JP6204360B2 - インクジェット装置用の均質化インクを得るための方法及び装置 - Google Patents

インクジェット装置用の均質化インクを得るための方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット装置用の均質化インクを得るための方法及び装置に関する。この方法及び装置は、インクジェットを生成するための機器と、インクジェットをそれぞれ均等な大きさのインク粒子に分割するための超音波振動子及びノズルを備えたノズル部と、少なくともいくつかのインク粒子に電荷を与えるための電荷トンネルと、帯電された各インク粒子を偏向するための偏向機器と、均質化粒子キャッチャーと、を備える。
連続インクジェットプリンター(CIJプリンター)では、インクジェット12(図1参照)は、ノズルを介して、圧力でプリントヘッド10から噴出される。このジェット12は、ノズルの後方に配置されたピエゾ素子振動子を介して調整され、その結果、均一に分解された粒子16を得ることができる(レーリーの粒子分離(Rayleigh's droplet breakup))。分離された粒子16は、電荷トンネル18を介して、大なり小なり静電的に帯電される。その後、10〜40m/sの速度の粒子16は、より大きな偏向電極20を通じて飛ばされて、そして、それぞれの特定の帯電状況によって、水平又は垂直に偏向される。装置の種類に応じて、帯電された、又は、帯電されていない粒子16が、印刷面21に到達する。不要な粒子16は、プリントヘッドで偏向され、一般の粒子キャッチャー22に収集されて、再度、インクシステムへ送られる。EP 0362101において、高い印刷品質を得るために、粒子の速度と、インクの品質と、粒子の構成及び帯電と、を検査かつ制御することが知られている。
DE-OS 2331803において、2つのガター(two gutters)を備えたインクジェットマトリクスプリンター(CIJプリンター)が知られている。第1のガターは、粒子構成の同期、及び、粒子の帯電のための制御信号を発生する。第2のガターは、検査の間隔で、印刷に使用される粒子に比べて非常に高い電荷を有する未使用の粒子を収集し、それによって、偏向電圧やフォントサイズのエラーなどのシステムエラーを検知できる。
JP 56113463 Aの要約において、CIJプリンター用の2つの部分からなる粒子キャッチャーが記載されており、これは、偏向されない粒子、及び、書き込みに使用される粒子と反対に帯電された粒子を収集するものである。これら反対に帯電された粒子は、インク粘性度を決定するために用いられる。
CIJプリンターでは、特別なインクが使用される。これらインクは、染料、結合剤及び溶剤からなる。必要に応じて、インクの伝導率を向上するために、追加塩、第4級アンモニウム化合物又はその他の化学物質を加えることができる。さらに、接着促進剤、表面張力を増加又は減少するための化学物質を加えることができる。染料の他、インクを着色するために顔料も使用される。染料インクは、比較するとより鮮明な色彩を生成する一方、顔料インクは、印刷面での滑りが少なく、より正確で、より高いコントラストで表示されるという利点がある。
CIJ印刷処理において、インク粒子をできるだけ均一に形成するために、インクをできるだけ均質にすることが特に重要である。インク粒子は、一貫性のある粒子分解長さ、粒子速度、質量及び帯電性を有する必要がある。インクジェットを一定の化学的及び物理的特性を有する小さな粒子に分割できるようにするためには、インクを均質化することが必要条件である。特に、粒子が所定の電荷/質量比を有するときだけ、書き込みマトリクスの割り当て位置に案内されるので、重量に対する帯電性が重要となる。そのため、均一でない粒子を形成すると、インク粒子を制御できないか、逸脱することになり、その結果、プリントヘッドの活字書体が劣化する。
できるだけ高度に均質化されたインクを生成するために、インクの各成分ができるだけ高い溶解度及び分散性を有するように一般的な管理をし、かつ、できるだけ高度に均質化されたインクが得られる方法を選ぶ。特に、インクを生成する間に複数回ろ過する。さらに、インクは、インクが使用される装置に正確に適合される(EP 0438427)。
使用されるインクの品質が劣っているほど、プリントヘッドの調整が難しいことがわかっている。品質の良くないインクでは、正確にプリントヘッドを調整したときだけ、必要な印刷結果を得ることができる。インク濃度がわずかに変化したり、雰囲気状態が変化したりする場合でも、印刷結果が悪化する。一方、最適な品質のインクは、印刷画像を低下させることなく、広い調整範囲で使用できる。
本発明が解決しようとする課題は、CIJ印刷においてより鮮明な活字書体を得ることが可能な方法及び装置を提供することである。
上記課題を解決するため、インクジェット装置用の均質化インクを得るための方法は、
インクジェットをそれぞれ均一な大きさのインク粒子に分割し、
少なくともいくつかのインク粒子に電荷を供給し、
インク粒子を偏向機器で導き、
所定量で偏向されたインク粒子を均質化粒子キャッチャーで収集し、
均質化粒子キャッチャーで収集されたインク粒子を印刷で使用する。
好ましくは、各インク粒子は同一の電荷を有する。「各インク粒子」という語は、インクジェット装置用の均質化インクを得るために使用されるインク粒子のみを意味する。位相調整(phasing)で必要なインク粒子は、本発明に係る方法でわずかに帯電されるものであって、これを意味するものではない。下記の説明の通り、均質化インクを取得するために印刷及び位相調整に必要のないインク粒子を使用できるように、本発明に係る方法をCIJ印刷処理に組み合わせることができる。従って、「各インク粒子」という語は、これら最後に指定されたインク粒子(these last-named ink droplets)のみに関するものである。
好ましくは、均質化粒子を得るために使用されるインク粒子の飛行距離は、CIJ印刷の場合よりも大きい。好ましくは、飛行距離は、50mmよりも長く、より好ましくは、70mmよりも長い。飛行経路が長くなり、かつ、偏向が大きくなるほど、均質化粒子キャッチャーで収集された均質化粒子の粒径画分が狭くなり、かつ、取得インクがより均質化される。
好ましくは、均質化粒子キャッチャーで収集されたインク粒子は、中間容器に貯留される。
インク粒子の非均質性がはっきりとした効果を有するために、好ましくは、インク粒子は、CIJ印刷よりも強く偏向される。
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る装置は、
インクジェットを生成するための機器と、
超音波振動子及びノズルを備え、インクジェットをそれぞれ均一な大きさのインク粒子に分割するためのノズル部と、
少なくともいくつかのインク粒子に電荷を供給する電荷トンネルと、
それぞれ帯電されたインク粒子を偏向するための偏向機器と、
インク粒子の偏向されない飛行経路から所定距離離れて配置された均質化粒子キャッチャーと、を備える。
好ましくは、偏向機器は、インク粒子を偏向するために、静電界又は静磁界を生成する。
好ましくは、この装置は、均質化粒子キャッチャーで収集されたインク粒子を貯留するための中間容器を備える。
この装置は、均質化インクを取得するため、及び、均質化インクを使って面を印刷するための双方に使用できる。そのため、この装置は、印刷面を有する基板を保持及び案内するための機器と、印刷に必要のない偏向されないインク粒子を収集するように配置された粒子キャッチャーと、を備える。
好ましくは、印刷面を有する基板を保持及び案内するための機器、及び、均質化粒子キャッチャーは、偏向されないインク粒子用の粒子キャッチャーの反対側に配置される。特に、印刷面を有する基板を保持及び案内するための機器は、偏向されないインク粒子用の粒子キャッチャーの上方に配置され、さらに、均質化粒子キャッチャーは、偏向されないインク粒子用の粒子キャッチャーの下方に配置される。
本発明に係る均質化装置は、実質的に、従来のインクジェットプリントヘッドと同じ構成を備えており、一つだけの均質化粒子キャッチャーが、偏向されない飛行経路の外側に設けられており、その結果、所定量だけ偏向されたこれらインク粒子だけが収集される。このインクジェットプリントヘッドは、多偏向CIJ印刷(multi-deflection CIJ printing)又は二元CIJ印刷(binary CIJ printing)用とすることができる。多偏向CIJ印刷では、一連の個々のインク粒子が、単一のノズル開口部を有するプリントヘッド手段によって生成され、印刷面に衝突するインク粒子の位置が、偏向の程度によって制御され、粒子の電荷によって制御される。二元CIJ印刷では、多数、例えば192又は256のノズル開口部を有するプリントヘッドによって、多数のインクジェット、即ち、一連のインク粒子が生成され、そして、印刷面に衝突するインク粒子の位置が、プリントヘッドの所定のノズル開口部の位置によって決定され、文字を印刷するか、空白を印刷するかに応じて、全てのインク粒子が、電荷を受けないか、同一の電荷を受けるかする。
本発明に係る方法では、先ず、所定の粘性度及び伝導率を有する未処理のインクを準備する。このインクから、インクジェットを生成し、超音波振動子及びノズルによって、それぞれ均一な大きさのインク粒子に分割する。電荷装置を介して、インクジェットに電荷を与え、その結果、インクジェットから分離した各粒子は電荷を有する。偏向機器は、帯電された粒子を元の飛行経路から偏向して、インク粒子を均質化粒子キャッチャーへ案内する。均質化粒子キャッチャーの位置に対応して偏向された粒子だけが、均質化粒子キャッチャーで受け取られ、中間容器へ運ばれる。インクが不均質又は不純であることによって、所定値と異なって偏向した粒子は、均質化粒子キャッチャーに衝突せず、さらに、中間容器に運ばれないので、その結果、インクの均質化成分と不均質化成分とを効果的に分離できる。最適に形成され、不均質又は不純でない粒子だけが、中間容器に収集される。粒子に分解されたインクは、高い直線性及び繰り返し精度を有しているので、非常に鮮明な活字書体を得ることができる。
均質化粒子キャッチャーで受け取られなかったインク粒子は、偏向プレートに衝突して、垂れて、分離収集容器に収集される。好ましくは、偏向プレートは、粒子の飛行方向において、均質化粒子キャッチャーと反対に配置される。収集容器に収集されたインクは、リサイクルされて、再度、均質化装置に送ることができる。
実際には、連続するインク粒子は、静電界によって、及び、特にスリップストリーム効果によって、互いの飛行経路に影響を与えるという問題がある。たとえ粒子が同一の電荷/質量比を有していても、後ろのインク粒子は、前のインク粒子のスリップストリームによって、より強く偏向される。後ろの粒子は、スリップストリームによってより高速になり、先の粒子を追い越すことができる。特に均質化処理の初期において、これらは乱す作用(disruptive effect)がある。その後、バランスがとられて、同一の電荷/質量比を有する全てのインク粒子が、同一の経路に偏向される。CIJ印刷処理のように、温度変化、圧力変化、及び、同様の運転パラメーターを補完し、かつ、位相調整を行うために、本発明に係る均質化処理は、数秒の短い間隔で調整される。各調整の後に、均質化処理が再スタートし、そして、再度、バランスがとられるまで、待機する必要がある。頻繁な中断が原因であり、特に、均質化処理を再スタートするときに生じるスリップストリーム効果が乱れ作用を奏する。
インク粒子の相互作用を補償するために様々な方法がある。最も簡単な解決方法は、インク粒子の安定した飛行経路、即ち、電荷による初期の乱れ、及び、スリップストリーム効果が減少するときに、インク粒子が衝突する場所に、均質化粒子キャッチャーを配置することである。この解決方法の欠点は、始めの約5〜8粒子が、整合性に関係なく、均質化粒子キャッチャーに衝突せず、さらに、始めに必要以上のインクが処分されるというように、生産性が減少することである。この場合、始めに処分されたインク粒子を収集して、再度、均質化装置に供給することが好ましい。
さらに、各インク粒子の電荷は、実験的に決定され、そして、飛行するインク粒子の数に応じて制御される。インク粒子の飛行経路が安定するまで、インク粒子の電荷は連続的に減少する。この方法では、インク粒子は喪失しないが、追加的な非線形制御が必要となり、それによって、装置の運転及びメンテナンスがさらに高価になる。
さらに別のものでは、非常に高く帯電されたインク粒子と、帯電されないか、わずかに帯電されたインク粒子と、を交互に生成する。非常に高く帯電されたインク粒子間の距離は、互いに干渉しないほど、非常に大きい。非常に高く帯電されたインク粒子間の距離を大きくするために、3番目、4番目などのインク粒子ごとに非常に高く帯電することもできる。この方法では、生産性は、同様に非常に減少するが、非常に高く、かつ、最も安定した分離効果を得ることができる。そして、わずかに帯電された粒子を位相調整に使用することができる。
さらに、インク粒子を異なる分極の電荷で負荷することもできる。インク粒子は、(図の配置における)上方及び下方に偏向されるので、その結果、連続するインク粒子の飛行経路の相互作用は生じない。しかし、反対に分極されたインク粒子を受け取るための別の均質化粒子キャッチャーを設けなければならない。
インク粒子の飛行経路の相互作用を避けるための各方法を、最適化のために、それぞれ組み合わせることができる。
帯電されたインク粒子は、電荷/質量比に従って偏向される。電荷/質量比は、均質化粒子キャッチャーの位置、インク圧、帯電電圧、偏向電圧、さらに、電荷トンネルから均質粒子キャッチャーまでの距離によって、設定できる。均質化装置の分離効果は、電荷トンネルと均質化粒子キャッチャーとの間の距離、さらに、偏向場の強さによって、決定できる。
インク粒子に加わる電荷は、排出ノズルと離脱点(break-off point)との間におけるインクの伝導率によって決まる。この領域におけるインクの伝導率が変化すると、インク粒子は異なって帯電される。離脱点の位置は、インクの速度又は圧力、かつ、ノズルの駆動電圧によって決まる。インクの不均質化によって生じる粘性度及び表面張力が局所的に変化すると、離脱点の長さが変化し、そして、関係するインク粒子の電荷が変化する。
偏向場を、一以上の高圧電極によって生じる静電界とすることができる。しかし、インク粒子の偏向を、磁界によっても実現できる。
インクの長期的な安定性によって、インク製造の段階で、又は、印刷の直前で、均質化処理を行うことができる。インクが長期的な安定性を有していると、インク製造の間に均質化を行い、最終インク製品を使用者に提供できるという利点がある。
さらに、使用者のインク装置における均質化装置によってインクを製造でき、そして、インクを均質化粒子キャッチャーから中間容器へ運び、そこから、プリントヘッドで印刷用のインクを汲み上げる。この構成におけるインクは、「要求に応じて」("on demand")、即ち、プリントヘッドがインクを必要とするときだけ、製造されるので、所定のリードタイム(lead time)を必要とし、その間に均質化装置が必要なインクを製造する。
プリントヘッドを印刷装置及び均質化装置の双方として使用することもできる。そのために、プリントヘッドは、従来の粒子キャッチャーに加えて、均質化処理を行うための均質化粒子キャッチャーを必要とする。休止期間中、プリントヘッドは、第1の容器から未処理のインクを汲み上げ、このインクの均質化を行い、そして、ろ過されたインクを中間容器に導く。印刷のために、プリントヘッドは、ろ過又は均質化されたインクを中間容器から汲み上げる。この組み合わせた実施形態の利点は、同一のプリントヘッドを、印刷とインクの均質化との双方に使用できることである。既に均質化処理されたインクを、プリントヘッドによって、所定の電荷/質量比のインク粒子に形成することができ、次の印刷処理で、再度、均一のインク粒子に分解することもできる。この実施形態では、負に帯電された粒子が、印刷に使用され、かつ、必要に応じて、従来の粒子キャッチャーに衝突する一方、正に帯電された粒子が、均質化に使用され、かつ、均質化粒子キャッチャー又は偏向プレートに衝突するように、粒子を交互に反対に帯電させることができる。
一般的に、均質化装置のノズル部は、インクジェット装置の書き込みヘッドのものと同一の構成である。均質化装置のノズルの直径は、書き込みヘッドで使用されるノズルの直径と同一か小さく、そして、均質化装置の動作周波数は、書き込みヘッドの動作周波数と同一か大きくなっている。この方法において、均質化されたインクが、確実に、インクジェット装置の書き込みヘッド内で均質化インク粒子を形成し、その結果、より鮮明な活字書体となる。
本発明では、使用するインクの均質化を向上することによって、高品質の活字書体を得ることができるという利点がある。さらに、インクを広い調整範囲で容易に使用できる。
さらに、染料インクよりも低く均質化された顔料インクを有するのものであっても、CIJ印刷に最も適した安定インク組成を得ることができる。どの顔料でも顔料インク用に使用できる。好ましくは、TiO顔料が用いられる。一般的に、CIJ装置用の顔料の直径は、0.5〜2μmである。通常、インク粒子の大きさは、50〜120μmである。従って、一般的なろ過がされていない顔料インクは、ガウス分布液に対応する。即ち、インクに溶解した顔料の粒度分布は、ほぼガウス分布に対応する。顔料の大きさが、各インク粒子の化学的及び物理的特性に影響を及ぼすので、本発明に係る均質化装置によって、ガウス分布の顔料から選ぶことができ、そのバンド幅と共に、その電荷/重量比が正確に予め決定される。
インクに漂う粒子は、塊になりがちである。このような塊は、粒子の形成を妨げ、活字書体を劣化する。インクは、印刷処理の前に本発明に係る均一化処理を通過するので、確実に、印刷用のインクを均一な大きさの粒子に形成し、さらに、均質化処理と印刷処理との間が短い時間なので、インク中に乱れた塊が全く生じない。
好ましくは、均質化装置は、均質化粒子キャッチャーの位置及び電荷トンネルの制御に関係なく、使用されるインクのプリントヘッドと構成的に実質同一である。この方法によって、印刷処理の間に、周囲条件の下で最適な粒子を確実に形成できる。
従来のCIJ機器を示す概念図。 CIJ機器用インクを均質にするための本発明に係る装置を示す図。 CIJ機器用インクを印刷及び均質にするために適した組合せ装置を示す図。
図面に基づいて、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
図1に従来のCIJプリントヘッド10の構成を示す。インクジェット12は、高圧ライン13を介してプリントヘッド10に導かれて、超音波振動子及びノズルを備えたノズル部14によって、個々に均等な大きさの粒子16に分割される。電荷トンネル18は、インクジェット12を帯電する。帯電されたインクジェット12から分離したインク粒子16は、帯電部と共に飛ばされる。その後、帯電されたインク粒子16は、偏向機器20によって導かれ、そして、インク粒子16は、電荷/質量比に応じて、元の飛行経路から偏向される。互いに適合させたインク粒子16を垂直方向に偏向すると共に、プリントヘッド10又は印刷面21に対応した水平方向に移動することによって、面を印刷する。不必要な、又は、帯電されていないインク粒子16は、元の飛行経路に残り、粒子キャッチャー22で受け取られて、容器24に戻る。
図2に本発明に係る均質化装置30の実施形態を示す。均質化装置30の構成は、従来のCIJプリントヘッド10の大きさと同じである。インクジェット12は、均等な大きさのインク粒子16に分解され、そして、電荷トンネル18によって、個々のインク粒子16が均等な電荷量を有するようになっている。その後、帯電されたインク粒子16は、偏向電極20の静電界内で、元の飛行経路から偏向される。インク粒子16は、偏向電極20の静電界の強度、及び、インク粒子16の電荷/質量比に基づいて、偏向される。予め設定された電荷/質量比を有するインク粒子32が均質化粒子キャッチャー34に衝突して、中間容器36に運ばれるように、均質化装置30は調整される。図1の粒子キャッチャー22は、偏向されないインク粒子16の経路上に配置される一方、均質化粒子キャッチャー34は、均質粒子32だけが衝突するように、配置される。電荷/質量比の所定値は、各々のインクに応じて決まり、さらに、電荷トンネル18から均質化粒子キャッチャー34までの距離と共に、均質化粒子キャッチャー34の位置、電荷トンネル18の帯電電圧、偏向電極20の電圧に応じて、設定される。均質化処理の調整、又は、位相調整の後、静電相互作用及びスリップストリーム効果によって、連続するインク粒子の飛行経路に相互作用が生じる。しかし、この処理の過程で飛行経路が安定するので、その結果、同一の電荷/質量比のインク粒子が、同一の飛行経路を有する。図2の実施形態では、安定した飛行経路を有するインク粒子が収集されるように、均質化粒子キャッチャーが配置される。
インク粒子38の偏向は、均質化粒子キャッチャー34の位置に対応しておらず、一方、インク粒子38は、異なる飛行経路に偏向されるので、均質化粒子キャッチャー34に衝突しない。これら均質化インク粒子38は、効果的に均質化インク粒子32から分離する。均質化粒子キャッチャーに衝突しない全てのインク粒子や、均質化処理の初期で、非常に小さく偏向された均質化インク粒子は、偏向プレート39に衝突して、容器24に戻る。
中間容器36に収集されたインクは、所定の電荷/質量比を有するインク粒子32からなる。これらのインク粒子32からなるインクは、高い繰り返し精度を有する。即ち、後の印刷処理において、このインクを、再度、一定の電荷/質量比を有するインク粒子32に分解できるので、その結果、非常に鮮明な活字書体を得ることができる。
図3に本発明に係る均質化装置40の他の実施形態を示す。本実施形態では、インクの均質化、及び、面21の印刷の双方を、同じプリントヘッド10で実施できる。本実施形態は、図2の均質化装置30に加えて、印刷面21を有する基板を案内及び保持するための機器、及び、一般の粒子キャッチャー22(詳細は図示せず)を備える。三方向弁42を介して、プリントヘッド10で、容器24から未処理のインクを供給するか、又は、中間容器36から均質化インクを供給するかを選択できる。
一般の粒子キャッチャー22は、ノズル部14の高さに配置され、一方、印刷面21を有する基板を案内及び保持するための機器は、一般の粒子キャッチャー22の上方に配置され、均質化粒子キャッチャー34は、一般の粒子キャッチャー22の下方に配置されるが、逆でもよい。全体構成は、水平より傾斜させることもできる。重要なことは、印刷用のインク粒子16が、均質化インクを得るために用いられるインク粒子32,38の電荷と反対の電荷を受け取ることである。
印刷のために、均質化インクは、中間容器36からプリントヘッド10へ導かれる。上記の通り、印刷処理が行われる。インク粒子16は、偏向電極20を介して、面21の所定の書き込みマトリクスの位置へ、帯電されて導かれる。不必要なインク粒子16は、粒子キャッチャー22に収集され、そのインクを後の印刷処理で使用するために、中間容器36に戻される。休止期間中、又は、中間容器36のインクレベルが非常に低くなったときに、均質化インクを得るための本発明に係る方法をプリントヘッド10で実行することができる。この間、プリントヘッド10が容器24から未処理のインクを汲み上げるように、三方向弁42を制御する。図2で説明した通り、未処理のインクジェット12は均一に分解されて、均等に帯電されてインク粒子16になる。所定の電荷/質量比を有するこれらインク粒子32は、偏向電極20を介して均質化粒子キャッチャー34へ導かれ、そこから中間容器36へ運ばれる。一方、所定の電荷/質量比を有さない非均質化インク粒子38は処分される。均質化処理の間(例えば、装置の調整の間)に一般の粒子キャッチャー22で受け取られたインク粒子16は、中間容器36に入らずに、容器24に戻らなければならない。そのため、一般の粒子キャッチャー22からのインクをどの容器に導くかを選択できるように、別の三方向弁44が設けられる。
実施例
Videojet, Germany, EXCEL 2000 opaque typeのCIJ印刷システムを、下記の通り、改良した。
53-μmのノズルを備え、80kHz用のクオーツ、及び、Videojet, EXCEL 170i Ultra high speed typeのCIJプリンターのソフトからなるプリントヘッドに交換した。
未処理のインクだけが送られるように、粒子キャッチャーの管路は、真空フラスコに導かれる。
2つの制御盤及び4つのポテンショメーターを組み合わせることで、書き込みのために必要な量より多くの粒子を帯電できると共に、電圧及び閾値を通常の範囲よりも大きくできるように、Excelの電子部品を改変した。それによって、同一電荷及び最高偏向が全ての帯電粒子に及ぼされる。全ての粒子が同一電荷を有するので、活字は作成されないが、全ての粒子が最大の範囲で偏向される。これによって、粒子収集の効率が非常に向上する。
垂直及び水平方向に調整可能な均質化粒子キャッチャーは、プリンターの改良品に平行なベース板に組み込まれている。均質化粒子キャッチャーは、小さな金属管であって、その端部は、水平に折れ曲がり、直径1mmの開口を有する。均質化インク粒子に対するトラップ(trap)は、陰圧のフラスコに開口している。
この構成は変更可能であり、プリントヘッドを位置決めすることによって、プリントヘッド、又は、インク粒子の飛行経路に対する距離を連続的に調整できる。
電気機器の改良と、大量な粒子の電荷かつ発生粒子のより大きな偏向との組み合わせによって、この構成は、均質化インク粒子の可能性を広げて、そして、飛行経路を長くして、かつ、帯電電圧を変化することによって、広範囲で、粒子の特性、大きさ又は質量を制御できる。
ほとんどのテストでは、プリントヘッドから均質化粒子キャッチャーまでの距離は、50mmであった。また、いくつかのテストでは、70mmの距離であった。
飛行経路が長くなり、かつ、偏向が大きくなるほど、均質化粒子の粒径画分が狭くなる。
インク粒子を生成かつ帯電した。CIJ印刷の帯電電圧は、70〜275ボルトであった。これは、16×24インク粒子(h×w)の全マトリクスの通常電圧であった。位相調整粒子(phasing droplets)は、10ボルトを有する。均質化インクを得るために、改良した電気機器によって、全インク粒子に対する帯電電圧を210ボルトまで上昇した。この帯電電圧では、インク粒子の顕著な相互作用はなかった。電荷を受け取っていない全てのインク粒子は、一般の粒子キャッチャーを通じて戻される。10ボルトで帯電された位相調整粒子を通すため、かつ、これらをより高い位置に運ばれないために、閾値は、50ボルトとなっている。
帯電された粒子は、高電圧制御盤で偏向され、これらが適格化、即ち、均質化されていれば、インク粒子は、均質化粒子キャッチャーを通じて収集される。
質量や帯電が小さすぎ又は大きすぎて、仕様通りに偏向されないインク粒子は、偏向プレート、又は、その周辺で収集され、これらインク粒子は、収集かつ処分される。
この設計では、3.5時間の間、約250mlの均質化インクが運ばれ、様々な印刷システムで非常に優れた成果があった。このようにして得られたインクをCIJ印刷に使用した。このため、均質化インクを得るときに生じる蒸発減を補償するために、先ず、印刷インクの粘性度を設定する。均質化されていない未処理のインクにおける印刷テストでは、5〜10%の不適当な帯電が発生する一方、均質化されたインクを使用すると、不適当な帯電は、1%未満になった。
10 プリントヘッド
12 インクジェット
13 高圧ライン
14 ノズル部
16 インク粒子
18 電荷トンネル
20 偏向電極
21 印刷面
22 印刷用の粒子キャッチャー
24 容器
30 均質化装置
32 均質化インク粒子
34 均質化粒子キャッチャー
36 中間容器
38 非均質化インク粒子
39 偏向プレート
40 組み合わされた均質化/印刷装置
42 三方向弁
44 別の三方向弁

Claims (9)

  1. インクジェット(12)をそれぞれ均一な大きさのインク粒子(16)に分割し、
    記インク粒子(16)が所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有するために前記インク粒子(16)に電荷を供給し、
    前記インク粒子(16)を偏向機器(20)で導く、インクジェット装置用の均質化インクを得るための方法であって、
    所定量で偏向された前記インク粒子(16)の一部(32)を均質化粒子キャッチャー(34)で収集し、収集された一部(32)の前記インク粒子(16)が、所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有し、収集されない前記インク粒子(16)が、前記所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有しておらず、
    前記方法は、さらに、
    前記均質化粒子キャッチャー(34)で収集された一部(32)の前記インク粒子(16)を印刷で使用する
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記インク粒子(16)の飛行距離は、50mmよりも長く、好ましくは、70mmよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記均質化粒子キャッチャー(34)で収集された前記インク粒子(32)は、中間容器(36)に貯留されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. インクジェット(12)を生成するための機器と、
    超音波振動子及びノズルを備え、前記インクジェット(12)をそれぞれ均一な大きさのインク粒子(16)に分割するためのノズル部(14)と、
    記インク粒子(16)が所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有するために前記インク粒子(16)に電荷を供給する電荷トンネル(18)と、
    それぞれ帯電された前記インク粒子(16)を偏向するための偏向機器(20)と、
    均質化粒子キャッチャー(34)と、を備えた、インクジェット装置用の均質化インクを得るための装置であって、
    前記均質化粒子キャッチャー(34)は、所定量に偏向された前記インク粒子(16)の一部(32)を収集する位置に配置されおり、収集された一部(32)の前記インク粒子(16)が、所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有し、収集されない前記インク粒子(16)が、前記所定の偏向量に対応して設定された電荷/質量比を有していない
    ことを特徴とする装置。
  5. 前記偏向機器(20)は、前記インク粒子(16)を偏向するために、静電界又は静磁界を生成することを特徴とする請求項に記載の装置。
  6. 前記均質化粒子キャッチャーで収集されたインク粒子(34)を貯留するための中間容器(36)を備えることを特徴とする請求項又はに記載の装置。
  7. 均質化インクを取得するため、及び、前記均質化インクを使って面(21)を印刷するための双方に使用でき、
    印刷面(21)を有する基板を保持及び案内するための機器と、印刷に必要のない偏向されない前記インク粒子(16)を収集するように配置された粒子キャッチャー(22)と、を備えることを特徴とする請求項のいずれかに記載の装置。
  8. 前記印刷面(21)を有する前記基板を保持及び案内するための前記機器と、前記均質化粒子キャッチャー(34)とは、偏向されない前記インク粒子(16)用の前記粒子キャッチャー(22)に対向して配置されることを特徴とする請求項に記載の装置。
  9. 前記印刷面(21)を有する前記基板を保持及び案内するための前記機器は、偏向されない前記インク粒子(16)用の前記粒子キャッチャー(22)の上方に配置され、さらに、前記均質化粒子キャッチャー(34)は、偏向されない前記インク粒子(16)用の前記粒子キャッチャー(22)の下方に配置されることを特徴とする請求項に記載の装置。
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