以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
[第1実施形態に係る媒体搬送装置の説明]
<媒体搬送装置の全体構成>
図1は第1実施形態に係る媒体搬送装置の全体構成図である。図1に示した媒体搬送装置10は、枚葉の媒体12が搬入される搬入部14と、搬入部14により搬入された枚葉の媒体12の先端を掴んで起立させる第1スイング爪部16と、起立させた枚葉の媒体12の先端を掴む複数の吊り下げ爪18を備える第1バッファー部20であり、複数の吊り下げ爪18を移動させる吊り下げ爪移動部19を備える第1バッファー部20と、吊り下げ爪18に支持されて移動させた枚葉の媒体12を受け取る第2スイング爪部22と、第2スイング爪部22に受け渡された枚葉の媒体12を受け取るニップローラ32を備える排出部24と、を備えて構成される。以下の説明では、枚葉の媒体12は媒体12と記載する。
媒体搬送装置10の前段には、媒体12を寝かせた姿勢で支持して搬送するコンベア30が配置されている。また、媒体搬送装置10の後段に媒体搬送装置10から排出させた媒体12を搬送するコンベア34が配置されている。
ここでいう媒体12を寝かせた姿勢とは、媒体12の第1面の少なくとも一部、又は第2面の少なくとも一部が支持された状態の一態様である。寝かせた姿勢の一態様として、一方の端を掴み、掴まれた部分以外の部分を支持して搬送する態様が含まれる。かかる態様における一方の端が掴まれる状態は、寝かせた状態における媒体12の第1面の少なくとも一部、又は第2面の少なくとも一部が支持された状態に含まれない。寝かせた姿勢の他の態様として、先端をグリッパー等の把持部材によって掴まれ、後端をガイドによって支持される媒体12の姿勢が挙げられる。
媒体搬送装置10の前段に配置させたコンベア30は、媒体12の第1面12Aの裏側面である第2面12Bを支持し、媒体12を寝かせた状態で搬送する。コンベア30により搬送速度V1で搬送された媒体12は、t1秒間隔で媒体搬送装置10の搬入部14へ到達する。図1では、コンベア30による媒体12の搬送方向に符号Aを付して図示する。以下の図でも同様である。
コンベア30による媒体12の搬送速度V1の例として、500ミリメートル毎秒以上1000メートル毎秒以下の速度が挙げられる。また、媒体搬送装置10の搬入部14への媒体12の搬送周期t1の例として、1秒以上2秒以下が挙げられる。
搬入部14に到達した媒体12は、位置決めされて一時停止をする。搬入部14において位置決めされ、一時停止した媒体12は、一枚ずつ第1スイング爪部16により先端12Cを掴まれ、姿勢が起立させた姿勢に変更される。ここでいう媒体12を起立させた姿勢とは、媒体12を寝かせた姿勢とすることなく、媒体12の第1面の全面、又は第2面の全面が支持されていない状態の一態様であり、具体的には水平面に対して、媒体12を70度以上110度以下傾けた状態を言う。図1には、第1スイング爪部16が媒体12の先端を掴んだ状態が示されている。
本実施形態に係る媒体搬送装置10における搬入部14は、コンベア30から第1スイング爪部16へ媒体12を受け渡す位置、又は領域である。搬入部14に媒体12の位置決めをする媒体位置決め手段や、媒体12の有無を検出する媒体検出手段を備える態様も可能である。
第1スイング爪部16は、第1アーム部40の先端に配置された第1爪42によって媒体12の先端12Cを掴み、第1アーム部40を揺動させることによって媒体12の先端12Cを上方向へ移動させて、媒体12の姿勢を起立させた姿勢に変更する。図1では、第1アーム部40の揺動方向に符号Bを付して図示する。以下の図でも同様である。図1に符号52を付した構成は、第1爪42を開閉させる第1シリンダである。
図1において、媒体12の先端を掴んで揺動させた状態の第1スイング爪部16は、符号16Aを付して一点破線により図示する。本実施形態に示した第1スイング爪部16は、第1媒体姿勢変更部の一態様である。
起立させた姿勢に変更させた媒体12Dは、第1バッファー部20に具備される吊り下げ爪18に一枚ずつ起立させた姿勢のまま掴まれる。その際に、第1スイング爪部16の第1爪42と吊り下げ爪18は、媒体12の搬送方向に直交する媒体12の幅方向について一直線上に並ぶ。すなわち、吊り下げ爪18は、第1スイング爪部16により起立させた媒体12Dの上端となる媒体12Dの先端12Cを掴み、媒体12を吊り下げることによって、媒体12Dを起立させた姿勢のまま掴んで支持している。
本明細書における直交、又は垂直の用語は、90度を超える角度で交差する場合、又は90度未満の角度で交差する場合のうち、90度で交差する場合と同一の作用効果を奏する実質的な直交、又は垂直が含まれる。
また、本明細書における平行の用語は、二方向が交差するものの、平行と同一の作用効果を奏する実質的な平行が含まれる。
第1スイング爪部16の第1爪42と吊り下げ爪18とが媒体12の搬送方向に直交する媒体12の幅方向について一直線上に並ぶ状態には、第1スイング爪部16の第1爪42と吊り下げ爪18とが媒体12の幅方向について一直線上からずれた状態に並ぶ状態のうち、これらが一直線上に並ぶ状態と同一の作用効果を奏することができる、実質的に一直線上に並ぶ状態が含まれる。
図1では、起立させた姿勢の媒体であり、吊り下げ爪18に掴まれた媒体に符号12Dを付して図示する。本実施形態では、吊り下げ爪18に支持される媒体12Dの一態様として、吊り下げ爪18に掴まれる媒体12Dを例示する。本実施形態に示した複数の吊り下げ爪18は、起立させた姿勢で一枚ずつ支持可能な複数の媒体支持部材の一態様である。
なお、支持可能とは、吊り下げ爪18が媒体12を支持する場合、吊り下げ爪18が媒体を非支持の場合が存在することを意味する。
吊り下げ爪18の配置間隔を維持して、吊り下げ爪18を移動させる吊り下げ爪移動部19は、第1スプロケット19A、及び第2スプロケット19Bに巻き掛けられた無端状のチェーン19Cに複数の吊り下げ爪18が取り付けられる構造を有している。チェーン19Cは吊り下げ爪固定部に相当する。
第1スプロケット19A、及び第2スプロケット19Bのいずれか一方を回転させて、チェーン19Cを走行させることによって、吊り下げ爪18は媒体12Dの支持を開始する位置である媒体支持開始位置19Eから、媒体12Dの支持を終了する位置である媒体支持終了位置19Fまで移動する。第1スプロケット19A、及び第2スプロケット19Bのいずれか一方を回転させて、チェーン19Cを走行させる構成は、チェーン走行部に相当する。
図1では、第1スプロケット19Aの回転方向に符号Cを付して図示する。第2スプロケット19Bの回転方向に符号Dを付して図示する。また、媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域におけるチェーン19Cの走行方向に符号Eを付して図示する。以下の図でも同様である。
媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域におけるチェーン19Cの走行方向は、媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域における媒体12Dの搬送方向と同義である。媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域におけるチェーン19Cの走行方向は、媒体12Dを掴んだ吊り下げ爪18の移動方向、及び吊り下げ爪18に掴まれた媒体12Dの搬送方向と同義である。
媒体支持終了位置19Fを通過した媒体12を非支持の吊り下げ爪18はチェーン19Cの走行経路に沿って、媒体支持開始位置19Eまで移動する。本実施形態に示した吊り下げ爪移動部19は、媒体移動部の一態様である。
吊り下げ爪移動部19は、チェーン19Cの走行方向と直交する方向について、四本のチェーン19Cが配置されている。四本のチェーン19Cは、チェーン19Cの走行方向における位置を合わせて配置される。四本のチェーン19Cの配置の詳細は図3、及び図4に図示する。
図1には、チェーン19Cの走行方向上流側から下流側へ向かって、チェーン19Cを下方向へ傾斜させた態様を示す。なお、チェーン19Cの配置は、図1に示した走行方向上流側から下流側へ向かって下方向へ傾斜させる態様に限定されず、水平搬送、上方向への傾斜搬送を適用してもよい。
第1バッファー部20は、第1スイング爪部16の動作と連動して吊り下げ爪18を移動させることによって、媒体12を一定期間保管する媒体12のバッファー機能を有している。媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域に、吊り下げ爪18を複数配置することによって、媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの領域に配置される吊り下げ爪18の数と同数の媒体12を一括して保管することができる。
第1バッファー部20における媒体12の保管期間は、媒体支持開始位置19Eから媒体支持終了位置19Fまでの距離と、吊り下げ爪18の移動速度により決められる。吊り下げ爪18の移動速度は、チェーン19Cの移動速度により決められる。
吊り下げ爪18のチェーン19Cの走行方向における配置間隔は、使用される媒体12の最大厚みを超える距離である。
すなわち、吊り下げ爪18のチェーン19Cの走行方向における配置間隔は、チェーン19Cの走行方向について隣接する吊り下げ爪18により媒体12を把持した際に、隣接する吊り下げ爪18により把持された媒体12同士が接触しない距離とされる。
また、吊り下げ爪18のチェーン19Cの走行方向における配置間隔を、使用される媒体12の最短の長さ未満とすることによって、媒体12を寝かせた場合よりも同じスペースを用いてより多くの媒体12を収容することが可能となる。
但し、第1バッファー部20により多くの媒体を収容するために、チェーン19Cの走行方向について隣接する吊り下げ爪18のチェーン19Cの走行方向における配置間隔は、できる限り近づけることが好ましい。
本実施形態に示した第1バッファー部20は、媒体支持部材、及び媒体移動部を備える媒体保管部の一態様である。
第2スイング爪部22は、第2揺動軸84を中心として、図1における紙面と平行な面内で揺動する第2アーム部80と、第2アーム部80の先端に配置される第2爪82と、第2爪82を開閉させる第4シリンダ88とを備えている。図1では、第2スイング爪部22の揺動方向に符号Fを付して図示する。以下の図でも同様である。第4シリンダ88は第2爪開閉部に相当する。
第1バッファー部20の媒体支持終了位置19Fに移動した媒体12は、第2スイング爪部22の第2爪82によって先端12Cを掴まれる。第2スイング爪部22の第2アーム部80が揺動することによって、第2爪82に掴まれた媒体12は起立させた姿勢から寝かせた姿勢へ姿勢が変更される。
また、第2スイング爪部22は、第1バッファー部20から受け渡された媒体12を排出部24へ受け渡す。排出部24に備えられるニップローラ32は、第2スイング爪部22から受け渡された媒体12の第1面12A、及び第2面の両者を支持し、第1面12A、及び第2面を支持した媒体12をコンベア34へ受け渡す。コンベア34は、媒体12を寝かせた姿勢で搬送する。本実施形態に示した第2スイング爪部22は、第2姿勢変更部の一態様である。図1では、ローラ32Aの移動方向に符号Gを付して図示する。また、ローラ32Bの移動方向に符号Hを付して図示する。以下の図でも同様である。
排出部24のニップローラ32により支持される媒体12の姿勢は、媒体の第1面の一部、及び第2面の一部が支持された状態であり、媒体の第1面の少なくとも一部、及び第2面の少なくとも一部が支持された状態の一態様である。
本実施形態では、搬入部14の前段において媒体12を搬送する手段としてコンベア30を例示したが、搬入部14の前段において媒体12を搬送する手段として、チェーン搬送、ドラム搬送などの搬送手段を適用することができる。また、排出部24の後段における媒体12を搬送する手段も同様である。
<第1スイング爪部の説明>
図2は第1スイング爪部の概略構成図である。図2に示した第1スイング爪部16は、第1アーム部40と、アーム部の先端に配置された第1爪42と、第1アーム部40を揺動させる第1揺動部44と、を備えて構成される。
第1爪42は、第1固定爪42A、及び第1可動爪42Bから構成される。第1シリンダ52を動作させることによって、第1固定爪42Aに対する第1可動爪42Bの位置を変えることができる。第1シリンダ52は、本体52Aが第1固定爪42Aに固定支持され、可動子52Bが第1可動爪42Bに連結される。
第1爪42は、第1アーム部40の揺動における半径方向について、第1アーム部40に対して移動可能に支持されている。第2シリンダ54は、本体部54Aが第1アーム部40に連結され、可動子54Bが第1固定爪42Aに連結される。第2シリンダ54を動作させることによって、第1アーム部40の揺動における半径方向について第1アーム部40に対して第1爪42を移動させることができる。第1アーム部40、及び第2シリンダ54は、第1爪移動部に相当する。
第1揺動部44は、支持台56に上下方向に移動可能に構成されたクランク46と、クランク46と第1アーム部40の第1揺動軸48とを連結させるリンク50と、リンク50を備えている。第1揺動部44、及び第3シリンダ58は、第1アーム部を揺動させる第1アーム揺動部を構成する。
クランク46を上方向にスライド移動させると、リンク50は第1揺動軸48を中心として図2における紙面と平行な面内で揺動する。第1アーム部40は、リンク50の揺動に対応して、第1スイング爪部における媒体12の搬送方向と直交する方向の第1揺動軸48を中心として揺動する。
第1スイング爪部における媒体12の搬送方向は、第1爪42が移動する軌跡に沿う方向である。
第1アーム部40、及びリンク50は、第1揺動軸48によって基端を揺動可能に支持されている。第1アーム部40は、第1爪42を開閉させる第1シリンダ52と、第1アーム部40の先端に配置された第1爪42の位置を第1アーム部の揺動における半径方向へ移動させる第2シリンダ54と、第1爪42が媒体12を離す位置から第1爪42が媒体を掴む位置と反対方向へ第1爪42を移動させる第3シリンダ58と、を備えている。
第1爪42は、第1可動爪42Bと第1固定爪42Aから構成される。第2シリンダ54は可動子54Bが第1可動爪42Bと連結され、固定部分56Bが第1固定爪42Aと連結される。第1シリンダ52の可動子54Bを動作させることによって、第1固定爪42Aと第1可動爪42Bとの距離を可変させることが可能となる。第1シリンダ52は第1爪開閉部に相当する。
媒体12を把持する際は、第2シリンダ54の可動子54Bを縮めることによって、第1爪42を開いた状態から閉じた状態へ変えることが可能となる。第3シリンダ58の本体部58Aはリンク50と連結され、第3シリンダ58の可動子58Bは第1アーム部40に連結される。第3シリンダを動作させると、媒体を離した位置から図2に二点破線で図示した位置へ第1爪42を移動させる。第1爪42が媒体を離した位置は図14に図示する。第1アーム部40は、第1揺動軸48について、第1爪42と反対側に第3シリンダ58の可動子58Bが連結される連結部40Aを備えている。第1アーム部40、リンク50、及び第3シリンダ58は、第2揺動部に相当する。
<吊り下げ爪の支持構造の説明>
図3は第1バッファー部に具備される吊り下げ爪移動部の概略構成図である。図4(A)は第1バッファー部に具備される吊り下げ爪の拡大図である。図4(B)は図4(A)の固定爪を取り外した状態を示す説明図である。
図3、図4(A)、及び図4(B)において、図1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図3に示すように、第1バッファー部20はチェーン19Cの走行方向と直交する方向に沿って、八本のチェーン19Cが配置される。図3に示すように、八本のチェーン19Cは、二本ずつのチェーン19Cが四組を構成し、一組を構成する二本チェーン19Cによって吊り下げ爪18の両側から吊り下げ爪18が支持される。
図3では、第1スプロケット19Aに巻き掛けられたチェーン19Cの一部の図示を省略した。図3に示した二点破線は、第1スプロケット19Aに巻き掛けられたチェーン19Cを表している。
図3に示すように、八本のチェーン19Cのそれぞれが巻き掛けられる八つの第1スプロケット19Aは一本の回転支持軸60によって回転可能に支持される。同様に、図3に図示しない八つの第2スプロケット19Bは一本の回転支持軸によって回転可能に支持される。
図3に示すように、チェーン19Cは三重構造を有している。三重構造の中央部19Gは第1スプロケット19A、及び第2スプロケット19Bに巻き掛けられる部分であり、一方の端部19H、又は他方の端19Iのいずれか一方は、吊り下げ爪18が取り付けられる。符号19G、19H、及び19Iは、図3における左端のチェーン19Cのみに付し、他のチェーンにおける図示は省略する。
図3に示すように、一枚の媒体12を同時に支持する四つの吊り下げ爪18が一組の吊り下げ爪群を構成する。吊り下げ爪移動部19は、複数の吊り下げ爪群が、チェーン19Cの走行方向に沿って等間隔に配置されている。図1に示した吊り下げ爪18は、一組の吊り下げ爪群を構成する四つの吊り下げ爪18を表している。
なお、第1バッファー部20において、吊り下げ爪18を支持する部材は、チェーン19に限定されない。例えば、無端状のゴムベルトなどでもよい。また、吊り下げ爪18に回転ローラを付し、回転ローラを当接させるレールでもよい。すなわち、吊り下げ爪18を当接させた回転ローラをレールの上で回転させることによって、吊り下げ爪18を移動させる態様を第1バッファー部20に適用してもよい。
なお、一枚の媒体12を支持する際に、一組の吊り下げ爪群を構成する四つの吊り下げ爪18の全てを用いる必要はなく、媒体12に幅に応じて少なくとも一つの吊り下げ爪18を用いればよい。
一組の吊り下げ爪群は三つ以下の吊り下げ爪18から構成されてもよいし、五つ以上の吊り下げ爪18から構成されてもよい。一組の吊り下げ爪を構成する吊り下げ爪18の数は、使用される媒体12の幅に対応して適宜変更してもよい。
図4(A)、及び図4(B)に示すように、吊り下げ爪18は、図4(A)に示したチェーン19Cに固定される第1爪支持部材68A、及び図4(A)に図示しないチェーンに固定される第2爪支持部材68Bによって両側から支持される。
本実施形態では、チェーン19Cを構成する各リンクに第1爪支持部材68A、及び第2爪支持部材68Bが取り付けられる態様を示す。
吊り下げ爪18は、固定爪66B、及び可動爪66Aから構成される。吊り下げ爪18は、可動爪66Aが揺動軸66Cを中心として揺動可能に支持される構造を有し、可動爪66Aを揺動させることによって開閉可能に構成されている。
本実施形態では、揺動軸66Cに対して固定された固定爪66Bと、固定爪66Bに対して揺動軸66Cによって揺動可能に支持された可動爪66Aとを備える態様を例示した。
付勢部材66Dは、固定爪66Bと可動爪66Aとを連結する連結部材であり、かつ、媒体12を把持する際に、固定爪66Bと可動爪66Aとの間に媒体12を固定する力を発生させる固定力発生部材である。なお、吊り下げ爪18の構成は、図3、図4(A)、及び図4(B)に示した態様に限定されない。
<第1スイング爪部と吊り下げ爪との配置関係の説明>
図5は第1スイング爪部と吊り下げ爪との配置関係を模式的に示した断面図である。図5は第1バッファー部20を搬入部14側から見た状態を示している。図5において紙面を貫く方向はチェーン19Cの走行方向である。なお、図5では、図4(A)に示したチェーン19Cの一部の図示を省略した。図6は第1スイング爪部と吊り下げ爪との配置関係を模式的に示した側面図である。
図5、及び図6において、図1から図4(B)に示した構成と同一の構成は同一の符号を付し、説明を適宜省略する。なお、図6では、第1スイング爪部16を二点破線により図示した。
図5に示すように、媒体12の幅方向について、中央部に二つの第1スイング爪部16が配置される。また、媒体12の幅方向について、二つの第1スイング爪部16の配置位置の端部側に吊り下げ爪18が二つずつ配置される。
すなわち、図6に示した側面図において、第1スイング爪部16と吊り下げ爪18が交差できる配置とすることによって、第1スプロケット19Aの脇を第1スイング爪部16の第1アーム部40が通過することが可能となる。第1スイング爪部16と吊り下げ爪18が交差できる配置は、第1バッファー部20における媒体12の幅方向について、吊り下げ爪18の移動経路が第1爪の揺動経路とずらされた、第1スイング爪部16と第1バッファー部20との配置である。
換言すると、第1スイング爪部16の第1アーム部40と、第1スプロケット19A、チェーン19C、及び吊り下げ爪18との衝突を防止している。第1スイング爪部16と第1スプロケット19Aとの配置が採用され、第1スイング爪部16とチェーン19Cとの配置が採用され、第1スイング爪部16と吊り下げ爪18との配置が採用されている。
吊り下げ爪18の移動方向と直交する方向における吊り下げ爪18の配置は、複数のサイズの媒体12についてのそれぞれの幅に対応して配置することが好ましい。吊り下げ爪18の移動方向はチェーン19Cの走行方向と同義である。
例えば、図5に示した四つの吊り下げ爪18は、内側の二つの吊り下げ爪18を用いて小サイズの媒体12を支持し、四つの吊り下げ爪18、又は外側の二つの吊り下げ爪18を用いて小サイズの媒体12を支持する構成とすることができる。
また、図5における二つの第1スイング爪部16の両側に配置された二つの吊り下げ爪18を一体構成として、複数のサイズの媒体12に対応することも可能である。
さらに、図5における二つの第1スイング爪部16と吊り下げ爪18の配置を入れ換えて、媒体12の幅方向の中央部に吊り下げ爪18を配置し、媒体12の幅方向の吊り下げ爪18の両側に二つの第1スイング爪部16を配置する態様も可能である。
本実施形態では、二つの第1スイング爪部16を備える態様を例示したが、第1スイング爪部16は二つに限定されない。第1スイング爪部16を一つ備える態様、第1スイング爪部16を三つ以上備える態様も可能である。
図6に示したカム70は、第1スイング爪部16と第1バッファー部20との媒体12の受け渡し位置において、吊り下げ爪18の開閉に用いられる。すなわち、吊り下げ爪18が第1スイング爪部16と第1バッファー部20との媒体12の受け渡し位置に移動して来ると、吊り下げ爪18の媒体12を支持する側と反対側の突起66Eがカム70に押され、一時的に吊り下げ爪18を開かせる。
更に、吊り下げ爪18を移動させると、カム70は、吊り下げ爪18の移動方向への力を受けて図6における時計回りに回転する。そして、吊り下げ爪18の突起とカム70との衝突が解消され、吊り下げ爪18が閉じられる。
<第2スイング爪部の説明>
図7は第2スイング爪部の構成図である。図7では第2スイング爪部22を構成する一部の構成の図示を省略する。
図7に示す第2スイング爪部22は、第2アーム部80と、第2アーム部80の先端に配置された第2爪82と、を備えて構成される。第2アーム部80は第2揺動軸84により第2揺動軸84を中心として揺動可能に支持される。
第2爪82は、固定爪82A、及び可動爪82Bから構成される。第4シリンダ88は第2爪82を開閉させる。第4シリンダ88は、本体部88Aが固定爪82Aに連結され、可動子88Bが可動爪82Bに連結される。第4シリンダ88を動作させることによって、第2爪82を開閉させることができる。
第2アーム部80は、図2に図示しない第2アーム揺動部によって揺動する。不図示の第2アーム揺動部として、図2に示した第1スイング爪部16における第1揺動部44と同様の構成を適用することができる。第2アーム揺動部は図10に符号136を付して図示する。
第2スイング爪部22における媒体12の搬送方向と直交する方向であり、第2アーム部80が揺動する面と直交する方向における第2スイング爪部22と吊り下げ爪18との配置関係は、図5、及び図6に示した第1スイング爪部16と吊り下げ爪18との配置関係と同様の配置関係を適用することができるので、ここでの説明は省略する。チェーン19Cの走行方向と直交する方向における第2スイング爪部22と吊り下げ爪18との配置は、第2姿勢変更部における媒体の搬送方向と直交する方向について、第2爪の移動経路は、吊り下げ爪の移動経路とずらされている配置に相当する。
図7に示した第2スイング爪部22は、第2アーム部80、及び第2揺動軸84を第1バッファー部20と反対方向へ移動させる第2アーム移動部を備えている。第2アーム移動部にはカム機構を適用することができる。図8ではアーム移動部の図示は省略する。アーム移動部は図10に符号140を付して図示する。第2アーム移動部はスライド移動部の一態様である。
図7に示したカム72は、第1バッファー部20と第2スイング爪部22との間で媒体12の受け渡しを行う受け渡し位置において、吊り下げ爪18を開閉させる。図7に示したカム72は、図5に示したカム70と同様の機能を有しているのでここでの説明は省略する。
<排出部の説明>
図8は排出部の説明図である。なお、図8に二点破線により図示した第2スイング爪部22は、第1バッファー部20から媒体12を受け取る位置における第2スイング爪部22、及び排出部24へ媒体12を受け渡す位置における第2スイング爪部22である。
図8に示した排出部24はローラ32A、及びローラ32Bから成る一対のニップローラ32、ローラ32A、及びローラ32Bを移動させて、ローラ32Aとローラ32Bとの間の距離を可変させ、ローラ32Aとローラ32Bとの接触、及びローラ32Aとローラ32Bとの離間を切り替えるローラ移動部90を備えている。
図8では、ローラ32Aの移動方向に符号Gを付して図示する。また、ローラ32Bの移動方向に符号Hを付して図示する。
ローラ移動部92は、ローラ32Aと連結される移動機構90Aと、ローラ32Bと連結される移動機構90B、及び移動機構の駆動源とを含んで構成される。なお、ローラ32A、及びローラ32Bのいずれか一方を移動させ、他方を固定してローラ32Aとローラ32Bとの接触、及びローラ32Aとローラ32Bとの離間を切り替える態様も可能である。
すなわち、ローラ移動部90は、ローラ32A、及びローラ32Bのうち少なくともいずれか一方を移動させる。
図8に示した排出部24は、ローラ32A、及びローラ32Bの少なくともいずれか一方を回転させるローラ回転部を備えている。ローラ回転部はローラ32A、及びローラ32Bのうち回転可能に構成されたローラと連結されるローラ回転機構、及びローラ回転機構の駆動源を含んで構成される。図8では、ローラ回転部の図示は省略する。
ニップローラ32は、第2スイング爪部22に支持された媒体12を挟むことによって媒体12を受け取り、受け取られた媒体12を、図1に図示した媒体搬送装置10の後段に配置されるコンベア34へ排出させる。図8では、媒体12の排出方向に符号Iを付して図示する。
図9は第2スイング爪部とニップローラとの配置関係を模式的に示した断面図である。なお、図9において、二点破線により図示されたローラは、開かれた状態のニップローラを表している。
ニップローラ32は、排出部24における媒体12の移動方向と直交する方向における媒体12の一方の端部に対応する位置、及び他方の端に対応する位置のそれぞれに、少なくとも一つずつ設けられている。媒体12の幅方向における中央部は、第2スイング爪部22が通過するスペースが設けられている。すなわち、排出部における媒体の搬送方向と直交する方向について、ニップローラの配置位置は、第2爪の移動経路とずらされている。
本実施形態では、媒体搬送装置10の排出部24として、ニップローラ32を備えた態様を例示したが、排出部24の構成は図8に示したニップローラ32を備えた態様に限定されない。
<制御系の説明>
図10は第1実施形態に係る媒体搬送装置の制御系の構成を示すブロック図である。図10に示すように、媒体搬送装置10は、システム制御部100、通信部102、第1アーム揺動制御部112、第1爪制御部114、チェーン駆動制御部116、吊り下げ爪開閉制御部118、第2アーム揺動制御部120、第2爪開閉制御部122、第2アーム移動制御部124、及び排出制御部126を含んで構成される。
システム制御部100は、通信部102を介してホストコンピュータ104から送られたデータ、命令を受け取る。システム制御部100は、ホストコンピュータ104から送られたデータの処理を実行する。システム制御部100は、ホストコンピュータ104から送られた命令に基づき、媒体搬送装置10の各部の動作を制御する。
第1アーム揺動制御部112は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、第1スイング爪部16に具備される第1アーム部40を揺動させる第1揺動部44の動作、及び図2に示した第3シリンダ58の動作を制御する。
第1爪制御部114は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、第1スイング爪部16の第1アーム部40に具備される第1爪42を動作させる第1爪駆動部132を制御する。図10に示した第1爪駆動部132は、図2に示した第1シリンダ52が含まれる。
図10に示した第1爪駆動部132は、図2に示した第1シリンダ52、及び第2シリンダ54を含んで構成される。図10に示した第1爪制御部114は図2に示した第1シリンダ52の動作を制御する第1シリンダ制御部、及び図2に示した第2シリンダ54の動作を制御する第2シリンダ制御部から構成される。
第1アーム揺動制御部112、及び第1爪制御部114は、図1、及び図2に示した第1スイング爪部16の動作を制御する、第1スイング爪制御部を構成する。
チェーン駆動制御部116は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、図1、図3、及び図4に示したチェーン19Cを駆動するチェーン駆動部134を制御する。チェーン駆動部134の制御として、チェーン19Cの走行速度を制御することにより、チェーン19Cに取り付けられた吊り下げ爪18を予め決められた期間で移動させる制御が挙げられる。予め決められた期間は一定期間と同義である。チェーン駆動制御部116は媒体移動制御部に相当する。
図10に示したチェーン駆動部134は、図1、図3、及び図4に示した第1スプロケット19A、又は図1に示した第2スプロケット19Bのいずれか一方を回転させるモータ等の駆動源が含まれる。
吊り下げ爪開閉制御部118は、吊り下げ爪18の開閉を制御する。吊り下げ爪18の開閉制御には、吊り下げ爪18の開閉タイミングの制御が含まれる。すなわち、吊り下げ爪開閉制御部118は媒体12の搬送周期に基づいて吊り下げ爪18が媒体を支持するか否かを制御する。
第2アーム揺動制御部120は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、第2スイング爪部22に具備される第2アーム部80の揺動を制御する。すなわち、第2アーム揺動制御部120は、第2アーム部80を揺動させる第2アーム揺動部136の動作を制御する。図10に示した第2アーム揺動部136には、図1、図7、及び図8に示した第2アーム部80を揺動させるモータ等の駆動源が含まれる。
第2爪開閉制御部122は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、第2爪82の開閉を制御する。すなわち、第2爪開閉制御部122は第2爪82の開閉を開閉させる第2爪開閉部138の動作を制御する。図10に示した第2爪開閉部138は、図8に示した第4シリンダ88が含まれる。
第2アーム移動制御部は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、第2アーム部80、及び第2揺動軸84のスライド移動を制御する。すなわち、第2アーム移動制御部は第2アーム部80、及び第2揺動軸84のスライド移動させる第2アーム移動部140の動作を制御する。
排出制御部126は、システム制御部100から送られた指令信号に基づき、図1、及び図8に示したニップローラ32の動作を制御する。すなわち、図10に示した排出制御部126は、ニップローラ駆動部142の動作を制御する。図10に示したニップローラ駆動部142は、図8に示したローラ移動部90、及び不図示のローラ回転部が含まれる。
搬入部14として、媒体12の位置決めをする媒体位置決め部を備える態様では、媒体位置決め部の動作を制御する搬入制御部が備えられる。また、搬入部14として、媒体12の有無を検出する媒体検出センサを備える態様では、媒体12の検出信号を取得し、媒体12の検出信号に基づく各部への指令信号を生成し、指令信号を各部へ送出する搬入制御部を備えられる。
操作部150は、キーボード、マウス、又はジョイステックなどが適用される。操作部150は操作に対応した情報入力信号を生成し、生成した情報入力信号をシステム制御部100へ送出する。
システム制御部100は、操作部150から送出された情報入力信号を受け取ると、情報入力信号の内容に応じて、各部への指令信号を生成し、生成された指令信号を各部へ送出する。
表示部152は、装置の状態、エラー情報など、装置の各種状態を表示させる表示手段として機能する。表示部152にはディスプレイ装置を適用することができる。タッチパネル方式のディスプレイ装置を用いて、操作部150と表示部152とを兼用させてもよい。
パラメータ記憶部154は、媒体搬送装置10に適用されるシステムパラメータが記憶される。システム制御部100は、パラメータ記憶部154に記憶されているシステムパラメータの読み出しを行うメモリコントローラ、又はパラメータ記憶部154にシステムパラメータを記憶するメモリコントローラとして機能する。
テーブル記憶部156は、媒体搬送装置10に適用される各種制御テーブルが記憶されている。システム制御部100は、テーブル記憶部156に記憶されているシステムパラメータの読み出しを行うメモリコントローラ、又はテーブル記憶部156にシステムパラメータを記憶するメモリコントローラとして機能する。
<第1スイング爪の動作の説明>
次に、第1スイング爪部16の動作について詳細に説明する。以下の説明において、先に説明した構成と同一の部分には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。なお、図示の都合により、既に説明した構成の符号が省略される場合がある。
図11は第1スイング爪部の第1爪が媒体を掴んだ状態の模式図である。媒体12が図1に示した搬入部14へ到達すると、第1スイング爪部16の第1アーム部40を揺動させて、第1爪42を搬入部14の媒体12の受け渡し位置へ移動させる。図11に示すように、媒体12の受け渡し位置に到達した媒体12は、先端12Cを第1爪42によって掴まれる。
図12は第1スイング爪部の第1アーム部を揺動させた状態の模式図である。媒体12の先端12Cを掴んだ第1スイング爪部16を揺動させて、第1スイング爪部16と第1バッファー部20との媒体12の受け渡し位置へ媒体12を移動させる。第1スイング爪部16と第1バッファー部20との媒体12の受け渡し位置へ第1スイング爪部16が媒体12を移動させると、第1爪42に掴まれた媒体12の先端12Cが吊り下げ爪18によって掴まれる。図12に示した矢印線はクランク46のスライド移動方向である。
図13は第1スイング爪部の第1爪を開いた状態の模式図である。媒体12Dの先端12Cが吊り下げ爪18に掴まれると、第1スイング爪部16は第1爪42を開いて媒体12Dを開離する。図13に示した矢印線は第1可動爪42Bの移動方向である。
第1シリンダ52の可動子52Bを伸長させることによって、第1固定爪42Aと第1可動爪42Bとの間の距離が広がり、第1爪42が開いた状態とすることができる。
図14は第1スイング爪部から媒体を離した状態の模式図である。図14に示すように、第1スイング爪部16は、第1爪42を開くと、第3シリンダ58を動作させて、媒体12を開離した位置の上方へ第1アーム部40を揺動させる。図14に示した矢印線は第3シリンダ58の可動子58Bの動作方向を示す。
図14に示すように、媒体12を開離した位置の上方へ第1アーム部40を揺動させることによって、第1スイング爪部16の第1爪42は媒体12を確実に開離することができる。
図15は第1スイング爪部の第1爪を揺動軸の方へ移動させた状態の模式図である。なお、図15において、クランク46、及びリンク50は、第1爪42の動作を可視化するために破線を用いて図示した。
第1スイング爪部16の第1爪42から媒体12が開放されると、第2シリンダ54を動作させて、第1アーム部40に対して第1爪42を第1揺動軸48の方へ移動させる。
第1アーム部40に対して第1爪42を第1揺動軸48の方向へ移動させることによって、第1アーム部40を揺動させて、第1爪42を搬入部14の媒体12の受け渡し位置へ移動させる際に、吊り下げ爪18に掴まれた媒体12と、第1爪42との衝突を回避することができる。
このようにして、図11から図15に示した手順を繰り返すことによって、第1スイング爪部16は複数枚の媒体12を一枚ずつ搬入部14から第1バッファー部20へ移動させることができる。
<第2スイング爪部の動作の説明>
次に、第2スイング爪部22の動作について詳細に説明する。図16は第2スイング爪部の第2爪が媒体を掴んだ状態の模式図である。第1バッファー部20によって、第1バッファー部20から第2スイング爪部22への媒体12の受け渡し位置に媒体12Dが到達すると、第2スイング爪部22の第2アーム部80を揺動させて、第2爪82を第1バッファー部20から第2スイング爪部22への媒体12の受け渡し位置へ移動させる。
すなわち、第2スイング爪部22の第2爪82は、第1バッファー部20の第2スプロケット19Bの線速度に対応する動作周期で動作する。換言すると、吊り下げ爪18が第2スイング爪部22との媒体12の受け渡し位置に到達する周期で、第2スイング爪部22の第2爪82は動作する。第2スプロケット19Bの線速度の例として、コンベア30による媒体12の搬送速度と同一である、500ミリメートル毎秒が挙げられる。
なお、媒体12を掴んでいない吊り下げ爪18が第2スイング爪部22との媒体12の受け渡し位置に到達する場合に第2スイング爪部22の動作を停止させてもよい。
第2爪82が第1バッファー部20から第2スイング爪部22への媒体12の受け渡し位置へ移動すると、第2爪82は吊り下げ爪18に掴まれている媒体12Dを掴む。第2爪82に媒体12が掴まれると、吊り下げ爪18は、可動爪66Aを開いて第2爪82に掴まれた媒体12Dを開離する。
図17は媒体を掴んだ第2スイング爪部を下方へ退避させた状態の模式図である。第2スイング爪部22の第2爪82が媒体12を掴み、吊り下げ爪18が媒体12を開離すると、第2アーム部80を図17における時計回り方向へ揺動させて、媒体12を掴んだ第2爪82を下方へ移動させる。図17に示した矢印線は、第2爪82のスライド移動方向を示す。
図18は第2スイング爪部をスライドさせた状態の模式図である。媒体12を掴んだ第2爪82を下方へ移動させると、第2スイング爪部22を第1バッファー部20と反対方向へスライド移動させる。また、図18における反時計回りに第2アーム部80を揺動させて、媒体12を掴んだ第2爪82を上方へ移動させる。
図18に示すように、第2スイング爪部22を第1バッファー部20と反対方向へスライド移動させる。図18に図示した矢印線は、第2爪82のスライド移動方向である。図18において破線により図示した第2アーム部80は、スライド移動前の第2アーム部80である。
図19は第2スイング爪部に掴まれた媒体が排出部へ到達した状態の模式図である。
第2スイング爪部22を第1バッファー部20と反対方向へスライド移動させると、図19における反時計回りに第2アーム部80を揺動させて、第2スイング爪部22と排出部24との媒体12の受け渡し位置へ媒体12を掴んだ第2爪82を移動させる。
このようにして、第2スイング爪部22は、第2アーム部80の揺動、及びスライド移動を併用して、第1バッファー部20から排出部24へ媒体12を移動させる。また、起立させた姿勢の媒体12の姿勢を寝かせた姿勢へ変更する。
<第2スイング爪部から排出部への用紙の受け渡しの説明>
次に、第2スイング爪部から排出部への用紙の受け渡しについて詳細に説明する。
図19に示すように第2スイング爪部22の第2爪82に掴まれた媒体12が排出部24へ到達すると、ローラ32Aとローラ32Bとの間に媒体12が挿入される。第2スイング爪部22の第2爪82に掴まれた媒体12が排出部24へ到達する際に、ニップローラ32はローラ32Aとローラ32Bとの間に一定の距離有する開いた状態であり、ローラ32A、及びローラ32Bの少なくともいずれか一方は、一定回転速度で回転している。
ニップローラ32の媒体12をニップする位置において、ローラ32A、及びローラ32Bの少なくともいずれか一方の接線速度と、第2スイング爪部22の第2爪82に掴まれた媒体12の速度が同一となるように、ローラ32A、及びローラ32Bの少なくともいずれか一方の回転速度が制御され、かつ、第2スイング爪部22の第2アーム部80の揺動速度が制御される。
本明細書における同一の用語は、厳密には相違するものの、同一の作用効果を奏することができる実質的な同一が含まれる。
回転速度とは単位時間あたりのローラ32A、及びローラ32Bの少なくともいずれか一方の回転数である。ニップローラ32の媒体12をニップする位置における媒体12の速度は、ニップローラ32の媒体12をニップする位置におけるローラ32A、又はローラ32Bの接線方向における媒体12の速度である。
図20は第2爪部が媒体を離した状態の模式図である。第2爪82がニップローラ32の配置位置に到達すると、第2スイング爪部22は第2爪82を開いて媒体12を開離する、第2爪82を開いた直後に第2アーム部80を加速させることによって、第2爪82から媒体12を確実に開放させることができる。第2アーム部80を加速させた後の媒体12の速度は、加速前の媒体12の速度の1.2倍以上とすることによって、第2爪82から媒体12をより確実に開放させることができる。
媒体12がニップローラ32の媒体12をニップする位置を通過すると、第2スイング爪部22は第2アーム部80を図20における反時計回り方向へ揺動させて、第2スイング爪部22の待機位置へ第2スイング爪部22を移動させる。
なお、図20において破線を用いて図示したローラ32A、及びローラ32Bは、ニップローラ32が媒体12をニップする前のローラ32A、及びローラ32Bである。また、矢印線は、第2爪82を開く際の可動爪82Bのスライド移動方向を示す。
図21は媒体を離した後の第2スイング爪部の動作を示す模式図である。図21に示すように、媒体12を離した第2スイング爪部22は、第1バッファー部20との媒体の受け渡し位置へ移動する。図21に示した二点破線は、第2爪82が媒体12Dを掴んでから次の媒体12Dを掴むまでの第2爪82の軌跡である。
[第1実施形態の作用効果]
以上説明した第1実施形態は、次の作用効果を得ることができる。
複数枚の媒体12を起立させた姿勢で一枚ずつ支持して、媒体12同士を非接触で搬送することによって、媒体同士の接触による媒体の傷付きを防止することができる。
媒体12の第1面、又は第2面の少なくとも一部を支持して搬送する場合と比較して、省スペースでより多くの媒体を一定期間保管することができる。
[第2実施形態に係る媒体搬送装置の説明]
図22は第2実施形態に係る媒体搬送装置の全体構成図である。以下に説明する第2実施形態において、既に説明した第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図22に示した媒体搬送装置200は、図1に示した第1スイング爪部16、及び第2スイング爪部22に代わりチェーン搬送部201を備えている。また、図1に示した第1バッファー部20に代わり、第2バッファー部202が具備される。
図22に示した媒体搬送装置200は、前段に配置されたコンベア30によって搬送された媒体12の姿勢を寝かせた姿勢から起立させた姿勢に変更するチェーン搬送部201と、起立させた姿勢の媒体12を一定期間支持する第2バッファー部202を備えている。チェーン搬送部201は、起立させた姿勢の媒体12を寝かせた姿勢に変更して、排出部24から排出させる。
図22に示したチェーン搬送部201は、第3スプロケット203A、及び第4スプロケット203Bに巻き掛けられた無端状のチェーン204と、チェーン204を支持する複数の支持ローラ205と、チェーン204に支持される複数の吊り下げ爪206とを備えている。
図22に示したチェーン搬送部201は、二本のチェーン204が、チェーン204の走行方向と直交する方向に沿って配置されている。二本のチェーン204の間には、複数の吊り下げ爪206が配置される。チェーン204の走行方向と直交する方向における複数の吊り下げ爪206の配置は、図3に示した吊り下げ爪移動部19における吊り下げ爪18の配置と同様であり、ここでの説明を省略する。
チェーン204の走行方向と直交する方向に沿って配置された複数の吊り下げ爪206が一組の吊り下げ爪群を構成する。図22に示した第2バッファー部202は、チェーン204の走行方向に沿って複数の吊り下げ爪群が配置される。
チェーン搬送部201は、搬入部14において先端12Cを掴んだ媒体12をチェーン204の走行方向に沿って移動させることによって、寝かせた姿勢の媒体12を起立させた姿勢に変更している。
図22に示した第2バッファー部202は、チェーン204から吊り下げ爪206が切り離される切り離し位置220から、チェーン204へ吊り下げ爪206が接続される接続位置222までの領域において、吊り下げ爪206によって媒体12を吊り下げることによって、媒体12を起立させた姿勢で一定期間保管する。
第2バッファー部202は、チェーン204から吊り下げ爪206を切り離す離脱機構232と、吊り下げ爪206をチェーン204に接続させる接続機構234と、吊り下げ爪206を支持する吊り下げ爪支持部236と、を備えている。図22において、吊り下げ爪支持部236は破線を用いて図示する。
コンベア30によって搬送され、媒体搬送装置200の搬入部14に到達した媒体12は、チェーン204に接続されている吊り下げ爪206によって先端12Cを掴まれる。図22に示した媒体搬送装置200における搬入部14は、コンベア30からチェーン204に接続された吊り下げ爪206との間で媒体12の受け渡しが行われる領域である。
吊り下げ爪206によって先端12Cを掴まれた媒体12は、切り離し位置220へ送られる。吊り下げ爪206によって先端12Cを掴まれた媒体12は、吊り下げ爪206に掴まれて切り離し位置220へ送られることによって、寝かせた姿勢から起立させた姿勢に変更される。
切り離し位置220において吊り下げ爪206が切り離されると、吊り下げ爪206に掴まれた媒体12は第2バッファー部202に一定期間保管される。第2バッファー部202は媒体12を切り離し位置220から接続位置222へ移動させることによって、媒体12を一定期間保管する。
媒体保管部230によって切り離し位置220から接続機構234に移動させた媒体12は、接続位置222において吊り下げ爪206がチェーン204に接続され、排出部242へ移動させることによって、起立した姿勢から寝かせた姿勢に変更される。
排出部242において、寝かせた姿勢に変更された媒体12は、コンベア34に受け渡される。図22に示した媒体搬送装置200における排出部242は、チェーン204に接続された吊り下げ爪206とコンベア34との間で媒体12の受け渡しが行われる領域である。
[第2実施形態の作用効果]
上記の如く構成された媒体搬送装置200によれば、媒体12の掴み替えを行うことなく、媒体の受け渡しが可能である。
また、第1実施形態に係る媒体搬送装置10と同様に、媒体12の第1面、又は第2面の少なくとも一部を支持して搬送する場合と比較して、省スペースでより多くの媒体を一定期間保管することができる。
[第3実施形態に係る媒体搬送装置の説明]
<全体構成>
図23は第3実施形態に係る媒体搬送装置の全体構成図である。以下に説明する第3実施形態において、既に説明した第1実施形態、及び第2実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図23に示した媒体搬送装置300は、図1に示した第1実施形態に係る媒体搬送装置10の第1スイング爪部16、第1バッファー部20、及び第2スイング爪部22に代わり、第3バッファー部302が具備される。
図23に示した第3バッファー部302は、起立させた姿勢の媒体12の第1面12A、又は第2面12Bを支持するトレイ304を複数備えている。複数のトレイ304は、ローラ306,308に巻き掛けられた無端状のトレイ支持部310のトレイ支持面311に取り付けられている。ローラ306は第1ローラに相当し、ローラ308は第2ローラに相当する。または、ローラ306は第2ローラに相当し、ローラ308は第1ローラに相当する。
ローラ306,308のいずれか一方を回転させてトレイ支持部310を走行させることによって、複数のトレイ304を移動させることができる。図23には、トレイ支持部310の走行方向に符号Kを付して図示する。
コンベア30からトレイ304に受け渡された媒体12は、トレイ304によって第2面12Bを支持される。トレイ304は、媒体12を支持する媒体支持面に不図示の隙間部が設けられている。
トレイ304の隙間部の幅に対応してコンベア30の幅が決められている。また、トレイ304の隙間部の位置に対応してコンベア30の配置が決められている。トレイ304が複数の隙間部を有する態様では、複数の隙間部に対応して複数のコンベア30を備えてもよい。
トレイ304の構造例として、隙間を空けて複数の円柱を並べた構造、直方体に隙間部として切欠きが形成された構造などが挙げられる。
コンベア30から媒体12を受け渡されたトレイ304は、媒体12を寝かせた姿勢で支持する。ローラ306の外周面に沿ってトレイ支持部310が走行すると、トレイ304は符号Jを付した方向に沿って媒体12を移動させ,媒体12の姿勢を寝かせた姿勢から起立させた姿勢に変更する。
すなわち、ローラ306の外周面に沿ってトレイ304を移動させる領域は、第1実施形態の第1スイング爪部16に相当する。また、第3バッファー部302におけるローラ306の外周面に沿ってトレイ304を移動させる領域は、第1媒体姿勢変更部の一態様である。
複数のトレイ304はトレイ支持部310のトレイ支持面301Aの法線方向に対して斜めに傾けられて取り付けられている。トレイ支持部310の走行方向におけるトレイ304の配置間隔は、前段のコンベア30における媒体12の搬送速度に対応して決められている。
第3バッファー部302において、ローラ306からローラ308へトレイ304を移動させる領域は、第1実施形態における第1バッファー部20に対応しており、媒体保管部の一態様である。
トレイ304に支持されて搬送される媒体12が、第1媒体反転部312に到達すると、媒体12の表裏が反転される。第1媒体反転部312の詳細は後述する。
第3バッファー部302は、媒体12の表裏を反転させ、かつ、前後を反転させる第2媒体反転部314を備えている。図23に示した第2媒体反転部314は、前段に配置されるトレイ304、及びトレイ支持部310等から構成される媒体12を搬送する構成と同様に、トレイ316、ローラ318、ローラ320、及びトレイ支持部322を含んで構成される。
第2媒体反転部314は、トレイ316に支持される媒体12の面を反転させる第3媒体反転部324を備えている。第3媒体反転部324は、第1媒体反転部312と同様の構成を適用することができる。
ローラ308の外周面に沿ってトレイ支持部310を移動させる領域では、起立させた媒体12の姿勢を寝かせた姿勢に変更する。トレイ304が第2媒体反転部314のトレイ316と交差する位置に到達すると、トレイ304から第2媒体反転部314のトレイ316へ媒体12が受け渡される。
第2媒体反転部314のトレイ316とコンベア34と交差する位置に到達すると、トレイ316からコンベア34へ媒体12が受け渡される。
第2媒体反転部314は、第1実施形態に係る媒体搬送装置10における第2スイング爪部22に対応し、第2姿勢変更部の一態様である。
第2媒体反転部314のトレイ316からコンベア34へ媒体12が受け渡される位置、又は領域は、媒体搬送装置300の排出部24である。
<第1媒体反転部の説明>
図24は第3実施形態に係る媒体搬送装置における第1媒体反転部の概略構成図である。図24において図23と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図24に示すように、トレイ304を支持するトレイ支持部310としてチェーンが適用される。図23に示したトレイ支持部310として機能するチェーン310Bの走行方向に沿って複数のチェーン310Bが配置され、一つのトレイ304が複数のチェーン310Bによって支持されている。図24では複数のチェーン310Bのうち一本のチェーン310Bのみを図示する。
図24に示すように、トレイ304はトレイ固定部材330によってチェーン310Bに揺動可能に固定される。チェーン310Bに対するトレイ304の揺動範囲の例として、チェーン310Bのトレイ支持面310Aの法線方向に対してプラスマイナス15度の角度が挙げられる。
図24に示した第1媒体反転部312は、複数のチェーン310Bが乗り上げる位置にローラ332が配置されている。ローラ332は、チェーン310Bの走行方向と直交する方向であり、チェーン310Bのトレイ支持面310Aと平行方向に配置される。ローラ332は、ローラ332の配置方向ついて、最も離れた位置に配置される二本のチェーン310Bの配置間隔に対応する長さを有している。
媒体12を支持したトレイ304Aが第1媒体反転部312の位置に到達すると、媒体12を支持したトレイ304Aは、媒体12を支持したトレイ304Aが固定されるチェーン310Bと一緒にローラ332に乗り上げる。
ローラ332に乗り上げたトレイ304Aは、ローラ332に乗り上げた勢いで揺動し、チェーン310Bの走行方向についてローラ332に乗り上げる前と反対側へ傾く。そうすると、チェーン310Bの走行方向について一つ前のトレイ304Bに媒体12が移動し、一つ前のトレイ304Bに移動した媒体12はトレイ304Aに支持されていた面と反対側の面を一つ前のトレイ304Bによって支持される。
このようにして、第1媒体反転部312において媒体12を表裏反転させ、表裏が反転された媒体12は、第3バッファー部302によって搬送される。図24では、表裏を反転させる前の媒体は符号12Eを付して図示し、表裏を反転させた後の媒体は符号12Fを付して図示する。
先に説明したように、第1媒体反転部312の構成は第3媒体反転部324に適用することができる。
[第3実施形態の作用効果]
上記の如く構成された媒体搬送装置300によれば、媒体12の掴み替えを行うことなく、媒体の受け渡しが可能である。
また、第1実施形態に係る媒体搬送装置10、及び第2実施形態に係る媒体搬送装置200と同様に、媒体12の第1面、又は第2面の少なくとも一部を支持して搬送する場合と比較して、省スペースでより多くの媒体を一定期間保管することができる。
媒体12とトレイ304が接触するものの、媒体12同士を重ねる場合と比較して媒体12の傷付きを抑制することが可能となる。
第2媒体反転部314は、ローラ306の前段に配置されてもよい。第2媒体反転部314は、図23に示した態様に限定されず、媒体12の表裏、及び媒体12の前後を反転させることが可能な他の構成を適用してもよい。
[他の装置への適用例の説明]
次に、第1実施形態に係る媒体搬送装置10、第2実施形態に係る媒体搬送装置200、及び第3実施形態に係る媒体搬送装置300の他の装置への適用例について説明する。以下に、インクジェット記録装置において媒体を搬送する手段への適用例を示す。
<全体構成>
図25は媒体搬送装置が適用される他の装置への適用例に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。インクジェット記録装置は液体付与装置の一態様である。図25に示したインクジェット記録装置400は、給紙部412、処理液付与部414、処理液乾燥部416、描画部418、インク乾燥部420、バッファー部421、ニス塗布部422、ニス乾燥部424、及び排紙部426を主たる構成とする。描画部418は液体付与部の一態様である。インク乾燥部420は乾燥処理部の一態様である。ニス塗布部422は媒体に対して後処理を施す後処理部の一態様である。
<処理液付与部>
処理液付与部414は、給紙部412から給紙された媒体の表面に処理液を付与する処理を行う。媒体の表面に処理液を付与する処理は本処理の前に行われる前処理である。図25において媒体の図示は省略する。
処理液付与部414は、媒体を搬送する処理液胴442と、処理液胴442によって搬送される媒体の表面に処理液を付与する処理液付与ユニット444と、を含んで構成される。
処理液は、後段の描画部418で媒体に打滴される水性UVインク中の色材成分を凝集させる凝集剤を含む液体で構成される。凝集剤としては、インク組成物のペーハーを変化させることができる化合物であってもよいし、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。なお、UVはultravioletの略語である。
ペーハーを低下させ得る化合物としては、水溶性の高い酸性物質である、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、若しくは、これらの化合物の誘導体、又は、これらの塩等が好適に挙げられる。酸性物質は、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を併用してもよい。これにより、凝集性を高め、インク全体を固定化することができる。
また、摂氏25度におけるインク組成物のペーハーは、8.0以上であって、摂氏25度における処理液のペーハーは、0.5以上4.0以下の範囲が好ましい。これにより、画像濃度、解像度及びインクジェット記録の高速化を図ることができる。
また、処理液には、添加剤を含有することができる。例えば、乾燥防止剤、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、ペーハー調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。乾燥防止剤は湿潤剤でもよい。
このような処理液を媒体の印刷面に事前に塗布してからインクの打滴を行うことにより、フェザリングやブリーディング等の発生を防止でき、非コート紙のような一般の印刷用紙を使用しても、高品位な印刷を行うことが可能になる。
処理液胴442は、媒体を支持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。処理液胴442は、その外周面に爪形状のグリッパー442Aを備え、このグリッパー442Aによって媒体は先端を把持される。渡し胴413から受け渡された媒体は、グリッパー442Aで把持した状態で処理液胴442が回転し、媒体を処理液胴442の周面に巻き付けて搬送する。媒体の先端をグリッパー442Aで把持した状態は、媒体の先端をグリッパー442Aで掴んだ状態と同じ状態である。
処理液付与ユニット444は、ローラ塗布方式が適用される。処理液を塗布する形態はローラ塗布方式に限定されず、インクジェット方式、ブレードによる塗布など、他の形態を適用することも可能である。
<処理液乾燥部>
処理液乾燥部416は、処理液が付与された媒体の乾燥処理を行う。処理液乾燥部416は、媒体を搬送する処理液乾燥胴446と、媒体の裏面を支持する用紙搬送ガイド448と、処理液乾燥胴446によって搬送される媒体の第1面である処理液塗布面に熱風を吹き当てて乾燥させる処理液乾燥ユニット450と、を含んで構成される。処理液乾燥ユニット450は、処理液乾燥胴446の内側に設置される。
処理液付与部414の処理液胴442から処理液乾燥胴446へ受け渡された媒体は、処理液乾燥胴446に具備されるグリッパー446Aによって先端を把持される。
また、媒体は、処理液が塗布された表面を、処理液乾燥胴内側に向けた状態で第2面を用紙搬送ガイド448によって支持される。この状態で処理液乾燥胴446を回転させることにより媒体を搬送させる。
処理液乾燥胴446によって媒体が搬送される過程で、処理液乾燥ユニット450から媒体の表面に熱風が吹き当てられ、処理液中の溶媒成分が除去されて、媒体の表面にインク凝集層として機能する処理液層が形成される。処理液乾燥部416により、処理液中の水分が蒸発し、処理液の薄膜層が媒体の記録面に形成される。このように処理液を薄層化することによって、描画部418で打滴するインクのドットが媒体の記録面と接触し、必要なドット径が得られ、かつ、薄層化した処理液成分と反応して色材凝集が起こり、媒体の記録面に固定する作用が得られやすい。
<描画部>
描画部418は、媒体を搬送する描画胴452と、描画胴452に受け渡された媒体を押圧して、描画胴452の周面に媒体を密着させる用紙押さえローラ454と、媒体にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kと、を備える。以下の説明において、シアンをC、マゼンタをM、イエローをY、ブラックをKで表すことがある。
描画部418は、媒体に記録された画像を読み取るインラインセンサ458と、インクミストを捕捉するミストフィルタ460と、描画胴452を冷却する冷却ユニット462と、を備える。
描画胴452は、その外周面に媒体を支持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。描画胴452は、その外周面に爪形状のグリッパー452Aを備え、このグリッパー452Aによって媒体は先端を把持される。描画胴452の周面には、用紙吸着のための図示しない吸引孔が多数形成されており、吸引孔に発生させた負圧によって媒体が描画胴452の周面に吸着保持される。なお、負圧吸引によって媒体を吸着固定する構成に限らず、例えば、静電吸着により媒体を吸着保持する構成とすることもできる。なお、吸引は吸着と同義である。
用紙押さえローラ454は、描画胴452の外周面に媒体を密着させるためのガイド部材である。用紙押さえローラ454は、描画胴452の外周面に対向し、処理液乾燥胴446と描画胴452との間の用紙記録受渡位置よりも用紙搬送方向の下流側であり、且つ、インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kよりも用紙搬送方向の上流側に配置される。
処理液乾燥胴446から受け渡された媒体はグリッパー452Aによって先端が把持され、描画胴452の回転により媒体が用紙押さえローラ454の下を通過することによって、媒体は描画胴452の周面に密着する。
処理液乾燥胴446から描画胴452に受け渡された媒体は、グリッパー452Aによって先端が把持された状態で回転搬送される際に、用紙押さえローラ454によって押圧され、描画胴452の外周面に密着する。こうして、媒体の記録面が外側を向く状態で媒体が描画胴452に密着固定され、描画胴452の回転により、媒体はインクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kの直下の印字領域に送られる。
インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kは、媒体の幅方向の描画可能範囲に対応する長さにわたってノズルが形成されるライン型の記録ヘッドが適用される。インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kは、媒体の搬送方向と直交する方向に延在するように設置される。なお、媒体の幅方向は主走査方向と同義である。ライン型の記録ヘッドはラインヘッドと呼ばれる場合がある。媒体の搬送方向は描画胴452の回転方向と同義である。媒体の搬送方向と直交する方向は描画胴452の回転軸と平行な方向である。
本実施形態に係るインクジェット記録装置400に適用されるインクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kには、圧電素子のたわみ変形を利用してインクを吐出させる圧電方式が採用される。なお、インクジェットヘッドの吐出方式は特に限定されず、インクを加熱して膜沸騰現象を発生させてインクを吐出させるサーマル方式、帯電させたインクを静電気力によって記録媒体へ着弾させる静電方式など、様々な吐出方式を適用することができる。
描画胴452の周面に吸着保持され搬送される媒体は、各インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kの直下のインク打滴領域を通過する際に、各インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456KからC,M,Y,Kの各色のインク液滴が表面に打滴されて、媒体表面にカラー画像が描画される。
描画胴452によって媒体を一定の速度で搬送し、この搬送方向について、媒体と各インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kを相対的に移動させる動作を1回行うだけで、すなわち、1回の副走査で、媒体の画像形成領域に画像を記録することができる。
本実施形態では、CMYKの4色のインクを用いるインクジェット記録装置400を例示しているが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kによって画像が形成された媒体は、インラインセンサ458の読取領域を通過する際に、表面に形成された画像が読み取られる。
インラインセンサ458による画像の読み取りは必要に応じて行われ、画像の読取データから吐出不良、濃度むら等の画像欠陥といった画像の異常の有無の検査が行われる。インラインセンサ458の読取領域を通過した媒体は、吸着が解除された後、ガイド459の下を通過して、インク乾燥部420へと受け渡される。
<インク乾燥部>
インク乾燥部420は、チェーン搬送部464によって搬送される媒体に対して加熱送風乾燥処理を施す加熱乾燥ユニット468と、紫外線の照射による紫外線乾燥処理を施す紫外線照射ユニット469を含んで構成され、画像形成後の媒体に対して乾燥処理を施し、インクを定着させる。
乾燥処理の他の態様として、熱せられた空気を媒体へ吹き付ける態様が挙げられる。空気に代わり空気以外の気体を適用してもよい。気体に代わり液体などの流体を適用してもよい。
紫外線照射ユニット469は、水性UVインクを用いて記録された画像に紫外線を照射して、媒体の表面に画像を定着させる。紫外線照射ユニット469の構成例として、UV光を発生させる紫外線光源と、UV光を集光する手段、UV光を偏向させる手段等として機能する光学系と、を含む態様が挙げられる。
チェーン搬送部464によって搬送される媒体が紫外線照射ユニット469のUV光照射領域に到達すると、チェーン搬送部464の内部に設置された紫外線照射ユニット469によりUV照射処理が施される。
チェーン搬送部464は、スプロケット464A及びスプロケット464Bに一対の無端状のチェーン464Cが巻き掛けられた構造を有している。また、媒体の後端の裏面は、チェーン搬送部464との間の一定の距離を離して配置されたガイドプレート474の媒体支持面に吸着保持される。
描画胴452からチェーン搬送部464へ受け渡された媒体は、チェーン搬送部464に具備されるグリッパー464Dによって先端を把持される。先端をグリッパー464Dによって把持され、後端の裏面を媒体支持面に吸着保持されてチェーン搬送部464によって搬送される媒体は、媒体の搬送経路において媒体の表面と対応する位置に配置された紫外線照射ユニット469からUV光が照射される。UV光が照射されたインクは、硬化反応が発現して媒体の表面に定着する。インク乾燥部420を通過した媒体は、コンベア476を介してバッファー部421の搬入部へ送られる。
<バッファー部>
バッファー部421は、前段のインク乾燥部420と後段のニス塗布部422との間における中間バッファー部であって、インク乾燥部420による乾燥処理後の媒体であり、ニス塗布部422によるニス塗布前の媒体の状態を調整する。
媒体の状態の調整の例として、加熱による乾燥促進、又は予め決められた環境条件化における一定期間の保管による湿度調整などが挙げられる。環状条件の例として、温度、湿度が挙げられる。
すなわち、バッファー部421の一態様として、温度調整手段、及び湿度調整手段などの環境調整手段を備え、バッファー部421において媒体を一定期間保管する態様が挙げられる。
すなわち、バッファー部421は、前段のインク乾燥部420と後段のニス塗布部422との間において、予め決められた一定期間、媒体を保管する機能を有している。一定の時間間隔で搬入される媒体を、予め決められた一定期間で搬入部から排出部へ媒体を移動させることによって、予め決められた一定期間、媒体を保管する機能を実現している。
図25に示したバッファー部421として、第1実施形態に示した媒体搬送装置10、第2実施形態に示した媒体搬送装置200、及び第3実施形態に示した媒体搬送装置300を適用することができる。バッファー部421を通過した媒体は、ニス塗布部422の用紙搬送を担うニス圧胴465に受け渡される。
図25に示したコンベア476は図1に示したコンベア30に相当する。図25に示したコンベア477は図1に示したコンベア34に相当する。
<ニス塗布部>
ニス塗布部422は、媒体を搬送するニス圧胴465と、ニス圧胴465で運ばれる媒体に対してニスを塗布するニスユニット480と、を備える。ニス圧胴465は、処理液胴442と同様の構成であり、媒体を支持して回転搬送させるドラムである。ニス圧胴465は、その外周面に爪形状のグリッパーを備え、このグリッパーによって媒体は先端を把持される。なお、図25において、ニス圧胴465の外周面に備えられるグリッパーの図示は省略する。
ニスユニット480は、ニス圧胴465に巻かれた媒体に接触して媒体の表面にニスを転写塗布するニス塗布ローラとして機能するニス胴482と、ニス胴482の表面に一定量のニスを供給するニス供給ローラ484と、ニス供給ローラ484にニスを供給するニスチャンバー486とを含み、媒体の表面にニスを塗布するコーティング装置として機能する。
使用されるニスの種類については、特に限定はなく、例えば、油性ニス、水性ニス、紫外線硬化型ニスのいずれの種類を用いることができる。なお、ニス胴482に樹脂版を用いることにより、媒体上の所望の部位のみに選択的にニスを塗布するパターンのニス塗りである、いわゆるスポットニスが可能である。
<ニス乾燥部>
ニス乾燥部424は、ニス塗布部422において媒体表面に塗布されたニスを乾燥させる処理を行う。ニス塗布部422にて使用されるニスの種類に合わせて、適切な乾燥ユニット474が設置される。油性ニスや水性ニスが用いられる場合には、赤外線ヒータと送風装置とを組み合わせた加熱乾燥ユニットが設置される。
紫外線硬化型ニスが用いられる場合には、加熱乾燥ユニットに代えて、又はこれと組み合わせて、紫外線照射ユニットが設置される。また、乾燥ユニット474には、媒体に対して冷風を吹き付ける冷風装置を設置することができる。
チェーン搬送部466は、スプロケット466A及びスプロケット466Bに一対の無端状のチェーン466Cが巻き掛けられた構造を有している。チェーン搬送部466に受け渡された媒体は傾斜搬送路470Bを経由して排紙部426へ送られる。傾斜搬送路470Bの部分に乾燥ユニット474が設置されており、傾斜搬送路470Bを通過する媒体に対して、ニス乾燥の処理が行われる。また、傾斜搬送路470Bにおいて、媒体の後端の裏面は、チェーン搬送部466との間の一定の距離を離して配置されたガイドプレート475の媒体支持面に吸着保持される。
チェーン搬送部466によって搬送された媒体は、排紙部426へ送られる。
<制御系の説明>
図26は図25に示すインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。なお、図26中、図25と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図26に示すように、インクジェット記録装置400は、システムコントローラ500、通信部502、画像メモリ504、搬送制御部510、給紙制御部512、処理液付与制御部514、処理液乾燥制御部516、描画制御部518、インク乾燥制御部520、ニス塗布制御部522、ニス乾燥制御部524、排紙制御部526、操作部530、表示部532等を備える。
システムコントローラ500は、インクジェット記録装置400の各部を統括制御する制御手段として機能し、かつ、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ500は、不図示の中央演算装置、及び不図示の記憶装置を内蔵している。記憶装置は読み出し、及び書込みが可能な記憶装置でもよいし、読み出し専用の記憶装置でもよい。また、読み出し、及び書込みが可能な記憶装置と読み出し専用の記憶装置とを併用してもよい。
また、記憶装置はシステムコントローラ500に付随して、システムコントローラ500の外部に設けられていてもよい。
通信部502は、所要の通信インターフェースを備え、通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ503との間でデータの送受信を行う。
画像メモリ504は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ500を通じてデータの読み書きが行われる。通信部502を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、一旦画像メモリ504に格納される。
搬送制御部510は、インクジェット記録装置400における媒体の搬送系550の動作を制御する。すなわち、搬送制御部510は給紙部412から排紙部426までの媒体の搬送を制御する。
搬送系550には、図25で説明した処理液付与部414における処理液胴442、処理液乾燥部416における処理液乾燥胴446、描画部418における描画胴452、インク乾燥部420のチェーン搬送部464、ニス塗布部422のニス圧胴465、ニス乾燥部424、及び排紙部426のチェーン搬送部466が含まれる。
給紙制御部512は、システムコントローラ500からの指令に応じて、給紙部412の動作を制御する。給紙部412の動作の例として、媒体を一次停止させる動作、又は媒体の姿勢を修正する動作などが挙げられる。
処理液付与制御部514は、システムコントローラ500からの指令に応じて、処理液付与部414による処理液の付与量、及び処理液の付与タイミング等を制御する。
処理液乾燥制御部516は、システムコントローラ500からの指令に応じて、処理液乾燥部416による乾燥温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
描画制御部518は、システムコントローラ500からの指令に応じて、入力画像データに基づいて描画部418からのインク打滴を制御する。図26に示した描画制御部518は、入力画像データからドットデータを形成する画像処理部と、駆動電圧の波形を生成する波形生成部と、駆動電圧の波形を記憶する波形記憶部と、インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kのそれぞれに対して、ドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を供給する駆動回路と、を含んで構成される。画像処理部、波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路の図示は省略する。
画像処理部では、入力画像データに対して色変換処理、ガンマ補正、むら補正等の補正処理、M値の各色のデータをN値の各色データに変換するハーフトーン処理(量子化処理)が施される。なお、MはNを超える整数であり3以上の整数である。Nは2以上の整数である。
入力画像データの例として、0から255のデジタル値で表されるラスターデータが挙げられる。ハーフトーン処理は量子化処理と呼ばれる場合がある。
画像処理部による処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の打滴タイミング、インク打滴量が決められ、各画素位置の打滴タイミング、インク打滴量に応じた駆動電圧、各画素の打滴タイミングを決める制御信号である駆動信号が生成される。
この駆動電圧がインクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kへ供給され、インクジェットヘッド456C,456M,456Y,456Kから打滴されたインク液滴によって各画素位置にドットが形成される。
インク乾燥制御部520は、システムコントローラ500からの指令に応じて、インク乾燥部420における乾燥温度、乾燥気体の流量、乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。また、インク乾燥制御部520は、UV照射制御部を含み、システムコントローラ500からの指令に応じて、図25に示した紫外線照射ユニット469による紫外線の照射光量を制御し、かつ、UV光の照射タイミングを制御する。紫外線の照射光量に代わり、紫外線の強度を制御してもよい。
バッファー制御部521は、システムコントローラ500からの指令に応じてバッファー部421を制御する。図26に示したバッファー制御部521として、図10に示した構成を適用することができる。図26に示したバッファー制御部521として、図10に示した構成を適用する場合に、同様の機能を有する構成を共通化してもよい。
ニス塗布制御部522は、システムコントローラ500からの指令に応じて、ニス塗布部422の動作を制御する。
ニス乾燥制御部524は、システムコントローラ500からの指令に応じて、ニス乾燥部424の動作を制御する。
排紙制御部526は、システムコントローラ500からの指令に応じて、排紙部426の動作を制御する。
操作部530は、操作ボタン、キーボード、タッチパネル等の操作部材を備え、その操作部材から入力された操作情報をシステムコントローラ500に送出する。システムコントローラ500は、この操作部530から送出された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部532は、液晶ディスプレイ装置等の表示装置を備え、システムコントローラ500からの指令に応じて、装置の各種設定情報、異常情報などの情報を表示装置に表示させる。
インラインセンサ458から出力される検出信号は、ノイズ除去、波形整形等の処理が施され、システムコントローラ500を介して予め決められたメモリに記憶される。検出信号は、インラインセンサ458の検出データを表す。検出信号が記憶されるメモリの例として、システムコントローラ500に内蔵される記憶装置、又はシステムコントローラ500に付随して備えられる記憶装置が挙げられる。
本例では、インクジェット記録装置における中間バッファー部への適用例を示したが、インクジェット記録装置、中間バッファー装置、ニスコーティング装置をそれぞれ独立の装置として連結動作させることも可能である。また、他の装置構成における前段処理部と後段処理部との中間バッファー装置への適用が可能である。
[媒体について]
媒体には、記録媒体、被記録媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体、用紙、記録用紙、印刷用紙など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、媒体の材質や形状等は、特に限定されず、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。なお、OHPはoverhead projectorの略語である。
[実施形態の組み合わせについて]
上述した各実施形態として説明した構成を適宜組み合わせた構成を採用することが可能である。
[方法発明への適用例]
以上説明した装置各部に対応する工程を含む方法発明を構成することも可能である。
[実施形態の利点]
上述した実施形態によれば、次のような利点がある。
(1)複数枚の媒体を起立させた姿勢で一枚ずつ支持して、媒体同士を非接触で搬送することによって、媒体同士の接触による媒体の傷付きを防止することができる。
(2)媒体の第1面、又は第2面の少なくとも一部を支持して搬送する場合と比較して、省スペースでより多くの媒体を一定期間保管することができる。
(3)第2実施形態に係る媒体搬送装置、及び第3実施形態に係る媒体搬送装置によれば、媒体の掴み替えを行うことなく、媒体の受け渡しが可能である。
(4)媒体に処理を施す処理部における媒体搬送では、媒体が一枚ずつ分離して支持されているので、各媒体に対して効果的に処理を行うことができる。
(5)媒体に対する処理状態の調整を行う処理状態調整部における媒体搬送では、媒体が一枚ずつ分離して支持されているので、効果的に各媒体の処理状態の調整を行うことができる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。