JP6211900B2 - 光電気化学素子用電荷輸送材料 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感太陽電池に用いられる光電気化学素子用電荷輸送材料、及びこれを用いた色素増感太陽電池に関する。
近年、再生可能エネルギーとして、風力、太陽光などを利用する技術に関する検討が幅広く行なわれている。なかでも、太陽電池などの光電変換技術は、再生可能エネルギーの一般用家庭への利用を可能にすることから、注目されている技術の一つである。
光電変換技術を利用した太陽電池の形態としては、デバイス材料等の分類から、結晶性シリコン太陽電池、非晶性シリコン太陽電池、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池などが挙げられる。これらのなかでも、結晶性シリコン太陽電池は古くから工業的に生産され、近年の変換効率向上に伴い普及され始めている。さらに、価格や材料供給の観点から、結晶性シリコン太陽電池の代替となる種々の太陽電池の検討も精力的になされている。
結晶性シリコン太陽電池の代替となる種々の太陽電池として、例えば、色素増感太陽電池が挙げられる。色素増感太陽電池は、ローザンヌ工科大学のGratzelらによって1991年に提案された、ルテニウム錯体等の色素が担持された酸化チタン等の多孔質性金属酸化物からなる半導体電極を用いる太陽電池である。色素増感太陽電池は、光電変換効率が高いこと、原料の廉価さなどを理由として、とりわけ活発に研究されている(例えば、非特許文献1、特許文献1などを参照)。
色素増感太陽電池は、製造プロセスが複雑なことから、セルの大型化が困難である。また、電解質にヨウ素を用いることから、集電体などの金属部の腐食耐久性が要求される。さらに、例えば色素が担持された半導体の細孔内において、半導体が露出した部分が存在し、この部分において、色素から半導体に移動した電子が電解質であるヨウ素と反応(逆電子移動反応)することによって、電圧及び電流の損失が生じることなどが問題になっている。これら問題に対し、白金などの耐腐食性のある集電体を用いること(例えば、特許文献2を参照)、半導体層の改質(例えば、特許文献3及び4を参照)、電解質のゲル化(例えば、特許文献5を参照)などの方法が種々提案されている。
しかしながら、これらの従来の方法では、依然として電解質にヨウ素等のハロゲンイオンを使用しており、電極の耐腐食性の観点から白金などの限られた電極しか使用できず、アルミや銅などの安価で導電性に優れた材料を使用することができないという問題がある。さらに、従来の技術で提案されている電解質のゲル化の方法では、電荷輸送材料の拡散性が低下し、電流及び電圧の低下を招く恐れがある。このような状況下、非ヨウ素系であり、かつ、拡散性に優れ、色素増感太陽電池に優れた電池特性を付与できる電荷輸送材料の開発が望まれている。
特開平1−220380号公報 特表2010−508636号公報 特開2000−285974号公報 特開2001−35551号公報 特開2002−363418号公報
B.O'Regan and M.Gratzel, Nature, 353(24), 737, 1991
本発明は、非ヨウ素系であり、かつ、拡散性に優れ、色素増感太陽電池に優れた電池特性を付与できる電荷輸送材料を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有し、かつ、電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて下記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%であるニトロキシルラジカル重合体からなる光電気化学素子用電荷輸送材料は、非ヨウ素系の電荷輸送材料でありながら、拡散性に優れ、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与し得ることを見出した。
Figure 0006211900
ニトロキシド化率(%)=スピン強度X/スピン強度Y×100・・・(A)
スピン強度X:ニトロキシルラジカル重合体の単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
スピン強度Y:標準ニトロキシルラジカル化合物としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルの単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
すなわち、本発明の電荷輸送材料では、上記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有するニトロキシルラジカル重合体において、電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて上記式(A)で算出されるニトロキシド化率を、あえて5〜60%の範囲に設定している。一般に、分子中におけるラジカルユニットの割合が大きい方が電子輸送の観点から好ましいと考えられるため、例えば、ニトロキシルラジカル重合体を電解質として用いることを検討する場合には、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率は、できるだけ100%程度にまで高めることが望ましいと考えられる。また、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を100%程度にまで高めること自体は技術的に難しいことではない。しかしながら、本発明者が検討したところ、意外にも、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%と、通常考えられるよりもかなり小さい値に設定することにより、色素増感太陽電に優れた電池特性を付与できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記式(1)及び(2):
Figure 0006211900
で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有し、
電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて下記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%であるニトロキシルラジカル重合体からなる光電気化学素子用電荷輸送材料。
ニトロキシド化率(%)=スピン強度X/スピン強度Y×100・・・(A)
スピン強度X:ニトロキシルラジカル重合体の単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
スピン強度Y:標準ニトロキシルラジカル化合物としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルの単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
項2. 前記ニトロキシルラジカル重合体が、下記式(3)〜(8):
Figure 0006211900
[式(5)において、Arは芳香族炭化水素基を示し、式(6)において、Rは水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を示す。]
で表される繰り返し単位の少なくとも1種をさらに有する、項1に記載の光電気化学素子用電荷輸送材料。
項3. 前記ニトロキシルラジカル重合体の数平均分子量が、500〜2000の範囲にある、項1または2に記載の光電気化学素子用電荷輸送材料。
項4. 半導体及び色素を含む半導体電極と、
前記半導体電極に対向する対電極と、
前記半導体電極と前記対電極との間に設けられた電解質層と、
を備え、
前記電解質層が、項1〜3のいずれかに記載の光電気化学素子用電荷輸送材料を含む、色素増感太陽電池。
本発明によれば、非ヨウ素系の電荷輸送材料でありながら、拡散性に優れ、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与し得る光電気化学素子用電荷輸送材料を提供することができる。具体的には、本発明の電荷輸送材料においては、上記の式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有し、かつ、電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて上記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%に設定されており、当該電荷輸送材料を色素増感太陽電池の電解質層に使用することによって、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与し得る。さらに、本発明の電荷輸送材料は、非ヨウ素系の電荷輸送材料であることから、当該電荷輸送材料を色素増感太陽電池の電解質層に使用した場合においては、集電体などに白金などの高価な金属を使用する必要がなく、より安価に色素増感太陽電池を製造することが可能となる。
本発明の光電気化学素子用電荷輸送材料は、上記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有し、電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて上記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%であるニトロキシルラジカル重合体からなることを特徴とする。以下、本発明の光電気化学素子用電荷輸送材料、及び当該電荷輸送材料を用いた色素増感太陽電池について詳述する。
1.光電気化学素子用電荷輸送材料
本発明の光電気化学素子用電荷輸送材料は、下記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有するニトロキシルラジカル重合体からなる。
Figure 0006211900
さらに、当該ニトロキシルラジカル重合体においては、電子スピン共鳴(ESR)測定法によって測定されたスピン強度を用いて下記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%である。
ニトロキシド化率(%)=スピン強度X/スピン強度Y×100・・・(A)
スピン強度X:ニトロキシルラジカル重合体の単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
スピン強度Y:標準ニトロキシルラジカル化合物としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルの単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
ここで、上記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%であるとは、本発明におけるニトロキシルラジカル重合体が式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも一方に加えて、下記式(1a)及び(2a)で表される繰り返し単位を含み、式(1)、(2)、(1a)、及び(2a)で表される繰り返し単位の合計数100%における、式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の合計数の割合が5〜60%であることを意味する。従って、本発明のニトロキシルラジカル重合体において、式(1)、(2)、(1a)、及び(2a)で表される繰り返し単位の合計数100%における、下記式(1a)及び(2a)で表される繰り返し単位の合計数の割合は、95〜40%である。
Figure 0006211900
電子スピン共鳴測定法によるニトロキシド化率の具体的な測定方法は、次のように行うことができる。ESR測定装置として、JEOL社製のFR−30EXを用い、標準試料として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(4−ヒドロキシTEMPO)を石英ガラスチューブに精秤し、ESR測定によりスピンシグナルを測定し、その後2回積分により単位質量当たりのスピン強度Y(spins/g)を得る。一方、石英ガラスチューブに秤量したサンプル(ニトロキシド化率を算出するニトロキシルラジカル重合体)を充填し、同様にESR測定により単位質量当たりのスピン強度X(spins/g)を求める。得られたスピン強度X及びスピン強度Yを用いて、上記式(A)により、ニトロキシルラジカル重合体のニトロキシド化率を算出することができる。
本発明の電荷輸送材料において、ニトロキシルラジカル重合体のニトロキシド化率は、5〜60%の範囲にあれば特に制限されないが、電解液中での拡散性をより高めつつ、半導体との逆電子移動反応を効果的に抑制し、色素増感太陽電池に対してさらに優れた電池特性を付与する観点からは、好ましくは10〜55%程度、より好ましくは15〜50%程度が挙げられる。ニトロキシルラジカル重合体のニトロキシド化率が5%よりも小さくなると、電解質の電荷輸送能が低くなり、電解質としての機能を十分に発揮できない場合がある。また、本発明者が検討したところ、ニトロキシルラジカル重合体のニトロキシド化率が60%を超える場合にも、電解質としての機能を十分に発揮できない場合がある。この理由の詳細は必ずしも明らかではないが、上記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体において、ニトロキシド化率が60%を超えるほどに大きくなると、半導体から電荷輸送材料への逆電子移動反応が生じやすくなり、電流密度の低下を招き、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与することが困難になるものと考えられる。
本発明において、ニトロキシルラジカル重合体を構成する全繰り返し単位における上記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の合計割合としては、電解液中での拡散性を高めつつ、半導体との逆電子移動反応を抑制し、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与する観点からは、好ましくは3モル%以上、好ましくは3〜70モル%程度、より好ましくは5〜50モル%程度、さらに好ましくは5〜30モル%程度が挙げられる。
本発明において、ニトロキシルラジカル重合体を構成する式(1)、(2)、(1a)、及び(2a)で表される繰り返し単位は、それぞれ、ランダムに重合されていてもよいし、ブロック重合されていてもよい。
本発明において、ニトロキシルラジカル重合体は、式(1)、(2)、(1a)、及び(2a)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、好ましくは、下記式(3)〜(8)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006211900
式(5)において、Arは、芳香族炭化水素基を示す。また、式(6)において、Rは、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を示す。式(5)において、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、式(6)において、炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
また、本発明において、ニトロキシルラジカル重合体が上記式(3)〜(8)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含む場合、当該ニトロキシルラジカル重合体中におけるこれらの繰り返し単位の合計割合としては、0.001モル%〜25モル%程度、好ましくは0.005モル%〜10モル%程度、さらに好ましくは0.01モル%〜5モル%程度が挙げられる。本発明の電荷輸送材料において、ニトロキシルラジカル重合体が式(3)〜(8)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含む場合、これらの繰り返し単位は、それぞれ、ランダムに重合されていてもよいし、ブロック重合されていてもよい。
本発明において、ニトロキシルラジカル重合体の数平均分子量としては、特に制限されないが、電解液中での拡散性を高めつつ、半導体との逆電子移動反応を抑制し、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与する観点からは、好ましくは500〜2000程度、より好ましくは700〜1800程度が挙げられる。ニトロキシルラジカル重合体の数平均分子量が小さすぎると、電解液中での拡散速度は高められるものの、半導体の細孔などに電荷輸送材料が容易に入り込み、半導体から電荷輸送材料への逆電子移動反応が生じやすくなるため、電流密度の低下を招き、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与することが困難になる場合がある。また、数平均分子量が大きすぎる場合、電解液中での拡散速度が低く、電荷輸送能が小さくなるため、色素増感太陽電池に対して優れた電池特性を付与することが困難になる。
本発明のニトロキシルラジカル重合体の製造方法としては、特に制限されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、下記の反応スキーム(I)に示されるように、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル基を有するメタクリル酸エステル(TEMPO基含有メタクリル酸エステル)をモノマーとして重合することより、式(1)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体が得られる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエンなどの非プロトン性溶媒を用いることができる。また、重合開始剤としては、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液などを用いることができる。
Figure 0006211900
このとき、下記式で表される2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート及び2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルグリシジルエーテルの少なくとも一方をモノマーとして共重合することによって、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定することができる。また、上述の通り、例えば式(3)〜(8)で表されるような他の繰り返し単位を導入する場合には、それぞれの繰り返し単位に対応するモノマーを共重合すればよい。
Figure 0006211900
また、例えば、下記の反応スキーム(II)に示されるように、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル基を有するグリシジルエーテル(TEMPO基含有グリシジルエーテル)をモノマーとして重合することより、式(2)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体が得られる。
Figure 0006211900
なお、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定する方法、及び、他の繰り返し単位を導入する方法は、上記反応スキーム(I)の場合と同様にして行うことができる。また、溶媒及び重合開始剤についても、上記反応スキーム(I)の場合と同様とすることができる。
さらに、上記のTEMPO基含有メタクリル酸エステル及び上記のTEMPO基含有グリシジルエーテルの両方をモノマーとして重合することにより、式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を共に含むニトロキシルラジカル重合体が得られる。この場合も、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定する方法、及び、他の繰り返し単位を導入する方法は、上記と同様にして行うことができる。また、溶媒及び重合開始剤についても、上記反応スキーム(I)の場合と同様とすることができる。
また、例えば、下記の反応スキーム(III)に示されるように、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレートをモノマーとして重合した後、得られた重合体に対してm−クロロ過安息香酸、過酸化水素などの過酸化物、タングステン酸化物などの触媒などを作用させて、アミノ基をニトロキシルラジカルに変換することにより、式(1)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体を得ることもできる。このとき、過酸などの量を調整することによって、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定することができる。重合開始剤としては、AIBNなどのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物系開始剤などを用いることができる。また、他の繰り返し単位を導入する方法としては、上記と同様にして行うことができる。
Figure 0006211900
また、例えば、下記の反応スキーム(IV)に示されるように、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルグリシジルエーテルをモノマーとして重合した後、得られた重合体に対してm−クロロ過安息香酸、過酸化水素などの過酸化物、タングステン酸化物などの触媒などを作用させて、アミノ基をニトロキシルラジカルに変換することにより、式(2)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体を得ることもできる。このとき、過酸などの量を調整することによって、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定することができる。重合開始剤としては、反応スキーム(III)と同様とすることができる。また、他の繰り返し単位を導入する方法としては、上記と同様にして行うことができる。
Figure 0006211900
さらに、上記の2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート及び上記の2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルグリシジルエーテルの両方をモノマーとして重合した後、得られた重合体に対してm−クロロ過安息香酸、過酸化水素などの過酸などを作用させて、アミノ基をニトロキシルラジカルに変換することにより、式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を共に含むニトロキシルラジカル重合体が得られる。この場合も、ニトロキシルラジカル重合体におけるニトロキシド化率を5〜60%の範囲に設定する方法、及び、他の繰り返し単位を導入する方法は、上記と同様にして行うことができる。また、重合開始剤としては、反応スキーム(III)と同様とすることができる。
本発明において、式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を有するニトロキシルラジカル重合体の数平均分子量は、公知の方法により測定することができる。数平均分子量の測定方法としては、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)などの一般的な方法が採用できる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の場合、GPC装置として、例えばウォーターズ社製2695、2414を用い、SHOWDEX社製のカラムOH−pak SB−202.5HQ及びSB−203HQ、移動相にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて、標準ポリスチレン換算により算出することができる。
本発明において、電荷輸送材料は、1種類のニトロキシルラジカル重合体のみによって構成されていてもよいし、2種類以上のニトロキシルラジカル重合体により構成されていてもよい。また、本発明の電荷輸送材料は、実質的に上記の式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の少なくとも一方を有するニトロキシルラジカル重合体のみからなってもよいし、非ヨウ素系の他の電荷輸送材料を含んでいてもよい。
本発明の光電気化学素子用電荷輸送材料は、非ヨウ素系であり、電解液中での拡散性に優れ、さらに、半導体との逆電子移動反応が効果的に抑制されるため、例えば後述のような色素増感太陽電池の電解質として好適に使用することができる。
2.色素増感太陽電池
本発明の色素増感太陽電池は、半導体及び色素を含む半導体電極と、半導体電極に対向する対電極と、半導体電極と対電極との間に設けられた電解質層とを備えており、当該電解質層が、上記の光電気化学素子用電荷輸送材料を電解質として含むことを特徴とする。本発明の色素増感太陽電池によれば、電解質層が本発明の電荷輸送材料を含むため、優れた電池特性を有し、さらに、非ヨウ素系の電荷輸送材料を用いているため、集電体などに白金などの高価な金属を使用する必要がなく、より安価な色素増感太陽電池とすることができる。
半導体電極としては、公知の色素増感太陽電池に用いられるものが使用できる。例えば、スズまたは亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)等により導電処理の施されたガラスまたはプラスチック電極板に半導体を塗布して半導体層を形成した後、高温で焼成し、その後、色素を半導体層表面に化学吸着させることにより、半導体電極とすることができる。
半導体としては、公知の色素増感太陽電池に用いられるものが採用でき、好ましくはチタン、亜鉛、ニオブ、錫、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム、クロム、ルテニウムなどの酸化物により構成された多孔質性金属酸化物が挙げられる。半導体は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、半導体に吸着させる色素としては、公知の色素増感太陽電池に用いられるものが採用でき、好ましくはルテニウム錯体色素が挙げられる。ルテニウム錯体色素の具体例としては、N3、ブラックダイ、ビピリジン−カルボン酸基、ビピリジン系、フェナントロリン、キノリン、β−ジケトナート錯体などが挙げられる。また、ルテニウム錯体色素以外にも、Os金属錯体、Fe金属錯体、Cu金属錯体、Pt金属錯体、Re金属錯体などの金属錯体色素や、シアニン色素やメロシアニン色素等のメチン色素、マーキュロクロム色素、キサンテン系色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、シアニジン色素、ローダミン色素、アゾ系色素、クマリン系色素などの有機系色素などを用いることもできる。色素は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、半導体電極に対向する対電極としては、公知の色素増感太陽電池に用いられるものが使用できる。例えば、導電剤として白金、導電性炭素などがコートされたガラスまたはプラスチック電極板などが使用できる。また、本発明の色素増感太陽電池においては、電解質として非ヨウ素系の電荷輸送材料を用いているため、対電極の材料には、アルミ、銅などを使用することもできる。
電解質層は、本発明の上記の電荷輸送材料と電解液とを含む。電解液としては、公知の色素増感太陽電池に用いられるものが採用でき、電気化学的に安定で、本発明の電荷輸送材料を溶解・膨潤させるものを使用することが好ましい。電解液の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなど非プロトン性極性溶媒類などが挙げられる。電解液は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。電解質層は、粘度調整剤、pH調整剤などの公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
本発明の色素増感太陽電池において、電解質層中における本発明の電荷輸送材料の濃度としては、電池特性を高める観点からは、好ましくは0.05〜20M程度、より好ましくは0.1〜15M程度が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例で得られた生成物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した値である。具体的には、GPC装置として、ウォーターズ社製2695、2414を用い、SHOWDEX社製のカラムOH−pak SB−202.5HQ及びSB−203HQ、移動相にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて、標準ポリスチレン換算により数平均分子量を算出した。また、各生成物のニトロキシド化率は、上記の通り、ESR測定装置として、JEOL社製のFR−30EXを用い、標準試料として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルを用いて単位質量当たりのスピン強度Y(spins/g)を測定し、さらに、各生成物の単位質量当たりのスピン強度X(spins/g)を測定し、スピン強度X及びスピン強度Yを用いて、上記式(A)により、ニトロキシド化率を算出した。
[実施例1]TEMPOメタクリレート重合体(重合体A)の合成
Figure 0006211900
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた200mL容の4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン50mLを仕込み、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(エボニックデグサジャパン社製、商品名:TAA−ol−メタクリラート)10g(44.4ミリモル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)1.2g(5.0ミリモル)を仕込み、均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を25℃に保ちながら、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、攪拌下、60℃にて10時間、重合反応させた。得られた反応液を40℃、減圧下にて溶媒を除去した後、80℃にて乾燥を継続することより白色固体の重合体9.7gを得た。
次に、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた200mL容の4つ口フラスコにメタノール100mLを仕込、撹拌下、上記で得られた白色固体の重合体9.0g、35%過酸化水素水4.83g、タングステン酸ナトリウム0.06gを投入した。反応液を60℃に保ちながら10時間反応を継続させた。KIデンプン紙で過酸化物が残存していないことを確認した後、減圧下でメタノールを除去、ついで80℃で乾燥を継続することにより、上記式(A)で示される繰り返し単位を有する赤色固体の重合体Aを9.1g得た。得られた重合体Aの数平均分子量は1400であった。またESR測定から、重合体Aのニトロキシド化率は18%であった。
[実施例2]TEMPOメタクリレート重合体(重合体B)の合成
Figure 0006211900
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(エボニックデグサジャパン社製、商品名:TAA−ol−メタクリラート)10g(44.4ミリモル)を仕込み、フラスコ内を十分に窒素置換した後、テトラヒドロフラン(脱水)50mLを仕込み、均一溶液を得た。一方、十分に窒素置換した100mL容シュレンク管にテトラヒドロフラン(脱水)5mL、トルエン(脱水)5mLを仕込み、ついでジフェニルエチレン1.68g(9.3ミリモル)、1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液5.8mL(9.3ミリモル)を添加した。次に、4つ口フラスコをドライアイスーメタノール浴で−78℃に保ちながら、100mLシュレンク管内の溶液を4つ口フラスコ内に投入した。ついで、反応液を25℃に保ち3時間反応を継続した。メタノールを少量投入した後、反応液を60℃、減圧下で溶媒を除去した。次に、80℃で減圧乾燥することにより白濁した重合体を9.8g得た。
次に、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた200mL容の4つ口フラスコにメタノール100mLを仕込み、上記で得られた白濁した重合体9.8g、35%過酸化水素水12.7g、タングステン酸ナトリウム0.06gを投入した。反応液を60℃に保ちながら10時間反応を継続させた。KIデンプン紙で過酸化物が残存していないことを確認した後、減圧下でメタノールを除去、ついで80℃で乾燥を継続することにより、上記式(A)で示される繰り返し単位を有する赤色固体の重合体Bを10.0g得た。得られた重合体Bの数平均分子量は800であった。またESR測定から、重合体Bのニトロキシド化率は49%であった。
[実施例3]TEMPO置換グリシジルエーテル重合体(重合体C)の合成
Figure 0006211900
100mL容ナスフラスコに、50質量%水酸化ナトリウム水溶液20ml、エピクロロヒドリン7.5ml(150mmol)、及びテトラブチルアンモニウム硫酸水素ナトリウム450mg(1.28mmol)を加え、攪拌した。次に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1−オキシル5.0g(29.0mmol)をさらに加え、室温で12時間反応させた。その後、反応液を、エーテル抽出、エ−テル/ヘキサン混合溶媒(混合容積比=1/1)を用いたカラム精製を行い、TEMPO置換グリシジルエーテル5.1g(収率74%)を得た。
Figure 0006211900
次に、上記で得られたTEMPO置換グリシジルエーテル3.0g(13.2mmol)、プロピレンオキシド2.3g(39.6mol)、及び重合開始剤として1.0Mのtert−ブトキシカリウム/テトラヒドロフラン溶液12mL(12mmol)をテトラヒドロフラン中に加え、窒素雰囲気下、40℃で4時間反応後、ジエチルエーテルへの再沈殿精製を経て橙色粉末として、上記式(C)で表される繰り返し単位を有するTEMPO置換グリシジルエーテル重合体Cを4.1g得た。得られた重合体Cの数平均分子量は1600であった。また、ESR測定から、重合体Cのニトロキシド化率は17%であった。
[比較例1]
35%過酸化水素水の使用量を0.93gとしたこと以外は、実施例1と同様にして重合体Dを8.9g得た。得られた重合体Dの数平均分子量は1400であった。また、ESR測定から、重合体Dのニトロキシド化率は3%であった。
[比較例2]
35%過酸化水素水の使用量を17.1gとしたこと以外は、実施例1と同様にして重合体Eを9.2g得た。得られた重合体Eの数平均分子量は1900であった。また、ESR測定から、重合体Eのニトロキシド化率は69%であった。
[比較例3]
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)の使用量を0.4gとしたこと、及び35%過酸化水素水の使用量を17.3gとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、赤色固体の重合体Fを9.0g得た。得られた重合体Fの数平均分子量は6000であった。また、ESR測定から、重合体Fのニトロキシド化率は68%であった。
[比較例4]
4−メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1−オキシル(シグマアルドリッチ社製)を下記の評価に用いた(化合物G)。
[拡散係数評価]
実施例1〜3及び比較例1〜4の重合体A〜F及び化合物Gをそれぞれ電荷輸送材料として用い、これらの電荷輸送材料の電解液中における運動性、即ち拡散係数を以下の手順により評価した。なお、参考資料として、「電気化学測定マニュアル 基礎編(電気化学会編)」を参照した。作用電極及び対電極としてPt、参照極としてAg/Ag+、電解液として0.1Mテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラン/アセトニトリル溶液を用い、化合物(A)〜(G)を評価サンプルとして電解液に1mM溶解させ、電気化学アナライザー(BAS社の660B)を用いて電解液中の拡散係数を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006211900
表1に示されるように、拡散係数の評価から、数平均分子量が6000(GPC測定による数平均分子量)と大きな化合物では分子の物理的移動が遅くなるため拡散速度が小さくなる一方、分子量が小さい化合物では、分子の物理的移動が速くなるため拡散速度が大きくなることが分かる。
[色素増感太陽電池の作製及び電池特性の評価]
実施例1〜3及び比較例1〜4の重合体A〜F及び化合物G、さらに参考例としてヨウ素を電解質として用い、色素増感太陽電池を以下の要領で作製し、電池特性を評価した。導電剤として酸化スズが用いられているガラス基盤(ITO)に、半導体としての酸化チタンの分散液を塗布し、450℃にて焼成した。ついで、色素としてD205(三菱製紙株式会社製)を含むアセトニトリル中にガラス基板を室温で浸漬し、色素を吸着させて、半導体及び色素を含む半導体電極を得た。次に、対電極として、白金が蒸着されている電極を用い、半導体電極と対電極とを0.5mm間隔としてセルを組み、0.1Mリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド/アセトニトリル溶液に化合物(A)〜(G)を評価サンプルとして溶解させた電解液を添加し、光硬化性樹脂にて封止して、色素増感太陽電池を得た。白色バイアス光源を用い、電圧、電流値は分光感度測定装置(分光機器株式会社 CEP−2000)にて測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006211900
表2に示されるように、実施例1〜3の重合体A〜Cを電解質に用いた色素増感太陽電池では、電流密度及び開放電圧が共に高かった。一方、ニトロキシド化率が3%と小さい比較例1の重合体Dでは、電流密度及び開放電圧が共に低かった。また、ニトロキシド化率が69%と大きい比較例2の重合体Eについても、電流密度及び開放電圧が共に低かった。これは、ニトロキシド化率が大きすぎると、半導体である酸化チタンとの直接接触による逆電子移動反応が生じやすくなり、電圧損失が起こって、電流密度の低下に繋がったものと考えられる。また、数平均分子量が6000と大きい比較例3の重合体Fでは、電流密度及び開放電圧が共に低かった。これは、電解質の分子量が大きすぎて、拡散速度が小さくなることに起因しているものと考えられる。比較例4の化合物Gを電解質として用いた場合にも、電流密度及び開放電圧が共に小さかった。これは、化合物Gにおいては、分子量が186とかなり小さく、化合物Gが酸化チタンの細孔内に入り込むことによって、物理的拡散が阻害されるために電荷移動が不利になったと考えられる。さらに、低分子量の化合物であると拡散速度が大きく電荷移動としては有利であるが、化合物Gは分子量が小さすぎることにより、半導体である酸化チタンとの直接接触による逆電子移動反応が生じやすくなり、電圧損失が起こって、電流密度の低下に繋がったと考えられる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)及び(2):
    Figure 0006211900
    で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有し、
    電子スピン共鳴測定法によって測定されたスピン強度を用いて下記式(A)で算出されるニトロキシド化率が5〜60%であるニトロキシルラジカル重合体からなる光電気化学素子用電荷輸送材料。
    ニトロキシド化率(%)=スピン強度X/スピン強度Y×100・・・(A)
    スピン強度X:ニトロキシルラジカル重合体の単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
    スピン強度Y:標準ニトロキシルラジカル化合物としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルの単位質量当たりのスピン強度(spins/g)
  2. 前記ニトロキシルラジカル重合体が、下記式(3)〜(8):
    Figure 0006211900
    [式(5)において、Arは芳香族炭化水素基を示し、式(6)において、Rは水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を示す。]
    で表される繰り返し単位の少なくとも1種をさらに有する、請求項1に記載の光電気化学素子用電荷輸送材料。
  3. 前記ニトロキシルラジカル重合体の数平均分子量が、500〜2000の範囲にある、請求項1または2に記載の光電気化学素子用電荷輸送材料。
  4. 半導体及び色素を含む半導体電極と、
    前記半導体電極に対向する対電極と、
    前記半導体電極と前記対電極との間に設けられた電解質層と、
    を備え、
    前記電解質層が、請求項1〜3のいずれかに記載の光電気化学素子用電荷輸送材料を含む、色素増感太陽電池。
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