、看板等が設置される部分には化粧目地用モルタルM´の追加充填を行う必要はない。
本発明のガラスブロックパネルは、例えば、商業施設、公共施設、大型オフィスビル、住宅建物用の建材として利用することができる。
6 補強筋
7 取付部
10 ガラスブロック
100 ガラスブロックパネル
100a 長辺
100b 短辺
100c パネル面
C 昇降手段
M モルタル
M´ 化粧目地用モルタル

Claims (6)

  1. 透光面を同じ側に向けた状態で行及び列を構成するように積層された複数のガラスブロックと、
    隣接する前記複数のガラスブロックの間に各々縦方向及び横方向に配設された複数の補強筋と、
    を備え、
    前記補強筋の周囲にモルタルを充填して前記複数のガラスブロックを接着させたガラスブロックパネルであって、
    移設時に使用する昇降手段を取り付ける取付部が、縦方向に配設されている前記補強筋と、横方向に配設されている前記補強筋とが交差する場所で、前記補強筋に設けられ
    前記取付部は、モルタルを追加充填することにより埋設可能に構成されているガラスブロックパネル。
  2. 前記取付部は、重心から外れた位置に設けられている請求項1に記載のガラスブロックパネル。
  3. 前記取付部は、複数箇所に設けられている請求項1又は2に記載のガラスブロックパネル。
  4. 前記複数のガラスブロックの透光面で構成されるパネル面が、3m以上の長辺と1.5m以上3m未満の短辺とを有する矩形状に構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のガラスブロックパネル。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のガラスブロックパネルの移設方法であって、
    前記取付部に昇降手段を取り付ける取付け工程と、
    記昇降手段を上昇させて前記ガラスブロックパネルを立ち上げる上昇工程と、
    記昇降手段を下降させて前記ガラスブロックパネルを接地させる下降工程と、
    前記取付部から前記昇降手段を取り外す取外し工程と、
    前記取外し工程の後、前記取付部の周囲にモルタルを充填して当該取付部を埋設させる仕上工程と、
    を包含するガラスブロックパネルの移設方法。
  6. 前記複数のガラスブロックの透光面で構成されるパネル面が、長辺と短辺とを有する矩形状に構成され、
    前記上昇工程において、前記パネル面の短辺側が立ち上がるように前記昇降手段を上昇させ、
    前記下降工程において、前記パネル面の長辺側から接地するように前記昇降手段を下降させる、請求項5に記載のガラスブロックパネルの移設方法。
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