JP6216968B2 - ガス生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光触媒を用いて水から水素ガスと酸素ガスとの少なくとも一方を生成するガス生成装置に関するものである。
光触媒(例えば、酸化チタン(TiO)や酸化タングステン(WO)等の酸化物半導体)を用いて、水から水素ガスと酸素ガスとを生成する技術が知られている。例えば、光触媒層を有する電極と、Pt金属板からなる電極と、を備える水素生成装置が提案されている。光触媒層を有する電極で、酸素ガスが生成される。Pt金属板からなる電極で、水素ガスが生成される。
特開2003−238104号公報
ところで、光触媒を含む電極の構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、透明な基板(例えば、ガラス板)に、光触媒を含む電極を固定する構成を採用可能である。そのような構成を採用すれば、光触媒に照射される光量が小さくなることを抑制できる。ところが、従来は、そのような構成を採用すると、不具合が発生する場合があった。例えば、ガス生成装置を組み立てる際に、透明基板が破損する場合があった。
本発明の主な利点は、光触媒を含む電極が固定された透明基板を用いる場合の不具合の可能性を低減することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[態様]
水を含む電解液から光触媒を用いて水素ガスと酸素ガスとを生成するガス生成装置であって、
第1電極と、
電解液と前記第1電極を収容するための第1室を形成する第1室形成部と、
第2電極と、
前記電解液と前記第2電極を収容するための第2室を形成する第2室形成部と、
前記第1室と前記第2室との間を仕切り、前記水素ガスと前記酸素ガスとを分離する分離膜と、
前記第1室形成部と前記第2室形成部との間に前記分離膜が配置された状態で、前記第1室形成部と前記第2室形成部とを、互いに向かい合う方向に締め付けることによって固定する固定部材と、
を備え、
前記第2電極は、
光触媒と、
前記光触媒と接触する部分である接触部分を含む導電部と、
を含み、
前記第2室形成部は、
前記第2電極が固定された面であって前記第2室の内側に配置される面である内面を備える透明基板と、
前記第2室の内部と外部とを隔てる壁であって、前記透明基板の縁を囲むことによって前記透明基板を支持する壁である支持壁と、
を含み、
前記支持壁は、前記固定部材による締結力を受けることによって、固定され、
前記透明基板は、前記第2室形成部のうちの前記支持壁以外の部分とは接触せずに、前記支持壁によって支持される、
ガス生成装置。
[適用例1]
水を含む電解液から光触媒を用いて水素ガスと酸素ガスとを生成するガス生成装置であって、
第1電極と、
電解液と前記第1電極を収容するための第1室を形成する第1室形成部と、
第2電極と、
前記電解液と前記第2電極を収容するための第2室を形成する第2室形成部と、
を備え、
前記第2電極は、
光触媒と、
前記光触媒と接触する部分である接触部分を含む導電部と、
を含み、
前記第2室形成部は、
前記第2電極が固定された面であって前記第2室の内側に配置される面である内面を備える透明基板と、
前記第2室の内部と外部とを隔てる壁であって、前記透明基板の縁を囲むことによって前記透明基板を支持する壁である支持壁と、
を含む、
ガス生成装置。
この構成によれば、支持壁が、第2電極が固定された透明基板の縁を囲むことによって透明基板を支持するので、第2電極が固定された透明基板を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。例えば、透明基板の破損の可能性を低減できる。
[適用例2]
適用例1に記載のガス生成装置であって、
前記導電部は、
前記接触部分を含む部分であって、前記透明基板の前記内面側に配置された部分である内導電部分と、
前記内導電部分に電気的に接続された部分であって、前記第2室の内側から、前記透明基板と前記支持壁との間を通り抜けて、前記第2室の外側に至るリード部分と、
を含む、ガス生成装置。
この構成によれば、第2電極と外部の電気回路(例えば、電源)とを接続するための複雑な構成(例えば、Oリングでシールされた端子等)を用いずに済むので、第2電極が固定された透明基板を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。
[適用例3]
適用例2に記載のガス生成装置であって、
前記内導電部分は、集電線を含み、
前記ガス生成装置は、さらに、前記内導電部分の前記集電線を被覆する被覆部を備える、
ガス生成装置。
この構成によれば、内導電部分の集電線を通じて電流を流すことができ、さらに、集電線が電解液によって腐食することを被覆部によって抑制できるので、第2電極が固定された透明基板を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかに記載のガス生成装置であって、さらに、
前記第1室と前記第2室との間を仕切り、前記水素ガスと前記酸素ガスとを分離する分離膜と、
前記第1室形成部と前記第2室形成部との間に前記分離膜が配置された状態で、前記第1室形成部と前記第2室形成部とを、互いに向かい合う方向に締め付けることによって固定する固定部材と、
を備え、
前記支持壁は、前記固定部材による締結力を受けることによって、固定され、
前記透明基板は、前記第2室形成部のうちの前記支持壁以外の部分とは接触せずに、前記支持壁によって支持される、
ガス生成装置。
この構成によれば、固定部材による締結力が透明基板に印加されることを抑制できるので、第2電極が固定された透明基板を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガス生成装置用の電極、その電極を備えるガス生成装置、そのガス生成装置と燃料電池とを備える発電システム、等の態様で実現することができる。
本発明の一実施例としてのガス生成システムの概略図である。 ガス生成装置800の構成を示す断面図である。 ガス生成装置800の分解断面図である。 ガス生成装置800の分解斜視図である。 第2電極320の概略図である。 第2電極320が固定されたガラス板125を第2壁部材130に固定する方法の例を示す概略図である。 第2電極320が固定されたガラス板125を第2壁部材130に固定する方法の別の例を示す概略図である。
A.第1実施例:
A1.ガス生成装置の概要:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としてのガス生成システムの概略図である。ガス生成システム900は、水の電気分解によって水素ガスと酸素ガスとを生成する。ガス生成システム900は、ガス生成装置800と、直流電源400と、電解液供給装置500と、を備えている。
ガス生成装置800は、水素ガスが生成される第1室210を形成する部材(詳細は後述)と、第1室210に収容される第1電極310と、酸素ガスが生成される第2室220を形成する部材(詳細は後述)と、第2室220に収容される第2電極320と、第1室210と第2室220との間を仕切る分離膜330と、を備えている。
直流電源400は、2つの電極310、320の間にバイアス電圧を印加する。第1電極310には、直流電源400の負極が接続され、第2電極320には、直流電源400の正極が接続されている。
電解液供給装置500は、2つの室210、220に、水を含む電解液を供給する。電解液供給装置500は、第1供給路510を介して第1室210に接続され、第2供給路520を介して第2室220に接続されている。水を含む電解液としては、プロトン(H。水素イオンとも呼ばれる)の伝導を許容するNaSOの水溶液が用いられる。ただし、電解液としては、プロトン(H)の伝導を許容する他の電解液(例えば、NaHCOの水溶液)を採用してもよい。
2つの室210、220の間を仕切る分離膜330は、ガスの通過を制限する膜であり、第1電極310によって生成された水素ガスが第2室220に移動することと、第2電極320によって生成された酸素ガスが第1室210に移動することを、制限している。これにより、生成された水素ガスと酸素ガスとが分離され、それらのガスの混合が抑制される。また、分離膜330は、プロトン(H)の伝導性を有している。本実施例では、このような分離膜330として、スルホン酸基を含むフッ素系樹脂(例えば、ナフィオン(デュポン社の商標))の膜が用いられている。このようなフッ素系樹脂の膜は、電解質膜とも呼ばれる。
第1電極310は、導電性材料(ここでは、ステンレス鋼)を用いて構成されている。第2電極320は、光を用いて水の電気分解を促進する光触媒としての酸化タングステン(WO)を含む導電性材料を用いて構成されている。第2電極320に太陽光等の光が照射されると、光触媒の作用により、水(HO)から、酸素ガス(O)と、プロトン(H)とが生成され、そして、電子(e)が、第2電極320に生じる。
酸素ガスは、第2室220に接続された第2ガス流路420を通じて、第2室220の外に排出される。排出された酸素ガスは、図示しない酸素タンクに貯留される。ただし、酸素ガスを、貯留せずに、所定の空間(例えば、大気中)に解放してもよい。第2電極320に生じた電子(e)は、直流電源400に移動し、直流電源400から第1電極310へ電子(e)が供給される。プロトン(H)は、分離膜330を通り抜けて、第1室210に移動する。
第1室210に移動したプロトン(H)は、第1電極310で電子(e)と結合して、水素ガス(H)を生成する。生成された水素ガス(H)は、第1室210に接続された第1ガス流路410を通じて、第1室210の外に排出される。排出された水素ガス(H)は、例えば、図示しない水素タンクに貯留される。また、水素ガスが、図示しない燃料電池に供給されてもよい。
A2.ガス生成装置の詳細:
図2は、ガス生成装置800の構成を示す断面図であり、図3はガス生成装置800の分解断面図であり、図4は、ガス生成装置800の分解斜視図である。図中には、互いに直交する3つの方向Dx、Dy、Dzが示されている。図2と図3とは、第2方向Dyと直交する断面図であり、図4(A)に示すA−A断面である。図4(A)と図4(B)との間では、観察する方向が互いに逆方向である。以下、第1方向Dxを「+Dx方向」とも呼び、第1方向Dxの反対方向を「−Dx方向」とも呼ぶ。また、+Dx方向側を、単に「+Dx側」とも呼び、−Dx方向側を、単に「−Dx側」とも呼ぶ。「+Dy方向」と「−Dy方向」と「+Dy側」と「−Dy側」と「+Dz方向」と「−Dz方向」と「+Dz側」と「−Dz側」とについても、同様である。
A2−1.第1室:
図2に示すように、第1室210は、容器110と分離膜330とによって形成される空間である。以下、容器110を、「第1室形成部110」とも呼ぶ。容器110は、−Dz方向を向いた開口111と、開口111に連通する凹部である収容室112と、を有する有底の容器である。
図2、図3に示すように、容器110は、収容室112の+Dx側に形成されて+Dx方向に沿って延びる貫通孔113を有している。貫通孔113は、収容室112と容器110の外部とを連通する。以下、貫通孔113が収容室112から外部に向かって延びる方向(ここでは、第1方向Dx)を、「挿入方向Dx」とも呼ぶ。なお、容器110は、絶縁性材料(例えば、樹脂)を用いて単一の部材として形成されている。
図3、図4(B)に示すように、第1電極310は、多数の孔が形成されたメッシュ状の部分311(「メッシュ部分311」と呼ぶ)と、メッシュ部分311の+Dx側の端部に固定されたバスバー313と、バスバー313に固定されて+Dx方向に向かって突出する端子314と、含んでいる。図4(B)に示すように、メッシュ部分311は、第1方向Dxと平行なライン状の端と、第2方向Dyと平行なライン状の端と、を有する略矩形状のプレートであり、第3方向Dzと直交するように配置されている。第1電極310の各部311、313、314は、いずれも、ステンレス鋼を用いて形成されている。各部311、313、314を互いに固定する方法としては、例えば、溶接を採用可能である。
図2に示すように、第1電極310の端子314は、収容室112内(すなわち、容器110内)から、容器110の貫通孔113に挿入されている。端子314と貫通孔113との間は、Oリング315によって、シールされている。Oリング315は、弾性材料(例えば、ゴム)を用いて形成されている。貫通孔113は、端子314が貫通孔113に挿入されることによって、第1電極310を支持している。
図4(B)に示すように、容器110の−Dz側の端面には、開口111を囲むループ状の溝118が形成されている。この溝118には、第1シール部材391が嵌め込まれる(図2)。第1シール部材391の−Dz側(すなわち、容器110の−Dz側)には、分離膜330が配置されている。分離膜330は、容器110の開口111を塞いでいる。分離膜330と容器110との間は、第1シール部材391によってシールされている。第1シール部材391は、弾性材料(例えば、ゴム)を用いて形成されている。
A2−2.第2室:
図2に示すように、第2室220は、第2室形成部140と分離膜330とによって形成される空間である。第2室形成部140は、第1壁部材120と、第1壁部材120の−Dz側に配置される第2壁部材130と、第2壁部材130に圧入されたガラス板125と、を含んでいる。これらの部材120、125、130は、それぞれ、第2室220の内部と外部とを隔てる壁である。
図4に示すように、第1壁部材120は、第3方向Dzに沿って延びる貫通孔122を有するループ状の部材である。なお、第1壁部材120は、絶縁性材料(例えば、樹脂)を用いて形成されている。
図4に示すように、第2壁部材130は、第3方向Dzに沿って延びる貫通孔132を有するループ状の部材である。図3、図4(B)に示すように、第3方向Dzを向いて観察した場合、貫通孔132の形状は、略矩形状である。図2に示すように、貫通孔132には、ガラス板125が圧入されている。ガラス板125の+Dz側の面には、第2電極320が固定されている。第2電極320の詳細については、後述する。なお、第2壁部材130は、絶縁性材料(例えば、樹脂)を用いて形成されている。
図3、図4に示すように、第1壁部材120の−Dz側の端面には、貫通孔122を囲むループ状の溝127が形成されている。この溝127には、ループ状の第3シール部材393が嵌め込まれる。第3シール部材393は、第1壁部材120と第2壁部材130との間に挟まれて、第1壁部材120と第2壁部材130との間を、貫通孔122の全周に亘って、シールする。第3シール部材393は、弾性材料(例えば、ゴム)を用いて形成されている。
図4(A)に示すように、第1壁部材120の+Dz側の端面には、貫通孔122を囲むループ状の溝128が形成されている。この溝128には、第2シール部材392が嵌め込まれる(図2)。第2シール部材392の+Dz側(すなわち、第1壁部材120の+Dz側)には、分離膜330が配置されている。分離膜330は、第1壁部材120の貫通孔122を塞いでいる。分離膜330と第1壁部材120との間は、第2シール部材392によってシールされている。第2シール部材392は、弾性材料(例えば、ゴム)を用いて形成されている。
A2−3.その他の部分の構成:
図4に示すように、ガス生成装置800の複数の部材は、複数のボルト380によって固定される。複数のボルト380のために、容器110は、複数のネジ孔119を有し、第1壁部材120は、複数のネジ孔129を有し、第2壁部材130は、複数のネジ孔139を、有している。容器110のネジ孔119には、雌ネジが形成されている。ボルト380は、−Dz側から、ネジ孔139、129を通り抜け、そして、容器110のネジ孔119にねじ込まれる。複数のネジ孔119、129、139は、収容室112と貫通孔122、132(すなわち、第1室210と第2室220)の周囲を囲むように、配置されている。
なお、図示を省略するが、容器110には、第1ガス流路410(図1)を接続するための接続口と、第1供給路510を接続するための接続口と、が設けられている。また、図示を省略するが、第1壁部材120には、第2ガス流路420を接続するための接続口と、第2供給路520を接続するための接続口と、が設けられている。
A3.第2電極について:
A3−1.構成:
図5は、第2電極320の概略図である。図5(A)は、後述する被覆329を設ける前の状態の第2電極320の斜視図であり、図5(B)は、被覆329を設けた状態の第2電極320の斜視図である。図5(A)に示すように、第2電極320は、略矩形状のガラス板125の+Dz側の面(以下「内面125si」とも呼ぶ)上に、固定されている。具体的には、第2電極320は、光触媒層322と、導電部326と、を含んでいる。導電部326は、内導電部分327と、リード部分325bと、を含んでいる。内導電部分327は、透明導電層323と、金属線325aと、を含んでいる。
図5(A)に示すように、ガラス板125の内面125si上の全体に、透明導電層323が形成されている。透明導電層323の+Dz側の面上には、金属線325aと、光触媒層322と、が設けられている。金属線325aと光触媒層322とは、いずれも、透明導電層323と接触している、すなわち、透明導電層323に接続されている。
金属線325aは、透明導電層323の縁の若干内側を縁と平行に延びる矩形部分325aRと、矩形部分325aRの−Dx側の部分から+Dx側の部分まで第1方向Dxに沿って延びる3本の線部分325aLと、を含んでいる。3本の線部分325aLは、矩形部分325aRで囲まれた内周側の領域を、第2方向Dyに沿って並ぶ4つの領域に区分する。図中では、矩形部分325aRと線部分325aLとに、ハッチングが付されている。
矩形部分325aRと3本の線部分325aLとによって形成される4つの領域のそれぞれには、光触媒層322が設けられている。図中では、光触媒層322が、ハッチングで示されている。本実施例では、光触媒層322は、透明導電層323の+Dz側の面上に形成されている(すなわち、透明導電層323に接触している)。また、光触媒層322は、線部分325aLと矩形部分325aRとからは、離れた位置に形成されている。このように、透明導電層323は、光触媒層322と接触する接触部分を構成する。
また、金属線325aは、矩形部分325aRの+Dx側の端部から、透明導電層323の縁まで、+Dx方向に向かって延びる縁部325aeを含んでいる。ガラス板125の+Dx側の側面125sb上には、縁部325aeに電気的に接続されたリード部分325bであって、ガラス板125の+Dz側から−Dz側に向かって延びるリード部分325bが設けられている。図中では、これらの部分325ae、325bも、ハッチングで示されている。図2に示すように、リード部分325bは、第2室220の内側から、ガラス板125と第2壁部材130との間を通り抜けて、第2室220の外側に至る。
光触媒層322は、酸化タングステン(WO)を膜状に形成したものである。透明導電層323は、導電性材料の例としてのFTO(フッ素ドープ酸化スズ)を膜状に形成したものであり、光触媒層322によって用いられる光を透過可能である。ガラス板125も、光触媒層322によって用いられる光を透過可能である。図2に示すように、光(例えば、太陽光)は、ガラス板125と透明導電層323を透過して、光触媒層322に至る。光を受けた光触媒層322は、水の電気分解を促進する。また、光触媒層322では、電子(e)が生じる。生じた電子(e)は、透明導電層323を介して、金属線325aに集められる。
金属線325aとリード部分325bとは、金属材料(例えば、銀や銅)を用いて形成されている。金属線325aは、透明導電層323上の全体に亘っておおよそ均等に配置されているので、透明導電層323から電子(e)を効率よく集めることができる。金属線325aに集められた電子(e)は、リード部分325bを通じて、第2室220の外部に導かれる。第2室220の外部では、リード部分325bには、図示しない端子が接続される。
図5(B)には、被覆329が示されている。被覆329は、図5(A)に示す金属線325aと、リード部分325bと、の全体を被覆している。図5(C)は、図5(B)に示すC−C断面である。この断面は、第1方向Dxと直交する断面である。図示するように、各金属線325a(具体的には、線部分325aLと矩形部分325aR)が、被覆329によって、覆われている。被覆329は、電解液に対する耐腐食性(例えば、耐酸性と耐アルカリ性)が良好な材料(例えば、ガラス)で形成されている。金属線325aとリード部分325bとを、このような被覆329で覆うことによって、金属線325aとリード部分325bとの電解液による腐食を抑制できる。
A3−2.製造方法:
第2電極320の製造方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、以下の方法を採用可能である。まず、ガラス板125(図5(A))の内面125si上に透明導電層323の材料の層を形成し、焼成することによって、透明導電層323を形成する。次に、透明導電層323上に光触媒層322の材料の層を形成する(例えば、未焼成の光触媒層322が、材料のスプレーによって、形成される)。また、透明導電層323上およびガラス板125の側面125sb上に、金属線325aとリード部分325bとの材料(例えば、銀ペースト)を用いて、それらの部分325a、325bの未焼成パターンを形成する(例えば、未焼成パターンが、スクリーン印刷によって、形成される)。そして、焼成することによって、光触媒層322と金属線325aとリード部分325bとを形成する。以上により、図5(A)に示す部材が得られる。なお、焼成の順番は、上記の順番に限らず、種々の順番を採用可能である。例えば、金属線325aとリード部分325bとの焼成の後に、光触媒層322の焼成が行われてもよい。
次に、被覆329(図5(B))を形成する。被覆329は、例えば、ガラスを用いて形成される。具体的には、まず、未焼成のガラス材料(例えば、粉末ガラスやガラスペースト)を用いて、金属線325aとリード部分325bとを覆う被覆329の未焼成パターンを、例えばスクリーン印刷によって、形成する。次に、焼成することによって、被覆329を形成する。
以上のように、第2電極320は、ガラス板125の内面125siに固定された状態で、製造される。
図6は、第2電極320が固定されたガラス板125を、第2壁部材130に固定する方法の例を示す概略図である。図6(A)は、固定前の状態を示し、図6(B)は、固定後の状態を示している。本実施例では、第2電極320が固定されたガラス板125は、第2壁部材130の貫通孔132に、圧入される。これにより、第2壁部材130は、ガラス板125の縁を囲むことによって、ガラス板125を支持する。本実施例では、第2壁部材130は、ガラス板125の縁を全周に亘って囲んでいる。そして、第2壁部材130は、ガラス板125と一体に構成される。なお、本実施例では、第2壁部材130の貫通孔132に、−Dz側から+Dz方向に向かって、ガラス板125が圧入される。ただし、圧入方向は、逆方向であってもよい。また、圧入後に、第2壁部材130の貫通孔132と、ガラス板125と、の間を、シール部材を用いてシールしてもよい。シール部材としては、例えば、シリコン樹脂等の樹脂を採用可能である。シール部材は、第2室220の内側に設けられてもよく、この代わりに、第2室220の外側に設けられてもよい。
以上のように、本実施例では、第2壁部材130は、ガラス板125の縁を囲むことによってガラス板125を支持する。従って、第2電極320が固定されたガラス板125を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。例えば、ガス生成装置800の製造時に、ガラス板125を保持する代わりに第2壁部材130を保持することによって、ガラス板125を移動させることができるので、ガラス板125が破損する可能性を低減できる。なお、第2壁部材130は、ガラス板125を支持する支持壁に対応する。
さらに、第2壁部材130は、ガラス板125と一体に構成される。従って、第2壁部材130からガラス板125が外れる可能性を低減できる。
また、ガラス板125を支持する第2壁部材130は、ガラス板125の縁を支持する。従って、図2の分離膜330のように2つの壁部材によってガラス板125の一部が挟まれる場合とは異なり、ガラス板125の内面125siの全体を、第2室220中に配置することができる。この結果、ガラス板125のサイズが同じという条件下においては、2つの壁部材によってガラス板125の一部が挟まれる場合よりも、大きな第2電極320をガラス板125に固定することができる。この結果、ガス生成の効率を向上できる。
また、図5(A)に示すように、導電部326は、ガラス板125の内面125si側に配置された部分である内導電部分327と、内導電部分327に接続された部分であって第2室220の内側からガラス板125と第2壁部材130との間を通り抜けて第2室220の外側へ至るリード部分325bと、を含んでいる。従って、第2電極320と外部の電気回路(例えば、直流電源400)とを接続するための複雑な構成(例えば、Oリングでシールされた端子等)を用いずに済むので、第2電極320が固定されたガラス板125を用いる場合の不具合の可能性を低減できる。例えば、電解液の漏洩の可能性を低減できる。また、ガス生成装置800の組み立てを容易にできる。
また、図5(A)に示すように、内導電部分327は、金属線325aを含み、図5(B)に示すように、金属線325aは、被覆329によって覆われている。従って、金属線325aが電解液によって腐食することを抑制できる。
また、図4に示すように、第1室形成部110と第2室形成部140との間には、分離膜330が配置される。そして、ボルト380は、第1室形成部110と第2室形成部140とを、互いに向かい合うように締め付けることによって、第1室形成部110と第2室形成部140とを固定している。第2壁部材130は、ボルト380による締結力を受けることによって、固定されている。ここで、図2に示すように、ガラス板125は、第2室形成部140のうちの第2壁部材130以外の部分(例えば、第1壁部材120)とは接触せずに、第2壁部材130によって支持されている。従って、ボルト380による締結力がガラス板125に印加されることを抑制できる。この結果、ガラス板125が破損する等の不具合の可能性を低減できる。
また、以上のように、ガラス板125の破損の可能性を低減できるので、ガラス板125の厚さを薄くすることができる。この結果、光触媒層322に到達する光がガラス板125を通過することによって減衰することを抑制できるので、ガス生成の効率が低下することを抑制できる。
B.第2実施例:
図7は、第2電極320が固定されたガラス板125を、第2壁部材130に固定する方法の別の例を示す概略図である。第2実施例では、第2壁部材130は、ガラス板125との一体成形によって、形成される。図7には、図2と同様の、第2電極320が固定されたガラス板125の、第2方向Dyと直交する断面が示されている。一体成形は、図7(A)〜図7(C)の順に、進行する。
まず、図7(A)に示すように、第2電極320が固定されたガラス板125に、成形型710、720が、装着される。これらの成形型710、720は、ガラス板125の縁を全周に亘って囲むキャビティ730を形成する。
次に、図7(B)に示すように、キャビティ730に溶融樹脂130rが充填される。充填された溶融樹脂130rが固まった後、成形型710、720が分解されて、ガラス板125と一体成形された第2壁部材130が完成する(図7(C))。
このように、第2壁部材130を、ガラス板125と一体に構成する方法としては、溶融樹脂をガラス板125の縁と接触した状態で凝固させる一体成形を採用可能である。この場合も、第1実施例と同じ種々の利点を得ることができる。
C.変形例:
(1)第2電極320を固定する透明基板としては、ガラス板125に限らず、種々の透明な材料で構成された板を採用可能である。例えば、透明な樹脂で形成された基板を採用してもよい。
(2)透明基板を支持する支持壁(例えば、第2壁部材130)は、透明基板と一体に構成されていることが好ましい。ここで、支持壁が透明基板と一体に構成されているとは、支持壁と透明基板とが着脱可能ではなく固定されていることを、意味している。このように、支持壁が透明基板と一体に構成されていれば、透明基板が支持壁から外れることを抑制できる。また、支持壁が透明基板を補強できる。ただし、支持壁が透明基板と一体に構成されていなくてもよい。いずれの場合も、支持壁は、透明基板の縁を囲むことによって透明基板を支持することが好ましい。こうすれば、透明基板の一部が2つの壁部材によって挟まれる場合と比べて、大きな第2電極を固定できるので、ガス生成の効率を向上できる。ここで、透明基板の縁と支持壁との間に他の部材(例えば、シール部材)が挿入されていてもよい。また、透明基板の縁を全周に亘って囲む支持壁が、複数の壁部材を組み合わせることによって構成されてもよい。
(3)第2電極320の構成としては、図5に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、透明導電層323の一方の面上の全面、または、一部の領域に光触媒層322が形成され、透明導電層323の反対側の面上に線部分325aLと矩形部分325aRとが形成されてもよい。また、金属線325aのパターン形状としては、図5に示すパターン形状に限らず、任意のパターン形状を採用可能である。例えば、線部分325aLを省略してもよい。この代わりに矩形部分325aRを省略してもよい。また、複数のリード部分325bを設けてもよい。また、リード部分325bを省略してもよい。この場合、内導電部分327に接続されたリードラインであって、ガラス板125と第2壁部材130との間ではなく第2室形成部140のうちの他の部分を通り抜けることによって第2室220の外側に至るリードラインを採用可能である。また、被覆329が省略されてもよい。この場合、金属線325aの材料としては、電解質に腐食され難い種々の材料(例えば、白金)を採用可能である。
(4)第1室210を形成する第1室形成部110と、第2室220を形成する第2室形成部140と、のそれぞれの構成としては、図2〜図4で説明した構成に限らず、任意の構成を採用可能である。例えば、第1室形成部110が、第1電極310を挟む複数の部材で構成されていてもよい。こうすれば、第1室210内の端から他の端まで拡がる大きなサイズの第1電極310を利用できる。また、第1壁部材120と第2壁部材130との全体が、単一の部材によって形成されてもよい。また、ガラス板125が、第2室形成部140のうちの第2壁部材130以外の部分(例えば、第1壁部材120)に接触してもよい。
(5)酸素を生成する電極に用いられる光触媒としては、酸化タングステン(WO)に限らず、光を用いて水の電気分解を促進する種々の材料を採用可能である。なお、光触媒の材料としては、必ずしもWOに限定されるものでなく、TiO(二酸化チタン)、SrTiO(チタン酸ストロンチウム)、BaTiO(チタン酸バリウム)、ZrO(酸化亜鉛)、SnO(二酸化錫(すず))、CdS(硫化カドミウム)等の任意の高機能酸化物半導体光触媒を選択することができる。
(6)分離膜330としては、ガス(具体的には、水素ガスと酸素ガス)の通過を制限(好ましくは、防止)する種々の膜を採用可能である。ここで、水素ガスの生成を効率よく行うためには、プロトン(H)の伝導性を有する膜が採用される。例えば、プロトン(H)が通過し得る程度の多数の細孔が設けられたフィルタを採用可能である。また、プロトン(H)の伝導性が良好な膜としては、上述したフッ素系樹脂の膜のほか、例えば、炭化水素系樹脂の膜を採用可能である。
(7)図4の実施例では、ボルト380の数が「8」であるが、ボルトの数としては、任意の数N(Nは1以上の整数)を採用可能である。また、第1壁部材120と第2室形成部140とを互いに向かい合う方向に締め付けて固定する固定部材としては、ボルト380に限らず、種々の部材を採用可能である。例えば、リベットを採用してもよい。また、ガス生成装置800の複数の部材を固定する方法としては、そのような固定部材を用いる方法に限らず、種々の方法を採用可能である。例えば、ガス生成装置800の全体をベルトで縛ってもよい。
(8)透明導電層323上に形成される(すなわち、透明導電層323に接続される)集電線(例えば、図5(A)の金属線325a)の材料としては、銀に限らず、種々の金属(例えば、銅、または、鉄)を採用可能である。また、金属とは異なる材料(例えば、カーボン)を採用してもよい。一般的には、光触媒に接続された透明導電層323よりも電気伝導率が高い種々の材料を採用可能である。
(9)被覆329の材料としては、ガラスに限らず、種々の材料を採用可能である。例えば、ゴムや紫外線硬化樹脂等の種々の樹脂を採用可能である。また、ガラスや樹脂に限らず、セラミック等の種々の絶縁材料を採用可能である。また、絶縁材料に限らず、金属やカーボン等の種々の材料を採用してもよい。一般には、被覆329の材料としては、電解液に対する耐腐食性(例えば、耐酸性と耐アルカリ性)が良好な種々の材料を採用可能である。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
110...第1室形成部(容器)、111...開口、112...収容室、113...貫通孔、118...溝、119...ネジ孔、120...第1壁部材、122...貫通孔、125...ガラス板、125sb...側面、125si...内面、127...溝、128...溝、129...ネジ孔、130...第2壁部材、130r...溶融樹脂、132...貫通孔、139...ネジ孔、140...第2室形成部、210...第1室、220...第2室、310...第1電極、310...電極、311...メッシュ部分、313...バスバー、314...端子、315...Oリング、320...第2電極、322...光触媒層、323...透明導電層、325a...金属線、325b...リード部分、325aL...線部分、325aR...矩形部分、325ae...縁部、326...導電部、327...内導電部分、329...被覆、330...分離膜、380...ボルト、391...第1シール部材、392...第2シール部材、393...第3シール部材、400...直流電源、410...第1ガス流路、420...第2ガス流路、500...電解液供給装置、510...第1供給路、520...第2供給路、710...成形型、730...キャビティ、800...ガス生成装置、900...ガス生成システム

Claims (3)

  1. 水を含む電解液から光触媒を用いて水素ガスと酸素ガスとを生成するガス生成装置であって、
    第1電極と、
    電解液と前記第1電極を収容するための第1室を形成する第1室形成部と、
    第2電極と、
    前記電解液と前記第2電極を収容するための第2室を形成する第2室形成部と、
    前記第1室と前記第2室との間を仕切り、前記水素ガスと前記酸素ガスとを分離する分離膜と、
    前記第1室形成部と前記第2室形成部との間に前記分離膜が配置された状態で、前記第1室形成部と前記第2室形成部とを、互いに向かい合う方向に締め付けることによって固定する固定部材と、
    を備え、
    前記第2電極は、
    光触媒と、
    前記光触媒と接触する部分である接触部分を含む導電部と、
    を含み、
    前記第2室形成部は、
    前記第2電極が固定された面であって前記第2室の内側に配置される面である内面を備える透明基板と、
    前記第2室の内部と外部とを隔てる壁であって、前記透明基板の縁を囲むことによって前記透明基板を支持する壁である支持壁と、
    を含
    前記支持壁は、前記固定部材による締結力を受けることによって、固定され、
    前記透明基板は、前記第2室形成部のうちの前記支持壁以外の部分とは接触せずに、前記支持壁によって支持される、
    ガス生成装置。
  2. 請求項1に記載のガス生成装置であって、
    前記導電部は、
    前記接触部分を含む部分であって、前記透明基板の前記内面側に配置された部分である内導電部分と、
    前記内導電部分に電気的に接続された部分であって、前記第2室の内側から、前記透明基板と前記支持壁との間を通り抜けて、前記第2室の外側に至るリード部分と、
    を含む、ガス生成装置。
  3. 請求項2に記載のガス生成装置であって、
    前記内導電部分は、集電線を含み、
    前記ガス生成装置は、さらに、前記内導電部分の前記集電線を被覆する被覆部を備える、
    ガス生成装置。
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