JP6221021B1 - 門型ティア加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、耐振動性および寸法安定性に優れることにより、規定残厚±5μmオーダーの高精度なティア加工を安定的に施すことができ、さらに、高精度なティア加工精度を安定的に維持しながら、ワークの種類の変更に対して容易に対応できる門型ティア加工装置に関する。
すなわち、特許文献1に記載されたエアバッグ破断溝形成装置1010では、移動制御ロボット1063が載置される六面体フレームのサイズが小さいため、レール1064Xを十分に延設することができず、移動制御ロボット1063のストロークが短くなってしまう。
このため、ティア加工を施す対象としてのワークの種類を、例えば、右ハンドル用のインストルメントパネルから左ハンドル用のインストルメントパネルに変更した場合には、移動制御ロボット1063を六面体フレームごと移動させて、装置基台に設置し直さなければならず、作業が煩雑になるという問題が見られた。
そればかりか、ワークを変更するたびに、規定残厚±5μmオーダーのティア加工精度を維持すべく、設置精度を厳密に確認しなければならないという問題が見られた。
しかしながら、熱によるひずみを抑制する観点から、門型フレーム2050を中空の鋳物ブロック等を用いて構成しているため、剛性が不十分であるばかりか、共振が発生しやすいという問題が見られた。
したがって、特許文献2に記載された切削装置2000を、規定残厚±5μmオーダーの精度が要求されるティア加工装置として適用した場合、外部環境に起因した振動の影響を受けやすくなるばかりか、寸法安定性が低下しやすくなって、ティア加工精度を安定的に確保することが困難になるという問題が見られた。
すなわち、本発明は、耐振動性および寸法安定性に優れることにより、規定残厚±5μmオーダーの高精度なティア加工を安定的に施すことができ、さらに、高精度なティア加工精度を安定的に維持しながら、ワークの種類の変更に対して容易に対応できる門型ティア加工装置を提供することにある。
すなわち、本発明の門型ティア加工装置における門型フレームは、所定の内部構造を有していることから、優れた剛性を発揮することができる。
また、所定の内部構造を有していることから、振動の影響を抑制すべく重量を所定以上に大きくすることができる一方、自重に起因した曲げ応力の発生を抑制すべく所定の範囲で軽量化を図ることができる。
その結果、門型フレームのサイズを大きくした場合であっても、優れた耐振動性および寸法安定性を発揮することができる。
したがって、工場内の環境によらず、規定残厚±5μmオーダーの高精度なティア加工を安定的に施すことができる。
また、門型フレームのサイズを大きくすることにより、ティア加工を施す対象としてのワークの種類を、例えば、右ハンドル用のインストルメントパネルから左ハンドル用のインストルメントパネルに変更した場合であっても、門型フレームを設置し直す必要が無いため、ティア加工精度を安定的に維持しながら、ワークの変更に対して容易に対応することができる。
このように構成することにより、柱部材および梁部材の剛性を向上させつつ、重量の調節を容易にし、かつ、門型フレームの熱膨張、熱収縮についても効果的に抑制することができることから、門型フレームの耐振動性および寸法安定性をさらに効果的に向上させることができる。
このように構成することにより、外殻部分と充填部材との間に不規則な空隙が生じることを抑制し、そのような空隙に起因した強度の低下や共振の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、柱部材および梁部材の剛性をさらに効果的に向上させつつ、重量の調節を容易にし、門型フレームの耐振動性および寸法安定性をさらに効果的に向上させることができる。
このように構成することにより、優れた耐振動性および寸法安定性を損なうことなく、門型フレームの高さを、様々なワークをティア加工するのに十分な高さとすることができる。
なお、本発明において、「断面」とは、柱部材の長軸方向と直交する面で切断した場合の断面を意味し、梁部材においても同様とする。
このように構成することにより、優れた耐振動性および寸法安定性を損なうことなく、門型フレームの横幅を、様々なワークをティア加工するのに十分な長さとすることができる。
このように構成することにより、柱部材および梁部材の剛性を向上させつつ、重量を好適な範囲に調節し、門型フレームの耐振動性および寸法安定性をさらに効果的に向上させることができる。
このように構成することにより、外部環境に起因した振動の影響を抑制しつつ、移動制御ロボットの運動に起因した振動の発生についても効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、より安定的に高精度なティア加工を施すことができる。
以下、基本的に図1(a)〜(b)を参照しながら、最初に本発明の門型ティア加工装置1を用いたティア加工の概要を説明した後、本発明の門型ティア加工装置1の構成について具体的に説明する。
また、図2(a)〜(b)は、門型フレーム100を構成する柱部材10または梁部材20を長軸方向と直交する面で切断した場合の断面図である。
より具体的には、図2(a)は、空洞部分16(26)を2つ有するとともに、その断面形状が円形である柱部材10または梁部材20の断面図であり、図2(b)は、空洞部分16(26)を1つ有するとともに、その断面形状が四角形である柱部材10または梁部材20の断面図である。
本発明の門型ティア加工装置1を用いたティア加工は、下記工程(a)〜(e)を含む方法により実施される。
(a)ワーク800を固定用冶具500に対して載置・固定する工程
(b)ワーク800に対して、ティア加工手段400を用いてティア加工を施す工程
(c)センサーを用いて、ティア加工により形成されたエアバッグ破断溝の深さまたは残厚を測定する工程
(d)ティア加工が施されたワーク800を固定用冶具500から取り外し、回収する工程
(e)ワーク800の種類変更に応じて固定用冶具500を交換する工程
以下、各工程の概略を説明する。
工程(a)は、ワーク800を固定用冶具500に対して載置・固定する工程である。
まず、本発明においてティア加工の対象となるワーク800は、内側にエアバッグ装置が収容されることになる車両用内装部材であり、具体的には、図3(a)に示すインストルメントパネル800や図3(b)に示すドアパネル800が挙げられる。
これらの車両用内装部材は、樹脂材料からなる成形品であって、単層構造のものであってもよいし、例えば、硬質の基材層と、発泡層と、表皮層と、からなる積層構造であってもよい。
なお、図3(a)は、インストルメントパネル800の斜視図であり、図3(b)は、ドアパネル800の斜視図である。
したがって、図4(a)〜(b)に示すように、エアバッグ破断溝820は、ワーク800の裏面側に対して、ワーク800の表面側に貫通しないように施される必要がある。
したがって、ワーク800は、ティア加工が施されることになる裏面側を加工領域側、すなわち、ティア加工手段400が位置する上方に向けた状態で、固定用冶具500に対して安定的に載置・固定されることになる。
また、固定用冶具500に対するワーク800の載置は、機械で行ってもよいし、手動で行ってもよいし、これらの併用であってもよい。
また、固定用冶具500に対するワーク800の固定は、固定用冶具500に設けられた複数の吸引孔を介した吸引およびエアシリンダーによる上方からの押圧により行うことができる。
なお、図4(a)は、エアバッグ破断溝820が1回のティア加工により形成された状態の単層構造のワーク800の断面図であり、図4(b)は、エアバッグ破断溝820(820a、820b)が2回のティア加工により形成された状態の積層構造のワーク800の断面図である。
また、図4(a)〜(b)において、801は基材層を、802は発泡層を、803は表皮層を、900はエアバッグ装置を示す。
次いで、工程(b)は、ワーク800に対して、ティア加工手段400を用いてティア加工を施す工程である。
かかる工程では、裏面側を上方に露出させた状態で固定用冶具500に対して載置・固定されているワーク800に対し、上方に位置するエンドミル等のティア加工手段400を三次元的に精度よく移動させて、エアバッグ破断溝を形成する。
なお、ティア加工手段400の移動は、予め設定された制御信号により移動制御ロボット300を三次元的に操作することで自動的に行われる。
次いで、工程(c)は、図5(a)に示すように、センサー600を用いて、ティア加工により形成されたエアバッグ破断溝820の深さLdまたは残厚Lrを測定する工程である。
ティア加工の精度は、エアバッグの展開に直接的に影響するファクターであり、人命にかかわる重大事である。
それ故、かかる工程(c)は、ティア加工が施されたワーク800の品質保証を高める観点から実施される。
具体的には、レーザー光測定システム等のセンサー600を用いて測定を行うことができるが、特に、図5(b)に示すように、ティア加工手段400の近傍にセンサー600を設けることで、センサー600をティア加工手段400と共に移動させることができ、形成されたばかりのエアバッグ破断溝の深さ等を効率よく測定することができる。
したがって、工程(c)は、工程(b)の終了後に行われる必要は無く、工程(b)を実施しながら、同時に実施することが好ましい。
なお、形成されたエアバッグ破断溝の全長にわたってセンサー600による測定をする必要は無く、予め決められた所定箇所においてのみ検査すればよい。
なお、図5(a)は、ワーク800およびセンサー600の断面図であり、図5(b)は、ティア加工手段400の近傍にセンサー600を設けた態様を示す側面図である。
また、図5(b)中の矢印Mは、ティア加工手段400の進行方向を示す。
次いで、工程(d)は、ティア加工が施されたワーク800を固定用冶具500から取り外し、回収する工程である。
なお、固定用冶具500からのワーク800の取り外しは、機械で行ってもよいし、手動で行ってもよいし、これらの併用であってもよい。
次いで、工程(e)は、ワーク800の種類変更に応じて固定用冶具500を交換する工程である。
かかる工程は、ティア加工を施す対象としてのワーク800の種類を変更する場合にのみ実施する工程であり、装置基台700に固定されている固定用冶具500を取り外し、別種のワーク800のための別の固定用冶具500を取り付ける工程である。
この点、本発明の門型ティア加工装置1であれば、以下において具体的に説明するように、外部環境に起因した振動や寸法変化を危惧することなく、門型フレーム100のサイズを大きくできることから、基本的にどのような種類のワーク800に対しても、固定用冶具500を交換するだけで、ワーク800の種類変更に対応することができる。
したがって、門型フレーム100を装置基台700に対して設置し直す必要が無いことから、ティア加工精度を安定的に維持しながら、ワーク800の種類変更に対し容易に対応することができる。
(1)門型フレーム
本発明の門型ティア加工装置1は、所定間隔で立設された2本の柱部材10と、当該2本の柱部材10における上端面に載架および固定された1本の梁部材20と、を有する門型フレーム100を備えることを特徴とする。
以下、門型フレーム100を構成する柱部材および梁部材について説明する。
図2(a)〜(b)に示すように、本発明における柱部材10は、外殻部分12と、当該外殻部分12に包接された充填部分14と、当該充填部分14を柱部材10の長軸方向に沿って穿通してなる空洞部分16と、を有することを特徴とする。
この理由は、柱部材10が外殻部分12および充填部分14を含むことにより、柱部材10の剛性を向上させつつ、柱部材10に所定の重量を付与することができることから、耐振動性および寸法安定性を向上させることができるためである。
一方、柱部材10の重量が過度に大きくなると、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなって、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる。
この点、本発明における柱部材10は、空洞部分16を有することから、効果的に断面2次モーメントの値を大きくすることができるため、所定の剛性を保持しつつも軽量化を図ることができる。
したがって、柱部材10の剛性と重量のバランスを好適な範囲に調節することが可能となり、その結果、優れた耐振動性および寸法安定性を得ることができる。
この理由は、このように構成することにより、柱部材10の剛性を向上させつつ、重量の調節を容易にし、かつ、柱部材10の熱膨張、熱収縮についても効果的に抑制することができることから、門型フレームの耐振動性および寸法安定性をさらに効果的に向上させることができるためである。
すなわち、外殻部分12を鋼管から構成することにより、柱部材10の基本的な剛性を確保することができ、充填部分14をモルタル材から構成することにより、鋼管による基本的な剛性を効果的に補強すると同時に、柱部材10に対して所定の重量を付与することができる。
また、充填部分14をモルタル材から構成することにより、後述するように、空洞部分16を形成する際に、スパイラルダクト等の筒状部材18を用いることで、鋼管内にモルタル材を流し込み、充填した後、硬化するだけで容易に充填部分14および空洞部分16を形成することができる。
また、鋼管の厚みとしては、通常、3〜8mmの範囲内の値とすることが好ましく、4〜5mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、外殻部分12を構成する鋼管の断面形状については、図2(a)〜(b)に示すように、四角形とすることが好ましいが、特に制限されるものではなく、円形や楕円形、四角形以外の多角形としてもよい。
この理由は、無収縮モルタル材であれば、外殻部分12と充填部分14との間に不規則な空隙が生じることを抑制し、そのような空隙に起因した強度の低下や共振の発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、無収縮モルタルであれば、流動性に優れることから、充填部分14の形状によらず、隅々まで充填することができ、かつ、ブリーディング・沈下が生じないため、硬化の過程で空隙が生じることについても効果的に抑制することができるためである。
なお、無収縮モルタル材の種類としては、特に制限されるものではないが、セメント系、スラグ系、粘土系、合成樹脂系、水ガラス系、特殊シリカ系のいずれかを用いることが好ましい。
この理由は、空洞部分16を複数設けることにより、柱部材10の剛性をさらに効果的に向上させつつ、重量の調節を容易にし、門型フレームの耐振動性および寸法安定性をさらに効果的に向上させることができるためである。
すなわち、図2(a)に示すように、空洞部分16を複数設けることにより、その断面形状や配置にもよるが、効果的に断面2次モーメントの値を大きくすることができるため、図2(b)に示すように、単一の空洞部分16を設けた場合と比較して、所定の剛性を保持しつつ、より効果的に軽量化を図ることができるためである。
また、空洞部分16の数としては、特に制限されるものではないが、外殻部分12の断面形状に応じて、2〜5個設けることが好ましく、2〜3個設けることがより好ましい。
また、空洞部分16の断面形状については、図2(a)に示すように、円形とすることが好ましいが、特に制限されるものではなく、楕円形や多角形としてもよい。
この理由は、かかる長さL1が90cm未満の値となると、門型フレーム100の高さが不十分になって、高さのあるワーク800に対応することが困難になる場合があるためである。一方、かかる長さL1が150cmを超えた値となると、柱部材10の剛性が過度に低下したり、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなったりして、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、柱部材10の長軸方向の長さL1の下限値を105cm以上の値とすることがより好ましく、115cm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、柱部材の長軸方向の長さL1の上限値を135cm以下の値とすることがより好ましく、125cm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる最大径L2が28cm未満の値となると、柱部材10の剛性が過度に低下したり、十分な重量を確保することが困難になったりして、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。一方、かかる最大径L2が42cmを超えた値となると、柱部材10の重量が過度に大きくなって、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、柱部材10の断面における最大径L2の下限値を30cm以上の値とすることがより好ましく、32cm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、柱部材10の断面における最大径L2の上限値を40cm以下の値とすることがより好ましく、38cm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる重量が130kg未満の値となると、柱部材10の重量を十分に確保することが困難になって、耐振動性が低下しやすくなる場合があるためである。一方、かかる重量が230kgを超えた値となると、柱部材10の重量が過度に大きくなって、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、柱部材10の重量の下限値を150kg以上の値とすることがより好ましく、170kg以上の値とすることがさらに好ましい。
また、柱部材10の重量の上限値を210kg以下の値とすることがより好ましく、190kg以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、充填部分14の面積比率と空洞部分16の面積比率の和を100とした場合に、空洞部分16の面積比率が15未満の値となると、柱部材10の重量が過度に大きくなって、重量に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定が低下しやすくなる場合があるためである。一方、空洞部分16の面積比率が35を超えた値となると、柱部材10の剛性が過度に低下したり、重量を十分に確保することが困難になったりして、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、空洞部分16の面積比率の下限値を18以上の値とすることがより好ましく、22以上の値とすることがさらに好ましい。
また、空洞部分の面積比の上限値を32以下の値とすることがより好ましく、28以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、後述するように、空洞部分16を形成する際に、スパイラルダクト等の筒状部材18を用いた場合には、当該筒状部材18の面積は、充填部分14の面積に含めるものとする。
図2(a)〜(b)に示すように、本発明における梁部材20は、外殻部分22と、当該外殻部分22に包接された充填部分24と、当該充填部分24を梁部材20の長軸方向に沿って穿通してなる空洞部分26と、を有することを特徴とする。
かかる梁部材20は、サイズに関する点を除き、基本的に上述した柱部材10と同様に構成することができる。
したがって、梁部材20については、柱部材10と異なる点についてのみ記載する。
この理由は、かかる長さL3が280cm未満の値となると、門型フレーム100の横幅が不十分になって、横幅のあるワーク800に対応することが困難になる場合があるためである。一方、かかる長さL3が350cmを超えた値となると、梁部材20の剛性が過度に低下したり、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなったりして、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、梁部材20の長軸方向の長さL3の下限値を295cm以上の値とすることがより好ましく、310cm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、梁部材20の長軸方向の長さL3の上限値を335cm以下の値とすることがより好ましく、320cm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる最大径L4が26cm未満の値となると、梁部材20の剛性が過度に低下したり、十分な重量を確保することが困難になったりして、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。一方、かかる最大径L4が40cmを超えた値となると、梁部材20の重量が過度に大きくなって、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、梁部材20の断面における最大径L4の下限値を28cm以上の値とすることがより好ましく、32cm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、梁部材20の断面における最大径L4の上限値を38cm以下の値とすることがより好ましく、36cm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる重量が350kg未満の値となると、梁部材20の重量を十分に確保することが困難になって、耐振動性が低下しやすくなる場合があるためである。一方、かかる重量が450kgを超えた値となると、梁部材20の重量が過度に大きくなって、自重に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、梁部材20の重量の下限値を370kg以上の値とすることがより好ましく、390kg以上の値とすることがさらに好ましい。
また、梁部材20の重量の上限値を430kg以下の値とすることがより好ましく、410kg以下の値とすることがさらに好ましい。
このように構成することにより、2本の柱部材10間の距離が過度に長くなって梁部材20に撓みが生じることを防止しつつ、制御ロボット300を確実に加工領域外に退避および停止させることができる。
また、門型フレーム100の製造方法としては、特に制限されるものではないが、特に、外殻部分12として鋼管を用い、充填部分14としてモルタル材を用いた場合には、図6に示すように、下記工程(A)〜(F)を含む方法で製造することが好ましい。
(A)外殻部分12の内部に筒状部材18を遊挿した状態で、外殻部分12の両側から、板状蓋部材11の内面側に設けられた固定カラー11aが、筒状部材18の円筒内に嵌挿されるように、板状蓋部材11を外殻部分12に対して接合し、柱部材10の骨組み部分を得る工程
(B)柱部材10の骨組み部分の上端面としての板状蓋部材11に穿通された注入孔11bから充填材料を流し込み、柱部材10の骨組み部分における外殻部分12の内部における円筒部分18に占められた領域以外の部分(以下、「充填予定部分」と称する場合がある。)に充填材料を充填・硬化させた後、注入孔11bを封止して柱部材10を得る工程
(C)(A)〜(B)工程と同様の工程により、2本目の柱部材10を得る工程
(D)(A)工程と同様の工程により、梁部材20の骨組み部分を得た後、当該梁部材20の骨組み部分を2本の柱部材10に対して固定するための載架用板状部材23を、梁部材20の外側面における同じ側の2カ所に対し、設ける工程
(E)梁部材20の骨組み部分における外殻部分22を穿通する注入孔22bから充填材料を流し込み、梁部材20の骨組み部分における充填予定部分に充填材料を充填・硬化させた後、注入孔22bを封止して梁部材20を得る工程
(F)2本の柱部材10における上端面としての板状蓋部材11の面と、梁部材20に設けられた2つの載架用板状部材23の面とを接合・固定し、門型フレーム100を得る工程
なお、図6は、製造過程における門型フレーム100の斜視図である。
この理由は、スパイラルダクトであれば、帯鋼を螺旋状に巻きながら帯鋼の両端をハゼ折に重ね合わせて形成されていることから、充填材料をスパイラルダクトの外周面に形成された螺旋条に沿って安定的に流し込むことができるためである。
したがって、得られる充填部分において、流し込みの不均一性やこれに起因した気泡の発生等により空隙が発生することを効果的に抑制することができる。
また、スパイラルダクトであれば、通常、1mm以下の薄い鋼材から形成されているため、無収縮モルタル材等の充填材料が硬化により僅かに膨張した場合であっても、容易に変形して柱部材10や梁部材20の内部応力を効率的に緩和することができる。
また、注入孔22bおよび注入孔11bの直径は、通常、25〜35mmの範囲内の値とすることが好ましく、ドリルによって穿通することが好ましい。
なお、充填材料の硬化時間としては、通常、12〜20時間の範囲内の値とすることが好ましい。
図1(a)〜(b)に示すように、本発明の門型ティア加工装置1は、上述した門型フレーム100の梁部材20に設けられたレール部材210を有することを特徴とする。
かかるレール部材210は、後述する移動制御ロボット300を梁部材20に沿った方向に往復移動可能となるように門型フレーム100に対して取り付けるための部材である。
また、レール部材210の態様については特に制限されるものではないが、通常、図1(a)〜(b)に示すように、梁部材20の上面に対して梁部材20の長軸方向と平行に、梁部材20の内側に収まる範囲内で延設されるとともに、移動制御ロボット300を安定的に咬合させる態様が好ましい。
また、レール部材210の構成材料としては、特に制限されるものではないが、加工性、寸法安定性等の観点から、例えば、一般構造用圧延鋼材を用いることが好ましい。
本発明の門型ティア加工装置1は、上述したレール部材210の上を往復移動可能な移動制御ロボット300を備えることを特徴とする。
かかる、移動制御ロボット300は、図7に示すように、上述したレール部材210をX軸方向レール部材210とした場合に、当該X軸方向レール部材210に対して往復移動可能に取り付けられたX軸方向移動台座310と、当該X軸方向移動台座310に対して固定されたY軸方向レール部材220と、当該Y軸方向レール部材220に対して往復移動可能に取り付けられたY軸方向移動台座320と、当該Y軸方向移動台座320に対して固定されたZ軸方向レール部材230と、当該Z軸方向レール部材230に対して往復移動可能に取り付けられたZ軸方向移動台座330と、当該Z軸方向移動台座330の下端に設けられたティア加工手段固定部340と、を含む構成とすることが好ましい。
このように構成することにより、X〜Z軸方向移動台座(310、320、330)を、移動制御部(図示せず)からの制御信号によって、それぞれ独立にX〜Z軸方向レール部材(210、220、230)に沿って往復移動させることができることから、ティア加工手段400の先端部の空間的な位置を、高精度で制御することができ、ひいては高精度なティア加工を施すことができる。
なお、図7は、ティア加工手段400が取り付けられた状態の移動制御ロボット300の斜視図である。
この理由は、移動制御ロボット300の重量が125kg未満の値となると、移動制御ロボット300自体が過度に振動しやすくなる場合があるためである。一方、移動制御ロボット300の重量が145kgを超えた値となると、柱部材10や梁部材20において、移動制御ロボット300の重量に起因した曲げ応力が発生しやすくなり、耐振動性および寸法安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、移動制御ロボット300の重量の下限値を130kg以上の値とすることがより好ましく、134kg以上の値とすることがさらに好ましい。
また、移動制御ロボット300の上限値を140kg以下の値とすることがより好ましく、138kg以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明の門型ティア加工装置1では、門型フレーム100のサイズを大きくすることができるが、それ故に、移動制御ロボット300が各ワーク800をティア加工するごとに往復するレール部材210上の所定のティア加工箇所と、退避場所と、の距離が長くなる。
したがって、本発明の門型ティア加工装置1では、製造効率を維持する観点から、移動ロボット300の移動速度を1m/秒といった従来よりも速い速度とすることが求められる。
このため、ティア加工条件としては、移動制御ロボット300の急加速、急減速に伴って振動が発生しやすくなるものの、本発明の門型ティア加工装置1であれば優れた耐振動性を備えることから、これを効果的に抑制することができる。
本発明の門型ティア加工装置1は、上述した移動制御ロボット300によって移動制御可能なティア加工手段400を備えることを特徴とする。
かかるティア加工手段400は、ワーク800としての車両用内装部材に対して、裏面側から表面側に向かって、かつ、表面側に貫通しないように破断溝を形成することができる加工手段であれば特に制限されるものではないが、エンドミル、熱溶融刃、超音波カッター、レーザーカッターおよびナイフ型カッター刃からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらのティア加工手段400であれば、より安定的に高精度なティア加工を施すことができるためである。
なお、移動制御ロボット300に対するティア加工手段400の設置態様としては、特に制限されるものではないが、図7に示すように、移動制御ロボット300におけるティア加工手段固定部340の下端に固定することが好ましい。
この理由は、2種類のティア加工手段400を設けることにより、特に、図4(b)に示すように、積層構造のワーク800に対し、第1のエアバッグ破断溝820aおよび第2のエアバッグ破断溝820bを効率的に形成することができるためである。
まず、図8(a)に示すように、第1のシリンダーアーム410aを延出させる一方、第2のシリンダーアーム410bを縮退させ、第1のティア加工手段400aのみがティア加工に供されるように制御した後、ワーク800における基材層801の全厚に対して比較的幅の広い第1のエアバッグ破断溝820aを形成する。
次いで、図8(b)に示すように、第1のシリンダーアーム410aを退縮させる一方、第2のシリンダーアーム410bを延出させ、第2のティア加工手段400bのみがティア加工に供されるように制御した後、形成された第1のエアバッグ破断溝820aにおける発泡層802から表皮層803の半ばに至る比較的幅の狭い第2のエアバッグ破断溝820bを形成する。
なお、第1のティア加工手段400aと、第2のティア加工手段400bとを、エアバッグ破断溝が形成される予定線に対して平行になるようにティア加工手段固定部340の向きを制御することにより、第1のエアバッグ破断溝820aと、第2のエアバッグ破断溝820bとを、別個にではなく、連続的に形成することも可能である。
なお、図8(a)は、第1のティア加工手段400aによるティア加工の様子を示す正面図であり、図8(b)は、第2のティア加工手段400bによるティア加工の様子を示す正面図である。
本発明の門型ティア加工装置1は、ワーク800としての車両用内装部材に対してティア加工を施す際に、ティア加工手段400の下方の加工領域にワーク800を載置・固定するための固定用冶具500を備える。
この理由は、高精度なティア加工を施すに際し、立体的に成形されてなるワーク800としての車両用内装部材を、ティア加工が施されることになる裏面側を加工領域側、すなわち上方に向けた状態で、安定的に載置・固定する必要があるためである。
したがって、図1(a)〜(b)に示す固定用冶具500の載置部分510における表面形状は、ワーク800の表面側の表面形状に合わせた立体形状に構成される。
かかる固定用冶具500の構成材料としては、特に限定されるものではないが、基礎部分520については、設置安定性を向上させる観点から、一般構造用圧延鋼材を用いることが好ましく、載置部分510については、軽量化および加工性の観点からアルミニウムやエンジニアリングプラスチックを用いることが好ましい。
この理由は、固定用冶具500の裏面側から吸引孔512を介して真空ポンプ等の吸引装置530を用いて吸引することにより、載置部分510に載置されたワーク800を、安定的に載置部分510に固定することができるためである。
なお、固定用冶具500は、ワーク800の種類ごとに変更する必要があるが、固定用冶具500は、門型フレーム100とは別個に装置基台700に固定されるため、固定用冶具500を変更した場合であっても、門型フレーム100の設置精度に影響が及ぶことは無い。
本発明の門型ティア加工装置1は、ワーク800に形成されたエアバッグ破断溝の深さ、あるいは残厚を測定するためのセンサーを備えることが好ましい。
この理由は、1つ1つのワーク800に対してティア加工を施すと同時にエアバッグ破断溝の深さ等を測定することにより、得られるティア加工が施されたワーク800の品質保証を最大限に高めることができるためである。
かかるセンサーの種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、図5(a)に示すようなレーザー光測定システムのほか、赤外線測定システム、あるいは渦電流方式を採用することができる。
また、特にレーザー光測定システムは、ティア加工手段400の近傍、より具体的には図5(b)に示すようにティア加工手段固定部340に対して設置することで、センサー600をティア加工手段400と共に移動させることができ、形成されたばかりのエアバッグ破断溝の深さ等を効率よく測定することができる。
また、図1(a)〜(b)に示すように、本発明の門型ティア加工装置1は、門型フレーム100や固定用冶具500等を設置するための装置基台700を備えることが好ましい。
この理由は、装置基台700を備えることにより、設置場所の床が水平でない場合であっても、複数の調節ネジ部材730を微調整することにより、門型ティア加工装置1を水平に設置することができるためである。
また、装置基台700が基礎部分710上に冶具テーブル720を備えることにより、装置基台700に対する固定用冶具500の設置や取り外し作業が容易になるとともに、固定用冶具500に対するワーク800の載置や取り外し作業も容易になる。
なお、装置基台700は、図1(a)〜(b)に示すようなフレーム構造とすることが好ましい。
また、かかるフレーム構造は、門型フレーム100と同様の内部構造としてもよいが、経験上、中空の鋼管であっても、優れた耐振動性および寸法安定性を保持できることが確認されている。
したがって、本発明の門型ティア加工装置は、規定残厚±5μmオーダーの精度が要求され、かつ、ワークの種類変更が頻繁に行われるエアバッグ破断溝形成加工の高品質化および効率化に著しく寄与することが期待される。
Claims (6)
- 所定間隔で立設された2本の柱部材と、当該2本の柱部材における上端面に載架および固定された1本の梁部材と、を有する門型フレームと、前記梁部材に設けられたレール部材と、当該レール部材上を往復移動可能な移動制御ロボットと、当該移動制御ロボットに設けられたティア加工手段と、を有する門型ティア加工装置であって、
前記柱部材および梁部材が、外殻部分と、当該外殻部分に包接された充填部分と、当該充填部分を前記柱部材および梁部材の長軸方向に沿って穿通してなる複数の空洞部分と、を有するとともに、
前記外殻部分が鋼管から構成されるとともに、前記充填部分がモルタル材から構成され、かつ、
前記柱部材および梁部材の断面における前記充填部分の面積と、前記空洞部分の面積と、の比を85:15〜65:35の範囲内の値とすることを特徴とする門型ティア加工装置。 - 前記モルタル材が無収縮モルタル材であることを特徴とする請求項1に記載の門型ティア加工装置。
- 前記柱部材の長軸方向の長さを90〜150cmの範囲内の値とし、断面における最大径を28〜42cmの範囲内の値とするとともに、重量を130〜230kgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の門型ティア加工装置。
- 前記梁部材の長軸方向の長さを280〜350cmの範囲内の値とし、断面における最大径を26〜40cmの範囲内の値とするとともに、重量を350〜450kgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の門型ティア加工装置。
- 前記移動制御ロボットの重量を125〜145kgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の門型ティア加工装置。
- 前記ティア加工手段が、エンドミル、熱溶融刃、超音波カッター、レーザーカッターおよびナイフ型カッター刃からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の門型ティア加工装置。
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