JP6205873B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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Description
図9乃至図11は、開極動作時に固定接触子の固定接点と可動接触子の可動接点との間に生じたアークを消弧装置で消弧する従来の回路遮断器の電流遮断部の一例を示す図であり、図9は要部断面図、図10は電流遮断部を抽出して示す斜視図、図11は電流遮断部を抽出して示す側面図である。
電流遮断部50は、図9乃至図11に示すように、固定接点51が設けられた固定接触子52と、固定接点51に接触可能な可動接点53が設けられた可動接触子54と、開極動作時に固定接触子52の固定接点51と可動接触子54の可動接点53との間に生じたアーク55(図10及び図11参照)を一方向に所定の間隔をおいて層状に配列された複数の磁性グリッド56で消弧する消弧装置57とを有している。
固定接点51と可動接点53との間に発生したアーク55は、やがて固定接触子52及び可動接触子54に流れる電流、アーク55、及び磁性グリッド56により作用する電磁力を受け、図10及び図11に示すように、磁性グリッド56の方向へ移動及び湾曲を始める。
ここで、固定接触子52及び可動接触子54間に発生する電圧は、電流値、アーク55の径及び磁性グリッド56の枚数などから影響を受ける。磁性グリッド56の1区間当たりの電圧はおおよそ25V程度であり、例えば図11で示すように8枚の磁性グリッド56を一方向に配列した場合、固定接触子52及び可動接触子54間に発生する電圧はおおよそ225V程度となる。固定接触子52及び可動接触子54間に発生する電圧は電源電圧に対して逆起電力である。
また、従来の回路遮断器60は、磁性グリッド56の枚数を増やすことにより、固定接触子52及び可動接触子54間に発生する電圧を高めることができる。
そこで、本発明者は磁性グリッドの配列に着目し、本発明をなした。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、小型で高遮断性能の回路遮断器を提供することを目的とする。
まず、回路遮断器の構成について説明する。
本実施形態に係る回路遮断器は、図9に示す従来の回路遮断器60と同様に、ケース及びカバーからなる一つの絶縁容器に、過電流を検知する過電流検知機構、それにより可動接触子を開極させる可動接触子開極機構、及び、短絡回路に流れる電流を急速に限流させて電流を遮断する電流遮断部1(図1及び図2参照)などを収めた構成になっている。
また、電流遮断部1は、開極動作時に固定接触子12の固定接点11と可動接触子14の可動接点13との間に生じたアーク20をその長手方向の中央部分において2つのアーク21,22に分割するアーク分割手段15と、このアーク分割手段15により分割された後の2つのアーク21,22を個々に消弧する第1の消弧装置16A及び第2の消弧装置16Bとを備えている。
本実施形態の回路遮断器は、開極動作時に固定接触子12の固定接点11と可動接触子14の可動接点13との間に生じたアーク20をアーク分割手段15で一旦2つのアーク21,22に分割し、アーク分割手段15で分割された2つのアーク21,22を2つの消弧装置16A,16Bで個々に消弧するように構成されている。
各磁性グリッド17は磁性材料で形成されている。各磁性グリッド17は、図示していないが絶縁性の部材により所定の間隔を置いて固定配置されている。各磁性グリッド17は、詳細に図示していないが、グリッド基部から平行に一対のグリッド脚部が延在するU字形状又はV字形状で形成されている。
固定接触子12は、導電性の材料で形成されている。固定接触子12は、固定接点11が設けられた第1の部分12aと、この第1の部分12aから第2の消弧装置16Bの複数の磁性グリッド17のうちの終段(図5において最下段)に位置する磁性グリッド17に向かって延在する第2の部分12bとを有している。第1の部分12aと第2の部分12bは一体に形成され、互いに電気的にかつ機械的に接続されている。固定接触子12は、前述のケースに固定され、図示していないが電源側端子と一体に形成、もしくは他の導電部材を介して電源側端子と電気的に接続されている。
可動接触子14は、一端側に固定接点11と接触する可動接点13を有し、図示していないが、他端側が前述のケースに回動可能に支持された絶縁物の可動接触子ホルダに回動自在に連結されており、接触スプリングにより固定接触子12に向かって付勢されている。図1乃至図8では、可動接触子14が開極した状態を示している。
アーク分割手段15は、中間電極18と、アークランナー19と、固定接触子12の第2の部分12bとを含む構成になっている。
本実施形態の回路遮断器では、図示していない電流検知機構が過電流を検知した際、可動接触子開極機構が働き、可動接触子14が図1及び図4に示す開極方向に開極する。もしくは、短絡電流の通電により接点に作用する電磁反発力により可動接触子14が同様に開極する。その際、固定接点11と可動接点13との間に生じたアーク20は電磁力によって中間電極18のアーク分割部分18aの方向へ湾曲し、その中央部分が中間電極18のアーク分割部分18aに移動する。
中間電極18のアーク分割部分18aに移動したアーク20は、このアーク分割部分18aで2つのアークに分割(分断)、すなわち可動接点13側(アーク分割部分18aよりも上側)のアーク21と固定接点11側(アーク分割部分18aよりも下側)のアーク22に分断される(図1、図2及び図6参照)。
これにより、可動接点13側(上側)のアーク21は、第1の消弧装置16Aまで導かれる(図1及び図4参照)。第1の消弧装置16Aに達したアーク21は、第1の消弧装置16Aの各磁性グリッド17により分断されるので、アークランナー19及び中間電極18間の電圧は急激に高まる。
(1)本実施形態の回路遮断器は、開極動作時に固定接触子12の固定接点11と可動接触子14の可動接点13との間に生じたアーク20をアーク分割手段15により2つのアーク21,22に分割し、この2つのアーク21,22を個々に消弧する2つの消弧装置16A,16Bを備えている。したがって、本実施形態の回路遮断器は、限られた高さ寸法内に配置できる磁性グリッド17の枚数を増やすことができるとともに、限られた高さ寸法で、開極動作時に固定接触子12及び可動接触子14間に発生する電圧を高めることができる。この結果、本実施形態の回路遮断器は、限られた電流遮断部1の高さ寸法内でより高い遮断性能を得ることができるので、小型で高遮断性能(高限流性能)を得ることができる。
以上説明したように、本発明に係る回路遮断器は、小型で高遮断性を得ることができるという効果を有し、配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器に有用である。
Claims (2)
- 固定接点が設けられた固定接触子と、
前記固定接点に接触可能な可動接点が設けられた可動接触子と、
開極動作時に前記固定接点と前記可動接点との間で生じたアークを複数のアークに分割するアーク分割手段と、
各々が一方向に所定の間隔を置いて配列された複数の磁性グリッドを有し、前記アーク分割手段により分割された後のアークを個々に消弧する複数の消弧装置と、
前記複数の消弧装置の互に隣り合う第1の消弧装置と第2の消弧装置とを隔てる隔壁とを備え、
前記アーク分割手段は、
開極動作時に前記固定接点と前記可動接点との間で生じた前記アークが移動することにより前記複数のアークに分割するアーク分割部分、前記アーク分割部分から前記第1の消弧装置に向かって延在する第1の分岐部分、及び、前記アーク分割部分から前記第2の消弧装置に向かって延在する第2の分岐部分を有する中間電極と、
開極動作後における前記可動接触子の先端側から前記第1の消弧装置に向かって延在し、かつ前記可動接触子と同電位に接続された第1のアークランナーと、
前記固定接触子の固定接点が設けられた部分から前記第2の消弧装置に向かって延在する第2のアークランナーとを含み、
前記第1のアークランナーの前記第1の消弧装置側の先端と、前記第1の分岐部分の前記第1の消弧装置側の先端とは、前記第1の消弧装置の前記複数の磁性グリッドの配列方向において互いに離間し、
前記第2の分岐部分の前記第2の消弧装置側の先端と、前記第2のアークランナーの前記第2の消弧装置側の先端とは、前記第2の消弧装置の前記複数の磁性グリッドの配列方向において互いに離間し、
前記隔壁は、前記第1の消弧装置と前記第2の消弧装置との間に設けられた第1の隔壁部分と、前記複数の磁性グリッドの配列方向において前記中間電極のアーク分割部分よりも前記第1のアークランナー側に位置し、前記第1の隔壁部分から前記中間電極の第2の分岐部分及び前記第2の消弧装置を囲むように設けられた第2の隔壁部分と、前記複数の磁性グリッドの配列方向において前記中間電極のアーク分割部分よりも前記固定接点側に位置し、前記第1の隔壁部分から前記中間電極の第1の分岐部分及び前記第1の消弧装置を囲むようにして設けられた第3の隔壁部分とを有していることを特徴とする回路遮断器。 - 前記複数の消弧装置は、前記複数の磁性グリッドの配列方向に沿う方向から平面視したとき、並列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
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