JP6220286B2 - 漏れ試験方法及び装置 - Google Patents
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Description
ここで、QLは、トレーサガスの漏れ流量(mL/min at 1atm)である。rは、トレーサガス中の水素の体積流量比である。通常、水素5%、窒素95%の混合ガスをトレーサガスとして使用するため、r=0.05である。被検体内の残留空気などによりトレーサガス濃度が変化した場合、rの値はこの限りでない。QCは、チャンバ残空間からの被検ガスの移送流量(mL/min at 1atm)である。被検体からトレーサガスの漏れが有った場合、被検ガスはキャリアガスとトレーサガスとの混合ガスとなる。移送流量QCの殆どはキャリアガスの流量によって占められる。
VC;チャンバの残容積及びチャンバから水素センサまでのガス路の容積の合計(mL)
ここで、PCは、チャンバ内圧(Pa abs)である。P0は、大気圧(101,325Pa abs)である。この方法によれば、例えば、チャンバ内圧PCをPC=1kPaまで減圧すると、移送時間tCは、チャンバ内が大気圧(PC=P0)である場合の約100分の1にできる。
(1)真空ポンプとして一般的な油回転ポンプ(ロータリーポンプ)は、安価で、かつ100Pa(abs)程度の高真空まで減圧可能であるが、被検ガスが通過する際、回転体のシール用の油に水素等の検査成分が溶け込んで残留することで、漏れ試験の信頼性が損なわれるおそれがある。信頼性を確保するには、被検ガスが油と接触することの無いダイヤフラムポンプやドライポンプを使用せざるを得ない。しかし、ダイヤフラムポンプは、到達真空度が低いために、移送時間tCをあまり短縮できない。また、ドライポンプは高価であり、設備コストが嵩んでしまう。
(2)また、ダイヤフラムポンプにおいては出口圧が脈動する。したがって、ダイヤフラムポンプの出口の直近に水素センサを配置すると、水素センサが脈動の影響を受ける。そのため、水素センサをダイヤフラムポンプから下流側にある程度離す必要があり、それだけ移送時間が長くなる。
(3)さらに、真空ポンプの種類に拘わらず、真空ポンプ内の昇圧後の内部容積の分だけ移送時間をロスしてしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、被検体の内部等の第1室に水素等の検査成分を含むトレーサガスを導入し、かつチャンバ残空間等の第2室を減圧するとともに、第2室のガスを水素センサ等の検知手段まで移送して水素等の検査成分の検知を行なう漏れ試験において、減圧又は移送のために種々の真空ポンプを大きな支障無く用いることができ、漏れ試験の信頼性を確保したり、移送時間を短縮したりすることを目的とする。
前記被検体を収容部に収容する収容工程と、
前記被検体の内部又は前記被検体及び前記収容部の間によって画成された第1室及び第2室のうち第1室に前記トレーサガスを導入するトレーサガス導入工程と、
前記第2室を減圧する減圧工程と、
前記検査成分を実質的に含まないキャリアガスを前記第2室に前記減圧状態を維持する流量で供給しながら、前記第2室から延びる圧縮路の内部に前記第2室からガス(以下「被検ガス」と称す)を引き込む移送工程と、
前記キャリアガスより高圧かつ大流量の圧縮ガスを前記移送工程後の第2室ひいては前記圧縮路に導入し、前記圧縮ガスによって前記被検ガスを前記圧縮路の下流側へ圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮路に接続された検知手段によって前記圧縮された被検ガス中の前記検査成分を検知する検知工程と、
を備えたことを特徴とする。
前記圧縮路の流路断面積が大き過ぎると、圧縮工程において圧縮ガスが被検ガスと混ざりやすくなる。
したがって、圧縮ガスと被検ガスの混合を抑制する観点からは、前記圧縮路の流路断面積はなるべく小さいことが好ましい。ただし、前記圧縮路の流路断面積が小さ過ぎると、移送工程に長時間を要するようになる。したがって、前記圧縮路の流路断面積は、前記圧縮ガス及び被検ガスどうしの接触混合を有効に制限でき、かつ移送工程の時間が過度に長くならない範囲で設定することが好ましい。
また、前記圧縮路の内面は滑らかであることが好ましい。これによって、圧縮路内のガスの流れを層流若しくはそれに近い流れにでき、圧縮路内で渦又は流れの乱れが起きるのを抑制又は防止でき、このような渦又は流れの乱れによって圧縮ガス及び被検ガスどうしが混合するのを制限できる。
さらに、前記圧縮路は、被検ガスを検知手段にて検知する際に必要なガス量を確保できる長さを有していることが好ましい。圧縮路の流路断面積を制限し、かつ検知に必要なガス量を確保するには、圧縮路を長くする必要があるが、上述したように、この圧縮路の内面を滑面とすることで、圧縮路が長くても圧縮ガス及び被検ガスどうしの混合が起きるのを抑制できる。
また、前記検査成分として水素を用い、前記検知手段として吸着酸素と水素との反応によって水素を検知する半導体ガスセンサを用い、前記検知工程の直前まで前記半導体ガスセンサに空気を供給することにすれば、吸着酸素量を安定させることができる。そして、前記検知工程の開始時に前記半導体ガスセンサに送るガスを空気から前記導入路からの被検ガスに直ちに切り替えることができる。これよって、半導体ガスセンサの出力を安定させることができる。
そうすることによって、導入路での被検ガスと圧縮ガスとの接触面積を、圧縮路での被検ガスと圧縮ガスとの接触面積よりも小さくできる。したがって、圧縮工程から検知工程までの間の、被検ガスを導入路内に一時的に蓄えている期間中に、導入路において、圧縮により高密度になった被検ガスと圧縮ガスとが、互いの接触面で拡散混合するのを確実に抑制することができる。これによって、被検ガス中の検査成分の濃度が低下するのを一層確実に抑制でき、検査成分の検出感度を確保できる。
これによって、運転コストを低減できる。第2室を減圧しておくことによって、ほぼ大気圧の空気を前記圧縮ガスとして用いることができ、空気を高圧化する必要は無い。
ここで、「ほぼ大気圧」とは、例えば大気圧±5kPa程度の範囲を言う。
前記被検体を収容する収容部と、
前記被検体の内部又は前記被検体及び前記収容部の間によって画成された第1室及び第2室のうち第1室に前記トレーサガスを導入するトレーサガス導入手段と、
前記第2室を減圧する減圧手段と、
前記第2室から延びる圧縮路と、
前記検査成分を実質的に含まないキャリアガスを前記第2室に前記減圧状態を維持する流量で供給するキャリア供給手段と、
前記圧縮路に接続され、前記キャリアガスの供給と併行して、前記第2室からガス(以下「被検ガス」と称す)を前記圧縮路の内部に引き込む引込手段と、
前記被検ガスを前記圧縮路の下流側へ圧縮するための圧縮ガスを、前記キャリアガスより高圧かつ大流量で、前記引き込み後の第2室ひいては前記圧縮路に導入する圧縮ガス導入手段と、
前記引込手段を介さずに前記圧縮路と接続され、前記圧縮された被検ガス中の前記検査成分を検知する検知手段と、
を備えことを特徴とする。
例えば、上記真空ポンプとして油回転ポンプを用いることで、その回転体のシール用の油に水素等の検査成分が溶け込んで残留したとしても、漏れ試験の信頼性が損なわれるのを回避できる。また、減圧手段として上記油回転ポンプを兼用した場合、第2室を高真空にでき、キャリア供給手段及び引込手段による被検ガスの移送時間を確実に短くできる。さらに、油回転ポンプを用いることで、設備コストを低減できる。
また、上記真空ポンプとしてダイヤフラムポンプのような出口圧が脈動するポンプを用いたとしても、検知手段が上記脈動の影響を受けることはない。
さらに、真空ポンプ内の昇圧後の内部容積の分だけ移送時間をロスすることもない。
これによって、検知に必要な量の被検ガスを減圧状態で圧縮路に移送しておくことができる。したがって、検査成分の検知ひいては被検体の漏れ試験を確実に行なうことができる。
前記導入路から前記検知手段を介さずに前記引込手段へ延びる導出路と、
前記圧縮路から、前記導入路及び前記導出路ならびに前記検知手段を介さずに前記引込手段へ延びる直通路と、
前記引き込み時に前記圧縮路を前記直通路と前記導入路及び導出路とを介して前記引込手段に連ね、前記圧縮時に前記直通路及び前記導出路を閉止し、前記検知時に前記導入路と前記検知手段とを連通させる流路制御手段と、
を更に備えていることが好ましい。
これによって、引き込み時には、引込手段にて被検ガスを圧縮路に引き込むとともに圧縮路から更に導入路へも引き込むことができる。圧縮時には、被検ガスが引込手段に流れないようにでき、ひいては圧縮ガスを確実に圧縮できる。そして、検知時には、被検ガスを導入路から検知手段へ導入できる。
前記流路制御手段が、前記引き込みの終期において前記直通路を閉止し、この閉止時から遅延時間が経過した後、前記導出路を閉止することが好ましい。
これによって、被検ガスを導入路に確実に引き込むことができる。
さらに、前記半導体ガスセンサに空気を供給するセンサ用空気供給路を備え、
前記流路制御手段が、前記検知の直前まで前記センサ用空気供給路を前記半導体ガスセンサに連ね、前記検知開始時に前記センサ用空気供給路を前記半導体ガスセンサから遮断するとともに前記導入路を前記半導体ガスセンサに連ねることが好ましい。
これによって、前記検知の直前まで半導体ガスセンサに空気を供給でき、吸着酸素量を安定させることができる。そして、検知開始時に前記半導体ガスセンサに送るガスを空気から前記被検ガスに直ちに切り替えることができる。これよって、半導体ガスセンサの出力を安定させることができる。
これによって、引き込み時には、検知に必要な量の被検ガスを減圧状態で圧縮路に確実に収容できる。圧縮時には、上記必要量の被検ガスを圧縮して導入路に確実に収容できる。したがって、検知手段において、検査成分の検知を確実に行なうことができ、ひいては被検体の漏れ試験を確実に行なうことができる。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示したものである。図1に示すように、漏れ試験装置1は、トレーサガスを用いて被検体9を漏れ試験するものであり、トレーサガス導入手段2と、真空ポンプ4(減圧手段、引込手段)と、チャンバ10(収容部)と、清浄空気供給部20と、センサユニット30とを備えている。被検体9としては、特に限定が無く、機械要素、電子部品、微小デバイス等、種々の分野の部品ないしは製品に適用できる。被検体9は、好ましくは内部空間を有している。この内部空間は、密封空間であってもよく、開口されていてもよい。チャンバ10の底面等によって、被検体9の上記開口を塞ぐことで上記内部空間を密封することにしてもよい。
上記開閉弁51〜54によって、流路制御手段50が構成されている。
<収容工程>
被検体9をチャンバ10に収容する(収容工程)。このとき、開閉弁24,51,52,54は共に閉じておく。三方弁53は第1位置(ソレノイド・オフ)にしておく。
真空ポンプ4は常時作動させる。これによって、空気導入部20aからの大気圧の清浄空気が、センサ用空気供給路21、接続口30a、接続路32、三方弁53、及びセンサ路36の順に流れ、半導体ガスセンサ31へ導かれる。これによって、半導体ガスセンサ31の半導体表面に清浄空気中の酸素を飽和するまで十分に吸着させることができ、半導体ガスセンサ31の出力をゼロレベルに維持又は復帰させることができる(ゼロレベル化工程)。この結果、半導体ガスセンサ31の水素感知能力を十分に高めておくことができる。半導体ガスセンサ31を通過後の清浄空気は、絞り34、接続口30c、センサ排出路48、及び共通排気路49を順次経て、真空ポンプ4によって排出される。
なお、ゼロレベル化工程は、後述する検知工程の直前まで継続して実行される。
被検体9をチャンバ10に収容した後、トレーサガス導入手段2から第1室11にトレーサガスを導入する(トレーサガス導入工程)。
また、開閉弁51を開く。これによって、第2室12が、圧縮路41、開閉弁51、直通路44、共通排気路49を順次介して真空ポンプ4と連通される。この真空ポンプ4によって、第2室12内のガスが上記経路41,51,44,49を経て排気される。これによって、第2室12の内圧が所要真空圧PC1まで減圧される(減圧工程)。このとき、真空ポンプ4は、第2室12を所要真空圧PC1まで減圧する減圧手段として機能する。開閉弁51の開時から第2室12が所要真空圧PC1に達するまでの減圧時間t0は、第2室12の容積及び真空ポンプ4の排気能力に依存する。真空ポンプ4として油回転ポンプ(ロータリーポンプ)を用いることで排気能力を十分に大きくでき、減圧時間t0を短縮できる。
第2室12の内圧が所要真空圧PC1に達した後も継続して、真空ポンプ4によって第2室12内からガスを圧縮路41の内部に引き込む(移送工程)。これに伴なって、空気導入部20aからの清浄空気の一部が、キャリア供給手段26の移送用供給路22を経て第2室12内に流入する。この流入空気は「キャリアガス」を構成する。キャリアガスの流量QC1は、第2室12の減圧状態(真空圧PC1)が維持される大きさであり、流量調節絞り25によって調節できる。これによって、第2室12内には、移送用供給路22との接続端(図1において左)から圧縮路41との接続端(図1において右)へ向かう気流が形成される。被検体9からトレーサガスの漏れが有った場合、このトレーサガスが第2室12に入ってキャリアガスと混ざるとともに、上記気流に乗って圧縮路41内に移送される。移送用供給路22と圧縮路41とをチャンバ10における一端部と他端部に離して接続し、かつチャンバ10の内面形状を被検体9の外形状に倣わせることによって、キャリアガス(空気)が被検体9の表面上を一端側から他端側へスムーズに流れるようにでき、漏れたトレーサガスを空気の流れに確実に乗せることができる。これによって、第2室12内でガスの滞留が起きるのを防止できる。
なお、開閉弁52の開タイミングは、第2室12が所要真空圧PCに達する前後(減圧工程の終期)であってもよく、移送工程の途中であってもよく、更には圧縮路41が被検ガスで満たされる前後(移送工程の終期)であってもよい。
第2室12の内圧が所要真空圧PC1(Pa abs)に達した以降の移送時間(移送工程の時間)tC1は、式4によって求められる。
ここで、VC1は、第2室12と圧縮路41の合計容積である。P0は、大気圧(101,325Pa abs)である。なお、実際の移送時間tC1は、式4による計算値から多少増減させてもよい。第2室12の減圧下で被検ガスの移送を行なうことによって、大気圧P0下で移送を行なうよりも移送時間を短縮できる(式2参照)。
上記の移送時間tC1の設定によって、圧縮路41のほぼ全体が被検ガスによって置換されたタイミングで開閉弁51を閉じることで、移送工程を終了できる。これによって、直通路44が閉止され、圧縮路41から直通路44を通って排出されるガスの流れが停止される。
開閉弁51を閉じた以降も、開閉弁52は開状態をしばらく維持することで、導出路43を開通させておき、圧縮路41、導入路42、導出路43を順次経て真空ポンプ4へ向かうガスの流れを継続して形成する。これによって、被検ガスを圧縮路41から導入路42に確実に引き込むことができる(遅延工程)。ひいては、被検ガスをセンサユニット30の近傍まで到達させることができる。
開閉弁52の閉操作とほぼ同時に開閉弁24を開き、圧縮用供給路23を開通する。これによって、ほぼ大気圧の清浄空気が、空気導入部20aから圧縮用供給路23を経て、第2室12に導入される(圧縮工程)。この清浄空気は、上記移送工程における清浄空気(キャリアガス)と比べて遙かに大流量であり、被検ガスに対する圧縮ガスとして作用する。以下、圧縮工程において第2室12に導入される清浄空気を適宜「圧縮ガス」と称す。清浄空気供給部20は、圧縮ガス導入手段として機能する。すなわち、清浄空気供給部20からの圧縮ガス(清浄空気)は、第2室12内の被検ガスを圧縮して圧縮路41へ押し出す。さらに、圧縮ガスは、圧縮路41に入り込むことで、圧縮路41内の被検ガスを圧縮路41の下流側へ向けて圧縮する。これによって、被検ガスが所要真空圧PCからほぼ大気圧P0まで昇圧される。被検ガスの体積は圧縮前のほぼ(P0/PC)分の1になる。
ここで、圧縮路41の流路断面積A41(内直径)を、圧縮工程の圧縮路41内において圧縮ガスと被検ガスとの混合が制限される大きさに設定しておく。つまりは、圧縮路41の内直径をなるべく小さくすることにより、圧縮路41内における圧縮ガスと被検ガスとの接触面積を小さくできる。したがって、これら圧縮ガス及び被検ガスどうしが、互いの接触面で拡散混合するのを制限できる。また、圧縮路41の内面を滑面にすることによって、圧縮路41内のガスの流れを層流若しくはそれに近い流れにすることができ、圧縮路41内で渦又は流れの乱れが起きるのを抑制又は防止できる。したがって、圧縮路41内において、圧縮ガス及び被検ガスどうしが、このような渦又は流れの乱れによって混合するのを制限できる。
さらに、圧縮ガスは、圧縮した被検ガスを圧縮路41から導入路42へ押し出しながら、自身も導入路42に入り込もうとする。圧縮された被検ガスは、導入路42に集められる。ここで、導入路42の流路断面積A42(内直径)を、圧縮工程の導入路42内において圧縮ガスと被検ガスとの混合が制限される大きさに設定しておく。つまりは、導入路42の内直径をなるべく小さくすることにより、導入路42内における圧縮ガスと被検ガスとの接触面積を小さくでき、導入路42内でこれら圧縮ガス及び被検ガスどうしが互いの接触面で拡散混合するのを制限できる。また、導入路42の内面を滑面にすることによって、導入路42内のガスの流れを層流若しくはそれに近い流れにすることができ、導入路42内で渦又は流れの乱れが起きるのを抑制又は防止できる。したがって、導入路42内において、圧縮ガス及び被検ガスどうしが、このような渦又は流れの乱れによって混合するのを制限できる。これによって、被検ガス中の検査成分の濃度が低下するのを確実に抑制できる。
次に、開閉弁54を開く。これによって、センサ引込路37が開通し、導入路42の被検ガスが接続路33に引き込まれる(センサ引込工程)。続いて、開閉弁54を閉じてセンサ引込路37を閉止する。開閉弁54を開いている時間(センサ引込時間)t4は、十分短時間であり、例えば0.1秒以下〜1秒程度である。
開閉弁54の閉操作(センサ引込路37の閉止)とほぼ同時に、三方弁53を第2位置(ソレノイド・オン)に切り替える。これによって、センサ用空気供給路21が半導体ガスセンサ31から遮断(ゼロレベル化工程の停止)されるとともに、導入路42が、接続口30b、接続路33、三方弁53、センサ路36を順次介して半導体ガスセンサ31に連なり、更に接続口30c、センサ排出路48を順次介して真空ポンプ4に連なる。これによって、導入路42の被検ガスが半導体ガスセンサ31に供給され、被検ガス中の水素濃度を半導体ガスセンサ31によって検知できる。上述したように、圧縮工程において、圧縮路41及び導入路42内での圧縮ガスと被検ガスとの混合を制限することによって、被検ガス中の検査成分の濃度が低下するのを抑制できるから、検査成分の検知感度を十分に確保できる。この検知結果に応じて、被検体9からの漏れを判定でき、被検体9の良否判定を行なうことができる。
ここで、半導体ガスセンサ31が水素検知を行なうのに必要な被検ガスの大気圧P0における所要体積をV31とすると、圧縮路41の容積V41が、上記所要体積V31を所要真空圧PCでの体積(上記減圧時の値)に換算した換算体積V31’以上になるように設定しておく(式5)。
言い換えると、圧縮路41の流路断面積A41及び長さL41を、A41×L41=V41≧V31’となるように設定しておく。これによって、上記移送工程において、所要真空圧PCの被検ガスを体積V31’以上、圧縮路41に引き込んで収容しておくことができる。圧縮路41の流路断面積A41を制限し、かつ検知に必要なガス量に対応する体積V31’を確保するには、圧縮路41の長さL41を長くする必要があるが、圧縮路41の内面を滑面にしておくことで、圧縮路41が長くても、圧縮路41内において圧縮ガス及び被検ガスどうしの混合が起きるのを抑制でき、ひいては検知感度を良好に維持できる。
また、導入路42の容積V42は、上記所要体積V31以上になるように設定しておく(V42≧V31)。つまり、導入路42の流路断面積A42及び長さL42を、A42×L42=V42≧V31となるように設定しておく。これによって、圧縮工程において、導入路42にほぼ大気圧の被検ガスを所要体積V31以上収容することができる。これによって、検知工程において、所要体積V31以上の被検ガスを半導体ガスセンサ31に確実に供給でき、水素検知を確実に行なうことができる。導入路42の流路断面積A42制限し、かつ検知に必要なガス量に対応する体積V31を確保するには、導入路42の長さL42を長くする必要があるが、導入路42の内面を滑面にしておくことで、導入路42が長くても、導入路42内において圧縮ガス及び被検ガスどうしの混合が起きるのを抑制でき、ひいては検知感度を良好に維持できる。
すなわち、被検ガスは、真空ポンプ4に導入される前に、半導体ガスセンサ31において水素検知される。したがって、例えば、真空ポンプ4として油回転ポンプを用いることで、被検ガス中の水素が真空ポンプ4の回転体のシール用の油に溶け込んで残留したとしも、それによって半導体ガスセンサ31の検知結果に影響が及ぶことはなく、漏れ試験の信頼性が損なわれることがない。そして、真空ポンプ4として油回転ポンプを用いることで、減圧工程において第2室12を高真空にでき、移送工程における移送時間tC1を確実に短縮できる。また、真空ポンプ4は比較的安価であるから、設備コストを低減できる。
また、半導体ガスセンサ31が真空ポンプ4の上流側に配置されているから、真空ポンプ4としてダイヤフラムポンプのような出口で脈動を起こすポンプを用いたとしても、半導体ガスセンサ31が上記脈動の影響を受けることはない。
さらに、真空ポンプ4内の昇圧後の内部容積が移送時間tC1に影響することもなく、上記内部容積によって移送時間のロスが生じることはない。
よって、漏れ試験装置1によれば、真空ポンプ4(減圧手段又は引込手段)として種々の種類のポンプを採用することができる。
図2に示すように、三方弁53を第2位置(ソレノイド・オン)にしておく時間(検知時間)t5は、その時間t5内に所要体積V31の被検ガスを半導体ガスセンサ31に供給しきれるように設定する。例えば、検知時間t5は、数秒〜数十秒である。上記検知時間t5の経過後、三方弁53を第2位置から第1位置(ソレノイド・オフ)に切り替える。これによって、検知工程が終了し、接続路33ひいては導入路42がセンサ路36から遮断されるとともに、接続路32ひいてはセンサ用空気供給路21がセンサ路36と連通される。したがって、空気導入部20aからの清浄空気が、半導体ガスセンサ31へ供給され、ゼロレベル化工程が再開される。これによって、半導体ガスセンサ31の吸着酸素量を飽和値まで戻すことで、水素感知能力を十分に高めておくことができる。
なお、圧縮ガス導入手段27の開閉弁24は、上記圧縮工程の開始以降、検知工程まで開いておく。したがって、圧縮工程〜検知工程におけるガス経路23,12,41,42,33,36,31,34,48,49は、ほぼ大気圧になっている。検知工程の終了時に開閉弁24を閉じる。
図3及び図4は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態は、開閉弁51及び路41〜44等の接続構造の具体形態に係る。図3に示すように、開閉弁51には接続ブロック60が固定されている。接続ブロック60には、導入接続路61と、導出接続路62とが形成されている。導入接続路61の上流端が、接続ブロック60の一側面(図3において上面)に達して圧縮路41と接続されている。導出接続路62の下流端は、接続ブロック60の他側面(図3において下面)に達して直通路44と接続され、ひいては直通路44を介して真空ポンプ4に接続されている。
なお、開閉弁51,52を開くタイミング(移送工程の開始時)は、開閉弁55の開時(減圧工程の開始時)とほぼ同時であってもよく、開閉弁55を閉じる前(減圧工程の途中)であってもよい。
例えば、漏れ試験装置1の回路構成は適宜変更可能である。
圧縮路41の流路断面積(内直径)及び長さは、圧縮ガスの供給流量、半導体ガスセンサ31による検知のための所要体積等によって好適な数値範囲が変わり得る。
また、導入路42の流路断面積(内直径)及び長さは、圧縮ガスの導入流量、半導体ガスセンサ31による検知のための所要体積等によって好適な数値範囲が変わり得る。
圧縮路41が、金属等のブロック内に形成した通路によって構成されていてもよい。導入路42が、金属等のブロック内に形成した通路によって構成されていてもよい。
チャンバ残空間が第1室を構成し、被検体9の内部空間が第2室を構成していてもよい。チャンバ残空間にトレーサガスを導入し、被検体9の内部空間のガスを被検ガスとして圧縮路41に移送してもよい。
移送工程で被検ガスが導入路42に十分引き込まれる場合は、遅延工程を省略してもよい。
減圧手段としての真空ポンプと、引込手段としての真空ポンプとが互いに別の真空ポンプであってもよい。第3実施形態において、引込用真空ポンプ4とは別の減圧用真空ポンプを減圧路45に接続してもよい。
トレーサガスの検査成分として、水素に代えてヘリウム(He)等を用いてもよい。また、希釈成分として空気を用いてもよい。検査成分によっては希釈成分を省略してもよい。検知手段は、検査成分に応じて選択される。
被検ガスの圧縮手段として、圧縮ガスに代えて、シリンダ及びピストン等の物理的圧縮手段(真空ポンプを除く)を用いてもよい。例えば、チャンバ10とセンサユニット30との間に圧縮管41に代えてシリンダを設け、第2室12からの低圧PC1の被検ガスをシリンダ内に導き、ピストンによってほぼ大気圧P0まで物理的に圧縮することにしてもよい。
第1実施形態(図1)の漏れ試験装置1と実質的に同一回路の漏れ試験装置を用いた。この漏れ試験装置の開閉弁51及び各路41〜44,48ならびにセンサユニット30の接続構造は、第2実施形態(図3〜図4)と同様であった。
装置の各要素の仕様及び実験条件等は以下の通り。
第2室12の容積 1000 mL
所要真空圧PC1 270 Pa abs
大気圧との比(PC1/P0) 1/375
圧縮路41
材質及び構造 ナイロンチューブ
容積V41 1360 mL
内直径 12 mm
長さ 12 m
構成
導入路42
材質及び構造 ナイロンチューブ
容積V42 3.4 mL
内径 2.5mm
長さ 700 mm
キャリアガス(清浄空気)流量QC1 10 mL/min (at 1atm)
トレーサガス
組成 H2 5% N2 95%
疑似漏れ流量 約4.59×10-6 Pa・m3/sec
減圧時間t0 15 sec(実測により決定)
移送時間tC1 38 sec(式4から計算)
遅延時間t2 10 sec
圧縮時間t3 15 sec(実測により決定)
センサ引込時間t4 1 sec
検知時間t5 30 sec
センサ31における被検ガス所要量
所要流量 20 mL/min(at 1atm)
所要時間 10 sec
所要体積V31 3.3 mL(at 1atm)
換算体積V31’(圧縮路41の必要容積) 1237 mL
なお、センサ31における被検ガスの測定に要する所要時間が10secであるのに対し、検知時間t5を30secとしたのは、被検ガスの濃度減衰を実験で確認するためである。
実験の結果を図6に示す。
同図から明らかな通り、疑似漏れを起こした場合は検知工程においてセンサ出力(電圧)が明瞭に変化した。このセンサ出力は、上記の疑似漏れ流量に対する計算値(電圧)に比べ約40%ではあったが、本発明によって漏れを検知できることが確認された。
したがって、回路構成や工程時間を適宜設定することにより、感度をより改善できると考えられる。
2 トレーサガス導入手段
4 真空ポンプ(減圧手段、引込手段)
9 被検体
10 チャンバ(収容部)
11 第1室
12 第2室
26 キャリア供給手段
27 圧縮ガス導入手段
31 半導体ガスセンサ(検知手段)
42 導入路
43 導出路
44 直通路
50 流路制御手段
Claims (12)
- 検査成分を含むトレーサガスを用いて被検体を漏れ試験する漏れ試験方法において、
前記被検体を収容部に収容する収容工程と、
前記被検体の内部又は前記被検体及び前記収容部の間によって画成された第1室及び第2室のうち第1室に前記トレーサガスを導入するトレーサガス導入工程と、
前記第2室を減圧する減圧工程と、
前記検査成分を実質的に含まないキャリアガスを前記第2室に前記減圧状態を維持する流量で供給しながら、前記第2室から延びる圧縮路の内部に前記第2室からガス(以下「被検ガス」と称す)を引き込む移送工程と、
前記キャリアガスより高圧かつ大流量の圧縮ガスを前記移送工程後の第2室ひいては前記圧縮路に導入し、前記圧縮ガスによって前記被検ガスを前記圧縮路の下流側へ圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮路に接続された検知手段によって前記圧縮された被検ガス中の前記検査成分を検知する検知工程と、
を備えたことを特徴とする漏れ試験方法。 - 前記圧縮路の流路断面積の設定によって、前記圧縮工程における前記圧縮路において、前記圧縮ガスと前記被検ガスとの混合を制限することを特徴とする請求項1に記載の漏れ試験方法。
- 前記圧縮工程において、前記被検ガスを圧縮して前記圧縮路から前記検知手段へ延びる導入路に集め、
前記検知工程において、前記圧縮した被検ガスを前記導入路から前記検知手段に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の漏れ試験方法。 - 前記導入路の流路断面積の設定によって、前記圧縮工程における前記導入路において、前記圧縮ガスと前記被検ガスとの混合を制限することを特徴とする請求項3に記載の漏れ試験方法。
- 前記圧縮工程において、前記圧縮ガスとしてほぼ大気圧の空気を前記第2室ひいては前記圧縮路に導入することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の漏れ試験方法。
- 検査成分を含むトレーサガスを用いて被検体を漏れ試験する漏れ試験装置において、
前記被検体を収容する収容部と、
前記被検体の内部又は前記被検体及び前記収容部の間によって画成された第1室及び第2室のうち第1室に前記トレーサガスを導入するトレーサガス導入手段と、
前記第2室を減圧する減圧手段と、
前記第2室から延びる圧縮路と、
前記検査成分を実質的に含まないキャリアガスを前記第2室に前記減圧状態を維持する流量で供給するキャリア供給手段と、
前記圧縮路に接続され、前記キャリアガスの供給と併行して、前記第2室からガス(以下「被検ガス」と称す)を前記圧縮路の内部に引き込む引込手段と、
前記被検ガスを前記圧縮路の下流側へ圧縮するための圧縮ガスを、前記キャリアガスより高圧かつ大流量で、前記引き込み後の第2室ひいては前記圧縮路に導入する圧縮ガス導入手段と、
前記引込手段を介さずに前記圧縮路と接続され、前記圧縮された被検ガス中の前記検査成分を検知する検知手段と、
を備えたことを特徴とする漏れ試験装置。 - 前記圧縮路が、前記圧縮された被検ガスの前記検知に要する所要体積を前記減圧時の値に換算した換算体積以上の容積を有していることを特徴とする請求項6に記載の漏れ試験装置。
- 前記圧縮路から前記検知手段へ延びる導入路と、
前記導入路から前記検知手段を介さずに前記引込手段へ延びる導出路と、
前記圧縮路から、前記導入路及び前記導出路ならびに前記検知手段を介さずに前記引込手段へ延びる直通路と、
前記引き込み時に前記圧縮路を前記直通路と前記導入路及び導出路とを介して前記引込手段に連ね、前記圧縮時に前記直通路及び前記導出路を閉止し、前記検知時に前記導入路と前記検知手段とを連通させる流路制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の漏れ試験装置。 - 前記流路制御手段が、前記引き込みの終期において前記直通路を閉止し、この閉止時から遅延時間が経過した後、前記導出路を閉止することを特徴とする請求項8に記載の漏れ試験装置。
- 前記検査成分が水素であり、前記検知手段が吸着酸素と水素との反応によって水素を検知する半導体ガスセンサであり、
さらに、前記半導体ガスセンサに空気を供給するセンサ用空気供給路を備え、
前記流路制御手段が、前記検知の直前まで前記センサ用空気供給路を前記半導体ガスセンサに連ね、前記検知開始時に前記センサ用空気供給路を前記半導体ガスセンサから遮断するとともに前記導入路を前記半導体ガスセンサに連ねることを特徴とする請求項8又は9に記載の漏れ試験装置。 - 前記導入路の流路断面積が、前記圧縮路の流路断面積より小さいことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の漏れ試験装置。
- 前記圧縮路が、前記圧縮された被検ガスの前記検知に要する所要体積を前記減圧時の値に換算した換算体積以上の容積を有し、かつ前記導入路が、前記所要体積以上の容積を有していることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の漏れ試験装置。
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