実施の形態1
以下では、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、実施の形態1にかかる物品管理システムは、リーダアンテナが形成される複数のアンテナ基板を用いて管理対象物品の管理を行う。以下では、実施の形態1にかかる物品管理システムの理解を容易にするために、1本のリーダアンテナによる物品管理システムを説明し、その後、複数のアンテナ基板を用いた物品管理システムについて説明する。そこで、図1に実施の形態1にかかる物品管理システムの一部を示す概略図を示す。以下の説明では、実施の形態1にかかる物品管理システムの一部を物品管理システム1と称す。図1に示すように、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、リーダアンテナ102、RFIDリーダ103、RFタグ104、管理対象物品105を有する。ここで、リーダアンテナ102は、誘電体層101、ストリップ導体102a、グランド導体102g及び整合終端抵抗Rtにより構成されるものである。
誘電体層101は、例えば、誘電体により形成される板状部材である。以下の説明では、誘電体層101の管理対象物品が置かれる面を表面と称す。また、以下の説明では、ストリップ導体とグランド導体とを個別に説明する場合を除きリーダアンテナの符号として102を用いる。リーダアンテナ102は、整合終端された開放形伝送線路で構成され、RFタグ104と無線信号の送受信を行う。リーダアンテナ102は、開放形伝送線路であるマイクロストリップラインを用いたリーダ用進行波型近傍界アンテナである。また、このリーダアンテナ102は、コプレーナライン、グラウンデッドコプレーナライン、スロットライン、平衡二線式伝送線路など、伝送線路周囲に主として準静電磁界と誘導電磁界からなる電磁界分布を生じさせるものを開放形伝送線路として使用できる。なお、伝送線路周囲をシールドしている同軸ケーブルや導波管などは伝送線路周囲にこのような電磁界を生じない遮蔽型伝送線路のため、電磁界を漏洩させる特別な工夫なくしてリーダアンテナ102としては使用できない。
RFIDリーダ103は、リーダアンテナ102に送信信号を送出すると共にリーダアンテナ102を介してRFタグ104のタグアンテナで生成した応答信号を受信する。より具体的には、RFIDリーダ103には、リーダアンテナ102の一端が接続される。そして、RFIDリーダ103は、生成した送信信号をリーダアンテナ102に送り、リーダアンテナ102と電磁界結合されたRFタグ104のタグアンテナに当該送信信号を伝達する。一方、RFIDリーダ103は、リーダアンテナ102に無線通信により伝達されるRFタグ104で生成した応答信号を受信する。なお、リーダアンテナ102のストリップ導体の他端には整合終端抵抗Rtが接続される。
RFタグ104は、管理対象物品が近傍に置かれた状態でリーダアンテナ102から見通せる位置であって、リーダアンテナ102と電磁界結合する位置に設置される。本実施の形態では、RFタグ104として受動型のタグを用いた例について説明するが、RFタグ104としては、能動型のタグを利用することもできる。受動型タグは、リーダアンテナ102からID(以下、タグ情報と称す)を問い合せる信号を受信すると、タグアンテナを介して得た信号の一部によりチップ内の電源回路(不図示)を用いて自チップが動作するための電力を生成する。また、受動型タグは、受信した信号の一部をデコードして受信データを生成する。そして、受動型タグは、チップ内の記憶回路に格納されたタグ情報を参照し、変調回路(不図示)を動作させて変調信号を生成し、タグアンテナを介して当該変調信号をアンテナ102aに送信する。
管理対象物品105は、RFタグ104のタグアンテナと電磁界結合する位置に配置される。この管理対象物品105が置かれる位置を以下では管理対象物品配置領域110と称す。この管理対象物品105は、水分のような誘電率の高い材料、あるいは金属を含んでいるものが望ましいがそれに限らない。より具体的には、ペットボトル飲料、缶飲料、アルミ包装入りスナック菓子の他に、書籍などの厚い紙の束、おにぎり、パン、プラスチックパック入り惣菜、手や足の人体、さらに靴などを管理対象物品とすることができる。このような水分の多い物品等、多様な物品への対応は、UHF帯やマイクロ波帯のRFIDシステムを使用していることに起因する。13.56MHzやそれ以下の周波数帯で使用されるRFIDシステムではまず、表皮厚さが厚くなるため水分への反応が極めて弱くなる。また、これらの周波数帯ではリーダとタグの間の結合に電磁誘導が使用されている。電磁誘導は磁界による結合であるため、比透磁率の違いには敏感なものの、一方で比誘電率の違いには敏感ではない。従って、水の比誘電率が80と極めて高くても、電磁誘導の場合にはタグアンテナの動作は水分に敏感に反応しない。また、一般的に物質の多くは磁性材料でもない限り比透磁率は1近辺の値を取る。一方、比誘電率は1とは大きく異なる場合が多い。さらに電磁誘導だけに依存するRFIDシステムと異なり、本発明では、準静電磁界、誘導電磁界、放射電磁界の電磁界成分を使用するため、タグとリーダアンテナとの相対的な配置自由度が高くなる。例えば、電磁誘導を用いたRFIDシステムのように、リーダアンテナの発生した磁束がタグのコイル状アンテナを貫くようにアライメントする必要がないか、あるいはアライメントの条件が緩くなる。また、使用周波数帯が高いことに伴い、データレートも電磁誘導を使用するRFIDシステムの場合より高くなる。従って、UHF帯やマイクロ波帯のRFIDシステムを使用することが望ましい。なお、RFタグ104は、プラスティック板等でカバーされていてもよい。これにより、タグの耐久性を挙げることができる。このRFタグの表面に結露などの微量の水分が付く場合もあるが、このような場合はタグアンテナと管理対象物品との間の結合係数等を調整することにより、微量の水分の影響を排除することも可能である。
ここで、実施の形態1にかかる物品管理システム1の動作について説明する。物品管理システム1では、RFタグ104で生成した応答信号に基づき管理対象物品の有無を検出するものである。この検出動作をするに当たり、物品管理システム1は、まず、RFIDリーダ103からリーダアンテナ102を介してタグ情報読み出しコマンドを送信信号として送出する。
続いて、RFタグ104は、送信信号を受信する。そして、RFタグ104は、受信した信号の一部を用いて電力を生成し、動作を開始する。その後、RFタグ104は、受信した信号をデコードして受信した信号に含まれる受信データを再生する。RFタグ104は、この受信データと内蔵する記憶回路中に含まれるタグ情報とを参照し、タグ情報と受信データとから判断して応答すべき場合には、タグ信号を元に生成した変調信号を応答信号としてリーダアンテナ102に送出する。
このとき、RFIDリーダ103は、送出したタグ情報読み出しコマンドに対応したRFタグ104からの応答信号の強度或いは位相変化により管理対象物品の有無を判断する。より具体的な一例としては、RFIDリーダ103は、RFタグ104からの応答信号の信号強度が強ければ管理対象物品がないと判断し、RFタグ104からの応答信号の信号強度が弱ければ管理対象物品があると判断する。例えば、図1に示す例では、図面の最も右側に配置されたRFタグ104の上には管理対象物品がないため、このRFタグ104は、管理対象物品がある場合と比較して強い信号強度で応答信号を送出することが可能であり、RFIDリーダ103は、この信号強度の強さによりこのRFタグ104の位置には管理対象物品105はないと判断する。一方、図1の他の3つのRFタグ104の上には、管理対象物品105が置かれているため、他の3つのRFタグ104が送出する応答信号の信号強度は、管理対象物品がない場合と比較して弱くなる。そのため、RFIDリーダ103は、他の3つのRFタグ104の位置には管理対象物品105があると判断する。なお、応答信号の信号強度が弱い場合の一例には、RFIDリーダ103の受信感度を下回り応答信号が検出できない場合も含まれる。また、RFIDリーダ103は、コンピュータが接続されるもの、又は、コンピュータの一部として機能するものであり、管理対象物品105の有無の判断については当該コンピュータにより行われるものとする。
ここで、上記のように応答信号の信号強度が変化するのは、管理対象物品105とRFタグ104のタグアンテナとが電磁界結合するためである。そこで、以下では、管理対象物品105、RFタグ104及びリーダアンテナ102の位置関係についてさらに詳細に説明を行う。
まず、図2に実施の形態1にかかる物品管理システム1の上面図を示す。図2では、上面図として管理対象物品105が1つ置かれる領域を拡大した図を示した。図2に示すように、物品管理システム1では、誘電体層101上にリーダアンテナ102のストリップ導体102aが形成される。そして、ストリップ導体102aの上方にRFタグ104が設置される。さらに、RFタグ104の上方であって、RFタグ104が覆われる位置に管理対象物品が置かれる管理対象物品配置領域110が設定される。ここで、RFタグ104が覆われる位置と記載したが、RFタグ104と管理対象物品が十分強く電磁界結合する程度に近接すればよいため、RFタグ104と管理対象物品配置領域110の配置はこれに限られるものではない。また、RFタグ104は、RFIDチップ111及びタグアンテナ112を有する。
続いて、図3に実施の形態1にかかる物品管理システム1の正面側の断面図を示す。図3では、図2と同様に管理対象物品105が1つ置かれる領域を拡大した図を示した。図3に示すように、物品管理システム1では、誘電体層101の表面側にストリップ導体102aが設けられ、誘電体層101の裏面にグランド導体102gが設けられ、リーダアンテナ102を形成する開放型電送線路の一種であるマイクロストリップラインを構成する。そして、ストリップ導体102aの一端とグランド導体102gは整合終端抵抗Rtを介して接続される。また、ストリップ導体102aの他端にRFIDリーダ103が接続される。このような接続とすることでストリップ導体102aは整合終端される。なお、ストリップ導体102aの上方やグランド導体102gの下方に、主に耐久性を向上させるためのカバーを配置しても良い。
また、図3に示すように、管理対象物品105は、RFタグ104のタグアンテナ112との間の距離が第1の距離L1となる位置に配置される。RFタグ104のタグアンテナ112は、リーダアンテナ102との間の距離が第2の距離L2となる位置に配置される。そして、第1の距離L1と第2の距離L2は、L1<L2となる関係に設定されることが望ましい。これにより、後述する結合係数k1とk2との関係をk1<k2とすることが容易になる。なお、図3では、管理対象物品105、タグアンテナ112、リーダアンテナ102の距離の関係のみを示したが、上記距離の関係を満たすために、例えば、RFタグ104をプラスティック板等でカバーする場合に、プラスティック板の厚みを用いることが可能である。つまり、RFタグ104をプラスティック板に内蔵し、当該プラスティック板によりRFタグが組み込まれたシートを形成することで上記第1の距離L1と第2の距離L2の関係を確保することができる。なお、プラスティック板によりシートを形成する手法は、第1の距離L1と第2の距離L2との関係を確保するための一形態であり、他の手法を用いることも可能である。また、ここでいう距離とは、より正確には波長短縮率を考慮した電気長とすることが望ましい。さらに、ここでいう距離とは、見通し距離とすることが望ましい。
続いて、図4に実施の形態1にかかる物品管理システム1の側面側の断面図を示す。図4では、図2と同様に管理対象物品105が1つ置かれる領域を拡大した図を示した。図4に示すように、実施の形態1では、ストリップ導体102aは、RFタグ104の下部の一部に設置される。また、物品管理システム1では、側面視においても、第1の距離L1と第2の距離L2との関係はL1<L2の条件を満たすようにRFタグ104及び管理対象物品105が設置される。
ここで、上記図2〜図4を参照して、物品管理システム1の各構成要素の関係による効果についてさらに詳細に説明する。
まず、図2に示すように、物品管理システム1では、管理対象物品105が、RFタグ104のタグアンテナ112の上方であって、距離が第1の距離L1となる位置に配置される。さらに、RFIDリーダ103に接続されるリーダアンテナ102が、RFタグ104の下部であって、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の見通し距離が第2の距離L2だけ離して配置されている。このように、物品管理システム1では、管理対象物品105がリーダアンテナ102とRFタグ104との間に挟まれる領域以外に配置される。そのため、リーダアンテナ102とRFタグ104との間の見通しが管理対象物品105により遮られることがない。また、物品管理システム1では、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との距離を第2の距離L2とする。
上述したように、物品管理システム1では、管理対象物品105とタグアンテナ112との間の第1の距離L1及びタグアンテナ112とリーダアンテナ102の間の見通し距離である第2の距離L2を調節する。また、物品管理システム1では、第1の距離L1及び第2の距離L2を調節することにより、管理対象物品105とタグアンテナ112との結合係数k2及びタグアンテナ112とリーダアンテナ102との結合係数k1を調節する。そして、物品管理システム1では、管理対象物品105の有無によって変化する結合係数k2に応じてタグアンテナ112とリーダアンテナ102との間の信号強度を変化させ、当該信号強度の変化により管理対象物品105の有無を判断する。
そこで、第1の距離L1、第2の距離L2、結合係数k1、k2の関係及び当該設定に基づく実施の形態1にかかる物品管理システム1の効果について以下で説明する。まず、本発明では電磁界結合を用いるがこの電磁界結合の強度を示す結合係数については、電磁界シミュレータにより比較的容易に評価可能である。また、電磁界結合の説明では、タグアンテナ112とリーダアンテナ102との間の無線信号の波長をλとすると、波源(例えば、アンテナ)からの距離がλ/2π(πは円周率)より近い領域をリアクティブ近傍界(reactive near-field)、距離がλ/2πより遠く、且つ、λより近い領域を放射近傍界(radiative near-field)、さらにこれら二つの領域を合わせて近傍界(near-field region)と称す。
この近傍界では、電磁界は複雑な様相を示し、準静電磁界、誘導電磁界、放射電磁界が各々無視しえない強度比で存在し、それらの合成された電磁界のベクトルも空間的、時間的に様々に変化する。一例として波源を微小ダイポールアンテナとした場合に、このアンテナが形成する電界E[V/m]と磁界H[A/m]を球座標系(r、θ、φ)及びフェーザー表示で示すと、式(1)〜式(4)で示すことができる。
ここで、上記式(1)〜式(4)では、微小ダイポールアンテナに蓄えられる電荷をq[C]、アンテナの長さをl[m]、波長をλ[m]、波源から観測点までの距離をr[m]とした。また、πは円周率、εは誘電率、μは透磁率である。この式(1)〜式(4)の中で、1/r3に比例する項が準静電磁界、1/r2に比例する項が誘導電磁界、1/rに比例する項が放射電磁界を示している。これらの電磁界成分は、各々距離rに対する依存性が異なるため、距離rに依存してその相対強度が変化する。
続いて、図5に電界Eθにおける準静電界、誘導電界、放射電界の相対強度について波長λで規格化した距離rに関する依存性を示す表を示す。なお、図5で示した表の2行目は、国内電波法で許可されているUHF(Ultra High Frequency)帯RFIDの周波数とほぼ同じ950MHzの自由空間波長で換算した距離を示した。
図5に示した表から分かる通り、距離rが大きくなると、各々の電界強度が小さくなり、さらに各々の成分比も変化する。例えば、r<λ/2πの領域では準静電界、誘導電界、放射電界の順に電界強度が強く、r>λ/2πの領域では準静電界、誘導電界、放射電界の順に電界強度が弱くなる。さらに、r>λの領域では準静電界と誘導電界の寄与は極めて小さくなり、r>2λの領域となる遠方界ではほぼ放射電界成分のみとなる。一方で、r<λの領域では準静電界と誘導電界の寄与が十分残っており、さらにr<λ/2πのリアクティブ近傍界では準静電界と誘導電界が大きな寄与を占める。また、式(1)〜式(4)に見られるように放射電界と比較して、準静電磁界と誘導電磁界はθ方向成分以外にr方向成分とφ方向成分を有しており、多様な方向の成分を有している。
一般的に、アンテナから空間中に放射されて伝搬する放射電磁界と比較して、このようにリアクティブ近傍界ではアンテナ近傍に留まる準静電磁界と誘導電磁界が支配的であり、さらに絶対的な電磁界強度も強い。放射近傍界では、一般的に、絶対的な電磁界強度は波源からの距離が長くなればなるほど弱くなる。また、準静電磁界と誘導電磁界の相対強度は弱まり、放射電磁界の相対強度が強くなる。以上の通り、近傍界では準静電磁界と誘導電磁界が存在し、これらの電磁界により、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の間の結合やタグアンテナ112と管理対象物品105の間の結合を生じる。
通常のUHF帯やマイクロ波帯を使用する受動型RFIDシステムでは、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の間の距離rはr>λの関係を満たしており、交信に放射電磁界を使用する。その放射電磁界を効率よく生成するため、リーダアンテナ102はパッチアンテナを代表とする共振型アンテナが用いられる。このような共振型アンテナをr<λの近傍界で使用すると、共振型アンテナ中の定在波により、電磁界強度がアンテナに沿った場所により大幅に変化する。例えば定在波の頂点付近では最も振幅が大きくなり、定在波の中点では振幅は0となる。従って、このような共振型アンテナを用いたリーダアンテナ102とタグアンテナ112の間の距離rがr<λの関係を満たす場合、リーダアンテナ中の定在波の中点に近い部分ではリーダアンテナからの信号をタグアンテナが受けることができなかったり、極めて受信信号強度が弱くなったりする。即ち、不感領域ができ、使用に支障を生じる。
このようなことから、背景技術の欄で説明した第1の方式を採用したシステムでは、物品が置かれる棚、物品105及びRFタグからRFIDリーダを十分に離して設置することで、棚より十分小さいリーダアンテナから電波が照射され、カバーエリアを広く取る形態とならざるを得ない。従って、第1の方式を採用したシステムでは、RFIDリーダとRFタグの間に広い空間を必要とする。また、棚の材質によっては、特に金属材質の棚などの場合、マルチパス現象を生じ、電波の干渉によってタグの読取が不安定になり、管理対象物品の有無に関わらずタグ情報が読めないことがある。また、リーダアンテナと物品を配置する場所の間に人やモノが入った場合、物品があるのと同様にタグが読めなくなり、物品が無いにもかかわらず、あると誤検知してしまうという問題を生じる。
一方、r<λの近傍界、さらに望ましくはr<λ/2πのリアクティブ近傍界に存在する準静電磁界と誘導電磁界を通してアンテナ間が電磁界結合して結合回路を形成することもできる。この場合、その条件通りRFIDリーダとRFタグの間に広い空間を必要としない。しかしながら、単純にリーダアンテナ102に共振型アンテナを用いると、不感領域ができ、使用に支障を生じる。また、定在波アンテナは一般的にその大きさがλ程度であり、タグと近接して用いると、カバーエリアが極端に狭くなってしまう。
そこで、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、RFIDリーダ103に接続されるリーダアンテナ102が、整合終端された開放形伝送線路で構成され、開放形伝送線路とRFタグ104のタグアンテナ112とが電磁界結合されるようにRFタグ104を配置する。そして、物品管理システム1では、RFIDリーダ103のリーダアンテナ102として電波の放射の少ない開放形伝送線路を用いることで、開放形伝送線路周囲に生じる準静電磁界と誘導電磁界を通して、リーダアンテナ102とタグアンテナ112とを電磁界結合させて結合回路を形成する。即ち、開放形伝送線路を近傍界で動作する進行波型アンテナとして用いている。この構成により、リーダアンテナ102とRFタグ104との間に広い空間を必要としなくなる。また、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の交信が結合回路を通じて近距離で行われるため、マルチパス現象の発生と、リーダアンテナ102と管理対象物品105を配置する場所との間に人やモノが入るといったことによる誤検知を抑制することができる。さらに、リーダアンテナ102として整合終端された開放形伝送線路を用いるため、アンテナ中を伝搬する電磁波の主たる成分は定在波を生じず、進行波として整合終端まで伝搬する。ここで、定在波を生じないとは、厳密には十分定在波が小さいことを意味しており、通常、定在波比が2以下、望ましくは1.2以下の値であることを意味する。
伝送線路の終端が十分な精度で整合している場合、或いは、伝送線路中を伝わる電磁波が終端付近で十分減衰している場合に、伝送線路内に大きな定在波が生じずに進行波が主成分となる。そして、このような伝送線路における電磁界分布を利用することにより進行波アンテナを形成することができる。さらに、この線路周辺の空間に形成される電磁界は放射電磁界が相対的に少なく、静電磁界と誘導電磁界が主たる成分となっている。これら、静電磁界と誘導電磁界の電磁界強度は、放射電磁界の強度より強く、リーダが同一の出力で動作していても、RFタグ104が得られる電磁界強度は強くなる。換言すれば、タグの動作を保証しながらも、周囲に放射電磁界をまきちらさない環境を形成できる。
通常用いられているパッチアンテナなどの定在波型のアンテナでは、アンテナ内部の定在波に応じてアンテナ近傍の電磁界分布が極めて不均一になっており、不感部分を避けるため、管理対象物品105を管理できる領域が限定される。これに対して本実施の形態に記載する開放形伝送線路からなる進行波型アンテナの場合、アンテナ近傍でも、電磁界分布に節のような変化しない部分が無く、至る所常に変化している。従って、近傍界においてもアンテナに沿った定在波に伴う電磁界が均一となるため、RFタグ104のタグ情報を読み取れないエリアができない。即ち、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の配置の自由度が向上する。
また、物品管理システム1では、この進行波を信号として、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の電磁界結合を通じて交信するため、共振型アンテナと異なり、不感領域ができず、使用に支障を生じることがない。従って、物品管理システム1は、開放形伝送線路周囲に生じる準静電磁界と誘導電磁界の強度がRFタグ104を動作させるに十分大きい範囲内で伝送線路を波長に無関係に延伸することにより、カバーエリアを広く取ることができる。即ち、実施の形態1にかかる物品管理システム1では上記の開放形伝送線路を使用することで、電力の放射損を抑制し、カバーエリアの拡大が容易になる。
なお、ここでいう開放形伝送線路は、基本的に放射を抑制して線路長手方向に電磁波を伝送することを目的とした伝送線路であって、開放形のものを指す。例としては、平衡二線型伝送線路やそれに類似の伝送線路、マイクロストリップライン、コプレーナライン、スロットラインなどの伝送線路とそれらの伝送線路の変形であるグラウンデッドコプレーナ線路やトリプレート線路等が挙げられる。また、メッシュ状の導体部とシート状の導体部とに挟まれる狭間領域とメッシュ状の導体部側外側の浸出領域とにおいて電磁場を変化させて信号を伝達する面状に広がるアンテナも条件によっては利用することが可能である。この面状に広がるアンテナは、定在波が混在し、不完全ながら進行波アンテナとしても動作するものであり、定在波により生じる電磁界分布の不均一を無視できれば使用可能である。一方で伝送線路周囲をシールドしている同軸ケーブルや導波管など伝送線路周囲にこのような電磁界を生じない遮蔽型伝送線路は、上述した電磁界を漏洩させる特別な工夫なくして使用できない。
また、対向する導電性シート体に挟まれる狭間領域に電磁場を存在させ、2つの導電性シート体の間の電圧を変化させて当該電磁場を変化させたり、当該電磁場の変化によって導電性シート体の間の電圧を変化させたりして、電磁場を所望の方向に進行させる電磁波伝達シートがある。さらに広い意味では、この電磁波伝達シートもシート長手方向に見れば、本発明の開放形伝送線路の一種とみなせる場合もある。但し、電磁波伝達シートは、シート内の定在波により、本発明の実施に必ずしも最適とは言えない。また、電磁波伝達シートの場合、導波管上面が波長より十分細かい金属メッシュとなり、エバネッセント波が上面より漏洩しているとみなすことができる。このような一般に波長の1/10未満の間隔、幅、長さで電磁界が漏洩するスロットが複数設けられているような伝送線路は実施の形態1にかかる物品管理システム1の開放形伝送線路の一種とみなすことができる。
一方で、開放形伝送線路から強く放射させることを意図してクランク形状を設計したり、あるいは高次モードを積極的に利用することにより一定の放射電磁界強度を得る、いわゆるクランクラインアンテナ、メアンダラインアンテナ、漏洩同軸ケーブル等を用いて遠方界での電磁放射を目的とした進行波アンテナと、実施の形態1にかかる物品管理システム1の開放形伝送線路は異なる。これらは波長程度のサイズ、一般的には波長の1/10以上のサイズで周期的に設けられるクランク形状やスロットから優先的に放射が起こるため、先に述べた共振型アンテナ同様、電磁界の強度が場所により大幅に変化する。従って、近傍界での使用ではタグ情報の読取が不安定になったり、場所によりタグが読めないことがあるため、使用に支障を生じる。さらに、UHF帯RFIDシステムにおいては、世界各国で割り当て周波数が異なっており、概ね860〜960MHzの帯域に分布している。これは比帯域にして約10%と広い幅があり、共振型アンテナの共振点の設計やクランク、メアンダ、スロットの周期に重大な変更を要求する。一方で実施の形態1にかかる物品管理システム1では、もともと極めて帯域の広い開放形伝送線路を使用するため、特段の変更無しに同一のアンテナをリーダアンテナ102として使用できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1によれば、管理対象物品105とRFタグ104のタグアンテナ112とが電磁界結合するように、RFタグ104と離間して管理対象物品105を置く管理対象物品配置領域110が設けられる。従って、管理対象物品105がある場合には管理対象物品105とタグアンテナ112が結合回路を形成するため、管理対象物品105が無い場合と比較してタグアンテナ112の共振周波数が変化したり、タグアンテナ112の給電点インピーダンスが変化する。タグアンテナ112は、一般的に、自由空間において交信に使用する信号の周波数で共振し、給電点インピーダンスも調整されていて、受信感度が最大となるように作成されているため、上記の変化は受信感度を下げ、さらにRFIDリーダ103に反射信号を送る際のタグアンテナ112の動作にも悪影響を与える。その結果、交信に使用する信号に対する受電感度が低下する。また、RFタグ104が反射する信号の送信出力も低下する。従って、RFタグ104はRFIDリーダ103からの信号を受電できない、または信号の受電強度が低く、タグの動作電力を確保できない、あるいはタグが十分な強度の反射電磁界を生成できなくなる。その結果、RFIDリーダ103はRFタグ104のタグ情報を読めなくなる。あるいはRFIDリーダ103に届く反射電磁界の強度や位相はタグの共振周波数変化などに伴い大きく変化する。即ち、管理対象物品105が管理対象物品配置領域110にある場合には、タグ情報が読めなくなる、あるいは管理対象物品105がない場合と比較してRFタグ104からの反射電磁界の強度や位相が大きく変化するため、RFIDリーダ103は管理対象物品105があることを検出できる。即ち、管理対象物品105の有無によるタグアンテナ112の動作特性の変化が生じた結果、RFIDリーダ103はRFタグ104からの反射信号の強度や位相変化を検出することができ、その検出結果から管理対象物品の有無を検出することができる。
このように、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、管理対象物品105の有無の検出にRFタグ104とRFIDリーダ103の見通しを管理対象物品105がさえぎることは必ずしも必要なく、管理対象物品105はタグアンテナ112と電磁界結合するように、タグアンテナ112(或いはRFタグ104)と離間して管理対象物品105を置く場所が設けられていればよいため、必ずしも管理する物品の配置はRFIDリーダ103とRFタグ104の間に限定されず、自由な配置が可能となる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、単に給電されているリーダアンテナ102の近傍に物品が配置されたことを、リーダアンテナ102の動作特性変化から見るのではなく、タグアンテナ112の動作特性の変化をリーダアンテナ102を介したRFIDリーダ103におけるタグ情報の読み出し信号変化に基づき判断する。このように、RFタグ104を介在させることによりリーダアンテナ102と管理対象物品105を配置する場所の相対位置の自由度を向上させることができる。また、1つのリーダアンテナ102や、RFIDリーダ103であっても、複数のRFタグ104を配置することにより、複数の管理対象物品105の有無を検出することができる。さらに、タグアンテナ112が管理対象物品105を配置する場所に形成する電磁界は、放射電磁界以外に準静電磁界や誘導電磁界の成分を含む。従って、電磁界成分は通常の遠方界の放射電磁界成分と比較して、様々な方向に広がっている。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、管理する物品とタグの相対位置の自由度を向上させることができる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、RFIDシステムをベースとしており、RFタグ104が固有のID(タグ情報)を持っており、そのタグ情報を元に多元接続が可能である。従って、RFタグ104のタグ情報と管理対象物品105を配置する場所とをひも付けておけば、読めないRFタグ104のタグ情報から、管理対象物品105の有る場所を特定できる。一方で、管理対象物品105がない場合、RFタグ104はRFIDリーダ103からの信号に応答し、RFIDリーダ103はRFタグ104のタグ情報を読み取ることができる。従って、管理対象物品105がない場合には、通常の反射電磁界の強度でRFタグ104のタグ情報が読めるため、管理対象物品105がないことを検出できる。さらに読めたRFタグ104のタグ情報から、管理対象物品105の無い場所を特定できる。また、複数の管理対象物品105を管理する場合にも、管理対象物品105を配置する場所にひも付けたタグ情報が各々異なることにより、場所を特定して物品管理を行うことができる。以上の通り管理対象物品105の有無を検出できるため、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、RFタグ104を管理する物品に貼付する必要なく、管理対象物品105の有無を管理できる。
なお、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、管理対象物品105はRFタグ104のタグアンテナ112と電磁界結合するように、RFタグ104と離間して管理対象物品105を置く場所が設けられていればよいため、RFタグ104は管理対象物品105に貼付されず、RFタグ104は繰り返し使用できるため、物品一品当たりのタグコストは、実質的にタグの使用回数で除した値となる。即ち、RFタグ104のコストが高いという問題は、十分な使用回数を重ねることで解消できることは言うまでもない。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、RFタグ104は管理対象物品105に貼付されないため、管理対象物品105に貼付されたRFタグ104を不正に読み取られることによるプライバシーの侵害や情報セキュリティ上の問題を生じない。即ち、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、第三者によるタグ情報の不正読み取りの問題を生じない。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、RFIDリーダ103とRFタグ104が交信に使用する信号の波長をλとした場合、管理対象物品105とタグアンテナ112との間の第1の距離L1がL1≦λの関係を満たすように管理対象物品105を置く管理対象物品配置領域110が設けられる。また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、RFIDリーダ103のリーダアンテナ102とRFタグ104のタグアンテナ112との間の見通し距離である第2の距離L2がL2≦λの関係を満たす。なお、実施の形態1にかかる物品管理システム1における距離とは、電波伝搬における距離であり、ほぼ幾何学的な最短距離に一致する。
管理対象物品105を配置する管理対象物品配置領域110とRFタグ104のタグアンテナ112との間の距離L1がL1≦λの関係を満たしていれば、RFタグ104から見て物品を配置する場所は近傍界の範囲内になる。従って、準静電界と誘導電界の寄与が十分あり、管理対象物品105が水分のような誘電率の高い材料、あるいは金属を具備する場合であって、管理対象物品配置領域110に管理対象物品105がある場合には、タグアンテナ112と管理対象物品105は準静電磁界や誘導電磁界を通して電磁界結合することができる。なお、管理対象物品105として、人体も多量の水分を含んでいるため、検出可能であり、人の動線管理などにも使用できる。
第1の距離L1をL1≦λとなる値に設定することで、タグアンテナ112の近傍界内では準静電磁界と誘導電磁界の成分が無視しえない強度で存在し、これら電磁界の成分はタグアンテナ112と管理対象物品105との間に相互インダクタンスやキャパシタンスなどを介した電磁界結合を生じる。従って、管理対象物品105の有無によりタグアンテナ112の回路定数が変化し、タグアンテナ112の動作特性が変化する。また、管理対象物品105の有無によるさらに分かりやすい変化として、タグアンテナ112の共振周波数が変化する。システムコスト抑制のために、通常市販されているRFタグをRFタグ104として使用すると、タグアンテナ112はダイポールアンテナを基本とする定在波アンテナである。このようなRFタグ104では、タグアンテナ112の共振周波数を無線通信の周波数に合わせて設定することで高感度化を実現する。このようにタグアンテナ112の共振周波数が設定した周波数で共振する状態が管理対象物品105がない状態に相当する。
次に、管理対象物品105がRFタグ104上に置かれた場合、タグアンテナ112は管理対象物品105と結合するために共振周波数は概ね低下する。従って、無線通信周波数におけるタグアンテナ112の感度は大幅に低下する。例えば、受信感度低下によりRFIDチップ111の動作電力を賄えない場合、RFタグ104はRFIDリーダ103の問い合わせに応答しない。あるいは、動作電力を賄えた場合にも、タグアンテナ112は、RFIDチップ111で生成した変調信号による、十分な強度の空間の電磁界変化を生じさせることができない。
その結果、管理対象物品105がある場合、RFIDリーダ103からの問い合わせに対してRFタグ104は応答しなくなる、或いは、管理対象物品105がない場合と比較してRFタグ104からの反射電磁界の強度が大きく変化する。この反射電磁界の強度変化をRFIDリーダ103で検出することで管理対象物品105がないことを判断できる。この判断の処理は、例えばコンピュータに行わせることができる。以上のように、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、RFタグ104を管理対象物品105に貼り付けることなく、管理対象物品105の有無を検出し、管理対象物品105の有無を管理することができる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、管理対象物品105の有無によるRFタグ104の応答の変化を生じるためには、RFタグ104と管理対象物品105との間の第1の距離L1がL1≦λの関係を満足すればよく、RFタグ104とリーダアンテナ102の見通しを管理対象物品105により遮る必要はない。即ち、管理対象物品105の配置はRFIDリーダ103のタグアンテナ112とRFタグ104の間に限定されず、配置の自由度が向上する。例えば商品陳列棚上の商品の有無を検知する場合、リーダアンテナ102とRFタグ104を棚板に組み込むことができ、アンテナが隠れることにより、美観上も極めて優れる。
なお、ここでは主としてタグアンテナ112の共振周波数が無線通信周波数とずれることによる、信号強度の変化を検出する方式について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。共振周波数がずれるならば、リーダが法律上許されている範囲内で無線通信周波数を掃引し、共振周波数のずれを検知することにより、物品の有無を検知してもよい。また、共振周波数前後では位相が大きく変化する。従って、位相変化を観察することによっても物品の有無を検知できることは言うまでもない。
また、上記第1の距離L1と同様に、タグアンテナ112とリーダアンテナ102との間の見通し距離L2がL2≦λの関係を満たしていれば、リーダアンテナ102とタグアンテナ112は近傍界の範囲内になる。ここで、見通し距離L2は、リーダアンテナ102中で特に強い波源となるストリップ導体102aとタグアンテナ112の間の距離を意味する。見通し距離L2をλ以下とすることで、準静電界と誘導電界の寄与が十分あり、リーダアンテナ102とタグアンテナ112とは電磁界結合することができる。特に実施の形態1にかかる物品管理システム1では、RFタグ104からの反射電磁界の強度という、アナログ量により物品の有無を判定するため、電波干渉による反射電磁界強度の変化は誤検出を招きやすい。しかし、この構成により、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の無線通信は直接波が中心となり、マルチパス現象に伴う電波干渉が起こりにくい。従って、誤検知が抑制できる。また、RFIDリーダ103とRFタグ104の各々のアンテナが形成する電磁界は、放射電磁界以外に準静電磁界や誘導電磁界の成分を含む。従って、電磁界成分は通常の遠方界の放射電磁界成分のみの場合と比較して、様々な方向に広がっている。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、リーダアンテナ102とRFタグ104の相対位置の自由度を向上させることができる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システムでは、RFタグ104からの反射電磁界の強度や位相変化、タグアンテナ112の共振周波数変化といった、アナログ量により物品の有無を判定するため、周囲環境に伴う電波干渉は誤検出を招く。しかしながら、実施の形態1にかかる物品管理システム1によれば、L2≦λの関係を満たすことにより、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の無線通信は直接波が中心となり、周囲環境を反映したマルチパス現象に伴う電波干渉が起こりにくい。従って、誤検知が抑制できる。特に棚上の商品の有無を管理する場合に棚が金属であったり、金属の冷蔵ケースであったりする場合も多くあるが、このような環境においても安定してこのシステムを動作できる。
さらに、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、L2≦λの関係を満たすことにより、リーダアンテナ102とRFタグ104との間の見通し距離L2は、RFID規格の周波数の一つであるUHF帯では約0.3m以下、2.4GHz帯では約0.12m以下となる。且つ、管理対象物品配置領域110とRFタグ104との間の距離L1もL1≦λの関係を満たすため、同じくRFID規格の周波数の一つであるUHF帯では約0.3m以下、2.4GHz帯では約0.12m以下となる。従って、リーダアンテナ102と管理対象物品配置領域110の間の間隔もこのオーダーとなり、狭くなる。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1を用いることで、管理対象物品105とRFタグ104或いはリーダアンテナ102との間隔を狭くすることにより、管理対象物品105と異なる物や人が入ったりすることを抑制でき、誤検知を抑制できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、円周率をπとした場合、第1の距離L1がL1≦λ/2πの関係を満たすことが望ましい。管理対象物品105がタグアンテナ112の周波数特性に影響を与える際、第1の距離L1がL1≦λ/2πの関係を満たすリアクティブ近傍界の範囲内に位置する場合には、L1>λ/2πの放射近傍界の場合と比較してタグアンテナ112が形成する電磁界の強度は強くなる。さらにアンテナ近傍に留まる準静電磁界と誘導電磁界の寄与が相対的に大きくなり、放射電磁界の寄与は小さくなる。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、管理対象物品105とタグアンテナ112の結合が強くなる。その結果、管理対象物品105の有無によるタグアンテナ112の動作特性への影響が大きくなる。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、RFタグ104からRFIDリーダ103へ送信される反射電磁界の変化も大きくなり、外乱やノイズに強い物品管理システムとなり、誤検知を抑制できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、見通し距離L2がL2≦λ/2πの関係を満たすことが望ましい。このように、見通し距離L2がL2≦λ/2πの関係を満たすことで、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、見通し距離L2がL2>λ/2πの場合と比較してアンテナ近傍に留まる準静電磁界と誘導電磁界の寄与が相対的に大きくなり、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との結合が強くなる。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、RFIDリーダ103とRFタグ104の間の交信も外乱やノイズを受けにくくなる。これにより、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、外乱やノイズを受けにくい物品管理システムを実現することができる。また、準静電磁界と誘導電磁界、放射電磁界の電磁界成分が十分な強度で混在し、かつベクトルの方向も時間的に様々に変化するため、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の相対的な向きの自由度を向上させることができる。
さらに実施の形態1にかかる物品管理システム1では、L2≦λ/2πの関係を満たすことにより、リーダアンテナ102とRFタグ104との間の見通し距離は、RFID規格の周波数の一つであるUHF帯では約0.05m以下、2.4GHz帯では約0.02m以下となる。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1によれば、リーダアンテナ102とRFタグ104の間に広い空間を必要としない物品管理システムが実現できる。例えば、商品棚にリーダアンテナ102、RFタグ104及び管理する物品を納めることが可能となる。また、間隔が狭まることにより、さらに人やモノが間に入ったりすることを抑制でき、見通しを遮ることによる誤検知を抑制できる。
一方、通常、よく知られる、商品棚上の商品にRFタグを貼付して管理する場合には、RFタグの貼付位置はタグを貼付する商品に応じて変化する。従って、上記のL2≦λ/2πの関係を満たすことは商品の種別を限定したり、RFタグの貼付位置を限定することになり、好ましくない。そのため、RFタグを管理対象物品に貼付して管理する場合には、少々距離が離れてもリーダアンテナとRFタグが交信できるように、遠方界まで交信できる放射電磁界を用いたアンテナを使用する必要がある。従って、基本的に放射を抑制して線路長手方向に電磁波を伝送することを目的とした開放形伝送線路の使用には適さず、通常用いられるような共振型アンテナや漏洩同軸ケーブルが使用される。しかしながら、このような高効率に放射電磁界を生じるリーダアンテナを使用すると、放射電磁界は距離に対して1/rでしか強度が減衰しないため、読取領域が広がってしまう。これにより、隣接する他の棚上の商品に貼付されているRFタグも読み取ってしまうなど、商品管理上の不具合を生じる。
しかし、実施の形態1にかかる物品管理システム1によれば、RFタグ104は商品に貼付しないため、例えば商品棚底面にリーダアンテナ102を敷設し、その上に結合係数を調整して、RFタグ104をL2≦λ/2πの関係を満たして配置し、さらにその上に管理対象の商品を配置することは容易である。従って、実施の形態1にかかる物品管理システム1では基本的に放射を抑制して線路長手方向に電磁波を伝送することを目的とした開放形伝送線路を使用できる。このように1/rでしか強度が減衰しない放射を抑制し、1/r3で減衰する準静電磁界や1/r2で減衰する誘導電磁界を主たる電磁界成分として用いるリーダアンテナ102を使用することにより、商品棚上の商品の有無を管理する場合に、一つのリーダアンテナ102でRFタグ104を読み商品管理を行う領域を限定することが容易になり、隣接する他の棚上のRFタグ104を読んでしまうと言った問題を生じにくい。なお、ここでは商品棚上の商品管理の例で説明したが、他の棚や床置きの物品を管理する場合であっても、同様に一つのリーダアンテナ102でRFタグ104を読む領域を限定し、物品管理する領域を限定することが容易であることは言うまでもない。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、第1の距離L1と第2の距離L2がL2>L1の関係を満たすことが望ましい。電磁界結合の強さはアンテナや共振器の構造、アンテナ間の媒質の特性によっても変化するが、距離にも大きく依存する。実施の形態1にかかる物品管理システム1によれば、L2>L1とすることで、管理対象物品105を配置する管理対象物品配置領域110とタグアンテナ112との間の結合係数k2を、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の結合係数k1よりも大きくすることができる。つまり、L2>L1の関係を確保することで、タグアンテナ112とリーダアンテナ102との間の交信の維持よりも、物品の有無によるタグアンテナ112の周波特性変化による反射波強度の変化が大きくなる。即ち、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、管理対象物品105の有無を確実に捉えることができるため、誤検知を抑制できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との結合係数k1が10−5以上の値に設定されることが望ましい。現行のUHF帯RFタグの動作限界を与える受電感度はほぼ−20dBmである。一方、高出力版UHFF帯RFIDリーダの出力は30dBmである。従って、結合係数k1が10−5以上の値であれば、UHF帯RFタグが動作する電力を給電できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の結合係数k1が10−2以下の値に設定されることが望ましい。タグアンテナ112をダイポール共振器とみた場合、リーダアンテナ102(例えば、開放形伝送線路)とタグアンテナ112とが電磁界結合することは、開放形伝送線路と共振器が結合していると回路的に解釈できる。従って、結合係数が強すぎる場合、開放形伝送線路の動作に大きく影響を与え、その結果結合共振器系として他のRFタグ104の動作にも影響を与えることになる。開放形伝送線路に複数の共振器が並列に結合する状況は、帯域阻止フィルタの回路として考えられる。その場合、UHF帯RFタグのタグアンテナは常温で銅やアルミを用いると、無負荷Q値が概ね100以下であるため、比帯域を決める結合係数k1が10−2以下の値であれば、ほとんど開放形伝送線路の動作に影響を与えなくなる。従って、結合係数k1を10−2以下の値とすることにより、タグアンテナ112の結合が開放形伝送線路に影響を与えることを抑制でき、さらに開放形伝送線路に並列に結合するRFIDリーダ103の間の相互に与える影響も抑制できる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム1は、リーダアンテナ102とタグアンテナ112の結合係数k1と、管理対象物品配置領域110に管理対象物品105がある場合における管理対象物品105とタグアンテナ112の結合係数k2とが、k1<k2の関係を満たすことが望ましい。本発明によれば、k1<k2、即ち、管理対象物品配置領域110とタグアンテナ112との間の結合係数k2を、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の結合係数k1よりも大きくすることにより、リーダアンテナ102とタグアンテナ112との間の交信の維持よりも、物品の有無によるタグアンテナ112の周波特性変化による反射信号強度の変化が大きくなる。即ち、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、管理対象物品105の有無を確実に捉えることができるため、誤検知を抑制できる。
なお、上記実施の形態1では、リーダアンテナ102、RFタグ104及び管理対象物品105の配置関係について具体的に説明したが、これら構成要素の相対位置や向きは図2に示した具体的な例に限定されるものでははい。
上記説明のように、実施の形態1にかかる物品管理システム1では、管理対象物品にRFタグを設けることなく、管理対象物品の有無を管理することができる。そして、上記説明した物品管理システム1を用いて、広い範囲に亘ってRFタグ104を敷設するためには、RFタグ104を格子状に配置できる大きさのアンテナ基板を用いる。そして、このアンテナ基板に、誘電体層101、リーダアンテナ102a及びグランド導体102gを設ける。ここで、アンテナ基板は、例えば、プリント基板等を用いることができるが、このプリント基板の大きさには製造上の制限があるため、より広い範囲をセンサエリアとするために、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板を複数用いる。以下では、上記構成を有する実施の形態1にかかる物品管理システム10について詳細に説明する。
まず、実施の形態1にかかる物品管理システム10の概略図を図6に示す。図6に示すように、実施の形態1にかかる物品管理システム10は、アンテナ基板11、12、導体シート13、RFIDリーダ103a、103bを有する。なお、図6では、RFタグ104の番号を括弧内に示した。
実施の形態1では、アンテナ基板11、12は、それぞれ、製造可能な最大幅WBの幅を有する。アンテナ基板11、12には、それぞれ、基板部材を誘電体層101とし、基板部材の表面側にリーダアンテナ102aが形成され、基板部材の裏面にグランド導体102gが形成されるものである。また、1つのアンテナ基板には、複数のリーダアンテナ102aが形成される。そして、リーダアンテナ102aは、リーダアンテナ102a毎に分配器により分配された信号がそれぞれ与えられる。そして、リーダアンテナ102aに沿ってRFタグ104が格子状に配置される。
実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板11とアンテナ基板12を並べて配置する。図6に示す例では、図面縦方向に2つのアンテナ基板11が並べられる。
そして、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板毎に1つのRFIDリーダが接続される。より具体的には、アンテナ基板11では、リーダアンテナ102aの一端にはRFIDリーダ103aから出力された信号が分配器14aを介して与えられ、リーダアンテナ102aの他端には終端抵抗Rtが接続される。また、アンテナ基板12では、リーダアンテナ102aの一端にはRFIDリーダ103bから出力された信号が分配器14bを介して与えられ、リーダアンテナ102aの他端には終端抵抗Rtが接続される。
なお、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板毎にRFIDリーダ103を設けることで、タグ情報の読み出し速度を向上させることができる。RFIDリーダの数と読み出し対象のRFタグ104の数との関係は、物品管理システム10に要求される処理速度に応じて変更することができる。つまり、図6に示した物品管理システム10においてアンテナ基板11のリーダアンテナ102aとアンテナ基板12のリーダアンテナ102aとを接続して、RFIDリーダを1つにすることもできる。
ここで、リーダアンテナ102aは、配線間隔が等間隔であり、かつ、間隔がWiとなるように配線される。また、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板11においてアンテナ基板12に最も近い側に配線されるリーダアンテナ102aと、アンテナ基板12においてアンテナ基板11に最も近い側に配線されるリーダアンテナ102aと、の間隔もWiに設定される。そして、リーダアンテナ102aを図1に示すような設定で敷設した場合、アンテナ基板11、12の幅がWBで制限されているため、アンテナ基板11とアンテナ基板12との間に幅がWgapとなるグランド欠落部が生じる。
なお、リーダアンテナ102aは、本実施例ではマイクロストリップライン構造を有する伝送線路を用いたが、コプレーナスロットライン等の他の伝送線路構造を用いてもよい。以下では、伝送線路の構造に関わらずリーダアンテナを構成する線路を伝送線路と称す。また、リーダアンテナもしくは他の伝送線路構造のいずれかをメアンダ状に配置したものを用いることもできる。この場合、分配器は必要ない。また、リーダアンテナ102aを1つのアンテナ基板上に複数を設けた場合、分配器を当該アンテナ基板上に設けることもできる。また、リーダアンテナ102aの配線間隔は、センシング対象に応じて設定すればよく、必ずしも等間隔に配線される必要はない。
実施の形態1にかかる物品管理システム10では、このグランド欠落部を含む領域であって、アンテナ基板11及びアンテナ基板12の下側に導体シート13が敷設される。導体シート13は、例えば、銅箔テープ等の導電性のシートである。また、実施の形態1では、導体シート13には特に電圧は加えられていない。
ここで、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、アンテナ基板11、12とRFタグとにより1つのセンサシートを構成する。そこで、実施の形態1にかかる物品管理システム10のセンサシートにおいてRFタグ104が敷設された部分の断面図を図7に示す。図7に示すように、アンテナ基板11、12は、それぞれ、誘電体層101となる基板部材の裏面にグランド導体102gが面状に形成される。そして、アンテナ基板11、12は、グランド導体102gが導体接続されていない。
また、誘電体層101の上層には、リーダアンテナ102aとなる伝送線路が配線される。リーダアンテナ102aは、間隔がWiとなるように配線されるが、配線の間は絶縁体で埋められているものとする。そして、リーダアンテナ102aが形成される層の上層には、第1の絶縁部材121が積層される。この第1の絶縁部材121の厚みは、上記で説明した第2の距離L2により決定される。第1の絶縁部材121の上層にはRFタグ104が敷設される。このRFタグ104も、間隔をもって配置されるが、RFタグ104の間の空間は絶縁体により埋められているものとする。RFタグ104が敷設される層の上層には、第2の絶縁部材122が積層される。第2の絶縁部材122の厚みは、上記第1の距離L1により決定される。そして、アンテナ基板11、12との下層であって、アンテナ基板11、12の間のグランド欠落部を含む領域に導体シート13が設けられる。
続いて、実施の形態1にかかる導体シート13の効果について説明する。まず、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、図6に示すように、アンテナ基板11の上層に配置されるRFタグ104のうち最もアンテナ基板12に近い列に配置されるRFタグ104がアンテナ基板11からアンテナ基板12側に突出するような配置となる。このようにRFタグ104がアンテナ基板11から突出すると、この突出部分において漏洩電界が発生する。このような場合、導体シート13を設けることで、RFタグ104の突出部から発生する漏洩電界を鏡像の原理により抑制することができる。そこで、鏡像の原理を説明する図を図8に示す。
図8に示すように、RFタグ104の突出部では、当該突出部に位置するタグアンテナに電流I1が生じる。そこで、導体シート13を設けることで、導体シート13に仮想的な電流I2が発生する。鏡像の原理では、この電流I2は電流I1と逆方向に流れるため、導体シート13を設けることで仮想的に電流I1を打ち消すことができる。これにより、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、RFタグ104の突出部から発生する漏洩電界を抑制することができる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム10のように、電気的に絶縁されたグランド導体102gを有する場合、隣り合うグランド導体102gの間にスロットモードが発生しうる。このスロットモードでは、一方のグランド導体102gから他方のグランド導体102gに向かう電気力線が発生し、この電気力線がノイズとなる。そこで、このスロットモードを説明する図を図9に示す。
図9に示すように、導体シート13がない場合、一方のグランド導体102gから他方のグランド導体102gに向かう電気力線が発生する。このスロットモードは、スロットモードが発生する場所の直下に付加導体があると消滅する。ここで、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、導体シート13を2つのグランド導体102gの間に設ける。これにより、実施の形態1にかかる物品管理システム10は、スロットモードは消滅させることで、RFタグ104とリーダアンテナ102との間の無線信号のノイズを低減することができる。
続いて、導体シート13の有無による実施の形態1にかかる物品管理システム10の無線信号の信号強度の違いについて説明する。そこで、図10に導体シート13がない場合の無線信号の信号強度のグラフを示し、図11に導体シート13がある場合の無線信号の信号強度のグラフを示す。図10及び図11は、横軸にRFタグ104の番号を示し、RFタグ104毎の無線信号の信号強度を繋げたグラフである。
図10に示すように、導体シート13がない場合、アンテナ基板11の最もアンテナ基板12に近い位置に配置され、アンテナ基板11から突出する突出部を有する49番目から64番目のRFタグ104において他のRFタグ104よりも信号強度が低下する。
一方、図11に示すように、導体シート13がある場合は、信号強度が低下していた49番目から64番目のRFタグ104においても、信号強度は他のRFタグ104と同等の値となる。
上記説明より、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、複数のアンテナ基板を用い、当該アンテナ基板間にグランド導体102gが欠落するグランド欠落部に導体シート13を設ける。これにより、物品管理システム10では、RFタグの配置に関わらず、全てのRFタグに対する無線信号の信号強度を揃え、タグ情報の誤検出を低減することができる。
また、実施の形態1にかかる物品管理システム10では、リーダアンテナ102の配線間隔としてWiを確保しながら、アンテナ基板11、12を配置した場合にグランド欠落部が生じた場合であっても、全てのRFタグに対する無線信号の信号強度を揃え、タグ情報の誤検出を低減することができる。検出対象の範囲に一定の大きさのアンテナ基板を並べることで埋めきれず、アンテナ基板間にグランド欠落部が生じる場合であっても、導体シート13を用いることで、要求される範囲の全体に隙間無くアンテナシートを形成することができる。つまり、実施の形態1にかかる物品管理システム10を用いることで、新たな大きさのアンテナ基板を準備することなく、アンテナシートの敷設面積を柔軟に設定することができる。
なお、導体シート13は、グランド欠落部の全部を含む範囲に敷設する必要はなく、グランド欠落部の一部を含んでいればよい。例えば、導体シート13を間欠的に配置する等の変形例が考えられる。この場合、導体シート13の敷設間隔は無線信号の波長λの4分の1以下の間隔であることが好ましい。また、導体シート13は、複数のアンテナ基板の全体を含む範囲に敷いても良い。
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる物品管理システム10の別の形態について説明する。そこで、実施の形態2にかかる物品管理システムのRFタグ配置部分の断面図を図12に示す。図12に示すように、実施の形態2にかかる物品管理システムでは、導体シート13の上部であって、グランド欠落部を埋める領域にスペーサー15が設けられる。このスペーサー15は、絶縁体で構成される。
このように、グランド欠落部の空き領域をスペーサー15で埋めることで、アンテナシートのグランド欠落部の強度を高めることができる。
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1にかかる物品管理システム10の別の形態について説明する。そこで、実施の形態3にかかる物品管理システム20の概略図を図13に示す。図13に示すように、実施の形態3にかかる物品管理システム20は、グランド接続部21を有する。
図13では、グランド接続部21を見える形で示したが、このグランド接続部21は、アンテナ基板11、12と導体シート13とを導体接続するものであり、RFタグ104が配置される面からは目視できなくても良い。
また、グランド接続部21は、無線信号の波長λの4分の1以下の間隔で配置される。このように、グランド接続部21の間隔をλ/4以下とすることで、無線信号の共振を抑制することができる。
実施の形態3にかかる物品管理システム20では、グランド接続部21を設けることで、導体シート13にグランド導体102gとの間に生じる不要な電界を抑えることが可能となる。これにより、実施の形態3にかかる物品管理システム20では、実施の形態1にかかる物品管理システム10よりも無線信号の信号強度を安定させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。