JP6198368B2 - 脱イオン装置 - Google Patents

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Description

本発明は脱イオン装置に関する。なお、本発明において、脱イオン装置とは、塔内にイオン交換樹脂またはキレート樹脂が充填されたイオン交換樹脂塔またはキレート樹脂塔を含む装置を意味する。
イオン交換樹脂塔の1つとして、通水が下降流で再生が上昇流で行なわれる型式のものが知られており、その構造は、一般的には、塔内にイオン交換樹脂が充填され、塔底部の平板部の上面には再生剤供給主配管とそれから分岐される複数本の再生剤供給枝配管が配置された構造であり、再生剤供給主配管および再生剤供給枝配管は、通水時には集液配管を構成し、処理水を集液する(特許文献1)。また、塔底部に集液フィルターを設置し、被処理水をフィルターを通して集液するイオン交換樹脂塔も知られている。キレート樹脂塔の構造は、塔内にキレート樹脂が充填される点を除き、上記のイオン交換樹脂塔と同様である。
ところで、被処理水である一般的な工業用水には数十μg/L程度のホウ素がホウ酸の形態で含まれているが、ホウ酸は極めて弱い酸であるため、イオン交換樹脂塔によっては十分に除去できないことが知られている。
また、ホウ酸の除去方法として、塔内にホウ素選択性グルカミン型等のキレート樹脂が充填されたキレート樹脂塔を使用する方法が知られているが、被処理水の空塔速度を大きくすると早い段階からホウ酸のリークが発生する問題があることが知られている。
何れにしても、イオン交換樹脂やキレート樹脂の場合は、粒子状の樹脂母体に導入された官能基に対象となるイオンが届くまでの拡散速度が律速となる。反応速度を向上させるために母体構造を多孔質化した樹脂も知られているが、十分に高速処理できるとは言い難い。そこで、イオン交換繊維の使用も考えられるが、繊維それ自体および官能基の嵩密度が小さいという欠点のため、工業的規模の装置化は実現されていない現状にある。
特開2002−18433号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、比較的簡単な構造上の改良により、ホウ酸などの弱酸を実質的に含有しない処理水を集液し得る様になされた脱イオン装置を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、塔内にイオン交換樹脂またはキレート樹脂が充填されて成る脱イオン装置において、塔内のイオン交換樹脂またはキレート樹脂の充填層を通過した後の脱イオン水の集液が、表面に複数の通液孔が設けられた集液配管の表面にイオン交換基またはキレート基を含有する樹脂繊維を巻き付けて形成された管状のフィルターを通して行われるようにしたことを特徴とする脱イオン装置に存する。
本発明によれば、既存設備の構成要素を利用する比較的簡単な構造上の改良により、被処理水の空塔速度を大きくしても弱酸のリークが起こらない脱イオン装置が提供される。
前記の課題が解決される。
本発明の脱イオン装置の一例の全体概念説明図 本発明の脱イオン装置の一例における塔底の平板とその上面に配置された再生剤供給配管(集液配管)を示す模式的平面説明図
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。先ず、本発明の脱イオン装置の基本的構造について説明する。図1及び図2に示す脱イオン装置は、通水が下降流で再生が上昇流で行なわれる型式のものであり、その基本的構造は従来の脱イオン装置と同様である。
上記の脱イオン装置は、塔(1)内にイオン交換樹脂またはキレート樹脂(2)が充填されている。図1に例示した塔(1)は、塔底および塔頂が平板構造であるが、何れか一方または両方が鏡構造であってもよい。イオン交換樹脂としては、目的に応じ、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂または弱塩基性アニオン交換樹脂が適宜使用される。また、キレート樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂にN−メチル−グルカミン基を導入したホウ素選択吸着樹脂が好適に使用される。
上記の脱イオン装置の場合、塔底の平板部(11)の上面に複数本の再生剤供給枝配管(50)が配置されている。再生剤供給枝配管(50)は再生剤供給主配管(5)から分岐される。図示した装置の場合、塔底が平板構造であるために平板部(11)は塔底自体で構成されているが、塔底が鏡構造の場合は、別途に平板部が構成される。上記の再生剤供給主配管(5)及び再生剤供給枝配管(50)は通水時に下部集液管を構成する。
通水時において、被処理水は、塔頂部に配置された上部集液主配管(3)を経由して上部集液枝配管(30)から供給され、処理水は、下部集液配管、すなわち、再生剤供給枝配管(50)及び再生剤供給主配管(5)から抜き出される。そして、再生時において、再生剤は、再生剤供給主配管(5)及び再生剤供給枝配管(50)から供給され、再生廃液は上部集液枝配管(30)及び上部集液主配管(3)から抜き出される。
通水時と再生時の上記の様な機能の切替は、上部集液主配管(3)及び再生剤供給主配管(5)にそれぞれ設置された切替バルブ(図示せず)の操作によって行なわれる。
本発明の脱イオン装置の特徴は、脱イオン水の集液がイオン交換基またはキレート基を含有する樹脂繊維(官能基含有樹脂繊維)にて形成されたフィルターを通して行われる点にある。図2に例示した再生剤供給配管(集液配管)では、再生剤供給枝配管(50)の表面に複数の通液孔が設けられ且つ再生剤供給枝配管(50)の表面に官能基含有樹脂繊維を巻き付けて管状のフィルター(4)が形成されている。
上記の樹脂繊維としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。勿論、共重合体であってもよい。イオン交換基またはキレート基としては、イオン交換樹脂またはキレート樹脂が有するものと同様のものが挙げられるが、必ずしも、同一である必要はない。樹脂繊維にイオン交換基またはキレート基を含有させる方法は、一般的には、放射線グラフト重合技術を応用した方法が採用される(「グラフト重合のおいしいレシピ」(斎藤恭一、須郷高信共著、丸善株式会社 2008年2月15日発行)。この場合、樹脂繊維は織布や不織布に加工されたものであってもよい。また、繊維形成樹脂にイオン交換樹脂またはキレート樹脂を練り込む方法も採用可能である。場合によっては、市販のイオン交換繊維、例えば、株式会社ニチビ製の商品「IEF−SC」、「IEF−SA」、「IEF−WA」)等を利用することも出来る。
図示した例では、再生剤供給枝配管(50)の表面に官能基含有樹脂繊維を巻き付けて管状のフィルター(4)が形成されているが、塔底部に集液フィルターが設置されている脱イオン装置においては、集液フィルターを官能基含有樹脂繊維で構成してもよい。なお、上部集液枝配管および上部集液主配管は、図示したものに限定されず、公知の脱イオン装置と同様に各種の構造にすることが出来る。
本発明の脱イオン装置は、上記のように既存の設備の構成要素を利用するため、ホウ酸などの弱酸を実質的に含有しない処理水を集液するための改良を容易に行うことが出来る。
1:塔
11:平板部
2:イオン交換樹脂またはキレート樹脂
3:上部集液主配管
30:上部集液枝配管
4:官能基含有樹脂繊維にて形成されたフィルター
5:再生剤供給主配管
50:再生剤供給枝配管
51:再生剤供給枝配管の間隙

Claims (1)

  1. 塔内にイオン交換樹脂またはキレート樹脂が充填されて成る脱イオン装置において、塔内のイオン交換樹脂またはキレート樹脂の充填層を通過した後の脱イオン水の集液が、表面に複数の通液孔が設けられた集液配管の表面にイオン交換基またはキレート基を含有する樹脂繊維を巻き付けて形成された管状のフィルターを通して行われるようにしたことを特徴とする脱イオン装置。
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