[第1実施形態]
図1において、内視鏡システム10は、内視鏡12と、内視鏡用光源装置(以下、光源装置という)14と、プロセッサ装置16と、モニタ18と、コンソール19とを備えている。内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続されるとともに、プロセッサ装置16と電気的に接続される。内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けられた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けられた湾曲部12c及び先端部12dを有している。操作部12bのアングルノブ12eを操作することにより、湾曲部12cは湾曲動作する。この湾曲動作によって、先端部12dが所望の方向に向けられる。
操作部12bには、アングルノブ12eの他、モード切り替えスイッチ(以下、モード切替SWという)13a、ズーム操作部13bが設けられている。モード切替SW13aは、観察モードの切り替え操作に用いられる。内視鏡システム10は、観察モードとして通常観察モードと酸素飽和度観察モードとが実行可能である。
通常観察モードでは、生体組織の粘膜表面の血管コントラストを高めた白色光画像(以下、通常画像という)が表示部としてのモニタ18に表示される。酸素飽和度観察モードでは、酸素飽和度画像がモニタ18に表示される。酸素飽和度画像とは、酸素飽和度を測定するための特定波長帯域を有する測定光を観察対象に照射して観察対象の酸素飽和度を測定し、酸素飽和度の値を用いて色付けを行った画像である。
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール19と電気的に接続される。モニタ18は、各観察モードの画像や画像に付帯する画像情報等を出力表示する。コンソール19は、機能設定等の入力操作を受け付けるユーザインタフェースとして機能する。なお、プロセッサ装置16には、画像や画像情報等を記録する外付けの記録部(図示せず)を接続してもよい。
図2に示すように、光源装置14は、観察対象を照明するための照明光を発生する光源部20と、光源部20の動作を制御する光源制御部21とを備えている。光源部20は、通常観察モード時には第1照明光を生成し、酸素飽和度観察モード時には第2照明光を生成する。
第1及び第2照明光は、集光レンズ22を介して挿入部12a内に挿通されたライトガイド23に入射する。ライトガイド23は、内視鏡12内に内蔵されており、第1及び第2照明光を内視鏡12の先端部12dまで伝搬させる。なお、ライトガイド23としては、マルチモードファイバを使用することができる。例えば、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルをライトガイド23として使用可能である。
内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bが設けられている。照明光学系30aは、照明レンズ31を有している。ライトガイド23内を伝搬した第1及び第2照明光は、照明レンズ31を介して観察対象に照射される。撮像光学系30bは、対物レンズ32、ズームレンズ33、撮像センサ(撮像部)34を有している。観察対象からの戻り光は、対物レンズ32及びズームレンズ33を介して撮像センサ34に入射する。これにより、撮像センサ34に観察対象の光像が結像される。なお、ズームレンズ33は、ズーム操作部13bを操作することで、テレ端とワイド端の間で自在に移動され、撮像センサ34に結像する観察対象の光像を拡大または縮小する。
撮像センサ34は、カラー撮像センサであり、観察対象の光像を撮像して画像信号を出力する。撮像センサ34としては、CCD(Charge Coupled Device)型撮像センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型撮像センサを用いることができる。
撮像センサ34は、図3に示す第1分光透過特性34aを有する赤色(R)カラーフィルタと、第2分光透過特性34bを有する緑色(G)カラーフィルタと、第3分光透過特性34cを有する青色(B)カラーフィルタとを有する。各画素には、いずれか1つのカラーフィルタが設けられている。すなわち、撮像センサ34は、Rカラーフィルタが設けられたR画素(赤色画素)と、Gカラーフィルタが設けられたG画素(緑色画素)と、Bカラーフィルタが設けられたB画素(青色画素)とを有し、RGB形式の画像信号を出力する。この画像信号は、1画素毎にRGBのいずれかの色信号が割り当てられたものであり、赤色画像信号、緑色画像信号、青色画像信号からなる。なお、B画素は、青色光に加えて、紫色光にも感応する。
撮像センサ34から出力される画像信号は、CDS/AGC回路35に送信される。CDS/AGC回路35は、アナログ信号である画像信号に相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)や自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control)を行う。CDS/AGC回路35から出力された画像信号は、A/Dコンバータ36により、デジタル画像信号に変換される。このデジタル画像信号は、プロセッサ装置16に入力される。
プロセッサ装置16は、撮像制御部40と、受信部41と、DSP(Digital Signal Processor)42と、ノイズ除去部43と、画像処理切替部44と、通常画像生成部45と、酸素飽和度画像生成部46と、映像信号生成部47とを備えている。通常画像生成部45及び酸素飽和度画像生成部46が特許請求の範囲に記載の画像処理部に対応している。
撮像制御部40は、撮像センサ34による観察対象の撮像タイミングや、撮像センサ34からの画像信号の出力タイミングを制御する。受信部41は、内視鏡12からのデジタルのRGB画像信号を受信する。DSP42は、受信した画像信号に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、ゲイン補正処理、リニアマトリクス処理、ガンマ変換処理、及びデモザイク処理等の各種信号処理を施す。
欠陥補正処理では、撮像センサ34の欠陥画素の信号が補正される。オフセット処理では、欠陥補正処理が施されたRGB画像信号から暗電流成分が除かれ、正確なゼロレベルが設定される。ゲイン補正処理では、オフセット処理後のRGB画像信号に特定のゲイン値を乗じることにより信号レベルが整えられる。ゲイン補正処理後のRGB画像信号には、色再現性を高めるためのリニアマトリクス処理が施される。その後、ガンマ変換処理によって明るさや彩度が整えられる。リニアマトリクス処理後のRGB画像信号には、デモザイク処理(等方化処理、同時化処理とも称される)が施され、各画素についてRGB各色の信号が生成される。
ノイズ除去部43は、DSP42でデモザイク処理等が施されたRGB画像信号に対してノイズ除去処理(移動平均法やメディアンフィルタ法等による処理)を施すことによってノイズを除去する。ノイズが除去されたRGB画像信号は、画像処理切替部44に入力される。画像処理切替部44は、モード切替SW13aによって制御される。画像処理切替部44は、観察モードが通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常画像生成部45に出力し、観察モードが酸素飽和度観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を酸素飽和度画像生成部46に出力する。
通常画像生成部45は、観察モードが通常観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行うことにより、通常画像(第1画像)を生成する。色変換処理では、RGB画像信号に対して3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(ルックアップテーブル)処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理は、色変換処理済みのRGB画像信号に対して行われる。構造強調処理は、表層血管やピットパターン等の観察対象の構造を強調する処理であり、色彩強調処理後のRGB画像信号に対して行われる。
酸素飽和度画像生成部46は、観察モードが酸素飽和度観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に基づいて酸素飽和度を算出及び酸素飽和度画像(第2画像)の生成を行う。
通常画像生成部45が生成する通常画像、及び酸素飽和度画像生成部46が生成する酸素飽和度画像は、映像信号生成部47に入力される。映像信号生成部47は、各画像をモニタ18に表示するための映像信号に変換する。この映像信号を用いて、モニタ18は、映像信号生成部47から入力される映像信号に基づいて、通常画像及び酸素飽和度画像を表示する。
図4において、光源部20は、V−LED(Violet Light Emitting Diode)50aと、B−LED(Blue Light Emitting Diode)50bと、G−LED(Green Light Emitting Diode)50cと、R−LED(Red Light Emitting Diode)50dと、LED駆動部51と、第1〜第4コリメータレンズ52a〜52dと、帯域制限部53と、第1〜第3ダイクロイックミラー(DM)55a〜55cと、集光レンズ56とを有する。
V−LED50aは、ピーク波長405nm、波長帯域380〜420nmの紫色光LVを発光する紫色光源である。B−LED50bは、ピーク波長460nm、波長帯域420〜500nmの青色光LBを発する青色光源である。G−LED50cは、波長帯域が480〜600nmの緑色光LGを発する緑色光源である。R−LED50dは、中心波長620〜630nmで、波長帯域が600〜650nmの赤色光LRを発光する赤色光源である。
LED駆動部51は、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dをそれぞれ駆動する。紫色光LV、青色光LB、緑色光LG、赤色光LRの各発光強度スペクトルは、図5に示すように分布する。なお、紫色光LVのピーク波長と青色光LBのピーク波長は、それぞれ±5nmから±10nm程度の波長幅を有する。
第1〜第4コリメータレンズ52a〜52dは、それぞれV−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dに対応するように配置されており、紫色光LV、青色光LB、緑色光LG、赤色光LRをそれぞれ平行化する。
帯域制限部53は、光学フィルタ57とフィルタ移動機構58とを有する。光学フィルタ57は、B−LED50bから発せられた青色光LBの光路上に配置されている。具体的には、光学フィルタ57には、第1フィルタ部57aと第2フィルタ部57bとが設けられており、第1フィルタ部57aと第2フィルタ部57bとのいずれか一方が青色光LBの光路上に配置される。
第1フィルタ部57aの光学特性は、図6に示すように、閾値S1以上の波長帯域の光透過率がほぼ0%であり、閾値S1より小さい波長帯域の光透過率がほぼ100%である。ここで、閾値S1は、青色光LBのピーク波長460nmと一致している。したがって、第1フィルタ部57aは、青色光LBのピーク波長以上の強度を低減して、青色光LBの短波長側成分である第1青色光LB1を生成する。
第2フィルタ部57bの光学特性は、図7に示すように、閾値S2以下の波長帯域の光透過率がほぼ0%であり、閾値S2より大きい波長帯域の光透過率がほぼ100%である。ここで、閾値S2は、青色光LBのピーク波長460nmとほぼ一致している。したがって、第2フィルタ部57bは、青色光LBのピーク波長以下の強度を低減して、青色光LBの長波長側成分である第2青色光LB2を生成する。
フィルタ移動機構58は、光学フィルタ57を、青色光LBの光路に直交する方向に直線移動(スライド移動)させることにより、第1フィルタ部57aと第2フィルタ部57bとのいずれか一方を青色光LBの光路上に配置する。
光学フィルタ57を透過した青色光LB(第1青色光LB1または第2青色光LB2)の光路と紫色光LVの光路とは直交しており、この交点に第1DM55aが配置されている。具体的には、第1DM55aは、一方の面に第1青色光LB1または第2青色光LB2が45°の角度で入射し、他方の面に紫色光LVが45°の角度で入射するように配置されている。第1DM55aは、図8に示すように、約425nmに閾値λ1を有し、閾値λ1より長い波長の光を透過させ、閾値λ1より短い波長の光を反射させる。この構成により、第1DM55aは、光学フィルタ57を透過した青色光LBの光路と紫色光LVの光路とを統合する。
G−LED50cから射出された緑色光LGの光路と、R−LED50dから射出された赤色光LRとの光路は直交しており、この交点に第2DM55bが配置されている。具体的には、第2DM55bは、一方の面に緑色光LGが45°の角度で入射し、他方の面に赤色光LRが45°の角度で入射するように配置されている。第2DM55bは、図9に示すように、約600nmに閾値λ2を有し、閾値λ2より短い波長の光を透過させ、閾値λ2より長い波長の光を反射させる。この構成により、第2DM55bは、緑色光LGの光路と赤色光LRの光路とを統合する。
第1DM55aにより統合された青色光LB(第1青色光LB1または第2青色光LB2)と紫色光LVとの光路と、第2DM55bにより統合された緑色光LGと赤色光LRとの光路とは直交しており、この交点に第3DM55cが配置されている。具体的には、第3DM55cは、一方の面に青色光LB及び紫色光LVが45°の角度で入射し、他方の面に緑色光LG及び赤色光LRが45°の角度で入射するように配置されている。第3DM55cは、図10に示すように、約490nmに閾値λ3を有し、閾値λ3より長い波長の光を透過させ、閾値λ3より短い波長の光を反射させる。この構成により、第3DM55cは、青色光LB及び紫色光LVの光路と、緑色光LG及び赤色光LRの光路とを統合する。
集光レンズ56は、ライトガイド23の入射端の近傍に配置されており、第3DM55cから射出された光を集光して、ライトガイド23の入射端に入射させる。
LED駆動部51及びフィルタ移動機構58は、光源制御部21によって制御される。光源制御部21は、観察モードに応じてLED駆動部51及びフィルタ移動機構58を制御する。具体的には、通常観察モード時には、光源制御部21は、フィルタ移動機構58を制御することにより、光学フィルタ57の第1フィルタ部57aを青色光LBの光路上に配置させるとともに、LED駆動部51を制御することにより、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。
この結果、通常観察モード時には、図11に示す光強度スペクトルを有する第1照明光が光源部20から射出され、集光レンズ56を介してライトガイド23に供給される。第1照明光は、ほぼ白色光である。このように、通常観察モード時に第1フィルタ部57aによって青色光LBを帯域制限して第1青色光LB1とするのは、460〜500nmの波長帯域の光が表層血管やピットパターン等の構造と粘膜とのコントラストを低下させてしまうからである。図12に示すように、第1青色光LB1の波長帯域は、第2青色光LB2の波長帯域よりもヘモグロビンによる吸光度(吸光係数)が大きい。ここで、吸光度とは、光が酸化ヘモグロビンまたは還元ヘモグロビンにより吸収される割合を意味しており、吸光係数と同義である。
第1フィルタ部57aは、閾値S1以上の波長帯域の強度を低減させるとしているが、実際の閾値S1は、5〜10nm程度の波長幅を有する。このため、閾値S1を460nmとする場合、第1フィルタ部57aは、波長450nm付近から透過率が減衰する特性を有する。また、キセノン光源との演色性を維持するためには、観察対象に照射する照明光の分光スペクトルに離散的な波長帯域が存在しないことが好ましい。このため、第1フィルタ部57aは、460nm以上の波長帯域の強度を完全にゼロにするのものではなく、キセノン光源との演色性が維持可能な程度に波長460nm以上の波長帯域の強度を低減する特性を有する。このため、第1照明光には、図11に示すように、離散的な波長帯域は存在しない。
一方、酸素飽和度観察モード時には、光源制御部21は、光源部20に第2照明光を発光させる。この第2照明光には、通常光と測定光とがある。酸素飽和度観察モード時には、光源制御部21は、フィルタ移動機構58を制御することにより、光学フィルタ57の第2フィルタ部57bを青色光LBの光路上に配置させるとともに、通常光を発光させる第1発光モードと、測定光を発光させる第2発光モードとを交互に実行させる。
第1発光モードでは、光学フィルタ57の第2フィルタ部57bを青色光LBの光路上に配置させるとともに、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。この結果、通常観察モード時には、図13に示す光強度スペクトルを有する通常光が光源部20から射出され、集光レンズ56を介してライトガイド23に供給される。
第2発光モードは、酸素飽和度を測定するための発光モードである。第2発光モードでは、光源制御部21は、光学フィルタ57の第2フィルタ部57bを青色光LBの光路上に配置させたまま、LED駆動部51を制御することにより、B−LED50bを点灯させ、V−LED50a、G−LED50c、及びR−LED50dを消灯させる。この結果、第2発光モードでは、図14に示す光強度スペクトルを有する測定光が光源部20から射出され、集光レンズ56を介してライトガイド23に供給される。
このように、通常観察モードでは、観察対象には第1照明光が照射される。このとき、撮像センサ34は、観察対象からの紫色光LV及び第1青色光LB1の戻り光をB画素で受光してB画像信号を出力し、観察対象からの緑色光LGの戻り光をG画素で受光してG画像信号を出力し、観察対象からの赤色光LRの戻り光をR画素で受光してR画像信号を出力する。
一方、酸素飽和度観察モードでは、観察対象には第2照明光が照射される。具体的には、酸素飽和度観察モード時の第1発光モードには、観察対象には通常光が照射される。このとき、撮像センサ34は、観察対象からの紫色光LV及び第2青色光LB2の戻り光をB画素で受光してB画像信号を出力し、観察対象からの緑色光LGの戻り光をG画素で受光してG画像信号を出力し、観察対象からの赤色光LRの戻り光をR画素で受光してR画像信号を出力する。以下、第1発光モード時のB画像信号、G画像信号、R画像信号を、それぞれ第1青色画像信号(B1画像信号)、第1緑色画像信号(G1画像信号)、第1赤色画像信号(R1画像信号)という。
酸素飽和度観察モード時の第2発光モードには、観察対象には測定光が照射される。測定光は、第2青色光LB2からなるので、撮像センサ34は、観察対象からの第2青色光LB2の戻り光をB画素で受光してB画像信号を出力する。以下、第2発光モード時のB画像信号を、第2青色画像信号(B2画像信号)という。なお、撮像センサ34は、第2発光モード時にもG画像信号及びR画像信号の出力が可能であるが、これらは酸素飽和度の算出や酸素飽和度画像の生成には用いられないので、本実施形態では、第2発光モード時には、撮像センサ34は、B2画像信号だけを出力する。
第2青色光LB2は、酸素飽和度を測定するための特定波長帯域を有する。この特定波長帯域とは、酸素飽和度によって吸光量に違いが生じる程度に酸化ヘモグロビンの吸光係数と還元ヘモグロビンの吸光係数とに差がある波長帯域である。
図15に示すように、酸化ヘモグロビンの吸光係数A1と還元ヘモグロビンの吸光係数A2の大小関係は、波長帯域によって異なり、かつ複数の波長で一致する。酸化ヘモグロビンの吸光係数A1と還元ヘモグロビンの吸光係数A2とが一致する波長を等吸収波長と称する。例えば、紫色から青色の波長帯域では、第1〜第3等吸収波長λE1〜λE3が存在する。第1〜第3等吸収波長λE1〜λE3は、それぞれ約420nm、約450nm、約500nmである。第1等吸収波長λE1と第2等吸収波長λE2との間の波長帯域(420〜450nm)では、A2>A1の関係である。第2等吸収波長λE2と第3等吸収波長λE3との間の波長帯域(450〜500nm)では、A1>A2の関係である。
第2青色光LB2は、波長帯域が460〜500nmであって、第2等吸収波長λE2と第3等吸収波長λE3との間に存在し、いずれの等吸収波長も含んでいないので、酸化ヘモグロビンによる吸光度が還元ヘモグロビンによる吸光度よりも大きい(A1>A2)。第2青色光LB2は、酸化ヘモグロビンの吸光係数A1と還元ヘモグロビンの吸光係数A2との差が大きく、酸素飽和度を測定するための測定光として好適である。
これに対して、第1青色光LB1は、少なくとも還元ヘモグロビンの吸光係数A2のピーク波長λP2を含む波長帯域(420〜460nm)を有し、第2青色光LB2よりも、還元ヘモグロビンによる吸光度が大きい光である。これと同時に、第1青色光LB1は、第2青色光LB2よりも、ヘモグロビン(酸化ヘモグロビンまたは還元ヘモグロビン)による吸光度が大きい光である。このように、第1青色光LB1は、ヘモグロビンによる吸光度が大きく、ヘモグロビンに吸収されやすい光である一方、血管周辺の粘膜ではあまり吸収されずに反射されるので、血管コントラストの向上に寄与する。
なお、第1青色光LB1の波長帯域は、酸化ヘモグロビンによる吸光度が還元ヘモグロビンによる吸光度よりも小さい(A1<A2)。このように、第1青色光LB1は、酸化ヘモグロビンの吸光係数A1と還元ヘモグロビンの吸光係数A2との差が大きい光であるが、ヘモグロビンに吸収されやすく、観察対象からの戻り光が少ないので、酸素飽和度を測定するための測定光としては好ましくない。
酸素飽和度観察モード時には、撮像制御部40は、光源制御部21から同期信号を受け(あるいは光源制御部21に同期信号を入力することにより)、撮像センサ34の撮像動作を、光源部20からの通常光と測定光との発光期間に同期させる。具体的には、撮像制御部40は、光源部20から通常光が発せられる第1発光期間には、撮像センサ34に、通常光が照射された観察対象を撮像させ、B1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号を出力させる。また、撮像制御部40は、光源部20から測定光が発せられる第2発光期間には、撮像センサ34に、測定光が照射された観察対象を撮像させ、B2画像信号を出力させる。
図16において、酸素飽和度画像生成部46は、信号比算出部60と、相関関係記憶部61と、酸素飽和度算出部62と、色変換処理部63と、色彩強調処理部64と、構造強調処理部65と、画像生成部66とを備える。
信号比算出部60は、酸素飽和度算出部62で酸素飽和度の算出のために用いる信号比を算出する。具体的には、信号比算出部60は、第2発光モード時に観察対象を撮像して得られるB2画像信号と、第1発光モード時に観察対象を撮像して得られるG1画像信号の比(以下、第1信号比B2/G1という)をそれぞれ画素毎に算出する。また、第1発光モード時に観察対象を撮像して得られるR1画像信号とG1画像信号の比(以下、第2信号比R1/G1という)をそれぞれ画素毎に算出する。
相関関係記憶部61は、信号比算出部60が算出する各信号比と、酸素飽和度との相関関係を記憶している。この相関関係は、図17に示すように、二次元空間上に酸素飽和度の等値線を定義した二次元テーブルで記憶されている。信号比に対する等値線の位置及び形状は、光散乱の物理的なシミュレーションによって予め得られる。各等値線の間隔は血液量を表す第2信号比R1/G1に応じて変化する。なお、信号比と酸素飽和度との相関関係はlogスケールで記憶されている。
この相関関係は、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性(図15参照)や光散乱特性と密接に関連している。酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数の差が大きい第2青色光LB2の波長帯域では、酸素飽和度の情報が得られやすいが、第2青色光LB2により得られるB2画像信号は、酸素飽和度だけでなく、血液量にも依存度が高い。このため、B2画像信号に加えて、主として血液量に依存して変化するG1画像信号と、酸素飽和度及び血液量に対する依存度が低いR1画像信号とから求められる第2信号比R1/G1とを用いることで、酸素飽和度を正確に求めている。
酸素飽和度算出部62は、相関関係記憶部61に記憶された相関関係を参照して、信号比算出部60で算出される第1信号比B2/G1と第2信号比R1/G1に対応する酸素飽和度を算出する。例えば、図17に示す第1信号比B2*/G1*及び第2信号比R1*/G1*の場合には、酸素飽和度は「60%」と算出される。
なお、第1信号比B2/G1または第2信号比R1/G1が、極端に大きく算出されることや極端に小さく算出されることは殆どない。具体的には、図17において、第1信号比B2/G1と第2信号比R1/G1とで表される座標が、0%の酸素飽和度を表す下限等値線を上回ったり、100%の酸素飽和度を表す上限等値線を下回ったりすることは稀である。しかし、念のため、酸素飽和度算出部62は、算出される酸素飽和度が0%を下回る場合には酸素飽和度を0%として出力し、算出される酸素飽和度が100%を上回る場合には酸素飽和度を100%として出力するように構成されている。
酸素飽和度画像生成部46は、上記のように信号比算出部60、相関関係記憶部61、酸素飽和度算出部62により酸素飽和度を算出する一方で、色変換処理部63、色彩強調処理部64、構造強調処理部65によって酸素飽和度画像のベースとしての画像(以下、ベース画像という)を生成する。
色変換処理部63は、第1発光モード時に観察対象を撮像して得られるB1画像信号、G1画像信号、R1画像信号に対して、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理部64は、色変換処理が行われたB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に対して色彩強調処理を施す。構造強調処理部65は、色彩強調処理が行われたB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に対して、表層血管やピットパターン等の観察対象の構造を強調する構造強調処理を施す。すなわち、ベース画像は、通常画像生成部45と同様の各種画像処理を施したB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号によって生成されるものである。
画像生成部66は、酸素飽和度算出部62が算出する酸素飽和度と、上記各種画像処理が施されたB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号とを用いて、観察対象の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。具体的には、画像生成部66は、B1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に対して酸素飽和度に応じたゲインを画素毎に施す。
例えば、画像生成部66は、酸素飽和度が60%以上の画素については、B1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に対するゲインを「1」とし、実質的にゲイン処理は行わない。これに対して、酸素飽和度が60%未満の画素については、酸素飽和度の値を用いて、B1画像信号に対するゲインを「1」未満とし、G1画像信号及びR1画像信号に対するゲインを「1」以上とする。このゲイン処理後のB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号を用いて表した画像が酸素飽和度画像である。したがって、酸素飽和度画像では、高酸素の画素(酸素飽和度が60〜100%の画素)は通常画像と同様の色で表され、低酸素の画素(酸素飽和度が60%未満の画素)は通常画像とは異なる色(疑似カラー)で表される。
なお、本実施形態では、画像生成部66は、低酸素の画素のみ酸素飽和度に応じたゲイン処理を行っているが、高酸素の画素についても酸素飽和度に応じたゲインを施し、酸素飽和度画像の全体を疑似カラー化しても良い。また、低酸素と高酸素とを分ける酸素飽和度の基準値を60%としているが、この基準値は適宜変更して良い。
次に、本実施形態における一連の流れを、図18に示すフローチャートに沿って説明する。まず、通常観察モードにおいて、遠景状態からスクリーニングを行う(S10)。この通常観察モードでは、光学フィルタ57の第1フィルタ部57aが青色光LBの光路上に配置されている。スクリーニング時に、ブラウニッシュエリアや発赤など、病変の可能性がある部位(以下、病変可能性部位という)を検出したときには(S11)、ズーム操作部13bを操作して、病変可能性部位を含む観察対象を拡大表示する拡大観察を行う。これに合わせて、モード切替SW13aを操作して、観察モードを酸素飽和度観察モードに切り替える(S12)。
観察モードが酸素飽和度観察モードに切り替えられると、光源制御部21は、光学フィルタ57の第2フィルタ部57bを青色光LBの光路上に配置させる(S13)。そして、光源制御部21は、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させることにより、紫色光LVと第2青色光LB2と緑色光LGと赤色光LRとからなる通常光を観察対象に照射させる(S14)。撮像センサ34は、通常光で照明された観察対象を撮像して、B1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号を出力する(S15)。
その後、光源制御部21は、発光モードを自動的に切り替え、B−LED50bのみを点灯させることにより、第2青色光LB2からなる測定光を観察対象に照射させる(S16)。撮像センサ34は、測定光で照明された観察対象を撮像して、B2画像信号を出力する(S17)。
こうして、第1発光モードでB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号が得られ、第2発光モードでB2画像信号が得られると、酸素飽和度画像生成部46は、信号比算出部60によって第1信号比B2/G1と第2信号比R1/G1とを算出し(S18)、酸素飽和度算出部62によって酸素飽和度を算出する(S19)。一方で、酸素飽和度画像生成部46は、色変換処理部63、色彩強調処理部64、構造強調処理部65によって、B1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に基づき、酸素飽和度画像のベースとなるベース画像を生成する。
そして、画像生成部66によって、各種画像処理が施されたB1画像信号、G1画像信号、及びR1画像信号に酸素飽和度に応じたゲインを施し、酸素飽和度画像を生成する(S20)。酸素飽和度画像は、映像信号生成部47により映像信号に変換され、モニタ18に表示される(S21)。
酸素飽和度観察モードのステップS14〜S21は、観察モードが通常観察モードに切り替えられるか(S22でYES判定)、診断が終了される(S23でYES判定)まで繰り返し行われる。なお、上記観察フローは一例であり、これ以外のフローで酸素飽和度観察モードを用いた観察及び診断を行って良い。例えば、上記観察フローでは、近景観察時に酸素飽和度観察モードによって観察をしているが、スクリーニング等のために遠景観察をする場合にも酸素飽和度観察モードを使用して観察してよい。また、上記実施形態では、第1発光モードで観察対象を撮像した後に第2発光モードで観察対象を撮像しているが、第2発光モードで観察対象を撮像した後に第1発光モードで観察対象を撮像してもよい。
以上のように、B−LED50bから射出された青色光LBに基づき選択的に第1青色光LB1及び第2青色光LB2を生成することで、異なる診断観察が可能となる。通常観察では、青色光LBから460nm以上の波長成分の強度が低減された第1青色光LB1を用いている。第1青色光LB1は、第2青色光LB2よりも、酸化ヘモグロビンによる吸光度が大きい光であって、血管中のヘモグロビン(酸化ヘモグロビンまたは還元ヘモグロビン)に吸収されやすいが、血管周辺の粘膜にはあまり吸収されないので、血管コントラストが向上した高画質な青色画像成分が得られる。
一方、酸素飽和度観察モードでは、青色光LBから460nm以下の成分が低減された第2青色光LB2を測定光として用いている。第2青色光LB2は、酸化ヘモグロビンの吸光係数A1と還元ヘモグロビンの吸光係数A2との差が大きく、かつ酸化ヘモグロビンや還元ヘモグロビンではあまり吸収されず、戻り光としての成分が大きい光であるので、酸素飽和度を高精度に算出することができる。
なお、上記第1実施形態では、青色光LBのピーク波長を460nmとしているが、このピーク波長は460nmに限られない。しかし、青色光LBのピーク波長は450nm以上であることが好ましく、450〜460nmの範囲内であることがより好ましい。
また、第1青色光LB1は、少なくとも青色光LBのピーク波長以下の成分の強度が低減されており、第2青色光LB2は、少なくとも青色光LBのピーク波長以上の強度が低減されていることが好ましい。すなわち、第1フィルタ部57aの閾値S1は、青色光LBのピーク波長よりも小さくても良く、第2フィルタ部57bの閾値S2は、青色光LBのピーク波長よりも大きくても良い。
なお、上記第1実施形態では、帯域制限部53は、フィルタ移動機構58により光学フィルタ57を直線移動(スライド移動)させることにより、青色光LBの光路上に配置するフィルタ(第1フィルタ部57aまたは第2フィルタ部57b)を切り替えているが、光学フィルタ57を、半円部分に第1フィルタ部57aが形成され、残りの半円部分に第2フィルタ部57bが形成された回転板とし、この回転板を回転させることにより、青色光LBの光路に配置するフィルタ部を切り替えても良い。
また、上記第1実施形態では、第1〜第3DM55a〜55cの光学特性として、図8〜図10に示すものを用いているが、これに限られず、第1〜第3DM55a〜55cの光学特性をそれぞれ、透過と反射の関係を逆とすることも可能である。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、光学フィルタ57とフィルタ移動機構58とで構成された帯域制限部53によって第1青色光LB1及び第2青色光LB2を選択的に生成しているが、第2実施形態では、ダイクロイックミラーと、光遮蔽板と、光遮蔽板移動機構とで帯域制限部を構成する。
図19において、第2実施形態の光源部70は、V−LED50aと、B−LED50bと、G−LED50cと、R−LED50dと、LED駆動部51と、第1〜第4コリメータレンズ52a〜52dと、集光レンズ56とを有する。これらは、第1実施形態と同一であるので、詳しい説明は省略する。さらに、光源部70は、第1〜第5ダイクロイックミラー(DM)71a〜71eと、ミラー72と、光遮蔽板73と、光遮蔽板移動機構74とを有している。
第1DM71aは、B−LED50bから射出された青色光LBの光路上に、青色光LBが45°の角度で入射するように配置されている。第1DM71aは、図20に示すように、約460nmに閾値λ1を有し、閾値λ1より長い波長の光を透過させ、閾値λ1より短い波長の光を反射させる。厳密には、第1DM71aの光透過率及び光反射率は、閾値λ1で0%から100%に変化する訳ではなく、0%から100%への変化には、例えば50nm程度を要する。このため、ここでは、光透過率及び光反射率がほぼ50%となる波長を閾値λ1と定義している。
また、第1DM71aの閾値λ1は、青色光LBのピーク波長460nmとほぼ一致している。このため、第1DM71aは、図21に示すように、青色光LBを第1青色光LB1と第2青色光LB2とに分離する。第1青色光LB1は、青色光LBのうち、第1DM71aにより反射される成分であり、波長帯域は約460nm以下である。第2青色光LB2は、青色光LBのうち、第1DM71aを透過する成分であり、波長帯域は約460nm以上である。
第1青色光LB1と第2青色光LB2とは、第1DM71aの光透過率及び光反射率の0%から100%に変化に波長幅を有することにより、波長帯域が一部重なる。また、第1青色光LB1と第2青色光LB2との各ピーク強度は、青色光LBのピーク強度IPよりも低下する。
第1青色光LB1は、第1DM71aから青色光LBの光路と直交する方向に射出される。ミラー72は、第1青色光LB1が45°の角度で入射するように配置されており、第1青色光LB1を反射させて光路を90°変更する。この結果、第1青色光LB1の光路は、第2青色光LB2の光路とほぼ平行となる。
光遮蔽板73は、光遮蔽板移動機構74により、第1青色光LB1の光路を遮蔽する第1の位置と、第2青色光LB2の光路を遮蔽する第2の位置との間で、直線移動(スライド移動)され、第1青色光LB1と第2青色光LB2のうちいずれかを遮蔽する。
第2DM71bは、一方の面に第1青色光LB1が45°の角度で入射し、他方の面にV−LED50aから射出された紫色光LVが45°の角度で入射するように配置されている。第2DM71bは、約425nmに閾値λ2を有し、閾値λ2より短い波長の光を透過させ、閾値λ2より長い波長の光を反射させる。この構成により、第2DM71bは、第1青色光LB1の光路と紫色光LVの光路とを統合する。
第3DM71cは、一方の面に第2青色光LB2が45°の角度で入射し、他方の面に第2DM71bから射出された第1青色光LB1及び紫色光LVが45°の角度で入射するように配置されている。第3DM71cは、第1DM71aと同一の光学特性(図20参照)を有するものである。したがって、第3DM71cは、第2青色光LB2を透過させ、第1青色光LB1及び紫色光LVを反射させる特性を有し、これらの光路を統合する。
第4DM71dは、第1実施形態の第2DM55bと同一の光学特性(図9参照)を有するものであり、G−LED50cから射出された緑色光LGの光路と、R−LED50dから射出された赤色光LRとの光路とを統合する。第5DM71eは、第1実施形態の第3DM55cと同一の光学特性(図10参照)を有するものであり、第3DM71cにより統合された光路と、第4DM71dにより統合された光路とを統合する。第5DM71eから射出された光は、集光レンズ56により集光されてライトガイド23の入射端に入射する。
本実施形態では、通常観察モード時には、光源制御部21は、光遮蔽板移動機構74を制御することにより、光遮蔽板73を第2青色光LB2の光路上に配置させるとともに、LED駆動部51を制御することにより、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。この結果、第2青色光LB2が光遮蔽板73により遮蔽されるので、図11に示す光強度スペクトルを有する第1照明光が光源部70から射出される。
酸素飽和度観察モードの第1発光モード時には、光源制御部21は、光遮蔽板移動機構74を制御することにより、光遮蔽板73を第1青色光LB1の光路上に配置させるとともに、LED駆動部51を制御することにより、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。この結果、第1青色光LB1が光遮蔽板73により遮蔽されるので、図13に示す光強度スペクトルを有する通常光が光源部70から射出される。
酸素飽和度観察モードの第2発光モード時には、光源制御部21は、光遮蔽板73を第1青色光LB1の光路上に配置させたまま、LED駆動部51を制御することにより、B−LED50bのみを点灯させる。この結果、第1青色光LB1が光遮蔽板73により遮蔽されるので、図14に示す光強度スペクトルを有する測定光が光源部70から射出される。
このように、第2実施形態では、第1DM71aと光遮蔽板73と光遮蔽板移動機構74とが帯域制限部を構成している。第2実施形態のその他の構成及び作用は、第1実施形態と同様である。
なお、第2実施形態では、第1DM71a及び第3DM71cの光学特性として、図20に示すものを用いているが、これに限られず、第1DM71a及び第3DM71cの光学特性をそれぞれ、透過と反射の関係を逆とすることも可能である。
また、第2実施形態では、スライド方式の光遮蔽板73を用いているが、これに代えて、回転式の光遮蔽板を用いることも可能である。例えば、回転板の半円部分を光遮蔽部、残りの半円部分を開口部とし、回転板の回転に伴って光遮蔽部と開口部とが第1青色光LB1及び第2青色光LB2の各光路を通過するように配置すれば良い。
さらに、第2実施形態の光遮蔽板73及び光遮蔽板移動機構74は、いわゆるメカニカルシャッタを構成しているが、メカニカルシャッタに代えて、電気的に光透過率が可変である液晶シャッタ等の透過率可変部を用いても良い。図22に示す光源部80は、第2実施形態の光源部70の光遮蔽板73及び光遮蔽板移動機構74に代えて、第1透過率可変部81、第2透過率可変部82、及び透過率制御部83を設けたものである。
第1透過率可変部81は、第1青色光LB1の光路上に配置されている。第2透過率可変部82は、第2青色光LB2の光路上に配置されている。透過率制御部83は、第1透過率可変部81の光透過率と第2透過率可変部82の光透過率とをそれぞれ制御する。
通常観察モード時には、光源制御部21は、透過率制御部83を制御することにより、第1透過率可変部81の光透過率をほぼ100%とし、第2透過率可変部82の光透過率をほぼ0%とするとともに、LED駆動部51を制御することにより、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。この結果、第2透過率可変部82により第2青色光LB2の強度が低減されるので、図11に示す光強度スペクトルを有する第1照明光が光源部80から射出される。
酸素飽和度観察モードの第1発光モード時には、光源制御部21は、透過率制御部83を制御することにより、第1透過率可変部81の光透過率をほぼ0%とし、第2透過率可変部82の光透過率をほぼ100%とするとともに、LED駆動部51を制御することにより、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dの全ての光源を点灯させる。この結果、第1透過率可変部81により第1青色光LB1の強度が低減されるので、図13に示す光強度スペクトルを有する通常光が光源部80から射出される。
酸素飽和度観察モードの第2発光モード時には、光源制御部21は、第1透過率可変部81の光透過率をほぼ0%とし、第2透過率可変部82の光透過率をほぼ100%としたまま、LED駆動部51を制御することにより、B−LED50bのみを点灯させる。この結果、第1透過率可変部81により第1青色光LB1の強度が低減されるので、図14に示す光強度スペクトルを有する測定光が光源部80から射出される。
また、上記各実施形態では、原色のカラー撮像センサである撮像センサ34を用いているが、これに代えて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びG(緑)の補色フィルタを備えた補色撮像センサを用いても良い。補色撮像センサからは、CMYG形式の画像信号が出力されるが、色変換処理によって、RGB形式に変換することができる。さらに、モノクロセンサを用いることも可能である。この場合には、V−LED50a、B−LED50b、G−LED50c、R−LED50dを時分割点灯させれば良い。なお、この場合、V−LED50aとB−LED50bについては同時点灯させてもよい。
また、上記各実施形態では、通常観察モード時にはモニタ18に通常画像を表示させ、酸素飽和度観察モード時にはモニタ18に酸素飽和度画像を表示させているが、酸素飽和度観察モード時に、図23に示すように、モニタ18に酸素飽和度画像(第2画像)に加えて、通常画像(第1画像)を表示させても良い。通常画像と酸素飽和度画像とは、モニタ18に同時に表示されるので、通常画像を参照することにより、低酸素飽和度画像において、酸素飽和度の値に応じて色付けが行われた部分の元の画像を確認することができる。
また、上記各実施形態では、第2発光モード時には、B−LED50bを点灯させ、V−LED50a、G−LED50c、及びR−LED50dを消灯しているが、これらを消灯する代わりに、これらの各発光量を極小さい値にすることにより実質的に青色光LBだけを発するようにしても良い。このように、V−LED50a、G−LED50c、及びR−LED50dを完全に消灯させないことにより、LEDのスイッチングノイズの発生を防止することができる。
また、上記各実施形態では、酸素飽和度観察モードの第1発光モード時に、図13に示す光強度スペクトルを有する通常光を照明光としているが、これに代えて、図11に示す光強度スペクトルを有する通常光を照明光としても良い。この場合には、第1発光モード時には第1青色光LB1を生成させ、第2発光モード時には第2青色光LB2を生成させる。
図4に示す第1実施形態の光源部20の場合には、発光モードの切り替えに合わせて、光学フィルタ57を移動させれば良い。具体的には、第1発光モード時には、第1フィルタ部57aを青色光LBの光路上に配置することにより第1青色光LB1を生成させ、第2発光モード時には、第2フィルタ部57bを青色光LBの光路上に配置することにより第2青色光LB2を生成させれば良い。
図19に示す第2実施形態の光源部70の場合には、発光モードの切り替えに合わせて、光遮蔽板73を移動させれば良い。具体的には、第1発光モード時には、光遮蔽板73を第2青色光LB2の光路上に配置することにより第1青色光LB1を生成させ、光遮蔽板73を第1青色光LB1の光路上に配置することにより第2青色光LB2を生成させれば良い。
さらに、図22に示す光源部80の場合には、発光モードの切り替えに合わせて、第1透過率可変部81と第2透過率可変部82との光透過率を変更すれば良い。具体的には、第1発光モード時には、第1透過率可変部81の光透過率をほぼ100%、第2透過率可変部82の光透過率をほぼ0%として第1青色光LB1を生成させ、第2発光モード時には、第1透過率可変部81の光透過率をほぼ0%、第2透過率可変部82の光透過率をほぼ100%として第2青色光LB2を生成させれば良い。第1透過率可変部81と第2透過率可変部82との光透過率の制御は、電気的制御により行うものであり、光透過率の切り替えを瞬時に行うことが可能であるので、発光モードの切り替え速度の高速化(高フレームレート化)が可能となる。
このように、第1発光モード時には第1青色光LB1を生成させることにより、酸素飽和度画像のベース画像の生成は、460〜500nmの波長帯域の強度が低減された通常光が用いられるので、表層血管やピットパターン等の微細構造のコントラストが向上した画像となる。このように、血管コントラストが向上した高画質なベース画像に基づいて酸素飽和度画像が生成される。
また、上記各実施形態では、内視鏡システムは、通常観察モードと酸素飽和度観察モードとを有しているが、さらに、第1照明光の短波長成分の強度を高めた青色光観察モードを設けることも好ましい。この青色光観察モードは、V−LED50a及びB−LED50bの発光強度を、通常観察モード時よりも高めることにより、短波長成分の強度が高められた第1照明光を生成するものである。これ以外の構成は上記各実施形態と同一である。この第1照明光に含まれる紫色光LVや第1青色光LB1は、粘膜表層の血管中のヘモグロビンに吸収されやすい光であるので、表層血管やピットパターン等をより強調することができる。また照明光の波長が短いほど生体への深達度は浅いことが知られている。紫色光は青色光よりも浅いところの血管情報を抽出することができる。従って、青色光よりも紫色光の比率を高めることで、極表層血管観察に適した照明光を生成することができる。
上記各実施形態では、光源装置14とプロセッサ装置16とを別体構成としているが、光源装置とプロセッサ装置と1つの装置で構成しても良い。
また、上記各実施形態では、撮像センサ34が設けられた内視鏡12を被検体内に挿入して観察を行う内視鏡システム10によって本発明を実施しているが、カプセル内視鏡システムでも本発明は好適である。例えば、図24に示すように、カプセル内視鏡システムは、少なくともカプセル内視鏡100と、プロセッサ装置(図示せず)とを有する。
カプセル内視鏡100は、光源102と光源制御部103と、撮像センサ104と、酸素飽和度画像生成部106と、送受信アンテナ108とを備えている。光源102は、紫色光LVを発するV−LEDと、青色光LBを発するB−LEDと、緑色光LGを発するG−LEDと、赤色光LRを発するR−LEDと、青色光LBから第1青色光LB1及び第2青色光LB2を選択的に生成する帯域制限部とを有しており、上記各実施形態の光源部に対応する。
光源制御部103は、上記各実施形態の光源制御部21と同様にして光源102の駆動を制御する。また、光源制御部103は、送受信アンテナ108によって、カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置と無線で通信可能である。カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置は、上記各実施形態のプロセッサ装置16とほぼ同様であるが、酸素飽和度画像生成部46に対応する酸素飽和度画像生成部106は、カプセル内視鏡100内に設けられている。酸素飽和度画像生成部106が生成した酸素飽和度画像は、送受信アンテナ108を介してプロセッサ装置に送信される。撮像センサ104は、上記各実施形態の撮像センサ34と同様の構成である。