図2は、下りリンクにNOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)が適用された無線通信システムの基本的な構成例を示す模式図である。図2では、無線基地局BS(ここでは、無線基地局BS_2)により形成されるセルを例示している。無線基地局BS_2のカバレッジエリア内には、複数のユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_2A,UE_2B,UE_2C)が在圏している。この無線通信システムにおいて、無線基地局BS_2は、複数のユーザ端末UE宛ての下りリンク信号を同じ無線リソース(周波数帯域、時間スロット)に非直交多重して異なる送信パワー(送信電力)で送信できる。
図2に示す無線通信システムでは、各ユーザ端末UEの伝送路の状態(例えば、チャネルゲイン、受信SINR、無線基地局BSとユーザ端末UEとの間のパスロス(伝搬損失、経路損失)など)に応じて送信パワーが制御される。例えば、伝送路の状態が良い(チャネルゲインが高い、受信SINRが大きい、パスロスが小さい)ユーザ端末UE_2Aの送信パワーを小さく割り当て、伝送路の状態が悪い(チャネルゲインが低い、受信SINRが小さい、パスロスが大きい)ユーザ端末UE_2Cの送信パワーを大きく割り当てるような制御が行われる。なお、ユーザ端末UE_2Bの伝送路の状態は、ユーザ端末UE_2Aとユーザ端末UE_2Cとの中間程度とする。
この送信パワー制御により、例えば、ユーザ端末UE_2Cの在圏位置では、ユーザ端末UE_2A,UE_2B宛ての信号は十分に弱くなる。よって、ユーザ端末UE_2Cは、ユーザ端末UE_2A,UE_2B宛ての信号による干渉を無視して自端末宛ての信号を復号できる。一方、ユーザ端末UE_2Aの在圏位置において、ユーザ端末UE_2B,UE_2C宛ての信号は強い。そのため、ユーザ端末UE_2Aは、自端末宛ての信号に加え、ユーザ端末UE_2B,UE_2C宛ての信号を受信する。
NOMAにおいて、各ユーザ端末UE宛ての信号は識別できる態様で多重されており、例えば、ユーザ端末UE_2Aは、ユーザ端末UE_2B,UE_2C宛ての信号を復号してキャンセルすることができる。このようなSIC(Successive Interference Cancellation)受信により、各ユーザ端末UEは、非直交多重された自端末宛ての信号を適切に分離して取得する。
図2に示すように、下りリンクのNOMAでは、同一の無線リソースに対して複数のユーザ端末UE宛ての信号を重畳できるので、無線リソースの利用効率は改善される。一方で、将来の無線通信システムにおいて見込まれるトラヒックの増大に対応できるように、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)にNOMAを適用すること(以下、NOMA/MIMO)も検討されている。
図3は、下りリンクのNOMAを説明するための模式図であり、図4は、下りリンクのNOMA/MIMOを説明するための模式図である。図3に示すように、通常のNOMAでは、ユーザ端末UE_3Aより伝送路の状態が悪いユーザ端末UE_3Bに対する下りリンク信号が、ユーザ端末UE_3Aに対する下りリンク信号より大きな送信パワーで送信される。ユーザ端末UE_3Aは、ユーザ端末UE_3Bに対する下りリンク信号を干渉信号として受信するが、この干渉信号はSICで除去できる。一方、ユーザ端末UE_3Bより伝送路の状態が良いユーザ端末UE_3Aに対する下りリンク信号は、ユーザ端末UE_3Bに対する下りリンク信号より小さな送信パワーで送信される。そのため、ユーザ端末UE_3Bは、ユーザ端末UE_3Aに対する下りリンク信号による干渉を無視できる。
一方、NOMA/MIMOでは、例えば、図4に示すように、異なる位置に形成される複数の送信ビーム(ここでは、送信ビームB1,B2)のそれぞれに、複数のユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_4A,UE_4B,UE_4C,UE_4D)宛ての下りリンク信号を非直交多重する。具体的には、図4では、送信ビームB1にユーザ端末UE_4A,UE_4B宛ての下りリンク信号が非直交多重され、送信ビームB2にユーザ端末UE_4C,UE_4D宛ての下りリンク信号が非直交多重されている。
NOMA/MIMOにおいて、送信ビーム間の干渉は、例えば、IRC(Interference Rejection Combining)で抑制される。各ユーザ端末UEの受信処理は、送信ビーム間の干渉抑制を除いて、図3のNOMAと同様である。このように、NOMA/MIMOを下りリンクに適用すると、位置の異なる複数の送信ビームで同一の無線リソースを使用できるので(空間分割多重)、無線リソースの利用効率を更に高める事ができる。なお、図4では、MU−MIMO(Multi User Multiple-Input and Multiple-Output)にNOMAを適用した例を示しているが、MIMOはこれに限られない。
次に、NOMAで使用される参照信号について説明する。図5は、無線基地局BSから送信される復調用参照信号(DM−RS(DeModulation Reference Signal))の無線リソース構成の例を示す模式図である。図5A〜図5Dにおいて、横軸は無線リソース(時間、周波数)を表し、縦軸は送信パワーを表す。図5Aに示すように、1アンテナによる送信ビームにNOMAを適用する場合、各ユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_5A,UE_5B,UE_5C)宛ての信号は、同じ無線リソースにおいて異なるパワーで送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、各ユーザ端末UEに共通のDM−RSを用いることができる。
また、図5Bに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるSU−MIMO(Single User Multiple-Input and Multiple-Output)においては、ユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_5A)宛ての複数(2つ)の情報データ系列(レイヤ)が同じ無線リソースに多重される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、レイヤ間で直交するDM−RSを用いることができる。
一方、図5Cに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるSU−MIMOにNOMAを適用する場合、各ユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_5A,UE_5B,UE_5C)宛ての複数(2つ)の情報データ系列(レイヤ)が同じ無線リソースに多重される。ここで、ユーザ端末UE宛ての信号は、異なるパワーで送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、同一レイヤ内のユーザ端末UEに共通し、レイヤ間では直交するDM−RSを用いることができる。
さらに、図5Dに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、送信アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるMU−MIMOにNOMAを適用する場合、各ユーザ端末UE(ここでは、ユーザ端末UE_5A,UE_5B,UE_5C,UE_5D,UE_5E,UE_5F)宛ての信号が同じ無線リソースに多重される。同一の送信ビーム内では、各ユーザ端末UE宛ての信号が異なるパワーで送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、同一送信ビーム内のユーザ端末UEに共通し、送信ビーム間では直交するDM−RSを用いることができる。このように、ユーザ端末UE間で共通のDM−RS構成が適用される場合には、各ユーザ端末UE宛ての送信パワーの比が通知される。なお、ここでは、ユーザ端末UE間で共通のDM−RS構成が適用される場合を示したが、ユーザ端末UE毎に個別のDM−RSを送信する構成としても良い。
ところで、LTEシステムなどの再送制御には、ARQ(Automatic Repeat reQuest)の発展型であるHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)が採用されている。例えば、下りリンクの再送制御において、各ユーザ端末UEは、下りリンク信号の受信結果に応じてACK(ACKnowledgement)/NACK(Negative ACKnowledgement)をフィードバックする。ACK/NACKは、PUCCH(Physical Uplink Control CHannel)、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)などで無線基地局BSに通知される。具体的には、ユーザ端末UEは、下りリンク信号を適切に復号できた場合に無線基地局BSにACKを通知し、下りリンク信号を適切に復号できなかった場合に無線基地局BSにNACKを通知する。無線基地局BSは、通知されたACK/NACKに応じて、各ユーザ端末UEが必要とするパケットを取得できるように下りリンクの再送制御を行う。各ユーザ端末UEは、再送されたパケットを受信すると、初回に送信されたパケットと合成してデータを復元する。
このように、LTEシステムなどでは、各ユーザ端末UEが自端末宛ての下りリンク信号の受信結果に応じてフィードバックするACK/NACKに基づいて、無線基地局BSは下りリンクの再送制御を行う。これに対して、下りリンクにNOMAが適用された無線通信システムでは、各ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号を復号する際に他端末宛ての信号を復号してキャンセルする必要がある。つまり、各ユーザ端末UEの受信結果は、他端末宛ての下りリンク信号の受信結果にも依存するので、自端末宛ての下りリンク信号の受信結果のみを通知するこれまでのフィードバック方法では、必ずしもNOMAに適した再送制御を実現できない。
この課題に対し、本発明者らは、各ユーザ端末UEでキャンセルされる他端末宛ての信号の復号結果を示す情報を無線基地局BSに通知できれば、下りリンクにNOMAが適用された無線通信システムにおいても適切な再送制御を実現できるのではないかと考えた。そして、この考えに基づき本発明を完成させた。すなわち、本発明の骨子は、自端末宛ての信号を復号する際にキャンセルする他端末宛ての信号の復号結果に応じて、各ユーザ端末UEが、新たに規定されたACK/NACK(仮ACK/NACK、TENT. ACK/NACK(Tentative ACK/NACK)などとも呼ぶ)を無線基地局BSに通知することである。以下、本実施の形態に係る無線通信方法について詳細に説明する。
(無線通信方法)
図6は、本実施の形態に係る無線通信方法の通信シーケンスを説明するためのフロー図である。まず、無線基地局BSは、ユーザ端末UEに対して下りリンク信号を非直交多重で送信する(ステップST101)。ユーザ端末UEは、下りリンク信号を受信すると、無線基地局BSから通知される制御情報などに基づいて、他端末宛ての信号のキャンセルの要否を判定する(ステップST102)。
具体的には、例えば、自端末より伝送路の状態が悪いユーザ端末UE宛ての信号(すなわち、大きな送信パワーで非直交多重される信号)について、キャンセルの必要があると判定し、自端末より伝送路の状態が良いユーザ端末UE宛ての信号(すなわち、小さな送信パワーで非直交多重される信号)について、キャンセルの必要はないと判定する。他端末宛ての信号をキャンセルする必要があると判定した場合(ステップST102:YES)、ユーザ端末UEは、キャンセルする必要のある他端末宛ての信号を復号し、当該他端末宛ての信号を適切に復号できたか判定する(ステップST103)。
他端末宛ての信号を適切に復号できた場合(ステップST103:YES)、ユーザ端末UEは、当該他端末宛ての信号について受信成功と判定し、ACK(TENT. ACK)を記憶する(ステップST104)。一方で、他端末宛ての信号を適切に復号できなかった場合(ステップST103:NO)、ユーザ端末UEは、当該他端末宛ての信号について受信失敗と判定し、NACK(TENT. NACK)を記憶する(ステップST105)。
キャンセルを必要とする他端末宛ての信号が他に存在する場合(ステップST106:YES)、ユーザ端末UEは、当該他端末宛ての信号についても同様の判定を行う。すなわち、当該他端末宛ての信号を復号し、当該他端末宛ての信号を適切に復号できたか判定する(ステップST103)。キャンセルを必要とする他端末宛ての信号が他に存在しない場合(ステップST106:NO)、ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号を復号し、当該自端末宛ての信号を適切に復号できたか判定する(ステップST107)。ステップST102において、他端末宛ての信号をキャンセルする必要がないと判定した場合にも(ステップST102:NO)、ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号を復号し、当該自端末宛ての信号を適切に復号できたか判定する(ステップST107)。
自端末宛ての信号を適切に復号できた場合(ステップST107:YES)、ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号について受信成功と判定し、ACKを記憶する(ステップST108)。一方で、自端末宛ての信号を適切に復号できなかった場合(ステップST107:NO)、ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号について受信失敗と判定し、NACKを記憶する(ステップST109)。そして、ユーザ端末UEは、自端末宛ての信号に関するACK/NACKと共に、他端末宛ての信号に関するACK/NACK(TENT. ACK/NACK)を無線基地局BSにフィードバックする(ステップST110)。
このように、ユーザ端末UEが、キャンセルされる他端末宛ての信号の復号結果に応じて無線基地局BSにACK/NACK(TENT. ACK/NACK)を通知することで、無線基地局BSは、復号誤りの発生段階を特定できる。その結果、後述のように受信環境に適した再送制御を選択できるようになり、再送の成功率を高めることができる。
次に、本実施の形態の無線通信方法に使用されるACK/NACK(TENT. ACK/NACKを含む)の信号フォーマットについて説明する。図7は、ACK/NACKの信号フォーマットを説明するためのテーブルである。図7では、3つのユーザ端末UE(自端末(DESIRED USER)、端末1(INTERFERENCE USER 1)、及び端末2(INTERFERENCE USER 2))宛ての信号を非直交多重する場合に使用されるACK/NACKの信号フォーマットの例を示している。ここでは、伝送路の状態が、自端末で最も良く、端末2で最も悪い場合を想定している。すなわち、自端末は、端末2宛ての信号を復号してキャンセルし、端末1宛ての信号を復号してキャンセルした後、自端末宛ての信号を復号できる。図7において、“A”はACKを示し、“N”はNACKを示す。
なお、このACK/NACKは、例えば、PUCCH、PUSCHなどで伝送される。PUCCHで伝送させる場合、例えば、フォーマット1a、フォーマット1b、フォーマット3などを用いることができる。通知に係るビット数が多い場合には、チャネルセレクション(Channel selection)を適用しても良い。例えば、PUCCHのフォーマット1bやフォーマット3などにチャネルセレクションを適用することで、通知可能なビット数を増やすことができる。
図7Aは、ACK/NACKの信号フォーマットの第1の構成例を示している。第1の構成例において、端末2、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号された場合、A/Nビットは“00”となる。端末2、及び端末1宛ての信号が適切に復号され、自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合、A/Nビットは“01”となる。端末2宛ての信号が適切に復号され、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合、A/Nビットは“10”となる。端末2、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合、A/Nビットは“11”となる。
通常、NOMAでは、伝送路の状態が悪い端末宛ての信号(すなわち、大きな送信パワーで非直交多重される信号)を復号できないと、当該信号をキャンセルすることもできないので、伝送路の状態が良い他の信号を復号することはできなくなる。例えば、端末2宛ての信号の受信結果がNACKの場合、端末1又は自端末宛ての信号の受信結果がACKとなることはなく、端末1宛ての信号の受信結果がNACKの場合、自端末宛ての信号の受信結果がACKとなることはない。よって、このような場合を、ACK/NACKの信号フォーマットから除外できる。これにより、全ての組み合わせを想定した信号フォーマットを使用する場合などと比較して、ACK/NACKのフィードバックに係る通信量を低減できる。
図7Bは、ACK/NACKの信号フォーマットの第2の構成例を示している。第2の構成例において、端末2、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号された場合、A/Nビットは“0”となる。端末2、及び端末1宛ての信号が適切に復号され、自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合、A/Nビットは“1”となる。一方で、端末2宛ての信号が適切に復号され、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合、並びに、端末2、端末1、及び自端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合には、DTX(無送信)とする。このように、他端末宛ての信号が適切に復号されなかった場合にA/Nビットを無送信とすることで、ACK/NACKのフィードバックに係る通信量をさらに低減できる。
次に、無線基地局BSが、ACK/NACK及びTENT. ACK/NACKに基づいて行う再送制御を説明する。上述のように、NOMAの適用された無線通信システムにおいて、各ユーザ端末UE宛ての下りリンク信号は同じ無線リソースに非直交多重される。下りリンク信号を受信した各ユーザ端末UEは、他端末宛ての信号をキャンセルして自端末宛ての信号を復号し、復号結果に応じてACK/NACK及びTENT. ACK/NACKをフィードバックする。本実施の形態では、自端末宛ての信号の復号結果に加え、他端末宛ての信号の復号結果をフィードバックするので、以下のように、通信環境に応じた適切な再送制御が可能である。
例えば、無線基地局BSは、非直交で送信されたパケットを、再送時に直交させることができる。再送パケットを直交させることで、各ユーザ端末UEは、他端末宛てのパケットをSICでキャンセルする必要がなくなる。これにより、再送の成功率(すなわち、再送パケットが適切に受信される確率)を高めることができる。もちろん、再送パケットを非直交で送信しても構わない。再送パケットを非直交で送信する場合には、送信方式の変更に係る処理が不要になるので、再送制御を複雑化させずに済む。
また、無線基地局BSは、再送時の非直交多重のパターンを異ならせることができる。例えば、図3に示すユーザ端末UE_3Aを自端末とする場合を想定する。この場合、ユーザ端末UE_3Aの伝送路の状態は、ユーザ端末UE_3Bの伝送路の状態より良いので、ユーザ端末UE_3Aは、ユーザ端末UE_3B宛ての信号を復号してキャンセルする必要がある。これに対し、再送時には、例えば、ユーザ端末UE_3Aとユーザ端末UE_3Bとの関係を入れ替え、ユーザ端末UE_3Bがユーザ端末UE_3A宛ての信号を復号してキャンセルするようにしても良い。すなわち、非直交多重される複数のユーザ端末UE宛ての下りリンク信号の関係を入れ替えることができる。この場合、ユーザ端末UE_3Aは、ユーザ端末UE_3B宛ての信号を無視して自端末宛ての信号を復号できる。
また、非直交多重するユーザ端末UEの組み合わせ(非直交多重される複数のユーザ端末UE宛ての下りリンク信号の組み合わせ)を変更することもできる。例えば、ユーザ端末UE_3A宛ての下りリンク信号とユーザ端末UE_3B宛ての下りリンク信号との組み合わせから、再送の対象となるユーザ端末UE_3A宛ての下りリンク信号と他のユーザ端末UE宛ての下りリンク信号との組み合わせなどに変更しても良い。
また、無線基地局BSは、再送の際に非直交多重の送信パワー比(送信電力比)を変更することもできる。非直交多重の送信パワー比を変更することで、再送の成功率を高めることができる。もちろん、再送の際に同じ送信パワー比としても良い。この場合、送信パワー比の変更に係る処理が不要になるので、再送制御を複雑化させずに済む。
また、初回の送信時と、再送時とで、使用されるスクランブル符号、インタリーブパターン、変調法(位相シフト)などを変更することもできる。また、再送の際に変更可能な他の条件を変更しても良い。変更可能な条件としては、例えば、リソース割り当て、変調方式、MIMOのランク数、リダンダンシーバージョンなどがある。なお、これらの条件は変更しなくても良い。
このようにして再送された下りリンク信号は、ユーザ端末UEで受信され、初回に送信された下りリンク信号と合成される。すなわち、ユーザ端末UEは、初回に受信した自端末宛てのパケットをHARQ用のバッファに格納しておき、再送された自端末宛てのパケットと合成する。この再送制御により、ユーザ端末UEは、適切なデータを取得できる。パケットの合成方法としては、例えば、Chase合成やIR(Incremental Redundancy)合成などがある。なお、他端末宛ての信号を適切にキャンセルできない場合、得られる信号は、大きなエラーを含み、パケット合成に向かない。よって、このような場合、得られる信号をパケット合成に用いずに破棄しても良い。
(無線通信システムの構成例)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの詳細を説明する。図8は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す模式図である。なお、図8に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム、又はLTE−A(LTEアドバンスト(LTE-Advanced))システムが包含されるシステムである。この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
図8に示すように、無線通信システム1は、無線基地局10(10A,10B)、及び複数のユーザ端末20(20A,20B)を含んでいる。無線基地局10は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。各ユーザ端末20は、セルC1,C2において無線基地局10と通信を行うことができる。この無線通信システム1において、ユーザ端末20は、移動端末でも良いし固定端末でもよい。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これらに限定されない。
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクにOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用され、上りリンクにSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。この無線通信システム1の下りリンクには、必要に応じてNOMAが適用される。
ここで、図8に示す無線通信システム1で用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、拡張PDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報などが伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator CHannel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK、TENT. ACK/NACKなどが伝送される。なお、ACK/NACK及びTENT. ACK/NACKは、PUSCHで伝送されても良い。
図9は、本実施の形態に係る無線基地局の構成例を示すブロック図である。無線基地局10は、ビームフォーミングのための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにおいて無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104は、入力されたユーザデータに対して、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理などを行い、各送受信部103に転送する。また、下りリンクの制御情報に対してチャネル符号化やIFFT処理などの送信処理を行い、各送受信部103に転送する。
また、ベースバンド信号処理部104は、報知チャネルにより、ユーザ端末20に対して、在圏セルにおける通信のための制御情報を通知する。在圏セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅などが含まれる。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータは、各送受信アンテナ101で受信されてアンプ部102に入力される。アンプ部102は、各送受信アンテナ101から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部103に送る。増幅された無線周波数信号は、各送受信部103でベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104は、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理などを行い、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送する。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理、無線基地局10の状態管理、無線リソースの管理などを行う。
図10は、本実施の形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
下りリンクのデータは、複数の送受信アンテナ201で受信されてアンプ部202に入力される。アンプ部202は、各送受信アンテナ201から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部203に送る。増幅された無線周波数信号は、各送受信部203でベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、入力されたベースバンド信号に対してFFT処理、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などが行われる。下りリンクのデータに含まれるユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータに含まれる報知情報もアプリケーション部205に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204は、入力されたユーザデータに対して、再送制御の送信処理、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などを行い、各送受信部203に転送する。各送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201より送信する。
図11は、本実施の形態に係る無線基地局及びユーザ端末が有するベースバンド信号処理部の構成例を示すブロック図である。なお、図11では、構成の一部のみを示しているが、無線基地局10及びユーザ端末20は、必要な構成を不足なく備えているものとする。
図11に示すように、無線基地局10は、ビーム生成部301、下り制御情報生成部302、下り制御情報符号化・変調部303、下り送信データ生成部304、下り送信データ符号化・変調部305、下り参照信号生成部306、下りチャネル多重部307、スケジューリング部308を備えている。
ビーム生成部301は、任意の無線リソース(周波数帯域、時間スロット)を用いる複数の送信ビームを生成する。ビーム生成部301で生成される各送信ビームには、後述するスケジューリング部308の指示に従い複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号が非直交で多重される。
下り制御情報生成部302は、PDCCHで伝送されるユーザ端末固有(UE-specific)の下り制御情報(DCI)を生成する。ユーザ端末固有の下り制御情報には、PDSCHの割り当て情報であるDLアサイメント(DL assignment)や、PUSCHの割り当て情報であるULグラント(UL grant)などが含まれる。また、この下り制御情報には、非直交で多重された信号の受信処理に必要な各種の情報が含まれる。
下り制御情報生成部302で生成された下り制御情報は、ユーザ端末20に共通の共通制御情報と共に、PDCCHで伝送される下り制御情報として下り制御情報符号化・変調部303に入力される。下り制御情報符号化・変調部303は、入力された下り制御情報をチャネル符号化して変調する。変調された下り制御情報は、下りチャネル多重部307へと出力される。
下り送信データ生成部304は、ユーザ端末20毎に下りユーザデータを生成する。下り送信データ生成部304で生成された下りユーザデータは、上位制御情報と共に、PDSCHで伝送される下り送信データとして下り送信データ符号化・変調部305に入力される。下り送信データ符号化・変調部305は、各ユーザ端末20に対する下り送信データをチャネル符号化して変調する。変調された下り送信データは、下りチャネル多重部307へと出力される。
下り参照信号生成部306は、下り参照信号(CRS(Cell-specific Reference Signal)、CSI−RS(Channel State Information Reference Signal)、DM−RSなど)を生成する。生成された下り参照信号は、下りチャネル多重部307へと出力される。
下りチャネル多重部307は、下り制御情報、下り参照信号、下り送信データ(上位制御情報を含む)を合成して下りリンク信号を生成する。具体的には、下りチャネル多重部307は、スケジューリング部308から通知されるスケジューリング情報に従い、選択された複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号を非直交で多重する。下りチャネル多重部307で生成された下りリンク信号は、逆高速フーリエ変換処理、プリコーディング処理などを経て、送受信部103へと転送される。
スケジューリング部308は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からフィードバックされるチャネル状態情報(CSI:Channel State Information))などに基づいて、無線リソースの割り当てを指示するスケジューリング情報を生成する。また、スケジューリング部308は、各ユーザ端末20から通知されるACK/NACK及びTENT. ACK/NACKに基づいて、HARQの再送制御を行う。
例えば、スケジューリング部308は、非直交で送信されたパケットを、再送時には直交させる。つまり、再送される下りリンク信号を含む複数のユーザ端末宛ての下りリンク信号を、互いに直交させるようにスケジューリングする。この場合、直交化により通信品質は改善されるので、再送の成功率(すなわち、再送パケットが適切に受信される確率)を高めることができる。なお、再送パケットは非直交で送信されても良い。
また、スケジューリング部308は、再送時の多重パターンを異ならせることもできる。例えば、スケジューリング部308は、非直交で多重される複数のユーザ端末20の関係を入れ替えても良い。この場合、例えば、再送時において、他端末宛ての信号のキャンセルが不要となるようにスケジューリングして再送の成功率を高めることができる。また、スケジューリング部308は、非直交で多重されるユーザ端末20の組み合わせを変更することもできる。
また、スケジューリング部308は、再送の際の送信パワー比(送信電力比)を変更しても良い。すなわち、スケジューリング部308は、非直交で多重される複数のユーザ端末宛ての下りリンク信号の送信パワー比を変更する。この場合、例えば、NACKをフィードバックしたユーザ端末20宛ての下りリンク信号の送信パワー比を高めれば、再送の成功率を高めることができる。なお、再送の際には、同じ送信パワー比としても良い。
また、スケジューリング部308は、初回の送信時と、再送時とで、非直交多重の際に使用するスクランブル符号、インタリーブパターン、変調法(位相シフト)などを変更しても良い。また、再送の際に変更可能な他の条件を変更しても良い。変更可能な条件としては、例えば、リソース割り当て、変調方式、MIMOのランク数、リダンダンシーバージョンなどがある。上述した条件を再送の際に変更することで、再送の成功率を高めることができる。なお、これらの条件は変更しなくても良い。
図11に示すように、ユーザ端末20は、復調・復号部(第1復号部)401、干渉除去部402、TENT. A/N判定部(第1判定部)403、復調・復号部(第2復号部)404、A/N判定部(第2判定部)405、HARQバッファ406を備えている。
無線基地局10から非直交で送出された複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号は、各ユーザ端末20の送受信アンテナ201で受信され、サイクリックプリフィクスの除去、高速フーリエ変換処理などを経て、ベースバンド信号処理部204へと転送される。ベースバンド信号処理部204では、非直交多重された下りリンク信号が、復調・復号部401及び干渉除去部402に入力される。なお、送信ビーム間の干渉は、IRCなどの線形フィルタリングにより除去される。
復調・復号部401は、無線基地局10からの通知に基づき、受信した複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号から、他端末宛ての下りリンク信号を復調・復号する。各ユーザ端末20には、自端末宛ての下りリンク信号と共に非直交で送出される他端末宛ての下りリンク信号に関する情報が通知されている。各ユーザ端末20は、この情報に基づき、干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号を判別し、当該他端末宛ての下りリンク信号を復調・復号部401で復調・復号する。復調・復号された信号は、干渉除去部402及びTENT. A/N判定部403に転送される。なお、自端末宛ての下りリンク信号の送信パワーが最も大きい場合など、非直交で送出された下りリンク信号中に干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号が存在しない場合には、複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号は、干渉除去部402を通じてそのまま復調・復号部404に転送される。
干渉除去部402は、非直交で送出された複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号から、復調・復号部401で復調・復号された他端末宛ての下りリンク信号を干渉として除去する。これにより、当該他端末宛ての下りリンク信号が除去された信号を得ることができる。干渉除去部402で得られた信号中に、干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号が他に存在しない場合、干渉除去部402は、得られた信号を復調・復号部404に転送する。
一方、干渉除去部402で得られた信号中に、干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号が他に存在する場合、干渉除去部402は、得られた信号を復調・復号部401に転送する。復調・復号部401は、除去対象となる他端末宛ての下りリンク信号を復調・復号して、干渉除去部402及びTENT. A/N判定部403に転送する。干渉除去部402は、復調・復号された除去対象の下りリンク信号を干渉としてさらに除去する。この動作を繰り返すことで、干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号を全て除去できる。干渉除去部402は、干渉の除去が必要な他端末宛ての下りリンク信号を全て除去して得られる信号を、復調・復号部404に転送する。
TENT. A/N判定部403は、他端末宛ての下りリンク信号が適切に復調・復号されたか判定する。他端末宛ての下りリンク信号を適切に復調・復号できた場合、TENT. A/N判定部403は、当該他端末宛ての信号について受信成功と判定し、ユーザ端末20は、TENT. ACKを記憶する。一方で、他端末宛ての信号を適切に復調・復号できなかった場合、TENT. A/N判定部403は、当該他端末宛ての信号について受信失敗と判定し、ユーザ端末20は、TENT. NACKを記憶する。TENT. A/N判定部403は、復調・復号部401から転送される全ての他端末宛ての下りリンク信号について、同様の判定を行う。判定結果は、後述するA/N判定部405の判定結果と共に、無線基地局10に通知される。
なお、TENT. A/N判定部403及びA/N判定部405の判定結果は、例えば、PUCCH、PUSCHなどで無線基地局10に伝送される。PUCCHで伝送させる場合、例えば、フォーマット1a、フォーマット1b、フォーマット3などを用いることができる。通知に係るビット数が多い場合には、チャネルセレクション(Channel selection)を適用しても良い。例えば、PUCCHのフォーマット1bやフォーマット3などにチャネルセレクションを適用すれば、通知可能なビット数を増やすことができる。
復調・復号部404は、干渉除去部402から転送される干渉除去後の信号に基づき、自端末宛ての下りリンク信号を復調・復号する。復調・復号された信号は、A/N判定部405及びHARQバッファ406に転送される。
A/N判定部405は、自端末宛ての下りリンク信号が適切に復調・復号されたか判定する。自端末宛ての信号を適切に復調・復号できた場合、A/N判定部405は、自端末宛ての信号について受信成功と判定し、ユーザ端末20は、ACKを記憶する。一方で、自端末宛ての信号を適切に復調・復号できなかった場合、A/N判定部405は、自端末宛ての信号について受信失敗と判定し、ユーザ端末20は、NACKを記憶する。A/N判定部405の判定結果は、無線基地局10に通知される。
A/N判定部405において受信成功と判定された場合、復調・復号された信号は、自端末宛ての下りリンク信号として各種処理に供される。一方、A/N判定部405において受信失敗と判定された場合、復調・復号された信号は、HARQバッファ406に格納される。HARQバッファ406に格納された信号は、無線基地局10から再送される信号と合成され、適切な信号が復元される。復元された信号は、自端末宛ての下りリンク信号として各種処理に供される。
HARQバッファ406に格納された信号と、再送で受信された信号との合成方法としては、例えば、Chase合成やIR(Incremental Redundancy)合成などを用いることができる。なお、他端末宛ての信号を適切にキャンセルできない場合、得られる信号は、大きなエラーを含み、合成に向かない。よって、このような場合には、得られる信号をHARQバッファ406に格納させずに破棄しても良い。
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1では、ユーザ端末20が、キャンセルの対象となる他端末宛ての信号の復号結果に応じて無線基地局10にACK/NACK(TENT. ACK/NACK)を通知するので、無線基地局10は、復号誤りの発生段階を特定できる。その結果、受信環境に適した再送制御を選択できるようになり、再送の成功率を高めることができる。これにより、良好な通信環境を実現できる。
本発明は、その趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。つまり、本明細書の記載は、例示を目的とするものに過ぎず、本発明に対して制限を加えるものではない。