JP6199682B2 - 樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及びこの樹脂組成物を含む光学用粘着剤 - Google Patents

樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及びこの樹脂組成物を含む光学用粘着剤 Download PDF

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本発明は、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体を含有する樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及びこの樹脂組成物を含む光学用粘着剤に関する。
近年、液晶等の画面を有する電子機器、例えば、スマートフォンやタブレットPC等の普及に伴って、画面を覆うように使用される透明樹脂材料及び透明樹脂接着剤の研究が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するポリイソプレン、単官能の(メタ)アクリレートモノマー及びラジカル重合開始剤からなる組成物に、さらに分子内に第二級アミノ基を有しないヒンダードアミン系化合物を配合した硬化性樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂、硬化剤、及び分子内にエポキシ基を特定量含有し、かつ特定の数平均分子量を有するエポキシ化ポリブタジエンを含有する熱硬化性樹脂組成物が記載されている。
なお、特許文献3,4には、β−ファルネセンの重合体が記載されているが、実用的な用途については十分に検討されていない。
特許第5073400号明細書 特許第4098107号明細書 国際公開第2010/027463号パンフレット 国際公開第2010/027464号パンフレット
特許文献1,2に記載される硬化性樹脂組成物は、塗工性を向上させる観点から粘度について改善の余地があり、更にその硬化物について、液晶等の画面を有する電子機器において要求される強度、柔軟性及び透明性等についても改善の余地があった。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、粘度が低く、かつ強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を与えることができる樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及びこの樹脂組成物を含む光学用粘着剤を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ファルネセン由来の単量体単位を含み重合可能な官能基を有しない重合体と、アクリロイル基を1個有する単量体とを特定の比率で含有する樹脂組成物が、低粘度であり、更に、強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を与えることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
[1]ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含み、重合可能な官能基を有しない重合体(A)、アクリロイル基を1個有する単量体(B)及び重合開始剤(C)を含み、重合体(A)と単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.10〜99であり、重合体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む樹脂組成物。
[2]前記[1]に記載の樹脂組成物を硬化させた硬化物。
[3]前記[1]に記載の樹脂組成物を含む光学用粘着剤。
本発明によれば、粘度が低く、かつ強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を与えることができる樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及びこの樹脂組成物を含む光学用粘着剤を提供できる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含み、重合可能な官能基を有しない重合体(A)、アクリロイル基を1個有する単量体(B)及び重合開始剤(C)を含み、重合体(A)と単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.10〜99であり、重合体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む。
<重合体(A)>
重合体(A)は、ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含み、重合可能な官能基を有しないものである。
前記ファルネセン由来の単量体単位(a1)は、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で表されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよいが、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位であることが好ましい。なお、α−ファルネセンとβ−ファルネセンとは併用してもよい。
Figure 0006199682
重合体(A)を構成する単量体単位は、ファルネセン由来の単量体単位(a1)のみからなってもよく、ファルネセン由来の単量体単位(a1)及びファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)からなってもよい。
ファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)としては、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位が挙げられる。
共役ジエン化合物としては炭素数12以下の共役ジエン化合物が好ましく、炭素数12以下の共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン及びクロロプレン等が挙げられ、中でもイソプレン及びブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン及びジビニルベンゼン等が挙げられる。中でもスチレン、α−メチルスチレン及び4−メチルスチレンが好ましい。
ファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)を用いる場合において、共重合体中におけるファルネセン由来の単量体単位(a1)及びファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)の合計に対するファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)の割合は、樹脂組成物の粘度を低下させる観点、硬化速度を向上させる観点及び硬化物の良好な伸び特性と柔軟性を保つ観点から、1〜99質量%が好ましく、1〜80質量%がより好ましく、1〜70質量%が更に好ましく、1〜50質量%がより更に好ましい。
本発明に用いる重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100万が好ましく、2,000〜75万がより好ましく、6,000〜70万が更に好ましく、8,000〜65万がより更に好ましく、9,000〜60万がより更に好ましい。重合体(A)のMnが前記範囲内であると、硬化物の柔軟性、力学強度が向上すると共に、重合体組成物が低粘度になる。
なお、本明細書における数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
本発明に用いる重合体(A)の38℃における溶融粘度は、0.1〜3,000Pa・sが好ましく、0.2〜2,800Pa・sがより好ましく、0.2〜2,000Pa・sが更に好ましく、0.3〜1,500Pa・sがより更に好ましい。重合体(A)の溶融粘度が前記範囲内であると、被塗布面に対してムラ無く、均一に樹脂組成物を塗布することが可能になるため、塗工性が良好になる。なお、本明細書において重合体の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
本発明に用いる重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる重合体(A)の粘度のばらつきが小さくなる。
本発明に用いる重合体(A)のガラス転移温度は、結合様式(ミクロ構造)やファルネセン由来の単量体及び必要に応じてさらに用いられるファルネセン以外の単量体の量によっても変化するが、−90〜0℃が好ましく、−90〜−10℃がより好ましい。前記範囲であると、柔軟な硬化物が得られ、本発明の用途のひとつである光学用粘着剤においては、段差追従性や衝撃吸収性が良好になる。
本発明に用いる重合体(A)は、1種を単独用いてもよいが、単量体単位や分子量がそれぞれ異なる、2種以上の前記重合体(A)を併用してもよい。
本発明に用いる重合体(A)は、乳化重合法又は国際公開第2010/027463号パンフレット、国際公開第2010/027464号パンフレットに記載の方法等により製造することができる。その中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法が更に好ましい。
(乳化重合法)
重合体(A)を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。
重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン及びα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物及び亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体を回収する。次いで水洗し、脱水後、乾燥することで、重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の重合体として回収してもよい。
(溶液重合法)
重合体を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、ファルネセン単量体を重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属が特に好ましい。さらに、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は要求される重合体の分子量によって適宜決められるが、ファルネセン及び必要に応じ用いるファルネセン以外の単量体の合計量100質量部に対して0.01〜7質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物はまた、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、反応を失活させず、ファルネセン部位のミクロ構造を調整するため用いられ、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で使用される。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで重合体を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより重合体を単離できる。
<アクリロイル基を1個有する単量体(B)>
前記アクリロイル基を1個有する単量体(B)とは、分子中にアクリロイル基を1個有する単量体である。本発明の樹脂組成物は、アクリロイル基を1個有する単量体(B)を含有することにより、硬化させた際に強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を得ることができる。これに対し、メタクリロイル基を有する単量体を用いた場合には、硬化物が得られない又は得られても非常に硬く、もろい膜となる等の不具合が生じる。このような現象が生じる理由としては、アクリロイル基に比べてメタクリロイル基の反応性が低いことが要因の1つであると考えられる。また、アクリロイル基を2個以上有する単量体を用いた場合には、該単量体の極性が高すぎるため、本発明で用いる重合体(A)と十分に相溶せず、強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を得ることができない。
アクリロイル基を1個有する単量体(B)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルエトキシアクリレート、ブチルエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、モルフォリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート等の単官能アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシル基を有する単官能アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、重合体(A)との相溶性が良好な観点から、分子中にアクリロイル基を1個有し、かつヒドロキシル基を有しない単量体が好ましい。中でも、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等の環状アルキル基を有する単管能アクリレートがより好ましく、イソボルニルアクリレートが更に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において前記重合体(A)と前記単量体(B)との質量比[(A)/(B)]は、0.10〜99であり、好ましくは0.2〜50、より好ましくは0.3〜20、更に好ましくは0.4〜10である。前記質量比[(A)/(B)]が前記範囲内であると十分に粘度が低く、硬化後の強度と柔軟性が良好な樹脂組成物を得ることができる。
本発明においては、前記アクリロイル基を1個有する単量体(B)を含有していれば、その他に発明の効果を阻害しない範囲で単量体(B)以外の単量体を用いてもよい。
単量体(B)以外の単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルエトキシメタクリレート、ブチルエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、モルフォリンメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート及びノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート等の単官能メタクリレート;
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基を有する単官能メタクリレート;
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘヘキセンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、2,6,6−トリメチル−2,3−エポキシビシクロ[3.1.1]ヘプタン等のエポキシ化合物;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等のオキセタン化合物;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
メルカプトメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン等の化合物が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が前記アクリロイル基を1個有する単量体(B)以外の単量体を含有する場合、単量体(B)以外の単量体の含有量は、樹脂組成物中の全単量体に対して、1〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましい。
<重合開始剤(C)>
本発明で用いる重合開始剤(C)としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射等により重合反応が開始する光重合開始剤や、熱により重合反応が開始する熱重合開始剤が挙げられる。熱重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシドなどの過酸化物が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばカチオン系光重合開始剤やラジカル系重合開始剤等、後述の光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤(C)としては、短時間の照射で樹脂が硬化し、また基材を変質させることなく硬化物を得ることができるという観点から、光重合開始剤が好ましく、紫外線の照射により重合反応が開始する光重合開始剤がより好ましい。
カチオン系光重合開始剤としては、例えば芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩、メタロセン系化合物等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩のカチオン系光重合開始剤としては、「P−33(商品名)」(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩のカチオン系光重合開始剤としては、「Rhodorsil Photo Initiator 2074(商品名)」(ローディア株式会社製)、「イルガキュア250(商品名)」(BASF株式会社製)等が挙げられる。
芳香族スルフォニウム塩のカチオン系光重合開始剤としては、「FC−509(商品名)」(住友スリーエム株式会社製)、「イルガキュア270(商品名)」(BASF株式会社製)等が挙げられる。
メタロセン系のカチオン系光重合開始剤としては、「イルガキュア261(商品名)」(BASF株式会社製)等が挙げられる。
ラジカル系光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、ベンゾイン系、ケタール系、アントラキノン系、ジスルフィド系、チオキサントン系、チウラム系、フルオロアミン系等が挙げられる。これらの中では、アルキルフェノン系又はアシルホスフィンオキサイド系のラジカル系光重合開始剤が好ましい。
アルキルフェノン系のラジカル系光重合開始剤としては、ヒドロキシアルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系等が挙げられる。ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル系光重合開始剤としては、「DAROCUR1173(商品名)」(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)、「イルガキュア184(商品名)」(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、「イルガキュア2959(商品名)」(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)等が挙げられる。
アミノアルキルフェノン系のラジカル系光重合開始剤としては、「イルガキュア907(商品名)」(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、「イルガキュア369(商品名)」(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系のラジカル系光重合開始剤としては、「LUCIRIN TPO(商品名)」(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、「イルガキュア819(商品名)」(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)(いずれもBASF株式会社製)等が挙げられる。
これらの中でも、ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル系光重合開始剤が好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンがより好ましい。これらの重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤(C)の含有量は、重合体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、0.5〜20質量部が好ましく、1.0〜20質量部がより好ましく、1.0〜15質量部が更に好ましく、1.0〜10質量部がより更に好ましい。重合開始剤(C)の含有量が前記範囲内であると、重合開始剤(C)由来の残渣が少なく外観が良好な硬化物が得られ、さらに硬化速度と力学物性の点で好ましい。
<ヒンダードアミン系化合物(D)>
本発明の樹脂組成物は、当該樹脂組成物及びそれから得られる硬化物の耐熱性、耐候性をより向上させるために、必要に応じてヒンダードアミン系化合物(D)を含有していてもよい。なお、ヒンダードアミン系化合物(D)としては、分子内に第二級アミノ基を有しないヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましい。かかる分子内に第二級アミノ基を有しないヒンダードアミン系化合物(D)を用いることにより、当該樹脂組成物及びこれらから得られる硬化物の熱に晒した後の力学物性の低下や、色調の変化を顕著に改善できる。
このような、分子内に第二級アミノ基を有しないヒンダードアミン系化合物(D)としては、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリラート等が挙げられる。
これらの中では、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒンダードアミン系化合物(D)の含有量は、重合体(A)と単量体(B)との合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましく、1.0〜4質量部が更に好ましい。ヒンダードアミン系化合物(D)の含有量が前記範囲内であると、耐熱性を向上させる点及び硬化物の力学物性を向上させる点で好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記重合体(A)、前記単量体(B)、重合開始剤(C)及び必要に応じて使用されるその他の成分を室温下、攪拌機やニーダーなどの通常の混合手段を用いて混合することで製造することができる。
本発明の樹脂組成物の38℃における溶融粘度は、15Pa・s以下が好ましく、12Pa・s以下がより好ましく、10Pa・s以下が更に好ましい。樹脂組成物の溶融粘度が前記範囲内であると、被塗布面に均一に樹脂組成物を塗布することが可能であり、気泡の混入を防ぐことも容易となるため、塗工性が良好になる。なお、本明細書において樹脂組成物の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
本発明の樹脂組成物は、溶融粘度が低く、硬化性に優れており、更に強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物が得られるため、接着剤、粘着剤(中でも光学用粘着剤)、コーティング剤、封止材及びインキ等の用途に好適に用いることができる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、前記本発明の樹脂組成物を硬化させたものであり、例えば、本発明の樹脂組成物に対して、エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
硬化させるためのエネルギー線としては、紫外線が好ましい。紫外線源としては、例えば、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びマイクロ波方式エキシマランプ等が挙げられる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましい。
照射雰囲気温度は、10〜200℃が好ましく、UV照射量は200〜10,000mJ/cm2が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、例えば、熱を加えることによっても硬化させることができる。硬化温度は50〜250℃が好ましく、加熱時間は10分〜10時間が好ましい。
[光学用粘着剤]
本発明の光学用粘着剤は、前記本発明の樹脂組成物を含むものであり、スマートフォン、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の電子機器等に好適に使用することができる。
前記光学用粘着剤は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を適宜に添加することもできる。前記添加剤としては、例えば粘着付与剤、可塑剤、顔料、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<重合体(A)>
・製造例1〜5により得られた重合体(A−1)〜(A−5)
製造例1:ポリファルネセン(A−1)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1520g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)7.8gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン1510gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリファルネセン(A−1)(以下、重合体(A−1)と略称する)を得た。
製造例2:ポリファルネセン(A−2)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1520g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)17.3gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン1500gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリファルネセン(A−2)(以下、重合体(A−2)と略称する)を得た。
製造例3:ポリファルネセン(A−3)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン241g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)28.3gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン342gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリファルネセン(A−3)(以下、重合体(A−3)と略称する)を得た。
製造例4:β−ファルネセン−イソプレンランダム共重合体(A−4)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン1470g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)20.2gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製したイソプレンとβ−ファルネセンとの混合物(イソプレン298gとβ−ファルネセン1193gとをボンベ内で混合)1491gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するβ−ファルネセン−イソプレンランダム共重合体(A−4)(以下、重合体(A−4)と略称する)を得た。
製造例5:ポリファルネセン(A−5)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1520g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)1.9gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン1520gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリファルネセン(A−5)(以下、重合体(A−5)と略称する)を得た。
Figure 0006199682
<アクリロイル基を1個有する単量体(B)>
・単量体(B−1)
イソボルニルアクリレート
東京化成工業株式会社製、商品名「IBXA」
<アクリロイル基を1個有する単量体(B)以外の単量体(B')>
・単量体(B'−1)
イソボルニルメタクリレート
大阪有機化学工業株式会社製、商品名「IBMA」
・単量体(B'−2)
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート
日立化成工業株式会社製、商品名「ファンクリルFA−512M」
・単量体(B'−3)
1,9−ノナンジオールジアクリレート
大阪有機化学工業株式会社製、製品名「ビスコート#260」(NDDA)
<重合開始剤(C)>
・光重合開始剤(C−1)
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
BASF株式会社製、商品名「DAROCUR 1173」
・熱重合開始剤(C−2)
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
和光純薬株式会社製、商品名「V−60」
<ヒンダードアミン系化合物(D)>
・ヒンダードアミン系化合物(D−1)
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートと、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物
BASF株式会社製、商品名「TINUVIN 765」
<実施例1〜12>
重合体(A−1)〜(A−5)と、単量体(B−1)、(B’−1)、重合開始剤(C−1)、(C−2)及びヒンダートアミン系化合物(D−1)を表2、3に示す割合でステンレス製300mL容器に投入し、室温下、攪拌翼を用いて20分混合することにより200gの樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を下記方法により評価した。結果を表2、3に示す。
<比較例1〜4>
重合体(A−1)と、単量体(B−1)、(B’−1)〜(B’−3)及び重合開始剤(C−1)を表4に示す割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(1)数平均分子量及び分子量分布の測定
東ソー株式会社製GPC−8020を使用し、サンプル/テトラヒドロフラン=5mg/10mLの濃度で調整し、測定した。
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン(和光純薬株工業式会社製)
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(2)溶融粘度及びガラス転移温度
製造例1〜5で得られた重合体(A−1)〜(A−5)、各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
製造例1〜5で得られた重合体(A−1)〜(A−5)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(3)外観
実施例1〜9、11、12及び比較例1〜4で得られた樹脂組成物を、縦70mm、横70mm、厚さ0.5mmの型枠に注入し、組成物表面を厚さ50μmのPETフィルムで覆った後、UV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション製、水銀ランプとしてHAK125L−Fを使用)を用い、照度45mW/cm2、コンベアー速度0.25m/minに設定し、1回の作業で1,000mJ/cm2のUVを照射した。これを3回繰り返して硬化物を得た。なお、実施例10で得られた樹脂組成物については、縦70mm、横70mm、厚さ0.5mmの型枠に注入し、組成物表面を厚さ50μmのPETフィルムで覆った後、オーブンを用いて80℃で4時間加熱し、硬化物を得た。硬化物よりPETフィルムを剥がした後、目視により観察し、下記基準にしたがって透明性を評価した。
<評価基準>
5:無色透明
4:極僅かな着色が認められるが透明
3:やや着色が認められるが透明
2:明らかな着色が認められるが透明
1:不透明
(4)破断強度及び破断伸度
上記(3)において得られた硬化物から幅6mm、長さ70mmの短冊状のサンプルを打ち抜き、50mm/minの引っ張り速度で引っ張り試験を行った際の破断強度及び破断伸度をインストロン社製引張試験機により測定した。数値が大きいほど破断強度及び破断伸度が良好である。
(5)硬度
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、縦70mm、横35mm、厚さ2.0mmの型枠に注入した以外は上記(3)と同様にして、厚さ2.0mmの硬化物を得た。得られた厚さ2.0mmの硬化物を3枚重ねて6.0mmの試料とし、JIS K 6253に準拠して硬度を測定した。
Figure 0006199682
Figure 0006199682
Figure 0006199682
実施例1〜12に示すように、アクリロイル基を1個有する単量体(B)を用いた樹脂組成物は、粘度が低く、光又は熱により硬化し、強度、柔軟性及び透明性に優れる硬化物を与える。一方、比較例1、2のように単量体(B)の代わりにメタクリロイル基を1個有する単量体を用いた樹脂組成物や、比較例3のように単量体(B)の代わりにアクリロイル基を2個以上有する単量体を用いた樹脂組成物の硬化物は、各成分が分離し、白濁した蝋状の固形物であった。これらの硬化物は、少しの力で簡単に崩れてしまうものであり、前記各種測定を行うことができなかった。また、比較例4のように単量体(B)が本発明の規定より多い樹脂組成物からなる硬化物は、ガラス状の膜になり、全く弾性がなく、採寸時又は測定準備時に割れてしまい、前記各種測定を行うことができなかった。ただし、実施例11のようにアクリロイル基を1個有する単量体とメタクリロイル基を有する化合物とを併用した場合は、透明性及び柔軟性に優れた硬化物を得ることができる。
実施例1と実施例6との比較から、重合体(A)を多く含む樹脂組成物は硬度が低くより柔軟な硬化物を与えることが分かる。一方で、実施例1と実施例7との比較から、単量体(B)を多く含む樹脂組成物は、破断強度、破断伸度及び硬度の高い、より硬い硬化物を与える。
また、実施例1と実施例8を比較すると、重合開始剤(C)の添加量を減らした場合、硬化後は低強度でより柔らかい硬化物となる。一方、重合開始剤(C)の添加量を増やした場合は、実施例1と実施例9との比較から分かるように硬度と強度がより高い硬化物が得られる。

Claims (13)

  1. ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含み、重合可能な官能基を有しない重合体(A)、アクリロイル基を1個有する単量体(B)及び重合開始剤(C)を含み、重合体(A)と単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.4〜4であり、重合体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む樹脂組成物。
  2. 重合体(A)の数平均分子量が1,000〜100万である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 重合体(A)の38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 更に、重合体(A)と単量体(B)との合計100質量部に対して、ヒンダードアミン系化合物(D)を0.01〜10質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 重合体(A)を構成する単量体単位がファルネセン由来の単量体単位(a1)のみからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 重合体(A)を構成する単量体単位がファルネセン由来の単量体単位(a1)及びファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(a2)を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 単量体単位(a2)がファルネセン以外の共役ジエン化合物に由来する単量体単位である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 単量体単位(a2)としての共役ジエン化合物がイソプレン及びブタジエンのいずれかを含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 単量体単位(a2)が芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  10. 単量体(B)が環状アルキル基を有する単管能アクリレートである、請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 重合開始剤(C)が、光重合開始剤又は熱重合開始剤である、請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物を含む光学用粘着剤。
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