JP6204417B2 - えん麦のふすま由来の組成物による、高脂肪食または高カロリー食摂取時の血圧上昇抑制または血圧降下 - Google Patents

えん麦のふすま由来の組成物による、高脂肪食または高カロリー食摂取時の血圧上昇抑制または血圧降下 Download PDF

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Description

本発明は、高脂肪食または高カロリー食摂取時の血圧上昇抑制または血圧降下作用を有する、えん麦のふすまから得られた組成物およびその用途に関する。
えん麦は、オートミール、押し麦、ロールドえん麦などに加工して食用とするのが一般的である。えん麦の外皮(すなわち、ふすま)は除去されて食用とされるのが通常であるが、全粒を加工対象とすることもある。前者の場合、ふすまに含まれる成分を有効利用することができず、また後者の場合、胚乳に含まれる糖質が含有されることとなり、得られた食品は例えば糖尿病患者には適合し難いものとなる可能性がある。
えん麦のふすまは、β−グルカン、繊維成分、その他の栄養素を含む。例えば、β−グルカンは、血糖値上昇抑制効果やコレステロール低下作用を有しており、生活習慣病の予防に有効であることが知られている。しなしながら、ふすまのままでは、それら成分を十分にヒトが吸収・利用できず、加工が必要となる。
本発明者らの一部は、先に、えん麦のふすまを特定の方法で加工することにより、β−グルカンのみならず、食物繊維、その他の栄養素を、より体に吸収・利用し易い形態で含む組成物を提案している(特許文献1:特開2015−84687号公報)。
他方、β−グルカンを含む食物繊維が血圧に及ぼす影響については既に報告がある(総説として非特許文献1)。しかしながら、当該既報総説に論述されている諸臨床試験においては肥満低減対策として試験期間中に何らかの好ましい方向の生活指導を伴うことが一般とされていることから、高血圧値の適正化をもたらした要因については専ら摂取した食物繊維に起因するものとは一律に主張しえない。この点論文著者らも論点上の限界として認めているところである(非特許文献1、909頁、Limitationsの項)。この点に鑑みて、β−グルカン、とりわけえん麦のふすま由来のβ−グルカンが、高脂肪食または高カロリー食摂取時の血圧にいかなる影響を与えるかの報告はされていない。
特開2015−84687号公報
Evans et al., Journal of Hypertension 2015, 33:897-911
本発明者らは、今般、本発明者らの一部が先に提案したえん麦のふすま由来の組成物が、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象において、当該組成物を与えなかった対照群と比較して、終体重、体重増加量等において有意差が見られないなか、血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる作用を有するとの知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
従って、本発明は、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられる組成物の提供をその目的としている。
また、本発明は、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる方法の提供をその目的としている。
そして、本発明による組成物は、β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物であって、
高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させて、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられることを特徴とするものである。
また、本発明による方法は、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に対し、
β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物を経口的に摂取させることを特徴とする、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる方法(但し、医療行為を除く)である。
実施例により得られた本発明による食品組成物が含有するβ−グルカンの質量分布を示した図である。
血圧上昇抑制または血圧降下作用
本発明による組成物は、後記するえん麦のふすまから得られる組成物(以下、「えん麦ふすま由来の組成物」という)を主成分とし、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させ、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられる。したがって言い換えれば、本発明の一つの態様によれば、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象における、血圧上昇抑制剤または血圧降下剤が提供される。
本発明において、高脂肪食とは、脂肪エネルギー比が50%以上、さらには60%以上の食事または食餌を意味する。本発明にあっては、このような高脂肪食を継続して摂取した対象において、えん麦ふすま由来の組成物を与えなかった対象と比較して、終体重、体重増加量等において有意差が見られないにもかかわらず、血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させることができる。すなわち、通常、高脂肪食を摂取すると体重の増加とともに、血圧にも悪影響、すなわちその上昇が予測されるが、本発明によれば、このような通常は血圧上昇すると思われる局面においても、血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させることができるという極めて興味深い、有利な結果が得られる。
さらに本発明にあっては、高脂肪食を継続して摂取し、その摂取の結果、増体量となった対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる態様に加え、1回または複数回ではあるが増体量に至っていない程度の摂取回数で高脂肪食を摂取した対象にあって、予防的に血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるためにえん麦由来の組成物を摂取する態様も本発明に包含される。
本発明において、高カロリー食を摂取するとは、対象において、その活動に必要なエネルギー量を超えたカロリー量の食事または食餌を摂取することを意味する。従って、高カロリー食とは、それを継続して摂取の結果、標準の場合と比較して、対象に増体量を招く食事および食餌を意味する。通常、高カロリー食を摂取すると体重の増加とともに、血圧にも悪影響、すなわちその上昇が予測されるが、本発明によれば、このような通常は血圧上昇すると思われる局面においても、血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させることができるという極めて興味深い、有利な結果が得られる。
さらに本発明にあっては、高カロリー食を継続して摂取し、その摂取の結果、増体量となった対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる態様に加え、1回または複数回ではあるが増体量に至っていない程度の摂取回数で高カロリー食を摂取した対象において、予防的に血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるためにえん麦由来の組成物を摂取する態様も本発明に包含される。さらに本発明には、食事または食餌を1日数回に分けて摂取するとき、1日の食事または食餌のカロリーの合計が対象の1日の活動に必要なエネルギーを超えてしまった対象において、予防的に血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるためにえん麦由来の組成物を摂取する態様も包含される。さらに、1日の活動に必要なエネルギーを食事または食餌の回数で割ったときにその1回あたりに割り当てられるカロリー量を超えた食事または食餌を1回摂取しただけの対象において、予防的に血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるためにえん麦由来の組成物を摂取する態様も本発明に包含される。
本発明において、「対象」には、ヒトおよび動物が含まれる。本発明の一つの態様によれば、対象は肥満傾向にある。ここで、肥満とは、例えば、対象における標準体重を20%超える体重を有すること、あるいはBMI(ボディマス指数)が25を超える、さらには30を超える体重であることを意味する。
えん麦ふすま由来の組成物およびその摂取
本発明において用いられる、えん麦ふすま由来組成物は、上記特許文献1(特開2015−84687号公報)に記載されるものである。すなわち、本発明において用いられる、えん麦ふすま由来組成物は、えん麦のふすま、特に好ましくはハダカエンバクのふすまから得られる組成物であって、β−グルカンに加えて、食物繊維、タンパク質、脂質、ミネラルなど、有用な栄養素、栄養成分を豊富に含んでなる。具体的には、
β−グルカンを10質量%以上、
食物繊維を30質量%以上、
タンパク質を18質量%以上、好ましくは18〜22質量%、
脂肪を8質量%以上、好ましくは8〜12質量%、
糖質を40質量%以下
含んでなることを特徴とする。
このえん麦ふすま由来の組成物は、特にβ−グルカンについて、原料のふすまと比較して、低質量のβ−グルカンを相対的に多く含む。具体的には、質量300kDaを超えるβ−グルカンの量が減り、300kDa以下の成分が相対的に増えた組成となる。また、本発明の好ましい態様によれば、組成物の脂質の80質量%以上が不飽和脂肪酸である。
えん麦ふすま由来の組成物は、それ自体を対象に経口で摂取させることができる。この組成物は、えん麦ふすまそのものの味と香りを有しており、そのまま食することができる。従って、本発明にあっては、えん麦ふすま由来の組成物を、そのまま医薬または食品として摂取することが出来る。
また、本発明の別の態様によれば、えん麦ふすま由来の組成物を、他の成分とともに、または混合して、医薬または食品として摂取させることもできる。また、食品、例えば高脂肪食または高カロリー食に添加して食品とすることもできる。またさらに、他の成分とともに、または混合して、他の食品に添加するための食品添加物として提供され、結果として対象に摂取させることも出来る。
製造方法
本発明によるえん麦ふすま由来の組成物は、上記特許文献1(特開2015−84687号公報)に記載の方法により好ましく製造することができる。当該製造方法を詳述すれば下記の通りである。
えん麦およびふすま
本発明において、えん麦には、欧米皮付えん麦(Covered Oat)および中国裸えん麦(Naked Oat)が含まれ、具体的には普通種(Avena sativa)、東方種(Avena orientalis Schreb)、地中海種(Avena byzantine Koch)、中国裸(Avena nuda)が含まれる。また、ふすまとは、えん麦の外皮を意味する。本明細書において、ふすまと外皮とは同義に用いることとする。
本発明の好ましい態様において、えん麦として中国裸えん麦(Avena nuda)を用いる。中国裸えん麦はハダカエンバクともよばれる。本発明者らの得た知見によれば、このハダカエンバクのふすまは、他の種のえん麦のふすまと比較して、β−グルカン量、タンパク質量、脂質、特に不飽和脂肪酸量が高く、他方、糖質含有量が低いものであった。このようなハダカエンバクのふすまから、本発明による方法により加工することで、優れたえん麦ふすま由来の組成物が得られる。
組成物の由来であり、また原料となるえん麦は、その粒子を洗浄し、乾燥した後、製粉機でえん麦粉と表面のふすまに分離する。えん麦粉は、食用として利用してよく、本発明にあっては、通常は廃棄されるふすまを利用する。本発明の好ましい態様によれば、この製粉機による処理の前にえん麦を焙煎してもよく、焙煎は100〜120℃程度で、5〜10分間程度行われるのがよい。
粉砕工程
本発明において、えん麦のふすまは、まず、粉砕工程に付され、この工程では、その細胞壁を物理的に破壊してβ−グルカンを破砕物中に遊離させることを主たる目的とする。粉砕は、物理的な圧力を加えることにより行われ、この加圧粉砕は、加熱下に行われることが好ましい。加えられる圧力は、通常、40〜150Kg/cm程度が好ましい。また、粉砕工程中、その摩擦により発熱するが、積極的に加熱するか、あるいは過剰な加熱を防ぐために、温度制御されることが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、この粉砕工程中、ふすまは、75℃〜150℃の温度範囲に置かれることが好ましく、より好ましくは80〜150℃である。さらに本発明の好ましい態様によれば、温度は段階的に制御されることが好ましく、例えば、80〜90℃の段階、次に110〜120℃の段階、そしては130〜140℃の段階と温度を上げながら粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕処理の時間もβ−グルカンを破砕物中に遊離させることができる範囲で適宜決定されてよいが、本発明の好ましい態様によれば、20秒〜3分間程度が好ましい。さらに、上記のように温度を段階的に上げる態様にあっては、各温度において10秒〜1分以内の時間で行うことが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、粉砕工程は、ふすまを押出機により粉砕する。押出機による圧力、熱、摩擦剪断力の複合的な粉砕処理により、効率よく細胞壁を物理的に破壊してβ−グルカンを破砕物中に遊離させることができると考えられる。押出機において、ふすまは、好ましくは加熱された管中で加熱されながら、管の内部にある回転スクリューにより、管の端末にあるノズルに向かい押し出される。本発明にあっては、この回転スクリュー軸が二本ある二軸押出機の利用が、その効率の観点から好ましい。押出機のスクリューの構造、末端のブロッキング形は特に限定されない。
本発明の好ましい態様によれば、粉砕工程に付す前に、ふすまに水を添加することが、粉砕工程の効率を上げることが出来ることから好ましい。水の量は粉砕工程の効率を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、ふすまに対して5〜25質量%の水を添加する。水を添加したふすまは、好ましくは粉砕工程の前に、攪拌機により十分に攪拌され、水を均一に含むものとされることがこのましい。また、水の添加は、粉砕工程中において行われてもよい。
酵素を作用させる工程
本発明において、上記の粉砕工程により得られた破砕物に、次に、フィターゼ、セルラーゼ、リゾチーム、およびキシラーゼからなる群から選択される少なくとも一つの酵素を作用させる。本発明の好ましい態様によれば、これら全ての酵素を作用させる。ここで、フィターゼは、フィチン酸(フィチンリン)から無機態のリン酸を切り離す酵素を意味する。この酵素により、フェチン酸にキレート化されていたイオンが遊離され、ヒトが吸収、利用できる形態となる。また、セルラーゼは、β−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を意味する。リゾチームは、真正細菌の細胞壁を構成する多糖類を加水分解する酵素を意味する。キシラーゼとは、キシランのβ1−4結合を切断し、キシロースに分解する酵素を意味する。これら酵素により、β−グルカンを低質量化し、また水不溶性の食物繊維の一部は水溶性となるなど、ふすまに含まれる成分を、ヒトが吸収、利用可能な形態に変化させることができる。
酵素を作用させる温度および時間は、使用する酵素の至適温度等を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、40〜50℃、20分〜1時間が一般的である。酵素の作用中は、適宜粉砕物を攪拌することが好ましい。
酵素を作用させた後、酵素を失活させる。失活の処理は、例えば、系の温度を90〜120℃程度まで昇温することにより行われる。失活の後、系は室温まで放冷することが好ましい。
付加的工程
えん麦ふすま由来の組成物は、以上の粉砕工程および酵素を作用させる工程を得て得られたものであるが、本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物に対して以下のいずれかまたは全ての処理工程をさらに行う事が好ましい。
(a)デンプンのβ化
本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物に含まれるデンプンをβ化して、ヒトが消化し難いものとすることが好ましい。また、β化したデンプンは、食物繊維としても機能することから好ましい。具体的には、組成物を2〜4℃の温度下に約24時間おいて、含まれるデンプンをβ化する。これによって、糖質制限にあるヒトにも提供可能なものとすることができる。
(b)乾燥・微粉化
本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物を以下の様な乾燥・微粉化工程に付すことにより、均質な組成物が得られ、かつ口当たりの滑らかな組成物が得られる。まず、得られた組成物を湿式粉砕に付して、組成物の均質化と微細化を行い、スラリー状物を得る。得られたスラリー状物を次に乾燥工程に付す。乾燥は、例えば、ドライスプレー法、冷凍乾燥法、熱空気による乾燥等の方法があるが、一般に、高粘度のスラリー状物を乾燥させることには困難が伴う。本発明にあっては、ドラムドライヤーの利用が好ましい。好ましくは、ドラムの表面温度を120〜180℃とし、30秒〜2分程度でフレーク状のものまで乾燥することができる。このフレーク状物を粉砕機(例えば、機械ジェット式)で粉末化し、必要であればメッシュにかけて粒径を調整し、粉体状の本発明による食品組成物を得る。
(c)その他の工程
本発明の好ましい態様によれば、得られた本発明による食品組成物は、殺菌工程および金属除去工程に付され、その安全性を担保することが好ましい。殺菌は、例えばマイクロウェーブ殺菌機にて行うことができ、また金属除去はマグネット機により行なうことができる。
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:えん麦のふすま由来の組成物の調製(その1)
ハダカエンバクのふすま40Kgを、撹拌機付き200Lタンクに仕込み、水4Lを加えて45〜50℃で30分間、攪拌速度80−100rpmで撹拌した。この混合物を二軸押出機(Delun社製、型番DL56)に仕込み、スクリューの回転速度100rpmとしながら、まず80℃で10秒間、次に110℃で10秒間、続いて130℃で10秒間、加熱しながら混合処理した。処理後、湿粉末を放置し、室温まで冷却した。
撹拌機付き500Lの反応タンクに、得られた湿粉末45Kg、水320Lを仕込み、40〜50℃まで昇温した。この反応タンクに、酵素液(新日本化学社製フィターゼ(商品名:スミチームPHY)4gを水0.5Lに溶かしたもの)を加えて30分間撹拌した後、120℃で20分撹拌して酵素失活処理を行った。処理液を450Lの冷却タンクに移し、室温にまで放冷したのち、2-4℃の温度に冷却しながら24時間撹拌して、デンプンのβ化処理を行い、スラリー状物を得た。
得られたスラリー状物を、ウェットミル(Donghua社製、型番DMJ110LA)で40〜50℃の温度に制御しながら、150rpmで処理した後、ドラムドライヤーで140℃、3分間の条件下で乾燥して、フレーク状物を得た。このフレーク状物を粉砕機(Erle社製、型番WF−30X)で粉砕して粉体を得て、ふるいにかけて、平均粒径D50が158μmの粉体とした。
こうして得られた組成物の成分を分析した。その結果は、以下の表に示されるとおりであった。
Figure 0006204417
さらに、含まれるβ−グルカンの質量分布を、原料のβ−グルカンの質量分布とともに分析した。その結果は、図1に示されるとおりであった。
実施例2:えん麦のふすま由来の組成物の調製(その2)
実施例1において、二軸押出機による処理を、80℃で30秒間、110℃で30秒間、130℃で30秒間行った以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物のβ−グルカンの質量分布を分析したところ、図1に示されるとおりであった。
実施例3:動物実験
1.実験方法
(1)実験飼料
実験飼料はAIN−93G組成を基本とし、脂肪エネルギー比が60%となるようラードを添加し、総食物繊維が5.0%となるようセルロースまたは上記の実施例1に準じて得られたえん麦ふすま由来の組成物を添加した。コントロール群およびえん麦ふすま由来の組成物を与える群の飼料組成は下記の表に示される通りであった。なお、総食物繊維量は、AOAC Method911.43(Proksy法)に準じて測定した。総脂質量は酸分解法により、たんぱく質はケルダール法により測定した。その結果、総食物繊維34.9%、たんぱく質17.3%、脂質9.5%であった。
Figure 0006204417
(2)動物実験
5週齢のC57BL/6J雄マウスに、8週間上記コントロール群の高脂肪食を摂取させて肥満を誘発し、当該マウスを1群8匹の2群に群分けした。続いて、当該マウスに上記コントロール群の実験飼料またはえん麦ふすま群の実験飼料と水を65日間自由摂取させ、体重と飼料摂取量を測定した。なお、飼育環境は、室温22±1℃、湿度50±5%、12時間明暗サイクル(12:00〜24:00)とした。
(3)解剖
体重を測定後、イソフルラン/CO2吸引下で安楽死させ、後大動脈より採血を行った。肝臓、盲腸、腹腔内脂肪(後腹壁脂肪、副睾丸周辺脂肪、および腸間膜脂肪)を摘出し、重量を測定した。
(4)血清脂質の分析
採取した血液は血清を分離し、トリグリセリド、遊離脂肪酸、総コレステロール、グルコース濃度を酵素法にて分析した。トリグリセリドの定量には「トリグリセライドE-テストワコー」、遊離脂肪酸の定量には「NEFA-Cテストワコー」、総コレステロールの定量には「コレステロールE-テストワコー」、そしてグルコースの定量には「グルコースCII-テストワコー」(すべて和光純薬工業株式会社)を用いた。
(5)肝臓脂質の分析
肝臓は凍結乾燥、粉砕し、クロロホルム:メタノール(2:1)溶液を用いてFolch法にて総脂質を抽出し、水洗後、トリグリセリド、総コレステロール濃度を酵素法にて分析した。血清脂質と同様、トリグリセリドの定量には「トリグリセライドE-テストワコー」、総コレステロールの定量には「コレステロールE-テストワコー」(いずれも和光純薬工業株式会社)を用いた。
(6)糞中脂質の分析
糞を凍結乾燥後、粉砕し、約0.5g精秤した。これに4%酢酸含有Folch溶液を加え、糞中脂質を抽出後、Folchの水洗法によって塩類除去を行い、105℃で恒量を求めたアルミカップに入れて溶媒をホットプレートで蒸発させた。その後、105℃で1時間以上加熱、デシケーター内に30分放置させた後、重量を測定し、恒量から総脂質を算出した。
(7)血圧測定
血圧測定はマウス非観血圧測定装置(BP-98A、(株)ソフトロン)を用いて行った。測定は38℃に加温して行った。
2.実験結果
(1)マウスの成長結果
マウスの成長結果は下記の表に示される通りであった。終体重、体重増加量は各群において有意差は見られなかった。飼料摂取量はコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群で有意に高かった(p<0.05)。一方、有意差はなかったが、飼料効率はえん麦ふすま由来の組成物を与えた群が低く、摂食量が増えても体重増加が抑制される傾向が見られた。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
*コントロール群と比較して有意差あり(p<0.05)。
(2)マウスの臓器重量
マウスの臓器重量は、下記の表に示される通りであった。肝臓重量および脂肪組織重量に有意差は見られなかった。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
(3)脂質代謝
(a)血清脂質
血清中の各脂質濃度は、下記の表に示される通りであった。血清脂質において各群に有意差は見られなかった。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
(b)肝臓脂質
肝臓脂質量は、下記の表に示される通りであった。両群間には差が見られなかった。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
(c)糞中脂質
糞中脂質量は、下記の表に示される通りであった。脂質の排泄量に差は認められなかった。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
(4)血圧測定
血圧測定の結果は、下記の表に示される通りであった。収縮期血圧はコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群で有意に低かった(p<0.05)。
Figure 0006204417
表中、数値は平均値±標準偏差を表す。
*コントロール群と比較して有意差あり(p<0.05)。
3.考察
血圧は、収縮期血圧においてコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群において有意に低かった(p<0.05)。この結果より、えん麦ふすま由来の組成物を摂取することで高血圧予防が期待できると考えられる。本実験は食塩誘導性の高血圧ではないため、ナトリウム排泄促進効果とは別のメカニズムと考えられる。血圧を低下させる理由としては、アンギオテンシン変換酵素の阻害ではなく、アンギオテンシノーゲン産生との関連によるものと考えられる。アンジオテンシノーゲンは主に肝臓でつくられる他、脂肪細胞でもつくられており、内臓脂肪の増加に伴ってその産生・分泌が高まる。えん麦ふすま由来の組成物は、肝臓および脂肪細胞でのアンギオテンシノーゲン生成を抑える働きを有する可能性があると思われる。

Claims (8)

  1. β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物であって、
    高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させて、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられることを特徴とする、組成物。
  2. 前記高脂肪食の脂肪エネルギー比が50%以上である、請求項1に記載の組成物。
  3. 対象がヒトである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物が、医薬、食品、または食品添加物である、請求項1に記載の組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれ一項記載の組成物を含んでなる、高脂肪食を摂取する対象に経口で摂取させ、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられる医薬、食品、または食品添加物。
  6. 高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に対し、
    β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物を経口的に摂取させることを特徴とする、
    当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる方法(但し、医療行為を除く)。
  7. 前記高脂肪食の脂肪エネルギー比が50%以上である、請求項6に記載の方法。
  8. 対象がヒトである、請求項6または7に記載の方法。
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