JP6213731B2 - 分散染料インク組成物、印捺方法、及び印捺物 - Google Patents

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本発明は、分散染料インク組成物、印捺方法、及び印捺物に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、吐出安定性等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、滲みを抑え、インク溢れを防ぎ、裏面画像描写性に優れた高品位プリントを得ることができるインクジェット捺染方法を提供することを目的として、顔料、水、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶媒を含有し、該定着樹脂の少なくとも1種が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーを成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合体であり、水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有するインクジェット用水性顔料インクを用いて、主として平均太さが20d(デニール)以上、100d(デニール)以下のポリエステル糸で構成されているインクジェット捺染用布帛に記録する方法であって、記録する際に該インクジェット捺染用布帛を40℃以上、90℃以下で加熱し、記録解像度360dpi以上、1440dpi以下(dpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)で、インク液滴量が3.5pl以上、56pl以下で、かつ最大インク付与量が40ml/m2以下の条件で、該インクジェット用水性顔料インクをインクジェット捺染用布帛に記録するインクジェット捺染方法が開示されている。
特開2010−31402号公報
しかしながら、引用文献1で使用している顔料は布帛繊維表面上に定着されるものであるため、脱落しやすく、布帛繊維内に浸透する染料と比較して摩擦堅牢性に劣る傾向がある。この点について、布帛繊維表面上に顔料を定着させるために定着樹脂を用いると、布帛の風合い(肌触り)が劣るという問題が発生する。さらに、顔料は発色性が比較的低いという問題もある。その上、引用文献1で使用している1,2−アルカンジオール類は炭素鎖が長いと疎水性が高くなる傾向にあるため、経時的にインク組成物中の分散成分の粒径が増大したり、異物が発生したりして保存安定性が悪くなる傾向にある。また、1,2−アルカンジオール類は炭素鎖が短いと親水性が高くなる傾向に有り、これに伴い浸透性が低下し、インク組成物が繊維に浸透せず広がるため滲みが生じやすい傾向にある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、滲みが生じにくく、摩擦堅牢性及び保存安定性に優れる分散染料インク組成物、それを用いた印捺方法、及び前記分散染料インク組成物により得られる印捺物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の分散剤と所定の水溶性有機溶媒を用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に付着させて印捺するのに用いられる分散染料インク組成物であって、
分散染料と、
酸価75〜260mgKOH/gのスチレンとスチレン以外のビニルモノマーとの共重合体(但し、分子鎖末端にアクリロイル基を有し、且つカルボン酸基を解離基として有する水溶性ウレタン化合物と疎水性アクリルモノマーとを共重合してなる水溶性ウレタンポリマーを除く)と、
アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、
有機アミンと、を含み、
前記アルキレングルコールモノアルキルエーテルの含有量が、前記分散染料インク組成物の総量に対して、1.0〜5.0質量%である、
分散染料インク組成物。
〔2〕
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む、前項〔1〕に記載の分散染料インク組成物。
〔3〕
リグニンスルホン酸をさらに含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の分散染料インク組成物。
〔4〕
pHが、7.8〜9.0である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物。
〔5〕
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される1種である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物。
〔6〕
ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に対し、インクジェットノズルから前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物を、解像度が360dpi〜1440dpiであり、Iwが3〜45ngであり、インク打ち込み量の最大値が35g/m 2 となるように吐出し、付着させる付着工程を有する、印捺方法。
〔7〕
前記ポリエステル布帛又は前記ポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛を前処理する工程を含まない、前項〔6〕に記載の印捺方法。
〔8〕
ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛上に、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物が印捺された、印捺物。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
〔分散染料インク組成物〕
本実施形態の分散染料インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に付着させて印捺するのに用いられる分散染料インクであって、分散染料と、酸価75〜260mgKOH/gのスチレンとスチレン以外のビニルモノマーとの共重合体と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、有機アミンと、を含む。
〔分散染料〕
用い得る分散染料としては、特に限定されず、以下に列記するものが例示される。
イエロー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232等が挙げられる。
オレンジ分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースオレンジ1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142等が挙げられる。
レッド分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328等が挙げられる。
バイオレット分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77等が挙げられる。
グリーン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースグリーン9等が挙げられる。
ブラウン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19等が挙げられる。
ブルー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブルー3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333等が挙げられる。
ブラック分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラック1、3、10、24等が挙げられる。
分散染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散染料の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜6質量%がさらに好ましい。また、分散染料の含有量が10質量%以下であることにより、保存安定性及び吐出安定性がより向上する傾向にある。
〔スチレンとビニルモノマーの共重合体〕
スチレンとスチレン以外のビニルモノマー(以下、スチレン以外のビニルモノマーを単に「ビニルモノマー」という。)との共重合体は、分散染料の分散剤として働き得る。スチレンとビニルモノマーとの共重合体を用いることにより、その他の分散剤を用いる場合と比較して、布帛に対するインク組成物の付着量を増大させたとしても滲みが生じにくく、分散染料インク組成物の保存安定性及び吐出安定性がより向上する。また、得られた印捺物から未固着の分散染料を熱石鹸液などで洗い落とす処理を行った場合に、非印捺領域にまで染料が色移りする白場汚染を抑制すことができる。白場汚染が抑制される理由としては、分散染料に吸着しやすいスチレンとビニルモノマーとの共重合体が分散染料を被覆するため、余分な分散染料が布帛に付着しにくいからと考えられるが、この限りではない。
スチレンとビニルモノマーとの共重合体の酸価は、75〜260mgKOH/gであり、好ましくは100〜240mgKOH/gであり、より好ましくは120〜220mgKOH/gである。酸価が100mgKOH/g以上であることにより、分散染料インク組成物中のスチレンとビニルモノマーの共重合体の溶媒に対する相溶性がより向上し、また立体反発による分散安定化がより良好になり保存安定性がより向上する。また、酸価が300mgKOH/g以下であることにより、スチレンとビニルモノマーの共重合体の分散染料に対する吸着性が向上し、白場汚染がより抑制される。なお、酸価は、JIS K0070に従って測定することができる。
スチレンとビニルモノマーとの共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000〜30000であると好ましく、3000〜20000であるとより好ましい。Mwが上記下限値以上であることにより、分散染料の分散剤としてより有効かつ確実に作用する傾向にあり、上記上限値以下であることにより、インク組成物をインクジェットから吐出することで捺染する場合に、インクジェットノズルでの目詰まりをより有効に抑制し、吐出安定性を向上させることができる。
スチレンとビニルモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のうちのいずれの形態であってもよい。
ビニルモノマーとしては、ビニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、アミン系のビニルモノマー、アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基)を有するビニルモノマー、その他ビニルモノマーが挙げられる。
アミン系のビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジンの如きモノビニルピリジン類;N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレンの如きジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリレートの如きアクリル酸又はメタクリル酸のジアルキルアミノ基を有するエステル類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテルの如きジアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;N−(N’,N'−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N'−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N'−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N'−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N'−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N'−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N'−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N'−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドの如きジアルキルアミノ基を有するアクリルアミド又はメタクリルアミド類が挙げられる。
アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基)を有するビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル又はアリールスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はトルエンスルホン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1から18)、及び硫酸ジアルキル(アルキル基の炭素数1から4)の如き公知の4級化剤で4級化したモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等、又はそれらの無水物及び塩などの不飽和カルボン酸モノマー;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等及びそれらの塩、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びそれらの塩などの不飽和スルホン酸モノマー;ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタアクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等の不飽和リン酸モノマーが挙げられる。
その他ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートが挙げられる。
スチレンとビニルモノマーの共重合体の市販品としては、特に限定されないが、例えば、BASF社製のジョンクリル67、ジョンクリル678、ジョンクリル586、ジョンクリル683、ジョンクリル690、ジョンクリル60、ジョンクリル62、ジョンクリル63、ジョンクリル52、HPD−71;東亜合成社製のUC−3080、UC−3910、UC−3920が挙げられる。
スチレンとビニルモノマーの共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散染料インク組成物に含まれる分散染料の総量に対する、スチレンとビニルモノマーとの共重合体の含有量は、30〜250質量%であり、より好ましくは60〜200質量%である。その共重合体の含有量が上記範囲であることにより、分散染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
〔リグニンスルホン酸〕
分散染料インク組成物は、リグニンスルホン酸をさらに含むことが好ましい。リグニンスルホン酸は、分散染料の分散剤として働き得る。分散染料インク組成物がリグニンスルホン酸を含むことにより、分散染料の保存安定性、分散染料インク組成物の長期にわたる吐出安定性がより向上する傾向にある。この理由は明らかではないが、分散剤の染料被覆率が向上すると考えられるが、特に限定されない。
分散染料インク組成物に含まれる分散染料の総量に対する、リグニンスルホン酸の含有量は、20質量%〜200質量%であり、より好ましくは50質量%〜150質量%である。分散剤の含有量が上記範囲であることにより、染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
また、スチレンとビニルモノマーの共重合体の総量に対する、リグニンスルホン酸の含有量は、30質量%〜200質量%であり、より好ましくは50質量%〜150質量%である。分散剤の含有量が上記範囲であることにより、染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
〔アルキレングリコールモノアルキルエーテル〕
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは水溶性有機溶剤として働く。インク組成物が、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことにより、分散染料インク組成物の被記録媒体への濡れ性を高め、分散染料インク組成物の浸透性をより向上し、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上することができる。その上、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを、スチレンとビニルモノマーとの共重合体と併用することにより、滲みをより抑制することができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R−O−(Cn2nO)m−OH ・・・ (1)
(式(1)中、Rは、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を示し、nは、互いに独立に、2〜5の整数を示し、mは1〜30の整数を示す。)
Rとしては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。このなかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
nは、好ましくは2〜5の整数であり、より好ましくは2〜4の整数であり、さらに好ましくは2〜3の整数である。
mは、好ましくは1〜30の整数であり、より好ましくは1〜20の整数であり、さらに好ましくは1〜15の整数である。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテルが挙げられる。
このなかでも、上記式(1)においてnが2、mが3である、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルのようなトリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。トリエチレングリコールモノアルキルエーテルを用いることにより、分散染料インク組成物の浸透性がより向上し、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。
なお、アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量は、分散染料インク組成物の総量に対して、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1.0〜8質量%であり、さらに好ましくは1.5〜5.0質量%である。アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が上記範囲内であることにより、染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
〔有機アミン〕
有機アミンは、スチレンとビニルモノマーとの共重合体が有し得るカルボキシル基のような酸性基を、部分的又は完全に中和する中和剤として働き得る。
有機アミンとしては、特に限定されないが、例えば、一級アミン、二級アミン、又は三級アミンが挙げられる。
有機アミンの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.05〜5.0質量%であり、より好ましくは0.1〜3.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜2.0質量%である。有機アミンの含有量が上記範囲内であることにより、染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
〔分散染料インク組成物のpH〕
分散染料インク組成物のpHは、好ましくは7.8〜9.0であり、より好ましくは8.0〜8.5である。分散染料インク組成物のpHが7.8以上であることにより、分散染料インク組成物中の異物発生がより抑制される傾向にある。また、分散染料インク組成物のpHが9.0以下であることにより、スチレンとビニルモノマーとの共重合体などの分散剤の親水性が低下し、分散染料の吸着がより良好に進行する傾向にある。また、分散染料インク組成物のpHが9.0以下であることにより、スチレンとビニルモノマーとの共重合体が吸着した分散染料の分散安定性がより向上する傾向にある。pHは実施例に記載の方法により測定することができる。
(水)
分散染料インク組成物は、水を含んでもよい。水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生がより防止される傾向にある。
水の含有量は、分散染料インク組成物の総量に対して、50〜80質量%が好ましく、55〜70質量%がより好ましい。
(界面活性剤)
分散染料インク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、分散染料インク組成物の総量に対し、0.2〜5質量%が好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、布帛への濡れ性を高めて分散染料インク組成物の浸透性がより優れる傾向にある。
(その他の添加剤)
分散染料インク組成物は、さらに必要に応じて、上述以外の、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、アジピン酸、水酸化カリウム)、又は溶解助剤、その他、通常のインクにおいて用いることができる各種添加剤を含んでもよい。なお、各種添加剤は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
〔布帛〕
本実施形態で用いる布帛としては、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛を使用する。ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛は、特に白場汚染が生じやすい傾向にあるため、本発明のインク組成物を用いることが有利である。
〔印捺方法〕
本実施形態の印捺方法は、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に対し、インクジェットノズルから上記分散染料インク組成物を、解像度が360dpi〜1440dpiであり、Iw(1ドットあたりのインクの重量)が3〜45ngであり、インク打ち込み量の最大値が35g/m2となるように吐出し、付着させる付着工程を有する。
〔付着工程〕
本実施形態の付着工程は、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンの混紡布帛に対し、インクジェットノズルから上記分散染料インク組成物を、吐出し、付着させる工程である。
付着工程における解像度は、360dpi〜1440dpiであり、好ましくは720〜1440である。解像度が上記範囲内であることにより、Iwが比較的小さくなるため、乾燥性が良くなり、結果、染料が布帛表面に残る傾向にある。染料が布帛表面に残るものと、布帛の奥まで浸透したものとを比べると、布帛に吸着した染料量が少ないため、白場汚染の程度が改善する。また、画質も向上する。
付着工程におけるIwは、3〜45ngであり、好ましくは4〜40であり、より好ましくは5〜35であり、さらに好ましくは6〜30である。Iwが上記範囲内であることにより、滲みと白場汚染が生じない印捺物を得ることができる。
付着工程におけるインク打ち込み量の最大値は、35g/m2であり、好ましくは30g/m2であり、より好ましくは25g/m2である。インク打ち込み量の最大値が上記範囲内であることにより、滲みと白場汚染が生じない印捺物を得ることができる。
このようにして、布帛上に、上記実施形態のインク組成物に由来する画像が形成された印捺物を得ることができる。
本実施形態の印捺方法において、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛を前処理する工程を含まないことが好ましい。通常、前処理を行なうことによりインクドットの横の広がりを抑制し、滲みを防止でき、また、インクが浸透しすぎるのを防ぎ、発色の低下を抑制することができる。しかしながら、本実施形態の印捺方法であれば、前処理する工程を含まなくとも、にじみが抑制され発色性に優れる印捺物を得ることができる。ここでいう「前処理」とは、前処理液を用いて分散染料を凝集させる工程をいう。
〔印捺物〕
印捺物は、ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンの混紡布帛上に、上記分散染料インク組成物が印捺されたものである。この印捺物は、例えば、上記の印捺方法により得られるものである。当該印捺物は、滲みが生じにくく、摩擦堅牢性にも優れるものとなる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な原材料は、以下の通りである。
〔色材〕
分散染料:C.I.ディスパースレッド74(C.I.ディスパースレッド74社製)
顔料:C.I.ピグメントレッド122(Clariant社製、製品名Inkjet Magenta E02 VP2621)
〔分散剤〕
(スチレンとビニルモノマーとの共重合体)
共重合体1:BASF社製、製品名ジョンクリル611、酸価53、Mw8100
共重合体2:BASF社製、製品名ジョンクリル690、酸価102、Mw16500
共重合体3:BASF社製、製品名ジョンクリル62、酸価200、Mw8500
共重合体4:BASF社製、製品名HPD−96、酸価240、Mw7000
共重合体5:星光PMC社製、製品名RS−1191、酸価280、Mw7500
(リグニンスルホン酸)
日本製紙社製、製品名パールレックスNP
(界面活性剤)
β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、製品名デモールRN
〔レベリング剤〕
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、製品名ペレックスSSH)
〔樹脂〕
日本ルーブリゾール社製 商品名サンキュアー2710
〔水溶性有機溶剤〕
MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
BTG:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
1,2−ブタンジオール
1,2−ヘキサンジオール
1,2−ノナンジオール
グリセリン
トリエチレングリコール
〔塩基〕
有機アミン:トリエタノールアミン
無機アミン:水酸化ナトリウム(NaOH)
〔布帛〕
ポリエステルエラストマー混紡布 Bilight Woven(Boselli社製)
ポリエステル Raso Tivano」(Boselli社製)
[インク組成物の調製]
各原材料を下記の表1〜3に示す組成で純水と共に混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、下記の表1〜3中、含有量の数値の単位は質量%であり、純水を加えた合計は100.0質量%である。
〔pHの測定方法〕
ガラス電極pHメーター(YOKOGAWA社製、製品名MODEL PH82)で測定した。
〔酸価の測定方法〕
酸価はJIS K0070に準じて、測定した。
[実施例1〜15、比較例1〜9]
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)を改造したプリンターを用いて、後述する各評価方法の記録条件でインクジェット法により吐出し、A4サイズの布帛に吐出し、付着させた。
なお、Dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。したがって、例えば、横1,440dpi、縦720dpiの場合、1平方インチを横1,440分割、縦720分割した計1,036,800分割のうち、何%にインクドットを配置したかを示す。なお、前記した「Duty」とは、下記式で算出される値である。
式:Duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
上記式において、「実記録ドット数」は単位面積当たりで実際に記録されたドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの画像解像度である。
得られた印捺物を、スチーマーHT3−5−550(辻井電気工業社製)を用いて下記の条件でスチーミング処理を施し、染料を布帛に定着させた。
温度:170℃
湿度:100%R.H.
処理時間:8分間
スチーム処理した印捺物を水洗し、次いで染色試験機Turby Type T(マチス社製)を用いて下記の条件で還元洗浄を行った。その後、アイロンで乾燥させて印捺サンプルを得た。
温度条件:25℃から85℃まで2℃/分の昇温速度で加熱し、85℃で10分間保持し、85℃から25℃まで3℃/分の高温速度で冷却した。
撹拌:回転速度800rpm(右回転:55秒、左回転:55秒、32〜33サイクル)
洗浄液:水150g、ラッコールSTA0.3g(明成化学工業社製)、ハイドロサルファイト0.15g(和光純薬社製)、水酸化ナトリウム0.3g(和光純薬社製)
分散染料インク組成物及び得られた印捺サンプルについて、下記各評価を行った。結果を表1〜3に示す。なお、比較例2の分散染料インク組成物はジョンクリル611が不溶であり、及び6の分散染料インク組成物は1,2ノナンジオールが不溶であり溶剤が分離しているため、インク組成物として評価することができなかった。
〔滲み〕
解像度720×720dpi、IW25ngとし、布帛としてポリエステルを用いて印捺サンプルを得た。得られた印捺サンプルの印捺部と非印捺部の境界において、印捺部から非印捺部へのインクの染み出しの有無を確認し、下記評価基準に基づいて滲みについて評価した。
1. 目視(印捺部と目の距離が約10cm)で滲みが確認されず、ルーペを用いて10倍で観察しても滲みが確認されなかった。
2. 目視(印捺部と目の距離が約10cm)で滲みが確認されず、ルーペを用いて10倍で観察した場合に滲みが確認された。
3. 目視(印捺部と目の距離が約30cm)では滲みは確認できないが、目視(印捺部と目の距離が約10cm)では滲みが確認された。
4. 目視(印捺部と目の距離が約30cm)で滲みが確認された。
〔摩擦堅牢性〕
上記のようにして得られた印捺物の印捺部に対して、荷重:500g、摩擦子:金巾、摩擦回数:100往復の条件で、学振試験AB-301(テスター産業社製)を用いて学振試験を行ない、下記評価基準に基づいて摩擦堅牢性を評価した。
1. 印捺部において、塗膜剥がれはなく、かつ色材が金巾に付着しなかった。
2. 印捺部において、塗膜剥がれはなかったが、僅かに色材が金巾に付着した。
3. 印捺部において、1%以上25%未満の面積で塗膜が剥がれた。
4. 印捺部において、25%以上の面積で塗膜が剥がれた。
〔発色性〕
解像度1440×720dpi、IW22ngとし、布帛としてポリエステルを用い、Duty10〜100%の10%刻みのグラデーションパターンを記録して印捺サンプルを得た。得られた印捺サンプルの印捺部のOD値を、測色機Spectrolino(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて発色性について評価した。なお、C*=(a*2+b*20.5です。
1.C*が70以上であった。
2.C*が70未満であった。
〔白場汚染〕
A4サイズのポリエステルエラストマーBilight Woven(Boselli社製)に19cm×25cmのベタパターンを記録して、印捺サンプルを得た。捺染サンプルの無地の部分について、測色機Spectrolino(グレタグマクベス社製)を用いて洗浄工程前後で測色し、Lab表示系における色差ΔEを下記式(式は省略)に基づき算出した。ΔEより下記評価基準に基づいて白場汚染について評価した。
1:ΔEが0以上5未満であった。
2:ΔEが5以上10未満であった。
3:ΔEが10以上20未満であった。
4:ΔEが20以上であった。
〔保存安定性(粒度分布)〕
上記のようにして調製した分散染料インク組成物をアルミパックに注入し、60℃で10日間保存した。保存前後のインク組成物を純水で2000倍希釈し、希釈液の顔料及び分散染料の粒度分布をMicrotrac UPA(日機装社製)で測定した。得られた平均粒子径D50の差を算出し、下記評価基準に基づいて保存安定性(粒度分布)について評価した。
1. ΔD50が0nm以上10nm未満であった。
2. ΔD50が10nm以上30nm未満であった。
3. ΔD50が30nm以上50nm未満であった。
4. ΔD50が50nm以上であった。
〔保存安定性(異物)〕
上記のようにして調製した分散染料インク組成物をアルミパックに注入し、60℃で10日間放置した。放置後の一定量の分散染料インク組成物を格子長10μmの金属メッシュに通し、金属メッシュ上に残った固形物を異物として、その個数を確認した。下記評価基準に基づいて保存性(異物)を評価した。
1. 異物は0個であった。
2. 異物は1個以上50未満であった。
3. 異物は50個以上100未満であった。
4. 異物は100個以上であった。

Claims (8)

  1. ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に付着させて印捺するのに用いられる分散染料インク組成物であって、
    分散染料と、
    酸価75〜260mgKOH/gのスチレンとスチレン以外のビニルモノマーとの共重合体(但し、分子鎖末端にアクリロイル基を有し、且つカルボン酸基を解離基として有する水溶性ウレタン化合物と疎水性アクリルモノマーとを共重合してなる水溶性ウレタンポリマーを除く)と、
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、
    有機アミンと、を含み、
    前記アルキレングルコールモノアルキルエーテルの含有量が、前記分散染料インク組成物の総量に対して、1.0〜5.0質量%である
    分散染料インク組成物。
  2. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む、請求項1に記載の分散染料インク組成物。
  3. リグニンスルホン酸をさらに含む、請求項1又は2に記載の分散染料インク組成物。
  4. pHが、7.8〜9.0である、請求項1〜のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物。
  5. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物。
  6. ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛に対し、インクジェットノズルから請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物を、解像度が360dpi〜1440dpiであり、Iwが3〜45ngであり、インク打ち込み量の最大値が35g/m2となるように吐出し、付着させる付着工程を有する、印捺方法。
  7. 前記ポリエステル布帛又は前記ポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛を前処理する工程を含まない、請求項6に記載の印捺方法。
  8. ポリエステル布帛又はポリエステルとポリウレタンとの混紡布帛上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散染料インク組成物が印捺された、印捺物。
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