JP6199555B2 - 3次元ホログラム形成方法及び3次元ホログラム形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は静止画及び動画像を3次元映像として立体表示させる3次元ホログラム形成方法及び3次元ホログラム形成装置に関する。
ある種の物質は良好な電荷輸送能を有することが知られており、その応用事例としてフォトリフラクティブ効果がある。フォトリフラクティブ効果とは、レーザーを照射するとポッケルス効果によって物質の屈折率が変化することである。具体的には2本のコヒーレントなレーザー光をクロスさせて媒体に照射する場合が挙げられる。クロスしたビームは互いに干渉し、媒体に周期的な干渉縞が形成される。この干渉縞においては、明所・暗所が交互に交差し、明所では媒体が光励起されて電荷キャリアが生成され、生成された電荷キャリアは、媒体に印加された外部電場によって明所からドリフト移動し、暗所でトラップされる。これにより、媒体には、周期的な電荷密度の分布が生じる。この周期的な電荷密度の分布は、ポッケルス効果を介して媒体に屈折率の周期的な変化を誘起する。
このようなフォトリフラクティブ効果を用いることで、歪曲した媒体からのイメージング、実時間ホログラフィー、超多重ホログラム記録、3Dディスプレイ、3Dプリンター、更には光増幅、光ニュートラルネットワークを含む非線形光情報処理、パターン認識、光リミッティング、高密度光データの記憶等への応用が期待されている。
フォトリフラクティブ媒体を用いて3次元画像を記録及び再生する技術として例えば次の技術が挙げられる。フォトリフラクティブ材料に、芳香族第3級アミンとアルデヒドとの付加重合体を用いることで当該材料の応答速度、安定性、機械強度等を向上させたホログラム表示装置が知られている(特許文献1)。
分子量1500以上のカルバゾール化合物、分子量1000以下のカルバゾール化合物及び増感剤、可塑剤をそれぞれ所定の配合量で含有させたフォトリフラクティブ材料を用いた素子を組み込んだホログラム表示装置が知られている(特許文献2)。
特開2001−255566号公報 特許2005−227311号公報
特許文献1及び特許文献2のホログラム表示装置でホログラム像を表示させる場合、高い電界下でフォトリフラクティブ素子の応答性等の機能を発現させている。装置の高機能化を実現するには、フォトリフラクティブ素子に高電界を印加する必要があるが、高電界を長時間印加すると、当該素子を構成する樹脂の劣化が生じてしまう。例えば有機ELディスプレイを高機能化するには高電界を印加することが必要であるが、高電界を長時間印加することで素子が絶縁破壊し易くなる。更に、高い電圧を要するため必要電力量が大きくなり、非効率であるといった問題もある。
そこで本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、高性能であると共に信頼性が高く、かつ高効率で3次元ホログラムを形成できる3次元ホログラム形成方法及び3次元ホログラム形成装置を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。高機能化、信頼性及び高効率の観点から3次元ホログラム像をより低電界で形成させることが重要であると考えこの点に着目した。その結果、回折効率と印加電界の相関関係がレーザー波長に依存することを見いだし、これにより上記課題を解決するに至った。
即ち本発明の3次元ホログラム形成方法は、フォトリフラクティブ複合体が設けられたフォトリフラクティブ素子に、電界を印加した状態で、フォトリフラクティブ性を発現可能な波長を有する物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録するステップであって、10V/μm〜40V/μmの電界で10%以上の回折効率を生じる前記物体光及び参照光の400nm〜650nmの波長を選択し、前記フォトリフラクティブ素子に当該物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録するステップと、ホログラム像が記録された前記フォトリフラクティブ素子にプローブ光を照射して当該ホログラム像を表示するステップと、を含み、前記フォトリフラクティブ複合体が下記式(1)で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマー、増感剤、非線形光学色素、及び可塑剤を含有し、前記増感剤が、[6、6]−フェニルC 61 ブタン酸メチルエステル(PCBM)であり、前記非線形光学色素が、[[4−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)フェニル]メチレン]プロパンジニトリル(7−DCST)であり、前記可塑剤がフタル酸ベンジルブチル(BBP)であり、前記増感剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して1.0〜10重量%であり、前記非線形光学色素の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して30〜40重量%であり、前記可塑剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、〜10重量%であることを特徴とする。
本発明の3次元ホログラム形成方法によれば、ホログラム像を記録するステップで、フォトリフラクティブ素子に、低強度の電界で10%以上の回折効率を生じる波長の物体光及び参照光を選択して照射するため、従来よりも格段に低い電界強度で高い性能を発現させることができる。フォトリフラクティブ素子に高電界が印加されず、絶縁破壊を生じさせることがないため、高い耐久性を得ることができる。更に、低電圧でホログラム像の記録が可能となっているため必要電力量が小さくてすみ、効率的である。
上記式で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマーは、3次元ホログラムを形成するためのフォトリフラクティブ複合体の組成物として本発明に用いられるものである。この化合物は、フォトリフラクティブ複合体として従来では用いられていなかった全く新規な化合物であり、本発明の目的である高性能化、高い信頼性及び高効率化を高い次元で達成可能とすることができる。
本発明の3次元ホログラム形成装置は、フォトリフラクティブ複合体が設けられたフォトリフラクティブ素子と、前記フォトリフラクティブ素子に、電界を印加した状態で、フォトリフラクティブ性を発現可能な波長を有する物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録する記録機構であって、10V/μm〜40V/μmの電界で10%以上の回折効率を生じる前記物体光及び参照光の400nm〜650nmの波長を選択し、前記フォトリフラクティブ素子に当該物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録する記録機構と、ホログラム像が記録された前記フォトリフラクティブ素子にプローブ光を照射して当該ホログラム像を表示させる表示機構と、を備え、前記フォトリフラクティブ複合体が上記式(1)で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマー、増感剤、非線形光学色素、及び可塑剤を含有し、前記増感剤が、[6、6]−フェニルC 61 ブタン酸メチルエステル(PCBM)であり、前記非線形光学色素が、[[4−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)フェニル]メチレン]プロパンジニトリル(7−DCST)であり、前記可塑剤がフタル酸ベンジルブチル(BBP)であり、前記増感剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して1.0〜10重量%であり、前記非線形光学色素の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して30〜40重量%であり、前記可塑剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、〜10重量%であることを特徴とする。
本発明の3次元ホログラム形成装置によれば、ホログラム像を記録する記録機構で、フォトリフラクティブ素子に、低強度の電界で10%以上の回折効率を生じる波長の物体光及び参照光を選択して照射するため、従来よりも格段に低い電界強度で高い性能を発現させることができる。フォトリフラクティブ素子に高電界が印加されず絶縁破壊を生じさせることがないため、高い耐久性を得ることができる。更に、低電圧でホログラム像の記録が可能となっているため必要電力量が小さくてすみ、効率的である
上記の通り本発明によれば、ホログラム像を記録するステップで、低強度の電界で10%以上の回折効率を生じる波長の物体光及び参照光を選択してフォトリフラクティブ素子に照射することで、格段に低い電界強度で高い性能を発現させることができる。従って、フォトリフラクティブ素子に絶縁破壊を生じさせないことから高い耐久性を得ることができる。更に、低電界でホログラム像の記録が可能となっているため必要電力量が小さくてすみ、効率的である。これにより、高性能、高い信頼性及び高効率性を兼ね備えた3次元ホログラム形成装置を提供することができる。
本発明の3次元ホログラム形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の3次元ホログラム形成装置の他の例を示す概略構成図である。 (a)はレーザー波長を変えた場合の電界強度と回折効率の関係を表したグラフであり(b)は可塑剤を変えた場合の電界強度と回折効率の関係を表したグラフである。 コインのホログラム像を描く前の写真と、フォトリフラクティブ素子に映し出されたホログラム像の写真である。 図2の装置を用いた場合のフォトリフラクティブ素子に連続的に映し出されたホログラム像の写真である。 PVCzに配合する可塑剤を変えた場合のレーザー波長と回折効率及び感度の関係を表すグラフである。 PDASを用いた場合のレーザー波長と回折効率及び感度の関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の3次元ホログラム形成装置の一例を示す概略構成図である。3次元ホログラム形成装置1は、ホログラム像を記録かつ表示させるフォトリフラクティブ素子2と、物体光及び参照光をフォトリフラクティブ素子2に照射することによりホログラム像を記録する記録機構3と、プローブ光をフォトリフラクティブ素子2に照射することにより、記録機構3で記録されたホログラム像を表示する表示機構4とで主に構成されている。
ホログラム像を記録する本実施形態の記録機構3は、レーザーを発振するレーザー発振器10と、このレーザー発振器10から発振されたレーザービームを反射させる第1の固定ミラー11と、この第1の固定ミラー11で反射したレーザービームの光軸上に配置された第1の半波長板12と、この第1の半波長板12を通過したレーザービームを分割してp-偏光とs−偏光の第1、第2の偏光レーザービームB1、B2とする偏光ビームスプリッター13と、第1の偏光レーザービームB1の光軸上に配置された第2の半波長板14と、この第2の半波長板14を通過した第1の偏光レーザービームB1を反射させる第2の固定ミラー15と、この第2の固定ミラー15で反射したレーザービームのビーム径を拡大して物体5へ照射し、物体光B11とする第1の光学系16と、第2の偏光レーザービームB2のビーム径を拡大する第2の光学系17と、この第2の光学系17で拡大されたレーザービームを反射させて参照光B21とする第3の固定ミラー18とで構成されている。
第1の光学系16はレンズ20からなり、第2の光学系17はレーザービームのビーム径を拡大するレンズ21とレンズ22とからなるが、これらの光学系を構成するレンズの数、種類は限定するものではない。
レーザー発振器10から発振されたレーザービームは第1の固定ミラー11で反射され、第1の半波長板12を通過後、偏光ビームスプリッター13で分割される。p-偏光の第1の偏光レーザービームB1は偏光ビームスプリッター13を直進し、s−偏光の第2のレーザービームB2は偏光ビームスプリッター13で反射される。第1の半波長板12を回転させることによって、偏光ビームスプリッター13を直進するp−偏光の第1の偏光レーザービームB1と、偏光ビームスプリッター13で反射されるs−偏光の第2の偏光レーザービームB2の強度比を変えることができる。
偏光ビームスプリッター13を通過したp−偏光の第1の偏光レーザービームB1は、第2の半波長板14でs−偏光に変換される。第2の半波長板14で変換されたs−偏光の第1の偏光レーザービームB1は、第2の固定ミラー15で反射される。第2の固定ミラー15で反射されたs−偏光の第1の偏光レーザービームB1のビーム径は、レンズ20で拡大される。ビーム径を拡大されたs−偏光の第1の偏光レーザービームB1は、物体5に照射され、物体光B11となる。
偏光ビームスプリッター13で反射したs−偏光の第2の偏光レーザービームB2は、レンズ21とレンズ22とを通過後、そのビーム径が拡大される。ビーム径が拡大されたs−偏光の第2の偏光レーザービームB2は、第3の固定ミラー18で反射され、参照光B21となる。本実施形態の装置では、複数のレーザー発振器が備えられているか、又は波長を可変のレーザー発振器が備えられており、レーザー波長を調整することができる。従って、レーザー波長を調整することで、物体光B11と参照光B21の波長を変更してフォトリフラクティブ素子2に照射できる。
物体光B11が参照光B21と共にフォトリフラクティブ素子2に照射され、当該物体光B11に含まれる空間的な強度分布及び位相分布を干渉縞として、当該物体光B11の空間情報がフォトリフラクティブ素子2に記録される。
記録されたホログラム像を表示する表示機構4は、レーザーを発振するレーザー発振器24と、このレーザー発振装置24から発振されたレーザービームの光軸上に配置されたプローブ光用半波長板25と、このプローブ光用半波長板25を通過したレーザービームを反射させる第4の固定ミラー26と、この第4の固定ミラー26で反射されたレーザービームのビーム径を拡大するプローブ光用光学系27と、このプローブ光用光学系27で拡大されたレーザービームを反射させてプローブ光B31とする第4の固定ミラー28とで構成されている。プローブ光用光学系27は、2つのレンズ29、30からなるが、当該光学系を構成するレンズの数、種類は限定するものではない。
レーザー発振器24から発振されたレーザービームは、プローブ光用半波長板25でp−偏光に変換され、第4の固定ミラー26で反射される。反射したp−偏光のレーザービームのビーム径は、レンズ29とレンズ30とで拡大される。ビーム径が拡大されたp−偏光のレーザービームは、第4の固定ミラー28で反射されてプローブ光B31となる。記録機構3によって書き込まれた空間情報は、p−偏光のプローブ光B31でホログラム像として読み出され、フォトリフラクティブ素子2に表示される。
フォトリフラクティブ素子2には、電界を印加するための電界印加装置34が接続されており、当該素子2に電界を印加した状態で、ホログラム像を記録及び表示できる。更に、フォトリフラクティブ素子2と視認点35との間には、物体光B11と参照光B21とをカットするためのカラーフィルター36が設置されている。
以上の3次元ホログラム形成装置1によって、フォトリフラクティブ素子2へ記録機構3による物体光B11と参照光B21とを照射し、それと同時に、表示機構4によるプローブ光B31を照射する。これにより、物体画像をホログラム像としてフォトリフラクティブ素子2に記録するのと同時に、そのホログラム像をフォトリフラクティブ素子2へ表示させ、カラーフィルター36を通して再生画として見ることができる。
図2は本発明の3次元ホログラム形成装置の他の例を示す概略構成図である。3次元ホログラム形成装置50は、ホログラム像を記録かつ表示させるフォトリフラクティブ素子2と、物体光及び参照光をフォトリフラクティブ素子2に照射することによりホログラム像を記録する記録機構51と、プローブ光をフォトリフラクティブ素子2に照射することにより、記録機構51で記録されたホログラム像を表示する表示機構52とで主に構成されている。
ホログラム像を記録する記録機構51は、レーザーを発振するレーザー発振器55と、このレーザー発振装置55から発振されたレーザービームの光軸上に配置された第1の半波長板56と、この第1の半波長板56を通過したレーザービームを反射する第1の固定ミラー57と、この第1の固定ミラー57で反射されたレーザービームのビーム径を拡大する第1の光学系58と、この第1の光学系58で拡大されたレーザービームを分割してp-偏光とs−偏光の第1、第2の偏光レーザービームB5、B6とする偏光ビームスプリッター59と、このうち第1の偏光レーザービームB5の偏光状態を変換して物体光B51とする空間光変調器53と、物体光B51を拡散板67に拡大投影させるための第2の光学系60と、第2の光学系60を通過した物体光B51を反射させる第2の固定ミラー61と、物体光B51を投影するための拡散板67と、偏光ビームスプリッター59で分割された第2の偏光レーザービームB6のビーム径を拡大するレンズ54と、このレンズを通過した偏光レーザービームB6を反射させて参照光B61とする第3の固定ミラー62とを備えている。拡散板67に投影された像が物体光B51となりフォトリフラクティブ素子2に照射される。
第1の光学系58はレーザービームのビーム径を拡大するレンズ63とレンズ64とからなり、第2の光学系60はレーザービームを拡散板67に拡大投影させるためのレンズ65からなるが、これらの光学系を構成するレンズの数、種類は限定するものではない。
レーザー発振器55から発振されたレーザービームは、第1の半波長板56を通過後、第1の固定ミラー57で反射される。反射したレーザービームのビーム径が、レンズ63とレンズ64とで拡大される。拡大されたレーザービームは、偏光ビームスプリッター59で分割され、p-偏光の第1の偏光レーザービームB5は偏光ビームスプリッター59を直進し、s−偏光の第2のレーザービームB6は偏光ビームスプリッター59で反射される。第1の半波長板56を回転させることによって、偏光ビームスプリッター59を直進するp−偏光の第1の偏光レーザービームB5と、偏光ビームスプリッター59で反射されるs−偏光の第2の偏光レーザービームB6の強度比を変えることができる。
偏光ビームスプリッター59で反射されたs−偏光の第2のレーザービームB6は、第3の固定ミラー62で反射されて参照光B61となる。偏光ビームスプリッター59を通過したp-偏光の第1の偏光レーザービームB5は、空間光変調器53に照射される。空間光変調器53の偏光特性によりp-偏光の第1の偏光レーザービームB5は、s−偏光のレーザービームに変換されて反射する。空間光変調器53で反射されたs−偏光の第1の偏光レーザービームB5は、物体光B51となり、偏光ビームスプリッター59に戻り、反射される。偏光ビームスプリッター59で反射された物体光B51は、レンズ65で集光されつつ、第2の固定ミラー61で反射され、拡散板67に投影されフォトリフラクティブ素子2に照射される。本実施形態の装置でも、複数のレーザー発振器が備えられているか、又は波長を可変のレーザー発振器が備えられており、レーザー波長を調整することができる。従って、レーザー波長を調整することで、物体光B11と参照光B21の波長を変更してフォトリフラクティブ素子2に照射できる。
物体光B51が参照光B61と共にフォトリフラクティブ素子2に照射され、当該物体光B51に含まれる空間的な強度分布及び位相分布を干渉縞として、当該物体光B51の空間情報が、フォトリフラクティブ素子2に記録される。
空間光変調器53にはコンピューター68が接続されている。このコンピューター68には、動画を記録するCMOSカメラが69繋がれている。回転ステージ70上で回転する人形(物体)71の動きがCMOSカメラ69で記録され、その映像がコンピューター68の画面上に映し出されるようになっている。
表示機構52のレーザー発振器24から発振されたレーザービームは、プローブ光用半波長板79でp−偏光に変換される。p−偏光のレーザービームのビーム径はレンズ29とレンズ30とで拡大されてプローブ光B71となる。
フォトリフラクティブ素子2には、電界を印加するための電界印加装置34が接続されており、当該素子2に電界を印加した状態で、ホログラム像を記録及び表示できる。電界印加装置34の電界強度は調整可能である。フォトリフラクティブ素子2と視認点35との間には、物体光B51と参照光B61とをカットするためのカラーフィルター36が設置されている。記録機構51によって書き込まれた空間情報がp−偏光のプローブ光B71によってホログラム像として読み出され、フォトリフラクティブ素子2に表示される。フォトリフラクティブ素子2に表示されたホログラム像の光はカラーフィルター36を通過し視認される。
以上の3次元ホログラム形成装置50によって、フォトリフラクティブ素子2へ記録機構51による物体光B51と参照光B61とを照射し、それと同時に表示機構52によるプローブ光B71を照射する。空間光変調器53に表示されるコンピューター68の映像をホログラム像としてフォトリフラクティブ素子2に記録するのと同時に、そのホログラム像をフォトリフラクティブ素子2へ表示させることができる。即ち、空間光変調器53に表示される動画像のホログラム像をリアルタイムに表示させることができる。なお、以上の各3次元ホログラム形成装置1、50は例示であり、限定するものではなく、例えば他の構成を含ませるようにしてもよい。
本願発明者は、フォトリフラクティブ性能に反映される回折効率と、電界強度との相関関係が物体光及び参照光の波長に依存することを見いだし、低電界下で所定以上の回折効率が得られる波長を選択することで、3次元ホログラム形成装置の高性能化、高信頼性化及び高効率化を実現するに至った。フォトリフラクティブ性能が物体光及び参照光の波長に依存するという考え方は、従来には無かった全く新しい概念であり、本発明は、この概念を基礎とし、更には、特定のフォトリフラクティブ複合体を用いる技術からなる。
物体光及び参照光を形成するレーザー波長の好ましい範囲は400nm〜650nmであり、現実的に用いられるレーザー波長としては532nm〜633nmである。縦軸を回折効率とし横軸を電界強度とした相関関係は、ある電界強度で回折効率のピークが現れる山型となる。物体光及び参照光の波長が短くなるに従って、回折効率のピークが低電界側にシフトし、同じ電界値でも回折効率が高くなることが認められる。ただ、物体光及び参照光の波長が短くなりすぎると、フォトリフラクティブ素子2への物体光及び参照光の透過性が極度に低下する。物体光及び参照光の透過性が低下すると、回折効率が低下する。つまり、物体光及び参照光の波長は、単に短かくなればよいのではなく、当該波長には上記の好適な範囲が存在する。従って、高い回折効率を得るのと同時に、印加する電界がより低くなるように、最適なレーザー波長を選択する点に本発明の特徴がある。更には、フォトリフラクティブ複合体の選択、フォトリフラクティブ素子2の製造条件及び使用環境も、フォトリフラクティブ性能及び耐久性に影響を与える要素であり、これらも考慮しつつ、最適なレーザー波長を選択する。
良好なフォトリフラクティブ性能を得るための回折効率の好ましい値は10%以上である、ここでいう性能とは、ホログラム像の明るさ及び鮮明性、ホログラム像を形成する応答時間をいう。回折効率を高くするに伴って、印加する電界強度も大きくなる。回折効率と電界強度との相関関係は、フォトリフラクティブ複合体の種類等に関係して変化するが、回折効率は、例えば10%〜60%程度、10%〜45%程度、又は10%〜30%程度となるように電界強度を調整する。電界強度の好ましい範囲は10〜40V/μmであり、より好ましくは10〜30V/μm、最も好ましくは10〜20V/μmである。フォトリフラクティブ素子2に印加する電界に、このような低強度の電界を用いれば、フォトリフラクティブ素子2の絶縁破壊を生じ難くし、フォトリフラクティブ素子2を長期に渡って使用し続けることができる。また、低い電圧を使用すればよいので、必要電力量が大きくなり、高効率な装置とすることができる。
以上説明したとおり、低強度の電界で高い回折効率が得られるレーザー波長を選択し、それと共に10%以上の回折効率が得られるように電界強度を調整し、調整した電界をフォトリフラクティブ素子2に印加し、選択した波長を当該フォトリフラクティブ素子2に照射する。
フォトリフラクティブ性能の指標として次の数式で表される感度Sを用いることができる。回折効率が大きく、単位面積当たりのレーザーエネルギーが小さく、応答時間が短くなると、感度Sは高くなる。即ち、感度Sが高くなることは、ホログラム像が明るくなり、ホログラム像を形成する速度が大きくなることを意味する。
(η:回折効率、I:単位面積当たりのレーザーエネルギー、τ:応答時間)
従って、上記式で表される感度Sが高くなるレーザー波長を選択し、低強度の電界を印加することで、フォトリフラクティブ素子2の高い応答性、明るさ及び高い耐久性を得ることができる。このような条件下でフォトリフラクティブ素子2を用いれば、良好な応答時間が得られ、それと共に電界強度が抑えられてフォトリフラクティブ素子2が長時間の印加に耐えることができる。即ち、低い電界強度で高い性能を得ることができることになり、高性能化、高耐久性及び高効率化を実現することができる。
以上の各3次元ホログラム形成装置1、50によって次の3次元ホログラム形成方法を実現することができる。即ち、フォトリフラクティブ複合体が設けられたフォトリフラクティブ素子2に、電界を印加した状態で、フォトリフラクティブ性を発現可能な波長の物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録するステップであって、低強度の電界で10%以上の回折効率を生じる前記波長を選択して前記フォトリフラクティブ素子に照射し、ホログラム像を記録するステップと、ホログラム像が記録された前記フォトリフラクティブ素子にプローブ光を照射して当該ホログラム像を表示するステップとを含む3次元ホログラム形成方法である。
(回折効率及び応答時間の測定)
回折効率(%)及び応答時間の測定は公知の方法を用いた。回折効率の測定は、フォトリフラクティブポリマー素子2に電界を印加した状態で4光波混合法によって測定した。測定には波長633nmのHe−Neレーザー、波長594,561,532nmの半導体レーザーを用いた。フォトリフラクティブ効果によって生じる回折効率、即ち屈折率変化の大きさΔnは、ブラッグ回折の強度測定から評価できる。書き込み光により屈折率格子を生じた試料に、ブラッグ条件で同一波長の低出力のプローブ光を逆伝搬で入射させ、屈折率格子により回折する光の強度を観測することで回折効率を測定できる。応答時間は、Kohlrausch-Williams-Watts(KWW)式によるフィッティングで算出した値を用いた。
フォトリフラクティブ素子2の構造は限定するものではない。フォトリフラクティブ素子2の具体的な構成として、フォトリフラクティブ複合体と、このフォトリフラクティブ複合体を挟持する2枚の板材で構成されたものが挙げられる。各板材の内側に、導電性透明膜を被覆してもよい。導電性透明膜としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)膜などが挙げられる。各板材は、例えば四方形状に形成されたガラス製の板材である。
(フォトリフラクティブ複合体)
フォトリフラクティブ複合体は、フォトリフラクティブポリマーに増感剤、非線形光学色素等を添加するか、又はフォトリフラクティブ機能を有するポリマーに、必要に応じてその他の化合物を配合することによって得ることができる。本発明では、ホログラム像を書き換え可能なフォトリフラクティブ複合体を用いている。
本発明に適用される最も好適なフォトリフラクティブ複合体として、下記式(1)で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマー(PDAA)を主成分とし、このポリマーに他の化合物を配合したPDAA複合体が挙げられる。このPDAA複合体を用いることが最も好適であることを、本願発明者が多くの実験を積み重ねることで見出した。配合剤としては、例えば増感剤、非線形光学色素及び可塑剤が挙げられる。PDAAは、3次元ホログラムを形成するためのフォトリフラクティブ複合体として従来では適用されていなかった全く新規な化合物であり、本発明の目的である高性能化、高信頼性化及び高効率化を高い次元で達成可能とすることができる。即ち、PDAAを用いれば、低電界下で高い性能を発揮できることから、高耐久性かつ高効率であり、ホログラム像が明るく、高い鮮明度が得られ、しかもホログラム像のフルカラー化を実現することができる。
トリフェニルアミンアクリレートポリマーは、例えば下記式(2)のようにして合成できる。合成法が記載された文献としては下記のものが挙げられる。
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その他のフォトリフラクティブ複合体として、ポリビニルカルバゾ−ル(PVCz)、又はカルバゾールを側鎖に有するビニルポリマー類に、増感剤、非線形光学色素及び可塑剤を混合させたCzポリマー複合体が挙げられる。
ポリ(ジフェニルアミノ)スチレン(PDAS)に、増感剤、非線形光学色素及び可塑剤を混合させたPDAS複合体が挙げられる。特にPDAS複合体は、電界を印加時に30フレーム毎秒のビデオレートに追従する応答性を発現させることができる。
複数のカルバゾール環を分子内に有する低分子化合物に、増感剤、非線形光学色素及び可塑剤を混合させた分子ガラス複合体が挙げられる。芳香族第3級アミンとアルデヒドとの付加重合体に、増感剤、非線形光学色素を混合させたトリフェニルアミン類ポリマー複合体が挙げられる。
(増感剤)
増感剤は、電子受容体としての性能を有しており、フォトリフラクティブ性を高めるために配合される。増感剤が配合されると、当該増感剤と、フォトリフラクティブポリマーとにより、電荷移動錯体が形成され、高いフォトリフラクティブ性が発現される。
増感剤の具体例として、(2、4、7−トリニトロ−9−フルレニィリデン)マロニトリル(TNF−DM)、[6、6]−フェニルC61ブタン酸メチルエステル(PCBM)、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)、フラーレンC60、フラーレンC70、テトラシアノベンゼン(TCBN)、テトラシアノキノジノメタン(TCNQ)、ベンゾキノン(BQ)及びその誘導体、2、6−ジメチル−p−ベンゾキノン(MQ)、2、5−ジクロロ−p−ベンゾキノン(ClQ)、2、3、5、6−テトラクロロ−p−ベンゾキノン(クロラニル)、2、3−ジクロロ−5、6−p−ベンゾキノン(DDQ)等が挙げられる。なお増感剤は、一種のものを単独で使用してもよく、2種類以上のものを併用しても良い。
増感剤の含有量としては、フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、下限値として0.1重量%が好ましく、0.5重量%が更に好ましく、1重量%が最も好ましい。上限値として30重量%が好ましく、20重量%が更に好ましく、10重量%が最も好ましい。増感剤の含有量が30重量%よりも多いと、増感剤による電荷移動錯体の濃度が高くなるため、光の吸収の増大が招来されて光の透過度が顕著に低下してしまう。
(非線形光学色素)
非線形光学色素は、2次の非線形光学特性を示すドナーアクセプター型分子であり、電場によって屈折率が変化する2次非線形光学材料である。非線形光学色素の具体例として、2、5−ジメチル−4−(p−ニトロフェニルアゾ)アニソール(DMNPAA)、4−アミノ−4‘−ニトロアゾベンゼン(ANAB)、s−(−)−1−(4−ニトロフェニル)−2−ピロリジン−メタノール(NPP)、4−(ジエチルアミノ)−(E)−β−ニトロスチレン(DEANST)、(ジエチルアミノ)ベンツアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、PDCST、AODCST、[[4−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)フェニル]メチレン]プロパンジニトリル(7−DCST)、TDDCST、DCDHF−6、2−(4−アゼパン−1−イル−2−フルオロベンジリデン)−マロノニトリル(FDCST)等のアミノシアノスチレン類が挙げられる。なお、非線形光学色素は、1種のものを単独で使用してもよく、2種類以上のものを併用しても良い。
非線形光学色素の含有量は、フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、下限値として20重量%が好ましく、30重量%が更に好ましい。上限値として50重量%が好ましく、40重量%が最も好ましい。非線形光学色素の含有量が20重量%よりも少ないと、フォトリフラクティブ効果に必要な回折効率や利得係数が得られない場合がある。非線形光学色素の含有量が50重量%よりも多いと、他の成分との量比にアンバランスが生じて、フォトリフラクティブ複合体の設計に悪影響を及ぼす場合がある。
(可塑剤)
可塑剤はフォトリフラクティブポリマーのガラス転移温度を低下させる役割を果たす。可塑剤の具体例として、エチルカルバゾール(ECZ)またはプロピオン酸カルバゾイルエチル(CzEPA)、トリフェニルアミン(TPA)、フタル酸ベンジルブチル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCP)リン酸トリクレジル(TCP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、N−メチル−1−ピロリドン、N−オクチル−1−ピロリドン、N−デシル−1−ピロリドンなどのN−アルキル−1−ピロリドン類、並びに2−(1、2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルプロピオネート) (AX22)、2−(1、2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルブチレート、2−(1、2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルベンゾエート、2−(1、2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルアクリレート、2−(フタルイミド)エチルプロピオネート(AX23) などのイミド化合物等、更には、下記式(3)で表される4−ジフェニルアミノフェニルメタノール(TPAOH)が挙げられる。
可塑剤は、可塑効果のために入れる配合剤であるが、入れすぎるとフォトリフラクティブポリマー及び非線形光学色素の含有率を下げ、フォトリフラクティブ効果を低下させるおそれがある。例えば、フォトリフラクティブポリマーであるPDAAのガラス転移温度は75℃であり、このガラス転移温度を下げるために用いられる。可塑剤の含有量は、フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、上限値として40重量%が好ましく、10重量%が更に好ましい。可塑剤の含有量が40重量%よりも多いと、他の成分との量比にアンバランスが生じてフォトリフラクティブ複合体の設計に悪影響を及ぼす場合がある。

フォトリフラクティブ複合体の膜厚は20〜100μmが好適である。膜厚が20μm未満であればブラッグ回折条件を満たし難く、100μmを超えると印加電圧の上昇や吸収の増大を招くおそれがある。
(フォトリフラクティブ複合体の製法)
フォトリフラクティブ複合体は、フォトリフラクティブポリマー、非線形光学色素、増感剤等を溶媒に溶解させる溶解工程と、この溶媒を留去する溶媒留去工程と、サンドイッチ型デバイス作製工程とを含む製造方法によって製作される。溶解工程では、フォトリフラクティブポリマー、非線形光学色素、増感剤等を所定の割合にて溶媒に溶解する。溶媒としては特に限定されるものではなく、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)やジメチルホルムアミド等が使用され、好ましくはTHFである。溶解温度は室温程度であればよく、必要に応じてスターラーチップにより溶液を撹拌してもよい。
溶媒留去工程では、各成分が溶解された溶液の溶媒を除去する。溶媒を除去する方法としては特に限定されるものではなく、例えば板材上でキャストフィルムを得るようにすればよい。具体的には、ガラス板上に各成分が溶解された溶液を流延しその後、室温で溶媒を蒸発させ、続いてこれを真空乾燥器に入れて溶媒を更に蒸発させフォトリフラクティブ複合材を得る。サンドイッチ型デバイス作製工程では、例えばポリイミドスペーサーを四隅に配置した2枚のガラス板の間に、フォトリフラクティブ複合材を入れる。これを加温しながら真空プレス機で圧着し、フォトリフラクティブ素子を得る。フォトリフラクティブ複合体の製法は限定するものではなく、構成に応じた最適な製法を採用すればよい。
上記実施形態の3次元ホログラム形成方法及び3次元ホログラム形成装置によれば、ホログラム像を記録するステップで、フォトリフラクティブ素子に、低強度の電界で10%以上の回折効率を生じる波長の物体光及び参照光を選択して照射するため、従来よりも格段に低い電界強度で高い性能を発現させることができる。フォトリフラクティブ素子に高電界が印加されず、絶縁破壊を生じさせることがないため、高い耐久性を得ることができる。更に、低電圧でホログラム像の記録が可能となっているため必要電力量が小さくてすみ、効率的である。これにより、高性能、高耐久性及び高効率性を兼ね備えた3次元ホログラム形成装置を提供することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
レーザー波長を変えてフォトリフラクティブ素子の回折効率、応答時間、吸収係数、光電流の測定を実施した。
フォトリフラクティブ素子の作製は次のようにして行った。配合組成は、PDAA/7−DCST/BBP/PCBMである。各組成の重量比は、PDAA/7−DCST/BBP/PCBM=55/40/4/1である。各成分をTHFに溶解させてキャスト溶液を作り、このキャスト溶液をキャスト用のガラス基板上に流延し、室温で溶媒を蒸発させて均一な膜を得た。これを70℃で24時間乾燥後、60℃で24時間、減圧乾燥で溶媒を蒸発させてフォトリフラクティブ複合材を得る。溶媒を留去後、得られたフォトリフラクティブ複合材をキャスト用のガラス基材から取り外す。スペーサーを四隅に配置し、導電性透明膜を被覆した2枚のガラス板の間に、フォトリフラクティブ複合材を入れる。これを120℃に加温しながら真空プレス機で圧着し、フォトリフラクティブ素子を得た。
レーザービームの照射条件は以下のとおりである。記録機構におけるレーザー光源の波長及び電界強度を変えて実施した。実施した波長は532nm、561nm、594nm、633nmである。実施した電界強度は10〜60V/μmである。電界強度の好ましい範囲は10〜40V/μmであり、より好ましくは10〜30V/μm、最も好ましくは10〜20V/μmである。物体光と参照光とを合わせた光強度は表1に示すとおりである。同時に、物体光並びに参照光と同一波長の低出力のレーザーをプローブ光とし、このプローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射し、回折効率の測定を行った。更に、その過渡応答より応答時間を測定し、その逆数より応答速度を算出した。
電界強度が25V/μmのときの各レーザー波長における回折効率、応答時間、レーザー光強度及び感度を表1に示す。また、各レーザー波長での吸収係数並びに電界強度が70V/μmのときの各レーザー波長における光電流を表1に示す。
ただし、E=70V/μm、E=25V/μmである。
表1の結果から、レーザー波長が短くなるほど回折効率が上昇し、応答速度が速くなり、感度が高くなることが認められる。
各レーザー波長における電界強度と回折効率の関係を表したグラフを図3(a)に示す。グラフから分かるように、レーザー波長が短くなるに従って、回折効率のピークが低電界側にシフトし、同じ電界値でも回折効率が高くなる傾向が認められた。
(実施例2)
フォトリフラクティブ複合体の組成のうち可塑剤を変えて実施した。組成はPDAA/7−DCST/ECz/PCBM、PDAA/7−DCST/BBP/PCBM、PDAA/7−DCST/TPAOH/PCBMである。各組成の重量比はPDAA/7−DCST/ECz/PCBM=55/35/9/1、PDAA/7−DCST/BBP/PCBM=55/40/4/1、PDAA/7−DCST/TPAOH/PCBM=55/35/9/1である。フォトリフラクティブ複合体の製作方法は実施例1と同様である。
レーザービームの照射条件は実施例1と同様である。可塑剤を変えた場合の電界強度と回折効率の関係を表したグラフを図3(b)に示す。グラフから分かるように、可塑剤にBBPを用いたフォトリフラクティブ素子で、回折効率のピークが低電界側にシフトし、同じ電界値で回折効率が高くなることが認められる。
(実施例3)
図1の3次元ホログラム形成装置を用いてコインのホログラム像の形成を行った。図4はコインのホログラム像を描く前のフォトリフラクティブ素子の写真と、フォトリフラクティブ素子に映し出されたホログラム像の写真である。
フォトリフラクティブ素子は実施例1と同じものを用いた。レーザービームの照射条件は以下のとおりである。レーザー光源の波長は532nmであり、電界強度は25V/μmである。物体光の光強度:17mW、参照光の光強度:54mWでホログラム像の記録を行う。同時に、波長642nmのレッドレーザー(140mW)をプローブ光とし、このプローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射し、記録したホログラム像を表示させた。
(実施例4)
図2の3次元ホログラム形成装置を用いてホログラム像を動画像として表示させた。回転する人形の表面からの物体光と参照光をフォトリフラクティブ素子に照射してホログラム像を記録し、それと同時にプローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射して表示させた。
フォトリフラクティブ素子は実施例1と同じものを用いた。レーザービームの照射条件は以下のとおりである。レーザー光源の波長は532nmであり、電界強度は25V/μmである。物体光の光強度:17mW、参照光の光強度:54mWでホログラム像の記録を行う。同時に、波長642nmのレッドレーザー(140mW)をプローブ光とし、このプローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射し、記録したホログラム像を表示させた。図5のようにホログラム像がフォトリフラクティブ素子に連続的に映し出されている。
(実施例5)
フォトリフラクティブ複合体のフォトリフラクティブポリマーにPVCzを用い、可塑剤を変えて実施した。組成はPVCz/7−DCST/BBP/TNF、PVCz/7−DCST/TPA/TNF、PVCz/7−DCST/TCP/TNFである。各組成の重量比は、PVCz/7−DCST/BBP/TNF=44/35/20/1、PVCz/7−DCST/TPA/TNF=44/35/20/1、PVCz/7−DCST/TCP/TNF=44/35/20/1である。フォトリフラクティブ複合体の製作方法は実施例1と同様である。
レーザービームの照射条件は実施例1と同様である。各レーザー波長における回折効率η、応答時間τ、光学利得Γ、レーザー光強度I及び感度Sを表2に示し、各可塑剤を用いた場合のレーザー波長と回折効率及び感度の関係を図6に示す。
(実施例6)
フォトリフラクティブ複合体の組成をPDAS/FDCST/TPA/PCBM=44/35/20/1で実施した。PDASの分子量は48000とした。フォトリフラクティブ複合体の製作方法は実施例1と同様である。
レーザービームの照射条件は実施例1と同様である。各レーザー波長における回折効率η、応答時間τ、吸収係数α、光学利得Γ、レーザー光強度I及び感度Sを表3に示し、各可塑剤を用いた場合のレーザー波長と回折効率及び感度の関係を図7に示す。
開示した実施形態、実施例は例示であり制限的なものではない。例えばホログラム像の記録、表示及び書き換えに必要な他の装置や機器を3次元ホログララム表示装置に組み込むことができ、必要に応じて3次元ホログラム形成方法に他のステップを含めることができる。フォトリフラクティブ素子のフォトリフラクティブ複合体は、上記各成分の他にフォトリフラクティブ性を損なわせない範囲内で、他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば酸化防止剤や紫外線吸収剤等が挙げられる。
1、50 3次元ホログラム形成装置
2 フォトリフラクティブ素子
3、51 記録機構
4、52 表示機構
5、71 物体、人形
53 空間光変調器
68 コンピューター
69 CMOSカメラ
B1 第1の偏光レーザービーム
B2 第2の偏光レーザービーム
B11 物体光
B21 参照光
B31 プローブ光
B5 第1の偏光レーザービーム
B6 第2の偏光レーザービーム
B51 物体光
B61 参照光
B71 プローブ光

Claims (2)

  1. フォトリフラクティブ複合体が設けられたフォトリフラクティブ素子に、電界を印加した状態で、フォトリフラクティブ性を発現可能な波長を有する物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録するステップであって、
    10V/μm〜40V/μmの電界で10%以上の回折効率を生じる前記物体光及び参照光の400nm〜650nmの波長を選択し、前記フォトリフラクティブ素子に当該物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録するステップと、
    ホログラム像が記録された前記フォトリフラクティブ素子にプローブ光を照射して当該ホログラム像を表示するステップと、を含み、
    前記フォトリフラクティブ複合体が下記式(1)で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマー、増感剤、非線形光学色素、及び可塑剤を含有し、
    前記増感剤が、[6、6]−フェニルC 61 ブタン酸メチルエステル(PCBM)であり、前記非線形光学色素が、[[4−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)フェニル]メチレン]プロパンジニトリル(7−DCST)であり、前記可塑剤がフタル酸ベンジルブチル(BBP)であり、
    前記増感剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して1.0〜10重量%であり、前記非線形光学色素の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して30〜40重量%であり、前記可塑剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、〜10重量%であることを特徴とする3次元ホログラム形成方法。
  2. フォトリフラクティブ複合体が設けられたフォトリフラクティブ素子と、
    前記フォトリフラクティブ素子に、電界を印加した状態で、フォトリフラクティブ性を発現可能な波長を有する物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録する記録機構であって、10V/μm〜40V/μmの電界で10%以上の回折効率を生じる前記物体光及び参照光の400nm〜650nmの波長を選択し、前記フォトリフラクティブ素子に当該物体光及び参照光を照射してホログラム像を記録する記録機構と、
    ホログラム像が記録された前記フォトリフラクティブ素子にプローブ光を照射して当該ホログラム像を表示させる表示機構と、を備え、
    前記フォトリフラクティブ複合体が請求項1に記載の上記式(1)で表されるトリフェニルアミンアクリレートポリマー、増感剤、非線形光学色素、及び可塑剤を含有し、
    前記増感剤が、[6、6]−フェニルC 61 ブタン酸メチルエステル(PCBM)であり、前記非線形光学色素が、[[4−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)フェニル]メチレン]プロパンジニトリル(7−DCST)であり、前記可塑剤がフタル酸ベンジルブチル(BBP)であり、
    前記増感剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して1.0〜10重量%であり、前記非線形光学色素の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して30〜40重量%であり、前記可塑剤の含有量が、当該フォトリフラクティブ複合体100重量%に対して、〜10重量%であることを特徴とする3次元ホログラム形成装置。
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