以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、仕切り装置10の斜視図である。仕切り装置10は、テーブル8の上面を仕切るために、テーブル8に装着可能な装置である。仕切り装置10は、係合部12と、仕切り部14と、着脱部16と、ストッパー部17とを備える。仕切り装置10は、所定の厚みを有する板状形状を有している。仕切り装置10の大きさは、テーブル8の大きさに応じて適宜変更することが好ましいが、一例をあげると縦方向に50cm、横方向に50cm、厚みを7cmに設定することができる。ここでは、テーブルは、4人掛けのテーブルを用いて説明するが、2人掛けや6人掛けのテーブルであってもよく、1人掛けであってもよい。1人掛けのテーブルとして、例えば、飲食店等において、従業員側とお客様側とを仕切る細長いカウンター式のテーブルも含まれる。
係合部12は、板状形状において、一部を切欠いて形成された凹部を有している。凹部の大きさは、テーブルの大きさに応じて適宜変更することが好ましいが、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、例えば、縦方向に10cm、横方向に20cmの大きさを有する凹み領域に設定することができる。
係合部12には、凹み領域の上部及び下部に夫々複数の駒部18が設けられている。駒部18は、適度な柔軟性を有する部材(例えば、ゴム部材)で構成され、支持部材18bに回転可能に支持される回転駒18aと、支持部材18bを凹み領域の中央部方向に付勢させる付勢部材18cとで構成されている。複数の駒部18は、凹み領域の上部及び下部において、所定の間隔をおいて並んで配置されている。
支持部材18bは、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成されることが好ましい。また、付勢部材18cは、支持部材18bの周囲を巻回し、支持部材18bを凹み領域の中央部方向に付勢させるように固定されるバネである。
凹み領域の上部に設けられた複数の駒部18と、凹み領域の下部に設けられた複数の駒部18との間には所定の隙間が形成されており、この隙間にテーブル8の端部を嵌めこみ、付勢部材18cの付勢力に抗して支持部材18bを移動させ隙間を広げつつ、駒部18を回転させてテーブル8を押し込むことができる。
仕切り部14は、係合部12がテーブル8に係合した際にテーブル8の上面に立設されてテーブル8の上面を仕切る機能を有する。仕切り部14は、一部に係合部12を有する凹みが形成されているが、全体として略板状形状を有している。仕切り部14は、適度な強度を有する材質で構成されていればよく、例えば、プラスチック樹脂や木材で構成されていることが好ましい。
仕切り部14は、係合部12が係合した際にテーブル8の端部から上面に水平方向に突出する突出部20を有する。突出部20は、仕切り装置10をテーブル8に係合させた場合に、テーブル8の端部から所定量突出する。突出部20の大きさは、テーブル8の大きさに応じて適宜変更することが好ましいが、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、例えば、縦方向に50cm、横方向に20cmの大きさを有するように設定することができる。
仕切り部14は、通常時は仕切り部14内に収納され必要な場合である延伸時に仕切り部14外に突出して水平方向に延伸可能な延伸部22を有する。延伸部22は、水平方向に延伸した後にさらにテーブル8の上面に垂直方向に延伸可能に構成されている。
延伸部22は、仕切り部14内に入れ子状に収納されている。延伸部22は、テーブル8に水平方向に移動させるための第1延伸部22aと、第1延伸部22aを延伸させた後、テーブル8に垂直な上方向に延伸させるための第2延伸部22bと、第1延伸部22aを延伸させた後、テーブル8に垂直な下方向に延伸させるための第3延伸部22cとを備えている。
第1延伸部22aの厚みは、仕切り部14よりも小さく設定されており、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、5cm程度に設定することが好ましい。第2延伸部22b及び第3延伸部22cは、それぞれ第1延伸部22aに収納されているため、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、3cm程度に設定することが好ましい。
着脱部16は、仕切り部14の上部に装着可能であり、上記上部よりも幅広の上面部16aと、上面部16aの両端部に立設される壁部16bとを備える。
上面部16aの幅は、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、例えば、15cmに設定することができるが、上面部16aの下面側には、仕切り部14を挟みこむために、上記仕切り装置10の大きさの例に設定した場合、仕切り部14の上部の幅と一致するようにレール幅が7cmに設定されたレール部16cが形成されている。なお、壁部16b及びレール部16cは、それぞれ立設された状態を示しているが、それぞれ折り畳み構造にすることで収納などの際に省スペースにすることができるという利点がある。
壁部16bは、上面部16aの延伸方向に沿って、上面部16aの両端部に立設される。壁部16bの高さは、自由に設定することが可能であるが、例えば、3cm程度に設定することが好ましい。
ストッパー部17は、係合部12をテーブル8の端部に係合させて仕切り部14を立設させた場合に、仕切り部14が転倒することを防止させるために取り付けられた装置である。ストッパー部17は、仕切り部14に貼着される本体部と、ストップ棒部の上端部を押し付けると下方に移動して下端部に設けられたゴム部材がテーブル8の上面に当接されて固定され、解放部を操作することでストップ棒部を上昇させる機構を有する。
このストッパー部17を仕切り部14の両面に設置することで仕切り部14が転倒してしまうことを防止することができる。
続いて、上記構成の仕切り装置10の作用について説明する。繁盛している飲食店などでは、お客様6の待ち時間を削減するとともに、客席稼働率を高めるためにテーブル8の相席をお客様6に求めることがある。
このような場合にテーブル8の端部に仕切り装置10の係合部12を係合させる。具体的には、凹み領域の上部に設けられた複数の駒部18と、下部に設けられた複数の駒部18との間には形成された隙間にテーブル8の端部を嵌めこみ、付勢部材18cの付勢力に抗して支持部材18bを移動させ隙間を広げつつ、駒部18を回転させてテーブル8を押し込む。
このとき、凹み領域の上部及び下部に設けられた複数の駒部18は、それぞれ、付勢部材18cの付勢力によって中央部に押し付けられるため、テーブル8は、強力に挟み込まれる。これにより、仕切り部14をしっかりと立設させることができる。
また、ストッパー部17のストップ棒部の上端部を押し付けて下端部に設けられたゴム部材をテーブル8の上面に当接させ、仕切り部14の転倒を防止することができる。
図2は、4人掛けのテーブル8において2つの仕切り装置10を用いて、テーブル8の上面を2つの領域に仕切っている様子を示す図である。これにより、二人一組のお客様6をそれぞれテーブル8で向かい合う方向で座らせると、このテーブル8に二組座ることができるため、客席稼働率を高めることができる。このように、仕切り装置10によれば、混雑状況に応じて、後付けで仕切り部14をテーブル8の上面に立設させることでプライベート空間を作り出すことができる利点がある。さらに、仕切り装置10によれば、テーブル8の上面が仕切られているため、この仕切りによる分煙の効果も有する。
また、仕切り装置10によれば、テーブル8の上面が仕切られるだけでなく、テーブル8の端部から上面に水平方向に突出する突出部20が設けられている。これにより、テーブル8の横に座っている人との間の空間も仕切ることができ、より好適なプライベート空間を作り出すができる。
さらに、仕切り装置10によれば、必要に応じて第1延伸部22aを仕切り部14から引き出し、上下方向についても第2延伸部22b、第3延伸部22cを引き出して延伸させることで、相席となった場合の横隣りの人との間の空間領域を大きく仕切ることができ、より好ましいプライベート空間を作り出すことができる利点がある。
また、仕切り装置10は、仕切り部14の上部に着脱部16が装着されている。着脱部16は、仕切り部14の上部よりも幅が広い上面部16aを上面部16aの両端部に壁部16bが形成されている。
したがって、テーブル8を仕切る役割だけでなく、例えば、食事の際に使う塩、胡椒、醤油などの共用の調味料を配置することで、テーブル8が仕切られた後もお客様6がこれらの調味料を使うことができる。
次に、仕切り装置10の第1変形例である仕切り装置10aについて説明する。仕切り装置10aと仕切り装置10との相違は、着脱部19の形状である。着脱部19は、着脱部16とほぼ同様の構成を有しており、その相違は一方側の端部19aが幅広に形成されている点である。この着脱部19が装着された2つの仕切り装置10aを用いた場合の平面図を図3(a)に示している。
このように2つの仕切り装置10aを装着することで上記仕切り装置10と同様にプライベート空間を作りつつ、客席稼働率を高めるとともに、図3(a)に示される2つの着脱部19の端部19aが合わさって形成される領域に、例えば、ビールのピッチャー等の大きなものを載せることも可能である。
また、図3(a)に加えて、さらに2つの仕切り装置10を装着することで、図3(b)に示されるようにテーブル8の上面を4つの空間に仕切ることができる。これにより、一人客を4組もテーブル8に座らせることができるため、客席稼働率をさらに高めることができる。
次いで、仕切り装置10の第2変形例である仕切り装置10bについて説明する。図4は、仕切り装置10bと仕切り装置10の相違点は、駒部8の代わりに柔軟部21と柔軟性ストッパー部23とが設けられている点である。
柔軟部21は、柔軟性を有する部材、例えば、ゴム部材等で構成されており、係合部12の上部に沿って装着されている。
柔軟性ストッパー部23は、ストッパー部17と同様の構造を有しているが、ストッパー部17とは異なり、ストップ棒部の上端部に装着されているゴム部材の大きさが柔軟性部材の大きさに適合させて形成されている点で異なる。
柔軟部21と柔軟性ストッパー部23のゴム部材との間には、通常時は所定の隙間が形成されており、テーブル8を挟みこんだ後、柔軟性ストッパー部23の下端部を押し付けることで、ストップ棒部を上昇させてテーブル8を柔軟部21と柔軟性ストッパー部23のゴム部材とでしっかりと挟んで固定することができる。これにより、仕切り装置10bを用いても仕切り装置10と同様の作用効果を生じさせることができる。
また、柔軟性ストッパー部23は、仕切り部14の下方を操作することで稼働させる構造であるが、仕切り部14内に所定の油圧部等の構造を設置することで、仕切り部14の上方で操作するような構造にすることも考えられる。
なお、仕切り装置10は駒部18を用い、仕切り装置10bは柔軟部21と柔軟性ストッパー部23とを用いているものとして説明したが、各要素を組み合わせて用いることもできる。例えば、仕切り装置10bにおいて、柔軟部21の代わりに駒部18を用いて、柔軟性ストッパー部23との間でテーブルを挟みこむこともできる。
また、上記の例では、延伸部22は、延伸部材を入れ子状に収納して引き出すことで水平方向又は垂直方向に延伸することが可能であるが、延伸部材の数を増やすことで延伸量を大きくすることができる。また、延伸部により延伸するだけでなく、仕切り部14に延伸部材を入れ子状にすることで、テーブルの上方の仕切り領域を広めることも好ましい。