〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(携帯型情報端末及び音声出力装置の構成)
本実施形態に係る携帯型情報端末100及び、音声出力装置200の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、携帯型情報端末100及び音声出力装置200の各部の構成を示す機能ブロック図である。
携帯型情報端末100は、無線通信のために予めペアリングされた音声出力装置200と連携して動作する。より具体的に言うと、携帯型情報端末100は、音声出力装置200が出力する音声と同一の音声を出力する。これにより、携帯型情報端末100を保持したユーザは、音声出力装置200から離れた場所にいても、携帯型情報端末100から出力されている音声を聴くことによって、音声出力装置200から出力されている音声を知ることができる。
なお、本実施形態においては、携帯型情報端末100として、スマートフォンを用いており、音声出力装置200として、テレビジョン受像機(TVとも呼称する。)を用いている場合について説明するが、これは本発明を限定するものではない。例えば、携帯型情報端末100として、スマートフォンを用いる代わりに、音声出力装置200と連携して動作することが可能な、携帯電話、ノートパソコン、またはタブレット端末などを用いてもよい。また、音声出力装置200として、TVを用いる代わりに、携帯型情報端末100と連携して動作することが可能なラジオ、または音楽プレーヤなどを用いてもよい。また、本実施形態においては、携帯型情報端末100と音声出力装置200とがWi−Fi(登録商標)により通信するものとするが、本発明はこれに限定されない。Bluetooth(登録商標)など、他の伝送方式に従う無線通信を採用してもよい。
図1に示すように、携帯型情報端末100は、アンテナ101、通信部102、音声デコード部103、マイク104、変換部105、メモリ106、選択部107、音声出力部108、スピーカ109、操作受付部110、更新部111、及び推定部120を備えている。携帯型情報端末100の各部の機能を説明すれば、以下の通りである。
アンテナ101は、電磁波を電気信号に変換するための手段である。本実施形態において、アンテナ101は、音声出力装置200から送信された電磁波を電気信号(以下、「受信信号#1」とも記載)に変換する。アンテナ101により生成された受信信号#1は、通信部102に供給される。
通信部102は、アンテナ101から供給された受信信号#1から第1の音声データ#2及び音量設定情報#3を復調する。第1の音声データ#2は、音声出力装置200が出力する出力音を表す、符号化された音声データである。また、音量設定情報#3は、音声出力装置200が出力する出力音の音量設定(ゲイン)を表す情報である。復調された第1の音声データ#2は、音声デコード部103に供給される。また、復調された音量設定情報#3は、推定部120に供給される。
また、通信部102は、電波の受信状態を示す指標である電波受信レベル#4を、アンテナ101が受信した電磁波に基づいて決定する手段としても機能する。決定された電波受信レベル#4は、選択部107に通知される。なお、電波受信レベル#4は、例えば、受信した電波の電波強度、または受信信号#1に含まれる受信データの誤り率などによって決定することができる。通信部102は、受信した電波の電波強度が強い場合、または受信データの誤り率が低い場合には、電波の受信状態は良好であると判断し、受信した電波の電波強度が弱い場合、または受信データの誤り率が高い場合には、電波の受信状態は良好ではないと判断する。本実施形態においては、電波受信レベル#4として、A〜Eの5段階に分類した指標を用いており、電波受信レベルAは、電波の受信状態が最も良好であることを示している。
音声デコード部103は、第1の音声データ#2から第1の音声信号#5を復号するための手段である。本実施形態において、音声デコード部103は、通信部102より供給された第1の音声データ#2から第1の音声信号#5を復号する。復号された第1の音声信号#5は、音声出力部108及び推定部120に供給される。なお、本実施形態において、音声デコード部103により復号される第1の音声信号#5は、デジタル信号である。
以上のように、アンテナ101及び通信部102は、第1の音声データ#2を音声出力装置200から取得し、音声デコード部103は、第1の音声データ#2から第1の音声信号#5を復号する。すなわち、アンテナ101、通信部102、及び音声デコード部103は、音声出力装置が出力する出力音を表す第1の音声信号を上記音声出力装置から取得するための取得手段として機能する。
マイク104は、携帯型情報端末100の周辺の音声を検出するための手段である。マイク104により検出された音声(以下、「検出音」とも記載)を表すアナログ信号#6は、変換部105に供給される。なお、本実施形態において、マイク104は、携帯型情報端末100に内蔵されている。マイク104が携帯型情報端末100に内蔵されていることにより、マイク104が検出する検出音は、携帯型情報端末100の周辺の音声であることが保証される。ただし、マイク104は、短いケーブル等によって携帯型情報端末100に接続されたもの(例えば、イヤホンマイクなど)であっても構わない。
変換部105は、マイク104から供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換するための手段である。本実施形態において、変換部105は、マイク104が検出した検出音を表すアナログ信号#6をデジタル信号に変換することにより、第2の音声信号#7を生成する。生成された第2の音声信号#7は、推定部120に供給される。
推定部120は、音声出力装置200が出力する出力音を表す第1の音声信号#5と、音声出力装置200の音量設定情報#3と、マイク104が検出した検出音を表す第2の音声信号#7とに基づいて、該検出音に含まれる出力音の聴感レベルを推定するための手段(推定手段)である。本実施形態においては、推定部120は、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5と、通信部102から供給された音量設定情報#3と、変換部105から供給された第2の音声信号#7とに基づいて、マイク104が検出した検出音に含まれる出力音の聴感レベル#8を推定する。推定部120により推定された聴感レベル#8は、選択部107に通知される。
ここで、「聴感レベル」とは、音声出力装置200が出力する出力音の音量(音圧レベル)に対する、マイク104が検出した検出音に含まれる出力音の音量(音圧レベル)の比を表す指標である。本実施形態においては、聴感レベルとして、A〜Eの5段階に分類した指標を用いており、聴感レベルAは、聴感レベルが最も高いことを示している。なお、推定部120の動作の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
選択部107は、推定部120により推定された聴感レベル#8と、通信部102から通知された電波受信レベル#4とに基づいて、第1の音声信号#5が表す音声を携帯型情報端末100に内蔵されたスピーカ109から出力する際の音量を選択するための手段(選択手段)である。本実施形態において、選択部107は、(1)聴感レベル#8と電波受信レベル#4とに基づいて、第1の音声信号#5が表す音声を出力するか否かを選択すると共に、(2)当該音声を出力する際の音量を決定するために参照される出力音量値#11を決定する。
第1の音声信号#5が表す音声を出力するか否かの選択は、例えば、以下のように実行される。すなわち、選択部107は、まず、メモリ106に格納されている状態推定テーブルを参照することにより携帯型情報端末100の状態を示す状態値#9を推定する。ここで、状態推定テーブルとは、電波受信レベルの値A〜Eと聴感レベルの値A〜Eとからなる対の各々に特定の状態値を対応付けたテーブルである。また、メモリ106には、予め定められた閾値が格納されており、選択部107は、推定された状態値#9と当該閾値とを比較する。そして、選択部107は、推定された状態値#9が、予め定められた閾値以上である場合に、第1の音声信号#5が表す音声を、スピーカ109から出力することを選択する。選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力することを選択した場合に、音声出力部108に対して、第1の音声データが表す音声をスピーカ109から出力することを示す出力指示#10を送信する。
また、出力音量値の決定は、例えば、以下のように実行される。すなわち、選択部107は、表1に示すような出力音量値テーブルを参照することによって、出力音量値#11を決定する。ここで、出力音量値テーブルとは、上述した状態値と出力音量値とを対応付けたテーブルであり、メモリ106に格納されている。選択部107は、メモリ106に格納されている出力音量値テーブルを参照することによって決定した、状態値に対応する出力音量値#11を音声出力部108に送信する。
なお、表1に示す出力音量値テーブルは、メモリ106に格納されている予め定められた閾値が「4」である場合の出力音量値テーブルを示しているが、これは本発明を限定するものではなく、予め定められた閾値が「3」、または「5」である場合に、選択部107は、表1に示した出力音量値テーブルとは異なる出力音量値テーブルをそれぞれ参照する構成としてもよい。また、後述する更新部111が予め定められた閾値を更新した場合には、更新部111は、閾値の更新に応じてメモリ106に格納されている出力音量値テーブルを更新するように構成してもよい。
音声出力部108は、選択部107から受信した指示に基づいて、音声デコード部103から供給された第1の音声信号をスピーカ109から出力させるための手段である。本実施形態において、音声出力部108は、スピーカ109から出力することを示す出力指示#10を選択部107から受信すると、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5をスピーカ109に入力する。この際、音声出力部108は、スピーカ109から出力する音声の音量を、第1の音声信号#5と共に音声出力装置200から取得した音声出力装置200の音量設定値V2、及び、選択部107から取得した出力音量値#11を参照して決定する。具体的には、音声出力装置200から取得した音量設定値V2に、選択部107から取得した出力音量値#11を加算したものを、スピーカ109から出力する音声の音量に設定する。なお、後述する操作受付部110から携帯型情報端末100の音量設定値V1の変更を示す変更指示#13を受信した場合に、音声出力部108は、当該変更指示#13に基づいて、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5の音量を変更する。
スピーカ109は、入力される音声信号を物理的な振動に変換することにより、音声信号の示す音声を出力するための手段である。本実施形態においては、スピーカ109は、音声出力部108から入力される第1の音声信号#5に基づいて、当該スピーカ109の備える振動板を振動させることにより、第1の音声信号#5が表す音声を出力する。
操作受付部110は、ユーザによる操作を受け付けるための手段である。本実施形態において、操作受付部110は、ユーザによる音量設定値V1の変更を指示する操作#12を受け付ける。操作受付部110は、音量設定値V1の変更を示す操作#12を受け付けると、音量設定値V1の変更を示す変更指示#13を音声出力部108及び更新部111に送信する。なお、操作受付部110が受け付ける操作#12としては、例えば、携帯型情報端末100の備える物理的なボタンを押下する操作であってもよいし、タッチパネル上に表示されたボタンにタッチする操作であってもよい。
更新部111は、音量設定値V1を変更することを指示するユーザ操作に応えて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける状態値、または閾値の少なくとも何れかを更新するための手段(更新手段)である。本実施形態において、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける状態値の更新を指示する更新指示#14を送信する。ただし、本発明はこれに限定されない。すなわち、更新部111は、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける状態値、または閾値の少なくとも何れかを更新するものであればよい。なお、更新部111が行う処理の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
続いて、本実施形態に係る携帯型情報端末100と連携して動作する音声出力装置200について説明する。なお、上述したように、本実施形態においては、音声出力装置200として、TVを用いている。また、音声出力装置200と、携帯型情報端末100とは互いに連携して動作するために、予めペアリングされている。また、音声出力装置200は、当該音声出力装置200が出力する出力音を表す第1の音声データ#2を携帯型情報端末100に送信する機能を備えている。
図1に示すように、音声出力装置200は、アンテナ201、チューナ部202、外部入力部203、音声符号化部204、音声出力部205、スピーカ206、通信部207、アンテナ208、メモリ209、及び操作受付部210を備えている。音声出力装置200の各部の機能を説明すれば、以下の通りである。なお、音声出力装置200は、アンテナ201が受信した放送信号に含まれる音声信号、または外部入力部203が取得した音声信号の何れかに基づいて音声を出力する装置である。
アンテナ201は、放送信号を受信するための手段である。本実施形態において、アンテナ201は、衛星、地上波などを通じて伝送される放送信号#15を受信する。受信した放送信号#15は、チューナ部202に供給される。
チューナ部202は、アンテナ201から供給された放送信号#15から、第1の音声信号#5を抽出する。抽出された第1の音声信号#5は音声符号化部204、及び音声出力部205に供給される。
外部入力部203は、HDD、SDカード等の固体メモリ、BD(ブルーレイディスク)、DVD、CD等のディスク装置等、種々の外部機器(記録媒体)が接続可能に構成されている。外部入力部203は、これらの外部機器から入力信号#16を取得する。外部入力部203は、取得した入力信号#16から、第1の音声信号#5を抽出する。抽出された第1の音声信号#5は、音声符号化部204、及び音声出力部205に供給される。
音声符号化部204は、チューナ部202、または外部入力部203から供給された第1の音声信号#5を符号化することにより、第1の音声データ#2を生成する。生成された第1の音声データ#2は、通信部207に供給される。
音声出力部205は、チューナ部202、または外部入力部203から供給された第1の音声信号#5をスピーカ206に入力する。また、後述する操作受付部210から、音量設定値V2の変更を示す変更指示#19を受信した場合には、当該変更指示#19に基づいて、第1の音声信号#5の音量を変更する。音量を変更された第1の音声信号#5は、スピーカ206に入力される。
スピーカ206は、音声出力部205から入力される第1の音声信号#5に基づいて、当該スピーカ206の備える振動板を振動させることにより、第1の音声信号#5が表す音声を出力する。
通信部207は、アンテナ208を介して送信する送信信号#17を生成するための手段である。本実施形態においては、通信部207は、音声出力装置200が出力する出力音を表す第1の音声データ#2を含む送信信号#17を生成する。また、通信部207が生成する送信信号#17には、音声出力装置200の音量設定情報#3が含まれている。音量設定情報#3は、メモリ209に格納されている。通信部207は、メモリ209を参照することにより、音量設定情報#3が含まれる送信信号#17を生成する。通信部207により生成された送信信号#17は、アンテナ208に供給される。
アンテナ208は、電気信号を電磁波に変換するための手段である。本実施形態において、アンテナ208は、通信部207から供給された送信信号#17を電磁波に変換する。
操作受付部210は、ユーザによる操作を受け付けるための手段である。本実施形態においては、操作受付部210は、ユーザによる音量設定値V2の変更を指示する操作#18を受け付ける。操作受付部210は、音量設定値V2の変更を指示する操作#18を受け付けると、音量設定値V2の変更を示す変更指示#19を音声出力部205に送信する。なお、本実施形態において、操作受付部210が受け付ける操作としては、例えば、音声出力装置200の備える物理的なボタンを押下する操作であってもよいし、タッチパネル上に表示されたボタンにタッチする操作であってもよい。
以上、本実施形態に係る携帯型情報端末100、及び音声出力装置200の構成について説明した。上記の構成により、携帯型情報端末100と、音声出力装置200は、互いに連携して動作することができる。
なお、図1においては、音声出力装置200において符号化される第1の音声信号と、携帯型情報端末100において復号される第1の音声信号とに共通の符号#5を付している。これは、音声出力装置200において符号化される第1の音声信号と、携帯型情報端末100において復号される第1の音声信号とが、符号化/復号化の過程で生じるビット誤りなどを無視すれば同一の音声を表すからである。第1の音声データに付された符号#2、及び、音量設定情報に付された符号#3についても、同様である。
(状態推定テーブルの一例)
ここで、状態推定テーブルの一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る携帯型情報端末100が参照する状態推定テーブルの一例を示す図である。図2に示すように、状態推定テーブルは、電波受信レベルの値A〜Eと聴感レベルの値A〜Eとからなる対の各々に特定の状態値を対応付けたテーブルである。本実施形態においては、状態値として1〜9の9段階に分類した指標を用いている。以下では、電波受信レベルが「X」であり、聴感レベルが「Y」である場合の状態を、状態(X、Y)と表現する。例えば、本実施形態においては、状態(A、A)を示す状態値は「1」であり、状態(E、E)を示す状態値は「9」である。したがって、図2に示すように、状態推定テーブルにおいて、状態(A、A)を示すセルには、状態値「1」が格納されており、状態(E、E)を示すセルには、状態値「9」が格納されている。
また、本実施形態において、閾値は「5」である。したがって、選択部107によって推定された状態が、例えば、状態(A、B)、状態(B、C)などの場合には、状態値が閾値を下回る(1〜4)ため、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力しないことを選択する。同様に、選択部107によって推定された状態が、例えば、状態(D、C)、状態(C、E)などの場合には、状態値が閾値以上(5〜9)であるため、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力することを選択する。
(推定部120の行う処理)
次に、携帯型情報端末100の備える推定部120の行う処理の一例について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る携帯型情報端末100が、聴感レベルを推定する処理の具体例について説明するための概念図である。図3の(a)は、音声出力装置200が出力する出力音の波形図、携帯型情報端末100が音声出力装置200から取得する第1の音声信号#5が表す音声の波形図、及び携帯型情報端末100のマイク104が検出した検出音をデジタル信号に変換した第2の音声信号#7の波形図を示している。図3の(b)は、携帯型情報端末100の備える推定部120の構成を示す機能ブロック図である。
図3の(a)に示すように、携帯型情報端末100が音声出力装置200から取得する第1の音声信号#5は、音声出力装置200が出力する出力音に対して時間εだけ遅延している。この時間ε(以下、「遅延時間ε」と記載)は、音声出力装置200から携帯型情報端末100に第1の音声データ#2を無線送信するために要する時間に相当する。したがって、遅延時間εは、携帯型情報端末100と、音声出力装置200との無線方式に応じて定まる値である。また、音声出力装置200は、出力する音声信号の音量を音量設定情報#3に基づいて変更し、音量を変更した音声信号が表す音声を出力する。したがって、図3の(a)に示すように、音声出力装置200が出力する出力音の音声信号は、遅延のない第1の音声信号#5に対して音量設定情報#3を掛け合わせた音声信号である。また、携帯型情報端末100の備えるマイク104が検出した検出音には、携帯型情報端末100の周辺のノイズが含まれている。したがって、図3の(a)に示すように、第2の音声信号#7には、ノイズが含まれている。また、音声出力装置200が出力する出力音は、空間を伝播する間に減衰する。したがって、図3の(a)に示すように、第2の音声信号#7に含まれる第1の音声信号#5の音量は減衰している。
図3の(b)に示すように、推定部120は、音量レベル修正部121、ディレイ修正部122、ノイズ除去処理部123、及び比較部124を備えている。推定部120の備える各部の機能を説明すれば、以下の通りである。
音量レベル修正部121は、音声信号の音量を修正するための手段(音量修正手段)である。本実施形態において、音量レベル修正部121は、音声デコード部103から供給される第1の音声信号#5の音量を、通信部102から供給された音声出力装置200の音量設定情報#3に基づいて修正する。より具体的には、音量レベル修正部121は、第1の音声信号#5に、音量設定情報#3を掛け合わせることにより、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5が、音声出力装置200が出力する出力音を表す音声信号と同一の音声信号になるように修正する。音量レベル修正部121は、第1の音声信号#5の音量を上記のように修正し、第3の音声信号#20を生成する。生成された第3の音声信号#20は、比較部124に供給される。
ディレイ修正部122は、第1の音声信号#5と、第2の音声信号#7との間の遅延時間を修正するための手段(ディレイ修正手段)である。より具体的には、ディレイ修正部122は、変換部105から供給された第2の音声信号#7を時間εだけ遅延させるように修正する。したがって、ディレイ修正部122により修正された第2の音声信号#21と、第1の音声信号#5とは、時間的に同期した(位相の揃った)信号になる。ディレイ修正部122により修正された第2の音声信号#21は、ノイズ除去処理部123に供給される。
ノイズ除去処理部123は、音声信号に含まれるノイズを除去するための手段(ノイズ除去手段)である。本実施形態においては、ノイズ除去処理部123は、ディレイ修正部122により修正された第2の音声信号#21に含まれるノイズを除去することにより、第4の音声信号#22を生成する。ノイズ除去処理部123により生成された第4の音声信号#22は、比較部124に供給される。なお、ノイズ除去処理部123が行うノイズ除去処理は、例えば、低域通過フィルタLPF(Low Path Filter)を用いることにより実現可能である。
比較部124は、第3の音声信号#20の音量と、第4の音声信号#22の音量との比を算出するための手段(算出手段)である。本実施形態においては、比較部124は、第3の音声信号#20と、第4の音声信号#22とを比較することにより、上述した聴感レベルを推定する。
例えば、比較部124は、第3の音声信号#20の瞬時振幅と、第4の音声信号#22の瞬時振幅との比を一定時間に亘って積分することによって、第3の音声信号#20が表す音声の音量と、第4の音声信号#22が表す音声の音量との音量比を算出することができる。
比較部124は、算出された音量比に応じて、聴感レベルを割り当てる。例えば、音量比が80%以上、100%以下の場合には聴感レベルを「A」として割り当てる。同様に、音量比が60%以上、80%未満の場合には聴感レベルを「B」、音量比が40%以上、60%未満の場合には聴感レベルを「C」、音量比が20%以上、60%未満の場合には聴感レベルを「D」、音量比が0%以上、20%未満の場合には聴感レベルを「E」として割り当てればよい。以上の手順により推定された聴感レベル#8は、選択部107に通知される。
なお、音声出力装置200から取得した第1の音声信号#5が表す音声を携帯型情報端末100が出力している場合における、推定部120の動作は、例えば、以下のようになる。
すなわち、この場合、マイク104が検出する検出音には、音声出力装置200から出力される出力音と、ノイズとに加えて、携帯型情報端末100が出力している第1の音声信号#5が表す音声がさらに含まれている。このような場合においては、例えば、ノイズ除去処理部123において、変換部105から供給された第2の音声信号#7に含まれるノイズを除去するとともに、第2の音声信号#7のうち、携帯型情報端末100が出力している音声である第1の音声信号#5を除去するように構成すればよい。
(携帯型情報端末の具体的な動作)
次に、携帯型情報端末100の動作例について、図4を参照しながら説明する。図4は、携帯型情報端末100の動作例を示す概念図である。
図4に示す例においては、携帯型情報端末100aのユーザAと、携帯型情報端末100bのユーザBとが、音声出力装置200が出力する音声を聴取している。なお、図4に示す例においては、音声出力装置200は、携帯型情報端末100a及び100bの各々と予めペアリングされているものとする。
図4に示す例において、破線で示した領域R1は、音声出力装置200のスピーカ206a及び206bから出力される音声が届く範囲(可聴範囲)を示している。すなわち、音声出力装置200の音量設定の変更に伴って、領域R1のサイズも変更され得る。また、図4に示す例において、実線で示したR2の領域は、音声出力装置200から送信される電磁波が届く範囲、すなわち、携帯型情報端末100と音声出力装置200との通信が可能な範囲(以下、「通信可能範囲」とも記載)を示している。
図4に示す例において、ユーザAは、領域R1及び領域R2に含まれる位置P1にて音声出力装置200を視聴している。位置P1においては、音声出力装置200から出力される音声が、ユーザAに届いているため、携帯型情報端末100aの選択部107が推定する状態値は、閾値を越えることがない。したがって、携帯型情報端末100aは、音声出力装置200から取得した音声を出力しない。
ここで、ユーザAが、領域R1に含まれない位置であって、領域R2に含まれる位置P2に移動する場合を考える。上記の場合、携帯型情報端末100aの選択部107が推定する状態値は、閾値以上の値を示す。したがって、携帯型情報端末100aは、音声出力装置200から取得した音声を出力する。また、携帯型情報端末100aは、音声出力装置200から取得した音声を出力する際の音量を、第1の音声信号#5と共に音声出力装置200から取得した音量設定値V2、及び、選択部107から取得した出力音量値#11を参照して決定する。
また、ユーザAが位置P2から位置P1に移動する場合を考える。上記の場合、携帯型情報端末100aの選択部107が推定する状態値は、再び閾値を下回る。したがって、携帯型情報端末100aは、音声出力装置200から取得した音声を出力しない。
さらに、ユーザAが領域R1及び領域R2の何れにも含まれない位置(すなわち、領域R2よりも外側の位置)に移動する場合を考える。上記の場合には、携帯型情報端末100は、音声出力装置200と連携して動作することができない。すなわち、携帯型情報端末100は、音声出力装置200から、第1の音声信号#5を取得することができないため、音声の出力を停止する。
このように、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、音声出力装置200と連携して動作することにより、例えば、携帯型情報端末100のユーザの移動に伴う周辺環境の変化に応じて、音声出力装置200が出力する音声と同一の音声を出力するか否かを選択することができる。また、携帯型情報端末100は、音声出力装置200から取得した音声を出力する際の音量を、第1の音声信号#5と共に音声出力装置200から取得した音量設定値V2、及び、選択部107から取得した出力音量値#11を参照して決定することができる。なお、図4に示す例においては、携帯型情報端末100のユーザが音声出力装置200から遠ざかるように移動する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、音声出力装置200と、携帯型情報端末100との間に何らかの遮蔽物が存在しているような場合、または、領域R1において、携帯型情報端末100の周辺に騒音が発生しているような場合においても適用可能である。
(携帯型情報端末の処理の流れ)
次に、本実施形態に係る携帯型情報端末100の行う処理の流れについて図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る携帯型情報端末100が行う処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101において、携帯型情報端末100は、音声出力装置200との通信を開始する。携帯型情報端末100は、音声出力装置200が携帯型情報端末100に予めペアリングされた音声出力装置であることを確認すると、次のステップに処理を進める。なお、以下のステップS102〜S105の処理は、並列的に処理することが好ましい。
ステップS102において、通信部102は、アンテナ101が受信した電磁波に基づいて、電波受信レベル#4を決定する。決定された電波受信レベル#4は、選択部107に通知される。
ステップS103において、通信部102は、アンテナ101から供給された受信信号#1から、符号化された音声データであって、音声出力装置200が出力する出力音を表す第1の音声データ#2を抽出する。抽出された第1の音声データ#2は、音声デコード部103に供給される。音声デコード部103は、通信部102より供給された第1の音声データ#2から第1の音声信号#5を復号する。復号された第1の音声信号#5は、音声出力部108及び推定部120に供給される。
ステップS104において、通信部102は、通信部102は、アンテナ101から供給された受信信号#1から、音声出力装置200の音量設定情報#3を抽出する。抽出された音量設定情報#3は、推定部120に供給される。
ステップS105において、マイク104は、携帯型情報端末100の周辺の音声を検出する。マイク104により検出された検出音を表すアナログ信号#6は、変換部105に供給される。変換部105は、マイク104が検出した検出音を表すアナログ信号#6をデジタル信号に変換することにより、第2の音声信号#7を生成する。生成された第2の音声信号#7は、推定部120に供給される。
続いて、ステップS106において、推定部120は、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5と、通信部102から供給された音量設定情報#3と、変換部105から供給された第2の音声信号#7とに基づいて、マイク104が検出した検出音に含まれる出力音の聴感レベル#8を推定する。推定部120により推定された聴感レベル#8は、選択部107に通知される。
続いて、ステップS107において、選択部107は、推定部120から通知された聴感レベル#8と、通信部102から通知された電波受信レベル#4とに基づいて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルを参照することにより携帯型情報端末100の状態を示す状態値#9を推定する。
続いて、ステップS108において、選択部107は、ステップS107にて推定された状態値#9が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。ステップS107にて推定された状態値#9が、予め定められた閾値以上であると判定された場合(ステップS108にてYES)、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声を、スピーカ109から出力することを選択し、ステップS109に処理を進める。ステップS107にて推定された状態値#9が、予め定められた閾値を下回ると判定された場合(ステップS108にてNO)、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声を、スピーカ109から出力しないことを選択し、ステップS110に処理を進める。
ステップS109において、選択部107は、音声出力部108に対して、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力することを示す出力指示#10を送信する。また、選択部107は、表1に示した出力音量値テーブルを参照することによって、出力音量値#11を決定する。選択部107は、出力音量値テーブルを参照することによって決定した、状態値に対応する出力音量値#11を音声出力部108に送信する。音声出力部108は、スピーカ109から出力することを示す出力指示#10を、選択部107から受信すると、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5をスピーカ109に入力する。この際、音声出力部108は、音声出力装置200から取得した音量設定値V2に、選択部107から取得した出力音量値#11を加算したものを、スピーカ109から出力する音声の音量に設定する。スピーカ109は、音声出力部108から入力される第1の音声信号#5に応じて、当該スピーカ109の備える振動板を振動させることにより、第1の音声信号#5が表す音声を出力する。スピーカ109が第1の音声信号#5が表す音声の出力を開始すると、携帯型情報端末100は、ステップS110に処理を進める。
続いて、S110において、携帯型情報端末100は、操作受付部110が、ユーザによる音量設定値V1の変更を示す操作#12を受け付けたか否かを判定する。操作受付部110が、ユーザによる音量設定値V1の変更を示す操作#12を受け付けたと判定された場合(ステップS110にてYES)、操作受付部110は、音量設定値V1の変更を示す変更指示#13を音声出力部108及び更新部111に送信する。音声出力部108は、当該変更指示#13に基づいて、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5の音量を変更する。音量を変更された第1の音声信号#5は、スピーカ109に入力される。スピーカ109は、音声出力部108から入力される第1の音声信号#5が表す音声を出力する。その後、携帯型情報端末100は、ステップS111に処理を進める。また、操作受付部110が、ユーザによる音量設定値V1の変更を示す操作#12を受け付けていないと判定された場合(ステップS110にてNO)、携帯型情報端末100は、ステップS120に処理を進める。
ステップS111にて、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける状態値を更新する。なお、ステップS111において、更新部111が行う処理の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
続いて、ステップS120において、携帯型情報端末100は、自装置が音声出力装置との通信可能範囲に位置しているか否かを判定する。自装置が音声出力装置との通信可能範囲に位置していると判定された場合(ステップS120にてYES)、携帯型情報端末100は、ステップS102〜S105の処理に戻る。自装置が音声出力装置との通信可能範囲に位置していないと判定された場合(ステップS120にてNO)、携帯型情報端末100は、スピーカ109からの第1の音声信号が表す音声の出力を停止するとともに、処理を終了する。
以上の手順により、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、携帯型情報端末100の周辺環境の変化に応じて、音声出力装置200が出力する音声と同一の音声を出力するか否かを選択することができる。
なお、本実施形態において、ステップS103及びステップS105にて第1の音声信号#5及び第2の音声信号#7をそれぞれ取得する構成としているが、取得する音声信号は、音声の取得を開始したある時刻t0から、所定時間t(t>0)経過した時刻t1までの音声信号を指す。取得する音声信号は、連続した値を示す信号であり、比較部124において、2つの音声信号を比較するためには、任意の単位時間で区切った音声信号を用いる必要があるためである。上記の場合、通信部102は、アンテナ101が受信した受信信号から、時刻t0から時刻t1までの第1の音声データ#2を抽出する。抽出された第1の音声データ#2は、音声デコード部103に供給される。音声デコード部103は、通信部102から供給された時刻t0から時刻t1までの第1の音声データ#2から第1の音声信号#5を復号する。復号された第1の音声信号#5であって、時刻t0から時刻t1までの第1の音声信号#5は、図示しないバッファに格納される。同様に、マイク104は、携帯型情報端末100の周辺の音声であって、時刻t0から時刻t1までの音声を検出する。マイク104により検出された検出音を表すアナログ信号#6であって、時刻t0から時刻t1までのアナログ信号#6は、変換部105に供給される。変換部105は、時刻t0から時刻t1までのアナログ信号#6をデジタル信号に変換することにより、時刻t0から時刻t1までの第2の音声信号#7を生成する。生成された時刻t0から時刻t1までの第2の音声信号#7は、図示しないバッファに格納される。推定部120は、時刻t0から時刻t1までの第1の音声信号#5、及び時刻t0から時刻t1までの第2の音声信号#7をバッファから読み出す構成とすればよい。また、通信部102は、時刻t0から時刻t1までの第1の音声データ#2を生成した後、続いて、時刻t1から所定時間t経過した時刻t2までの第1の音声データ#2を生成するように、所定時間tごとに区切られた音声データを生成し続ける構成とすることが好ましい。
(更新部111の行う処理)
以下では、本実施形態に係る携帯型情報端末100の備える更新部111の行う処理の一例について図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る携帯型情報端末100が、図2に示す状態推定テーブルを更新する処理の一例について説明するための概念図である。図6の(a)は、携帯型情報端末が状態推定テーブルを更新する処理の流れを説明するためのフローチャートであって、図5に示したフローチャートにおけるステップS111における具体的な処理を示したフローチャートである。図6の(b)は、図6の(a)に示した処理により更新された状態推定テーブルを示している。
図6に示す例において、更新部111は、携帯型情報端末100の音量設定値V1を上げることを指示するユーザ操作#12に応えて、推定部120により推定された聴感レベル#8と通信部102により決定された電波受信レベル#4とに対応する状態値#9を上げるように更新する。また、更新部111は、携帯型情報端末100の音量設定値V1を下げることを示すユーザ操作#12に応えて、推定部120により推定された聴感レベル#8と、上記取得部により決定された電波受信レベル#4とに対応する状態値#9を下げるように更新する。
図6の(a)に示すように、ステップS112において、更新部111は、ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示であるか否かを判定する。ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示であると判定された場合(ステップS112にてYES)、更新部111は、ステップS113の処理に進む。また、ステップS110にて操作受付部110から受信した変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示ではないと判定された場合(ステップS112にてNO)、更新部111は、ステップS114の処理に進む。
ステップS113において、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける該当セルに格納されている状態値を「+1」するように、状態推定テーブルを更新する。ここで、「該当セル」とは、図5に示すステップS102にて決定された電波受信レベル#4と、ステップS106にて推定された聴感レベル#8とに応じて定められた状態を示すセルのことを指す。より具体的には、ステップS102にて決定された電波受信レベルが「B」であり、ステップS106にて推定された聴感レベルが「C」である場合に、状態(B、C)を示すセルである。したがって、図6の(b)に示す状態推定テーブルにおいては、状態(B、C)を示すセル(図6の(b)において破線の枠囲みにて示すセル)に格納されている状態値は、「4」から「5」に更新されている。また、ステップS113にて更新された該当セルに格納されている状態値は、予め定められた閾値以上であるため、状態(B、C)を示すセルは、図6の(b)において、ドットハッチが解除されている。更新部111は、状態推定テーブルを更新すると、ステップS114の処理に進む。
続いて、ステップS114において、更新部111は、ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示であるか否かを判定する。ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示であると判定された場合(ステップS114にてYES)、更新部111は、ステップS115の処理に進む。また、ステップS110にて操作受付部110から受信した変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示ではないと判定された場合(ステップS114にてNO)、更新部111は、状態推定テーブルの更新処理を終了する。
ステップS115において、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける該当セルに格納されている状態値を「−1」するように、状態推定テーブルを更新する。例えば、ステップS102にて決定された電波受信レベルが「D」であり、ステップS106にて推定された聴感レベルが「B」である場合に、更新部111は、状態(D、B)を示すセルに格納されている状態値を「−1」するように、状態推定テーブルを更新する。したがって、図6の(b)に示す状態推定テーブルにおいては、状態(D、B)を示すセル(図6の(b)において一点鎖線の枠囲みにて示すセル)に格納されている状態値は、「5」から「4」に更新されている。また、ステップS115にて更新された該当セルに格納されている状態値は、予め定められた閾値を下回るため、状態(D、B)を示すセルは、図6の(b)において、ドットハッチで示されている。ステップS115の処理が完了すると、更新部111は、状態推定テーブルの更新処理を終了する。
上記の手順により、更新部111は、メモリ106に格納されている状態推定テーブルを更新することができる。
したがって、上記の構成によれば、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、ユーザの所望の音量設定値V1に応じて、状態推定テーブルにおける状態値を個別に更新することができる。換言すれば、ユーザは、音量設定値V1を変更することにより、携帯型情報端末100のメモリ106に予め格納された(装置にプリセットされた)状態推定テーブルにおける状態値を、変更した音量設定値V1に応じて更新することができる。したがって、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、ユーザに対して違和感を与えることなく、音声出力装置が出力する音声と同一の音声を出力することができる。
なお、図6の(a)に示すフローチャートにおけるステップS112〜ステップS113の処理と、ステップS114〜ステップS115の処理の手順を入れ替えることも可能である。また、本実施形態において、更新部111は、メモリ106に格納されている状態推定テーブルにおける該当セルに格納されている状態値を、「+1」、または「−1」するように更新する構成としたが、これは本発明を限定するものではない。例えば、更新部111は、操作受付部110が受け付けた操作#12の音量設定値V1の変更量に応じて、該当セルに格納されている状態値を、「+2」、または「−2」するように構成してもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る携帯型情報端末100は、更新部111が行う処理において、実施形態1に係る携帯型情報端末100と異なる。
本実施形態に係る携帯型情報端末100の備える更新部111の行う処理の一例について図7を参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る携帯型情報端末100の備える更新部111が行う処理の一例について説明するための概念図である。図7の(a)は、更新部111が行う処理の流れを説明するためのフローチャートである。図7の(b)は、図7の(a)に示した処理が行われた後の状態推定テーブルを示している。
図7に示す例において、更新部111は、携帯型情報端末100の音量設定値V1を上げることを示すユーザ操作#12に応えて、予め定められた閾値を上げるように更新し、携帯型情報端末100の音量設定値V1を下げることを示すユーザ操作#12に応えて、予め定められた閾値を下げるように更新する。また、更新部111は、予め定められた閾値の更新に応じて、メモリ106に格納されている出力音量値テーブルを更新する構成としてもよい。より具体的には、例えば、更新部111は、閾値を「4」から「5」に更新した場合には、出力音量値テーブルにおいて、状態値「1」〜「5」に対応付けられた出力音量値を「0」に設定し、状態値「6」、「7」、「8」、及び「9」に対応付けられた出力音量値を、それぞれ「1」、「2」、「3」、及び「4」に設定する。また、更新部111は、閾値を「4」から「3」に更新した場合には、出力音量値テーブルにおいて、状態値「1」〜「3」に対応付けられた出力音量値を「0」に設定し、状態値「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、及び「9」に対応付けられた出力音量値を、それぞれ「1」、「2」、「3」、、「4」、「5」、「6」に設定する。
図7の(a)に示すように、ステップS112において、更新部111は、ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示であるか否かを判定する。ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示であると判定された場合(ステップS112にてYES)、更新部111は、ステップS116の処理に進む。また、ステップS110にて操作受付部110から受信した変更指示#13が、音量設定値V1を上げることを示す指示ではないと判定された場合(ステップS112にてNO)、更新部111は、ステップS114の処理に進む。
ステップS116において、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている閾値を「+1」するように更新する。図7の(b)において、閾値(一点鎖線の枠囲みにて示す)は、「5」から「6」に更新されている。また、ステップS115にて閾値が「6」に更新されたため、状態値「5」が格納されているセル(状態(E、A)、状態(D、B)、状態(C、C)、状態(B、D)、及び状態(A、E)の各々を示すセル、図7の(b)において破線の枠囲みにて示す)は、当該閾値を下回っていることを示すように、ドットハッチで示されている。更新部111は、閾値を更新すると、ステップS114の処理に進む。
続いて、ステップS114において、更新部111は、ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示であるか否かを判定する。ステップS110にて操作受付部110から送信された変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示であると判定された場合(ステップS114にてYES)、更新部111は、ステップS117の処理に進む。また、ステップS110にて操作受付部110から受信した変更指示#13が、音量設定値V1を下げることを示す指示ではないと判定された場合(ステップS114にてNO)、更新部111は、状態推定テーブルの更新処理を終了する。
ステップS117において、更新部111は、操作受付部110から受信した変更指示#13に基づいて、メモリ106に格納されている閾値を「−1」するように更新する。ステップS117にて閾値が「5」に更新されたため、状態値「5」が格納されているセル(状態(E、A)、状態(D、B)、状態(C、C)、状態(B、D)、及び状態(A、E)の各々を示すセル、図7の(b)において破線の枠囲みにて示す)は、当該閾値以上の値を示す。したがって、メモリ106に格納されている状態推定テーブルは、図7の(b)に示す状態推定テーブルから図2に示す状態推定テーブルに遷移する。ステップS115の処理が完了すると、更新部111は、状態推定テーブルの更新処理を終了する。
上記の手順により、更新部111は、メモリ106に格納されている閾値を更新することができる。
したがって、上記の構成によれば、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、ユーザの所望の音量設定値V1に応じて、予め定められた閾値を更新することができる。換言すれば、ユーザは、音量設定値V1を変更することにより、携帯型情報端末100において予め定められた(装置にプリセットされた)閾値を、変更した音量設定値V1に応じて更新することができる。したがって、携帯型情報端末100は、ユーザに対して違和感を与えることなく、音声出力装置が出力する音声と同一の音声を出力することができる。
なお、図7の(a)に示すフローチャートにおけるステップS112〜ステップS116の処理と、ステップS114〜ステップS117の処理の手順を入れ替えることも可能である。また、本実施形態において、更新部111は、メモリ106に格納されている閾値であって、状態推定テーブルに関連付けられている閾値を、「+1」、または「−1」するように更新する構成としたが、これは本発明を限定するものではない。例えば、更新部111は、操作受付部110が受け付けた操作#12の音量設定値V1の変更量に応じて、当該閾値を、「+2」、または「−2」するように構成してもよい。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る携帯型情報端末100は、選択部107が行う処理において、他の実施形態に係る携帯型情報端末100と異なる。
本実施形態において、選択部107は、通信部102から供給される電波受信レベル#4を用いることなく、推定部120から供給される聴感レベル#8のみに基づいて、携帯型情報端末100の状態を推定する構成を採用している。
したがって、本実施形態において、メモリ106に格納されている状態推定テーブルは、聴感レベルの値A〜Eの各々に特定の状態値を対応付けたテーブルである。すなわち、聴感レベル(A〜E)の各々に、状態値(1〜5)が対応付けられている。本実施形態において、閾値は、例えば「3」に設定されている。
本実施形態において、推定部120によって推定された聴感レベル#8が、「A」、または「B」である場合には、対応付けられた状態値が閾値を下回る(1〜2)ため、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力しないことを選択する。同様に、推定部120によって推定された聴感レベル#8が、「C」、「D」、または「E」である場合には、対応付けられた状態値が閾値以上である(3〜5)ため、選択部107は、第1の音声信号#5が表す音声をスピーカ109から出力することを選択する。また、選択部107は、表1に示すような出力音量値テーブルを参照することによって、出力音量値#11を決定する。
上記の構成により、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、推定部120により推定した聴感レベル#8のみに基づいて携帯型情報端末100の状態を推定することができる。
したがって、上記の構成によれば、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、自端末の周辺環境に応じて、音声出力装置200が出力する音声と同一の音声を出力する際の音量を選択することができる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る携帯型情報端末100は、推定部120が行う処理において、他の実施形態に係る携帯型情報端末100と異なる。
本実施形態に係る携帯型情報端末100において、推定部120は、相互相関関数を用いて第1の音声信号#5と、第2の音声信号#7との類似度を算出する算出手段として機能し、算出された類似度に基づいて、検出音に含まれる出力音の聴感レベルを推定する。
具体的には、推定部120は、相互相関関数を用いることにより、音声デコード部103から供給された第1の音声信号#5と、変換部105から供給された第2の音声信号#7との類似度を算出する。
例えば、算出された類似度が100%である場合は、音声出力装置200が出力する出力音と、携帯型情報端末100のマイク104が検出する検出音とが一致している場合である。すなわち、音声出力装置200が出力する出力音が、携帯型情報端末100のユーザに十分に届いている状態であると推定することができる。また、例えば、算出された類似度が0%である場合は、音声出力装置200が出力する出力音と、携帯型情報端末100のマイク104が検出する検出音とが一致してない場合である。すなわち、音声出力装置200が出力する出力音が、携帯型情報端末100のユーザに届いていない状態である推定することができる。場合を示している。さらに、例えば、算出された類似度が50%である場合は、音声出力装置200が出力する出力音と、携帯型情報端末100のマイク104が検出する検出音とが、一部一致している場合である。すなわち、音声出力装置200が出力する出力音が、携帯型情報端末100のユーザに届いているが、当該出力音の音量が減衰している状態であると推定することができる。
推定部120は、算出された類似度に応じて、聴感レベルを割り当てる。例えば、類似度が80%以上、100%以下の場合には聴感レベルを「A」として割り当てる。同様に、類似度が60%以上、80%未満の場合には聴感レベルを「B」、類似度が40%以上、60%未満の場合には聴感レベルを「C」、類似度が20%以上、60%未満の場合には聴感レベルを「D」、類似度が0%以上、20%未満の場合には聴感レベルを「E」として割り当てればよい。
上記の構成により、推定部120は、第1の音声信号#5と、第2の音声信号#7との類似度に応じて、聴感レベル#8を推定することができる。
したがって、上記の構成によれば、本実施形態に係る携帯型情報端末100は、検出音に含まれる出力音の聴感レベルを、より正確に推定することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
携帯型情報端末100の制御ブロック(特に選択部107および推定部120)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、携帯型情報端末100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る携帯型情報端末100は、音声出力装置200と連携して動作する携帯型情報端末であって、上記音声出力装置が出力する出力音を表す第1の音声信号(第1の音声信号#5)を上記音声出力装置から取得する取得手段(アンテナ101、通信部102、音声デコード部103)と、上記第1の音声信号と、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたマイク(マイク104)が検出した検出音を表す第2の音声信号(第2の音声信号#7)とに基づいて、上記音声出力装置が出力する上記出力音の音量に対する、上記検出音に含まれる上記出力音の音量の比である音量比(聴感レベル#8)を推定する推定手段(推定部120)と、上記推定手段により推定された音量比に基づいて、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたスピーカ(スピーカ109)から出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量を選択する選択手段(選択部108)と、を備えている。
上記の構成によれば、携帯型情報端末100は、音声出力装置200が出力する出力音の音量に対する、マイク104が検出した検出音に含まれる出力音の音量の比である音量比を示す聴感レベルを推定する。すなわち、携帯型情報端末100は、自端末の現在地における聴感レベルを推定し、推定した聴感レベルに基づいて、音声出力装置から取得した音声の音量をを選択することができる。
したがって、上記の構成によれば、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。特に、音声出力装置が出力した音声と同じ音声を携帯型情報端末から出力する際の音量を、上記音量比に基づいて選択する構成を採用しているので、音声出力装置の近傍にいるユーザに提供される音声の音量が過大になるといった事態を招来することなく、音声出力装置の遠方にいるユーザに提供される音声を丁度良い音量にすることができる。
本発明の態様2に係る携帯型情報端末100は、上記態様1において、上記取得手段は、上記音声出力装置から上記第1の音声信号を含む電磁波を受信することにより上記第1の音声信号を取得するとともに、受信した電磁波の強度を示す電波受信レベル(電波受信レベル#4)を決定し、上記選択手段は、上記推定手段により推定された音量比に加えて、上記取得手段により決定された電波受信レベルを参照することにより、上記スピーカから出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量を選択する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、携帯型情報端末100は、音声出力装置200から第1の音声信号を取得する際に受信した電磁波の強度を示す電波受信レベルを決定する。また、携帯型情報端末100は、推定部120により推定された聴感レベルと、通信部102により決定された電波受信レベルとに基づいて、音声出力装置から取得した音声の音量を選択することができる。
したがって、上記の構成によれば、携帯型情報端末は、当該携帯型情報端末の周辺環境をより正確に推定することができるので、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。
本発明の態様3に係る携帯型情報端末100は、上記態様1又は2において、上記取得手段は、上記第1の音声信号に加えて、上記音声出力装置における音量設定値V2を取得するものであり、上記推定手段は、上記第1の音声信号が表す音声の音量を、上記音量設定値に基づいて修正する音量修正手段(音量レベル修正部121)と、上記第2の音声信号を遅延させることによって、上記第1の音声信号の上記第2の音声信号に対する遅延を解消するディレイ修正手段(ディレイ修正部122)と、上記第2の音声信号に含まれるノイズを除去するノイズ除去手段(ノイズ除去処理部123)と、音量レベルを修正された第1の音声信号の音量と、ディレイ修正及びノイズ除去された第2の音声信号の音量との比を算出する算出手段(比較部124)とを備えている、、ことが好ましい。
上記の構成によれば、音量レベルを修正された第1の音声信号#20の位相と、ディレイ修正及びノイズ除去された第2の音声信号#22の位相とを同期させることができる。比較部124は、音量レベルを修正された第1の音声信号#20の音量と、ディレイ修正及びノイズ除去された第2の音声信号#22の音量との比を算出する。推定部120は、比較部124による算出結果に基づいて、上記検出音に含まれる上記出力音の聴感レベル#8を推定することができる。
したがって、上記の構成によれば、検出音に含まれる出力音の聴感レベルをより正確に推定することができる。
本発明の態様4に係る携帯型情報端末100は、上記態様2または3において、上記選択手段は、音量比の値と電波受信レベルの値とからなる対の各々に特定の状態値を対応付けた状態推定テーブルを参照し、上記推定手段により推定された音量比と、上記取得手段により決定された電波受信レベルとからなる対に対応する状態値(状態値#9)を特定すると共に、上記スピーカから出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量として、推定した状態値に応じた音量を選択する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、携帯型情報端末100は、当該携帯型情報端末の周辺環境をより正確に推定することができるので、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。
本発明の態様5に係る携帯型情報端末100は、上記態様4において、上記スピーカから出力する音声の音量設定値V1を変更することを指示するユーザ操作に応えて、上記状態推定テーブルにおける状態値、または上記予め定められた閾値の少なくとも何れかを更新する更新手段(更新部111)をさらに備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、ユーザの所望の音量設定値V1に応じて、状態推定テーブルにおける状態値、または予め定められた閾値を更新することができるので、ユーザに対して違和感を与えることなく、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。
本発明の態様6に係る携帯型情報端末100は、上記態様5において、上記更新手段は、上記スピーカから出力する音声の音量設定値V1を上げることを指示するユーザ操作に応えて、上記状態推定テーブルの状態値をより大きな値に更新し、上記スピーカから出力する音声の音量設定値V1を下げることを指示するユーザ操作に応えて、上記状態推定テーブルの状態値をより小さな値に更新する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、ユーザの所望の音量設定値V1に応じて、状態推定テーブルにおける状態値を個別に更新することができる。換言すれば、ユーザは、音量設定値V1を変更することにより、携帯型情報端末100のメモリ106に予め格納された(装置にプリセットされた)状態推定テーブルにおける状態値を、変更した音量設定値V1に応じて更新することができる。
したがって、上記の構成によれば、携帯型情報端末100は、ユーザに対して違和感を与えることなく、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。
本発明の態様7に係る携帯型情報端末100は、上記態様5において、上記更新手段は、上記スピーカから出力する音声の音量設定値V1を上げることを指示するユーザ操作に応えて上記予め定められた閾値をより大きな値に更新し、上記スピーカから出力する音声の音量設定値V1を下げることを指示するユーザ操作に応えて上記予め定められた閾値をより小さな値に更新する、構成としてもよい。
上記の構成によれば、ユーザの所望の音量設定値V1に応じて、予め定められた閾値を更新することができる。換言すれば、ユーザは、音量設定値V1を変更することにより、携帯型情報端末100において予め定められた(装置にプリセットされた)閾値を、変更した音量設定値V1に応じて更新することができる。
したがって、携帯型情報端末100は、ユーザに対して違和感を与えることなく、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。
本発明の態様8に係る携帯型情報端末100は、上記態様1〜7において、上記選択手段は、上記推定手段により推定された音量比に基づいて、上記第1の音声信号が表す音声を上記スピーカから出力する否かを選択する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、音声出力装置の音声出力機能を携帯型情報端末によって補完することができる。特に、音声出力装置が出力した音声と同じ音声を携帯型情報端末から出力するか否かを上記音量比に基づいて選択する構成を採用しているので、音声出力装置の近傍にいるユーザに提供される音声の音量が過大になるといった事態を招来することなく、音声出力装置の遠方にいるユーザに提供される音声を丁度良い音量にすることができる。
本発明の態様9に係る携帯型情報端末100は、音声出力装置200と連携して動作する携帯型情報端末であって、上記音声出力装置が出力する出力音を表す第1の音声信号(第1の音声信号#5)を上記音声出力装置から取得する取得手段(アンテナ101、通信部102、音声デコード部103)と、上記第1の音声信号と、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたマイク(マイク104)が検出した検出音を表す第2の音声信号(第2の音声信号#7)との相関を算出する算出手段(推定部120)と、上記算出手段により算出された相関に基づいて、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたスピーカから出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量を選択する選択手段(選択部107)と、を備えている。
上記の構成によれば、推定部120は、第1の音声信号#5と、第2の音声信号#7との相関に応じて、聴感レベル#8を推定することができる。
したがって、上記の構成によれば、検出音に含まれる出力音の聴感レベルをより正確に推定することができる。
本発明の態様10に係る携帯型情報端末の制御方法は、音声出力装置と連携して動作する携帯型情報端末の制御方法であって、上記音声出力装置が出力する出力音を表す第1の音声信号を上記音声出力装置から取得する取得ステップと、上記第1の音声信号と、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたマイクが検出した検出音を表す第2の音声信号とに基づいて、上記音声出力装置が出力する上記出力音の音量に対する、上記検出音に含まれる上記出力音の音量の比である音量比を推定する推定ステップと、上記推定ステップにて推定された音量比に基づいて、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたスピーカから出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量を選択する選択ステップと、を含んでいる。
上記の構成によれば、上記の携帯型情報端末と同様の効果を奏する。
本発明の態様11に係る携帯型情報端末の制御方法は、音声出力装置と連携して動作する携帯型情報端末の制御方法であって、上記音声出力装置が出力する出力音を表す第1の音声信号を上記音声出力装置から取得する取得ステップと、上記第1の音声信号と、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたマイクが検出した検出音を表す第2の音声信号との相関を算出する算出ステップと、上記算出ステップにて算出された相関に基づいて、当該携帯型情報端末に内蔵又は接続されたスピーカから出力する上記第1の音声信号が表す音声の音量を選択する選択ステップと、を含んでいる。
上記の構成によれば、上記の携帯型情報端末と同様の効果を奏する。
本発明の各態様に係る携帯型情報端末は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記携帯型情報端末が備える各手段として動作させることにより上記携帯型情報端末をコンピュータにて実現させる携帯型情報端末の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。