JP6200313B2 - スループット測定装置及びスループット測定方法 - Google Patents
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Description
IEEE802.11標準規格の無線LANには、2.4GHz帯を用いるIEEE802.11bやIEEE802.11g規格に準拠したものや、5GHz帯を用いるIEEE802.11a規格に準拠したものがある。
また、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によるIEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格などでの最大伝送速度は54Mbpsである。
ただし、上記の最大伝送速度は物理レイヤ上での速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値はIEEE802.11b規格では5Mbps程度、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格では30Mbps程度である。
IEEE802.11n規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行った場合、物理レイヤでは最大で600Mbpsの通信速度を実現することが可能になる。
IEEE802.11ac規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行った場合に、物理レイヤでは最大で約6.8Gbpsの通信速度を実現することが可能になる。
マルチユーザMIMOは、例えばアクセスポイント(アクセスポイント(Access Point;AP)などの基地局装置がN本のアンテナ素子から同一周波数かつ同一タイミングで異なる独立な信号を、複数の端末装置に対して送信する。この際、複数の端末装置が備える1以上のアンテナ素子全体を巨大な受信アレイとみなして送信制御が行われる。これにより、下り方向(基地局から端末への通信方向)のスループットの向上が図られる。
上記のZF法やMMSE法では、送信側の基地局装置において、自装置が備えるアンテナ素子と各端末装置が備えるアンテナ素子との間の伝搬チャネルの特性を示すチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)を得て、得られたチャネル状態情報に基づいて送信ウェイトを算出する。
具体的に、マルチユーザMIMOにおいては、基地局装置からの信号の送信に先立って、予め端末装置側でチャネル状態情報(伝達関数)が推定され、推定されたチャネル状態情報が基地局装置に通知される。基地局装置は、通知されたチャネル状態情報に基づいて送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより各端末装置に送信すべき信号を同時に送信する。
つまり、基地局装置は、端末装置の各々から送信された既知信号を利用して上り方向のリンクチャネル状態情報を推定し、推定したチャネル状態情報を予め測定しておいたキャリブレーションの値を利用して補正する。基地局装置は、補正後のチャネル状態情報を利用して送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより各端末装置に対して信号を送信する(例えば、非特許文献3参照)。
特に、前述のように、シングルユーザMIMOやマルチユーザMIMOなどのMIMOによる通信では、送信側がビームフォーミングを行うにあたり、送信側がチャネル状態情報を取得して送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトを利用してビームフォーミングによる送信を行う。
この場合、送信ウェイトの算出に利用したチャネル状態情報を推定するタイミングと、算出された送信ウェイトにより送信を行うタイミングとの間にはタイムラグが存在する。このために、伝搬チャネルの時変動が大きいほど、送信に用いる送信ウェイトが現在のチャネルの伝搬状態と乖離し、スループットを低下させる。即ち、チャネル状態情報に基づいて算出した送信ウェイトを利用してビームフォーミングにより送信を行う場合には、伝搬チャネルの時変動がスループットに大きく影響を与える。
このようなことから、無線LANシステムにおいては、スループットを測定することが重要になる。一例として、基地局装置側が測定したスループットに基づいて、MIMOによる通信におけるビームフォーミングを制御することによりスループットを改善可能になる。
しかし、シングルユーザMIMOやマルチユーザMIMOによる通信のもとではプローブ要求信号の送受信は行われないことから、プローブ要求信号を利用してのスループットの測定を行うことはできない。
しかし、このような構成では専用のサーバが必要であるため、スループットを測定するために専用のネットワークを構成する必要があり、基地局装置の設置位置が変更されるごとにネットワークを再構成する必要もある。
さらに、上記のように測定用のサーバを備える構成では、IPネットワーク上で通信を行う必要があるため、IPアドレスやサブネットマスクなどの設定や、WEP(Wired Equivalent Privacy)キーなどの無線LAN関連の設定も必要になる。
[通信システムの全体構成例]
図1は、本実施形態における通信システムの全体構成例を示している。同図に示す通信システムは、無線LAN(Local Area Network)に対応する。
同図に示す通信システムは、1つのアクセスポイント100と、アクセスポイント100の通信範囲内に位置するL(Lは2以上の自然数)個の端末装置200−1〜200−Lを備える。なお、以降において、端末装置200−1〜200−Lについて特に区別する必要の無い場合には端末装置200と記載する。
また、端末装置200(スループット測定装置の一例)は、スループットの測定のためにアクセスポイント100と通信を実行する。
アクセスポイント100は、端末装置200のそれぞれから通知されたチャネル状態情報を利用して、アンテナ101ごとに対応する送信ウェイトを算出する。アクセスポイント100は、算出した送信ウェイトによりアンテナ201のそれぞれから送信すべき信号についての重み付けを行う。そして、アクセスポイント100は、端末装置200のそれぞれに送信すべき信号の電波を合成し、アンテナ101のそれぞれから送出させる。このように、アクセスポイント100からはビームフォーミングにより信号が送信される。
そして、上記のようにアクセスポイント100が信号を送信することにより、端末装置200では、受信された電波により得られる信号のうちから自己宛の信号のみを効率的に抽出して復元することができる。
図2は、第1実施形態の端末装置200の構成例を示している。同図に示す端末装置200は、図1に示した端末装置200−1〜200−Lのうちのいずれかである。
図2に示す端末装置200は、前述のようにマルチユーザMIMOに対応して複数のM本のアンテナ201−1〜200−Mを備える。アンテナ201−1〜200−Mは、それぞれ、アクセスポイント100から送出された電波を受信する。
また、送受信部202は、スループットの測定にあたり、所定の送信レートによってパケット(測定信号の一例)をアクセスポイント100に送信し、送信した測定信号に応答してアクセスポイント100から送信されたACK(応答信号の一例)を受信する。
また、送受信部202は、アクセスポイント100から受信した信号の復調を実行する。
受信ACK数カウント部203は、アクセスポイント100から受信したACKの数(受信ACK数)をカウントする。具体的に、受信ACK数カウント部203は、アンテナ201により受信されたACKが送受信部202にて復調されるごとに、ACKが受信されたものとしてACKの数をカウントアップする。そして、受信ACK数カウント部203は、パケット送信期間に対応してカウントした受信ACK数をエラーレート算出部205に出力する。ここでのパケット送信期間は、予め定められた一定数のパケットの送信を端末装置200が開始してから終了するまでの期間である。
また、チャネル情報取得部206は、取得したチャネル状態情報を利用して信号電力対雑音電力比を推定する。
チャネル変動量は、例えば時間経過に応じたチャネル利得の変化状態を示す。
チャネル推定誤差量は、時間経過に応じたチャネル推定情報との誤差を示す。
チャネル情報取得部206は、方式Aによるチャネル変動量ρA(k,t,t+Δ)を以下の式1により求めることができる。
しかし、必ずしも全てのアンテナ101、201が用いられる必要はない。チャネル情報取得部206は、例えば任意の数のアンテナ101、201を選択し、選択したアンテナ101、201の組み合わせを用いてチャネル変動量を算出してもよい。あるいは、チャネル情報取得部206は、例えばSNRが高い順に従って所定数のアンテナ101、201を選択するようにしてもよい。
また、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100のアンテナ101についてのみ1本とする、あるいは逆に、端末装置200のアンテナ201についてのみ1本としたうえでチャネル変動量を算出することも可能である。
また、上記の式1、式2では、全てのサブキャリアごとに対応してチャネル変動量が算出されている。しかし、チャネル情報取得部206は、例えば一部のサブキャリアのチャネル変動量を算出してもよい。一部のサブキャリアを選択してチャネル変動量を算出する場合には、SNRの高いサブキャリアが優先的に選択されてもよい。あるいは、一定間隔ごとのサブキャリアが選択されてもよい。さらには、ランダムにサブキャリアが選択されてもよい。
平均チャネル変動量は、以下の式3によって求められる。式3においては、平均チャネル変動量について、ρA(k,t,t+Δ)もしくはρB(k,t,t+Δ)におけるρにオーバーラインを付すことによって示している。
e[Hn,m(k,t)]=1
である。
しかし、必ずしも全てのアンテナ101、201が用いられる必要はない。チャネル情報取得部206は、例えば任意の数のアンテナ101、201を選択し、選択したアンテナ101、201の組み合わせを用いてチャネル推定誤差量を算出してもよい。あるいは、チャネル情報取得部206は、例えばSNRが高い順に従って所定数のアンテナ101、201を選択するようにしてもよい。
また、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100のアンテナ101についてのみ1本とする、あるいは逆に、端末装置200のアンテナ201についてのみ1本としたうえでチャネル推定誤差量を算出することも可能である。
また、上記の式1、式2では、全てのサブキャリアごとに対応してチャネル推定誤差量が算出されている。しかし、チャネル情報取得部206は、例えば一部のサブキャリアのチャネル推定誤差量を算出してもよい。一部のサブキャリアを選択してチャネル推定誤差量を算出する場合には、SNRの高いサブキャリアが優先的に選択されてもよい。あるいは、一定間隔ごとのサブキャリアが選択されてもよい。さらには、ランダムにサブキャリアが選択されてもよい。
平均チャネル推定誤差量は、以下の式9によって求められる。式9においては、平均チャネル推定誤差量について、Z(k,t,t+Δ)におけるZにオーバーラインを付すことによって示している。
つまり、チャネル情報取得部206は、チャネル推定誤差量の場合であれば、式6のチャネル行列に対して疑似的なチャネル行列(疑似チャネル行列)を加えて送信ウェイト行列を算出することによってチャネル推定誤差量(空間多重対応チャネル推定誤差量)を算出してもよい。
一例として、ZF法による送信ウェイトを用いた場合の空間多重対応チャネル推定誤差量Z’(k,t,t+Δ)は、以下の式12によって求めることができる。
式15、式16においては、H(k,t)のHの上にチルダを付すことによって疑似チャネル行列が示される。
一例として、アクセスポイント100のアンテナ101の数が4本(M=4)で、各端末装置200のアンテナ201の数が1本(N=1)の場合において、3つの端末装置200を空間多重することによりマルチユーザMIMOによる通信を行う場合のJは以下のようになる。即ち、この場合には、自己を除く2つの端末装置200が他端末として空間多重が行われるので、J=2となる。
パケット生成部207は、生成したパケットを送受信部202に出力する。
送受信部202は、アクセスポイント100との無線接続が確立されている状態のもとで、パケット生成部207から入力したパケットをアクセスポイント100に対して送信し、送信したパケットに対する応答としてアクセスポイント100から送信されたACKを受信する。また、端末装置200からパケットを送信しても、伝送路の状態が劣化していたりアクセスポイント100の処理負荷が重くなっているようなときには、ACKを受信できない場合がある。このような場合、送受信部202は、再送制限回数に達するまで、あるいは制限時間に到達するまで、所定タイミングでアクセスポイント100に対して同じパケットを再送する。
自動送信レート制御機能は、アクセスポイント100から送信される電波の強度(電波強度)は、アクセスポイント100からの距離等の環境条件に応じて変動し、電波強度に応じて通信速度も変化する。そこで、無線LANクライアントである端末装置200は、電波強度に応じて自動的に送信時の伝送速度(送信レート)を変更することによって、電波強度の変化に対してできるだけ良好な通信が行われるように制御する。このような伝送速度の調整機能が自動送信レート制御機能である。
しかし、自動送信レート制御によって伝送速度が変化するのに伴っては、スループットも変動する。また、自動送信レート制御の態様は例えばメーカー依存であって統一されたものではない。このために、自動送信レート制御機能が有効な状態でのスループット測定によっては的確な測定結果を得ることが難しい。
そこで、送信レート制御部208により自動送信レート制御機能を無効化して予め定めた一定の送信レートでスループットを測定すれば、測定結果の精度を向上させることが可能になる。
スループット測定部209は、スループットの測定にあたり、パケットのサイズと送信レートとに基づいて取得したスループット理論値と、エラーレート算出部205により算出されたフレームエラーレートと、チャネル情報取得部206により取得されたチャネル情報であるチャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)とを利用する。チャネル状態変化情報は、時間経過に応じたチャネルの状態の変化を示すチャネル情報である。
スループット測定部209は、補正フレームエラーレートを求める。スループット測定部209は、補正フレームエラーレートを求めるにあたり、フレームエラーレートと、チャンネル状態変化情報とを利用する。
続いて、図3のフローチャートを参照して、第1実施形態における端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例について説明する。
まず、端末装置200においては、スループット測定にあたっての初期設定として、パケットサイズ、送信レート及びBSSID(Basic Service Set Identifier)が設定される(ステップS101)。
パケットサイズは、パケット生成部207が生成してアクセスポイント100に送信すべきパケットのサイズであり、パケット生成部207により設定される。
送信レートは、送信レート制御部208によって自動送信レート制御機能を無効化したうえで、例えば予め定められた所定値が設定される。
BSSIDは、送受信部202によって設定されればよい。
変数aへの0の代入は、送信パケット数カウント部204が実行すればよい。変数bへの0の代入は、受信ACK数カウント部203が実行すればよい。
送受信部202は、ステップS103により生成されたパケットを、ステップS101にて設定された送信レートでアクセスポイント100に送信する(ステップS104)。
送信パケット数カウント部204は、ステップS104によるパケットの送信に応じて、送信パケット数を示す変数aをインクリメントする(ステップS104)。
ACKが受信された場合(ステップS106:YES)、受信ACK数カウント部203は、受信ACK数を示す変数bをインクリメントする(ステップS107)。
ステップS109の判定にあたっては、現在の送信パケット数を示す変数aが規定回数を示すAよりも大きいか否かについて判定すればよい。
一方、規定回数のパケット送信が終了した場合には、ステップS110以降の処理が実行される。
ステップS106にてACKが受信されずに、ステップS109を経てステップS103に戻る場合としては、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する場合と、次のパケットを再送する場合とがある。
つまり、送受信部202は、パケットの再送制限回数に至っていない場合には、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する。なお、パケットを再送する場合には、ステップS103にて同じパケットを再生成せずに、送受信部202がバッファリングしているパケットを再送すればよい。即ち、この場合にはステップS103の処理は省略されてよい。
一方、パケットの再送制限回数に達した場合、送受信部202は次のパケットをステップS103により生成し、ステップS104により送信する。
エラーレート算出部205は、フレームエラーレートの算出にあたり、パケット送信期間わたって送信パケット数カウント部204がこれまでにカウントした送信パケット数aを入力する。つまり、エラーレート算出部205は、最後のステップS105によって得られた送信パケット数aを入力する。
また、エラーレート算出部205は、同じパケット送信期間にわたって受信ACK数カウント部203がカウントした受信ACK数bを入力する。つまり、エラーレート算出部205は、最後のステップS107によって得られた受信ACK数bを入力する。
そして、エラーレート算出部205は、例えば以下の(式17)によりフレームエラーレートFERを求める。
スループット理論値Sは、パケットサイズと送信レートとの関係によって一義的に求められる。そこで、スループット測定部209は、例えばパケットサイズと送信レートとの組み合わせごとにスループット理論値が対応付けられたスループット理論値テーブルを記憶しておくようにする。
そして、スループット測定部209は、ステップS111の処理として、ステップS101にて設定されたパケットサイズと送信レートとの組み合わせに対応付けられたスループット理論値Sをスループット理論値テーブルから取得すればよい。
また、スループット測定部209は、上記のようにスループット理論値テーブルから取得したスループット理論値について、例えばMIMOによる通信により発生するオーバーヘッドを考慮して補正を行ってもよい。このように補正を行うことによって、より正確なスループット理論値Sを得ることができる。
スループット測定部209は、例えば関数fの演算を行うにあたり、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル変動量ρ(Δ)の組みあわせごとに補正フレームエラーレートを対応付けた補正フレームエラーレートテーブル(補正エラーレートテーブルの一例)を記憶する。
また、図4の補正フレームエラーレートテーブルの2行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル変動量ρ(Δ)の各値が0.01<FER≦1、20<SNR、0.8<ρ(Δ)≦0.9の組み合わせに該当する場合、関数f(FER,SNR,ρ(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値を2倍(2×FER)することによって補正フレームエラーレートを求めるべきことを示す。
スループット測定部209は、例えば関数gの演算を行うにあたり、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル推定誤差量Z(Δ)の組みあわせごとにチャネル推定誤差量に対応の補正フレームエラーレートを対応付けた補正フレームエラーレートテーブルを記憶する。
また、図5の補正フレームエラーレートテーブルの2行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル推定誤差量Z(Δ)の各値が、0.01<FER≦1、20<SNR、1<Z(Δ)≦10の組み合わせに該当する場合、関数g(FER,SNR,Z(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値を2倍(2×FER)することによって補正フレームエラーレートを求めるべきことを示す。
このような構成によって、本実施形態においては、スループットの測定にあたって端末装置200がプローブ要求信号を送信する必要がない。プローブ要求信号の送信が不要であることで、本実施形態では、アクセスポイント100との間でアソシエーションが行われる前の段階でスループットを測定することができる。
このようにIPネットワークとの接続が不要であることで、例えば、IPアドレス、サブネットマスク、WEPキーなどの無線LAN関連の設定も不要になる。このために、例えば、スループット測定を即座に開始することが可能となり、スループット測定に要する時間を短縮することが可能になる。
そこで、本実施形態のようにスループットの測定にあたって送信するパケットのサイズを一定とすることで、より高い精度でスループットを測定することが可能となる。
この場合、チャネル情報取得部206は、チャネル情報の取得のためにACKを利用する必要がない。そこで、この場合には、フレームエラーレートを算出するために受信ACK数カウント部203が実行するACK受信数のカウントと、チャネル情報取得部206によるチャネル情報の取得の処理とが互いに独立して実行されるように構成されてもよい。
[概要]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態の端末装置200の構成は、例えば図2と同様でよい。
第1実施形態における端末装置200は、スループットTの測定にあたってフレームエラーレートを補正するにあたり、補正フレームエラーレートテーブルから補正フレームエラーレートを取得するように構成されていた。
これに対して、第2実施形態における端末装置200のスループット測定部209は、エラーレート算出部205により算出されたエラーレートと、信号対干渉雑音電力比(SINR:Signal-to-Interference plus:Noise power Ratio))と、信号電力対雑音電力比(SNR)とを利用して補正エラーレートを求める。
図6のフローチャートは、第2実施形態における端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例を示している。なお、同図において図3と同一部分には同一符号を付し、ここでは、主に図3との相違点について説明する。
つまり、パケット生成部207は、スループットの測定にあたりアクセスポイント100がACKを送信する際の送信電力(アクセスポイント送信電力)として、複数のアクセスポイント送信電力を予め決定する(ステップS101−1)。
ただし、第2実施形態においてステップS106に対応して送受信部202が受信するACKは、ステップS104にて送信したパケットに含まれていた送信電力指示情報が指示する送信電力によってアクセスポイント100から送信されている。
ステップS108におけるチャネル情報取得部206は、このようにステップS101−2にて選択したアクセスポイント送信電力により送信されたACKを利用してチャネル状態変化情報をはじめとするチャネル情報を取得する。
送受信部202は、パケットの再送制限回数に至っていない場合には、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する。この場合には、ステップS103Aを省略し、送受信部202がバッファリングしているパケットを再送すればよい。
一方、パケットの再送制限回数に達した場合、送受信部202は次のパケットをステップS103Aにより生成し、ステップS104により送信する。
パケット送信期間対応SNRは、受信信号(ACK)の先頭部に付加されているSTF(Short training field)やLTF(Long training field)などを用いて測定することができる。
なお、チャネル情報取得部206は、ACKが受信されるごとに求めたSNRを利用してパケット送信期間対応SNRを求めてもよい。この場合には、例えばパケット送信期間において測定されたSNRの平均値をパケット送信期間対応SNRとすればよい。
スループット測定部209は、このように記憶したフレームエラーレートFER、パケット送信期間対応SNR及びチャネル状態変化情報をスループットの測定に用いる。
まだ、フレームエラーレートFERとパケット送信期間対応SNRの算出が行われていないアクセスポイント送信電力が残っている場合には(ステップS110−2:NO)、ステップS101−2に処理が戻される。これにより、端末装置200においては、次のパケット送信期間において、次のアクセスポイント送信電力を指示する送信電力指示情報を含むパケットの送信が行われ、フレームエラーレートFERとパケット送信期間対応SNRの算出が行われる。
このようにステップS101−2〜S109の処理が繰り返されることによって、送受信部202は、それぞれ異なる送信電力を指示する送信電力指示情報を含むパケットをそれぞれ所定回数(A回)ずつ送信する。
スループット測定部209は、実際のデータ通信に対応するパケット送信期間対応SNRを求めたときの受信信号電力をPs、雑音電力をPnとして、例えばチャネル推定誤差量Z(Δ)を用いる場合には、以下の式20により信号対干渉雑音電力比SINRを求めることができる。
ここで、上記のように求めた補正フレームエラーレートをFER’とすると、スループットTは以下の式21により求められる。
[端末装置の構成例]
続いて、第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態における端末装置200の構成例を示している。なお、図7において、図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
送信タイミング制御部210は、送受信部202がパケットを送信するタイミングを制御する。送信タイミング制御部210が送受信部202におけるパケットの送信タイミングを制御することで、ACKの受信タイミングを調整することができる。このようにACKの受信タイミングを調整可能となることで、時刻tの差分Δに相当するパケット送信時間間隔を調整することができる。
ここで、時刻tの差分Δとしての送信時間間隔は、チャネル情報取得部206が受信信号(ACK)を利用してチャネル状態情報を推定してから、送受信部202が送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより信号(パケット)を送信するまでの時間と対応する。
そして、チャネル情報取得部206がチャネル状態情報を推定した時点と、送受信部202がチャネル状態情報を利用して求めた送信ウェイトにより信号を送信するまでの間には遅延時間が生じる。この遅延時間が長くなるほど、信号を送信するタイミングにおけるチャネルの状態がチャネル状態情報推定時のチャネルの状態から乖離して通信品質が劣化していくことになる。そして、遅延時間が或る一定値を越えることにより一定以上の通信品質を維持することができなくなる。一定以上の通信品質を維持することのできる最長の遅延時間が最大更新時間である。
図8のフローチャートを参照して、第3実施形態の端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例について説明する。なお、同図において図3と同一部分には同一符号を付し、ここでは、主に図3との相違点について説明する。
つまり、送信タイミング制御部210は、スループットの測定にあたり、複数の測定用送信時間間隔を決定する(ステップS101A−1)。
送信タイミング制御部210は、1回のパケット送信期間の開始にあたり、ステップS101A−1にて決定された複数の測定用送信時間間隔のうちから、1つの測定用送信時間間隔を選択する(ステップS101A−2)。
また、ステップS102において、送信パケット数カウント部204は送信パケット数を示す変数aに0を代入し、受信ACK数カウント部203は、受信ACK数を示す変数bに0を代入する。
例えば、ACKは、パケットの送信タイミングから、端末装置200とアクセスポイント100との間の伝搬遅延時間と、アクセスポイント100がパケットを受信してからACKを送信するまでの処理時間とに応じて遅延したタイミングで端末装置200にて受信される。
未だパケットの送信が終了していない測定用送信時間間隔が残っている場合には(ステップS110−3:NO)、ステップS101A−2に処理が戻されることにより、次の測定用送信時間間隔によるパケット送信期間が開始される。このように、第3実施形態における送受信部は、複数の異なる測定用送信時間間隔により所定回数(A回)ずつ測定信号を送信する。
一方、全ての測定用送信時間間隔によるパケットの送信が終了した場合(ステップS110−3:YES)、スループット測定部209は、図3と同様に、ステップS111によりスループット理論値Sを取得し、ステップS112によりスループットTを測定する。
具体例として、スループット測定部209は、ステップS108にて取得されるチャネル状態変化情報がチャネル変動量ρ(Δ)である場合には、以下の式22を満たす最大の時刻tの差分Δを、最大更新時間Δmaxとして算出する。
このように、第3実施形態においては、パケットの送信時間間隔を調整することによって、送信ウェイトが有効とされる最大更新時間Δmaxを求めることができる。
しかし、現実の無線LANの環境では、CSMA/CAが動作していることによって、必ずしも一定時間間隔によりパケットを送信できない場合がある。そこで、以下のような構成としてもよい。
つまり、送受信部202は、1回のパケット送信期間において送信タイミング制御部210によってランダムに設定された送信時間間隔により複数回にわたってパケットを送信する。チャネル情報取得部206は、ACKが受信される時間間隔(ACK受信時間間隔)を、当該ACKの受信に応じて取得されるチャネル状態変化情報と対応付けて記憶する。そして、記憶された複数のACK受信時間間隔を時刻tの差分Δとして扱い、ACK受信時間間隔により表される時刻tの差分Δのうちから、式23または式24を満足する時刻tの差分Δを最大更新時間Δmaxとして出力してもよい。
さらに、式23または式24の条件を満足し、かつフレームエラーレートFERが一定以下であればMIMOによる通信が可能であると判定するようにしてもよい。
この場合には、例えば図4、図5に示した補正フレームエラーレートテーブルなどをアクセスポイント100側で集中管理することができる。このように集中管理することによって、複数のアクセスポイント100が測定したデータに基づいて修正した内容に補正フレームエラーレートテーブルを更新して、測定精度を向上させることが可能になる。
しかし、アクセスポイント100のアンテナ101の全てから送信された信号を受信することができない場合であっても、例えば以下のようにしてチャネル情報取得部206がチャネル状態変化情報を取得することは可能である。
この場合には、端末装置200においてアクセスポイント100が備えるのと同じ本数のアンテナを用いてチャネル状態情報を推定する。そして、端末装置200は、推定結果であるチャネル行列H(k,t)を転置させたものをチャネルとして扱い、チャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)を算出すればよい。即ち、この場合には仮想的に1×NのチャネルをN×1のチャネルに変換することによりアクセスポイント100側のアンテナをN本として扱っているものである。
例えば、アクセスポイント100のn(1≦n≦N)本のアンテナ101から信号が送信された場合の全てのチャネル行列を推定しようとする場合には以下のようになる。この場合、端末装置200からアクセスポイント100にパケットを送信するにあたり、例えばn本のアンテナ101を使用して信号を送信すべきことを示す指示情報をパケットに付加すればよい。アクセスポイント100は、受信したパケットに付加されていた指示情報に従って、n本のアンテナ101を使用して信号を送信することができる。
Claims (7)
- 所定の送信レートによって測定信号を基地局装置に送信し、送信した測定信号に応答して基地局装置から送信された応答信号を受信する送受信部と、
受信した応答信号を利用してチャネルの伝搬特性に関連するチャネル情報を取得するチャネル情報取得部と、
送信した前記測定信号の数と受信した前記応答信号の数とを利用してエラーレートを算出するエラーレート算出部と、
前記測定信号のサイズと送信レートとに基づいて取得したスループット理論値と、前記エラーレート算出部により算出されたエラーレートと、前記チャネル情報取得部により取得された所定のチャネル情報とを利用してスループットを測定するスループット測定部と
を備えるスループット測定装置。 - 前記スループット測定部は、
前記エラーレート算出部により算出されたエラーレートと、時間経過に応じたチャネルの状態の変化を示すチャネル情報として前記チャネル情報取得部により取得されたチャネル状態変化情報とに基づいて求めた補正エラーレートを利用してスループットを測定する
請求項1に記載のスループット測定装置。 - 前記スループット測定部は、
エラーレートと所定のチャネル情報との組みあわせごとに補正エラーレートの演算式を対応付けた補正エラーレートテーブルから、前記エラーレート算出部により算出されたエラーレートと、前記チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報である前記チャネル状態変化情報と信号電力対雑音電力比との組み合わせに対応付けられた演算式を取得し、取得した演算式による演算を行うことによって補正エラーレートを求める
請求項2に記載のスループット測定装置。 - 前記送受信部は、
前記基地局装置が応答信号を送信する際の送信電力を指示する送信電力指示情報を含む測定信号として、それぞれ異なる送信電力を指示する送信電力指示情報を含む測定信号をそれぞれ所定回数ずつ送信し、
前記スループット測定部は、
前記エラーレート算出部により算出されたエラーレートと、前記チャネル情報取得部により取得された所定のチャネル情報に基づいて算出した信号対干渉雑音電力比と、前記チャネル情報取得部により取得された所定のチャネル情報に基づいて算出した信号電力対雑音電力比とを利用して前記補正エラーレートを求める
請求項2に記載のスループット測定装置。 - 前記送受信部は、
複数の異なる測定用送信時間間隔により所定回数ずつ測定信号を送信し、
前記スループット測定部は、
前記チャネル情報取得部によりチャネル情報として取得されたチャネル変化情報が示す前記測定用送信時間間隔に応じたチャネルの状態の変化に基づいて、一定以上の通信品質を維持するのに許容される最長の信号送信時間間隔を算出する
請求項1から4のいずれか一項に記載のスループット測定装置。 - 前記チャネル情報取得部は、
疑似的なチャネル状態情報をさらに利用して前記チャネル状態変化情報を取得する
請求項2から4のいずれか一項に記載のスループット測定装置。 - 所定の送信レートによって測定信号を基地局装置に送信し、送信した測定信号に応答して基地局装置から送信された応答信号を受信する送受信ステップと、
受信した応答信号を利用してチャネルの伝搬特性に関連するチャネル情報を取得するチャネル情報取得ステップと、
送信した前記測定信号の数と受信した前記応答信号の数とを利用してエラーレートを算出するエラーレート算出ステップと、
前記測定信号のサイズと送信レートとに基づいて取得したスループット理論値と、前記エラーレート算出ステップにより算出されたエラーレートと、前記チャネル情報取得ステップにより取得された所定のチャネル情報とを利用してスループットを測定するスループット測定ステップと
を備えるスループット測定方法。
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