JP6218915B1 - 美容組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒアルロン酸合成促進用組成物として利用することのできるセラミドを含有する組成物を提供することを目的とする。【解決手段】セラミドを含有することを特徴とするヒアルロン酸合成促進用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒアルロン酸合成促進用組成物に関する。
セラミドは、表皮の中でも、最も外側に位置する角質層における角質間細胞脂質の主要成分である。具体的には、セラミドは、皮膚の最外層を覆う角層細胞間脂質の主成分として特異的に存在し、皮膚本来が持つ生体と外界とのバリア膜としての機能維持に重要な役割を果たしている。角層の構造はレンガとモルタルに例えられ、約15層の積み重なった角層細胞を細胞間脂質が繋ぎ止める形で強固なバリア膜を形成している。角質細胞間脂質は、約50%のセラミドを主成分とし、コレステロール、脂肪酸等の両親媒性脂質から構成されており、疎水性部分と親水性部分が交互に繰り返される層板構造、いわゆるラメラ構造を特徴としている。
セラミドは、例えば、蒟蒻芋由来のグルコシルセラミドを含有する表皮細胞増殖促進剤及び皮膚外用剤(特許文献1)、セラミド又はその誘導体を含有する抗アレルギー剤(特許文献2)等として利用できることが知られている。
一方、ヒアルロン酸は、皮膚における表皮及び真皮、軟骨、関節液などに存在する高分子多糖類であり、組織内にゼリー状のマトリックスを形成することに基づく細胞の保持、組織の潤滑性と柔軟性の保持などの機能を有している。
生体内におけるヒアルロン酸の量は、ストレス、紫外線、加齢等により減少する。皮膚中のヒアルロン酸の減少は、皮膚のハリの衰え、弾性の低下、皺など、皮膚の不調の原因となるほか、関節の機能異常等に関係することが知られている。ヒアルロン酸が減少する直接的な原因としては、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸分解酵素)や紫外線によるヒアルロン酸の分解、生体内のヒアルロン酸の産生量の減少が挙げられる。このため、皮膚の不調や関節の異常等の症状の予防、抑制、改善又は正常化のためには、生体内におけるヒアルロン酸量の減少抑制、又は、ヒアルロン酸の補填が必要である。
ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸合成酵素により生成される。哺乳類のヒアルロン酸合成酵素としては、Has1、Has2及びHas3が存在することが知られている。特に、Has2はヒトの真皮における主要なヒアルロン酸合成酵素であり、保湿力の高い高分子ヒアルロン酸の合成に関与するといわれている。
ヒアルロン酸合成促進作用を有するものとしては、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩(特許文献3)、乳塩基性タンパク質画分及び/又は乳塩基性タンパク質画分分解物(特許文献4)、卵殻膜(特許文献5)等が知られているが、セラミドを含有する組成物によるヒアルロン酸合成促進作用については知られていない。
特開2011−195550号公報 特開2003−155231号公報 特開2013−180989号公報 特開2013−234129号公報 特開2014−40402号公報
本発明は、植物由来のセラミドを含有するヒアルロン酸合成促進用組成物を提供することを目的とする。
本出願人は、上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、セラミドを含有する組成物は優れたヒアルロン酸合成促進効果を有することを見出し、本発明に至った。
本発明の概要は、以下の通りである。
<1>植物由来のセラミドを含有することを特徴とするヒアルロン酸合成促進用組成物。
<2>植物由来のセラミドを含有することを特徴とするヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進用組成物。
<3>ヒアルロン酸合成酵素がHas2である、<2>に記載の遺伝子発現促進用組成物。
<4>前記組成物が飲食用組成物であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の組成物。
<5>前記組成物が粉末状であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の組成物。
本発明によれば、植物由来のセラミドを含有することにより、ヒアルロン酸の合成を促進することができる。
実施例1〜3及び比較例1,2のHas2をコードするmRNA発現量の発現率を示す図である。 実施例2,4及び比較例1のHas2をコードするmRNA発現量の発現率を示す図である。 実施例3,5及び比較例2のHas2をコードするmRNA発現量の発現率を示す図である。
以下、本発明の組成物について説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
セラミドは、スフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。セラミドは、天然又は合成のセラミドが知られており、角質層の機能低下の改善等を目的とした美容用途の他、医薬用途等の様々な用途で用いられている。
本発明の組成物に用いる植物由来のセラミドは、植物を原料とし、経口摂取可能なものであれば特に限定されないが、グルコシルセラミドを主成分とするものが好ましい。本発明においては、セラミドを含有する植物を破砕・粉砕等の処理を行った加工物を直接用いても良く、また、それらを分離・抽出等の方法で得たものを用いても良い。原料からのセラミドの抽出・分離方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。抽出方法としては、例えば、エタノール、水、含水エタノール等の当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出する方法等を挙げることができる。また、原料からセラミドを得るための破砕・粉砕処理方法は、特に限定されず、湿式・乾式どちらでも良く、粉砕条件、処理装置も特に限定されず、市販の装置等を適宜使用することができる。使用する装置としては、例えば、高圧ホモジェナイザー、超音波粉砕機、気流式粉砕機、高速回転衝撃粉砕機、ボールミル又はビーズミル等が挙げられる。これらの処理は、加工物の粒径等の物性が好ましい範囲内になるよう、必要に応じて複数回繰り返しても良く、複数の処理を組み合わせても良い。本発明においては、植物由来のセラミドの中でも、米由来のセラミドが特に好ましい。本発明の組成物に配合されるセラミドの含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて広範囲でその含有量を適宜設定でき、例えば、0.00001〜50質量%、好ましくは0.00005〜30質量%、より好ましくは0.0001〜10質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%の範囲で選択される。
本発明の組成物は、目的に応じて適宜摂取することができ、その摂取方法、摂取量、摂取回数、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はされない。また、摂取対象個体の年齢、体重、体質等、様々な要因や目的に応じて適宜選択することができる。本発明の組成物は経口用として使用することができ、その場合は健康食品等の飲食用組成物として使用することが好ましい。具体的には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、健康補助食品(サプリメント含む)、美容食品等が挙げられる。
本発明の組成物には、セラミド以外に、その他の成分を含有しても良い。前記のその他の成分としては、例えば、タンパク質、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維等の食物繊維、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、ミネラル類、植物又は植物加工品、藻類、乳酸菌、酵母等の微生物等を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、でんぷん等の糖類、オリゴ糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、賦形剤、ビタミン類、栄養補助剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物を摂取する際の形状も特に限定されない。具体的な形状としては、例えば、粉や顆粒、細粒等の粉末状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の形状が挙げられる。
本発明の組成物は粉末状(粉末、顆粒、細粒などの粉の形態)であって、水と混合した混合物を経口的に使用する形態であると、セラミドの加工が容易であり、カプセルや錠剤等と異なり1度に多くの組成物を摂取することが可能となるとともに、組成物としての安定性にも優れ、腐敗を防ぎ長期保存に適することから好ましい。また本発明の組成物が粉末状やタブレット状などの固体の形態である場合、上述したように、これを水と混合して液状体となし、経口的に使用することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口的に使用してもよい。
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進作用>
下記表1に記載の被験物質を用いて、ヒアルロン酸合成酵素であるHas2の遺伝子発現促進作用を確認した。なお、セラミドは米由来のセラミドを使用した。
10%FBS−DMEM培地を用いて、正常ヒト皮膚維芽細胞(Fibrocell社
製、製品番号KF−4109)を37℃、5%CO2の条件下にてインキュベーター内で
培養した。トリプシン−EDTA処理により浮遊させた細胞を、コラーゲンコートした2
4well plateに、5.0×104cells/wellとなるように500μ
Lずつ播種し、37℃、5%CO2の条件下にてインキュベーター内で24時間培養した
。培養後、培地を除去し、被験物質含有培地を500μL添加し、37度、5%CO2の
条件下にてインキュベーター内で24時間培養した。培養後、培養上清を除去し、PBS
500μL/wellを用いて2回洗浄した後、RNA抽出キット(RNeasy m
ini kit:QIAGEN社製)を用い細胞からRNAを回収し、RNAを逆転写反
応キット(Quantitect Reverse Transcription Ki
t:QIAGEN社製)を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAを10倍希釈し
、得られたcDNAを用いて、ヒアルロン酸合成酵素であるHas2のmRNA発現量を
測定した。mRNAの発現量は、被験物質を含まない培地のmRNA発現量に対する比と
して、以下の計算式から算出した。

発現量=(被験物質を含む培地のmRNA発現量)/(被験物質を含まない培地のmRN
A発現量)
図1より、Has2の遺伝子発現促進作用が知られているヒアルロン酸を被験物質として使用した比較例1、2では、1.039〜1.110であり、Has2の遺伝子発現促進作用は、コントロールと同程度であった。一方、被験物質としてセラミドのみを使用した実施例1〜3では、Has2の遺伝子発現量は1.290〜1.548であり、コントロールのみでなく、ヒアルロン酸と比較しても高いHas2の遺伝子発現促進作用が得られることがわかった。また、図2、3より、セラミドとヒアルロン酸を併用した実施例4、5は、ヒアルロン酸とセラミドの合計量と同量のヒアルロン酸を使用した場合(比較例1、2)と比較して、高いHas2の遺伝子発現促進作用が得られるのみでなく、ヒアルロン酸とセラミドの合計量と同量のセラミドを使用した場合(実施例2、3)と比較してもさらに高いHas2の遺伝子発現促進作用が得られることがわかった。
以上のことから、セラミドはヒアルロン酸と比較して少量でもHas2の遺伝子発現を促進するものであり、さらにセラミドをヒアルロン酸と組み合わせることで、Has2の遺伝子発現を相乗的に促進することが確認された。これにより、セラミドを含有する本願発明の組成物は、優れたヒアルロン酸合成促進作用を有することが示唆された。
本発明によれば、セラミドを含有することにより、Has2の遺伝子発現が促進されるため、ヒアルロン酸合成促進用組成物として使用することができる。

Claims (2)

  1. セラミドを含有するヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進用組成物であって、ヒアルロン酸を含有しないことを特徴とする組成物
  2. セラミドを含有するヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進用組成物であって、前記ヒアルロン酸合成酵素がHas2であることを特徴とする組成物
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