JP6220815B2 - 気管切開チューブ装置 - Google Patents
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これを改善するために考案されたものが上記スピーチカニューレである。このスピーチカニューレは、一般的な上記の気管切開チューブに発声用空気等を外部より供給できる構造を持ち、これをカフより上部の気道内に吐出させることによって発声用空気等を確保しようとするものである。
すなわち、従来のスピーチカニューレでは、発声用サイドラインより供給される発声用空気等を患者の発声時にタイミングに合わせて供給させることが好ましいが、患者自身が発声用空気等の供給を操作する方法では患者に負担が大きいため、自動的に呼吸のタイミングに合わせて発声用空気を供給する装置が望まれていた。
また、カフの上部に備えられた発声用空気等の送気口が、気道壁近傍のチューブ側面に設けられているものや、横方向に噴出する構造のものがあり、送気口から吐出した空気等が気道壁に直接当たることになってしまい、気道壁での肉芽形成や出血などの悪影響を与えてしまう問題があった。
また、発声用サイドラインは、チューブ内部に形成されるため、比較的細い管を利用することが多いが、細い管は大きい圧力損失等があり、発声用空気等を発声に必要な圧力を超えて供給する必要性が生じ、気道内に吐出した空気等は高い圧力による動圧を保持した状態になる。このため、患者は気道内に抵抗感を覚え、発声をスムースに行えなくなるという不都合があった。
さらに、気管切開した後に気道内に一定期間挿入された状態となるため、気道内部等の衛生管理を厳密に行う必要があるが、特にカフ上に分泌物等が貯留しやすく、発声用サイドラインの送気口をカフ上に配すると、分泌物等が送気口に流入してしまうおそれがあった。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声補助機が、呼気動作信号を受信可能であり、受信した呼気動作信号に基づいて発声用空気供給流路に空気を送り込むので、人工呼吸器の呼吸圧出力などの呼気動作信号を利用して正確に呼気動作に合わせて発声用空気を送り込むことができる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声補助機が、圧力センサで測定した圧力に基づいて発声用空気供給流路に空気を送り込むので、呼吸気用チューブ内の呼吸圧の変化を圧力センサで読み取って正確に呼気動作に合わせて発声用空気を送り込むことができる。なお、この装置では、人工呼吸器が呼吸圧出力などの呼気動作信号の出力機能を有していない場合で、呼吸気用チューブに圧力センサを取り付けることで、正確なタイミングで発声用空気の送気が可能になる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声用空気供給流路の送気口が、気管内に留置された際に屈曲部の口腔側に向いた位置に形成されているので、吐出される発声用空気が気道内壁に直接当たり難くなり、気道内壁面への影響を最小限に抑えることができる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声用空気供給流路の送気口が、屈曲部の上部から口腔側に向けて突出した凸部に形成されているので、上方からの分泌物が送気口に流入し難くなる。特に、徐々に盛り上がったドーム状の凸部とすることで、気管切開チューブを気管に挿入する際にはスムーズに挿入することができる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、チューブ本体のカフと送気口との間に形成された吸引口に接続された吸引用チューブを備えているので、分泌物等の吸引除去専用の吸引用チューブを別途設けていることで、発声用空気供給流路及び発声用チューブで分泌物等の吸引を行う必要が無くなり、発声用空気供給流路内や発声用チューブ内に分泌物等が残留することが無くなる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声用空気供給流路の先端に、送気口に向けて上方に傾斜する誘導壁が形成されているので、送り込まれた空気が誘導壁で送気口に向かう上方に誘導されることで、空気を送気口から上向きに吹き出させることができる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声用空気供給流路の内面で軸方向に直交する断面の中央に、内側に突出して少なくとも送気口の近傍まで発声用空気供給流路に沿って延在した突条部が形成されているので、発声用空気供給流路の空気が突条部で左右に分かれ、左右両側から回り込んで送気口から出ることで、空気の直進成分が抑制されて上方へ吹き出し易くなる。
すなわち、この気管切開チューブ装置では、発声用空気供給流路の先端部に、送気口の部分からチューブ本体の先端側に向けて形成された穴部が形成されているので、突条部で左右に分離された空気が穴部で合流して互いの直進成分がさらに抑制されることで、送気口から上方へより吹き出し易くなる。
すなわち、本発明に係る気管切開チューブ装置によれば、発声補助機が、発声用空気供給流路に発声用チューブを介して接続され、人工呼吸器による呼気動作に合わせて発声用空気供給流路に空気を送り込むので、呼気時に自動的に発声用空気が声帯側に送り込まれることで患者に負担無く適切なタイミングで発声を行うことができる。したがって、本発明によれば、患者がスピーチカニューレを装着していながら満足する状態で発声することが可能になる。
本実施形態の気管切開チューブ装置1は、図1及び図2に示すように、気管切開チューブ2と、人工呼吸器3と、発声補助機4とを備えている。
上記発声補助機4は、発声用空気供給流路8に発声用チューブ9を介して接続され、人工呼吸器3による呼気動作に合わせて発声用空気供給流路8に空気を送り込む機能を有している。
なお、本実施形態では、呼気動作信号に基づいて発声用空気供給流路8に空気を送り込むか、圧力センサSで測定した圧力に基づいて発声用空気供給流路8に空気を送り込むかを発声補助機4側で任意に選択可能になっている。また、発声補助機4は、圧力センサSとセンサ接続コード12Bで接続されている。
なお、チューブ本体5の基端部には、気管切開部にチューブ本体5を固定するためのフランジ部5bが形成されている。
また、チューブ本体5には、図3に示すように、呼吸気用空気流路5aと発声用空気流路8とが分離されて別々に内部に設けられている。なお、吸引用チューブ13及び呼吸気用チューブ7は、チューブ本体5内の呼吸気用空気流路5a内に挿通されている。
発声補助機4は、受信した呼気動作信号に基づいて発声用チューブ9及び発声用空気流路8を介して発声用空気を送気口8aから気管T内に供給する。これにより呼気のタイミングに合わせて患者は発声を行うことができる。
このようにして、圧力センサSで読み取る圧力に基づいて、呼吸圧の制御や空気の圧送タイミング等を制御することで、発声に適した空気を発声補助機4から気管切開チューブ2へ送り込むことが可能になる。
また、発声補助機4が、圧力センサSで測定した圧力に基づいても発声用空気供給流路8に空気を送り込むことができるので、呼吸気用チューブ10内の呼吸圧の変化を圧力センサSで読み取って正確に呼気動作に合わせて発声用空気を送り込むことができる。
また、発声用空気供給流路8の送気口8aが、屈曲部の上部から口腔側に向けて突出した凸部8bに形成されているので、上方からの分泌物が送気口8aに流入し難くなる。特に、徐々に盛り上がったドーム状の凸部8bとすることで、気管切開チューブ2を気管Tに挿入する際にはスムーズに挿入することができる。
さらに、第7実施形態では、図6の(c)に示すように、第1実施形態よりも発声用空気流路75の流路断面形状をチューブ本体75の周方向に延ばして流路面積を大きく設定している点で第1実施形態と異なっている。
すなわち、第8実施形態では、誘導壁88bに発声用空気供給流路88内の空気が突き当たった際に、送気口88aに向けて空気を誘導するように傾斜している。
なお、送気口88aは、チューブ本体85の下部直胴部における軸線上に配されている。また、チューブ本体85の下部直胴部は、上部よりも外径が細く設定されている。
すなわち、第9実施形態では、発声用空気供給流路98の内面で軸方向に直交する断面の中央に、内側に突出して少なくとも送気口98aの近傍まで発声用空気供給流路98に沿って延在した突条部98cが形成されている。
第9実施形態では、発声用空気供給流路98に送り込まれた空気が、図14に示すように、突条部98cによって左右に分離し、左右から送気口98aに向かうと共に、一部は穴部98bにまで回り込み、左右の流れが衝突して上方の送気口98aに向かう。なお、図14において、空気の流れを二点鎖線の矢印で簡易的に図示している。
また、上記各実施形態では、上述したように発声用空気流路をチューブ本体に一体的に形成することが好ましいが、チューブ本体内に発声用チューブに接続されたチューブを取り付けて発声用空気流路としても構わない。
Claims (8)
- 気管切開チューブと、人工呼吸器と、発声補助機とを備え、
前記気管切開チューブが、呼吸気用空気流路を内部に有すると共に気管内に先端側が留置されるチューブ本体と、前記チューブ本体の先端部外周に設けられ膨張可能なカフと、前記チューブ本体に取り付けられ前記カフに空気を注入可能なカフ用チューブと、前記チューブ本体に設けられ前記カフより基端側に形成された送気口から外部に空気を送気可能な発声用空気供給流路と、前記発声用空気供給流路に接続された発声用チューブとを備え、
前記人工呼吸器が、呼吸気用チューブを介して前記呼吸気用空気流路に接続され、前記呼吸気用空気流路に空気を送り込む吸気動作と、前記呼吸気用空気流路から空気を吸引する呼気動作とを交互に行い、
前記発声補助機が、前記発声用空気供給流路に前記発声用チューブを介して接続され、前記人工呼吸器による前記呼気動作に合わせて前記発声用空気供給流路に空気を送り込み、
前記発声用空気供給流路の内面で軸方向に直交する断面の中央に、内側に突出して少なくとも前記送気口の近傍まで前記発声用空気供給流路に沿って延在した突条部が形成されていることを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1に記載の気管切開チューブ装置において、
前記人工呼吸器が、前記呼気動作を行う際に呼気動作信号を発信可能であり、
前記発声補助機が、前記呼気動作信号を受信可能であり、受信した前記呼気動作信号に基づいて前記発声用空気供給流路に空気を送り込むことを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1に記載の気管切開チューブ装置において、
前記発声補助機が、前記呼吸気用チューブに設けられ前記呼吸気用チューブ内の圧力を測定可能な圧力センサを備え、前記圧力センサで測定した圧力に基づいて前記発声用空気供給流路に空気を送り込むことを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の気管切開チューブ装置において、
前記チューブ本体が、中間部分に屈曲部を有した屈曲形状とされ、先端部が肺側に向けて気管内に留置され、
前記発声用空気供給流路の送気口が、気管内に留置された際に前記屈曲部の口腔側に向いた位置に形成されていることを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項4に記載の気管切開チューブ装置において、
前記発声用空気供給流路の送気口が、前記屈曲部の上部から口腔側に向けて突出した凸部に形成されていることを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の気管切開チューブ装置において、
前記チューブ本体の前記カフと前記送気口との間に形成された吸引口に接続された吸引用チューブを備えていることを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の気管切開チューブ装置において、
前記発声用空気供給流路の先端に、前記送気口に向けて上方に傾斜する誘導壁が形成されていることを特徴とする気管切開チューブ装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の気管切開チューブ装置において、
前記送気口が、前記発声用空気供給流路の先端側の途中に設けられ、
前記発声用空気供給流路の先端部に、前記送気口の部分から前記チューブ本体の先端側に向けて形成された穴部が形成されていることを特徴とする気管切開チューブ装置。
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